JP2017010776A - リチウム空気二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも優れたサイクル特性や電流密度特性などを発揮できる新規なリチウム空気二次電池及びその空気極作製方法の提供。【解決手段】カーボンを主体とする空気極と、金属リチウムまたはリチウム含有物質を含む負極と、前記空気極と前記負極に接する電解質とを有し、前記電解質にペルフルオロ化合物を含むことにより、充放電の電圧差が小さく、かつ充放電サイクルを繰り返しても放電容量の低下を抑えることができるため、従来よりも優れた性能を実現できるリチウム空気二次電池を提供する。別の実施態様では前記電解質に前記空気極が含浸しており、前記空気極が空気と接しないリチウム空気二次電池も提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム空気二次電池に関する。特に本発明は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの従来の二次電池よりも小型・軽量でかつ遙かに大きい放電容量を実現できるリチウム空気二次電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気二次電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができるため、電池の単位体積当たり非常に大きな放電容量を示すことが報告されている。
しかしながら、負極活物質である金属リチウムは、水分との反応性が高いことが知られている。金属リチウムと水との反応は次のように表すことができる。
2Li+2H2O→2LiOH+H2 (1)
上式のように、金属リチウムと空気中の水分が反応することで、不純物である水酸化リチウム(LiOH)が生成する。また、金属リチウムは非常に反応性が高いため、水と反応することで発熱または発火を伴い、危険である。
これまでに非特許文献1や非特許文献2に報告されているように、正極であるガス拡散型空気極と空気との界面に酸素透過膜や疎水層を設けることで外部からの水分の浸入を防ぐ試みがなされているが、電池の構造が複雑になり、電池コストの増加が問題視されている。
また、酸素透過膜及び疎水層を設けることで、酸素の拡散が阻害され、電池の充放電過電圧の上昇、放電容量の低下を引き起こす原因となる。
O.Crowther,et al,Membranes,Vol.2,pp.216−227(2012). T.Zhang,et al,Angew.Chem.Int.Ed.,Vol.51,pp.11062−11067(2012).
本発明は、リチウム空気二次電池を、高容量二次電池として作動させ、低充電電圧かつ充放電の電圧差が小さく、高出力、大放電容量を実現するための、電解質及び電池構造を提供することを目的とする。
本発明によるリチウム空気二次電池は、空気極、負極、並びに、前記空気極及び前記負極に接する電解質を含み、前記電解質は、ペルフルオロ化合物を含むことを特徴とする。好ましくは、前記ペルフルオロ化合物は、ペルフルオロデカリン(C1018)、N,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン(N(C373)、ペルフルオロキノリジジン(C917N)、ペルフルオロイソキノリン(C917N)、ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド(C817Br)、1,8−ジクロロペルフルオロオクタン(C816Cl2)から選ばれる少なくとも一種のペルフルオロ化合物を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態では、前記電解質に前記空気極が含浸しており、前記空気極が空気と接していないことを特徴とする。
本発明のリチウム空気二次電池の構成を採用することによって、低充電電圧かつ充放電の電圧差が小さく、サイクル特性に優れ、高エネルギー密度のリチウム空気二次電池を提供することが可能となる。
本発明によるリチウム空気二次電池の基本的な概略図である。 本発明によるリチウム空気二次電池の別の実施態様の概略図である。 実施例1〜6および8、ならびに比較例1において測定に用いたリチウム空気二次電池の構造を示すための概略断面図である。 実施例7において測定に用いたリチウム空気二次電池の構造を示すための概略断面図である。 実施例1のリチウム空気二次電池の充放電曲線を示す図である。
以下に、図面を参照しつつ、本願に係るリチウム空気二次電池の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、当業者であれば、適宜設計変更可能である。
[リチウム空気二次電池の構成]
本発明に係るリチウム空気二次電池は、図1に示されるように、空気極101、負極102および電解質103を少なくとも含み、前記空気極101が正極として機能する。また、これらの空気極101と負極102との間に電解質103が配置されうる。
