JP6576685B2 - リチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法 - Google Patents

リチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法に関する。
近年、パソコン及び携帯電話等の電子機器の普及、自然エネルギーの貯蔵技術の発展、及び電気自動車等の普及により、安全でエネルギー密度の高い二次電池の需要が高まっている。二次電池には、正極と負極との間のイオン移動を担う電解質として有機電解液を用いるものがある。しかしながら、有機電解液を用いる二次電池では、有機電解液の漏洩、発火、爆発等の危険性があり、安全面において好ましくない場合がある。そこで、近年、高い安全性を確保するために、有機電解液に代えて固体電解質を用いると共に他の電池要素をすべて固体で構成した全固体二次電池の開発が進められている。
全固体二次電池は、電解質がセラミックスであるので、漏洩や発火のおそれがなく安全である。また、全固体二次電池は、有機電解液を用いた二次電池に設けられている外装を簡略化でき、各電池要素を積層化することにより小型化することができるので、単位体積あたり及び単位重量あたりのエネルギー密度を向上させることができる。全固体二次電池の中でも、電極にリチウム金属を含む全固体リチウム二次電池は、高エネルギー密度化が期待されている。全固体リチウム二次電池では、リチウム金属の反応性が高いため、リチウム金属に対して安定な、特定の材料で構成された電解質を用いる必要がある。
そのような電解質を構成する材料として、ガーネット型結晶構造を有するセラミックス材料であるLiLaZr12(以下においてLLZと称する)が期待されている。
例えば、特許文献1には、「正極と、負極と、LiとLaとZrとOからなるガーネット型もしくはガーネット型類似の結晶構造を有するセラミックスを含有する固体電解質と、を備える、全固体リチウム二次電池」(特許文献1の請求項1)が開示されている。負極に含有される負極活物質として、金属リチウム、Li金属化合物等が例示され(特許文献1の0045欄)、Li−La−Zr系セラミックスは良好な耐金属Li性を有することが示されている(特許文献1の0065欄〜0067欄)。また、Li−La−Zr系セラミックスペレットを固体電解質、負極に金属Li、正極にLiCoOを用いた全固体電池を作製し、5μA/cmの電流密度で充放電試験を行うことにより、全固体電池が動作していることを確認している(特許文献1の0068欄及び0069欄)。
特許文献2には、「・・・Mg,Al,Si,In,Ag及びSnのうち少なくとも1以上の所定元素を含むリチウム合金を含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在し組成式Li5+XLa(Zr,A2−X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表されるガーネット型酸化物の固体電解質と、を備えた全固体型リチウム二次電池」(特許文献2の請求項1)が開示されている。
特開2010−45019号公報 特開2011−70939号公報
ところで、本発明の発明者らが固体電解質としてLLZ、負極としてリチウム金属を用いてリチウム二次電池を作製し、室温で充放電試験を行ったところ、数mA/cmという比較的高い電流密度で放電しても短絡することなく動作するが、充電する際には、数十μA/cm程度の電流密度で短絡してしまうことが分かった。短絡が起こったリチウム二次電池は、負極と正極とが通電した状態になり、電池として機能しなくなってしまう。また、リチウム二次電池が短絡してしまうと、短絡した部分に一度に大電流が流れるため、発熱が起こると考えられる。すなわち、固体電解質としてLLZ、負極としてリチウム金属を用いたリチウム二次電池を高い電流密度で充電すると短絡するおそれがあり、短絡した場合には発熱による危険性がある。一方、低い電流密度で充電することによりリチウム二次電池が短絡しないようにすると、充電に長時間を要することになる。パソコン及び携帯電話等の電子機器、並びに電気自動車等に用いられるリチウム二次電池は、短時間で充電できることが要求されることから、高い電流密度で充電できることが望ましい。
本発明は、短絡を防止しつつ高い電流密度で充電することのできるリチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有し、
前記固体電解質層は焼結体であり、
50℃以上で前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電されることを特徴とするリチウム二次電池である。
前記[1]の好ましい態様は、以下の通りである。
[2] 充電した後の固体電解質層は、前記負極層の表面から前記固体電解質層に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層と前記固体電解質層との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層と前記固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることを特徴とする前記[1]に記載のリチウム二次電池である。
[3] 前記固体電解質層は、室温におけるリチウムイオン伝導率が10−5S/cm以上であり、相対密度が86%以上であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のリチウム二次電池である。
[4] 前記負極層は、Li金属、Li−Al合金、Li−Sn合金、及びLi−Si合金からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする前記[1]〜前記[3]のいずれか一項に記載のリチウム二次電池である。
[5] 前記負極層及び前記正極層は、それぞれ固体であることを特徴とする前記[1]〜前記[4]のいずれか一つに記載のリチウム二次電池である。
前記別の課題を解決するための手段は、
[6] Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
正極活物質を含有する正極層と、
前記負極層と前記正極層の間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
を有し、
前記固体電解質層は焼結体であるリチウム二次電池を、50℃以上で前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電することを特徴とするリチウム二次電池の充電方法である。

本発明によると、短絡を防止しつつ300μA/cm以上という高い電流密度で充電することのできるリチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法を提供することができる。
図1は、本発明に係るリチウム二次電池の一実施例であるリチウム二次電池を示す断面概略説明図である。
1.リチウム二次電池
本発明に係るリチウム二次電池の一実施例であるリチウム二次電池を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るリチウム二次電池の一実施例であるリチウム二次電池を示す断面概略説明図である。このリチウム二次電池10は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13を有する電池素子部18と、一対の集電体14,15と、外装体19とを備える。このリチウム二次電池10は、固体電解質層11、正極層12、及び負極層13がすべて固体であるので、全固体リチウム二次電池と称することもできる。
