JP6639050B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極活物質として酸素を用いるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができる。このため、電池の単位体積当たりの放電容量の値を大きくできることが知られている。
ところで、非特許文献1には、空気極の電極触媒としてλ−MnOなどの遷移金属酸化物を用いる例が報告されている。また、非特許文献2では、主に酸化鉄(Fe)、コバルト酸化物(Coなどの遷移金属酸化物を用いる例が報告されている。
J. Read,"Characterization of the Lithium/Oxygen Organic ElectrolyteBattery",Journal of The Electrochemical Society, Vol. 149,pp.A1190-A1195(2002). Aurelie Debart et al."An O2 cathode for rechargeable lithium batteries: The effect of a catalyst", Journal of Power Sources, Vol. 174, pp. 1177(2007).
非特許文献1に開示されている二次電池は、充放電の4サイクル後の放電容量が約1/4に低下し、二次電池としての性能が低い。また、充電電圧が約4.0Vであり、平均放電電圧の2.7Vと比較して高く、充放電エネルギー効率が低いという課題がある。
また、非特許文献2に開示されている二次電池は、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで10003000mAh/gの大きな放電容量が得られる。しかし、充放電の10サイクルで容量維持率が約65%に低下してしまう。このように従来のリチウム空気二次電池は、充放電エネルギー効率が低く、且つ充放電サイクル性能が悪いという課題がある。
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、充放電エネルギー効率を改善し、充放電サイクル性能の良いリチウム空気二次電池を提供することを目的とする。
本実施形態の一態様に係るリチウム空気二次電池は、正極活物質として空気中の酸素を用いる正極と、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有材料を用いる負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有するリチウム空気二次電池において、前記有機電解液にピロリン酸第二鉄を含有することを要旨とする。
本発明によれば、充放電エネルギー効率を改善し、充放電サイクル性能の良いリチウム空気二次電池を提供するができる。
本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池のより詳細な構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池の放電特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
〔リチウム空気二次電池の概要〕
図1は、本実施形態のリチウム空気二次電池の基本的な概念図である。同図に示すように、リチウム空気二次電池100は、正極でありガス拡散型の空気極101と、リチウムを含んで構成された負極102と、空気極101と負極102とに挟まれて配置された有機電解液103を備える。
空気極101は、触媒及び導電性材料を構成要素に含むことができる。負極102は、金属リチウム又はリチウムイオンを放出及び吸収できるリチウム含有合金などの物質を構成要素とすることができる。本実施形態の有機電解液103は、電解質の添加剤としてピロリン酸第二鉄を含む。
以下、本実施形態のリチウム空気二次電池100の各構成要素について説明する。なお、電解液とは、ここでは電解質が液体形態である場合をいう。
(I)電解質(電解液)
リチウム空気二次電池100の電解質は、添加剤としてピロリン酸第二鉄を少なくとも含む。より具体的には、Li塩と有機溶媒を含み、且つ、添加剤としてピロリン酸第二鉄を含む。
有機電解液103としては、正・負極間でリチウムイオンの移動が可能な物質であればよい。例えば、リチウムイオンを含む金属塩を溶解した非水溶媒を使用でき、溶質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)や、リチウムビストリフルオロメンスルホニルイミド[(CFSO)2NLi](LiTFSI)などを用いることができる。
溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル系溶媒、γ−ブチロラクトン(GBL)などのラクトン系溶媒、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDMEなどのグライム系溶媒、及びジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系溶媒あるいはこれらの中から二種類以上を混合した溶媒を挙げることができる。混合溶媒を用いる場合の混合割合は、特に限定されない。
(II)空気極(正極)
リチウム空気二次電池100の空気極101は、導電性材料を少なくとも含み、必要に応じて触媒及び/又は結着剤等を含む。
(II−1)導電性材料
本実施形態の空気極101に含まれる導電性材料は、カーボンが好適である。導電性材料は、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボンファイバー類、カーボンシート、及びカーボンクロス等を挙げることができる。
