JP6634568B2 - 作業関連曲面の照明に適した照明方法及び照明システム - Google Patents

作業関連曲面の照明に適した照明方法及び照明システム Download PDF

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Description

本発明は、工作機械を設置したエリア等の作業領域を照明する技術に関する。
LED(Light Emitting Diode)を用いた照明手段が急速に普及している。LED照明装置は、現在、オフィスや家庭だけでなく街路灯、広告照明、イルミネーション等に広く利用されている。
特に、LED照明装置は、低消費電力及び長寿命でありながら、比較的小型にして高い照度を達成できるので、例えば、作業対象物を目視しながら高精度の加工を実現するような作業を行う際の作業領域を照明するのにも適している。
このようなLEDを利用した作業領域の照明技術として、例えば特許文献1は、工作機械の機内のうち、作業者の視認が必要な複数の要視認箇所に照明光を照射し、要視認箇所の周囲と比較してこれらの要視認箇所を差別化する技術を開示している。これにより、作業者の視認が必要な要視認箇所を特定することができる。ここで、照明装置の光源には白色LEDが使用されている。
また、例えば特許文献2には、制御盤や工作機械等の内部を照明する盤内照明器具が開示されている。この照明器具では、従来の蛍光灯に代えてLEDを使用し、器具の小型軽量化や、組込み作業及びメンテナンス作業の容易化を図っている。
尚、LEDによる照明ではないが、例えば特許文献3には、椀状の照明カバーと、円環状の照明ランプとを有する工作機械用照明装置が開示されている。この照明装置では、工作機械の主軸下端にチャックを介して取り付けられている刃物や、工作機械のテーブル上にクランプによって固定されているワーク材が全周から照明される。その結果、工作機械の加工部分において照明による影がほとんどできず、加工部分の視認性が高まる。
特開2013−220513号公報 特開2012−133929号公報 特開2005−28461号公報
以上に説明したように、工作機械を含む作業領域の照明には従来、様々な工夫がなされてきた。しかしながら、現在、点光源であるLEDを複数使用した照明装置をもって、旋盤等を用いた作業を行う作業領域を照明した場合に、点光源由来の複数の輝線が、作業に関連する面に映り込んでしまい作業の障害となる問題が生じている。
例えば、旋盤、フライス盤や、ボール盤等を用いた加工対象物の加工の際、ビビりと呼ばれる激しい振動が発生し、作業の邪魔になり得ることは周知である。実際、現場では、このビビりが発現しそうな際には、主軸の回転数や切込み深さ等の加工条件を調整してその発現を抑えることになるが、その際、作業者が、回転主軸や加工対象物の外曲面の振動具合やビビり特有の模様(ビビりマーク)を視認して、ビビりの発現を素早く察知することが非常に重要となる。
しかしながら、回転主軸や加工対象物の外曲面といった作業関連面に、点光源由来の複数の輝線が映り込んでいる場合、ビビりが発生しているのか否かの判断が非常に困難となる。また、そもそも、作業関連面に微細構造を思わせる複数の輝線が視認される中、微細な加工を目視で行う作業は、非常にやりづらい困難なものとなる。
このような問題への対策として、例えば、特許文献3に記載された蛍光灯を使用した照明技術を適用したとしても、そもそも作業領域の照明にLEDを利用したいとの要請に沿わない。さらに、引用文献1及び2に記載されたような従来技術では、輝線対策の必要であること自体が認識されておらず、結果として当然に、そのような対策が照明構成に具現されていない。
そこで、本発明は、点光源を用いて照明を行っても、照明対象の作業関連面における複数の輝線の発生を抑制可能な照明方法及び照明システムを提供することを目的とする。
本発明によれば、点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
点光源デバイスは、点又は略点光源と、この点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
本照明方法は、
複数の点光源デバイスを、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における前記点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
複数の点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を作業領域に照射し、作業関連面における複数の輝線の出現を抑制する
ことを特徴とする照明方法が提供される。
本発明によれば、また、点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
点光源デバイスは、点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
本照明方法は、
複数の点光源デバイスを、少なくとも3列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも3列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における点又は略点光源の位置について1つの列が他の2つの列のいずれと比べても互いにずれているような3つの列が当該少なくとも3列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
複数の点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を作業領域に照射する
ことを特徴とする照明方法が提供される。
また、本発明による照明方法の一実施形態として、分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
本照明方法は、
複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように複数の前記点光源デバイスを配置して、作業領域を照明することも好ましい。
本発明によれば、さらに、点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
点光源デバイスは、点又は略点光源と、この点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
本照明方法は、
複数の点光源デバイスを、作業関連面の曲率半径と、隣接する点又は略点光源間の距離とに基づいて決定される距離閾値以上の距離をもって、作業関連面から離隔した位置に配置し、さらに、これら複数の点光源デバイスを、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
複数の点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射する
ことを特徴とする照明方法が提供される。
本発明によれば、また、点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
点光源デバイスは、点又は略点光源と、この点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
本照明方法は、
複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように複数の点光源デバイスを配置して、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
複数の点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射し、作業関連面における複数の輝線の出現を抑制する
ことを特徴とする照明方法が提供される。
本発明によれば、さらに、光を反射する作業関連面であって、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面である作業関連面を含む作業領域と、この作業領域を照明するための照明装置とを含む照明システムであって、
上記の照明装置は、
点又は略点光源と、この点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えた複数の点光源デバイスを有し、