以下に上記の各構成要素について説明する。(I)空気極(正極)
本発明では、空気極101は、少なくとも触媒及び導電性材料を含み、任意選択的に結着剤等の添加剤を含むことができる。
(I−1)空気極触媒
本発明のリチウム空気二次電池では、空気極101の触媒は、酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)等の酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)の両反応に対して高活性な、従来から公知の酸化物触媒であれば特に限定されない。具体的には、MnO2、Mn34、MnO、FeO2、Fe34、FeO、CoO、Co34、NiO、NiO2、RuO2、V25、WO3などの単独酸化物や、La0.6Sr0.4MnO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4CoO3、Pr0.6Ca0.4MnO3、LaNiO3、La0.6Sr0.4Mn0.4Fe0.63などのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いることができる。これらの触媒は、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いて合成することができる。
また、空気極101に添加される触媒として、中心金属にMn、Fe、Co、Ni、V、W等の遷移金属を少なくとも一種含むポルフィリンやフタロシアニンなどの大環状金属錯体も用いることができる。これらの金属錯体は、カーボンと混合後、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行い活性化させてもよい。
本発明の空気極101に添加される触媒としては上記の化合物系だけでなく、Pt、Au、Pdなどの貴金属、およびCo、Ni、Mnなどの遷移金属の単体金属を用いてもよい。例えば、これらの金属をカーボン上に高分散担持させることにより高い活性を発現することができる。
本発明のリチウム二次電池の空気極101では、前記電極触媒が高活性であれば、酸素還元(放電)及び酸素発生(充電)がスムーズに進行し、電池性能は大きく向上することになる。
空気極での放電反応は次のように表すことができる。
2Li++(1/2)O2+2e-→Li2O (1)
2Li++O2+2e-→Li22 (2)
上式中のリチウムイオン(Li+)は、負極から電気化学的酸化により電解質中に溶解し、この電解質中を空気極表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気(空気)中または電解質103中から空気極内部に取り込まれたものである。なお、負極から溶解する材料(Li+)、空気極で析出する酸化リチウム104(Li2OまたはLi22)、及び空気(O2)を図1の構成要素と共に示した。
空気極101(正極)の電極触媒として用いることができる酸化物、特に酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)などは、マンガン及びルテニウムが、+4、+3などの価数を有するイオンで存在しうる。また、これらの酸化物を合成する際の条件によっては、酸化マンガン、酸化ルテニウム等の酸化物内に酸素を取り込むことができる空孔(本明細書では酸素空孔とも称する)が存在し、活性サイトとして機能していると考えられる。
本発明のリチウム空気二次電池では、電池反応の効率を上げるために、電極反応を引き起こす反応部位(電解質/電極触媒/酸素の三相部分)がより多く存在することが望ましい。このような観点から、本発明では、上述の三相部位が電極触媒表面に多量に存在することが重要であり、使用する触媒は比表面積が高い方が好ましい。
(I−2)導電性材料
本発明の空気極101に含まれる導電性材料は、カーボンであることが好ましい。特に、本発明の導電性材料としては、以下のものに限定されないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボンファイバー類、カーボンシート、カーボンクロス等を挙げることができる。また、これらのカーボンは、例えば市販品として、又は合成により入手することが可能である。
(I−3)結着剤(バインダー)
空気極101は結着剤(バインダー)を含むことができる。この結着剤は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブタジエンゴムなどを例として挙げることができる。これらの結着剤は、粉末として又は分散液として用いることができる。
(I−4)空気極の調製
