以下、添付図面を参照して、放射線治療システムの実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、超音波診断装置によって収集される超音波画像を用いた画像誘導放射線治療(IGRT:image-guided radiotherapy)を行う放射線治療システムを一例に挙げて説明するが、実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、種々のIGRTシステムにて実施することが可能である。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の構成の一例を示す図である。例えば、放射線治療システム1は、図1に示すように、放射線治療計画用CT装置100と、放射線治療装置200と、超音波診断装置300と、治療計画装置400とを有し、各装置が相互に接続される。ここで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、治療計画装置400が、放射線治療計画用CT装置100及び超音波診断装置300からそれぞれCT画像及び超音波画像を取得して、治療計画を実行して、放射線治療装置200に治療計画を送信するとともに、放射線治療が実行される手技室などに配置されたディスプレイに種々の情報を表示させる表示制御を実行したり、放射線治療システム1における放射線治療全体の管理を実行したりする。なお、図1に示す構成は、あくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、表示制御を実行する装置や、放射線治療管理を実行する装置などがそれぞれ別に配置される場合であってもよい。
放射線治療システム1においては、放射線治療装置200による放射線治療に先立ち、まず、治療計画装置400によって治療計画が立てられ、その後、放射線治療装置200よって治療計画に沿った放射線治療が実行される。ここで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1における治療計画では、放射線治療計画用CT装置100によって収集されたCT画像に加えて、超音波診断装置300によって収集された超音波画像が用いられる。すなわち、放射線治療システム1においては、X線を用いた撮像では明瞭な画像が得られにくい前立腺などの軟部組織に生じた腫瘍も鮮明に確認することができるように、例えば、CT画像と超音波画像とがフュージョンされた重畳画像を用いて治療計画が立てられる。そして、放射線治療システム1では、放射線治療装置200が、治療計画に基づく放射線治療を実行する。さらに、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、超音波診断装置300が、収集した超音波画像を用いて放射線治療の対象となる対象部位(以下、治療対象部位と記す)の移動状況を判定し、判定結果に応じて、放射線治療装置200による放射線の照射を制御することが可能である。
ここで、上述したようにCT画像と超音波画像との重畳画像を用いた治療計画と、超音波画像を用いたIGRTを実行するため、放射線治療システム1においては、放射線治療計画用CT装置100における座標系と、放射線治療装置200における座標系と、超音波診断装置300における座標系とが予め位置合わせされる。例えば、放射線治療システム1においては、放射線治療計画用CT装置100が設置された部屋、及び、放射線治療装置200が設置された各部屋に赤外線追跡装置がそれぞれ設置され、マーカーを備えたファントム及び超音波プローブと、各部屋に設置されたレーザー照準器を用いて、座標系の位置合わせが行われる。
すなわち、放射線治療計画用CT装置100における座標系と、超音波診断装置300における座標系とが位置合わせによって対応付けられることで、各装置によって収集されたCT画像と超音波画像とを正確に重畳させることができ、重畳画像を用いて治療計画を立てることができる。また、放射線治療装置200における座標系と、超音波診断装置300における座標系とが位置合わせによって対応付けられることで、放射線治療中のX線に対する治療対象部位の移動状況を超音波画像によって判定することができる。放射線治療システム1においては、各座標を対応付けた対応情報を各装置にて共有することができる。
次に、放射線治療システム1における各装置について説明する。放射線治療計画用CT装置100は、図1に示すように、架台110と、天板122を有する寝台装置と、制御用のコンソールとを備える。天板122は、体軸方向にスライド可能に寝台装置に支持され、被検体が載置される。図2は、第1の実施形態に係る放射線治療計画用CT装置100の構成の一例を示す図である。
架台110は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール130に出力する装置であり、X線照射制御回路111と、X線発生装置112と、検出器113と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)114と、回転フレーム115と、架台駆動回路116とを有する。
回転フレーム115は、X線発生装置112と検出器113とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、架台駆動回路116によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。X線照射制御回路111は、高電圧発生部として、X線管112aに高電圧を供給する装置であり、X線管112aは、X線照射制御回路111から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路111は、スキャン制御回路133の制御により、X線管112aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
また、X線照射制御回路111は、ウェッジ112bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路111は、コリメータ112cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。X線発生装置112は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管112aと、ウェッジ112bと、コリメータ112cとを有する。
X線管112aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム115の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。ウェッジ112bは、X線管112aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ112bは、X線管112aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管112aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。なお、ウェッジ112bは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ112cは、X線照射制御回路111の制御により、ウェッジ112bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。架台駆動回路116は、回転フレーム115を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置112と検出器113とを旋回させる。検出器113は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図2に示すZ軸方向)に沿って複数列配列される。