複数の点光源デバイスは、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列され、且つ当該列の伸長方向における点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列されており、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士が重畳していて、作業関連面における複数の輝線の出現を抑制した照明を行う
ことを特徴とする照明システムが提供される。
この本発明による照明システムの一実施形態として、分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
複数の点光源デバイスは、複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように配置されていることも好ましい。
本発明によれば、さらにまた、光を反射する作業関連面であって、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面である作業関連面を含む作業領域と、この作業領域を照明するための照明装置とを含む照明システムであって、
上記の照明装置は、
点又は略点光源と、この点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えた複数の点光源デバイスを有し、
分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
複数の点光源デバイスは、複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように配置されており、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士が重畳していて、作業関連面における複数の輝線の出現を抑制した照明を行う
ことを特徴とする照明システムが提供される。
本発明の照明方法及び照明システムによれば、点光源を用いて照明を行っても、照明対象の作業関連面における複数の輝線の発生を抑制することができる。
本発明による照明システムの一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る照明装置及び点光源デバイスの一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る点光源デバイスの分散制御部における幾つかの実施形態を示す模式図である。 本発明に係る点光源デバイスを用いた照射実験の実施例における照明形状を示すグラフである。 従来の照明方法の一例、及び本発明による照明方法における幾つかの実施形態を示す模式図である。 従来の照明方法の一例、及び本発明による照明方法における幾つかの実施形態を示す模式図である。 本発明による照明方法の実施例1及び2を示す模式図及びテーブルである。 実施例1における作業関連面での輝線映り込みの様子を示す写真である。 実施例2における作業関連面での輝線映り込みの様子を示す写真である。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、各図面において、同一の構成要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、種々の異なる実施形態を取り得る構成要素が、共通の参照番号で示される場合も存在する。尚、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
[照明システム]
図1は、本発明による照明システムの一実施形態を示す模式図である。図面中、当該システムにおける各種方向を明示するために、XYZ直交座標系が当該システムに設定されている。
図1(A)によれば、本実施形態のLED照明システム2は、LED照明装置1と、工作機械である旋盤3とを含む。旋盤3は、同図において、本発明に関わる主軸周り以外の部分が省略された形で描かれている。旋盤3は、加工材4を取り付け可能な主軸部を備えており、この主軸部は、金属面等であって光を反射し得る作業関連面である主軸第1外面31及び主軸第2外面32を有する。
主軸第1外面31及び主軸第2外面32は各々、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線tが当該面上の点毎に決定される曲面であり、本実施形態では円柱面の一部となっている。尚、作業関連面としての主軸第1外面31及び主軸第2外面32の範囲は、LED照明装置1によって実際に所定の照度以上で照明される範囲とすることができる。
図1(A)には、主軸第1外面31(主軸第2外面32)における2つの基準接線t31(t32)が描かれているが、基準接線t31(t32)は、当該面上の点毎に無数に存在する。尚、主軸第1外面31(主軸第2外面32)は、基準接線t31(t32)に直交する接線の方向(X軸方向)、即ち主軸部の回転軸の方向においては曲がっておらず、この回転軸(X軸方向)に沿って真っすぐ伸長している。
また、本実施形態では、旋盤4の主軸部に取り付けられた加工材4も、金属面等であって光を反射し得る作業関連面である加工材外面41を有する。加工材外面41も、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線tが当該面上の点毎に決定される曲面であり、本実施形態では円柱面の一部となっている。図1(A)には、加工材外面41における2つの基準接線t41が描かれているが、基準接線t41も、当該面上の点毎に無数に存在する。また、加工材外面41も、基準接線t41に直交する接線の方向(X軸方向)、即ち主軸部の回転軸の方向においては曲がっておらず、この回転軸(X軸方向)に沿って真っすぐ伸長している。
ここで、従来の複数のLED光源(点光源)及び通常のレンズ系を用いて、主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41を含む作業領域を照明した場合、主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41には、(X軸方向に伸長した)複数の輝線が必ず出現していた。この複数の輝線は、複数のLED光源由来の光像であるが、これらの作業関連面に映り込んでしまい作業の障害となる問題が生じていた。
例えば、旋盤3による加工材4の加工の際、ビビりと呼ばれる激しい振動が発生する場合がある。作業者は、このビビりが発現しそうな際には、主軸の回転数や切込み深さ等の加工条件を調整してその発現を抑えることになるが、その際、作業者が、主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41の振動具合や出現するビビりマークを視認して、ビビりの発現を素早く察知することが非常に重要となる。
しかしながら、主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41に、点光源由来の複数の輝線が映り込んでいる場合、ビビりが発生しているのか否かの判断が非常に困難となる。また、そもそも、これらの作業関連面に微細構造を思わせる複数の輝線が視認される中、微細な加工を目視で行う作業は、非常にやりづらい困難なものとなる。
このような複数の輝線発現を阻止するため、LED照明装置1は、後に図2を用いて示すように、装置長手方向に伸長した3列をなす複数のLED照明デバイス(点光源デバイス)10を備えている。これらのLED照明デバイス10は、同じく後に図2を用いて詳述するように、点光源であるLED光源101と、LED光源101からの放射光を受光して当該放射光の配光(配光角)を制御する配光制御部102と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部103とを備えている。さらに、LED照明デバイス10のなす3列のうちのいずれの1つの列をとっても、この1つの列は、当該列の伸長方向におけるLED光源101の位置について、他の2つの列のいずれとも互いにずれている。
ここで、複数のLED照明デバイス10のなす3列の伸長方向、即ち図1における装置長手方向は、Y軸方向であって、
(a)主軸第1外面31における1つの(図1では外面最上部の)基準接線t31の方向、