空気極1は以下のように調製することができる。触媒である酸化物粉末、カーボン粉末及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなバインダー粉末を混合し、この混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着することにより、空気極101を成形することができる。また、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にし、金属メッシュ又はカーボンクロスやカーボンシート上に塗布して乾燥することによって、空気極101を形成することができる。
本発明のリチウム空気二次電池において、空気極101中での触媒含有量は、例えば0を越え、100重量%以下あることが望ましい。その他の成分の割合は、従来のリチウム空気二次電池と同様である。
また、電極の強度を高め電解質の漏洩を防止するために、冷間プレスだけでなく、ホットプレスを適用することによっても、より安定性に優れた空気極を作製することができる。
(II)負極
本発明のリチウム空気二次電池は、負極102に負極活物質を含む。この負極活性物質は、リチウム二次電池の負極材料として用いることができる材料であれば特に制限されない。例えば、金属リチウムを挙げることができる。或いは、リチウム含有物質として、リチウムイオンを放出及び吸蔵することができる物質であるリチウムと、シリコン又はスズとの合金、或いはLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物を例として挙げることができる。
なお、上記のシリコン又はスズの合金を負極として用いる場合、負極を合成する時にリチウムを含まないシリコン又はスズなどを用いることもできる。しかし、この場合には、空気電池の作製に先立って、化学的手法又は電気化学的手法(例えば、電気化学セルを組んで、リチウムとシリコン又はスズとの合金化を行う方法)によって、シリコン又はスズが、リチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。具体的には、作用極にシリコン又はスズを含み、対極にリチウムを用い、電解液中で還元電流を流すことによって合金化を行う等の処理をしておくことが好ましい。
本発明のリチウム空気二次電池の負極は、公知の方法で形成することができる。例えば、リチウム金属を負極とする場合には、複数枚の金属リチウム箔を重ねて所定の形状に成形することで、負極を作製すればよい。
ここで、放電時の負極102(金属リチウム)の反応は以下のように表すことができる。
(放電反応)
Li→Li++e- (3)
なお、充電時の負極102においては、式(3)の逆反応であるリチウムの析出反応が起こる。
(III) 電解質
電解質103としては、正・負極間でリチウムイオンの移動が可能な物質であればよく、例えば、リチウムイオンを含む金属塩を溶解した非水溶媒を使用できる。リチウムイオンを含む金属塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド[(CF3SO22NLi](LiTFSI)などを用いることができる。
本発明の電解質103は、正極活物質である酸素との相互作用が強く、酸素種を構造内に吸蔵することができるペルフルオロ化合物を含む。
本発明に用いられるペルフルオロ化合物は、具体的には、ペルフルオロデカリン(C1018)、N,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン(N(C373)、ペルフルオロキノリジジン(C917N)、ペルフルオロイソキノリン(C917N)、ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド(C817Br)、1,8−ジクロロペルフルオロオクタン(C816Cl2)が挙げられ、また、これらの中から二種類以上を混合したものを使用してもよい。
さらに、リチウム二次電池用電解質に用いられる、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系や1,2−ジメトキシエタン(DME)、トリグライム、テトラグライムなどのエーテル系、γ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系や、これらの中から二種類以上を混合した溶媒を前記ペルフルオロ化合物と混合して使用してもよい。
本発明の電解質103は、ペルフルオロ化合物を、電解質の重量を基準に5%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上含む。また、本発明の一実施態様において、ペルフルオロ化合物は溶媒として用いられる。
ペルフルオロ化合物は酸素溶存度が高いため、電解質103内に多くの酸素を吸蔵することができる。そして、吸蔵された酸素が電解質/空気極界面に移動し、この界面において、上記式(1)及び式(2)の酸素源(活性な中間反応体)として酸素還元反応に使用され、上記反応が進行する。また、式(1)及び式(2)の逆反応である充電反応に対しても、上記のペルフルオロ化合物は活性を有する。従って、電池の充電、つまり、電解質/空気極界面上での酸素発生反応も効率よく進行する。このようなペルフルオロ化合物の酸素の吸蔵・放出は可逆的に起こるため、電極反応の速度が改善され、大電流放電・充電が可能となる。
