JP6638255B2 - 電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置、これを備える電動パワーステアリング装置および車両 - Google Patents

電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置、これを備える電動パワーステアリング装置および車両 Download PDF

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Description

本発明は、回転運動と直動運動とを相互に変換する回転直動変換装置に係り電動パワーステアリング装置好適に採用し得る回転直動変換装置に関する。
この種の回転直動変換装置として、例えば電動パワーステアリング装置を備える車両等の各種機械装置の多くにボールねじが用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開昭60−25853号公報
しかしながら、ボールねじは、転動体としてボールを循環させる循環構造が必要なので静粛性を得難いという問題がある。また、ボールねじは、ねじ軸とナットとの間にボールが介在するため、小さなリードには対応し難いという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、比較的に高い静粛性を得られる電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置、これを備える電動パワーステアリング装置および車両提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置は外周面が円筒状の軸部を有するシャフトと、前記シャフトを囲繞するように配置される扁平直方体状のハウジングと、前記ハウジングに支軸を介して回転自在に二つに限って支持された鼓型のローラとを備え、前記二つのローラは、以下の条件1〜を満たす。
条件1:前記二つのローラは、前記シャフトに対して周方向に180°離隔して前記シャフトの横断面視での前記ハウジングにおける扁平直方体の長辺に沿った方向に対向配置されている。
条件2:前記二つのローラは、前記シャフトの軸線に対して捩じれの方向に同一の傾き角度をもって支持されている。
条件3:前記二つのローラは、前記シャフトの前記軸部に対してトラクション駆動力(転がり接触による摩擦駆動力)を伝達可能なように予圧荷重をかけた状態で摺接されている。
条件4:前記二つのローラは、各ローラの鼓型の外周面が、軸方向の断面において、前記シャフトの軸部との二つの接点相互を結ぶ線分の中央の点を中心にしてローラの支軸直交する位置をくびれの中央とす凹の円弧に形成されている。
本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置によれば、外周面が円筒状の軸部を有するシャフトに対し、シャフト周方向に180°離隔して対向配置される二つのローラを軸線に対して捩じれの方向に同一の傾き角度をもって回転自在にハウジングに支持し、それら二つのローラが、シャフトの軸部に対してトラクション駆動力を伝達可能なように予圧荷重をかけた状態で摺接されているので、シャフトを回転させれば、二つのローラとそれを固定するハウジングがトラクション駆動によってシャフトに沿って傾き角度に応じた量だけ直動運動させることができる。また、シャフトを外部で回り止めしてハウジングを回転させれば、シャフトを直動運動させることもできる。
そして、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置によれば、ボールねじとは異なり、回転系の二つのローラのみを使用してトラクション駆動機構を構成するため、比較的に高い静粛性が得られ、また、ボールねじと比べて小リードに対応することができる。また、シャフトにボールねじのようなねじ溝を形成不要なので、メンテナンス性にも比較的に優れている。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置は、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置を備える。本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置によれば、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置を備えるので、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置の作用効果により、比較的に高い静粛性が得られる。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る車両は、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置を備える。本発明の一態様に係る車両によれば、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置を備えるので、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置の作用効果により、比較的に高い静粛性が得られる。