(b)主軸第2外面32における1つの(図1では外面最上部の)基準接線t32の方向、及び
(c)加工材外面41における1つの(図1では外面最上部の)基準接線t41の方向
と平行になっている。
LED照明装置1は、
(A)以上に述べたような配列をなす互いに隣接するLED照明デバイス10から出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
(B)複数のLED照明デバイス10からの重畳し合った出射光群を、主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41を含む作業領域に照射する
のである。ここで、本実施形態における外面31、32及び41を照らす出射光群(照射光)の様子を、図1(B)(Y軸方向(側方)から見た照射光の様子)及び図1(C)(Z軸方向(上方)から見た照射光の様子)に示す。
これにより、従来の複数のLED光源(点光源)を用いた照明であれば主軸第1外面31、主軸第2外面32及び加工材外面41に必ず出現していた複数の輝線を解消して、1つの幅広の輝線又は輝帯に落ち着かせることができる。その結果、良好な作業の妨げとなるビビり等の現象にも容易に対処することができ、また、微細な加工等の作業を目視で行う場合でも、煩わされる光像から解放され、より良好な作業を行うことが可能となる。
尚、本実施形態のLED照明システム2は、工作機械として横型の旋盤3を備えているが、当然にこれに限定されるものではなく、工作機械として、立型旋盤、正面型旋盤、さらにはフライス盤、ボール盤や、ミーリングセルといった曲面の作業関連面を有するものが採用可能である。LED照明装置10によれば、これらの工作機械においても発生し得るビビり等の現象に容易に対処することができ、また、これらの工作機械を用いて微細な加工等の作業を目視で行う場合でも、煩わされる光像から解放され、より良好な作業を行うことが可能となる。
また、工作機械である旋盤3の内部にLED照明装置1を組み込んで、本実施形態のLED照明システム2を、1つの工作機械(旋盤)と見ることも可能である。この場合、本発明は、工作機械(旋盤)の発明とも捉えられる。
[照明装置・点光源デバイス]
図2は、本発明に係る照明装置及び点光源デバイスの一実施形態を示す模式図である。図面中、当該装置及びデバイスにおける各種方向を明示するために、xyz直交座標系が当該装置及びデバイスに設定されている。
図2(A)によれば、本実施形態のLED照明装置1は、装置の長手方向(y軸方向)に伸長する3つの列に並んだ複数のLED照明デバイス10を備えている。具体的に、LED照明装置1は、配線13から供給された電力を、制御部12を介してこれらのLED照明デバイス10に配電し、これらのデバイス10を覆うように取り付けられた透光性を有する照明カバー(照明窓)を介して、これらのデバイス10から出射された照射光(出射光群)を照射する。
また、複数のLED照明デバイス10の設置された基台11(図2(B))は、互いに連なって、又は所定の間隔をもって直線的に配置されている。変更態様として、これら複数の基台を1つの回路基台として統合し、この回路基台上に複数の光源及び光学系を設置して複数のLED照明デバイス10としてもよい。また、LED照明装置1の筐体は、アルミダイキャスト若しくはステンレス鋼等の金属材料、又はポリカーボネート等のプラスチック材料で形成することができる。
さらに、照明カバーは、強化ガラス等のガラス材料又は透光性のプラスチック材料等の透光材料で形成してもよい。また、配線13と筐体との間、及び蓋体の開口と照明カバーとの間には、装置の設置される作業環境に応じて接着剤、シール部材等を用いた防水・防油処置が施されることも好ましい。
ここで、複数のLED照明デバイス10は、3列または4列以上の列をなして並んでいてもよい。即ち、少なくとも3列であって、
(ア)これらの列の伸長方向(y軸方向)が、作業関連面における1つの基準接線tの方向(図1のY軸方向)と平行となるような、又は1つの基準接線tの方向と所定の鋭角θth1(図1(A))以内で揃うような少なくとも3列となるように配列し、且つ
(イ)これらの列の伸長方向(y軸方向)におけるLED光源101の位置について1つの列が他の2つの列のいずれと比べても互いにずれている3つの列が、当該少なくとも3列に含まれるように配列していればよい。
また、上記条件(イ)について、具体的に、図2(A)に示したLED照明装置1では、
(a)最下列と2番目の列との間におけるLED光源101の位置の列伸長方向(y軸方向)でのずれをd1とし、
(b)2番目の列と最上列との間におけるLED光源101の位置の列伸長方向(y軸方向)でのずれをd2とし、
(c)最上列と最下列との間におけるLED光源101の位置の列伸長方向(y軸方向)でのずれをd3とし、
(d)1つの列におけるLED光源101の位置の列伸長方向(y軸方向)での間隔をD1とすると、
次式
(1) d1=d2=d3=D1/3
が成立している。
ここで、上記条件(イ)を満たすために、必ずしも上式(1)が成立する必要はない。複数の輝線が出現する作業関連面の曲率や凹凸具合に応じて、d1、d2、d3及びD1は様々に調整可能である。例えば、次式
(2) d1+d2+d3=D1,d1>0,d2>0,d3>0
が成立すればよい場合も存在する。尚、D1値(LED光源101の間隔)は、LED照明デバイス10の大きさによって決まる下限を有するが、例えば、11mmといった小さな値に設定することも可能である。
さらに、複数のLED照明デバイス10は、2列であってもよい。例えば、少なくとも2列であって、
(ウ)これらの列の伸長方向(y軸方向)が、作業関連面における1つの基準接線tの方向と平行となるような、又は1つの基準接線tの方向と所定の鋭角θth1以内で揃うような少なくとも2列となるように配列し、且つ
(エ)これらの列の伸長方向(y軸方向)におけるLED光源101の位置について互いにずれている2つの列が、当該少なくとも2列に含まれるように配列していればよい。
実際、2列の場合でも複数の輝線を解消する効果が確認されている。
尚、上記(ア)及び(ウ)における所定の鋭角θth1の一例を図1(A)に示している。図1(A)では、破線で示されたLED照明装置1がY軸方向から傾いているが、この装置1の伸長方向のXY面への射影の方向とY軸方向とのなす角度が、鋭角θth1以内となっていることが分かる。この所定の鋭角θth1は、作業関連面の曲率や凹凸具合にも依存する値であり、所定の照度及び照明範囲が確保され且つ複数の輝線が解消される条件として実際の現場での実験で決定されてもよく、経験値として設定されてもよい。鋭角θth1としては実際に例えば35°といった値が設定され得る。この場合、このような所定の鋭角θth1の範囲内で装置1の(デバイス列の)向きの変更が許容されるので、装置1の設置向きの自由度が高くなり、照明設計がより容易になる。ちなみに、本実施形態では、作業関連面をY軸方向(図1(A)〜(C))について幅広く照明して作業に資するため、LED照明装置1は、装置長手方向(y軸方向)がこのY軸方向と平行となるような形で設置されている。
図2(B)及び(C)によれば、LED照明デバイス10は、基台11上に脚部を立てて設置されており、
(a)点光源であるLED光源と、
(b)LED光源からの放射光を受光して当該放射光の配光(配光角)を制御する配光制御部102と、
(c)配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部103と
を備えている。
因みに、上記(b)の配光制御部102と、上記(c)の分散制御部103とは、1つの光学体として、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック材料、又は透明光学ガラス若しくは蛍光ガラス等のセラミック材料を用いて一体に形成することができる。
さらに、配光制御部102及び分散制御部103からなる光学体を複数、例えば3つ連結したものを一体に形成することも可能である。この場合、デバイス作製工程において形成コストや組み立てコストを抑制することができる。
LED光源101は、基台上に設置・固定されており、基台の内部又は表面部に設けられた配線回路と電気的に接続され、制御部12からの電力供給を受けて放射光を放射する。