データ収集回路114は、DASであり、検出器113が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、データ収集回路114は、検出器113により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データをコンソール130に送信する。例えば、回転フレーム115の回転中に、X線管112aからX線が連続曝射されている場合、データ収集回路114は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、データ収集回路114は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、コンソール130に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。
寝台装置120は、被検体Pを載せる装置であり、寝台駆動装置121と、天板122とを有する。寝台駆動装置121は、天板122をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム115内に移動させる。天板122は、被検体Pが載置される板である。
コンソール130は、操作者による放射線治療計画用CT装置100の操作を受け付けるとともに、架台110によって収集された投影データを用いてX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する装置である。コンソール130は、図2に示すように、入力回路131と、ディスプレイ132と、スキャン制御回路133と、前処理回路134と、記憶回路135と、画像再構成回路136と、処理回路137とを有する。
入力回路131は、放射線治療計画用CT装置100の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路137に転送する。ディスプレイ132は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路137による制御のもと、X線CT画像データから生成されたCT画像を操作者に表示したり、入力回路131を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
スキャン制御回路133は、処理回路137による制御のもと、X線照射制御回路111、架台駆動回路116、データ収集回路114及び寝台駆動装置121の動作を制御することで、架台110における投影データの収集処理を制御する。具体的には、スキャン制御回路133は、放射線治療計画用のCT画像を収集する撮影における投影データの収集処理を制御する。
前処理回路134は、データ収集回路114によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成して、記憶回路135に格納する。記憶回路135は、前処理回路134により生成された投影データを記憶する。また、記憶回路135は、画像再構成回路136によって生成された画像データを記憶する。
画像再構成回路136は、記憶回路135が記憶する投影データを用いてX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成回路136は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成することもできる。また、画像再構成回路136は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、CT画像を生成する。そして、画像再構成回路136は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成したCT画像を記憶回路135に格納する。
処理回路137は、架台110、寝台装置120及びコンソール130の動作を制御することによって、放射線治療計画用CT装置100の全体制御を行う。具体的には、処理回路137は、スキャン制御回路133を制御することで、架台110で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路137は、画像再構成回路136を制御することで、コンソール130における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路137は、再構成したX線CT画像データや、生成したCT画像を治療計画装置400に送信する。また、処理回路137は、記憶回路135が記憶する各種画像データを、ディスプレイ132に表示するように制御する。
なお、図2に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路135に記録されている。また、各回路は、各プログラムを記憶回路135から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
図1に戻って、放射線治療装置200は、図1に示すように、回転架台270と、天板250を有する寝台装置と、治療用の放射線を照射する放射線発生器232と、放射線絞り器233とを有し、放射線治療計画用CT装置100から転送された治療計画に沿って、治療対象部位に対して放射線を照射する。ここで、第1の実施形態に係る放射線治療装置200は、図1に示すように、撮像用の放射線を照射する放射線発生器271と、撮像用の放射線を検出する検出器272をさらに備え、位置合わせ用のコーンビームCT画像を生成することもできる。
例えば、放射線治療の前に、回転架台270を一回転させて、その間に放射線発生器271により放射線を被検体に照射し続け、被検体を透過した放射線が検出器272によって受容される。これにより、様々な方向からの被検体の透視画像(2次元画像)が生成される。そして、生成された複数の透視画像に基づいてコーンビームCT画像が再構成され、ディスプレイ220に表示される。これにより、放射線治療時の治療対象部位の位置を確認することができる。すなわち、放射線発生器232によって治療用の放射線が照射されている間に、放射線発生器271が放射線を被検体に照射し続けてX線画像を生成することで、治療時の治療対象部位の位置を確認することができる。
図3は、第1の実施形態に係る放射線治療装置200の構成の一例を示す図である。図3に示すように、放射線治療装置200は、入力回路210と、ディスプレイ220と、放射線発生装置230と、移動機構240と、天板250と、システム制御回路260とを有する。放射線発生装置230は、放射線制御回路231と、放射線発生器232と、放射線絞り器233とを有する。放射線制御回路231は、システム制御回路260による制御のもと、治療計画に沿った放射線量の放射線を照射するように、放射線発生器232の高電圧発生器における印加電圧や印加時間等を制御する。放射線発生器232は、図示しない高電圧発生器とX線管を備える。高電圧発生器は、X線管の陰極から発生した熱電子を加速するために陽極と陰極との間に高電圧を印加する。X線管は、高電圧発生器から供給される高電圧によって加速した電子をタングステンターゲットに衝突させて治療用の放射線を放射する。放射線絞り器233は、治療用の放射線の照射範囲を設定する複数の絞り羽根を有する。例えば、放射線絞り器233は、絞り移動機構241によってこれらの絞り羽根を移動させることで被検体Pの治療対象部位に対応した形状を有する放射線照射領域を形成する。