前記負極層13は、負極活物質として、Li金属又はLi合金を含有する。Li合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金(Li−Al合金)、リチウム−スズ合金(Li−Sn合金)、リチウム−シリコン合金(Li−Si合金)、リチウム−マグネシウム合金(Li−Mg合金)等が挙げられる。これらの中でも高エネルギー密度のリチウム二次電池とすることができる点で、前記負極層13は、Li金属、Li−Al合金、Li−Sn合金、Li−Si合金、及びLi−Mg合金からなる群より選択される少なくとも一種を含有するのが好ましく、これらのLi金属又はLi合金のみにより構成されるのがより好ましい。前記負極層13は、さらに固体電解質を含んでいてもよい。負極層13に含まれる固体電解質としては、特に限定はなく、Liイオン伝導性を有している材料であればよい。例えば、負極層13に含まれる固体電解質としては、固体電解質層11に含まれるリチウムイオン伝導性セラミックス材料、Li(Zr,Nb)(PO(LZNPと称する)、Li(Al,Ge)(PO(LAGPと称する)、Li(Al,Ti)(PO(LATPと称する)、Li(Zr,Nb)(PO(LZNPと称する)、Li(Zr,Ca)(PO(LZCPと称する)、La2/3−xLi3xTiO3(LLTと称する)、LiS−P、LiBO、LiPO等が挙げられる。なお、負極活物質の電子導電性が不十分な場合には、負極活物質及び固体電解質と共に導電助剤が含有されてもよい。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有する材料であればよい。例えば、導電助剤としては、導電性カーボン、ニッケル(Ni)、白金(Pt)及び、銀(Ag)等が挙げられる。
前記正極層12は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、特に限定はなく、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiFePO、硫黄、LiS、FeS、NiS、及びTiS等が挙げられる。前記正極層12は、さらに固体電解質を含んでいてもよい。正極層12に含まれる固体電解質としては、特に限定はなく、リチウムイオン伝導性を有している材料であればよい。正極層12に含まれる固体電解質としては、負極層13に含まれる固体電解質として例示した物質を挙げることができる。なお、正極活物質の電子導電性が不十分な場合には、正極活物質及び固体電解質と共に導電助剤が含有されてもよい。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有する材料であればよい。導電助剤としては、負極層13に含まれる導電助剤として例示した物質を挙げることができる。
前記固体電解質層11は、負極層13と正極層12との間に配置されている。前記固体電解質層11は、Li、La、Zr、及びOを少なくとも含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、粉末状であっても、所定の大きさを有する焼結体(バルク体)であってもよい。固体電解質層11は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体により構成されるのが好ましい。また、固体電解質層11は、粉末状のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を、単独で又は他の材料と共に適宜の形状に成形及び焼結して形成された焼結体により構成されてもよい。このリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、例えばNASICON型構造の酸化物及びペロブスカイト型酸化物等に比べてリチウム金属又はリチウム合金と反応し難いので、負極層13にリチウム金属又はリチウム合金を含有させることができる。この実施形態のリチウム二次電池10は、固体電解質層11がリチウム金属又はリチウム合金と反応し難いので、リチウム金属又はリチウム合金を含有する負極層13を用いることができ、その結果、高いエネルギー密度を有する。
前記リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、Li成分、La成分、及びZr成分を含む材料を所定の比率で配合した原料を焼成することにより得られる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料としては、例えば下記一般式(I)に示される化合物が挙げられる。下記一般式(I)に示される化合物は、Liが配置されるサイト(Liサイトと称する)、Laが配置されるサイト(Laサイトと称する)、及びZrが配置されるサイト(Zrサイトと称する)を有する。リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、一般式(I)に示される化合物における、Liサイト、Laサイト、及びZrサイトの少なくとも一つのサイトにおいて、その一部が他の元素で置換されているのが好ましい。一般式(I)に示される化合物において、Liサイト、Laサイト、Zrサイトの一部が他の元素で置換されていると、ガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有する化合物になり易くなる場合及びリチウムイオンの伝導パスに有利になる場合があり、適切な置換元素を選択し、適切な置換量とすることでリチウムイオン伝導率が高くなる場合がある。前記他の元素としては、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、K、Y、Pr、Nd、Sm、Gd、Lu、Sc、Ti、V、Ga、Nb、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、Bi、Si、Ge、Sb、及びTe等を挙げることができる。これらの中でも、一般式(I)に示される化合物においてLi、La、及びZr以外に含有される元素は、リチウムイオン伝導率が高くなる点で、Al、Mg、Sr、Nb、Ta、Biが好ましい。
LiLaZr12(LLZ)・・・一般式(I)
固体電解質層11に含まれる元素の種類及びこれらの含有量は、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により測定することができる。具体的には、固体電解質層11を粉砕した粉末を酸等の溶媒に溶解させた溶液をICP発光分光分析装置にかけて、組成分析を行う。
固体電解質層11が、ガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有することは、固体電解質層11の粉砕粉末をX線回折装置(XRD)で分析することにより確認することができる。具体的には、まず、固体電解質層11を粉砕して得られた粉末をX線回折装置(XRD)により分析し、X線回折パターンを得る。得られたX線回折パターンと、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードとを対比することにより、固体電解質層11に含有される物質が同定される。なお、X線回折パターンの対比は、LLZに対応するICDDカード(01−080−4947)(LiLaZr12)を利用して行う。ガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、添加物の有無や種類によって、ICDDカード(01−080−4947(LiLaZr12))と組成が異なるので、回折ピークの回折角度及び回折強度比が異なる場合もある。ガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造とは、Li、La、Zr以外の元素が含有される場合の回折ピークの回折角度及び回折強度比のズレを許容するものである。
