以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、ブレーキ装置100の全体構成について説明する。ブレーキ装置100は、作動流体として圧縮空気が用いられる鉄道車両用の空気圧ブレーキである。圧縮空気に代えて、作動油など他の作動流体を用いてもよい。また、ブレーキ装置100は、作動流体を用いる流体圧式ブレーキに限られず、機械式ブレーキや電気式ブレーキであってもよい。
ブレーキ装置100は、車輪1の回転を制動するブレーキ本体10と、ブレーキ本体10を支持するガイド部材としての第1及び第2スライドピン31,32と、第1及び第2スライドピン31,32を支持するブレーキ支持部材50と、を備える。ブレーキ支持部材50は、車両の台車(図示省略)に取り付けられる。ブレーキ装置100が鉄道車両以外の車両に適用される場合には、ブレーキ支持部材50は車両の車体(図示省略)に取り付けられる。
ブレーキ支持部材50を台車又は車体に取付けることにより、ブレーキ装置100が台車に装着される。ここでは、ブレーキ装置100が台車に装着されているものとして説明する。
ブレーキ本体10は、車輪1を挟持するための一対のブレーキライニング11a,11bと、ブレーキライニング11a,11bをそれぞれ支持するガイドプレート12a,12bと、を有する。一対のブレーキライニング11a,11bは、車輪1を挟持する際には、車輪1の表裏両面に設けられるブレーキディスク2a,2bにそれぞれ接する。
ブレーキディスク2a,2bは、車輪1と一体に形成されて車輪1とともに回転する。車輪1と一体に形成されるブレーキディスク2a,2bに代えて、車輪1とは別体に形成され車輪1とともに回転可能に車輪1に設けられるブレーキディスク2a,2bを用いてもよい。
また、ブレーキ本体10は、ガイドプレート12a,12bを支持するキャリパアーム部13a,13bと、キャリパアーム部13a,13bを連結するヨーク部14と、ヨーク部14に設けられる第1及び第2ピン受部15,16と、を有する。キャリパアーム部13a,13b、ヨーク部14、並びに第1及び第2ピン受部15,16は、一体に成形される。
キャリパアーム部13a,13bは、それぞれ、ブレーキディスク2a,2bに沿って延在する。キャリパアーム部13aとブレーキディスク2aとの間にブレーキライニング11aが配置され、キャリパアーム部13bとブレーキディスク2bとの間にブレーキライニング11bが配置される。
第1及び第2ピン受部15,16は、それぞれ、第1及び第2スライドピン31,32が挿通する貫通孔(図示省略)を有する。第1及び第2ピン受部15,16の貫通孔に第1及び第2スライドピン31,32が挿通することにより、ブレーキ本体10は第1及び第2スライドピン31,32に対して軸方向(延在方向)に摺動自在に支持される。
第1及び第2スライドピン31,32は、車輪1の回転軸に沿って延在する。したがって、ブレーキ本体10は、第1及び第2スライドピン31,32に対して摺動することにより、車輪1の回転軸方向に移動する。
次に、図3から図7を参照して、ブレーキ支持部材50について説明する。
ブレーキ支持部材50は、台車に取り付けられる第1支持部としての第1ブラケット部60と、第1ブラケット部60とは別体に形成され第1ブラケット部60と間隔を空けて台車に取り付けられる第2支持部としての第2ブラケット部70と、を備える。図4には第1ブラケット部60のみが示され、図5には第2ブラケット部70のみが示される。
第1及び第2ブラケット部60,70は、車輪1の回転軸方向に互いに対向するプレート部61,71をそれぞれ有する。
第1ブラケット部60のプレート部61は、第1スライドピン31(図1及び図2参照)の一端が挿通する貫通孔61aと、第2スライドピン32(図2参照)の一端が挿通する貫通孔61bと、を有する。第2ブラケット部70のプレート部71は、第1スライドピン31の他端が挿通する貫通孔71aと、第2スライドピン32の他端が挿通する貫通孔71bと、を有する。
第1ブラケット部60は、プレート部61の上端付近から下端に渡ってプレート部61の側端から略垂直に突出する第1取付部62と、第1取付部62の上端から略垂直に突出する第2取付部63と、を有する。第1及び第2取付部62,63はプレート部61と一体に成形される。
第1取付部62は、ボルト(図示省略)が挿通するボルト孔62aを有する。ボルト孔62aは、プレート部61と平行に横方向に第1取付部62を貫通する。ボルト孔62aに挿通したボルトを台車に螺合することにより、第1取付部62が台車の側面に締結される。
第2取付部63は、ボルト孔62aに挿通するボルトとは異なるボルト(図示省略)が挿通するボルト孔63aを有する。ボルト孔62aは、上下方向に第2取付部63を貫通する。ボルト孔63aに挿通したボルトを台車に螺合することにより、第2取付部63が台車の上面に締結される。