移動機構240は、絞り移動機構241と、機構制御回路242と、天板移動機構243とを有する。絞り移動機構241は、機構制御回路242による制御のもと放射線絞り器233の絞り羽根を移動させる。天板移動機構243は、機構制御回路242による制御のもと、天板250を移動させる。機構制御回路242は、システム制御回路260による制御のもと、絞り羽根移動制御信号を絞り移動機構241に送信することにより絞り羽根を移動させる。また、機構制御回路242は、天板移動制御信号を天板移動機構243へ送信することにより、天板250を移動させる。
入力回路210は、放射線治療装置200の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御回路260に転送する。ディスプレイ220は、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御回路260による制御のもと、コーンビームCT画像を操作者に表示したり、入力回路210を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUIを表示したりする。
システム制御回路260は、回転架台270、放射線発生装置230、移動機構240の動作を制御することによって、放射線治療装置200の全体制御を行う。具体的には、システム制御回路260は、治療計画装置400から受信した治療計画に基づいて、放射線制御回路231を制御することで、被検体Pへの放射線の照射を制御する。また、システム制御回路260は、治療計画に基づいて、機構制御回路242を制御することで、天板250の位置を制御する。また、システム制御回路260は、コーンビームCT画像やGUIを、ディスプレイ220に表示するように制御する。ここで、放射線治療装置200においては、図示しない記憶回路を有し、治療計画装置400から転送された治療計画を記憶回路に記憶する。そして、システム制御回路260は、記憶回路から治療計画を読み出して、上述した制御を実行する。
また、システム制御回路260は、超音波診断装置300から受信した信号に基づいて、放射線発生装置230及び移動機構240の動作を制御する。具体的には、システム制御回路260は、超音波診断装置300から受信した信号に基づいて、放射線の照射及び天板250の位置を制御する。
なお、図3に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で図示しない記憶回路に記録されている。また、各回路は、各プログラムを図示しない記憶回路から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
図1に戻って、超音波診断装置300は、被検体を3次元で走査可能な超音波プローブ310を有し、放射線治療計画時及び放射線治療時に超音波画像を収集して、収集した超音波画像を治療計画装置400に転送したり、収集した超音波画像を用いて治療対象部位の移動状況を判定して、判定結果に基づいて放射線治療装置200を制御したりする。ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置300においては、例えば、治療対象部位が前立腺の場合、図1に示すような、天板250上に安定して載置可能な超音波プローブ310を用いることができる。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。図4に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置300は、超音波プローブ310と、装置本体340と、入力回路320と、ディスプレイ330とを有する。
超音波プローブ310は、装置本体340との間で信号を送受信するためのケーブルや無線通信回路を有し、コネクタなどによる有線或いは無線によって装置本体340と接続される。例えば、超音波プローブ310は、複数の超音波振動子を有し、これら複数の超音波振動子が、送受信回路341から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ310は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ310は、超音波振動子に設けられる整合層と、超音波振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。
例えば、超音波プローブ310から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ310が有する複数の超音波振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
ここで、超音波プローブ310は、複数の超音波振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2Dプローブである。或いは、超音波プローブ310は、一列に配置された複数の圧電振動子により、被検体Pを2次元で走査するとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブである。
なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ310は、放射線治療システム1の各装置における座標系を対応付けるため、放射線治療計画用CT装置100が設置された部屋及び放射線治療装置200が設置された部屋にそれぞれ設置された赤外線追跡装置から発せられた赤外線を反射するマーカーを有する。また、超音波プローブ310は、図1に示す形態の超音波プローブだけではなく、操作者によって把持される形態の超音波プローブであってもよい。
入力回路320は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置300の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体340に対して受け付けた各種設定要求を転送する。ディスプレイ330は、超音波診断装置300の操作者が入力回路320を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したり、装置本体340において生成された各種画像データ等を表示したりする。
