JP6715209B2 - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極活物質として酸素を用いるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができる。このため、電池の単位体積当たりの放電容量の値を大きくできることが知られている。
ところで、非特許文献1には、空気極の電極触媒としてλ−MnOなどの遷移金属酸化物を用いる例が報告されている。また、非特許文献2では、主に酸化鉄(Fe)、コバルト酸化物(Co)などの遷移金属酸化物を用いる例が報告されている。
J. Read,"Characterization of the Lithium/Oxygen Organic ElectrolyteBattery",Journal of The Electrochemical Society, Vol. 149,pp.A1190-A1195(2002). Aurelie Debart et al."An O2 cathode for rechargeable lithium batteries: The effect of a catalyst", Journal of Power Sources, Vol. 174, pp. 1177(2007).
非特許文献1に開示されている二次電池は、充放電の4サイクル後の放電容量が約1/4に低下し、二次電池としての性能が低い。また、充電電圧が約4.0Vであり、平均放電電圧の2.7Vと比較して高く、充放電エネルギー効率が低いものである。つまり、この二次電池は、充電電圧と放電電圧の差が大きく充放電サイクル性能も悪いという課題がある。
また、非特許文献2に開示されている二次電池は、空気極に含まれるカーボンの重量当たりで1000〜3000mAh/gの大きな放電容量が得られる。しかし、充放電の10サイクルで容量維持率が約65%に低下してしまう。このように非特許文献2に開示された二次電池も、非特許文献1の二次電池と同様に、二次電池としての性能が低いという課題がある。
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、充電電圧と放電電圧の差が小さく、且つ充放電サイクル性能の良いリチウム空気二次電池を提供することを目的とする。
本実施形態の一態様に係るリチウム空気二次電池は、正極活物質として空気中の酸素を用いる正極と、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有材料を用いる負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有するリチウム空気二次電池において、前記正極は、カーボンを主体とする空気極であり、電極触媒として、金属、リン、及び酸素を含む材料を添加することを要旨とする。
本発明によれば、充電電圧と放電電圧の差が小さく、且つ充放電サイクル性能の良いリチウム空気二次電池を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池のより詳細な構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るリチウム空気二次電池の放電特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
〔リチウム空気二次電池の概要〕
図1は、本実施形態のリチウム空気二次電池の基本的な概念図である。同図に示すように、リチウム空気二次電池100は、空気極101と、リチウムを含んで構成された負極102と、空気極101と負極102とに挟まれて配置された有機電解液103を備える。空気極101が正極として機能する。
空気極101は、触媒及び導電性材料を構成要素に含むことができる。負極102は、金属リチウム又はリチウムイオンを放出及び吸収できるリチウム含有合金などの物質を構成要素とすることができる。
以下、本実施形態のリチウム空気二次電池100の各構成要素について説明する。なお、電解液とは、ここでは電解質が液体形態である場合をいう。
(I)空気極
本実施形態の空気極101は、触媒及び導電性材料を少なくとも含み、必要に応じて結着剤等の添加剤を含む。
(I−1)触媒
本実施形態のリチウム空気二次電池100では、空気極101に触媒として金属、リン、酸素を含む材料が含まれる。
リチウム二次電池100の空気極101では、電解液/電極触媒/ガス(酸素)の三相部分において、電極反応が進行する。即ち、空気極101中に有機電解液103が浸透し、同時に大気中の酸素ガスが供給され、電解液−電極触媒−ガス(酸素)が共存する三相部位が形成される。前記電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極101での放電反応は次のように表すことができる。
2Li+O+2e→Li …(1)
式(1)中のリチウムイオン(Li)は、負極102から電気化学的酸化により有機電解液103中に溶解し、この有機電解液103中を空気極101表面まで移動してきたものである。また、酸素(O)は、大気(空気)中から空気極101内部に取り込まれたものである。なお、負極102から溶解する材料(Li)、空気極101で析出する材料(Li)、及び空気(O)を図1の構成要素と共に示した。
金属、リン、酸素を含む触媒は、正極活物質である酸素との相互作用が強いので、多くの酸素種を材料表面上に吸着でき、空気極101の電極反応を活性化させることができる。