具体的に、LED光源101は、第1波長の光を放射する発光ダイオードチップ(LEDチップ)を備え、少なくともこの第1波長の光と第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を放射する光源である。LED光源101としては、例えば、第1波長の光(例えば青色光)を放射するLEDチップと、このLEDチップの発光面を覆っている樹脂であって、この第1波長の光を吸収して第2波長の光(例えば黄色光)を蛍光として発する蛍光体を含む樹脂とを備えているものであってもよい。
ここで、先に述べた配光制御部102及び分散制御部103からなる光学体によって、放射光の混色化・色均一化が促進されるので、このようなLED光源101に起因する黄色リング等の色ムラ発生も、十分に抑制することが可能となるのである。
尚、当然にLED光源101は、上記の形態に限定されるものではない。2つ以上の異なる波長の光を放射するLEDチップを備えていてもよい。また、発光部が所定の面積を有する面発光タイプの発光チップを用いた略点光源であってもよい。その他、LED光源101に代えて、LED以外の点光源又は略点光源を使用することも可能である。
同じく図2(B)及び(C)によれば、配光制御部102及び分散制御部103からなる光学体は、LED光源101の少なくとも上方に位置し、LED光源101からの放射光を受光して混色化・色均一化が促進された照射光を放射する光学系である。この光学体は、本実施形態において4本の脚部で基台に設置されているが、設置方法はこれに限定されるものではない。
配光制御部102は、LED光源101からの放射光(混色光)が入射後に集光されるような入射面(入射内面)を有しており、入射した放射光(混色光)を所定範囲内の値の配光角に制御する。この配光角は、例えば、半値全角幅として5度(°)から40°までの範囲内の値に制御されることも好ましい。さらに、本実施形態の配光制御部102は、少なくともLED光源101の発光面を内部に含むことのできる凹部102cを備えている。これにより、LED光源101からの放射光を高い効率で受光することが可能となる。
この凹部102cは、凸レンズ状の入射内面を有している。LED光源101からの放射光(混色光)は、この入射内面に入射した後、集光される。その結果、発散する方向に伝播していた放射光(混色光)の配光角を、所定範囲内の値に制御可能となる。尚、凹部102cの入射内面の形状は、凸レンズ状に限定されるものではなく、LED光源101からの放射光(混色光)が集光されるような入射角で入射する面であれば様々な形状が可能である。例えば、設定される配光角によっては概ね平面状となる場合もある。さらに、凹部102cは、LED光源101を取り囲む位置に設けられた内壁面を備えている。配光制御部102は、LED光源101からの放射光(混色光)を、この内壁面をも介して概ね漏れなく受光することができる。
分散制御部103は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、配光制御部102からの配光角が制御された光(混色光)を、配光制御部102における凹部102cとは反対側の出射位置を介して受光し、分散させて色の均一化を促進する光学系である。
ここで、配光制御部102の出射位置(分散制御部103との境界)は、本実施形態において平面状の微小レンズ配列面(xy面)となる。従って、配光制御部102は、出射面から配光角が制御された光を放射する面発光源と捉えることができ、一方、分散制御部103は、この面発光源から出射された配光の制御された光を、レンズ配列面を介して受光して分散させる分散制御光学系と捉えることができる。次に、分散制御部103における配列した微小レンズ群について、図3を用いて詳しく説明する。
図3は、本発明に係る点光源デバイスの分散制御部103における幾つかの実施形態を示す模式図である。
図3(A)によれば、複数の微小レンズ103aは、各レンズの頂点(中心)がxy面内において正方格子をなすように配列されている。個々の微小レンズ103aは、微小な半球又は半回転楕円体(半楕円球)の一部となる形状を有する。変更態様として、微小レンズ103aの表面形状を非球面とすることも可能である。
ここで、以後に説明する各微小レンズにおいては、底面であるレンズ配列面(配光制御部102の出射位置、xy面)の反対側(出射する側)にある発光面における曲率半径をRとする。この発光面は光の進行方向(+z方向)に凸であるから、その曲率半径は本来負値である。しかしながら、計算等の便宜のため、以後、その絶対値をとってR値とし、このR値を曲率半径とする。また、隣接した微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離(ピッチ)をPとする。
図3(A)に示した配列した微小レンズ103aでは、曲率半径R及びピッチPのいずれもが、x軸方向とy軸方向との間で等しくなっている。即ち、これらの複数の微小レンズ103aは等方性のレンズ系となっている。
次に、図3(B1)によれば、複数の微小レンズ103aは、各レンズの頂点(中心)がxy面内において長方格子(又は正方格子)をなすように配列されている。個々の微小レンズ103aは、微小な半球又は半回転楕円体(半楕円球)の一部となる形状を有する。変更態様として、微小レンズ103aの表面形状を非球面とすることも可能である。
これらの配列した複数の微小レンズ103aにおいては、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面(xy面)におけるレンズ頂点を結ぶ1つの軸(x軸)の方向とこの軸に垂直な軸(y軸)の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面(xy面)内におけるレンズ頂点を結ぶ軸(x軸及びy軸)それぞれの方向の間で、異なっている。具体的に、図3(B1)においては、y軸方向の曲率半径Ryがx軸方向の曲率半径Rxよりも大きくなっており、また、y軸方向のピッチPyがx軸方向のピッチPxよりも大きくなっている。即ち、これらの複数の微小レンズ103aは異方性のレンズ系となっている。
図3(B2)に、図3(B1)の微小レンズ配列におけるzx面による断面を示す。同図において曲率半径Rx及びピッチPxが示されているが、これらの値はそれぞれ、同じ微小レンズ配列におけるyz面による断面に現れる曲率半径Ry及びピッチPyの値よりも小さくなっている。
次いで、図3(C)によれば、複数の微小レンズ103aは、各レンズの頂点(中心)がxy面内において三角格子(六角格子)をなすように配列されている。個々の微小レンズ103aは、微小な半球又は半回転楕円体(半楕円球)の一部となる形状を有する。変更態様として、微小レンズ103aの表面形状を非球面とすることも可能である。
これらの配列した複数の微小レンズ103aにおいては、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面(xy面)におけるレンズ頂点を結ぶ1つの軸(x軸)の方向とこの軸に垂直な軸(y軸)の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面(xy面)内におけるレンズ頂点を結ぶ軸(x'軸及びy軸)それぞれの方向の間で、異なっている。具体的に、図3(C)においては、y軸方向の曲率半径Ryがx軸方向の曲率半径Rxよりも大きくなっており、また、y軸方向のピッチPyがx'軸方向のピッチPx'よりも大きくなっている。即ち、これらの複数の微小レンズ103aは異方性のレンズ系となっている。
以上に説明したように、分散制御部103の微小レンズ103aの配列は、種々の形態をとることが可能である。また、当然に、以上に示した形態に限定されるものでもない。特に、図3(B1)及び(C)に示したような異方性を有する微小レンズ103aは、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向とこの軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっているものであれば、種々の形態をとることができる。
次に、図3(B1)に示したような長方格子状に配列した複数の微小レンズ103aを備えた分散制御部103を有するLED照明デバイス10を使用して実施された光学シミュレーション照射実験(実施例a)の結果を説明する。
図4(A)は、本発明に係る点光源デバイスを用いた照射実験の実施例aにおける照明形状を示すグラフである。