固体電解質層11は、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)で分析することにより、Li、La、及びZr等の各元素の存在が確認され、XRD分析したときにガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造の金属酸化物を示すピークが検出されるものであればよく、前記金属酸化物を示すピークのうちの強度が大きい3つのピークの強度が、これ以外の物質を示すピークのうちの強度が大きい3つのピークの強度よりも大きいのが、所望のリチウムイオン伝導率が得られる点で好ましい。
固体電解質層11は、室温におけるリチウムイオン伝導率が10−5S/cm以上であるのが好ましく、10−4S/cm以上であるのがより好ましい。固体電解質層11のリチウムイオン伝導率が前記範囲にあると、内部抵抗が小さく、所望の性能を有するリチウム二次電池10を提供することができる。
固体電解質層11のリチウムイオン伝導率を高くする方法としては、固体電解質層11中に含まれるガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の割合を多くする方法等が挙げられる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料の割合を多くする方法としては、例えば、固体電解質層11を製造する際にLi成分、La成分、及びZr成分以外に、Liサイト、Laサイト、Zrサイトに配置されることのできる元素を含む成分を所定量配合した配合材料を焼結する方法等を挙げることができる。
リチウムイオン伝導率は、次のようにして求めることができる。まず、固体電解質層11の両面をそれぞれ研磨して、研磨面に金コーティングを施した後に、交流インピーダンス法によって、室温において固体電解質層11の比抵抗を測定する。イオン伝導率は比抵抗の逆数として算出することができる。
前記固体電解質層11は緻密であることが好ましい。具体的には、固体電解質層11の理論密度に対する相対密度が86%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。固体電解質層11の相対密度が86%以上、特に90%以上であると、リチウム二次電池10の内部で短絡が起こるのを抑制することができる。短絡は、固体電解質層11中の粒界や気孔をLiデンドライドが通ることにより発生すると考えられ、粒界や気孔等がより少なく緻密であることが好ましい。
固体電解質層11の相対密度を高くする方法としては、固体電解質層11の焼結性を向上させる方法等が挙げられる。固体電解質層11の焼結性を向上させる方法としては、例えば、一般式(1)に示される組成比よりもZr成分を過剰に配合した配合材料を焼結することにより、固体電解質層11にリチウムイオン伝導性セラミックス材料とLiZrOとが形成されるようする方法等を挙げることができる。固体電解質層11にリチウムイオン伝導性セラミックス材料とLiZrOとが形成されると、粒界に析出しやすいと考えられる物質、例えば、Alを含む酸化物、La及びAlを含む酸化物等が析出し難くなり、それによって粒界の成長が抑制され、大きな粒界が形成され難くなると考えられ、その結果、相対密度を高くすることができる。
前記相対密度は、次のようにして求めることができる。まず、固体電解質層11の乾燥質量を例えば電子天秤で測定し、固体電解質層11の体積をノギスで測定する。測定した乾燥質量を体積で割ることにより、固体電解質層11の測定密度を算出する。一方、固体電解質層11の理論密度を算出する。相対密度(%)は、測定密度を理論密度で割り、100を掛けた値として求めることができる。
前記固体電解質層11と負極層13との室温における界面抵抗は、3000Ω/cm以下であるのが好ましく、500Ω/cm以下であるのがより好ましい。界面抵抗が3000Ω/cm以下、特に500Ω/cm以下であると、充電する際に固体電解質層11と負極層13との界面にリチウム金属が局所的に析出するのを抑制することができ、析出したリチウム金属に大きな電流が流れて短絡するのを抑制することができる。
前記界面抵抗を小さくする方法としては、固体電解質層11と負極層13との接合状態を良好にする方法を挙げることができる。固体電解質層11と負極層13との接合状態を良好にする方法としては、リチウム二次電池10を製造する際に、固体電解質層11の表面を研磨等により平坦に形成し、この平坦面に負極層13を形成する方法、また、負極層若しくは固体電解質層を溶融させて接合する方法、負極層若しくは固体電解質層を熱により軟化させて圧着接合する方法、負極層にヤング率の低いLiS−P等の固体電解質層を圧着又は加熱圧着する方法、後述するように、固体電解質層と負極層との間に中間層を設ける方法等を挙げることができる。
固体電解質層11と負極層13との間の界面抵抗は、次のようにして求めることができる。まず、測定する固体電解質層11を同一の組成を有する電極で挟んだ構造を有する対称セルを準備する。対称セルは、負極層13を構成するLi金属又はLi合金を含有する電極を固体電解質層11に押圧して固定することにより作製する。次いで、対称セルの界面抵抗を交流インピーダンス法により測定する。
一対の集電体14,15は、第1の集電体14と第2の集電体15とを有する。第1の集電体14は、正極層12における固体電解質層11が配置されている側とは反対側に配置されている。第2の集電体15は、負極層13における固体電解質層11が配置されている側とは反対側に配置されている。一対の集電体14,15は、負極層13及び正極層12から集電を行うことができる限り、その形状及び形成する材料は特に限定されない。一対の集電体14,15の形状は、リチウム二次電池10の用途等に応じて適宜設定され、例えば箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。一対の集電体14,15を形成する材料は、導電性を有する材料であり、例えば、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(2)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等を挙げることができる。一対の集電体14,15は、例えば前述した材料により形成されるバルク体であってもよいし、前述した材料の粉末を成形した圧紛体であってもよい。
電池素子部18と一対の集電体14,15とは、外装体19に収容される。外装体19の形状は、電池素子部18と一対の集電体14,15とを覆うことができる限り特に限定されず、リチウム二次電池10の用途等に応じて適宜設定される。外装体19の形状は、例えば、ラミネート型、コイン型、及び円筒型等を挙げることができる。外装体19を形成する材料は、絶縁性を有するものである限り特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂等を挙げることができる。また、電子素子部と外装体間に絶縁体(ガスを含む)を入れることで外装体は金属としてもよく、例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄(2)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金から選択される材料を挙げることができる。