上述のように、本発明によれば、比較的に高い静粛性を得られる。
本発明の一態様に係る回転直動変換装置の一実施形態の正面図であり、同図では、正面側のローラの部分をその軸線に沿った断面にて図示している。 図1のX−X断面図である。 本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置を装備した車両の操舵部の説明図である。 図3の要部を説明する図であり、同図(a)は、要部の軸線に沿った縦断面図(回転直動変換装置の部分を除く)、(b)は(a)でのZ−Z断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
[回転直動変換装置]
図1および図2に示すように、この回転直動変換装置20は、ハウジング40と、外周面が円筒状の軸部30を有するシャフト7と、ハウジング40に支軸52を介して回転自在に支持された二つのローラ50とを備える。二つのローラ50は、シャフト7に対して所定の配置および所定の姿勢で保持されている。
具体的には、所定の配置として、複数のローラ50は、シャフト7の周方向に180°離隔して対向配置されている(「課題を解決するための手段」に記載の条件1)。なお、シャフト7の形状は、回転直動変換装置20との関係においては、外周面が円筒状の軸部30を有していれば他の部分の構造は限定されない。例えば、後述するように、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置のラック軸に対してシャフト7を適用することができる。
各ローラ50は、中空円筒状の部材であり、軸方向両端に形成された凹の段部にそれぞれ嵌合して軸方向に離隔する一対の軸受55、56を介して支軸52にて回転自在にハウジング40に支持されている。本実施形態では、一対の軸受55、56にはアンギュラ玉軸受を用いており、大きなモ−メント荷重を負荷可能なように、接触角が例えば30°の軸受相互を背面組合せで配置している。一対の軸受55、56同士の間には、円筒状のスリーブ51が軸受55、56相互の内輪間に介装されている。
本実施形態では、各ローラ50の外周面は、軸部30との接点Pを中心にしてローラ50の支軸52と直交する位置を中央とする略鼓状をなす凹の円弧に形成されている。これにより、各ローラ50の円筒状(この例では略鼓状)の外周面が、接点Pを中央とする凹の円弧になっているので、シャフト7に対するセンタリング効果が向上して、二つのローラ50による挟持状態が確実に保持されて回転直動変換装置20の脱落が防止されている。さらに、各ローラ50の凹の円弧により支軸52の軸線RLの位置をシャフト7の軸線CL寄りに配置できるため、二つのローラ50による挟持機構部分の高さを低く抑えてハウジング40をよりコンパクトに構成可能になっている。
なお、本実施形態では、中空円筒状のローラ50が一対の軸受55、56を介して支軸52で回転自在に支持された例を示したが、これに限定されず、各ローラ50としては、円筒または円環状の外周面を有する構成であれば、種々の円筒状の外輪を有する軸受を用いることができる。例えば、ローラ50として、モーメント荷重を受けられる組合せ軸受や複列玉軸受の他、カムフォロワを用いてもよい。
ハウジング40は、図2に示すように、軸線方向から見た形状が矩形をなすブロック状の部材であり、その中央(対角線の交点の位置)に、軸線方向に沿って円形の貫通孔41が形成され、この貫通孔41に、径方向で隙間を隔ててシャフト7の軸部30が挿通されている。
なお、ハウジング40の外形形状は、複数のローラ50を回転自在に支持しつつ、複数のローラ50をシャフト7に対して所定となる姿勢で保持可能であれば、形状は限定されない。但し、自身の占有スペースを少なくしつつ、二つのローラ50をシャフト7に対して周方向に180°離隔して対向配置するように保持する上で、シャフト7に隙間を隔てて外嵌するように設けられることが好ましい。
ハウジング40の左右の外側面には、各ローラ50を収容可能な深さを有する収容凹部45がそれぞれ形成されている。そして、図1に示すように、ハウジング40には、収容凹部45の前後の壁面に、各ローラ50に対して、支軸52の軸線RLが傾き角度αとなるように形成された装着孔42が加工されている。
装着孔42は、前方(同図右側)から順に、前方壁面に貫通形成された大径穴42aと、後方壁面の前方側部分に形成された中径穴42bと、後方壁面の中間部分に形成された小径穴42cとを同軸に有し、後方壁面の後方側部分には、装着孔42の小径穴42cと同軸の座繰り穴43が加工されている。
一方、支軸52は、前方から順に、装着孔42の大径穴42aにインロー嵌合する大径部52aと、装着孔42の中径穴42bにインロー嵌合する軸部42bと、軸部42bの端面に形成された雌ねじ42cとを同軸に有する。