装置本体340は、図4に示すように、送受信回路341と、Bモード処理回路342と、ドプラ処理回路343と、画像メモリ344と、記憶回路345と、処理回路346とを有する。送受信回路341は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波振動子に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波振動子から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な超音波振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波振動子に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、超音波振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路341は、処理回路346の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬時にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路341は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波振動子が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。なお、送受信回路341からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
Bモード処理回路342は、送受信回路341から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。ドプラ処理回路343は、送受信回路341から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、第1の実施形態に係るBモード処理回路342及びドプラ処理回路343は、3次元の反射波データについて処理可能である。すなわち、Bモード処理回路342は、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路343は、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
画像メモリ344は、処理回路346が生成した画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ344は、Bモード処理回路342やドプラ処理回路343が生成したデータを記憶することも可能である。記憶回路345は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラム等の各種データを記憶する。また、記憶回路345は、必要に応じて、画像メモリ344が記憶する画像データの保管等にも使用される。
処理回路346は、超音波診断装置300の処理全体を制御する。例えば、処理回路346は、Bモード処理回路342及びドプラ処理回路343が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、処理回路346は、Bモード処理回路342が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、処理回路346は、ドプラ処理回路343が生成したドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
ここで、処理回路346は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像を生成する。具体的には、処理回路346は、超音波プローブ310による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、超音波画像を生成する。また、処理回路346は、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。
更に、処理回路346は、Bモード処理回路342が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、処理回路346は、ドプラ処理回路343が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。3次元Bモードデータ及び3次元ドプラ画像データは、スキャンコンバート処理前のボリュームデータとなる。
更に、処理回路346は、ボリュームデータをディスプレイ330にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して種々のレンダリング処理を行なう。また、処理回路346は、上述した装置全体における種々の制御を実行する。例えば、処理回路346は、入力回路320を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路345から読込んだ各種データに基づき、送受信回路341、Bモード処理回路342、ドプラ処理回路343の処理を制御する。また、処理回路346は、画像メモリ344や記憶部345が記憶する表示用の超音波画像をディスプレイ330にて表示するように制御する。また、処理回路346は、ボリュームデータや、ボリュームデータから生成した超音波画像を治療計画装置400に送信する。
なお、図4に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路345に記録されている。また、各回路は、各プログラムを記憶回路345から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
図1に戻って、治療計画装置400は、放射線治療計画用CT装置100及び超音波診断装置300から画像データを受信して、受信した画像データを用いて被検体の治療対象部位に対する治療計画を実行する。図5は、第1の実施形態に係る治療計画装置400の構成の一例を示す図である。図5に示すように、治療計画装置400は、入力回路10と、ディスプレイ420と、記憶回路430と、処理回路440とを有する。例えば、治療計画装置400は、ワークステーションや、任意のパーソナルコンピュータなどである。
入力部410は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスであり、治療計画装置400に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。例えば、入力回路410は、放射線治療計画用CT装置100によって収集されたCT画像や、超音波診断装置300によって収集された超音波画像に、放射線治療の対象部位(治療対象部位)を指定するための指定操作などを受付ける。ディスプレイ420は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、各種情報を表示する。例えば、ディスプレイ420は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUIや、治療計画を実行するためのCT画像や超音波画像、さらに、後述する処理回路440による処理結果などを表示する。ここで、治療計画装置400は、複数のディスプレイ420を備えることができ、例えば、操作者が治療計画を立案する部屋や、放射線治療装置200が配置された部屋などにディスプレイ420をそれぞれ配置することもできる。
記憶回路430は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などであり、後述する処理回路440によって取得された種々の画像データを記憶する。また、記憶回路430は、後述する処理回路440によって用いられる種々の情報を記憶する。例えば、記憶回路430は、処理回路440によって読み出され、実行される各種プログラムを記憶する。また、記憶回路430は、後述する処理回路440による処理結果を記憶する。例えば、記憶回路430は、図5に示すように、画像データ記憶回路431と、治療計画記憶回路432とを有する。
