JP6632240B2 - リチウムイオン伝導性セラミックス材料及びリチウム電池 - Google Patents

リチウムイオン伝導性セラミックス材料及びリチウム電池 Download PDF

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Description

この発明は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料及びリチウム電池に関する。
近年、パソコン及び携帯電話等の電子機器の普及、自然エネルギーの貯蔵技術の発展、及び電気自動車等の普及により、安全で長寿命で高性能な電池の需要が高まっている。従来のリチウムイオン二次電池では、電解質層として有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解質層が用いられる場合がある。このような液体の有機電解質層を用いた電池では、有機溶媒の漏洩、発火、爆発等の危険性があり、安全面において好ましくない場合がある。そこで、近年、高い安全性を確保するために、液体の有機電解質層に代えて固体電解質層を用いると共に他の電池要素をすべて固体で構成した全固体電池の開発が進められている。
全固体電池は、電解質層がセラミックスであるので、漏洩や発火のおそれがなく安全である。また、全固体電池は、液体の有機電解質層を用いたリチウムイオン二次電池に設けられている外装を簡略化でき、各電池要素を積層化することにより小型化することができるので、単位体積あたり及び単位重量あたりのエネルギー密度を向上させることができる。全固体電池の中でも、電極にリチウム金属を含む全固体リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度化が期待されている。全固体リチウムイオン二次電池では、リチウム金属の反応性が高いため、リチウム金属に対して安定な、特定の材料で構成された電解質層を用いる必要がある。
そのような電解質層を構成する材料として、ガーネット型結晶構造を有するセラミックス材料であるLiLaZr12(以下においてLLZと称する)が期待されている。LLZの結晶構造としては、主に立方晶と正方晶とが存在する。立方晶のLLZは、例えばLLZを構成する特定の元素を別の元素に置換することによって、高イオン伝導率を有することが報告されている。
例えば、特許文献1及び2には、LLZは、密度が低くLiイオン伝導率は測定不可能な程度に小さいのに対し、LLZ成分以外にアルミニウム(Al)を含有させることによって、安定してペレットとして取得することができ、しかも良好なLiイオン伝導性を示すことが開示されている(特許文献1の請求項1、0009欄及び0076欄、特許文献2の請求項1、0007欄及び0019欄)。
特許文献3には、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物にAlを適量添加することにより、導電率(Liイオン伝導率)が向上すると共に、導電率の活性化エネルギーが低下して温度に対する導電率の変化の割合が小さくなることが開示されている(特許文献3の請求項1及び0006欄)。
特許文献4には、LLZ系セラミックスにおいて、Zrの一部をニオブ(Nb)及び/又はタンタル(Ta)で置換することにより、良好なLiイオン伝導度(Liイオン伝導率)が得られることが開示されている(特許文献4の請求項1及び0009欄)。
特許文献5には、ガーネット型のLLZ系固体電解質セラミックス材料に添加元素として、Al及びMgの両方を含有させることにより、焼成ムラ、クラック、空孔等の欠陥、異常粒成長等の発生が抑制又は回避された、高密度かつ高強度のLLZ系固体電解質セラミックス材料が得られることが開示されている(特許文献5の請求項1及び0011欄)。
特許文献6には、Liと、Laと、Zrとを含むガーネット型酸化物のLaサイトに、SrやCa等の元素を置換すると共に、ZrサイトにNb等の元素を置換すると、伝導度(Liイオン伝導率)の低下をできるだけ抑えると共に、焼成エネルギーをより低減することができることが開示されている(特許文献6の請求項1及び0008欄)。
特許文献7には、化学量論的組成L7+X3−XZr12[式中、Lは、それぞれ無関係に、一価のカチオンであり、Aは、それぞれ無関係に、二価のカチオンであり、Gは、それぞれ無関係に、三価のカチオンであり、0≦x≦3、及び式中Oは、部分的に又は完全に、二価又は三価のアニオン、例えばN3−によって置き換えられていてよい]を有する、ガーネット様結晶構造を有する固体イオン伝導体が開示されている(特許文献7の請求項4)。実施例には、LiLaZr12の室温での全伝導率が他のリチウムイオン伝導体に比べて優れていることが開示されている(特許文献7の0052欄)。
特許第5132639号公報 特許第5376252号公報 特開2012−31025号公報 特許第5525388号公報 国際公開第2013/128759号パンフレット 特開2013−32259号公報 特表2010−534383号公報
ところで、電解質層として期待されているセラミックス材料であるLiLaZr12(LLZ)は、これを構成する金属元素に高価なものが含まれるため原材料費が高くなる傾向にある。そのため、高いイオン伝導率を有するセラミックス材料の開発は、なるべくコストを低減することも求められる。例えば、特許文献4及び6には、LLZのセラミックスにおいて、Zrの一部をNb及び/又はTaで置換することで、高いLiイオン伝導率を有するセラミックス材料が得られることが開示されている。しかしながら、NbやTaは世界的な埋蔵量が少ないため、高いイオン伝導率が得られたとしても原材料費が高くなり、今後の安定供給も不安視される。
この発明は、コストを抑えつつ所望のイオン伝導率を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を提供すること、及びこのようなリチウムイオン伝導性セラミックス材料を備えることにより、コストを抑えつつ高性能なリチウム電池を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] Li、La、Zr、Mg及びSrを含み、含有される各元素がモル比で下記の(1)〜(3)を満たし、かつガーネット型結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料である。
(1)1.33≦Li/(La+Sr)≦3
(2)0<Mg/(La+Sr)≦0.5
(3)0<Sr/(La+Sr)≦0.67
前記課題を解決するための手段は、
[2] Li、La、Zr、Mg及びSrを含み、含有される各元素がモル比で下記の(1´)〜(3´)を満たし、かつガーネット型結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料である。
(1´)2.0≦Li/(La+Sr)≦2.5
(2´)0.01≦Mg/(La+Sr)≦0.14
(3´)0.04≦Sr/(La+Sr)≦0.17
前記[1]又は前記[2]の好ましい態様は、次の通りである。
[3] 室温におけるイオン伝導率が1×10−5S/cm以上である前記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料である。
[4] 相対密度が86%以上である前記[1]〜[]のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料である。
前記別の課題を解決するための手段は、
[5] 固体電解質層と正極層と負極層とを備えるリチウム電池において、
前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料が、前記固体電解質層、前記正極層、及び前記負極層の少なくとも一つに含まれるリチウム電池である。
[6] 固体電解質と正極層と負極層とを備えるリチウム電池において、
前記固体電解質層と前記正極層との間、及び前記固体電解質層と前記負極層との間の少なくとも一方に保護層をさらに備え、
前記固体電解質層、前記正極層、前記負極層及び前記保護層の少なくとも一つに前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料が含まれるリチウム電池である。