各ローラ50は、装着孔42に対して大径穴42a側から支軸52の軸部42bが挿入され、支軸52端部の雄ねじ42cに螺合する固定ナット54を座繰り穴43に締め付けることによってハウジング40に装着されている。なお、収容凹部45の後方の壁面と軸受55の内輪との間には間座53が介装されており、この間座53を介して固定ナット54により支軸52を固定することで、所期の予圧が付与されるようになっている。
ここで、二つのローラ50の所定の姿勢における傾き角度αは、シャフト7の外周面とローラ50の外周面との接点をPとするとき、接点Pを中心にしてローラ50の支軸52の軸線RLを捩じれの方向に傾けたときの軸線CLと軸線RLとのなす角である。
なお、各ローラ50の接点Pは軸線CLに直交する同一円周上に位置し、接点Pの位置における各ローラ50の中心はP.C.D.(Pitch Circle Diameter)上になる。これにより、複数のローラ50は、所定の姿勢として、シャフト7の軸線CLに対して捩じれの方向に同一の傾き角度αをもって支持される(「課題を解決するための手段」に記載の条件2)。
さらに、各ローラ50は、ハウジング40に装着されるに際し、シャフト7の軸部30に対してトラクション駆動力を伝達可能なように予圧荷重をかけた状態で摺接される(「課題を解決するための手段」に記載の条件3)。
本実施形態では、予圧荷重は、各ローラ50の接触面圧が0.6〜3GPaの範囲となるように設定されている。また、本実施形態では、トラクション駆動力をより確実に伝達可能なように、シャフト7の軸部30及びローラ50の外周面は鏡面加工されており、鏡面加工は、表面粗さRa0.2以下とされている(条件4)。
さらに、本実施形態では、トラクション駆動力をより確実に伝達可能なように、シャフト7の軸部30及び各ローラ50の外周面には、トラクショングリース又はトラクションオイルが塗布されている(条件5)。
なお、本実施形態で採用するトラクショングリース又はトラクションオイルとしては、例えば特許掲載公報に開示されている、特許第3599231号公報や特許第4044225号公報に記載のトラクションドライブ用流体を用いたり、特許第4005714号公報に記載のトラクションドライブ油用添加剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。
次に、この回転直動変換装置20の作用・効果について説明する。
上述のように、回転直動変換装置20は、シャフト7の軸部30に対して周方向に180°離隔して対向配置される二つのローラ50をねじれの位置に配置した上でトラクション駆動機構を構成している。
すなわち、この回転直動変換装置20によれば、円筒状の軸部30を有するシャフト7に対し、二つのローラ50をねじれの位置に配置し、ねじれの傾き角度αは二つのローラ50共に同一に予め決められているので、シャフト7を回転させることで、傾き角度に応じた量だけハウジング40がシャフト7の軸方向に進み、複数のローラ50とそれを固定するハウジング40をトラクション駆動によってシャフト7に沿って直動運動をさせることができる。また、シャフト7が外部で回り止めされていれば、ハウジング40を回転させることで、シャフト7を直動運動させることができる。
そのため、この回転直動変換装置20の構成は、ボールねじとは異なり、回転系のローラ50のみを使用するトラクション駆動によるため、ボールねじに比べて比較的に高い静粛性が得られ、また、ボールねじではできないような小さなリード角にも対応できる。また、シャフト7にボールねじのようなねじ溝が不要なので、シャフト7の加工性やメンテナンス性にも優れている。
特に、この回転直動変換装置20においては、二つのローラ50は、シャフト7の軸部30に対してトラクション駆動可能な予圧荷重をかけた状態で配置されているので、転造ボールねじのようなガタの発生を防止する上で好適である。
また、この回転直動変換装置20においては、シャフト7の軸部30及びローラ50の外周面に鏡面加工がされるとともに、シャフト7の軸部30及びローラ50の外周面にトラクショングリース又はトラクションオイルが塗布されているので、すべりを一層確実に防止してより効率良くトラクション駆動を行うことができる。
特に、この回転直動変換装置20においては、各ローラ50の外周面が、接点Pを中央とする凹の円弧になっているので、シャフト7に対するセンタリング効果が向上し、二つのローラ50による挟持状態が確実に保持されて回転直動変換装置20の脱落が防止される。また、各ローラ50の凹の円弧により支軸52の軸線RLの位置をシャフト7の軸線CL寄りに配置できるため、二つのローラ50による挟持機構部分の高さを低く抑えてハウジング40をよりコンパクトに構成することができる。
[ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置]