(II−2)触媒
本実施形態の空気極101の触媒は、酸化マンガン(MnO)、ルテニウム酸化物(RuO)等の酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な酸化物触媒であれば特に限定されない。具体的には、MnO、Mn、MnO、FeO、Fe、FeO、CoO、Co、NiO、NiO、V、及びWOなどの単独酸化物や、La0.6Sr0.4MnO、La0.6Sr0.4FeO、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4CoO、Pr0.6Ca0.4MnO、LaNiO、La0.6Sr0.4Mn0.4Fe0.6などのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いることができる。これらの触媒は、固相法や液相法などの従来のプロセスを用いて合成することができる。
また、空気極101に添加される触媒としては、中心金属にMn、Fe、Co、Ni、V、W等の遷移金属を少なくとも一種含むポルフィリンやフタロシアニンなどの大環状金属錯体も用いることができる。これらの金属錯体は、カーボンと混合後、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行い活性化させてもよい。
空気極101に添加される触媒としては上記の化合物系だけでなくPt、Au、Pdなどの貴金属、及びCo、Ni、Mnなどの遷移金属の単体金属を用いてもよい。例えば、これらの金属をカーボン上に高分散担持させることにより高い活性を発現することができる。
空気極101では、電解液/電極触媒/ガス(酸素)の三相部分において、電極反応が進行する。即ち、空気極101中に有機電解液103が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解液−電極触媒−ガス(酸素)が共存する三相部位が形成される。電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極101での放電反応は次のように表すことができる。
2Li+O+2e→Li…(1)
式(1)中のリチウムイオン(Li)は、負極102から電気化学的酸化により有機電解液103中に溶解し、この有機電解液103中を空気極101表面まで移動してきたものである。また、酸素(O)は、大気(空気)中から空気極101内部に取り込まれたものである。なお、負極102から溶解する材料(Li)、空気極101で析出する材料(Li)、及び空気(O)を図1の構成要素と共に示した。
空気極101(正極)の電極触媒として用いることができる酸化物、特に酸化マンガン(MnO)やマンガンを含むペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4MnOなど)は、マンガンが、+4、+3などの価数を有するイオンで存在しうる。また、これらの酸化物を合成する際の条件によっては、酸化物内に酸素を取り込むことができる酸素空孔が存在し、活性サイトとして機能すると考えられる。そのため、このような酸化物触媒は、正極活物質である酸素との相互作用が強く、多くの酸素種を酸化物表面上に吸着でき、又は酸素空孔内に酸素種を吸蔵することができる。
このように、酸化物表面上に吸着された、又は酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる(式(1))。また、式(1)の逆反応である充電反応に対しても、上記の酸化物は活性を有している。従って、電池の充電、つまり、空気極101上での酸素発生反応も効率よく進行する。このように、マンガンを含む酸化物は、電極触媒として有効に機能する。
本実施形態のリチウム空気二次電池100では、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(上記の電解液/電極触媒/空気(酸素)の三相部分)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高い方が好ましい。例えば、焼成後の比表面積が10m2/g以上であることが好適である。
(II−3)結着剤(バインダー)
空気極101は、結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
本実施形態のリチウム空気二次電池100において、空気極101の触媒含有率は空気極101の重量を基準に、例えば0を越え、100重量%以下であることが望ましい。その他の成分の割合は、従来のリチウム空気二次電池と同じである。
(III)負極
本実施形態のリチウム空気二次電池100は、負極102に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、上記のシリコン又はスズの合金を負極として用いる場合、負極102を合成する時にリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。
ここで、放電時の負極(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li+e (2)
なお、充電時の負極102においては、式(2)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(IV)他の要素
本実施形態のリチウム空気二次電池100は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来のものを使用することができる。