本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、及びZrと、Mg及びA(AはCa、Sr、及びBaからなる群より選択される少なくとも一種の元素)の少なくとも一方とを含み、含有される各元素のモル比が特定の範囲にあり、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有する。本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、及びZrのみを含むセラミックス材料に比べて焼結により容易に形成されることができ、高いイオン伝導率を有する。さらに、本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料に含有されるMg及び元素Aは、いずれも世界的な埋蔵量が比較的多く安価であるので、安定した供給が期待されると共にコストを抑えることができる。
また、本発明に係るリチウム電池は、固体電解質層と正極と負極とを備える場合には、所望のイオン伝導率を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が、固体電解質層、正極、及び負極の少なくとも一つに含まれているので、高性能なリチウム電池を提供することができる。また、本発明に係るリチウム電池は、原材料の一部に埋蔵量が比較的多く安価なものを用いているので、コストの低減を図ることができる。
さらに固体電解質層と正極との間及び固体電解質層と負極との間の少なくとも一方に保護層を備えている場合でも、所望のイオン伝導率を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が、固体電解質層、正極、負極、及び保護層の少なくとも一つに含まれているので、高性能なリチウム電池を提供することができる。また、本発明に係るリチウム電池は、原材料の一部に埋蔵量が比較的多く安価なものを用いているので、コストの低減を図ることができる。
図1は、本発明に係るリチウム電池の一実施例である全固体電池を示す断面概略説明図である。 図2は、本発明に係るリチウム電池の他の一実施例である全固体電池を示す断面概略説明図である。 図3は、サンプル1〜8をXRD分析して得られたX線回折パターンである。 図4は、サンプル9〜19をXRD分析して得られたX線回折パターンである。
(リチウムイオン伝導性セラミックス材料)
まず、本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料の一実施例について説明する。本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、及びZrと、Mg及びA(AはCa、Sr、及びBaからなる群より選択される少なくとも一種の元素)の少なくとも一方とを含み、含有される各元素がモル比で下記の(1)〜(3)を満たし、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有する。
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0<Mg/(La+A)≦0.5
(3)0<A/(La+A)≦0.67
本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、Mg、及びAを含むのが好ましく、さらに、含有される各元素がモル比で下記の(1´)〜(3´)を満たすのがより好ましい。
(1´)2.0≦Li/(La+A)≦2.5
(2´)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(3´)0.04≦A/(La+A)≦0.17
前記リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、及びO(酸素)のみを含むセラミックス材料に比べて焼結により容易に形成されることができ、高いイオン伝導率を有する。例えば、下記一般式(I)に示される化合物が得られるようにLi成分、La成分、Zr成分のみを含む材料を所定の比率で配合した原料を焼成して得られたセラミックス材料を室温においてX線回折装置(XRD)により分析を行うと、正方晶のLLZが同定され、立方晶すなわちガーネット型結晶構造(ガーネット型類似の結晶構造を含む)のLLZのピークは認められない。正方晶のLLZはイオン伝導率がそれほど高くなく、1×10−7S/cm程度である。一方、本発明では、Li成分、La成分、Zr成分を含む材料に加えてMg成分を含む材料及び/又は元素Aを含む材料を所定量加えて得られた原料を焼成してセラミックス材料を得る。このセラミックス材料はXRD分析によりガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造のLLZが同定される。ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造のLLZはイオン伝導率が正方晶のLLZに比べて高い。
LiLaZr12(LLZ)・・・一般式(I)
これまでに、LLZに置換元素としてAl、Nb、及びTa等の元素を含有させることでガーネット型結晶構造が得られること、及びイオン伝導率が向上することが報告されている(特許文献1〜6等)。一方、本発明の発明者らは、イオン伝導率を向上させる置換元素として認識されていたAl、Nb、Ta等の置換元素が無含有であっても、これまで認識されていなかったMg及び元素Aの少なくとも一方がLLZに置換元素として含有されていれば、一部の元素を置換した従来のLLZと同等又はそれ以上のイオン伝導率を示すことを見出した。さらに、Mg及び元素Aは、置換元素として報告されているNb及びTaに比べて埋蔵量が多く、安価であるので、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の安定的な供給が期待できると共にコストを低減することができる。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、及びZrを含み、Mg及びAの少なくとも一方を含み、含有される各元素がモル比で(1)〜(3)を満たし、(1´)〜(3´)を満たすのが好ましい。換言すると、リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、次の(a)〜(c)のいずれかを満たし、これらの中でも(c)を満たすのが好ましく、(d)を満たすのがより好ましい。
(a)リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、及びMgを含み、前記各元素がモル比で、1.33≦Li/La≦3、かつ、0<Mg/La≦0.5 を満たす。
(b)リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、及びAを含み、前記各元素がモル比で、1.33≦Li/(La+A)≦3、かつ、0<A/(La+A)≦0.67 を満たす。
(c)リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、Mg、及びAを含み、前記各元素がモル比で、1.33≦Li/(La+A)≦3、0<Mg/(La+A)≦0.5、かつ0<A/(La+A)≦0.67 を満たす。
(d)リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、Zr、Mg、及びAを含み、前記各元素がモル比で、2.0≦Li/(La+A)≦2.5、0.01≦Mg/(La+A)≦0.14、かつ0.04≦A/(La+A)≦0.17 を満たす。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、前記(a)を満たすとき、すなわち、Li、La、Zr、及びMgを、モル比で(1)及び(2)を満たすように含むとき、良好なイオン伝導率を示す。そのメカニズムは明らかではないが、例えば、LLZがMgを含有すると、Liのイオン半径とMgのイオン半径とは近いので、LLZ結晶相においてLiが配置されているLiサイトにMgが配置されやすく、Liに代えてMgが置換することで、LiとMgとの電荷の違いにより結晶構造内のLiサイトに空孔が生じ、Liイオンが動きやすくなると考えられる。その結果、イオン伝導率が向上すると考えられる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料において、Laと元素Aとの和に対するLiのモル比が1.33未満又は3を超えると、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料だけでなく、別の金属酸化物が形成され易くなる。