次に、上記回転直動変換装置20を備える機械装置の一例として、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置を装備した自動車について説明する。
図3に示すように、自動車の操舵部1は、ピニオン機構2とラック機構3とを含んで構成されたラックピニオン式の電動パワーステアリング装置10を備える。ピニオン機構2は、ピニオンハウジング4に回転自在に支持されたピニオン軸5を有する。ピニオン軸5は、以下不図示のステアリングシャフト等を介してステアリングホイールに連結されている。
ラック機構3は、ラックハウジング6を有し、ラックハウジング6は不図示のブラケットにより車体に固定される。ラックハウジング6の内部には、操舵軸であるラック軸7が摺動可能に支持されている。ラック軸7の両端はタイロッド8にそれぞれ連結されている。このラック軸7が、上述した回転直動変換装置20のシャフト7に対応している。
ピニオン軸5とラック軸7は互いにラックアンドピニオンギアにより噛合しており、ピニオン軸5に伝達される回転力がラック軸7の直動力に変換可能になっている。ここで、このラック軸7は、上記ピニオン軸5が噛合する不図示のラック部と、同図において、このラック部の右端側に形成された円筒状の軸部30とを有し、ラック軸7の円筒状の軸部30の位置に、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering、以下、単に「EPS」とも称する)10が配置されている。
このEPS10は、図4に示すように、円筒状のEPSハウジング11を有し、EPSハウジング11は、軸方向の略中央に配置された円管状の本体部12と、本体部12の同図右端に同軸に連結された円管状の変換装置収容部13と、本体部12と変換装置収容部13との左右開口部をそれぞれ閉止する円環状の蓋部14、15とを互いに複数の連結ボルト16、17で固定して形成されている。左右の蓋部14、15と軸部30の外周面との間にはパッキン18がそれぞれ介装されている。
本体部12内には、円管状の固定子8aが固定され、また、固定子8aの一部を巻回する複数のセグメントからなるコイル8bが設けられている。固定子8aの内側には、円管状の回転子8cが、回転子8cよりも長い円管状のスリーブ9周りに一体的に回転するように取り付けられている。上記固定子8a、コイル8b、回転子8cおよびスリーブ9により、ブラシレスタイプの電動モータ60が構成されている。
スリーブ9は、その右側の途中部分の外周が、軸受22によりEPSハウジング11に対して回転自在に支持されている。軸受22は、アンギュラコンタクトタイプの玉軸受であり、軸受22の内輪は、略円環状の押圧部材21がボルト19で固定されることで所期の予圧が軸受22に付与されている。スリーブ9の左端近傍には、電動モータ60の回転状態を検出可能なモータ回転角検出部80が設けられている。
モータ回転角検出部80は、環状の固定子81と、固定子81と同心に配し相対回転自在に支持された環状の回転子82とを備えている。固定子81は、先端部に複数の極片歯を有する極片を円周等分に複数有して固定支持されるとともに、各極片に相数Nの励磁と信号出力とを兼ね備えたコイルが各相毎に直列に巻回されている。回転子82は、固定子81の極片歯にギャップをもって対向して円周方向に形成された歯列を有することでレゾルバを構成している。モータ回転角検出部80は、回転子82と固定子81の間のリラクタンスの変化に応じて得られる位相の異なる複数のレゾルバ信号をA/D変換してデジタル回転角信号を出力可能になっている。
そして、スリーブ9右端の円筒状の変換装置収容部13内に、上述の回転直動変換装置20が収容されている。回転直動変換装置20のハウジング40には、ラック軸7の軸部30に対して、上述した条件1〜3(より好ましくは上述した条件1〜5)を満たす二つのローラ50が回転自在に支持されている。本実施形態では、ハウジング40がスリーブ9と一体となるように、上記押圧部材21を介してスリーブ9の右端にボルト19での固定と同時に連結され、ハウジング40がスリーブ9と一体で回転可能とされている。
さらに、EPSハウジング11内には、スリーブ9左端よりも左側の蓋部14の円筒状鍔部14aの内側に、ラック軸7を案内する案内ローラ装置90が設けられている。案内ローラ装置90は、円筒状鍔部14aの内面に固定された複数の支持ブロック93と、隣り合う支持ブロック93の間に、支軸92によって回転自在に支持された複数の案内ローラ91とを有する。
本実施形態では、案内ローラ91が4個設けられ、4個の案内ローラ91は、周方向に90°毎に離隔して同じ姿勢で配置されている。各案内ローラ91の支軸92は、ラック軸7の軸部30の軸線と直交して配置され、各案内ローラ91がラック軸7の直動方向に沿って回転して、ラック軸7の直動作動を円滑に案内するようになっている。
さらに、案内ローラ装置90とスリーブ9の左端との間の位置には、ラック軸7の直動方向の移動量および移動方向を検出可能なリニアエンコーダ100が設けられている。このリニアエンコーダ100は、多極磁石からなる磁気エンコーダ部101と、磁気センサ部102とを含んで構成されている。磁気エンコーダ部101は、ラック軸7の軸部30の外周面に、ラック軸7の直動範囲に亘って設けられ、軸部30表面が、円環状にS極とN極とが所定の間隔で軸方向に交互に磁化されることで構成されている。