外装体19は、気密に形成されているのが好ましい。外装体19の内部は、電池素子部18が反応し難い雰囲気であるのが好ましく、例えば、アルゴンガス等の不活性ガス、ドライ空気、及び窒素等のガス雰囲気を挙げることができる。負極層13がリチウム金属により構成されている場合には、リチウムと窒素や酸素との反応を防止するために外装体19内をアルゴンガス等の不活性ガスで置換して気密に形成するのが好ましい。
リチウム二次電池10は、図1に示すように、外装体19に収容される電池素子部18の数が一つである単電池である場合に限定されず、電池素子部18が集電体14,15を介して複数積層された積層電池であってもよい。積層電池は、複数の電池素子部18が直列に接続されたバイポーラ構造であってもよいし、複数の電池素子部18が並列に接続されたモノポーラ構造であってもよい。
外装体19に収容されたリチウム二次電池10は、これ一つで使用してもよいし、また、複数のリチウム二次電池10を直列又は並列に接続して使用してもよい。また、この実施形態のリチウム二次電池10は、外装体19を備えているが、外装体19を備えていなくてもよい。
リチウム二次電池10は、50℃以上で固体電解質層11と負極層13との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電される。リチウム二次電池10は、例えば常温で300μA/cm以上という高い電流密度で充電されると短絡してしまうが、50℃以上の温度で充電されると300μA/cm以上という高い電流密度で充電されても短絡するのを防止することができる。したがって、このリチウム二次電池10は、50℃以上の温度で300μA/cm以上という高い電流密度で充電されるので、短絡するのを防止しつつ短時間で充電することができる。リチウム二次電池10は、リチウム二次電池10の温度が高いほど電流密度をより高くして充電されても短絡するのを防止することができる。ただし、負極層13がリチウム金属で形成されている場合には、180℃を超えると負極層13が溶融するおそれがあるので、180℃以下で充電されるのが好ましい。リチウム二次電池10は、リチウム二次電池10を構成する材料及び構造等によって短絡を防止することのできる電流密度の上限値は異なるが、170℃で最大60000μA/cmで充電されても短絡を防止することができる。リチウム二次電池10が充電される際のリチウム二次電池10の温度及び電流密度は、リチウム二次電池10を構成する材料及び用途等に応じて適宜設定すればよい。
リチウム二次電池10は、リチウム二次電池10の温度が高くなるほど電流密度を高くして充電されても短絡するのを防止できるのは、次の理由によると考えられる。リチウム二次電池10を充電する際には、通常、リチウムイオンが正極層12から負極層13へ移動する。例えば常温において高い電流密度で充電すると、正極層12から負極層13へ移動するリチウムイオンが固体電解質層11と負極層13との界面、言い換えれば、負極層13の固体電解質層11側の表面に突起状析出物として、局所的に析出し易くなると考えられる。前記界面にリチウム金属若しくはLiを含む金属が突起状析出物として析出すると、ここに電流の集中が起こり、局所的に電流密度が高くなり過ぎて短絡し易くなると考えられる。一方、リチウム二次電池10の温度が高くなるほど固体電解質層11と負極層13との界面状態が良好になり、前記界面にリチウム金属若しくはLiを含む金属が突起状析出物として局所的に析出するのではなく、分散して析出するようになると考えられる。または、析出したリチウム金属若しくはLiを含む金属が軟化若しくは溶融し、突起状析出物になり難いと考えられる。そのため、電流の集中により局所的に電流密度が高くなり過ぎることがなく、温度が高くなるほど電流密度をより高くして充電しても短絡を防止することができると考えられる。
つまり、充電した後の固体電解質層11は、前記負極層13の表面から前記固体電解質層11に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層13と前記固体電解質層11との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層13と前記固体電解質層11とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることが好ましい。前記突起状析出物の存在割合は、さらに好ましくは5%以下であり、最も好ましくは、充電した後において、突起状析出物が存在しないこと、つまり、突起状析出物の存在割合が、0%であることが好ましい。
突起状析出物の存在割合は、以下の方法で測定することができる。
まず、リチウム二次電池10において、固体電解質層11と負極層13との積層方向に平行な断面画像が得られるように、リチウム二次電池10を切断する。
次に、切断したリチウム二次電池10において、走査型電子顕微鏡(SEM)にて固体電解質層11と負極層13との接合界面が撮像できるように、上記積層方向の断面SEM画像を撮像する。撮像倍率は、拡大しすぎも拡大しなさすぎも好ましくなく、例えば、500倍から5000倍程度が好ましい。もっとも、この倍率に限定されるものではなく、リチウム二次電池10の大きさによって適宜変更できる。
次に、撮像したSEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面を示す直線の画像全体の長さを、負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さとして測定する。なお、ここでいう上記「負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さ」とは、取得した断面SEM画像に写る負極層13と固体電解質層11との界面の全体長さであり、前記界面は略直線として示される。断面SEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面に凹凸等が存在している場合であっても、これらの凹凸の存在は無視して負極層13と固体電解質層11とが平面で接合し、断面SEM画像において、負極層13と固体電解質層11との界面は直線であると想定する。
さらに、同画像において、負極層13の表面に析出している析出物すなわち負極層13の表面から固体電解質層11に向かって突出している析出物のうち、前記直線上における長さが5μm以上の析出物の合計長さを算出する。
最後に、「前記直線上における長さが5μm以上の析出物の前記長さの合計長さ」を「負極層13と固体電解質層11とがなす直線の全長さ」で除算し、百分率表記することで突起状析出物の存在割合を算出する。
このようにして、突起状析出物の存在割合を測定することができる。
接触面積Scは、固体電解質層11と負極層13とが面で接合していると想定した場合の面積である。すなわち、拡大鏡等でみると固体電解質層11と負極層13との界面に凹凸等が存在している場合であっても、これらの凹凸の存在は無視して固体電解質層11と負極層13とが平面で接合していると想定して接合面積Scを測定する。つまり、接合面積Scとは、積層方向から負極層13を見た場合の平面図形の面積と同義である。
電流Ieは、リチウム二次電池10に供給される平均電流値である。リチウム二次電池10の充電方式は特に限定されず、平均電流値が所望の電流密度(Ie/Sc)になるように設定できればよく、パルス充電方式であっても、定電流電圧充電方式であってもよい。
リチウム二次電池10の温度を調整する方法は、特に限定されず、例えば、加熱手段及び/又は冷却手段を用いてリチウム二次電池の温度を調整する方法を挙げることができる。加熱手段としては、例えばヒータ及びペルチェ素子等を挙げることができ、リチウム二次電池10の表面に直接にヒータ等を設置する方法、リチウム二次電池10を容器に入れて、容器の内部又は外部にヒータ等を設置する方法等を挙げることができる。また、加熱手段としては、リチウム二次電池10を容器に入れて、容器の内部又は外部に所定の温度のガス又は液体を流す方法等を挙げることができる。また、加熱手段として、工場排熱、自動車の排熱、地熱、太陽熱等を挙げることができ、これらを組合せて利用してもよい。冷却手段としては、例えばリチウム二次電池10を容器に入れて、容器の内部又は外部に所定の温度のガス又は液体を流す方法を挙げることができる。また、冷却ファンにより外気を取り入れてリチウム二次電池210に外気を吹き付ける方法を挙げることができる。