別の金属酸化物の含有量が大きくなるほど相対的にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の含有量が小さくなり、また別の金属酸化物のイオン伝導率は低いので、イオン伝導率が低下する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料におけるMgの含有量が多くなるほどLiサイトにMgが配置され、Liサイトに空孔が生じ、リチウムイオン伝導率が向上するが、Laと元素Aとの和に対するMgのモル比が0.5を超えると、Mgを含有する別の金属酸化物が形成され易くなる。このMgを含有する別の金属酸化物の含有量が大きくなるほど相対的にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の含有量が小さくなる。Mgを含有する別の金属酸化物のイオン伝導率は低いので、Laと元素Aとの和に対するMgのモル比が0.5を超えると、イオン伝導率が低下する。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、前記(b)を満たすとき、すなわち、Li、La、Zr、及びAを、モル比で(1)及び(3)を満たすように含むとき、良好なイオン伝導率を示す。そのメカニズムは明らかではないが、例えば、LLZが元素Aを含有すると、Laのイオン半径と元素Aのイオン半径とが近いので、LLZ結晶相においてLaが配置されているLaサイトに元素Aが配置されやすく、Laに代えて元素Aが置換することで、格子ひずみが生じ、かつLaと元素Aとの電荷の違いにより自由なLiイオンが増加し、イオン伝導率が向上すると考えられる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料において、Laと元素Aとの和に対するLiのモル比が1.33未満又は3を超えると、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料だけでなく、別の金属酸化物が形成され易くなる。別の金属酸化物の含有量が大きくなるほど相対的にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の含有量が小さくなり、また別の金属酸化物のイオン伝導率は低いので、イオン伝導率が低下する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料における元素Aの含有量が多くなるほどLaサイトに元素Aが配置され、格子ひずみが大きくなり、かつLaと元素Aとの電荷の違いにより自由なLiイオンが増加し、イオン伝導率が向上するが、Laと元素Aとの和に対する元素Aのモル比が0.67を超えると、元素Aを含有する別の金属酸化物が形成され易くなる。この元素Aを含有する別の金属酸化物の含有量が大きくなるほど相対的にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の含有量が小さくなり、また元素Aを含有する別の金属酸化物のイオン伝導率は低いので、イオン伝導率が低下する。
前記元素Aは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。Ca、Sr、及びBaは、周期律表における第2族元素であり、2価の陽イオンになりやすく、いずれもイオン半径が近いという共通の性質を有する。Ca、Sr、及びBaは、いずれもLaとイオン半径が近いので、LLZにおけるLaサイトに配置されているLaと置換し易い。これらの中でも、リチウムイオン伝導性セラミックス材料がSrを含有するのが、焼結により容易に形成されることができ、高いイオン伝導率が得られる点で好ましい。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料が、前記(c)を満たすとき、すなわち、Li、La、Zr、Mg、及びAを、モル比で(1)〜(3)を満たすように含むとき、焼結により容易に形成されることができ、イオン伝導率がより一層向上する。また、リチウムイオン伝導性セラミックス材料が、前記(d)を満たすとき、すなわち、Li、La、Zr、Mg、及びAを、モル比で(1´)〜(3´)を満たすように含むとき、イオン伝導率がより一層向上する。そのメカニズムは明らかではないが、例えば、LLZにおけるLiサイトのLiに代えてMgが置換し、また、LaサイトのLaに代えて元素Aが置換することで、Liサイトに空孔が生じ、かつ自由なLiイオンが増加し、イオン伝導率がより一層良好になると考えられる。さらに、リチウムイオン伝導性セラミックス材料が、Li、La、Zr、Mg、及びSrを前記(1)〜(3)を満たすように、特に(1´)〜(3´)を満たすように含むのが、高いイオン伝導率が得られ、また、高い相対密度を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られる点から好ましい。
イオン伝導率だけでなく相対密度が高いと、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を、後述する固体電解質層11として用いたときに固体電解質層11を薄板化しても固体電解質層11としての機能(正極層12と負極層13との接触を防ぐ機能)を満足することができ、薄板化することで固体電解質層11自身の抵抗を低減でき、全固体電池10の内部抵抗を抑制することができる。
また、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を、後述する保護層216,217として用いたときに保護層216,217を薄板化しても保護層216,217としての機能(正極層212及び/又は負極層213と固体電解質層211との接触を防ぐ機能)を満足することができ、薄板化することで保護層216,217自身の抵抗を低減でき、全固体電池210の内部抵抗を抑制することができる。
さらに、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を、正極層12,212及び/又は負極層13,213に含有させた場合には、イオン伝導率が高いので、正極層12,212及び/又は負極層13,213の内部の抵抗を低減でき、全固体電池10,210の内部抵抗を抑制することができる。
なお、前記(a)〜(d)のいずれの場合においても、リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Zrを、モル比で以下の(4)を満たすように含むのが好ましい。Zrを前記範囲で含有することにより、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られ易くなる。
(4)0.33≦Zr/(La+A)≦1
リチウムイオン伝導性セラミックス材料に含まれる元素の種類及びこれらの含有量は、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。具体的には、リチウムイオン伝導性セラミックス材料が焼結体である場合には、これを粉砕した粉末を酸等の溶媒に溶解させた溶液をICP発光分光分析装置にかけて、組成分析を行う。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)で分析することにより、Li、La、及びZrと、Mg及びAの少なくとも一方との各元素の存在が確認され、確認された元素のモル比が(1)〜(3)を満たし、好ましくは(1´)〜(3´)を満たし、XRD分析によりガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造であることが確認されるものであればよい。本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料におけるMg及びAの存在形態は特に限定されない。Mgの存在形態としては、例えば、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の結晶相のLiサイトに配置、結晶構造内に侵入、及び/又は結晶粒界等に別の相として存在等の形態を挙げることができる。Mgは、イオン伝導率の向上の点からガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の結晶相のLiサイトに配置されているのが好ましい。