磁気センサ部102は、磁気エンコーダ部101に感磁面が対向配置されるとともに、素子相互が直動方向に所定距離だけ離隔配置された二つのホール素子102a,102bと、これら二つのホール素子102a,102bおよび不図示の直動情報算出器を実装する回路基板102cとを備える。回路基板102cは、略L字形の取付けアングル103の先端側の面に装着されており、取付けアングル103の基端部が、EPSハウジング11の本体部12の内周面に、本体部12と同軸に固定された円環状の支持ブラケット104を介して固定されている。
磁気エンコーダ部101は、軸部30の外周面に直接形成されているので、ラック軸7の直動と共に磁気エンコーダ部101も直動する。磁気センサ部102は、磁気エンコーダ部101が直動することにより、磁気エンコーダ部101に対向する二つのホール素子102a,102bとの位置関係が周期的に変化する。磁気センサ部102には、磁気エンコーダ部101からの磁束が通過するが、二つのホール素子102a,102bは、通過磁束に対応し、磁束変化に応じて位相がずれた磁極対数の2相のパルス信号を出力する。2相のパルス信号は、A相、B相とする。磁気センサ部102の直動情報算出器は、サンプリングタイミングになると、A相、B相の磁気検出信号についてサンプリング値を同時に取得し、相互に位相のずれた2相のパルス信号に基づき、軸部30の直動位置、直動速度、直動方向などの軸部30の直動状態を示す直動情報を周期的に算出する。
電動モータ60は、図3に示すように、モータ制御装置70によって駆動制御される。モータ制御装置70は、不図示のステアリングホイールに入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ71と、車速を検出する車速センサ72とを有する。モータ制御装置70は、トルクセンサ71で検出した操舵トルクと、車速センサ72で検出した車速と、上記モータ回転角検出部80で検出した回転角と、上記リニアエンコーダ100の磁気センサ部102で検出した直動情報とから操舵補助トルク指令値を算出し、算出した操舵補助トルク指令値に基づいて、必要な操舵補助トルクを発生させるモータ駆動電流を求め、このモータ駆動電流を電動モータ60に出力するように構成されている。
特に、本実施形態では、回転直動変換装置20にボールねじを用いないトラクション駆動機構を採用しているため、操舵補助トルク指令値の算出に際し、モータ回転角検出部80で検出した回転角情報と磁気センサ部102で検出した直動情報とをモータ制御装置70に随時にフィードバックすることで、これら回転角情報と直動情報とに基づく補正を加えて、精度の高い操舵補助トルク指令値を算出している。
次に、このEPS10の作用・効果について説明する。
この自動車では、ステアリングホイールを操舵したときの操舵回転力がピニオン軸5に伝達され、ピニオン軸5に噛合するラック軸7の直線運動に変換され、この直線運動がラック軸7の両端に連結されたタイロッド8を介して転舵輪に伝達され、転舵輪が転舵される。
EPS10は、操舵回転力がピニオン軸5に伝達されると、電動モータ60を駆動することにより、これに応じてスリーブ9が回転駆動され、スリーブ9と一体に接続された回転直動変換装置20のハウジング40が回転駆動される。これにより、ハウジング40に装着されている複数のローラ50から軸部30に伝達されたトラクション駆動力によってラック軸7が直線駆動されて操舵力を補助することができる。
ここで、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置では、回転直動変換装置としてボールねじ機構が採用されることが多いところ、ボールねじ機構は、転動体としてボールを循環させる循環構造が必要なので振動や音が生じ、ボールねじ機構で生じた振動や音は、ラック軸及び操舵軸を介してステアリングホイールへと伝達されるため、ドライバーに不快感を与えるおそれがある。
これに対し、本実施形態の回転直動変換装置20を備えるEPS10によれば、ボールねじとは異なり、回転系の二つのローラ50のみを使用するトラクション駆動機構を採用しているので、ボールねじ機構に比べて比較的に高い静粛性が得られ、振動や音が軽減され、また、ボールねじと比べて小リードにも対応することができる。
また、従来のボールねじ機構が採用されるラック軸では、一方側の外周にねじ溝を形成し他方側にラック部を形成しているところ、このような構成であると、大きな操舵角の確保に必要なラック軸の長さに対し、ボールねじ機構のねじ溝とラック部との干渉を防止する上で、ラック軸が長くなって操舵装置が大型化したり、ラック軸の長さを抑えようとすると有効ねじ溝の範囲が狭くなって操舵角の減少を招いたりするという問題がある。