このように、酸化物表面上に吸着された、又は酸素空孔内に吸蔵された酸素種は、式(1)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が容易に進むようになる。また、式(1)の逆反応である充電反応に対しても、上記の材料は活性を有している。従って、電池の充電、つまり、空気極101上での酸素発生反応も効率よく進行する。
本実施形態のリチウム空気二次電池100では、電池の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(上記の電解液/電極触媒/空気(酸素)の三相部分)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、本実施形態では、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高い方が好ましい。
本実施形態で使用される金属、リン、酸素を含む触媒は、各種手法により合成することができる。例えば、合成法には、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いることができる。しかし、高比表面積の粒子が得られる湿式法を用いることがより好ましい。
また、金属、リン、酸素を含む材料は、結晶質またはアモルファスであっても、触媒活性を有し、電極反応を促進することができる。
一方、金属、リン、酸素を含む触媒とカーボンをボールミルで混合することや触媒と有機物を溶解した懸濁液中で蒸発乾固することなどで、触媒粒子表面がカーボンでコーティングされ触媒表面での電気伝導度が向上し、さらに触媒活性を向上させることができる。なお、前記カーボンとしては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバーなどの各種カーボンを用いることができる。また、炭素源としては、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸やグルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の糖類を用いることができる。
正極101の材料には、P,HPO,NHPOから選択される少なくとも1種のリン酸原料を用いる。さらに、本実施形態では、クロム源の原料、マンガン源の原料、鉄源の原料、コバルト源の原料、ニッケル源の原料及びルテニウム源の原料から少なくとも1種類の遷移金属化合物と前記のリン酸源を混ぜ合わせた原料混合物を熱処理することより、金属、リン、酸素を含む空気極101の材料を合成する。
具体的には、クロム源としては、例えば、酸化クロム(Cr等)のクロム原料を用いてもよい。また、マンガン源としては、例えば、酸化マンガン(MnO2,MN,及びMnOから選択される少なくとも1種)の原料を用いてもよい。また、鉄源としては、例えば、酸化鉄(FeO,Fe,及びFeから選択される少なくとも1種)、リン酸鉄(II)(Fe(PO・5HO)、塩化第一鉄(FeCl,FeCl・4HO)、硝酸鉄Fe(NOなどの原料を用いてもよい。
また、コバルト源としては、例えば、酸化コバルト(Co,CoO,及びCoから選択される少なくとも1種)の原料を用いてもよい。また、ニッケル源としては、例えば、酸化ニッケル(NiO,Niから選択される少なくとも1種)の原料を用いてもよい。また、ルテニウム源としては、例えば、酸化ルテニウム(RuO,Ruから選択される少なくとも1種)や塩化ルテニウム(RuCl,RuClから選択される少なくとも1種)の原料を用いてもよい。
所望の組成比となるように、それぞれ構成元素に対応する原料を選択し混合し、金ボートを用いてアルゴン中で500℃程度の熱処理を行うことで、材料の合成を行う。
熱処理後の試料の生成相の同定はXRD測定を行い、FePO及びMnPOを除き、回折ピークが観察されないアモルファス相であることを確認した。なお、原料として混合した金属酸化物のピークは観察されず、生成相は単一相で均一であることがわかった。さらにICP発光分析などを用いた化学組成の分析から、M:P:Oのモル比率が所望の組成比と一致していることも確認した。
(I−3)結着剤(バインダー)
空気極101は結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
(II)負極
本実施形態のリチウム空気二次電池100は、負極102に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質である、リチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、上記のシリコン又はスズの合金を負極として用いる場合、負極を合成する時にリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、有機電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。
リチウム空気二次電池100の負極102は、例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極102を作製すればよい。
ここで、放電時の負極(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応) Li→Li+e (2)
なお、充電時の負極においては、式(2)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(III) 有機電解液