この実施例aでは、配光制御部102の配光角θは9°であり、配光制御部102のレンズ径dは23mm(ミリメートル)である。また、曲率半径R及びRyは共に1.0mmであって等しい。さらに、微小レンズ間のピッチPx及びPyはそれぞれ0.8mm及び1.2mmであり、ピッチPが異方性を有している。即ち、ピッチPが、レンズ頂点を結ぶ複数の軸であって互いに垂直なx軸及びy軸それぞれの方向の間で、異なっている。その結果、比P/Rも異方性を有している(Px/Rx=0.8、Py/Ry=1.2)。
図4(A)に示すように、x軸方向及びy軸方向に関して照射光の分散が異方性を有する実施例aでは、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、略長方形状となる。ここで、図4(A)の照度分布は、微小レンズ103a群から光軸に沿って1mの位置にある(光軸に垂直な)平面状での分布となっている。
このように、微小レンズ103aを長方格子状に配列させ、比P/R(ピッチP)に異方性を持たせることによって、照明形状を長方形状に制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験においては、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることも確認されている。
次に、図3(C)に示したような三角形(六角形)格子状に配列した複数の微小レンズ103aを備えた分散制御部103を有するLED照明デバイス10を使用して実施された光学シミュレーション照射実験(実施例b)の結果を説明する。
図4(B)は、本発明に係る点光源デバイスを用いた照射実験の実施例bにおける照明形状を示すグラフである。
この実施例bでも、配光制御部102の配光角θは9°であり、配光制御部102のレンズ径dは23mmである。また、曲率半径Rx及びRyはそれぞれ1.0mm及び2.0mmであって、曲率半径Rが異方性を有している。即ち、曲率半径Rが、x軸の方向とx軸に垂直なy軸の方向との間で異なっている。一方、微小レンズ間のピッチPx’及びPyは共に0.8mmであって等しい。その結果、比P/Rは異方性を有する(Px’/R=0.8、Py/Ry=0.4)。
図4(B)に示すように、x軸方向及びy軸方向に関して照射光の分散が異方性を有する実施例bでは、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、略楕円形状となる。ここで、図4(B)の照度分布も、微小レンズ103a群から光軸に沿って1mの位置にある(光軸に垂直な)平面状での分布となっている。
このように、微小レンズ103aを三角形(六角形)格子状に配列させ、比P/R(曲率半径R)に異方性を持たせることによって、照明形状を楕円形状に制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験においても、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることが確認されている。
ここで、微小レンズ103aの配列及び照明形状は、当然に、以上に説明した形態に限定されるものではない。例えば、本願発明者等を含む出願に係る特開2013−105942号公報や、特開2013−235820号公報に記載された他の微小レンズの配列や照明形状を適用することも可能である。
また、曲率半径R及びピッチPにおける異方性の程度は、(Ry−Rx)/Rxや、(Py−Px)/Pxで表されるが、これらの値の絶対値が、製造現場での光学系加工精度の下、5%又はそれ以上となるような異方性ならば、曲率半径R及びピッチPを調整して所望の形状を実現できることが実験により確認されている。
以上に説明したように、本発明に係るLED照明デバイス10によれば、照射光の混色化・色均一化が促進されLED光源101に起因する、例えば黄色リング等の色ムラ発生を抑制可能となる。また、微小レンズ103aの配置、曲率半径R及びピッチPといった光学的構成を制御することによって、色ムラ発生を抑制しつつ様々な照明形状を実現することが可能となる。
ここで、略長方形状における「略」の範囲を説明する。最初に、照明領域は、出射光の配光角(半値全角幅)範囲内の光が、LED照明デバイス10の直下にある(出射面の法線に垂直な)照明対象面を照明する領域であるとする。また、照明形状は、この照明領域の形状であるとする。この照明形状に外接する最小の長方形又は正方形を想定した際、この照明領域(照明形状)の面積Sと、この外接する長方形又は正方形の面積Sとの比r(≦1)が、
(3) r=S/S≧0.9
の条件を満たす場合、この照明領域の照明形状は「略」長方形状であるとする。
上式(3)におけるr=0.9の下限値は、曲率半径R及びピッチPにおける異方性の程度が上述したように約5%である場合の値である。製造現場での光学系加工精度の下、少なくとも異方性の設定が5%以上であれば異方性の照明形状に対する効果が確実となり、この際得られた照明形状を「略」長方形状の境界としたものである。
尚、一般に楕円の面積とこの楕円に外接する長方形の面積との比は、約0.79となる。上述したr=0.9の値は、この約0.79と1との概ね中央値(中間値)となっている。さらに、略楕円形状における「略」の範囲についても、それぞれ内接する最大の楕円形の面積を用いて、同様に規定される。
[照明方法]
図5は、従来の照明方法の一例、及び本発明による照明方法における幾つかの実施形態を示す模式図である。
最初に、図5(A)によれば、従来のLED照明器具5を用いて、旋盤3の主軸部を含む作業領域を照明している。ここで、LED照明器具5は、通常のLEDを用いた光源50と、通常使用される周知の凸レンズを含む光学系とを備えている。この場合、照明された主軸第1外面31及び主軸第2外面32にはそれぞれ、複数の輝線が密集した状態で観察される。また、出現した輝線は色ムラを伴っている。
このような輝線が観察される結果、作業者は、例えば微細な加工等の作業を目視で行う場合に、これらの輝線によって作業がやりづらくなる。さらに、作業の妨げとなるビビり等の現象に対処することも困難となってしまう。
次に、図5(B)によれば、本発明に係る複数のLED照明デバイス10を備えたLED照明装置1を用いて、旋盤3の主軸部を含む作業領域を照明している。ここで、このLED照明装置1は、図2に示したLED照明装置1におけるLED照明デバイス10群の3つの列に代えて、列伸長方向(y軸方向)におけるLED光源101の位置について互いにずれている2つの列を採用したものである。具体的には、1つの列における列伸長方向(y軸方向)でのLED光源101の位置が、他方の列におけるLED光源101の位置の間の中点位置となっている。
この場合、照明された主軸第1外面31及び主軸第2外面32ではそれぞれ、複数の輝線の出現が抑制され概ね解消されていて、代わりに1つの幅広の輝線又は輝帯が現れている。また、このような光像に色ムラは観察されない。尚、本実施形態においては、曲率半径のより大きな(より平面に近い)曲面をなす主軸第1外面31には、凝視すれば判別される程度の曖昧さをもって複数の輝線がわずかに観察されている。
しかしながら、複数の輝線は概ね解消されているので、作業者は、例えば微細な加工等の作業を目視で行う場合に、輝線やその色ムラによって作業がやりづらくなる事態を回避することができる。さらに、作業の妨げとなるビビり等の現象に対処することも容易となる。
次いで、図5(C)によれば、図2に示した3列に並んだLED照明デバイス10を備えたLED照明装置1を用いて、旋盤3の主軸部を含む作業領域を照明している。この場合、照明された主軸第1外面31及び主軸第2外面32ではそれぞれ、複数の輝線の出現が抑制され完全に解消されていて、代わりに1つの幅広の輝線又は輝帯が現れている。また、このような光像に色ムラは観察されない。
その結果、作業者は、例えば微細な加工等の作業を目視で行う場合に、輝線やその色ムラによって作業がやりづらくなる事態をより確実に回避することができる。さらに、作業の妨げとなるビビり等の現象に対処することも非常に容易となる。
次に、図5(B)及び図5(C)に示したLED照明装置1において、それぞれ2列及び3列に並んだLED照明デバイス10の各々を、図3(B1)又は図3(C)に示したような異方性微小レンズを備えたデバイスとした場合を、以下に説明する。ここで、このようなLED照明デバイス10からの出射光による照明形状における長手方向は、次に図6(C1)を用いて説明するように、主軸第1外面31及び主軸第2外面32における1つの基準接線tの方向と平行となるように設定される。