リチウム二次電池10の温度は、次のようにして求めることができる。例えば温度測定装置をリチウム二次電池10の表面、リチウム二次電池が収納されている容器の内壁面等に設置して測定する。温度測定装置としては、熱電対、白金測温抵抗体等の接触式温度センサ、放射温度計等の非接触式温度センサ等を挙げることができる。
次に、本発明に係るリチウム二次電池の一実施例であるリチウム二次電池10の製造方法の一例を以下に説明する。
まず、この実施形態のリチウム二次電池10における固体電解質層11の製造方法を説明する。固体電解質層11は、原料を配合して配合材料を得る配合工程と、得られた配合材料を焼成する焼成工程とを有する。
前記配合工程では、原料として、Li成分、La成分、及びZr成分を少なくとも含む材料を配合して配合材料を得る。配合される各成分は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られる成分比で配合する。Liは焼成中に揮発し易いので、一般式(1)に示される組成比よりも多く含有させる。また、配合材料には、Li成分、La成分、及びZr成分以外にLiサイト、Laサイト、Zrサイトに配置されることのできる元素を含む成分を所定量配合するのが好ましい。得られた配合材料を後述するように焼成することにより一般式(I)で示されるリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体、又は、一般式(I)に示される結晶相の一部が他の元素で置換されたリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を得ることができる。
前記各成分を含む材料は、焼成により各成分に転化する材料であれば特に制限はなく、例えば、Li、La、及びZr等の各成分を含む、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩等を挙げることができる。前記各成分を含む材料として、具体的には、LiO、LiOH、LiCO、La、La(OH)、ZrO等の粉末を挙げることができる。前記各成分を含む材料は、酸素(O)成分を含んでいても含んでいなくてもよい。前記各成分を含む材料が酸素(O)成分を含んでいない場合には、酸化雰囲気で後述する焼成工程を行う等、焼成雰囲気を適宜設定することにより、Li、La、Zr、及びOを少なくとも含有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を得ることができる。
前記配合材料の調製は、公知のセラミックスの合成における原料粉末の調製方法を適宜採用することができる。例えば、前記各成分を含む材料を、ジルコニアボールと共にポットに投入し、有機溶媒中で8〜20時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して配合材料を得る。前記有機溶媒としては、例えば、エタノール、ブタノール等のアルコールやアセトン等を挙げることができる。
前記焼成工程の前には、配合材料を仮焼成する工程を有するのが好ましい。この工程では、例えば、前記配合材料を、坩堝中で900〜1100℃で2〜15時間仮焼成を行い、仮焼成材料を得る。仮焼成工程を行うことにより、焼成工程の後にガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有する材料が得られやすくなる。
前記焼成工程の前には、前記仮焼成材料にバインダーを加えて粉砕混合する工程を有するのが好ましい。この工程では、例えば、前記仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で8〜100時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得る。仮焼成材料をさらに粉砕混合することにより、焼成工程の後に均一な結晶相が得られ易くなる。前記バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリビニルブチラール等を挙げることができる。前記有機溶媒としては、エタノール、ブタノール、及びアセトン等を挙げることができる。
前記焼成工程では、前述した配合工程を経て得られた配合材料を焼成する。具体的には、前記配合材料を所望の形状及び大きさを有する金型に投入し、プレス成形した後に、例えば、冷間静水等方圧プレス機(CIP:Cold Isostatic Pressing)を用いて1〜2t/cmの静水圧を印加し、成形体を得る。この成形体を1000〜1250℃で3〜36時間にわたって焼成することでリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体が得られる。
前記配合材料が酸素成分を含んでいない場合には、酸素雰囲気で前記成形体を焼成するのが好ましく、前記配合材料が酸素成分を含んでいる場合には、窒素等の不活性ガスからなる不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気で前記成形体を焼成してもよい。なお、前記配合工程の後に、さらに仮焼成をする工程を実施した場合には前記仮焼成材料に対して前記焼成工程を行う。前記配合工程の後に、さらにバインダーを加えて粉砕する工程を実施した場合には前記未焼成材料に対して、前記焼成工程を行う。
この固体電解質層11の製造方法によると、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を容易に製造することができる。得られた焼結体は、そのまま又は適宜加工して、リチウム二次電池10の固体電解質層11として使用することができる。
前記正極層12及び前記負極層13は、公知のセラミックス成形体の製造方法を適宜採用して製造することができる。例えば、まず、前述した正極活物質、固体電解質、所望により導電助剤になる化合物の粉末を、所定の割合で混合して混合粉末を得る。次いで、この混合粉末を加圧成形可能な円筒型内に入れる。第1の集電体14として用いる例えばSUS製の基材と得られた混合粉末とをこの順に前記円筒型内に積層配置し、プレス成形することにより正極ペレットを得る。負極ペレットについても正極ペレットと同様にして作製する。
次いで、正極ペレット、固体電解質層、及び負極ペレットを、この順に正極ペレット及び負極ペレットの集電体14,15が外側に配置されるように積層して、積層体を得る。次いで、第1の集電体14及び第2の集電体15を介して所定の圧力で前記積層体を挟持することで各部材を固定する。こうして、リチウム二次電池10が得られる。
なお、リチウム二次電池10の製造方法としては、上述した方法以外に、正極層、固体電解質層、及び負極層それぞれを未焼成の状態でこの順に積層し、同時に焼成する方法、板状に焼成した固体電解質層に正極層及び負極層をそれぞれ焼き付ける方法、及び板状に焼成した固体電解質層に正極層及び負極層を焼き付ける際に圧力をかけて焼き付ける方法(ホットプレス法)等がある。
2.リチウム二次電池の充電方法
本発明に係るリチウム二次電池の充電方法の一例であるリチウム二次電池の充電方法を以下に説明する。以下においては、前記実施形態のリチウム二次電池10の充電方法を例に挙げて説明する。