有機電解液103としては、正・負極間でリチウムイオンの移動が可能な物質であればよく、リチウムイオンを含む金属塩(りチウム塩)を溶解した非水溶媒を使用でき、溶質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド[(CFSO)2NLi](LiTFSI)などを用いることができ、溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル系溶媒、γ−ブチロラクトン(GBL)などのラクトン系溶媒、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDMEなどのグライム系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系溶媒あるいはこれらの中から二種類以上を混合した溶媒を挙げることができる。混合溶媒を用いる場合の混合割合は、特に限定されない。
また、上記のような有機電解液だけでなく、リチウムイオン導電性を有する固体電解質、高分子電解質、リチウム金属塩を溶解させたイオン液体なども使用することができる。
(IV)他の要素
本実施形態のリチウム空気二次電池100は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
〔リチウム空気二次電池の構成〕
次に、本実施形態のリチウム空気二次電池100の構成について説明する。
図2は、本実施形態のリチウム空気二次電池100のより詳細な構成例を示す断面図である。
図2に示すリチウム空気二次電池100は、円柱形のリチウム空気電池であり、空気極101、負極102、有機電解液103、セパレータ105、空気極支持体115、空気極固定用リング104、負極固定用リング107、負極固定用座金108、負極支持体109、固定ねじ110、Oリング111、空気極端子121、及び負極端子122を備える。
空気極101、負極102、有機電解液103、及びセパレータ105は、円筒形状の空気極支持体115に収容される。空気極支持体115は、金属で構成され、空気極101との間で電気的接触をとる。ただし、空気極支持体115が有機電解液103及びセパレータ105と接する部分はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に被覆されて絶縁分離されている。
空気極支持体115は、円筒内中央部に仕切り151を有する。仕切り151により、空気極支持体115の円筒内部は空気極101を配置する領域と負極102及びセパレータ105を配置する領域に区分される。仕切り151は中央部が開口し、両方の領域が連通している。
有機電解液103は、仕切り151の開口部に配置され、空気極101及び塩橋となるセパレータ105に挟まれる。有機電解液103は、セパレータ105に含浸され、セパレータ105の周囲にも存在する。
空気極101は、PTFEにより構成された円筒形状の空気極固定用リング104と仕切り151に挟まれて固定される。
セパレータ105は、PTFEにより構成された円筒形状の負極固定用リング107と仕切り151に挟まれて固定される。
負極1042、負極固定用座金108上に積層され、負極固定用リング107の円筒内部のセパレータ105に接触している。
負極固定用座金108には、金属により構成された負極支持体109が被せられている。負極支持体109は、固定ねじ110により空気極支持体115に固定されている。空気極支持体115と負極支持体109との間には、Oリング111が配置されている。固定ねじ110はPTFEに被覆されて空気極支持体115と負極支持体109とが電気的に分離された状態としている。
負極支持体109は、固定ねじ110により空気極支持体115の側に押しつけられる。負極104は、負極固定用座金108を介して押圧されて、セパレータ105に圧接される。
空気極101は、空気極支持体115に導通して配置され、負極端子122は負極支持体109に導通して配置される。
〔リチウム空気二次電池の作製手順〕
続いて、図2のリチウム空気二次電池100の作製手順について説明する。
リチウム空気電池セルは、露点が-55℃以下の乾燥空気中で以下手順で作製する。
空気極101は、触媒であるM−P−O粉末、カーボン粉末、及びポリフッ化ビニデン(PVDF)のようなバインダー粉末を混合し、この混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着することで成形する。また、上記の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュ又はカーボンクロスやカーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極101を形成してもよい。
リチウム空気二次電池100においては、空気極101中の触媒の含有量は、例えば10を越え、60重量%以下であることが望ましい。その成分の割合は、従来のリチウム空気二次電池と同じである。
具体例としては、例えば、M−P−O粉末、ケッチェンブラックEC600JD粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を30:49:21の重量比でらいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形して、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径23mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、空気極101を成形する。