元素Aの存在形態としては、例えば、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の結晶相のLaサイトに配置、結晶構造内に侵入、及び/又は結晶粒界等に別の相として存在等の形態を挙げることができる。元素Aは、イオン伝導率向上の点からガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の結晶相のLaサイトに配置されているのが好ましい。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li、La、及びZrと、Mg及びAの少なくとも一方とを含有する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、所望のイオン伝導率を有する限り、前記元素以外の元素を含んでいてもよい。また、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体の製造工程における焼成時にLi等の元素が揮発したり、前述した各元素が結晶構造内に侵入したりすることがあるので、リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、必ずしも理想的な組成を示すとは限らず、例えば、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造であり、一般式(II):B12(BはLi及び/又はLiを置換可能な金属元素、CはLa及び/又はLaを置換可能な金属元素、DはZr及び/又はZrを置換可能な金属元素である)で示される組成比からずれることがある。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料がガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有することは、リチウムイオン伝導性セラミックス材料をX線回折装置(XRD)で分析することにより確認することができる。具体的には、リチウムイオン伝導性セラミックス材料を粉砕して得られた粉末をX線回折装置により分析し、X線回折パターンを得る。得られたX線回折パターンとICDD(International Center for Diffraction Data)カードとを対比することにより、リチウムイオン伝導性セラミックス材料に含有される物質を同定する。なお、X線回折パターンの対比は、LLZ(立方晶)に対応するICDDカード(01−080−4947(LiLaZr12)を利用して行う。この発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、ICDDカード(01−080−4947)(LiLaZr12)と組成が異なるので、回折ピークの回折角度及び回折強度比が異なる場合もある。
なお、リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、XRD分析したときにガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物を示すピークのみが検出され、実質的にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物のみからなるのが、高いイオン伝導率が得られる点で好ましい。リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、所望のイオン伝導率が得られる限り、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物のみで形成されていなくてもよく、XRD分析したときに、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物を示すピーク以外のピークが検出されてもよい。ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物を示すピーク以外のピークが検出される場合には、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造の金属酸化物を示すピークのうち強度が大きい順に第1ピーク、第2ピーク、第3ピークとして、第1ピーク、第2ピーク、第3ピークの強度が、それ以外の金属酸化物を示す第1ピーク、第2ピーク、第3ピークよりも大きいのが、所望のイオン伝導率が得られる点で好ましい。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、粉末状であっても、所定の大きさを有する焼結体(バルク体)であってもよい。焼結体の形状は特に限定されず、ペレット状、薄板状、薄膜状等を挙げることができる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料が後述する固体電解質層11として用いられる場合には、焼結体であって通常薄板状の形態であり、正極層12及び負極層13に含まれる固体電解質として用いられる場合には、通常粉末状のリチウムイオン伝導性セラミックス材料と正極活物質及び負極活物質等の電極材料とを混合して、正極層12及び負極層13を作製する。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料が固体電解質層11として用いられ、焼結体である場合には、緻密であることが好ましい。具体的には、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の理論密度に対する相対密度が86%以上であるのが好ましい。リチウムイオン伝導性セラミックス材料の相対密度が86%以上であると、リチウムイオン伝導性セラミックス材料により固体電解質層11を形成した場合に、その厚みを薄く形成しても固体電解質層11としての機能を満足することができ、全固体電池10の内部抵抗を低減させることができる。
前記相対密度は、次のようにして求めることができる。まず、焼結体の乾燥質量を例えば電子天秤で測定し、焼結体の体積をノギスで測定する。測定した乾燥質量を体積で割ることにより、焼結体の測定密度を算出する。一方、焼結体の理論密度を算出する。相対密度(%)は、測定密度を理論密度で割り、100を掛けた値として求めることができる。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、室温におけるイオン伝導率が1×10−5S/cm以上であるのが好ましい。リチウムイオン伝導性セラミックス材料のイオン伝導率が前記範囲にあると、所望の性能を有する全固体電池10を提供することができる。
前記イオン伝導率は、次のようにして求めることができる。まず、焼結体であるバルク体の両面をそれぞれ研磨して、研磨面に金コーティングを施した後に、交流インピーダンス法によって、室温における焼結体であるバルク体の比抵抗を測定する。イオン伝導率は比抵抗の逆数として算出することができる。
この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、コストを抑えつつ良好なイオン伝導率を有するから、リチウム電池を構成する各種材料として好適に用いることができる。リチウム電池を構成する材料としては、正極層、負極層、固体電解質層、固体電解質層と正極層又は負極層との間に配置される保護層を形成する材料等を挙げることができる。
次に、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造方法の一例を説明する。以下においては、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を焼結体として製造する場合について説明する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造方法は、原料を配合して配合材料を得る配合工程と、得られた配合材料を焼成する焼成工程とを有する。