〔リチウム空気二次電池の構成〕
次に、本実施形態のリチウム空気二次電池100の構成について説明する。
図2は、本実施形態のリチウム空気二次電池100のより詳細な構成例を示す断面図である。
図2に示すリチウム空気二次電池100は、円柱形のリチウム空気電池であり、空気極101、負極102、有機電解液103、セパレータ105、空気極支持体115、空気極固定用リング104、負極固定用リング107、負極固定用座金108、負極支持体109、固定ねじ110、Oリング111、空気極端子121、及び負極端子122を備える。
空気極101、負極102、有機電解液103、及びセパレータ105は、円筒形状の空気極支持体115に収容される。空気極支持体115は、金属で構成され、空気極101との間で電気的接触をとる。ただし、空気極支持体115が有機電解液103及びセパレータ105と接する部分はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に被覆されて絶縁分離されている。
空気極支持体115は、円筒内中央部に仕切り151を有する。仕切り151により、空気極支持体115の円筒内部は空気極101を配置する領域と負極102及びセパレータ105を配置する領域に区分される。仕切り151は中央部が開口し、両方の領域が連通している。
有機電解液103は、仕切り151の開口部に配置され、空気極101及び塩橋となるセパレータ105に挟まれる。有機電解液103は、セパレータ105に含浸され、セパレータ105の周囲にも存在する。
空気極101は、PTFEにより構成された円筒形状の空気極固定用リング104と仕切り151に挟まれて固定される。
セパレータ105は、PTFEにより構成された円筒形状の負極固定用リング107と仕切り151に挟まれて固定される。
負極102は、負極固定用座金108上に積層され、負極固定用リング107の円筒内部のセパレータ105に接触している。
負極固定用座金108には、金属により構成された負極支持体109が被せられている。負極支持体109は、固定ねじ110により空気極支持体115に固定されている。空気極支持体115と負極支持体109との間には、Oリング111が配置されている。固定ねじ110はPTFEに被覆されて空気極支持体115と負極支持体109とが電気的に分離された状態としている。
負極支持体109は、固定ねじ110により空気極支持体115の側に押しつけられる。負極102は、負極固定用座金108を介して押圧されて、セパレータ105に圧接される。
空気極101は、空気極支持体115に導通して配置され、負極端子122は負極支持体109に導通して配置される。
〔リチウム空気二次電池の作製手順〕
続いて、図2のリチウム空気二次電池100の作製手順について説明する。
リチウム空気電池セルは、露点が-60℃以下の乾燥空気中で以下手順で作製する。
まず、La0.6Sr0.4MnO粉末、ケッチェンブラック粉末及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)粉末を10:72:18の重量比で、ミキサーを用いてN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)に十分混合し、スラリーを作製した。このスラリーを直径17mmのカーボンシートに塗布し、90℃の真空乾燥機に入れ、一晩乾燥させ、ガス拡散型の空気極101を作製する。La0.6Sr0.4MnOは、クエン酸を用いる手法で合成した。
空気極101はPTFEで被覆された空気極支持体115の凹部に配置し、空気極固定用リング104で固定する。なお、空気極101と空気極支持体115が接触する部分は、電気的接触をとるためPTFEによる被覆を施さないものとする。
負極102は、例えば、リチウム金属を用いる場合は、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形して作製する。負極102は、厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔を、負極固定用座金108に圧着して固定する。
セパレータ105を、空気極支持体115の円筒内部に、空気極101とは反対側から仕切り151に接する状態で配置し、負極固定用リング107をセパレータ105と同じ側から空気極支持体115の円筒内部に配置し、さらに、負極102を圧着した負極固定用座金108を負極固定用リング107の円筒内部に配置する。
セルの内部(空気極101と負極102との間)に、上述したようなピロリン酸第二鉄を含有した電解質を充填し、Oリング111を空気極支持体115の底部に配置し、負極支持体109を被せ、固定ねじ110で空気極支持体115と負極支持体109を固定する。有機電解液は、ピロリン酸第二鉄含有有機電解液(1mol/l:LiTFSI/TEGDME溶液)を用いた。
最後に、空気極端子121を空気極支持体115に接続して固定し、負極端子122を負極支持体109に接続して固定する。
〔電池のサイクル試験〕
次に、電池のサイクル試験について説明する。電池のサイクル試験は、充放電測定システム(Bio Logic社製)を用いて、空気極101の面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が、4.2Vに達するまで行った。電池の充放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(カーボン+酸化物+PVDF)重量当たりの値(mAh/g)で表した。
本実施形態に係るリチウム空気二次電池100の有機電解液103の溶媒とその電解液に含有させるピロリン酸第二鉄の濃度を変えて、電池性能を評価した実験例について説明する。