この実施形態のリチウム二次電池10の充電方法は、リチウム二次電池10を50℃以上で固体電解質層11と負極層13との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電する。リチウム二次電池10の充電方法は、リチウム二次電池10を80℃以上180℃以下で、電流密度を300μA/cm以上6000μA/cm以下にして充電するのが好ましく、150℃以上170℃以下で、電流密度を1000μA/cm以上3000μA/cm以下にして充電するのがより好ましい。リチウム二次電池10における負極層13がリチウム金属で形成されている場合には、180℃を超えると負極層13が溶解するおそれがあるので、180℃以下で充電するのが好ましく、安全性の点から170℃以下で充電するのがより好ましい。また、リチウム二次電池10は、リチウム二次電池10の温度が高いほど電流密度をより高くして充電しても短絡するのを防止することができる。したがって、リチウム二次電池10の温度は80℃以上にするのが好ましく、150℃以上にするのがより好ましく、そのリチウム二次電池10の温度において短絡を防止することのできる最大の電流密度で充電するのが好ましい。リチウム二次電池10は、高い電流密度で充電するほど、短い時間で充電を完了することができる。リチウム二次電池10は、リチウム二次電池10を構成する材料及び構造等によって短絡を防止することのできる電流密度の上限値が異なるので、リチウム二次電池10を構成する材料及び構造等によって電流密度は適宜設定される。
本発明に係るリチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法によると、50℃以上の温度で充電することにより、短絡を防止しつつ300μA/cm以上という高い電流密度で充電されることができ、その結果、短い時間で充電を完了することができる。したがって、本発明に係るリチウム二次電池及びリチウム二次電池の充電方法は、パソコン及び携帯電話等の電子機器、並びに電気自動車等に用いられる、短時間で充電されることが要求される電池及びその充電方法として好適に用いられる。
本発明に係るリチウム二次電池は、前述した実施形態に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、本発明に係るリチウム二次電池は、負極層と電解質層との間に金などにより形成される中間層を備える構成としてもよいし、正極層と電解質層との間に金などにより形成される中間層を備える構成としてもよい。
また、本発明に係るリチウム二次電池は、負極活物質がリチウム金属又はリチウム合金であり、正極活物質が酸素であるリチウム空気電池であってもよい。また、本発明に係るリチウム二次電池は、正極層や負極層にリチウムイオン伝導性を有するイオン液体や有機電解液を含有していてもよい。有機電解液としては、例えば、EC(エチレンカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)等の溶媒に、LiPF等の電解質が溶解されたものが挙げられる。正極層に水系の電解液を含有していてもよく、例えば、水酸化リチウム水溶液、フッ化リチウム水溶液、塩化リチウム水溶液、臭化リチウム水溶液、ヨウ化リチウム水溶液、酢酸リチウム水溶液、硫酸リチウム水溶液、クエン酸リチウム水溶液等が挙げられる。
1.リチウムイオン伝導性セラミックス材料の評価
(サンプル1)
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料の作製]
原料粉末である、LiCO、La(OH)、ZrOを、Li、La、及びZrの各成分の比率が、Li:La:Zr=7:3:2(モル比)になるように秤量し、さらにLiは焼成中に揮発し易いので、秤量したLiCOに対して、リチウム揮発分を考慮して10質量%多く添加した。これをジルコニアボールと共にアルミナポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。
得られた配合材料を、アルミナ坩堝中で、1100℃で10時間にわたって仮焼成を行い、仮焼成材料を得た。この仮焼成材料にバインダーを加えて、有機溶媒中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得た。この未焼成材料を直径10mmの金型に投入し、プレス成形した後に、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5t/cmの静水圧を印加し、成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、大気雰囲気において1200℃で16時間にわたって焼成することで、直径10mm、厚さ1mmのリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を得た。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料のXRD分析]
前記焼結体を粉砕して得られた粉末をX線回折装置(XRD)で分析して、X線回折パターンを得た。得られたX線回折パターンとICDDカードとを対比した結果、前記焼結体は、LLZ立方晶のICDDカードとほぼ一致することが確認された。したがって、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体は、ガーネット型結晶構造又はガーネット型類似の結晶構造を有すると判断できる。
[イオン伝導率]
前記焼結体の両面を研磨して、研磨面に金スパッタによってコーティングを施した後に、交流インピーダンス法によって、室温において、前記焼結体の比抵抗及びイオン伝導率を測定した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、測定される抵抗R(比抵抗)は、粒内抵抗raと粒界抵抗rbとの合計である(R=ra+rb)。また、イオン伝導率Icは、その抵抗Rの逆数として求められる(Ic=1/R)。その結果、前記焼結体のイオン伝導率は、4×10−4S/cmであった。
[相対密度]
前記焼結体の乾燥質量を電子天秤で測定し、体積をノギスで測定した。乾燥質量を体積で割ることにより各試料の測定密度を算出した。また、それぞれの組成の理論密度を算出した。測定密度を理論密度で割り、100を掛けた値を相対密度として算出した。その結果、前記焼結体の相対密度は、92%であった。
[界面抵抗]
前記焼結体の両面に、Li金属電極を押圧して固定することにより対称セルを作製した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、Li金属と固体電解質層との接合体では、「イオン伝導率」を測定時に測定される粒内抵抗raと粒界抵抗rbに加えて、Li金属と固体電解質層との間で観測される界面抵抗riが測定される。この対称セルの界面抵抗riを測定したところ、室温(25℃)で650Ω/cmであり、80℃で89Ω/cmであり、170℃で0.5Ω/cmであった。この結果から、焼結体の温度が高くなるほど、前記焼結体の界面抵抗が小さくなることが分かる。
(サンプル2)
原料粉末として、LiCO、La(OH)、ZrO以外にSrCO、MgOを添加し、Li、La、Zr、Sr、Mgの各成分の比率が、Li:La:Zr=6.95:2.75:2:0.25:0.15(モル比)になるように秤量し、さらにLiは焼成中に揮発し易いので、秤量したLiCOに対して、リチウム揮発分を考慮して14質量%多く添加した。これをジルコニアボールと共にナイロン製ポットに投入し、エタノール中で15時間にわたってボールミルで粉砕混合し、さらに乾燥して配合材料を得た。