前記配合工程では、原料として、Li、La、及びZrと、Mg及びA(AはCa、Sr、及びBaからなる群より選択される少なくとも一種の元素)の少なくとも一方との各成分を含む材料を配合して配合材料を得る。配合される各成分は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られる成分比で配合する。この実施形態の配合工程では、焼結させた後の各成分がモル比で下記の(1)〜(4)を満たすように、好ましくは下記の(1´)〜(4´)を満たすように配合する。特にLiは焼成中に揮発し易いので、焼成後に得られる予定のリチウムイオン伝導性セラミックス材料の組成よりもLiを多く含有させる。得られた配合材料を後述するように焼成することにより、一般式(I)に示す結晶相の一部がMg及び/又は元素Aで置換されたガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を得ることができる。
(1)1.33≦Li/(La+A)≦3
(2)0<Mg/(La+A)≦0.5
(3)0<A/(La+A)≦0.67
(4)0.33<Zr/(La+A)≦1
(1´)2.0≦Li/(La+A)≦2.5
(2´)0.01≦Mg/(La+A)≦0.14
(3´)0.04≦A/(La+A)≦0.17
(4´)0.33<Zr/(La+A)≦1
前記各成分を含む材料は、焼成により各成分に転化する材料であれば特に制限はなく、例えば、Li、La、Zr、Mg、及びAの各成分を含む、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩等を挙げることができる。前記各成分を含む材料として、具体的には、LiO、LiOH、LiCO、La、La(OH)、ZrO、MgO、MgCO、CaO、CaCO、SrO、SrCO、BaO、BaCO等の粉末を挙げることができる。前記各成分を含む材料は、酸素(O)成分を含んでいても含んでいなくてもよい。前記各成分を含む材料が酸素(O)成分を含んでいない場合には、酸化雰囲気で後述する焼成工程を行う等、焼成雰囲気を適宜設定することにより、Li、La、Zr、及びOと、Mg及び/又はAとを含有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を得ることができる。
前記配合材料の調製は、公知のセラミックスの合成における原料粉末の調製方法を適宜採用することができる。例えば、前記各成分を含む材料を、ジルコニアボールと共にナイロンポットに投入し、有機溶媒中で8〜20時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して配合材料を得る。前記有機溶媒としては、例えば、エタノール、ブタノール等のアルコールやアセトン等を挙げることができる。
前記焼成工程の前には、配合材料を仮焼成する工程を有するのが好ましい。この工程では、例えば、前記配合材料を、MgO板上で900〜1100℃で2〜15時間仮焼成を行い、仮焼成材料を得る。仮焼成工程を行うことにより、焼成工程の後にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有する材料が得られやすくなる。
前記焼成工程の前には、前記仮焼成材料にバインダーを加えて粉砕混合する工程を有するのが好ましい。この工程では、例えば、前記仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で8〜100時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得る。仮焼成材料をさらに粉砕混合することにより、焼成工程の後に均一な結晶相が得られ易くなる。前記バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリビニルブチラール等を挙げることができる。前記有機溶媒としては、エタノール、ブタノール、及びアセトン等を挙げることができる。
前記焼成工程では、前述した配合工程を経て得られた配合材料を焼成する。具体的には、前記配合材料を所望の形状及び大きさを有する金型に投入し、プレス成形した後に、例えば、冷間静水等方圧プレス機(CIP:Cold Isostatic Pressing)を用いて1〜2t/cmの静水圧を印加し、成形体を得る。この成形体を1000〜1250℃で3〜36時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体が得られる。
前記配合材料が酸素成分を含んでいない場合には、酸素雰囲気で前記成形体を焼成するのが好ましく、前記配合材料が酸素成分を含んでいる場合には、窒素等の不活性ガスからなる不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で前記成形体を焼成してもよい。なお、前記配合工程の後に、さらに仮焼成をする工程を実施した場合には前記仮焼成材料に対して前記焼成工程を行う。前記配合工程の後に、さらにバインダーを加えて粉砕する工程を実施した場合には前記未焼成材料に対して、前記焼成工程を行う。
このリチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造方法によると、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を容易に製造することができる。焼結体は、そのまま又は適宜加工して、後述するリチウム電池の固体電解質層又は保護層として使用することができる。
また、正極層及び負極層に含まれる固体電解質として本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を用いる場合は、前記焼成工程において配合材料をプレス成形せず、粉末状に焼成して得られたリチウムイオン伝導性セラミックス材料を使用することができる。
(第1実施形態のリチウム電池)
この発明に係るリチウム電池の第1実施形態である全固体電池を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るリチウム電池の一実施例である全固体電池を示す断面概略説明図である。
この全固体電池10は、構成材料が全て固体であるリチウムイオン電池であり、固体電解質層11と正極層12と負極層13と第1の集電部14と第2の集電部15とを備える。この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13の少なくとも一つに含まれる。
前記固体電解質層11は、特に限定はなく、リチウムイオン伝導性を有している材料であればよい。固体電解質層11を形成する材料としては、例えば、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料、NASICON型構造のリチウムアルミニウムチタンリン酸複合酸化物(例えば、Li(Al,Ti)(PO(LATPと称する))、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸複合酸化物(例えば、Li(Al,Ge)(PO(LAGPと称する))、及びぺロブスカイト型構造のリチウムランタンチタン複合酸化物(例えば、La2/3−xLi3xTiO(LLTと称する))等によって構成される。これらの中でも固体電解質層11は、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって形成されるのが好ましい。本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、リチウム金属に対して安定であるので、正極層12又は負極層13にリチウム成分が含まれている場合に固体電解質層11を本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料で形成すると、固体電解質層11の酸化劣化及び還元劣化を抑制することができる。さらに、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を固体電解質層11として用いる場合、高密度に形成できるので固体電解質層の薄板化が可能となり、全固体電池10内部の抵抗値を低減することができる。また、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、コストを抑えつつ所望のイオン伝導率を有するので、コストを抑えた高性能な全固体電池10を提供することができる。
前記正極層12及び前記負極層13(単に電極と称することもある)は、固体電解質層11の両側にそれぞれ配置されている。