実験例1〜5は、有機電解液103を、有機溶媒TEGDMEに1mol/Lの濃度でLiTFSIを溶解したものとした。実験例1は、その溶液にピロリン酸第二鉄(富田製薬株式会社)を0.09wt%の重量、混合した。混合する際、超音波洗浄機を用いて約2時間の分散を行った。
実験例2は、実施例1と同じ溶液にピロリン酸第二鉄を0.1wt%の重量、混合した。実験例3はピロリン酸第二鉄の重量を2.0wt%とした。実験例4はピロリン酸第二鉄の重量を4.0wt%とした。実験例5はピロリン酸第二鉄の重量を4.1wt%とした。
実験例6〜10は、有機電解液103を、有機溶媒DMSOに1mol/Lの濃度でLiTFSIを溶解したものとした。ピロリン酸第二鉄の添加量は、実験例1〜5と同じである。つまり、実験例6のピロリン酸第二鉄の重量は0.09wt%、実験例7の同重量は0.1wt%、実験例8の同重量は2.0wt%、実験例9の同重量は4.0wt%、及び実験例10の同重量は4.1wt%である。
実験例11〜15は、有機電解液103を、有機溶媒PCに1mol/Lの濃度でLiTFSIを溶解したものとした。また、実験例16〜20は、有機電解液103を、有機溶媒/DMC(体積比1:1)に1mol/Lの濃度でLiTFSIを溶解したものとした。また、実験例21〜25は、有機電解液103を、有機溶媒GBLに1mol/Lの濃度でLiTFSIを溶解したものとした。なお、実験例11〜25のそれぞれのピロリン酸第二鉄の重量は、実験例1〜5等と同じである。各実験例とピロリン酸第二鉄の重量の関係については、以降に示す表1を参照されたい。
図3に、実験例2のリチウム空気二次電池100の初回の放電と充電曲線の一例を示す。図3の横軸は充放電容量(mAh/g)、縦軸は電池電圧(V)である。図中の実線で示す特性は充電特性、破線で示す特性は放電特性である。
平均放電電圧は2.65V、放電容量は825mAh/gと比較的大きな値であることが確認された。ここで、平均充放電電圧は、図3中の全放電容量の中間値時の放電電圧及び充電電圧と定義する。また、初回の充電電圧は3.78V、充電容量は放電容量とほぼ同様の730 mAh/gであり、可逆性に優れていることが分かる。
表1に、実験例1〜25の電池性能試験の結果を示す。
Figure 0006639050
表1に示すように、ピロリン酸第二鉄の添加量が2.0wt%の場合に、最も大きな放電容量と最も高い放電電圧、最も低い充電電圧を示す。
ピロリン酸第二鉄の添加量が0.09wt%と4.1wt%は、50サイクル後の放電容量の劣化が激しい。これは、低濃度の場合はピロリン酸第二鉄の添加量が少ないために効果が限定的であり、高濃度の場合はピロリン酸第二鉄の添加による粘性の増加による導電率の減少などの影響で充放電サイクル安定性が低下したためであると考えられる。
表1の結果から、ピロリン酸第二鉄の添加量は、0.1wt%以上で且つ4.0wt%以下の濃度範囲で、放電容量が大きく且つ十分な充放電サイクル性能を持つことが分かる。
表2に、ピロリン酸第二鉄を添加しない有機電解液と比較した例を示す。比較例1は、有機電解液として1mol/lのLiTFSI/TEGDME溶液を用いた。比較例2はDMSO、比較例3はPC、比較例4はEC/DMC、比較例5はGBL溶液を用いた。ピロリン酸第二鉄を添加しないこと以外の条件は、上記の実験例と同じとした。
Figure 0006639050
表2より、本比較例によるピロリン酸第二鉄の無添加の場合と添加量0.09wt%での結果を比較すると、初回性能の放電容量はほぼ同様であるか、比較例の方が少し高いという結果が得られた。しかし、充放電サイクルを繰り返すと、無添加の場合は、放電容量が著しく減少し、50サイクル後には初回容量の数%の値しか得られない。これは、ピロリン酸第二鉄の電解液への添加が、リチウム空気二次電池の長期的な安定作動に有効な手法であることを示している。
以上説明したように、本発明によれば、電解質に添加剤としてピロリン酸第二鉄を含有させることで、放電容量が大きく、且つ充放電サイクル性能の良いリチウム空気二次電池を提供することができる。なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形が可能である。
有機電解液の添加剤としてピロリン酸第二鉄を用いることにより、高性能リチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器や自動車等の駆動源として有効利用することができる。
100:リチウム空気二次電池
101:正極(空気極)
102:負極
103:有機電解液
104:空気極固定用リング
105:セパレータ
107:負極固定用リング
108:負極固定用座金
109:負極支持体
110:固定ねじ
111:Oリング
121:空気極端子
122:負極端子
151:仕切り

Claims (2)

  1. 正極活物質として空気中の酸素を用いる正極と、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有材料を用いる負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有するリチウム空気二次電池において、
    前記有機電解液にピロリン酸第二鉄を含有することを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 前記ピロリン酸第二鉄は、前記有機電解液に0.1wt%以上且つ4wt%以下の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
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