第2ブラケット部70は、プレート部71の上端付近から下端に渡ってプレート部71の側端から略垂直に突出する第1取付部72と、第1取付部72の上端から略垂直に突出する第2取付部73と、を有する。第1及び第2取付部72,73はプレート部71と一体に成形される。
第1取付部72は、ボルト(図示省略)が挿通するボルト孔72aを有する。ボルト孔72aは、プレート部71と平行に横方向に第1取付部72を貫通する。ボルト孔72aに挿通したボルトを台車に螺合することにより、第1取付部72が台車の側面に締結される。
第2取付部73は、ボルト孔72aに挿通するボルトとは異なるボルト(図示省略)が挿通するボルト孔73aを有する。ボルト孔72aは、上下方向に第2取付部73を貫通する。ボルト孔73aに挿通したボルトを台車に螺合することにより、第2取付部73が台車の上面に締結される。
このように、第1ブラケット部60は、ボルト孔62a,63aに挿通するボルトにより台車に締結され、第2ブラケット部70は、ボルト孔72a,73aに挿通するボルトにより台車に締結される。
第2ブラケット部70は、第1ブラケット部60とは別体に形成されかつ第1ブラケット部60とは別に台車に取り付けられる。そのため、ブレーキ支持部材50は、台車に取付けられ第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とが設けられる部材を必要としない。したがって、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70との間の間隔を拡大しても、ブレーキ支持部材50の重量の増大を防ぐことができる。
また、ブレーキ支持装置50は台車に取付けられ第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とが設けられる部材を必要としないので、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70との間の間隔の拡大に伴うブレーキ支持装置50の表面積の増大が生じない。したがって、塵埃、雪及び灰等の異物がブレーキ支持装置50に付着するのを防ぐことができる。
更に、本実施形態では、第1及び第2ブラケット部60,70を別々に製作すればよい。そのため、第1ブラケット部60と、第2ブラケット部70と、第1及び第2ブラケット部60,70が設けられる基部と、を一体に成形してなるブレーキ支持部材に比べ、ブレーキ支持部材50の製作が容易になる。
ここで、第1ブラケット部60と、第2ブラケット部70と、前述の基部と、が一体に成形されるブレーキ支持部材では、第1ブラケット部60と基部とが溶接により接合され、第2ブラケット部70と基部とが溶接により接合される場合がある。この場合、溶接部において強度が低下し、信頼性が低下する。
これに対して、本実施形態では、第1及び第2ブラケット部60,70が台車に取り付けられるので、第1及び第2ブラケット部60,70を基部に溶接により接合する必要がない。したがって、ブレーキ支持部材50の強度を高めることができ、信頼性を高めることができる。
本実施形態では、第1及び第2ブラケット部60,70の両方が台車とは別体に形成され台車に取り付けられるが、第1及び第2ブラケット部60,70の少なくとも一方が台車とは別体に形成され台車に取り付けられる形態であればよい。例えば、第1ブラケット部60が台車と一体に形成され第2ブラケット部70のみが台車に取り付けられる形態であってもよい。
図7は、台車に取り付ける前のブレーキ支持部材50の側面図である。第1ブラケット部60は、第1取付部62の先端から略垂直に突出する板状の突起部64,65を有する。突起部64,65には、それぞれ、貫通孔64a,65aが形成される。同様に、第2ブラケット部70は、第1取付部72の先端から略垂直に突出する板状の突起部74,75を有する。突起部74,75には、それぞれ、貫通孔74a,75aが形成される。
貫通孔64aには、連結部材としての連結ピン81の一端部が挿通する。連結ピン81の一端部には、突起部64を挟持するようにナット82a,82bが螺合する。ナット82a,82bにより、連結ピン81が突起部64に締結される。
貫通孔74aには、連結ピン81の他端部が挿通する。連結ピン81の他端部には、突起部74を挟持するようにナット83a,83bが螺合する。ナット83a,83bにより、連結ピン81が突起部74に締結される。
貫通孔65aには、連結部材としての連結ピン86の一端部が挿通する。連結ピン86の一端部には、突起部65を挟持するようにナット87a,87bが螺合する。ナット87a,87bにより、連結ピン86が突起部65に締結される。