本発明の電解質103は、リチウムイオンおよび酸素の移動が可能であれば、形状は液体であってもゲル状であってもよい。
(IV)他の要素
本発明のリチウム空気二次電池は、上記構成要素に加え、セパレータ、電池ケース、金属メッシュ(例えばチタンメッシュ)などの構造部材、その他のリチウム空気二次電池に要求される要素を含むことができる。これらは、従来公知のものを使用することができる。
(V)セル構成
上述のとおり、リチウム空気二次電池は、電解質/電極触媒/酸素の三相部分において、電極反応が進行する。本発明の一実施態様において、空気極101は、図1のように片面は大気に曝され、もう一方の面は電解質103と接する。
また、本発明の一実施形態では、電解質103中に空気極101が含浸し、空気と接触することなく使用される(図2参照)。これは、本発明の電解質103に含まれるペルフルオロ化合物により電解質103中に酸素ガスが多く溶存するため、空気極101が大気に接触しなくとも電解質−電極触媒−酸素が共存する三相部位が形成されるからである。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るリチウム空気二次電池についての実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
電解質には、市販のペルフルオロデカリン(Sigma−Aldrich社製)にLiTFSIを0.1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。
空気極用の触媒として公知であるマンガン酸化物(MnO2)を用いて、リチウム空気二次電池セルを以下の手順で作製した。マンガン酸化物(MnO2)は市販試薬(関東化学社製)を用いた。
マンガン酸化物(MnO2)粉末、ケッチェンブラック粉末及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を50:30:20の重量比でらいかい機を用いて十分に粉砕混合し、ロール成形して、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径23mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、ガス拡散型の空気極を得た。
図3に示す断面構造を有する円柱形のリチウム空気二次電池セルを作製した。リチウム空気二次電池セルは、露点が−60℃以下の乾燥空気中で、以下の手順で作製した。
上記の方法で調整した空気極(正極)1を、PTFEで被覆された空気極支持体10の凹部に配置し、空気極固定用のPTFEリング8で固定した。なお、空気極1と空気極支持体10が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFEによる被覆を施さないものとした。また、空気極1と電解質とが接触する電極の有効面積は2cm2とした。
次に、空気極1と大気が接触する面とは逆の面に、リチウム二次電池用のセパレータ5を凹部の底面に配置した。続いて、図3に示すような負極固定用座金7に負極2である厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm2)を同心円上に重ねて圧着した。続いて、負極固定用のPTFEリング6を、空気極1を設置する凹部と対向する逆の凹部に配置し、中央部に金属リチウムが圧着された負極固定用座金7を更に配置した。続いて、Oリング9を、図3に示すように空気極支持体10の底部に配置した。
次に、セルの内部(空気極(正極)1と負極2との間)に、電解質3を充填し、負極支持体11を被せて、セル固定用ねじ12で、セル全体を固定した。電解質3は、上述のペルフルオロデカリン電解質[0.1mol/L LiTFSI/ペルフルオロデカリン溶液]を用いた。
続いて、空気極(正極)端子4を空気極(正極)支持体10に設置し、負極端子13を負極支持体11に設置した。
電池のサイクル試験は、充放電測定システム(VMP−3,Bio Logic社製)を用いて、空気極1の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cm2を通電し、開回路電圧から電池電圧が、2.0Vに低下するまで放電電圧の測定を行った。電池の充電試験は、放電時と同じ電流密度で、電池電圧が、4.0Vに達するまで行った。電池の充放電試験は、通常の生活環境下で行った。充放電容量は空気極(カーボン+酸化物+PVDF)重量当たりの値(mAh/g)で表した。
0.1mol/L LiTFSI/ペルフルオロデカリン電解質を用いた実施例1における電流密度0.1mA/cm2を通電した場合の初回の放電及び充電曲線を図5に示す。
平均充放電電圧は、図中に示すように、全放電容量の中間値時の放電電圧及び充電電圧と定義する。図5より、平均放電電圧は2.77Vであり、初回放電容量は1200mAh/gと大きな値を示した。平均放電電圧と平均充電電圧の差(ΔV)は、1.02Vであった。充放電流密度:0.1mA/cm2または1.0mA/cm2で行った充放電サイクル試験の結果を、表1に示す。