この場合においても、照明された主軸第1外面31及び主軸第2外面32ではそれぞれ、複数の輝線の出現が抑制され完全に解消されて、代わりに1つの幅広の輝線又は輝帯が現れる。また、このような光像に色ムラは観察されない。その結果、作業者は、例えば微細な加工等の作業を目視で行う場合に、輝線やその色ムラによって作業がやりづらくなる事態をより確実に回避することができる。さらに、作業の妨げとなるビビり等の現象に対処することも非常に容易となる。
図6は、従来の照明方法の一例、及び本発明による照明方法における幾つかの実施形態を示す模式図である。
最初に、図6(A1)に示すような通常のLEDを用いた光源50と、通常使用される周知の凸レンズを含む光学系とを用いて、主軸第1外面31、主軸第2外面32や、加工材外面41といった作業関連面を照明した場合を説明する。この場合、作業関連面には、図6(A2)に示すような複数の輝線が観察される。また、これらの輝線は色ムラも伴っている。これらの輝線の数は通常、点光源である光源50の数と一致する。即ち、各輝線が1つの点光源由来の光像となっている。ここで、輝線の間隔は、作業関連面の曲率や凹凸具合、さらには光源50の設置間隔等にも依存して決まる量となっているが、通常、作業関連面の曲率半径が大きいほど(作業関連面がより平面に近いほど)大きくなる。
次に、図6(B1)に示すような本発明に係る複数のLED照明デバイス10を用いて作業関連面を照明した場合を説明する。ここで、これらのLED照明デバイス10は、図3(A)に示したような等方的な微小レンズ103a群の配列を有し、1列に並んでいて、各デバイス10からの出射光による照明形状は円形状となっている。
この場合でも、作業関連面には、図6(B2)に示すようなLED光源101に由来する複数の輝線が観察される。しかしながら、各輝線の幅は、図6(A1)のものと比べて広くなっており、輝線による見た目の煩わしさは低減している。また、図6(A1)において見られた色ムラは解消されている。このような輝線の幅の拡大や色ムラの解消は、LED照明デバイス10によって配光角の制御された且つ分散させられた出射光が生成されていることによる。特に、このような分散した出射光が作業関連面に映る場合、その光像の鋭さは緩和されるのである。
尚、図6(B2)に示すように、等方性の微小レンズ103a群を有していて1列に配列した複数のLED照明デバイスでは、通常の工作機械の有する程度の曲率又は凹凸度合いを持つ作業関連面には、複数の輝線が若干映ってしまう場合の多いことが確認されている。
次いで、図6(C1)に示すような本発明に係る複数のLED照明デバイス10を用いて作業関連面を照明した場合を説明する。ここで、これらのLED照明デバイス10は、図3(B1)及び図3(C)に示したような異方的な微小レンズ103a群の配列を有し、1列に並んでいて、各デバイス10からの出射光による照明形状はそれぞれ、略長方形状(図4(A)参照)及び略楕円形状(図4(B)参照)となっている。また、この照明形状の長手方向(y軸方向)は、図1(A)に示した主軸第1外面31及び主軸第2外面32における1つの基準接線tの方向(Y軸方向)と平行となるように設定されている。具体的には、図1(A)において、LED照明デバイス10のy軸方向(照明形状の長手方向)が、LED照明装置1の長手方向、即ちY軸方向(1つの基準接線tの方向)と揃うように、LED照明デバイス10を配置している。
この場合、作業関連面には、図6(C2)に示すように、LED光源101に由来する複数の輝線は全く観察されず、代わりに1つの幅広の輝線又は輝帯が観察される。また、図6(A1)において見られた色ムラも解消されている。このような複数輝線の解消や色ムラの解消は、LED照明デバイス10によって、
(a)配光角の制御された且つ分散させられた出射光であって、
(b)y軸方向(長手方向)に伸長した照明形状が、作業関連面に映る輝線の幅を拡大して互いに重畳するように制御された出射光
が生成されていることによる。特に、上記(b)のような照明形状を有する出射光が、作業関連面に映るので、その光像は幅広となって鋭い輝線が解消されるのである。
このように、図6(C2)に示すように、異方性の微小レンズ103a群を有する複数のLED照明デバイス10を用いることによって、ただ1列に配列しただけであっても、通常の工作機械の有する程度の曲率又は凹凸度合いを持つ作業関連面に、複数の輝線は映り込まず、作業の邪魔になるような又はビビり発生の察知を妨げるような光像は解消されることが確認されている。
尚、これらのLED照明デバイス10からの出射光における照明形状の長手方向は、図6(D)に示すように、XY面上において作業関連面における1つの基準接線tの方向と所定の鋭角θth2以内で揃うような方向に設定されてもよい。即ち、この照明形状の長手方向(y軸方向)である装置1の長手方向のXY面上への射影の方向が、図1(A)のY軸方向(作業関連面上における最上位置の基準接線t31、t32及びt41の方向)と所定の鋭角θth2以内の角度で交わる方向であってもよい。この所定の鋭角θth2は、作業関連面の曲率や凹凸具合、さらには照明形状の具体的な形にも依存する値であり、複数の輝線が解消される条件として実際の現場での実験で決定されてもよく、経験値として設定されてもよい。鋭角θth2としては実際に例えば25°といった値が設定され得る。
以上に説明したように、等方性の微小レンズ103aを備えたLED照明デバイス10を1列に配列して照明に使用した場合でも、複数の輝線の抑制効果が観察される。これに対し、異方性の微小レンズ103aを備えたLED照明デバイス10を使用した場合は、例えデバイス10が1列であっても、複数の輝線は確実に解消されることが理解される。尚、当然に、図5(C)を用いて説明したように、異方性の微小レンズ103aを備えたLED照明デバイス10を、LED光源101の位置をずらしつつ2列又は3列以上に配列させて使用した場合、複数の輝線はより完全に解消されることも確認されている。
[実施例1及び2]
図7は、本発明による照明方法の実施例1及び実施例2を示す模式図及びテーブルである。また、図8及び図9は、それぞれ実施例1及び2における作業関連面での輝線映り込みの様子を示す写真である。
図7(A)に示したように、
(a)実施例1では、等方性の微小レンズ103aを備えた複数のLED照明デバイス10を、3列に配列して照明に使用し、一方、
(b)実施例2では、異方性の微小レンズ103aを備えた複数のLED照明デバイス10を、同じく3列に配列して照明に使用した。
ここで、実施例2の異方性微小レンズ103aのRx及びRyはいずれも1.0mmであり、Px及びPyはそれぞれ0.7及び0.8mmであった。
また、実施例1における1つの列の中でのLED光源101の間隔D1(図2(A))は19.0mmであり、列間のLED光源101位置のズレ量(ピッチ)d1、d2及びd3(図2(A))は6.3mmであった。また、LED照明デバイス10は1つの列当たり12個並んでいた。一方、実施例2における1つの列の中でのLED光源101の間隔D1(図2(A))は10.8mmであり、列間のLED光源101位置のズレ量(ピッチ)d1、d2及びd3(図2(A))は3.6mmであった。また、LED照明デバイス10は1つの列当たり21個並んでいた。
実施例1及び2では、使用した複数のLED照明デバイス10(を備えたLED照明装置1)と照明対象である作業関連面との距離rdを、それぞれ20〜100cm(センチメートル)及び20〜70cmの間で変化させて照明を行った。ここで、作業関連面は、直径2rc(rcは半径)が272mm、168mm及び32mmの円柱の外周面の一部であった。いずれの作業関連面も光を反射する、即ち輝線が生じ得る曲面であったが、2rc=272(mm)の作業関連面は、金属面に塗料が塗布されたものであった。また、2rc=168(mm)の作業関連面は、比較的表面粗さの高い金属面であり、rc=32(mm)の作業関連面は、光沢を有する金属面であった。
以上説明したような条件下でこれらの作業関連面の照明を行い、観察者が、作業関連面に複数の輝線を視認できたか否かを判定する実験(実施例1及び実施例2)を行った。実施例1の結果を図7(B)のテーブルに示し、実施例2の結果を図7(C)のテーブルに示す。