貫通孔75aには、連結ピン86の他端部が挿通する。連結ピン86の他端部には、突起部75を挟持するようにナット88a,88bが螺合する。ナット88a,88bにより、連結ピン86が突起部75に締結される。
このように、連結ピン81,86は、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とを連結する。そのため、第1及び第2ブラケット部60,70が台車に取り付けられる前であっても、ブレーキ支持部材50を一体品として運搬することができる。
また、連結ピン81,86は、ナット82a,83a,87a,88aを連結ピン81,86から取り外すことにより、第1及び第2ブラケット部60,70から取り外し可能になる。第1及び第2ブラケット部60,70を台車に取り付けた後に連結ピン81,86を第1及び第2ブラケット部60,70から取り外すことにより、台車に取り付けられたブレーキ支持部材50を軽量化することができる。
ブレーキ装置50では、2つの連結ピン81,86を用いて第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とが連結されるが、連結部材の数は2つに限定されない。第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とは、1つの連結部材、又は3つ以上の連結部材を用いて連結されてもよい。
また、第1ブラケット部60は、連結ピン81,86を挿通させるための2つの貫通孔64a,65aを有する形態に限られず、連結部材を挿通させるための貫通孔が第1ブラケット部60に1つ又は3つ以上設けられていてもよい。同様に、第2ブラケット部70に、連結部材を挿通させるための貫通孔が1つ又は3つ以上設けられていてもよい。
再び図1,図2及び図6を参照して、ブレーキ装置100の細部について説明する。
第1スライドピン31は、第1ブラケット部60の貫通孔61aと第2ブラケット部70の貫通孔71aとに挿通することにより、ブレーキ支持部材50に支持される。第2スライドピン32は、第1ブラケット部60の貫通孔61bと第2ブラケット部70の貫通孔71bとに挿通することにより、ブレーキ支持部材50に支持される。つまり、第1及び第2スライドピン31,32は、ブレーキ支持部材50に支持された状態では、第1及び第2ブラケット部60,70の間に渡って延在する。
第1及び第2ピン受部15,16は、第1及び第2スライドピン31,32よりも短く、第1及び第2ブラケット部60,70との間に配置される。第1及び第2ピン受部15,16の移動は、第1及び第2ブラケット部60,70によって制限される。
第1ブラケット部60と第1ピン受部15との間、及び第2ブラケット部70と第1ピン受部15との間には、ゴム製のブーツ33が設けられる。ゴム製のブーツ33は、第1スライドピン31のうち第1ピン受部15から延出する部分を覆っており、第1スライドピン31をダスト等から保護する。
第1ブラケット部60と第2ピン受部16との間、及び第2ブラケット部70と第2ピン受部16との間には、ゴム製のブーツ(図示省略)が設けられる。ゴム製のブーツは、第2スライドピン32のうち第2ピン受部16から延出する部分を覆っており、第2スライドピン32をダスト等から保護する。
ブレーキ本体10は、キャリパアーム部13aの先端に配置される空気圧シリンダ17を備える。空気圧シリンダ17の一端はキャリパアーム部13aに固定される。空気圧シリンダ17の他端にはガイドプレート12aが固定される。
通孔18を通じて空気圧シリンダ17に圧縮空気が供給されると、空気圧シリンダ17は伸長し、ガイドプレート12aをブレーキディスク2aに近づける。その結果、ブレーキライニング11aがブレーキディスク2aに接触する。
ブレーキライニング11aがブレーキディスク2aに接触した後に更に空気圧シリンダ17に圧縮空気が供給されると、空気圧シリンダ17はブレーキライニング11aをブレーキディスク2aに押圧する。ブレーキ本体10は、摺動自在に支持されるため、ブレーキライニング11aによるブレーキディスク2aの押圧に伴って、第1ブラケット部60に近づくように移動する。その結果、ブレーキライニング11bがブレーキディスク2bに接触する。
ブレーキライニング11a,11bがブレーキディスク2a,2bに接触したあとに更に空気圧シリンダ17に圧縮空気が供給されると、ブレーキ本体10はブレーキライニング11a,11bを介して車輪1を挟持する。ブレーキライニング11a,11bは、ブレーキディスク2a,2bの回転に抗して支持されるので、ブレーキディスク2a,2bとブレーキライニング11a,11bとの間に摩擦力が生じる。その結果、車輪1の回転が制動される。
空気圧シリンダ17への圧縮空気の供給が遮断されると、空気圧シリンダ17は不図示のバネの復元力により収縮し、ガイドプレート12aをブレーキディスク2aから遠ざける。その結果、ブレーキライニング11a,11bがブレーキディスク2a,2bから離れ、車輪1の回転の制動が解除される。