実施例1では、両電流密度値とも100サイクル後には、0.1mA/cm2で950mAh/g、1.0mA/cm2で685mAh/gと、約80%の放電容量が確認された。
また、充放電サイクル試験後に、負極である金属リチウムの観察をおこなった。空気中の水分により、金属リチウム表面が黒色に変色していたが、大きな劣化は見られなかった。これは、ペルフルオロ化合物が疎水性であるため、電解質中に水分が混入しなかったためである。
(実施例2)
電解質の溶媒として、N,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン(N(C373)を用いる以外は実施例1と同様に、リチウム空気二次電池を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
電解質の溶媒として、ペルフルオロキノリジジン(C917N)を用いる以外は実施例1と同様に、リチウム空気二次電池を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
電解質の溶媒として、ペルフルオロイソキノリン(C917N)を用いる以外は実施例1と同様に、リチウム空気二次電池を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
電解質の溶媒として、ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド(C817Br)を用いる以外は実施例1と同様に、リチウム空気二次電池を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
電解質の溶媒として、1,8−ジクロロペルフルオロオクタン(C816Cl2)を用いる以外は実施例1と同様に、リチウム空気二次電池を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、N,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン(N(C373)、ペルフルオロキノリジジン(C917N)、ペルフルオロイソキノリン(C917N)、ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド(C817Br)、および1,8−ジクロロペルフルオロオクタン(C816Cl2)のいずれも優れた大電流密度特性やサイクル特性を有していることが確認され、ペルフルオロ化合物を電解質として使用することの有用性を確認することができた。
さらに、実施例1と同様に、実施例2〜6においても、充放電サイクル試験後に負極である金属リチウムを観察したところ、実施例1と同様、金属リチウム表面が黒色に変色していたが、金属リチウムの大きな劣化は見られなかった。
(実施例7)
本実施例は、ペルフルオロデカリン電解質に空気極が含浸しており、前記空気極が空気と接していないリチウム空気二次電池を以下の手順で作製した。
実施例1と同様に、リチウム空気二次電池の作製を行い、最後に、ペルフルオロデカリン有機電解質3を空気極1と空気とが接している面から注液して、空気極1を電解質3に含浸させた。含浸させた後の、リチウム空気二次電池セルの断面図を図4に示す。
また、リチウム空気二次電池の評価は、実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
実施例7では、0.1mA/cm2および1.0mA/cm2の両電流密度値とも、多数回のサイクルを繰り返しても、平均放電電圧の低下、ΔVの増加、放電容量の減少が小さいことが確認された。いずれの場合も、100サイクル後でも約90%の放電容量を保持することができた。また、電流密度が0.1mA/cm2と1.0mA/cm2と大きくなっても、平均放電電圧の低下や放電容量の低下は小さかった。
上記の結果から、ペルフルオロ化合物を含む電解質に空気極を含浸させた方が、大電流密度特性やサイクル特性が改善されていることが確認された。これは、空気極がペルフルオロデカリン有機電解質に完全に含浸することにより、反応サイトであるペルフルオロデカリン中に溶存している酸素/空気極の界面が増加したためと考えられる。
また、実施例1〜6と同様に、充放電サイクル試験後に負極である金属リチウムを観察したが、変色は確認されず、全く劣化はしなかった。これは、空気極が、電解質中に含浸していることにより、実施例1〜6と比較して、さらに空気中の水分の混入を防げたためと考えられる。
(比較例1)
電解質として公知の0.1mol/LのLiTFSI/テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)溶液を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。電解質以外のリチウム空気二次電池の作製条件及びサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