画像データ記憶回路431は、処理回路440によって取得された画像データを記憶する。例えば、画像データ記憶回路431は、放射線治療計画用CT装置100から受信したX線画像データ(ボリュームデータ)や、超音波診断装置300から受信したボリュームデータなどを記憶する。治療計画記憶回路432は、後述する処理回路440によって計画された治療計画に関する情報を記憶する。例えば、治療計画記憶回路432は、治療対象部位に対する放射線の照射条件や、照射条件に基づいて算出される線量分布及び線量体積ヒストグラムなどの情報を被検体ごとに記憶する。また、治療計画記憶回路432は、被検体ごとの被曝情報を記憶することも可能である。
処理回路440は、治療計画装置400における各種処理を実行する。例えば、処理回路440は、図5に示す画像取得機能441、抽出機能442、治療計画機能443、位置合わせ機能444及び表示制御機能445に対応するプログラムを記憶回路430から読み出して実行することで、種々の処理を行う。なお、処理回路440による処理の詳細については、後述する。図5に示す各回路によって実現される各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路430に記録されている。また、各回路は、各プログラムを記憶回路430から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。また、図5に示す画像取得機能441は、特許請求の範囲における取得部に対応する。また、図5に示す位置合わせ機能444は、特許請求項の範囲における関連付け部に対応する。また、図5に示す表示制御機能445は、特許請求の範囲における表示制御部に対応する。
なお、上述した放射線治療計画用CT装置100、放射線治療装置200、超音波診断装置300及び治療計画装置400の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、治療計画装置400における各種処理により、放射線治療の精度を向上させることを可能にする。以下、前立腺に生じた腫瘍に対する放射線治療を一例に挙げて説明する。
まず、第1の実施形態に係る放射線治療システム1における前立腺に生じた腫瘍に対する放射線治療の一例について、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6A及び図6Bは、第1の実施形態に係る放射線治療の一例を説明するための図である。例えば、第1の実施形態に係る放射線治療システム1における前立腺の腫瘍に対する放射線治療は、図6Aに示すように、放射線治療装置200の天板上に載置された超音波プローブ310が、放射線治療中の被検体Pの治療対象部位を走査し続けることで、超音波画像が生成される。そして、放射線治療システム1では、超音波診断装置300が、生成した超音波画像を用いて、治療中の治療対象部位の移動状況を判定する。すなわち、超音波診断装置300は、図6Bに示すように、治療計画によって設定された放射線を照射する領域である計画標的体積(PTV:planning target volume)を走査し続けて超音波画像を生成し、生成した超音波画像を用いて治療対象部位の移動状況を判定する。
ここで、図6Bに示すPTVは、治療計画が立てられた時点で設定されるものがほとんどであり、放射線が照射されるごとにその都度設定されるわけではない。すなわち、放射線治療が実施される場合、まず、治療計画を立てるために、放射線治療計画用CT装置100によって治療対象部位のCT画像が収集される。このとき、図6Aと同様に、放射線治療計画用CT装置100の天板122上に超音波プローブ310が載置され、治療対象部位の超音波画像が収集される。そして、治療計画装置400が、CT画像と超音波画像とを受信して、操作者による各種指示に基づいて治療計画を立てる。例えば、治療計画装置400は、操作者から治療対象部位の領域を指定する指定操作や、放射線に対する感受性が高い臓器などを指定する指定操作を受け付けて、放射線の照射条件などを決定する。
その後、放射線治療装置200が、治療計画装置400から治療計画を受信して、受信した治療計画に基づく放射線の照射を実行する。例えば、放射線治療における照射は、1か月程度の期間で20〜30回に分けて実行される。ここで、放射線治療システムでは、放射線の照射時に超音波画像を収集して、被検体のセットアップ時の位置補正や、上述した治療対象部位の移動状況の判定処理を行う。このような、放射線治療において、従来技術では、リアルタイムで収集される超音波画像と治療計画時に収集されたCT画像とで、例えば、治療対象部位や周辺臓器の形状が異なるため、現時点の治療対象部位付近の状況と治療計画とを正確に比較することが困難となる場合があった。そこで、第1の実施形態に係る放射線治療システム1においては、治療計画装置400が、リアルタイムの超音波画像と治療計画時のCT画像との位置関係を関連付けることで、現時点の治療対象部位付近の状況と治療計画とを正確に比較することを可能にし、放射線治療の精度を向上させることを可能にする。
以下、第1の実施形態に係る治療計画装置400の詳細について説明する。図5に戻って、治療計画装置400における画像取得機能441は、放射線が照射される対象部位について、第1の撮像装置によって収集された医用画像と、第2の撮像装置によって収集された医用画像とを取得する。例えば、画像取得機能441は、放射線治療計画用CT装置100によって収集された3次元の医用画像データ(X線CT画像データ)を取得する。また、例えば、画像取得機能441は、超音波診断装置300によって収集された3次元の超音波画像データを取得する。
抽出機能442は、超音波画像に含まれる治療対象部位を抽出する。例えば、抽出機能442は、治療計画時に操作者によって指定された治療対象部位を、放射線治療時に収集された3次元の超音波画像データから抽出する。一例を挙げると、抽出機能442は、治療計画時に操作者によって指定された肉眼的腫瘍体積(GTV:gross tumor volume)に対応する領域を、解剖学的な特徴点などに基づいて、放射線治療時に収集された3次元の超音波画像データから抽出する。なお、上述した放射線を照射する領域であるPTVは、GTVに基づいて設定される。
治療計画機能443は、放射線の治療計画時に収集された医用画像データを用いて治療計画を立てる。例えば、治療計画機能443は、治療計画時に収集されたCT画像と超音波画像とを用いて指定された領域の情報に基づいて、治療対象部位に対する治療計画を立てる。一例を挙げると、まず、後述する表示制御機能445が、各装置における各座標について対応付けられた対応情報に基づいて、CT画像と超音波画像とをフュージョンした重畳画像をディスプレイ420に表示させる。操作者は、ディスプレイ420に表示された重畳画像を参照して、入力回路410を介して治療対象部位や、放射線に対する感受性が高く放射線が照射されないようにすべき臓器などの輪郭を指定する。治療計画機能443は、指定された輪郭に基づいて、治療対象部位の3次元的な形状、位置、指定された臓器との位置関係などを解析し、解析結果に基づいて、治療に用いる放射線の線質、入射方向、照射野、線量、照射回数などを含む治療計画を決定する。