このように、空気圧シリンダ17は、圧縮空気が供給されたときには車輪1の回転を制動するように作動し、圧縮空気の供給が遮断されたときには車輪1の回転の制動を解除するように作動する。以下において、車輪1の回転を制動する空気圧シリンダ17の動作を「制動動作」とも称し、車輪1の回転の制動を解除する空気圧シリンダ17の動作を「制動解除動作」とも称する。
また、ブレーキ本体10は、ブレーキライニング11aの摩耗量に関わらず、制動解除動作時におけるブレーキディスク2aに対するブレーキライニング11aの位置を一定に保つアジャスタ20aを備える。アジャスタ20aは、キャリパアーム部13aの先端に、アンカボルト21により締結される。
アジャスタ20aは、キャリパアーム部13aに対して進退可能なアンカピン22を有する。アンカピン22の先端にはガイドプレート12aが取り付けられる。したがって、アンカピン22は、制動動作時にはガイドプレート12aとともにブレーキディスク2aに向けて進出する。このとき、アンカピン22は、ブレーキディスク2aがブレーキライニング11aを回転させようとするのに抗してブレーキライニング11aを保持する保持部材としても機能する。
アンカピン22は、制動解除動作時には、ガイドプレート12aとともにブレーキディスク2aから後退する。このとき、アンカピン22は、元の位置よりも、制動動作時におけるブレーキライニング11aの摩耗量(摩耗により減った厚さ)だけブレーキディスク2aに近い位置に戻る。したがって、制動解除動作時におけるブレーキディスク2aとブレーキライニング11aとの間の間隔は、制動動作の前後において同じになる。
このように、アジャスタ20aは、制動解除動作時におけるアンカピン22の戻り量を制限し、制動解除動作時におけるブレーキディスク2aに対するブレーキライニング11aの位置を一定に保つ。
キャリパアーム部13bの先端には、アジャスタ20bがアンカボルト21により締結される。アジャスタ20bの構造は、アジャスタ20aの構造と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、ブレーキ支持部材50及びブレーキ装置100の作用について説明する。
鉄道車両の走行時には、車輪1は高速で回転している。運転士の操作等によってブレーキ装置100が制動状態に切り換えられると、圧縮空気が空気圧源から通孔18を通じて空気圧シリンダ17に供給される。その結果、空気圧シリンダ17は伸長し、ブレーキライニング11aをブレーキディスク2aに押圧するとともに、ブレーキ本体10を移動させてブレーキライニング11bをブレーキディスク2bに押圧する。
ブレーキディスク2a,2bがそれぞれブレーキライニング11a,11bに押圧されると摩擦力が発生し、車輪1の回転は制動される。これにより、鉄道車両は、速度が低下してやがて停止する。
運転士の操作等によってブレーキ装置100による車輪1の制動が解除されると、空気圧シリンダ17は不図示のバネの復元力により収縮し、ブレーキライニング11a,11bをブレーキディスク2a,2bから離間する。これにより、車輪1は、ブレーキ装置100の影響を受けることなく回転することが可能となる。
車輪間隔が可変な鉄道車両では、例えば狭軌と標準軌とのように異なったレール間隔に応じて車輪1が回転軸方向に移動する。ブレーキ本体10は、車輪1の回転軸方向に摺動自在に第1及び第2スライドピン31,32に支持されているので、車輪1に追従して移動する。したがって、車輪1の位置が回転中心軸方向へ変化しても、ブレーキ本体10はその移動位置で制動動作時に車輪1を挟持することができる。
車輪間隔が可変な鉄道車両以外の車両にもブレーキ装置100は適用可能である。ブレーキ本体10は、第1及び第2スライドピン31,32に対して軸方向に摺動自在に支持されるため、第1及び第2ブラケット部60,70に対して移動する。したがって、第1及び第2ブラケット部60,70が車輪1に対してずれた状態で台車に取付けられても、ブレーキ本体10を車輪1に対応した所望の位置に配置させることができる。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
第2ブラケット部70は、第1ブラケット部60とは別体に形成されかつ第1ブラケット部60とは別に台車に取り付けられるので、ブレーキ支持部材50は、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とを連結し台車に取り付けられる部材を必要としない。したがって、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70との間の間隔を拡大しても、ブレーキ支持部材50の重量の増大を防ぐことができる。