これに対し、本実施形態の回転直動変換装置20を備えるEPS10であれば、回転系のローラ50のみを使用するトラクション駆動機構を採用しているので、ラック軸7にねじ溝が形成不要であり、円筒状の軸部30によって回転直動変換装置20の動作が可能である。そのため、コンパクトな構成でありながら比較的に大きな操舵角を確保できる。また、ラック軸7にボールねじのようなねじ溝を形成不要なので、加工性やメンテナンス性にも比較的に優れている。
また、一般的に、タイロッド8はラック軸7に対して角度を持って取り付けられるため、操舵反力として、ラック軸7にアキシアル荷重の他に、ラジアル荷重、モーメント荷重が負荷される。
これに対し、従来のボールねじ機構を用いたラックピニオン式の電動パワーステアリング装置の場合、前述のラジアル荷重、モーメント荷重がボールねじ機構に負荷されるため耐久性の低下が問題となるところ、本実施形態の回転直動変換装置20を備えるEPS10であれば、ラック軸7にねじ溝が形成不要であり、回転系のローラ50のみを使用したトラクション駆動機構により比較的に高い耐久性を得ることができる。
さらに、本実施形態のEPS10であれば、操舵補助トルク指令値の算出に際し、モータ回転角検出部80で検出した回転角情報と磁気センサ部102で検出した直動情報とを随時にフィードバックして、これら回転角情報と直動情報とに基づく補正を加えて操舵補助トルク指令値を算出しているので、操舵反力によりラジアル荷重、モーメント荷重が負荷されても、その負荷に応じた随時の補正データにより最終的な操舵補助トルク指令値を得て、これに基づき電動モータ60を高精度に制御することができる。
以上説明したように、上述した回転直動変換装置20、これを備える電動パワーステアリング装置10および自動車によれば、ボールねじを用いた回転直動変換装置と比べて、比較的に高い静粛性を得ることができる。なお、本発明に係る回転直動変換装置、これを備える電動パワーステアリング装置および車両は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明に係る回転直動変換装置の適用例として、これを備える電動パワーステアリング装置10および自動車を例示して説明したが、本発明に係る回転直動変換装置の適用範囲はこれに限定されず、操舵系を有する自動車以外の車両にも適用可能であ
1 操舵部
2 ピニオン機構
3 ラック機構
4 ピニオンハウジング
5 ピニオン軸
6 ラックハウジング
7 ラック軸(シャフト)
8 タイロッド
10 電動パワーステアリング装置
20 回転直動変換装置
30 (シャフトの)軸部
40 ハウジング
50 ローラ
60 電動モータ
70 モータ制御装置
71 トルクセンサ
72 車速センサ
80 モータ回転角検出部
90 案内ローラ装置
100 リニアエンコーダ

Claims (6)

  1. 外周面が円筒状の軸部を有するシャフトと、
    前記シャフトを囲繞するように配置される扁平直方体状のハウジングと、

    前記ハウジングに支軸を介して回転自在に二つに限って支持された鼓型のローラと、を備え、
    前記二つのローラは、以下の条件1〜4を満たす電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置。
    条件1:前記二つのローラは、前記シャフトに対して周方向に180°離隔して前記シャフトの横断面視での前記ハウジングにおける扁平直方体の長辺に沿った方向に対向配置されている。
    条件2:前記二つのローラは、前記シャフトの軸線に対して捩じれの方向に同一の傾き角度をもって支持されている。
    条件3:前記二つのローラは、前記シャフトの前記軸部に対してトラクション駆動力を伝達可能なように予圧荷重をかけた状態で摺接されている。
    条件4:前記二つのローラは、各ローラの鼓型の外周面が、軸方向の断面において、前記シャフトの軸部との二つの接点相互を結ぶ線分の中央の点を中心にしてローラの支軸直交する位置をくびれの中央とす凹の円弧に形成されている。
  2. 前記シャフトの前記軸部及び前記ローラの外周面には、トラクショングリース又はトラクションオイルが塗布されている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置。
  3. 前記予圧荷重は、接触面圧が0.6〜3GPaの範囲である請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置。
  4. 前記シャフトの前記軸部及び前記ローラの外周面は鏡面加工されており、前記鏡面加工は、表面粗さRa0.2以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置用回転直動変換装置を備える電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項5に記載の電動パワーステアリング装置を備える車両。
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