ここで、治療計画機能443は、治療計画の決定に際して、放射線の照射条件ごとに線量分布や線量体積ヒストグラム(DVH:Dose Volume Histogram)を算出する。そして、表示制御機能445が、照射条件とともに、算出された線量分布やDVHをディスプレイ420に表示させる。ディスプレイ420に表示された照射条件や線量分布、DVHに対する操作者の確認操作が実行されると、治療計画機能443は、確認操作が実行された治療計画を放射線治療装置200に送信する。なお、治療計画機能443は、治療計画時に収集された医用画像だけではなく、治療時に収集された医用画像を用いて治療計画を再度実行することも可能である。
位置合わせ機能444は、対象部位に対する放射線の照射計画時に第1の撮像装置(例えば、放射線照射計画用CT装置100)によって収集された第1の医用画像(CT画像)と第2の撮像装置(例えば、超音波診断装置300)によって収集された第2の医用画像(超音波画像)との位置合わせの情報に基づいて、対象部位に対する放射線の照射時に第2の撮像装置(超音波診断装置300)によって収集された第3の医用画像(超音波画像)と第1の医用画像(CT画像)との位置関係を関連付ける。なお、以下では、計画時に収集されたCT画像を「CT画像[計画]」と記載する。また、以下では、計画時に収集された超音波画像を「超音波画像[計画]」と記載する。また、上記した放射線の照射時とは、放射線治療直前(被検体が放射線治療装置200の天板122に横臥した状態で放射線が照射されていない状態)又は治療中(放射線が照射された状態)を意味し、以下では、治療直前に収集された超音波画像を「超音波画像[治療前]」と記載し、治療中に照射された超音波画像を「超音波画像[治療中]」と記載する。なお、治療直前及び治療中のどちらも含む場合には、「超音波画像[治療前/中]」と記載する。
上述したように、放射線治療システム1においては、各装置における座標系が予め位置合わせされる。例えば、放射線治療システム1においては、放射線治療計画用CT装置100が設置された部屋の空間座標を基準として、放射線治療計画用CT装置100によって収集されるボリュームデータ(X線CT画像データ)と、超音波診断装置300によって収集されるボリュームデータとの位置関係が関連付けられる。これにより、例えば、超音波プローブ310によって走査されている位置に対応するCT画像の位置を特定することができる。
図7は、第1の実施形態に係る治療計画時の画像の関連付けの一例を説明するための図である。例えば、各装置における座標系が位置合わせされた状態で収集された「CT画像[計画]」と「超音波画像[計画]」とは位置関係が関連付けられているため、画像間で対応する位置を特定することができる。例えば、図7に示すように、「超音波画像[計画]」上に治療対象部位(例えば、GTV)の領域R1が指定されると、位置合わせ機能444は、「CT画像[計画]」において対応する領域を抽出することができる。これにより、例えば、各画像を正確に重畳させて表示させることができる。なお、図7においては、2次元の画像を用いて画像の関連付けを示しているが、実際には、3次元の画像データ(ボリュームデータ)を用いて位置関係が関連付けられる。
位置合わせ機能444は、このように「CT画像[計画]」と位置関係が関連づけられた「超音波画像[計画]」を用いて、「超音波画像[治療前/中]」と「CT画像[計画]」との位置関係を関連付ける。具体的には、位置合わせ機能444は、「超音波画像[計画]」と「超音波画像[治療前/中]」との位置関係を関連付けることで、「CT画像[計画]」と「超音波画像[治療前/中]」との位置関係を関連付ける。図8は、第1の実施形態に係る超音波画像の関連付けの一例を説明するための図である。例えば、位置合わせ機能444は、図8に示すように、「超音波画像[治療前/中]」と「超音波画像[計画]」との差異を比較することで、位置関係を関連付けるための変換情報を算出する。換言すると、位置合わせ機能444は、リアルタイムに収集された「超音波画像[治療前/中]」に対して「CT画像[計画]」の位置を合わせるための変換情報を算出する。なお、図8においては、2次元の画像を用いて変換情報の算出について説明しているが、実際には、3次元の画像データ(ボリュームデータ)を用いて変換情報が算出される。
上述したように、「超音波画像[計画]」と「CT画像[計画]」は位置合わせされており、画像間で対応する位置を特定することができる。そこで、位置合わせ機能444は、リアルタイムに収集された「超音波画像[治療前/中]」と計画時に収集された「超音波画像[計画]」との位置を合わせるための変換情報を算出して、算出した変換情報を「CT画像[計画]」に適用することで、「超音波画像[治療前/中]に対して「CT画像[計画]」の位置を合わせる。例えば、位置合わせ機能444は、変換情報として、「超音波画像[計画]」における座標を「超音波画像[治療前/中]における座標に変換するための座標変換行列を算出する。
一例を挙げると、位置合わせ機能444は、「超音波画像[計画]」における解剖学的な特徴点と、「超音波画像[治療前/中]」における解剖学的な特徴点とをそれぞれ抽出する。そして、位置合わせ機能444は、抽出した各画像の解剖学的特徴点のうち、解剖学的に同じ特徴点間の座標を比較して位置ずれの値をそれぞれ算出し、算出した位置ずれの値の合計値が最小化するような座標変換行列を算出する。すなわち、位置合わせ機能444は、「超音波画像[計画]」を変形して「超音波画像[治療前/中]」に近似させることができる座標変換行列を算出する。算出した座標変換行列を用いることにより、例えば、図8に示す「超音波画像[計画]」における治療対象部位を示す領域R1を、「超音波画像[治療前/中]」における治療対象部位を示す領域R2と同様の形状に変形する処理を実行することができる。なお、領域R2は、抽出機能442によって抽出される。
そして、位置合わせ機能444は、「CT画像[計画]」に含まれる部位の位置が「超音波画像[治療前/中]に含まれる対応部位の位置と略一致するように、「CT画像[計画]」を変形した変形画像を生成する。図9は、第1の実施形態に係る画像変形の一例を示す図である。例えば、位置合わせ機能444は、「CT画像[計画]」に対して算出した変換情報(座標変換行列)を適用することにより、「CT画像[計画]」を変形した「CT画像[変形]」を生成する。すなわち、位置合わせ機能444は、現時点の被検体の状態を示すように、「CT画像[計画]」を変形した「CT画像[変形]」を生成する。なお、図9においては、2次元の画像を用いて画像の変形について説明しているが、実際には、変換情報が適用されることで、3次元の画像データ(ボリュームデータ)の座標変換が実行される。
図5に戻って、表示制御機能445は、放射線治療計画用CT装置100から取得されたボリュームデータから生成されたCT画像や、超音波診断装置300から取得された3次元の画像データから生成された超音波画像をディスプレイ420に表示させる。図10は、第1の実施形態に係る表示画像の一例を示す図である。例えば、表示制御機能445は、図10に示すように、位置合わせ機能444によって座標変換が実行されることで変形されたボリュームデータから生成された表示画像である「CT画像[変形]」と、超音波診断装置300によってリアルタイムで収集されたボリュームデータから生成された表示画像「超音波画像[治療前/中]」とをディスプレイ420に表示させる。なお、表示制御機能445は、図10に示す「CT画像[変形]」と「超音波画像[治療前/中]」とを重畳して表示させることも可能である。