また、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とを連結ピン81,86で連結することにより、第1及び第2ブラケット部60,70が台車に取り付けられる前であってもブレーキ支持部材50を一体品のように扱うことができる。第1及び第2ブラケット部60,70を台車に取付ける際に連結ピン81,86を第1及び第2ブラケット部60,70から取り外すことにより、台車に取付けられたブレーキ支持部材50を軽量化することができる。
ブレーキ本体10は、第1及び第2スライドピン31,32に対して軸方向に摺動自在に支持されるため、第1及び第2ブラケット部60,70に対して移動する。したがって、第1及び第2ブラケット部60,70が車輪1に対してずれた状態で台車に取り付けられても、ブレーキ本体10を車輪1に対応した所望の位置に配置させることができる。
第1及び第2スライドピン31,32は、車輪1の軸方向位置が変更された際にブレーキ本体10が追従できるように延在する。そのため、車輪がその回転軸方向に移動する場合であっても、ブレーキ本体10は、車輪1に追従する。したがって、車輪1の位置が回転軸方向へ変化しても、ブレーキ本体10はその移動位置で制動動作時に車輪1を挟持することができる。
以上の説明において、ブレーキ装置100はフローティング式であるが、本実施形態は、対向ピストン式、踏面式、てこリンク式などのブレーキ装置にも適用可能である。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
ブレーキ支持部材50は、車体又は台車に設けられブレーキ本体10を支持する第1及び第2スライドピン31,32が挿通する貫通孔61a,61bを有する第1ブラケット部60と、第1ブラケット部60とは別体に形成され第1ブラケット部60と間隔を空けて車体又は台車に取り付けられ第1及び第2スライドピン31,32が挿通する貫通孔71a,71bを有する第2ブラケット部70と、を備えることを特徴とする。
この構成では、第2ブラケット部70が第1ブラケット部60とは別体に形成され車体又は台車に取り付けられるので、ブレーキ支持部材50は、車体又は台車に取り付けられ第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とが設けられる部材を必要としない。したがって、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70との間の間隔の拡大に伴うブレーキ支持部材50の重量の増大を防ぐことができる。
また、ブレーキ支持部材50は、第1ブラケット部60が車体又は台車に取り付けられ、第1ブラケット部60及び第2ブラケット部70には、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とを連結する連結ピン81,86が挿通される貫通孔64a,65a,74a,75aが形成されることを特徴とする。
この構成では、貫通孔64a,65a,74a,75aに挿通される連結ピン81,86により第1ブラケット部60と第2ブラケット部70とを連結することにより、第1及び第2ブラケット部60,70が車体又は台車に取り付けられる前であってもブレーキ支持部材50を一体品のように扱うことができる。また、第1及び第2ブラケット部60,70を車体又は台車に取付けた後に連結ピン81,86を第1及び第2ブラケット部60,70から取り外すことにより、車体又は台車に取付けられたブレーキ支持部材50を軽量化することができる。
また、ブレーキ装置100は、ブレーキ支持部材50と、第1ブラケット部60と第2ブラケット部70との間に渡って延在する第1及び第2スライドピン31,32と、を備え、ブレーキ本体10は、第1及び第2スライドピン31,32に対して軸方向に摺動自在に支持され車輪1の回転を制動することを特徴とする。
この構成では、ブレーキ本体10は、第1及び第2スライドピン31,32に対して軸方向に摺動自在に支持されるため、第1及び第2ブラケット部60,70に対して移動する。したがって、第1及び第2ブラケット部60,70の位置が車輪1に対してずれていても、ブレーキ本体10を車輪1に対応した所望の位置に配置させることができる。
また、ブレーキ装置100では、第1及び第2スライドピン31,32は、車輪1の回転軸に沿って車輪1の軸方向位置が変更された際にブレーキ本体10が追従できるように延在することを特徴とする。
この構成では、車輪1の軸方向位置が変更された際にブレーキ本体10が追従できるように第1及び第2スライドピン31,32が延在するので、ブレーキ本体10はその移動位置で車輪の回転を制動することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。