なお、空気極101は、電極の強度を高め電解液の漏洩を防止する目的で、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することで、より安定性に優れた空気極101を作製することができる。空気極101は、その電極の片面は大気に曝され、もう一方の面は電解液と接する。
上記のように成形した空気極101は、PTFEで被覆された空気極支持体115の凹部に配置し、空気極固定用リング104で固定する。なお、空気極101と空気極支持体115が接触する部分は、電気的接触をとるためPTFEによる被覆を施さないものとする。
負極104は、例えば、リチウム金属を用いる場合は、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形して作製する。負極104は、厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔を、負極固定用座金108に圧着して固定する。
セパレータ105を、空気極支持体115の円筒内部に、空気極101とは反対側から仕切り151に接する状態で配置し、負極固定用リング107をセパレータ105と同じ側から空気極支持体115の円筒内部に配置し、さらに、負極102を圧着した負極固定用座金108を負極固定用リング107の円筒内部に配置する。
セルの内部(空気極101と負極102との間)に、有機電解液103を充填し、負極支持体109を被せ、固定ねじ110で空気極支持体115と負極支持体109を固定する。有機電解液103は、1mol/lのリチウムトリフルオロメタンスルホニルアミド/トリエチレングリコールジメチルエーテル(LiTFSI/TEGDME溶液)溶液を用いた。
最後に、空気極端子121を空気極支持体115に接続して固定し、負極端子122を負極支持体109に接続して固定する。
〔電池のサイクル試験〕
次に、電池のサイクル試験について説明する。電池のサイクル試験は、充放電測定システム(VMP3,Bio Logic社製)を用いて、空気極101の面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が、4.2Vに達するまで行った。電池の充放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(カーボン+M−P−O+PTFE)重量当たりの値(mAh/g)で表した。
本実施形態に係るリチウム空気二次電池100の空気極101の触媒を変え、電池性能を評価した実験例について説明する。実験例1は、触媒としてCrPOを含む空気極101である。実験例2はMnPO、実験例3はFePO、実験例4はCoPO、実験例5はNIPO、実験例6はRuPOである。
図3に、実験例6のリチウム空気二次電池100の初回の放電と充電曲線の一例を示す。図3より、RuPO(実験例6)を空気極101の触媒に用いたときの平均放電電圧は2.83V、放電容量は2790mAh/gと大きな値であることが確認できた。
ここで、平均充放電電圧は、図中の全放電容量の中間値時の放電電圧及び充電電圧と定義する。また、初回の充電電圧は3.66V、充電容量は放電容量とほぼ同様の2818mAh/gであり、可逆性に優れていることが分かる。
他の実験例についても電池性能の測定を行った。初回、20回、50回の充放電サイクルを繰り返した場合の放電電圧と放電容量の変化を表1に示す。
Figure 0006715209
表1より、RuPO(実験例6)が、最も平均放電電圧が高く、放電容量が大きいことが分かる。また、50サイクル後の放電容量維持率も95%と高く、50サイクル後にどの組成の実験例より高い放電電圧と大きな放電容量を示すことが確認された。一方、NIPO(実験例5)は、他の材料系と比較すると50回目において最も低い放電容量を示した。しかしながら、50サイクル後も1000mAh/g以上の大きな放電容量を示しており、従来の電極触媒として比較すると高い触媒活性と安定性を有していると考えられる。全体的な、電池性能の序列は、RuPO(実験例6)>MnPO(実験例2)>CoPO(実験例4)>FePO(実験例3)>CrPO(実験例1)>NIPO(実験例5)である。このように、電極触媒として、金属M(Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ruから選ばれる少なくとも1種の金属)とPO基を含む材料は優れた活性を示すことが確認できた。
次に、触媒としてP基を含む空気極101の電池の性能を評価した実験例7〜12について説明する。実験例7はCrP、実験例8はMnP、実験例9はFeP、実験例10はCoP、実験例11はNiP、実験例12はRuPである。
表2に、各実験例7〜12のそれぞれについて初回、20回、50回の充放電サイクルを繰り返した場合の放電電圧と放電容量の変換を示す。
Figure 0006715209
表2より、RuP(実験例12)が、最も平均放電電圧が高く、放電容量が大きいことが分かる。また、50サイクル後の放電容量維持率も92%と高く、50サイクル後にどの組成の実験例より高い放電電圧と大きな放電容量を示すことが確認できた。
一方、CrP(実験例7)は、50回目において他の材料系と比較すると最も低い放電容量を示す。しかしながら、50サイクル後も1000mAh/g以上の大きな放電容量を示しており、従来の電極触媒として比較すると高い触媒活性と安定性を有していると考えられる。全体的な、電池性能の序列は、RuP(実験例12)>MnP(実験例8)>CoP(実験例10)>FeP(実験例9)>NiP(実験例11)>CrP(実験例7)であった。全体的な傾向として、PO系と比較して充電電圧の低下が確認され、充放電エネルギー効率の改善に効果があることが分かる。