図7(B)のテーブルによれば、等方性微小レンズ103a系を用いた実施例1では、2rc=272(mm)の作業関連面の場合、距離rdが80cm以上において、複数の輝線が解消している。即ち、距離閾値rdthを80cmとして、LED照明デバイス10(を備えたLED照明装置1)を、この距離閾値rdth以上の距離をもって作業関連面から離隔した位置に配置することによって、複数の輝線を解消できることが理解される。同じく実施例1において、2rc=168(mm)の作業関連面の場合も、距離rdが80cm以上において複数の輝線が解消し、一方、2rc=32(mm)の作業関連面の場合は、距離rdが70cm以上において複数の輝線が解消している。このように、2rc=168(mm)の場合、距離閾値rdthは80cmであり、2rc=32(mm)の場合、距離閾値rdthは70cmであることが理解される。
即ち、図7(B)のテーブルにおいて距離閾値rdthの示す境界として示した太線の位置からも分かるように、直径2rcが小さくなるほど距離閾値rdthも小さくなる傾向が見られる。これは、曲率の大きな作業関連面であるほど、LED照明デバイス10の位置がこの作業関連面のより近くであっても輝線解消効果が見込まれることを意味する。
ここで、実施例1の2rc=168(mm)の作業関連面の場合における、距離rd=30cm及び80cmでの輝線映り込みの様子を、それぞれ図8(A)及び(B)に示す。図8(A)の距離rd=30cm(<rdth=80cm)では、複数の輝線が観察されることが分かる。一方、図8(B)の距離rd=80cm(=rdth)では、複数の輝線が解消して1つの輝帯となっていることが理解される。
また、実施例1の2rc=32(mm)の作業関連面の場合における、距離rd=20cm及び70cmでの輝線映り込みの様子を、それぞれ図8(C)及び(D)に示す。図8(C)の距離rd=20cm(<rdth=70cm)では、複数の輝線が観察されることが分かる。一方、図8(D)の距離rd=70cm(=rdth)では、複数の輝線が解消して1つの輝帯となっていることが理解される。
次に、実施例2の観察結果を説明する。図7(C)のテーブルによれば、異方性微小レンズ103a系を用いた実施例2では、2rc=272(mm)の作業関連面の場合、距離rdが40cm以上において、複数の輝線が解消している。即ち、距離閾値rdthは40cmであることが理解される。同じく実施例2において、2rc=168(mm)の作業関連面の場合は、距離rdが30cm以上において複数の輝線が解消し、2rc=32(mm)の作業関連面の場合は、距離rdが25cm以上において複数の輝線が解消している。このように、2rc=168(mm)の場合、距離閾値rdthは30cmであり、2rc=32(mm)の場合、距離閾値rdthは25cmであることが理解される。
次いで、実施例2の2rc=168(mm)の作業関連面の場合における、距離rd=20cm及び30cmでの輝線映り込みの様子を、それぞれ図9(A)及び(B)に示す。図9(A)の距離rd=20cm(<rdth=30cm)では、複数の輝線が観察されることが分かる。一方、図9(B)の距離rd=30cm(=rdth)では、複数の輝線が解消して1つの輝帯となっていることが理解される。
また、実施例2の2rc=32(mm)の作業関連面の場合における、距離rd=20cm及び30cmでの輝線映り込みの様子を、それぞれ図9(C)及び(D)に示す。図9(C)の距離rd=20cm(<rdth=25cm)では、複数の輝線が観察されることが分かる。一方、図9(D)の距離rd=30cm(>rdth=25cm)では、複数の輝線が解消して1つの輝帯となっていることが理解される。
さらに、図7(C)のテーブルにおいて距離閾値rdthの示す境界として示した太線の位置からも分かるように、実施例2においても、直径2rcが小さくなるほど距離閾値rdthも小さくなる傾向が見られることが分かる。これは、曲率の大きな作業関連面であるほど、LED照明デバイス10の位置がこの作業関連面のより近くであっても輝線解消効果が見込まれることを意味する。
但し、図7(B)及び図7(C)のテーブルでの太線位置を比較することによって理解されるように、実施例2では、作業関連面の直径(曲率)に関わらず、実施例1よりも距離閾値rdthがより小さい値となっている。これは、実施例2では、
(a)微小レンズ103aの異方性の作用が輝線解消効果を促進すること、及び
(b)列間のLED光源101位置のズレ量(ピッチ)d1、d2及びd3が3.6mmであって、実施例1(6.3mm)よりも小さいこと
が起因しているためと考えられる。
ここで、実施例1及び2における、作業関連面の半径rcと距離閾値rdthとの関係を説明する。半径rcと距離閾値rdthとの間に、次式
(4) rdth=λ・rc
の関係が成り立つと仮定する。但し、以下、距離閾値rdthの単位を、半径rcと同じくミリメートル(mm)とする。すると、実施例1及び2における半径rcが136(=272/2)mm、84(=168/2)mm、16(=32/2)mmの場合での比例係数λは、以下の通りに算出される。
<実施例1>
半径rc=136mm: 比例係数λ1136=5.88
半径rc=84mm : 比例係数λ184=9.52
半径rc=16mm : 比例係数λ116=43.8
<実施例2>
半径rc=136mm: 比例係数λ2136=2.94
半径rc=84mm : 比例係数λ284=3.57
半径rc=16mm : 比例係数λ216=15.6
次いで、各半径rcの場合において、実施例1及び実施例2における比例係数λの比をとると、
(5) λ2136=0.500λ1136
(6) λ284=0.375λ184
(7) λ216=0.357λ116
と算出される。
上式(5)〜(7)によれば、実施例1の比例係数λ1と、実施例2の比例係数λ2との比λ2/λ1は、いずれの半径rcの場合においても1未満の値となっている。これは、実施例2の異方性微小レンズ配列による輝線解消効果が、実施例1の等方性微小レンズ配列の場合と比べてより顕著に奏功し、距離閾値rdthをより押し下げていることを意味するものと考えられる。
因みに、上式(5)〜(7)における比例係数の比λ2/λ1の値に見られる相違は、上述したような作業関連面の材質の違いに起因するものと考えられる。実際、rc=32(mm)の作業関連面(光沢を有する金属面)、2rc=168(mm)の作業関連面(比較的表面粗さの高い金属面)、及び2rc=272(mm)の作業関連面(金属面に塗料が塗布されたもの)の順に、鏡面に近い光沢のある表面を呈している。従って、上式(5)〜(7)における比例係数の比λ2/λ1は、作業関連面が鏡面に近い光沢のある表面に近づくほど小さな値となっていることが分かる。
このことから、実施例2の異方性微小レンズ103aによる輝線解消効果は、光の分散の小さい鏡面に近い表面ほどより顕著に発揮されることが理解される。従って、例えば、旋盤等において表面に光沢のある金属棒等を微細加工する場合に、本発明の異方性微小レンズ103a系を使用することは、作業の邪魔となる複数の輝線を解消する点で非常に好適となるのである。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、点光源によって工作機械を含む作業領域を照明した際に、作業関連面に出現していた複数の輝線を、確実に解消することが可能となる。これにより、作業者は、例えばLED等による高い照度及び低消費電力を享受しつつ、良好な作業の妨げとなるビビり等の現象にも容易に対処することができる。また、微細な加工等の作業を目視で行う場合でも、煩わされる光像から解放され、より良好な作業を行うことが可能となる。
さらに、本発明によれば、作業関連面に映り込んだ輝線の周囲に現れる色ムラも解消される。その結果、作業者は、例えば微細な加工等の作業を目視で行う場合に、輝線やその色ムラによって作業がやりづらくなる事態をより確実に回避することができるのである。
以上に述べた実施形態は全て、本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
1 LED照明装置
10 LED照明デバイス(点光源デバイス)
101 LED光源(点光源)
102 配光制御部
103 分散制御部
103a 微小レンズ
11 基台
12 制御部
13 配線
2 LED照明システム
3 旋盤(工作機械)
31 主軸第1外面(作業関連面)