上述したように、治療計画装置400は、治療計画時に収集された超音波画像と現時点で収集した超音波画像との位置関係の情報を用いて、治療計画時に収集されたCT画像を現時点の被検体内における各部位の形状に変形した変形画像を生成して表示することができる。ここで、上述した処理は、治療直前に収集された「超音波画像[治療前]」及び治療中に収集された「超音波画像[治療中]」のそれぞれを用いて実行することができる。すなわち、放射線治療システム1においては、放射線治療開始直前の被検体内における各部位の状況についてCT画像を用いて確認することができる。また、放射線治療システム1においては、放射線治療中の被検体内における各部位の状況についてCT画像を用いて確認することができる。
例えば、表示制御機能445は、治療直前に収集された「超音波画像[治療前]」を用いて生成された「CT画像[変形]」をディスプレイ420に表示させる。ここで、表示制御機能445は、照射計画時に計画された放射線の照射野をカラーで示し、変形画像上に表示させることができる。図11は、第1の実施形態に係る表示情報の一例を示す図である。例えば、表示制御機能445は、図11に示すように、放射線の照射領域を示すPTVをカラーで示し、「CT画像[変形]」上に重畳させた表示情報をディスプレイ420にて表示させる。操作者は、ディスプレイ420に表示された表示情報を参照して、治療対象部位を示す領域R2の形状及び位置とPTVの形状及び位置との関係に基づいて、再治療計画を実行するか否かを判定する。
例えば、操作者は、治療対象部位を示す領域R2の形状及び位置とPTVの形状及び位置との関係を参照して、天板の移動によって照射位置を補正できる場合には、再治療計画を実行せずに、位置補正を行うための操作を入力回路410を介して行う。位置補正を行うための操作を受け付けると、処理回路440は、位置補正を実行させるための制御信号を放射線治療装置200に送信する。放射線治療装置200は、制御信号を受信すると、システム制御回路260が機構制御回路242を制御して天板250を移動させる。一方、操作者が再治療計画を実行する旨の操作を実行すると、治療計画機能443は、「CT画像[変形]」と「超音波画像[治療前]」とを用いた再治療計画を実行する。
治療計画機能443は、再治療計画によって再度治療計画を決定すると、決定した治療計画に基づく線量分布やDVHを算出する。すなわち、治療計画機能443は、「CT画像[変形]」と「超音波画像[治療前]」とを用いて、治療対象部位である領域R2の3次元的な形状、位置、指定された臓器との位置関係などを解析し、解析結果に基づいて、治療に用いる放射線の線質、入射方向、照射野、線量、照射回数などを含む治療計画を決定する。そして、治療計画機能443は、決定した治療計画に基づいて放射線を照射した場合の線量分布やDVHを算出する。
表示制御機能445は、治療計画機能443によって再治療計画が実行され、線量分布やDVHが算出されると、算出された情報をディスプレイ420にて表示するように制御する。図12及び図13は、第1の実施形態に係る再治療計画に伴う表示情報の一例を示す図である。例えば、表示制御機能445は、図12に示すように、再治療計画に基づいて算出された線量分布を「CT画像[変形]」に重畳させた表示情報をディスプレイ420にて表示するように制御する。
また、例えば、表示制御機能445は、図13に示すように、最初に実行された治療計画に基づくDVH(治療計画時)と、再治療計画に基づくDVH(再治療計画)とをそれぞれ表示させる。ここで、図13に示すDVHは、輪郭入力された領域の各体積を3次元で線量計算し、線量と体積の関係をグラフ化したものを示す。すなわち、図13に示すDVHでは、超音波画像(或いは、CT画像)上で2つの領域について輪郭入力され、それぞれの領域について線量計算されたものを示す。例えば、図13における曲線L1は治療対象部位について輪郭入力された領域について算出された線量体積ヒストグラムを示す。また、図13における曲線L2は放射線の照射をさけるべき臓器について輪郭入力された領域について算出された線量体積ヒストグラムを示す。すなわち、DVH(治療計画時)とDVH(再治療計画)は、それぞれ各照射条件で放射線を照射した場合の各領域における線量と体積の関係を示す。操作者は、図13に示すようなDVHを参照して、治療対象部位の線量体積ヒストグラムを示す曲線L1については、できるだけ大きな領域(100%により近い)に対して高線量の放射線が照射され、かつ、放射線の照射をさけるべき臓器の線量体積ヒストグラムを示す曲線L2については、高線量の放射線が照射される領域ができるだけ小さくなる(0%により近くなる)照射条件を選択する。
治療計画機能443によって実行された再治療計画に対して操作者が承認操作を実行すると、処理回路440は、再治療計画を放射線治療装置200に送信する。放射線治療装置200は、受信した再治療計画に基づいて放射線を照射する。放射線治療システム1は、照射中に収集された超音波画像を用いて上述したCT画像の変形処理を行い、治療計画によって算出された照射野との比較を行い、所定の閾値以上の位置ずれが生じた場合に、ディスプレイ420上に警告を出したり、放射線の照射を停止するための制御信号を放射線治療装置200に送信する。
次に、図14及び図15を用いて、第1の実施形態に係る放射線治療システム1の処理について説明する。図14及び図15は、第1の実施形態に係る放射線治療システム1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図14における処理の手順は治療直前の処理について示し、図15における処理の手順は治療中の処理について示す。なお、図15に示す処理の手順は、図14に示すステップS113の処理に対応する。
図14に示すステップS101及びステップS103は、処理回路440が記憶回路430から画像取得機能441に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図14に示すステップS102及びステップS110は、処理回路440が記憶回路430から治療計画機能443に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図14に示すステップS104〜ステップS106は、処理回路440が記憶回路430から位置合わせ機能444に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図14に示すステップS111は、処理回路440が記憶回路430から表示制御機能445に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS101では、処理回路440が、「CT画像[計画]」及び「超音波画像[計画]」を収集する。ステップS102では、処理回路440が、「CT画像[計画]」と「超音波画像[計画]」とを関連付けて、治療計画を実行する。ステップS103では、処理回路440が、放射線治療直前の被検体から「超音波画像[治療前]」を収集する。ステップS104では、処理回路440が、「超音波画像[計画]」と「超音波画像[治療前]」との差異に基づいて、変換情報を算出する。ステップS105では、処理回路440が、変換情報を用いて「CT画像[計画]」を変形した「CT画像[変形]」を生成する。