このように、電極触媒として、金属M(Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ruから選ばれる少なくとも1種の金属)とP基を含む材料は、優れた活性を示すことが確認できた。
次に、触媒としてP基を含む空気極101の電池の性能を評価した実験例13〜18について説明する。実験例13はCrP、実験例14はMnP、実験例15はFeP、実験例16はCoP、実験例17はNiP、実験例18はRuPである。
表3に、各実験例13〜18のそれぞれについて初回、20回、50回の充放電サイクルを繰り返した場合の放電電圧と放電容量の変換を示す。
Figure 0006715209
表3より、RuP(実験例18)が、最も平均放電電圧が高く、放電容量が大きいことが分かった。また、50サイクル後の放電容量維持率も94%と高く、50サイクル後にどの組成の実験例より高い放電電圧と大きな放電容量を示すことが確認できた。
一方、CrP(実験例13)は、50回目において他の材料系と比較すると最も低い放電容量を示した。しかしながら、50サイクル後も1000mAh/g以上の大きな放電容量を示しており、従来の電極触媒として比較すると高い触媒活性と安定性を有していると考えられる。
全体的な、電池性能の序列は、RuP(実験例18)>MnP(実験例14)>FeP(実験例15)>CoP(実験例16)>NiP(実験例17)>CrP(実験例13)であった。実験例18において、本実施形態で最も大きな放電容量が確認され、RuとPを組み合わせることで放電容量の増大に大きな効果があることが分かった。
このように、電極触媒として、金属M(Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ruから選ばれる少なくとも1種の金属)とP基を含む材料は優れた活性を示すことが確認できた。
ここで本実施形態のリチウム空気二次電池100と従来のリチウム空気二次電池を比較した結果について説明する。
比較例1は、空気極用の電極触媒として周知であるマンガン酸化物(MnO)を用い、他の条件は上記の実験例と同様にした。なお、マンガン酸化物(MnO)は、市販試薬(関東化学株式会社製)を用いた。
表4に、比較例1と上記の実験例18を比較した結果を示す。
Figure 0006715209
表4に示されるように比較例1は、初回放電容量は約850mAh/gと中庸な値を示したが、50サイクル後の放電容量維持率はほぼ27%であり、サイクル安定性に乏しく、本実施形態のの実験例18と比較すると著しく低い電池性能である。
このように、金属、リン、酸素を含む材料M−P−Oを電極触媒として含む電極を空気極とする本実施形態のリチウム空気二次電池は、公知の材料を用いた場合よりも、容量及び電圧に関するサイクル特性が優れている。金属、リン、酸素を含む材料M−P−Oは、リチウム空気二次電池用の空気極の触媒として有効であることが確認できた。
以上説明したように、金属、リン、酸素を含む材料M−P−Oを触媒とした空気極を備える本発明のリチウム空気二次電池は、充電電圧と放電電圧の差が小さく、且つ充放電サイクル性能の良い二次電池を提供することができる。なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形が可能である。
リチウム空気二次電池の空気極用の電極触媒として金属、リン、酸素を含む材料M−P−Oを用いることにより、充放電サイクル性能に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
100:リチウム空気二次電池
101:正極(空気極)
102:負極
103:有機電解液
104:空気極固定用リング
105:セパレータ
107:負極固定用リング
108:負極固定用座金
109:負極支持体
110:固定ねじ
111:Oリング
115:空気極支持体
121:空気極端子
122:負極端子
151:仕切り

Claims (2)

  1. 正極活物質として空気中の酸素を用いる正極と、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有材料を用いる負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有するリチウム空気二次電池において、
    前記正極は、カーボンを主体とする空気極であり、電極触媒として、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ruの中の少なくとも1種の金属と、P を含む材料を添加したことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 正極活物質として空気中の酸素を用いる正極と、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有材料を用いる負極と、リチウム塩を含む有機電解液とを有するリチウム空気二次電池において、
    前記正極は、カーボンを主体とする空気極であり、電極触媒として、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ruの中の少なくとも1種の金属と、P 基を含む材料を添加したことを特徴とするリチウム空気二次電池。
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