32 主軸第2外面(作業関連面)
4 加工材
41 加工材外面(作業関連面)
5 LED照明器具
50 光源

Claims (8)

  1. 点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
    前記作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
    前記点光源デバイスは、点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
    前記照明方法は、
    複数の前記点光源デバイスを、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における前記点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
    複数の前記点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射し、前記作業関連面における複数の輝線の出現を抑制する
    ことを特徴とする照明方法。
  2. 前記分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
    前記照明方法は、
    前記複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように複数の前記点光源デバイスを配置して、前記作業領域を照明する
    ことを特徴とする請求項1に記載の照明方法。
  3. 点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
    前記作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
    前記点光源デバイスは、点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
    前記照明方法は、
    複数の前記点光源デバイスを、少なくとも3列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも3列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における前記点又は略点光源の位置について1つの列が他の2つの列のいずれと比べても互いにずれているような3つの列が当該少なくとも3列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
    複数の前記点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射する
    ことを特徴とする照明方法。
  4. 点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
    前記作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
    前記点光源デバイスは、点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
    前記照明方法は、
    複数の前記点光源デバイスを、前記作業関連面の曲率半径と、隣接する前記点又は略点光源間の距離とに基づいて決定される距離閾値以上の距離をもって、前記作業関連面から離隔した位置に配置し、さらに、前記複数の点光源デバイスを、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列させ、且つ当該列の伸長方向における前記点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列させて、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
    複数の前記点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射する
    ことを特徴とする照明方法。
  5. 点光源デバイスを用いて、光を反射する作業関連面を含む作業領域を照明する照明方法であって、
    前記作業関連面は、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面であり、
    前記点光源デバイスは、点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えており、
    前記分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
    前記照明方法は、
    前記複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように複数の前記点光源デバイスを配置して、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士を重畳させ、
    複数の前記点光源デバイスからの重畳し合った出射光群を前記作業領域に照射し、前記作業関連面における複数の輝線の出現を抑制する
    ことを特徴とする照明方法。
  6. 光を反射する作業関連面であって、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面である作業関連面を含む作業領域と、該作業領域を照明するための照明装置とを含む照明システムであって、
    前記照明装置は、
    点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えた複数の点光源デバイスを有し、
    複数の前記点光源デバイスは、少なくとも2列であって、当該列の伸長方向が1つの当該基準接線の方向と平行となるような又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うような少なくとも2列となるように配列され、且つ当該列の伸長方向における前記点又は略点光源の位置について互いにずれている2つの列が当該少なくとも2列に含まれるように配列されており、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士が重畳していて、前記作業関連面における複数の輝線の出現を抑制した照明を行う
    ことを特徴とする照明システム。
  7. 前記分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
    複数の前記点光源デバイスは、前記複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように配置されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
  8. 光を反射する作業関連面であって、当該面の曲がるにつれて最も離隔するような基準接線が当該面上の点毎に決定される曲面である作業関連面を含む作業領域と、該作業領域を照明するための照明装置とを含む照明システムであって、
    前記照明装置は、
    点又は略点光源と、該点又は略点光源からの放射光を受光して当該放射光の配光を制御する配光制御部と、配光角の制御された当該放射光を分散させる分散制御部とを備えた複数の点光源デバイスを有し、
    前記分散制御部は、配光角の制御された放射光を分散させる複数の配列した微小レンズを備えており、当該微小レンズは、曲率半径R、隣接した当該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、レンズ配列面内における2つの方向の間で互いに異なっている異方性微小レンズであり、
    複数の前記点光源デバイスは、前記複数の配列した微小レンズからの出射光における照明形状の長手方向が、1つの当該基準接線の方向と平行となるように又は1つの当該基準接線の方向と所定の鋭角以内で揃うように配置されており、隣接する点光源デバイスから出射しており配光角の制御された且つ分散された出射光同士が重畳していて、前記作業関連面における複数の輝線の出現を抑制した照明を行う
    ことを特徴とする照明システム。
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