ステップS106では、処理回路440が、「CT画像[変形]」を用いて、照射野の位置ずれを算出する。ステップS107では、処理回路440が、再治療計画を実行するか否かを判定する。例えば、処理回路440は、操作者からの操作に基づいて、再治療計画を実行するか否かを判定する。ここで、再治療計画を実行しない場合(ステップS107否定)、ステップS108に進み、処理回路440は、天板250の位置を補正するように制御信号を送信する。一方、再治療計画を実行する場合(ステップS107肯定)、ステップS110に進み、処理回路440は、「CT画像[変形]」及び「超音波画像[治療前]」に基づいて、治療計画を再度実行する。そして、ステップS111にて、処理回路440は、再治療計画における線量分布及びDVHを表示する。
ステップS108において天板の位置が補正された後、或いは、ステップS112において操作者によって再治療計画が承認された場合(ステップS112肯定)、ステップS109に進み、処理回路440は、治療計画を放射線治療装置200に送信して放射線治療を開始させる。そして、ステップS113にて、処理回路440は、治療中のターゲットの位置を観察する。なお、ステップS112において、再治療計画が承認されなかった場合、処理回路440は、ステップS110にもどり再度治療計画を実行する。
次に、図15における処理について説明する。図15に示すステップS1131は、処理回路440が記憶回路430から画像取得機能441に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。また、図15に示すステップS1132〜ステップS1134は、処理回路440が記憶回路430から位置合わせ機能444に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
ステップS109にて、放射線治療が開始されると、ステップS1131にて、処理回路440が、放射線治療中の被検体から「超音波画像[治療中]」を収集する。ステップS1132では、処理回路440が、「超音波画像[計画]」と「超音波画像[治療中]」との差異に基づいて、変換情報を算出する。ステップS1133では、処理回路440が、変換情報を用いて「CT画像[計画]」を変形した「CT画像[変形]」を生成する。
ステップS1134では、処理回路440が、「CT画像[変形]」を用いて、照射野の位置ずれを算出する。ステップS1135では、処理回路440が、位置ずれが閾値を超えたか否かを判定する。ここで、閾値を超えていない場合(ステップS1135否定)、ステップS1136に進み、処理回路440は、治療が終了したか否かを判定する。例えば、処理回路440は、治療計画に沿った放射線の照射が終了したか否かを判定する。一方、閾値を超えた場合(ステップS1135肯定)、ステップS1137に進み、処理回路440は、位置の補正処理又は照射の停止処理を実行して、ステップS1136の判定処理を行う。
上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能441が、放射線が照射される対象部位について、第1の撮像装置によって収集された医用画像と、第2の撮像装置によって収集された医用画像とを取得する。位置合わせ機能444が、対象部位に対する放射線の照射計画時に第1の撮像装置によって収集された第1の医用画像と第2の撮像装置によって収集された第2の医用画像との位置合わせの情報に基づいて、対象部位に対する放射線の照射時に第2の撮像装置によって収集された第3の医用画像と第1の医用画像との位置関係を関連付ける。従って、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、現時点の治療対象部位付近の状況と治療計画とを正確に比較することを可能にし、放射線治療の精度を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、位置合わせ機能444は、第2の医用画像と第3の医用画像との位置関係を関連付けることで、第2の医用画像と位置合わせされた第1の医用画像と前記第3の医用画像との位置関係を関連付ける。従って、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、現時点と計画時とを正確に位置合わせすることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、位置合わせ機能444は、第1の医用画像に含まれる部位の位置が第3の医用画像に含まれる対応部位の位置と略一致するように、第1の医用画像を変形した変形画像を生成する。従って、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、CT装置によって画像を収集することなく、現時点の状況を示すCT画像を生成することができる。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能445は、第3の医用画像及び変形画像を表示部に表示させる。また、表示制御機能445は、照射計画時に計画された放射線の照射野をカラーで示し、前記変形画像上に表示させる。従って、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、操作者が治療計画をし直すか否かを容易に判断することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、治療計画機能443が対象部位に対して放射線を照射する直前に生成された変形画像に基づいて、対象部位に対する放射線の照射計画を再度実行する。表示制御機能445が、再度実行された照射計画に基づいて算出された線量分布及び線量体積ヒストグラムのうち少なくとも一方を表示部に表示させる。従って、第1の実施形態に係る放射線治療システム1は、高速ART(アダプティプ治療)に応用することを可能にする。
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
また、上述した第1の実施形態では、各装置が配置された部屋の座標系を用いて各装置における座標系の位置合わせが実行される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の手法によって位置合わせが実行される場合であってもよい。
また、上述した第1の実施形態では、治療計画装置400が、各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、放射線治療システム1に含まれるいずれの装置が処理する場合であってもよい。ここで、上述した各機能が同一の装置によって実行されてもよく、異なる装置で実行される場合であってもよい。
また、第1の実施形態では、IGRTとして超音波画像が用いられる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、MRI装置が放射線治療システム1に含まれ、MRI装置によって収集されたMR画像を用いてIGRTが実行される場合であってもよい。
また、第1の実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明したとおり、第1及び第2の実施形態によれば、放射線治療の精度を向上させることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。