正極層12は、正極活物質と固体電解質とを含有する材料によって形成されている。正極活物質としては、特に限定はなく、例えば、硫黄、TiS、LiCoO、LiMn、及びLiFePO等が挙げられる。正極層12に含有される固体電解質としては、特に限定はなく、リチウムイオン伝導性を有している材料であればよい。固体電解質としては、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料等、前述した固体電解質層11を形成する材料を挙げることができる。なお、正極活物質に電子導電性がない場合には、正極活物質及び固体電解質と共に導電助剤が含有されてもよい。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有する材料であればよい。例えば、導電助剤としては、導電性カーボン、ニッケル(Ni)、白金(Pt)及び、銀(Ag)等が挙げられる。
前記負極層13は、負極活物質と固体電解質とを含有する材料によって形成されている。負極活物質としては、特に限定はなく、例えば、Li金属、リチウム−アルミニウム合金(Li−Al合金)、LiTi12、カーボン、ケイ素(Si)、一酸化ケイ素(SiO)等が挙げられる。負極層13に含有される固体電解質としては、特に限定はなく、Liイオン伝導性を有している材料であればよい。例えば、固体電解質としては、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料等、前述した固体電解質層11を形成する材料を挙げることができる。なお、負極活物質に電子導電性がない場合には、負極活物質及び固体電解質と共に導電助剤が含有されてもよい。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有する材料であればよい。例えば、導電助剤としては、導電性カーボン、ニッケル(Ni)、白金(Pt)及び、銀(Ag)等が挙げられる。
前記正極層12及び前記負極層13において、固体電解質として、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を用いると、本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、コストを抑えつつ所望のイオン伝導率を有するので、コストを抑えた高性能な全固体電池10を提供することができる。
前記第1の集電部14は、正極層12における固体電解質層11が配置されている側とは反対側に配置されている。前記第2の集電部15は、負極層13における固体電解質層11が配置されている側とは反対側に配置されている。第1の集電部14及び第2の集電部15は、導電性を有する部材であり、例えば、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等によって構成される。
前記全固体電池10は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13の少なくとも一つが、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含むように構成されている。この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、コストを抑えつつ所望のイオン伝導率を有する。したがって、この全固体電池10は、コストを抑えつつ高性能である。
次に、この全固体電池10の製造方法の一例を説明する。
前記固体電解質層11は、公知のセラミックス成形体の製造方法を適宜採用して製造することができる。また、固体電解質層11が、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料により形成されている場合には、前述したリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体の製造方法と同様にして製造することができる。
前記正極層12及び前記負極層13は、公知のセラミックス成形体の製造方法を適宜採用して製造することができる。例えば、まず、前述した正極活物質、固体電解質、所望により導電助剤になる化合物の粉末を、所定の割合で混合して混合粉末を得る。固体電解質として本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料を用いる場合には、前述したリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体の製造方法の焼成工程において、リチウムイオン伝導性セラミックス材料を粉末状に焼成して、これを必要に応じて粉砕等により粒度を調整して正極活物質等と混合することで混合粉末が得られる。
その後、この混合粉末を加圧成形可能な円筒型内に入れる。第1の集電部14として用いる例えばSUS製の基材と得られた混合粉末とをこの順に前記円筒型内に積層配置し、プレス成形することにより正極ペレットを得る。負極ペレットについても正極ペレットと同様にして作製する。
次いで、正極ペレット、固体電解質層、及び負極ペレットを、この順に正極ペレット及び負極ペレットの集電部14,15が外側に配置されるように積層して、積層体を得る。次いで、第1の集電部14及び第2の集電部15を介して所定の圧力で前記積層体を挟持することで各部材を固定する。こうして、全固体電池10が得られる。
なお、全固体電池10の製造方法としては、上述した方法以外に、電極と固体電解質層とを同時に焼成する方法、板状に焼成した固体電解質層に電極を焼き付ける方法、及び板状に焼成した固体電解質層に電極を焼き付ける際に圧力をかけて焼き付ける方法(ホットプレス法)等がある。
(第2実施形態のリチウム電池)
この発明に係るリチウム電池の第2実施形態である全固体電池を、図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明に係るリチウム電池の一実施例である全固体電池を示す断面概略説明図である。第2実施形態の全固体電池210は、以下に説明する点以外は、第1実施形態の全固体電池10と同じ構成を有している。
第2実施形態の全固体電池210は、固体電解質層211と正極層212との間、及び固体電解質層211と負極層213との間に、第1の保護層216及び第2の保護層217(単に保護層と称することもある)がそれぞれ配置されている。すなわち、この全固体電池210は、第1の集電部214、正極層212、第1の保護層216、固体電解質層211、第2の保護層217、負極層213、第2の集電部215がこの順に積層されている。
固体電解質層211は、第1実施形態における固体電解質層11と同様の材料によって形成することができる。第2実施形態の全固体電池210は、保護層216,217を備えているので、固体電解質層211は、本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料に比べて電極成分と反応し易い材料によって形成されてもよい。すなわち、固体電解質層211を形成する材料として、NASICON型構造のリチウムアルミニウムチタンリン酸複合酸化物、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸複合酸化物、及びぺロブスカイト型構造のリチウムランタンチタン複合酸化物等を挙げることができる。
第1の保護層216及び第2の保護層217は、本発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されている。本発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、リチウム金属に対して安定であるので、固体電解質層211と正極層212との間、及び固体電解質層211と負極層213との間に、第1の保護層216及び第2の保護層217がそれぞれ配置されていると、正極層212及び負極層213の少なくとも一方にリチウム成分が含有されている場合に、リチウムと固体電解質層211を構成する材料とが反応するのを抑制し、固体電解質層211の酸化劣化又は還元劣化を抑制することができる。また、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、比較的安価な元素を置換元素として用いているので、コストを抑えつつ良好なイオン伝導率を有する。全固体電池210は、保護層216,217と、正極層212及び負極層213の少なくとも一方がこの発明のリチウムイオン伝導性セラミックス材料により形成されている。したがって、この全固体電池210は、コストを抑えつつ高性能である。