得られた配合材料を、マグネシア板上で、1100℃で10時間にわたって仮焼成を行い、仮焼成材料を得た。この仮焼成材料にバインダーを加えて有機溶媒中で60時間にわたってボールミルで粉砕混合して、さらに乾燥して未焼成材料を得た。この未焼成材料を直径10mmの金型に投入し、プレス成形した後に、冷間静水等方圧プレス機(CIP)を用いて1.5t/cmの静水圧を印加し、成形体を得た。この成形体を成形体と同じ組成の仮焼粉末で覆い、窒素雰囲気において1200℃で4時間にわたって焼成することで、直径10mm、厚さ1mmのリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を得た。
この焼結体のイオン伝導率は1.4×10−3S/cm、相対密度は93%、界面抵抗は、室温(25℃)で22.5Ω/cm、170℃で0.18Ω/cmであった。
[電流密度と温度との関係]
(実施例1)
サンプル1の焼結体の両面に、直径10mm、厚さ0.1mmのLi金属箔を加圧接合し、これを170℃で1時間保持し、その後冷却してLi/LLZ/Li接合体を得た。前記Li/LLZ/Li接合体におけるLi金属箔にSUS製の集電体を接合して試験体を作製した。
前記試験体を、所定の温度に保持された容器に入れて、500秒間にわたって直流電流を印加し続ける試験を行った。
印加した直流電流の平均電流をIe、前記焼結体とLi金属箔との接触面積をScとして、IeをScで除した値を電流密度(Ie/Sc)として、温度25℃、電流密度300μA/cmで試験を行った結果、試験体が短絡した。そこで、電流密度を300μA/cmにしたままで、温度を300℃、170℃に上げてそれぞれ試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。さらに、温度170℃で、電流密度6000μA/cmで試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。
(実施例2)
サンプル2の焼結体を用いたこと以外は実施例1と同様にして試験体を作製した。この試験体を温度25℃、電流密度300μA/cmで、サンプル1と同様にして試験を行った結果、試験体が短絡した。温度を80℃、170℃に上げてそれぞれ試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。また、温度170℃で、電流密度7000μA/cmで試験を行った結果、試験体は短絡しなかった。さらに電流密度を上げて8000μA/cmで試験を行った結果、試験体が短絡した。
[突起状析出物の存在割合]
実施例1において、サンプル1により形成された試験体を、温度25℃、電流密度300μA/cmで試験を行った結果短絡した試験体と、温度170℃、電流密度300μA/cmで試験を行った結果短絡しなかった試験体において、SEM画像により固体電解質層と負極層との界面を含む断面の観察を行った。
温度25℃、電流密度300μA/cmで試験を行った試験体の断面において、負極層と固体電解質層との界面には、負極層の表面から固体電解質層に向かって突出すると共に、負極層と固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上である突起状析出物が存在していた。前述したように、突起状析出物の存在割合を測定したところ、36%であった。
温度170℃、電流密度300μA/cmで試験を行った試験体の断面にいて、負極層と固体電解質層側との界面には、前記直線上における長さが5μm以上である突起状析出物が存在していなかった。すなわち、突起状析出物の存在割合は0%であった。
これらの結果より、充電した後であっても、負極層と固体電解質層との界面における突起状析出物の存在割合が20%以下であれば、電流の集中により局所的に電流密度が高くなり過ぎることがなく、充電時の温度が高くなるほど電流密度をより高くして充電しても短絡を防止することができると考えられる。
実施例1及び2に示されるように、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層の両面にLi金属箔を接合したLi/LLZ/Li接合体は、25℃で電流密度300μA/cmという比較的高い直流電流を供給すると短絡するが、50℃以上にすると短絡しないことが分かった。
2.リチウム二次電池の評価
[リチウム二次電池の作製]
(サンプルA)
正極層となる正極合材は、正極活物質としてFeSと、硫化物系固体電解質ガラスとして80LiS−20Pとを6:4の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た。
前記圧紛体とサンプル1のリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体とを重ね合わせて、190℃で1時間加熱してこれらを接合した。次いで、前記焼結体における正極合材の圧紛体が接合されていない面に、負極層としてLi金属箔を加圧接合し、これを170℃で1時間保持して、正極層と固体電解質層と負極層とが積層されてなる電池素子部を作製した。
(サンプルB)
正極活物質として硫黄と、硫化物系固体電解質ガラスとして80LiS−20Pと、導電助剤として導電性カーボンであるケッチェンブラックとを6:6:1の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た正極合材を用いたこと以外は、サンプルAと同様にして電池素子部を作製した。
(サンプルC)
正極層となる正極合材は、サンプルBと同じものを準備した。固体電解質層となる焼結体は、サンプル1のリチウムイオン伝導性セラミックス材料の焼結体を準備した。負極層となる負極合材は、Li−Al合金(モル比でLi:Al=1:1)と、硫化物系固体電解質ガラスとして80LiS−20Pとを1:1の質量比で混合し、圧粉体とすることで得た。集電体はSUS製のものを2枚準備した。集電体、負極合材、焼結体、正極合材、集電体の順に積層し、加熱することなく、これらを加圧固定治具に50MPaで挟んで固定接合し、集電体と正極層と固体電解質層と負極層と集電体とが積層されてなる電池素子部を作製した。
(サンプルD)
正極活物質としてLiCoOと、硫化物系固体電解質ガラスとして80LiS−20Pとを6:4の質量比で混合し、圧紛体とすることで得た正極合材を用いたこと以外は、サンプルCと同様にして電池素子部を作製した。
[充放電試験]
(比較例1)
サンプルA〜Dの電池素子部を、それぞれアルゴン雰囲気を維持した恒温槽に入れて、充放電試験を行った。恒温槽は温度検出部と加熱手段と冷却手段とを有し、設定した温度と温度検出部で検出した温度との差に応じて加熱手段又は冷却手段が作用することによって、恒温槽を設定した温度に維持することができる。電池素子部を充放電する充電制御器としてソーラトロン社製の1470E型マルチスタットを用いた。恒温槽の温度検出部、加熱手段、及び冷却手段、並びに1470E型マルチスタットはパソコンに繋がれており、恒温槽の温度と電流密度とが適宜変更できるシステムとなっている。比較例1では、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電池素子部に供給する電流密度を12.8μA/cmにして1サイクルの充放電を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、短絡することなく充放電できたが、電流密度が小さいので充電に長時間を要すると考えられる。
(比較例2)
電流密度を300μA/cmにしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、放電することができたが、充電を行うと短絡してしまった。
(比較例3)
恒温槽の温度を185℃、電流密度を300μA/cmにしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、負極層のLi金属が溶融し、電池側面部から正極層と短絡して放電及び充電することができなかった。