本比較例の測定結果を、表1に併せて示す。比較例1では、初期容量は0.1mA/cm2で723mAh/g、1.0mA/cm2で428mAh/gと小さく、且つ、サイクルを繰り返すと、放電容量は著しく減少し、100サイクル後には容量維持率が、それぞれ29%および5.4%と非常に小さな値しか得られなかった。
また、充放電サイクル試験後に負極である金属リチウムを観察したところ、黒色に変色し、負極であるリチウム金属が構造劣化により原型を留めておらず、大きく劣化していることが確認された。これは、電解質中に溶け込んだ水分の影響であると考えられる。
(実施例8)
電解質として0.1mol/LのLiTFSI/ペルフルオロデカリン溶液及び公知の0.1mol/LのLiTFSI/TEGDME溶液を重量比1:1で混合した電解質を用いて、リチウム空気二次電池セルを実施例1と同様にして作製した。電解質以外のリチウム空気二次電池の作製条件及びサイクル試験の条件は、実施例1と同様である。
本実施例の測定結果を、表1に併せて示す。実施例8では、初期容量は0.1mA/cm2で963mAh/g、1.0mA/cm2で642mAh/gであり、且つ、サイクルを繰り返すと、100サイクル後には容量維持率が、それぞれ60%および55%と比較例1より優れた値を示した。
また、充放電サイクル試験後に負極である金属リチウムを観察したところ、黒色に変色し、負極であるリチウム金属の構造劣化が生じていたが、比較例1ほどの劣化は観察されなかった。
実施例8の結果から、公知の電解質溶媒にペルフルオロ化合物を混合した電解質を使用したリチウム空気二次電池もまた、ペルフルオロ化合物を含まない電解質を用いたものよりも、放電容量及び電流密度特性やサイクル特性に優れており、リチウム空気二次電池用電解質として有効であることが確認された。また、実施例1〜7と同様に、混合溶液を用いた場合でも、リチウム空気二次電池への空気中の水分の影響を抑えることができた。
以上の結果より、本発明のようにペルフルオロ化合物を含む電解質を使用したリチウム空気二次電池は、従来の有機電解質よりも放電容量及び電流密度特性やサイクル特性に優れており、リチウム空気二次電池用電解質として有効であることが確認された。また、本発明の電解質の使用により、リチウム空気二次電池の空気中の水分の影響を抑える効果があることが示された。
電解質にペルフルオロ化合物を含有させることにより、充放電サイクル性能に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として有効利用することができる。
1 空気極(正極)
2 負極
3 電解質
4 空気極端子
5 セパレータ
6 負極固定用PTFEリング
7 負極固定用座金
8 空気極固定用PTFEリング
9 Oリング
10 空気極支持体
11 負極支持体
12 セル固定用ねじ
13 負極端子
101 空気極
102 負極
103 電解質
104 酸化リチウム(Li22またはLi2O)
200 リチウム空気二次電池セル

Claims (5)

  1. 導電性材料を含む空気極と、
    金属リチウムまたはリチウム含有物質を含む負極と、
    前記空気極と前記負極に接する電解質とを含み、
    前記電解質はペルフルオロ化合物を含むことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 前記ペルフルオロ化合物は、ペルフルオロデカリン(C1018)、N,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン(N(C373)、ペルフルオロキノリジジン(C917N)、ペルフルオロイソキノリン(C917N)、ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド(C817Br)、1,8−ジクロロペルフルオロオクタン(C816Cl2)から選ばれる少なくとも一種のペルフルオロ化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のリチウム空気二次電池。
  3. 前記電解質に前記空気極が含浸しており、前記空気極が空気と接していないことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム空気二次電池。
  4. 前記ペルフルオロ化合物は、前記電解質の重量を基準に5%以上で前記電解質に含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム空気二次電池。
  5. 前記導電性材料がカーボンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム空気二次電池。
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