第1の保護層216及び第2の保護層217は、前述したこの発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体の製造方法と同様にして製造することができる。第1の集電部214、正極層212、第1の保護層216、固体電解質層211、第2の保護層217、負極層213、及び第2の集電部215をこの順に積層して所定の圧力で挟持することで、全固体電池210を得ることができる。
なお、全固体電池210の製造方法としては、上述した方法以外に、正極層、第1の保護層、固体電解質層、第2の保護層、負極層、それぞれにおいて未焼成の段階でこの順に積層し、同時に焼成する方法、板状に焼成した固体電解質層に第1の保護層と第2の保護層とを焼き付けた後、第1の保護層側に正極層、第2の保護層側に負極層を焼き付ける方法、及び板状に焼成した固体電解質層に保護層を焼き付ける際、保護層に電極を焼き付ける際に圧力をかけて焼き付ける方法(ホットプレス法)等がある。
この発明に係るリチウム電池は、正極層及び負極層の両方又は一方にリチウム成分を含む電池であり、一次電池及び二次電池を含む。したがって、この発明に係るリチウム電池としては、リチウムイオン電池の一例として示した全固体電池10、210に限定されず、例えば、負極活物質がリチウム金属であり、正極活物質が酸素であるリチウム空気電池も含まれる。なお、正極層及び/又は負極層に含有されるリチウム成分は、リチウム金属又はリチウム合金であってもリチウム化合物であってもよい。
この発明に係るリチウム電池は、前述した実施形態に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、第2実施形態の全固体電池210では、固体電解質層211の両側に第1の保護層216及び第2の保護層217が設けられているが、第1の保護層216又は第2の保護層217のいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、第1の保護層216又は第2の保護層217のいずれか一方のみが、この発明に係るリチウムイオン伝導性セラミックス材料で構成されていてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態の全固体電池10,210の形状は、特に限定されず、コイン型、円筒型、角型、箱型、ラミネート型等の各種の形状を有することができる。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料の作製]
(サンプル1)
原料粉末である、LiCO、MgO、La(OH)、SrCO、ZrOを、Li、Mg、La、Sr、及びZrの各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.75:0.25:2.75:0.25:2.0(モル比)になるように秤量した(サンプル1)。これをジルコニアボールと共にナイロンポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。
得られた配合材料を、1100℃で10時間にわたってMgO板上にて仮焼成を行い、仮焼成材料を得た。この仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得た。この未焼成材料を直径12mmの金型に投入し、厚さが1.5mm程度となるようにプレス成形した後に、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5t/cmの静水圧を印加し、成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、大気雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル1)を得た。
(サンプル2)
サンプル1と同様に原料粉末を秤量し、同様の手順で成形体を得た。その後、この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、還元雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル2)を得た。
(サンプル3)
サンプル1と同様に原料粉末を秤量し、同様の手順で成形体を得た。その後、この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル3)を得た。
(サンプル4)
サンプル1と同様に原料粉末を秤量し、同様の手順で成形体を得た。その後、この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、Ar雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル4)を得た。
(サンプル5)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.75:0.25:2.75:0.25:2.08(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1と同様に大気雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル5)を得た。
(サンプル6)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.75:0.25:2.75:0.25:2.08(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル6)を得た。
(サンプル7)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.75:0.25:2.75:0.25:2.08(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で仮焼成材料を得た。ここでサンプル1とは異なり、得られた仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で40時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得た。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル7)を得た。
(サンプル8)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.85:0.20:2.75:0.25:2.08(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル8)を得た。
(サンプル9)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.05:0.05:2.85:0.15:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル9)を得た。
(サンプル10)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.40:0.05:2.50:0.50:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル10)を得た。
(サンプル11)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.35:0.40:2.85:0.15:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル11)を得た。
(サンプル12)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.70:0.40:2.50:0.50:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル12)を得た。
(サンプル13)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.95:0.15:2.75:0.25:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル13)を得た。
(サンプル14)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.35:0.45:2.75:0.25:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル14)を得た。