(実施例11)
恒温槽の温度を80℃、電流密度を300μA/cmにしたこと以外は比較例1と同様にして、サンプルA〜Dの電池素子部の充放電試験を行った。その結果、サンプルA〜Dのすべての電池素子部は、放電及び充電のいずれの過程においても短絡しなかった。
(実施例12)
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cmで放電し、その後、温度を120℃に一定にした状態で、電流密度を128、256、348、256、128μA/cmの順に1000秒毎に変化させて充電したところ、短絡することなく充電することができた。
(実施例13)
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cmで放電し、その後、温度を170℃に一定にした状態で、電流密度を64、128、256、640、1280、2000、1280、640、256、128、64μA/cmの順に1000秒毎に変化させて充電したところ、短絡することなく充電することができた。
(実施例14)
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cmで放電し、その後、電流密度を300μA/cmに一定にした状態で、恒温槽の温度を80、120、150、170、150、120、80℃の順に変化させて、各温度で1000秒維持して充電したところ、すべての温度で短絡することなく充電することができた。
(実施例15)
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cmで放電し、その後、電流密度を640μA/cmに一定にした状態で、恒温槽の温度を150、170、150、170℃の順に変化させて、各温度で1000秒維持して充電したところ、すべての温度で短絡することなく充電することができた。
(実施例16)
サンプルBの電池素子部を、恒温槽の温度を25℃に一定にした状態で、電流密度128μA/cmで放電し、温度を80℃に維持した後に、
(1)電流密度300μA/cm、温度80℃で1000秒維持、
(2)電流密度300μA/cm、温度80℃から120℃まで1000秒で昇温、
(3)電流密度450μA/cm、温度120℃で1000秒維持、
(4)電流密度450μA/cm、温度120℃から150℃まで1000秒で昇温、
(5)電流密度450μA/cm、温度150℃で1000秒維持、
(6)電流密度450μA/cm、温度150℃から170℃まで1000秒で昇温、
(7)電流密度1500μA/cm、温度170℃で1000秒維持、
(8)電流密度450μA/cm、温度170℃から120℃まで1000秒で冷却、
の順に変化させて充電したところ、すべての条件にて短絡することなく充電することができた。
比較例1〜3、実施例11〜16に示されるように、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層の両面に、種々の材料からなる、正極層及び負極層を設けて電池素子部を作製し、充放電試験を行ったところ、実施例1及び2の試験結果と同様の結果を示した。
比較例1に示されるように、25℃で12.8μA/cmという比較的低い電流密度で充電すると短絡しないが、比較例2に示されるように、300μA/cmという比較的高い電流密度で充電すると短絡した。加えて、比較例3に示されるように、185℃以上になると、負極層に含まれるLi金属部分が溶け出し、電池側面部から正極層と短絡した。一方、実施例11に示されるように、300μA/cmという比較的高い電流密度で充電しても、温度を80℃にすると短絡しなかった。また、実施例12〜16に示されるように、比較的高い一定の温度に維持した状態で、電流密度を変化させた場合、比較的高い一定の電流密度で充電しながら、50℃以上の比較的高い温度で温度を変化させた場合、並びに、比較的高い温度及び比較的高い電流密度でこれらの値を変化させつつ充電した場合のいずれの場合も短絡しなかった。
なお、本発明において、比較的高い温度とは、50℃以上として表すことができ、比較的低い温度とは50℃未満として表すことができる。さらに、比較的高い電流密度とは、300μA/cm以上として表すことができ、比較的低い電流密度とは、300μA/cm未満として表すことができる。
以上から、Li金属又はLi合金を含有する負極層と、種々の正極活物質を含有する正極層と、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層とを有するリチウム二次電池は、50℃以上の温度で充電することにより、短絡を防止しつつ300μA/cm以上という高い電流密度で充電することができることが分かる。したがって、このリチウム二次電池は、短い時間で充電することができる。
10 リチウム二次電池
11 固体電解質層
12 正極層
13 負極層
14 第1の集電体
15 第2の集電体
18 電池素子部
19 外装体

Claims (6)

  1. Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
    正極活物質を含有する正極層と、
    前記負極層と前記正極層との間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
    を有し、
    前記固体電解質層は焼結体であり、
    50℃以上で前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電されることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 充電した後の固体電解質層は、前記負極層の表面から前記固体電解質層に突出すると共にLiを含有する突起状析出物が、前記負極層と前記固体電解質層との積層方向の断面において、前記突起状析出物は前記負極層と前記固体電解質層とがなす直線上における長さが5μm以上であり、前記直線の全長さに対する前記突起状析出物の前記直線上における長さの合計長さの割合で示される前記突起状析出物の存在割合が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記固体電解質層は、室温におけるリチウムイオン伝導率が10−5S/cm以上であり、相対密度が86%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記負極層は、Li金属、Li−Al合金、Li−Sn合金、及びLi−Si合金からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記負極層及び前記正極層は、それぞれ固体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  6. Li金属又はLi合金を含有する負極層と、
    正極活物質を含有する正極層と、
    前記負極層と前記正極層の間に設けられた、Li、La、Zr、及びOを含み、かつガーネット型結晶構造又はガーネット型結晶構造類似の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料を含有する固体電解質層と、
    を有し、
    前記固体電解質層は焼結体であるリチウム二次電池を、50℃以上で前記固体電解質層と前記負極層との接触面積Scに対する電流Ieを示す電流密度(Ie/Sc)を300μA/cm以上にして充電することを特徴とするリチウム二次電池の充電方法。
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