(サンプル15)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.00:0.00:3.00:0.00:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1と同様に、大気雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル15)を得た。
(サンプル16)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.00:0.00:3.00:0.00:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル16)を得た。
(サンプル17)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.60:0.20:3.00:0.00:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル17)を得た。
(サンプル18)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=7.20:0.40:3.00:0.00:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル18)を得た。
(サンプル19)
サンプル1と異なり原料粉末の各成分の比率が、Li:Mg:La:Sr:Zr=8.10:0.00:2.90:0.10:2.07(モル比)になるように秤量した。その後、サンプル1と同様の手順で成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、サンプル1とは異なり、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体(サンプル19)を得た。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料のXRD分析]
サンプル1〜19の焼結体を粉砕して得られた粉末をX線回折装置(XRD)で分析して、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンとICDDカードとを対比した結果を図3及び図4に示す。図3及び図4に示すように、サンプル1〜19は、LLZ立方晶のICDDカードとほぼ一致することが確認された。したがって、サンプル1〜19は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有すると判断できる。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料のICP分析]
サンプル1〜19の焼結体それぞれを粉砕して得られた粉末を酸等の溶媒に溶解させて、それぞれの溶液をICP発光分光分析装置にかけて、組成分析を行った。ICP発光分光分析は、JIS K 0116:2014に準拠して行った。表2において、ICP発光分光分析により検出されず、検出限界値以下である成分については「<0.01」で示した。結果を表1及び表2に示す。
[相対密度]
サンプル1〜19それぞれの乾燥質量を電子天秤で測定し、体積をノギスで測定した。乾燥質量を体積で割ることにより各試料の測定密度を算出した。また、それぞれの組成の理論密度を算出した。測定密度を理論密度で割り、100を掛けた値を相対密度として算出した。結果を表1及び表2に示す。
[イオン伝導率]
サンプル1〜19それぞれの両面をそれぞれ研磨して、研磨面に金スパッタによってコーティングを施した後に、交流インピーダンス法によって、室温において、各サンプル1〜19の比抵抗及びイオン伝導率を測定した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、測定される抵抗R(比抵抗)は、粒内抵抗raと粒界抵抗rbとの合計である(R=ra+rb)。また、イオン伝導率Icは、その抵抗Rの逆数として求められる(Ic=1/R)。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0006632240
Figure 0006632240
表1及び表2に示すように、本願発明の範囲内にあるサンプル1〜14のリチウムイオン伝導性セラミックス材料はイオン伝導率が1×10−5S/cm以上であり、高いイオン伝導率を示した。一方、本願発明の範囲外にあるサンプル15〜19のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、イオン伝導率が1×10−5S/cmより小さく、サンプル1〜14に比べてイオン伝導率が低かった。また、サンプル1〜13のリチウムイオン伝導性セラミックス材料はイオン伝導率が1×10−4S/cm以上であり、サンプル14〜19よりも、さらに高いイオン伝導率を示した。
したがって、サンプル1〜14のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、原材料の一部にMg及びSrといった埋蔵量が比較的多く安価なものを用いても、焼結により容易に形成されることができ、高いイオン伝導率を有する。さらに、コストの低減を図ることができる。また、リチウムイオン伝導性セラミックス材料がリチウム電池における、固体電解質層、正極層、負極層、及び保護層のいずれか少なくとも一つに含まれることにより、コストを抑えつつ高性能なリチウム電池を製造することができる。
また、サンプル1〜14のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、相対密度が、いずれも86(%)以上であった。このような高い相対密度を有するサンプル1〜14のリチウムイオン伝導性セラミックス材料をリチウム電池の固体電解質層や保護層として用いた場合には、これらを薄板化することができ、リチウム電池の内部抵抗値を低減することができる。
10、210 全固体電池
11、211 固体電解質層
12、212 正極層
13、213 負極層
14、214 第1の集電部
15、215 第2の集電部
216 第1の保護層
217 第2の保護層

Claims (6)

  1. Li、La、Zr、Mg及びSrを含み、含有される各元素がモル比で下記の(1)〜(3)を満たし、かつガーネット型結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料。
    (1)1.33≦Li/(La+Sr)≦3
    (2)0<Mg/(La+Sr)≦0.5
    (3)0<Sr/(La+Sr)≦0.67
  2. Li、La、Zr、Mg及びSrを含み、含有される各元素がモル比で下記の(1´)〜(3´)を満たし、かつガーネット型結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料。
    (1´)2.0≦Li/(La+Sr)≦2.5
    (2´)0.01≦Mg/(La+Sr)≦0.14
    (3´)0.04≦Sr/(La+Sr)≦0.17
  3. 室温におけるイオン伝導率が1×10−5S/cm以上である請求項1又は2に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  4. 相対密度が86%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  5. 固体電解質層と正極層と負極層とを備えるリチウム電池において、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料が、前記固体電解質層、前記正極層、及び前記負極層の少なくとも一つに含まれるリチウム電池。
  6. 固体電解質と正極層と負極層とを備えるリチウム電池において、
    前記固体電解質層と前記正極層との間、及び前記固体電解質層と前記負極層との間の少なくとも一方に保護層をさらに備え、
    前記固体電解質層、前記正極層、前記負極層及び前記保護層の少なくとも一つに請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料が含まれるリチウム電池。
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