JP6631012B2 - リチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極材として好適に用いられるリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、従来のニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に比べて、高電圧・高エネルギー密度が得られる電池として小型・軽量化が図れることから、携帯電話やラップトップパソコンなど情報関連のモバイル通信電子機器に広く用いられている。今後更に環境問題を解決する一つの手段として電気自動車・ハイブリッド電気自動車などに搭載する車載用途あるいは電動工具などの産業用途に利用拡大が進むと見られており、リチウムイオン二次電池の更なる高容量化と高出力化が切望されている。
リチウムイオン二次電池は、少なくともリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極と負極、そして正極と負極を隔絶するセパレータを容器内に配置し、非水電解液を充填して構成されている。
正極は、アルミニウム等の金属箔集電体にリチウムイオン電池用正極活物質、導電助剤および結着剤を含有する電極剤を塗布し加圧成形したものである。現行の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、あるいは、コバルトをニッケル・マンガンで一部置換した三元系(LiMnxNiyCo1−x−yO2)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物の粉体が比較的良く用いられている。また、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)は安全性が高い材料として定置用途の電池用材料として注目されている。他には、V2O5等の金属酸化物やTiS2、MoS2、NbSe2などの金属化合物等も活物質として利用されている。
負極は、銅などの金属箔集電体に、正極同様に活物質や導電助剤および結着剤を含有する電極剤を塗布し加圧成形したものであり、一般に負極の活物質としては、金属リチウムやLi−Al合金、Li−Sn等のリチウム合金、SiOやSiC、SiOC等を基本構成元素とするケイ素化合物、リチウムをドープしたポリアセチレンやポリピロール等の導電性高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合物や天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボンなどの炭素材料等が用いられている。
現在実用化されている活物質においては、負極の理論容量と比較して正極の理論容量の方が遥かに低く、リチウムイオン電池の高容量化のためには正極の容量密度向上が不可欠である。しかし、上記に示したような従来の正極材料では容量向上に限界があった。そこで、現行の材料よりはるかに大きな放電容量密度を持ち、リチウムイオン電池を大幅に高容量化できる電池材料としてリチウム過剰系の正極活物質が注目されている。リチウム過剰系活物質は放電容量密度が高いだけでなく、安全性・安定性も高いために、次世代活物質として非常に期待されている材料である。しかし、リチウム過剰系の正極活物質は非常に電子導電性が低いため、実用化が困難である。そのため、リチウム過剰系正極活物質に電子導電性を付与する技術が求められている。
正極中の電子導電性を向上するためには、導電助剤を添加する手法が用いられている。導電助剤として従来用いられている材料としては、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。しかし、特に導電性が低い正極活物質では導電助剤を添加するだけでは不十分であり、活物質と導電性炭素材料を直接複合化する手法が必要となる。
特許文献1には、正極活物質の原料溶液と、カーボン源となるポリマーを混合し、噴霧乾燥・焼成して複合体を作製する手法が開示されている。
特許文献2及び非特許文献1には、正極活物質原料と酸化グラファイトを溶解した水溶液を加熱・乾燥する手法が開示されている。
非特許文献2には、リチウム過剰正極活物質とグラフェンを溶液中で混合し、乾燥する手法が開示されている。
特許第4043852号明細書 特開2013−65551号公報
Rui X., et al. Journal of Power Sources, 2012, 214, 171 Jiang K., et al. Applied Materials & Interfaces , 2012, 4, 4858
特許文献1では、正極活物質をショ糖と混合し、700℃の不活性雰囲気中で加熱することでカーボンコートしているが、この手法では、導電性炭素の原料がショ糖であるため、加熱後にはアモルファスカーボンとなっており導電性が低く、高い電池性能を得ることができない。また、ショ糖などの糖類と加熱するとリチウム過剰系活物質は還元されてしまうため、この手法でリチウム過剰系活物質をカーボンコートすることは不可能である。
特許文献2及び非特許文献1には、正極活物質の原料と酸化グラファイトを溶解した水溶液を加熱・乾燥する手法が開示されている。この手法では、単に混合しているだけなので、酸化グラファイトと活物質前駆体を接触面積が大きい状態で複合化することができず、複合体中の電子伝導性が十分に得られない。
非特許文献2では、リチウム過剰系正極活物質とグラフェンを溶液中で混合し、乾燥している。しかし、グラフェンは酸化グラファイトと異なり溶液中での分散が悪い。また、グラフェンとリチウム過剰系正極活物質とは親和性が悪く、接触面積の大きい高い導電性を有する活物質複合粒子を得ることが出来ない。
本発明の目的は、リチウム過剰系正極活物質とグラフェンとの接触面積が大きく、高い導電性を有する活物質複合粒子を得ることにあり、またこれを利用した高容量・高出力のリチウムイオン電池を得ることにある。
上記課題を解決するための本発明は、
工程1:リチウム過剰系正極活物質前駆体と酸化グラファイトとを混合し、活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を得る工程;
工程2:工程1で得た活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を、不活性雰囲気又は還元雰囲気下、500℃以上で加熱する工程;
を有する、リチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法であって、前記工程2の前に、前記工程1で得た活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を、還元剤を用いて化学還元する化学還元工程をさらに有する、リチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法である。
本発明により、高い電子導電性と高いイオン導電性を併せ持つ活物質複合体粒子を得ることができ、これを正極材として用いることで高容量・高出力のリチウムイオン二次電池を得ることができる。
〔リチウム過剰系正極活物質前駆体〕
リチウム過剰系正極活物質(以下、正極活物質あるいは単に活物質という場合がある。)とは、一般式xLiMO2-(1-x)Li2NO3(ただし、Mは平均価数3の1以上の遷移金属、Nは平均価数4の1以上の遷移金属)で表されるリチウムイオン二次電池用正極活物質を言う。
上記一般式のMに当る金属としては、Mn、Co、Ni,Feなどが挙げられ、中でも、xLiMO2の構成として、Ni,Co,Mnの3種が等量ずつ入っているLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2といった構成や、NiとMnの2種が等量ずつ入っているLiNi1/2Mn1/2O2といった構成が好ましい構成として使用される。
上記一般式のNに当る金属としては、Mn,Zr,Tiなどが挙げられ、中でもMnが好ましい。
本発明におけるリチウム過剰系正極活物質前駆体(以下、単に「活物質前駆体」ということがある)とは、加熱焼成によって、リチウム過剰系正極活物質となる組成物を指す。具体的には、加熱焼成前にはX線回折測定によりxLiMO2-(1-x)Li2NO3に特徴的な回折ピークが現れないかまたは非常に微小なピークしか現れない状態であるが、加熱焼成した後にはxLiMO2-(1-x)Li2NO3に特徴的な回折ピークがメインピークとして現れる物質を意味する。
リチウム過剰系正極活物質前駆体は、リチウム塩と、上記一般式のMに当る金属の金属塩と、上記一般式のNに当る金属の金属塩と、溶剤からなる。リチウム塩としては、例えば酢酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウムが挙げられる。金属塩は必要な金属によって異なるが、例えばマンガンの場合、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、シュウ酸マンガンなどが挙げられ、コバルトの場合、酢酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、シュウ酸コバルトが挙げられ、ニッケルの場合、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、シュウ酸ニッケルが挙げられる。
活物質前駆体は、上記のリチウム塩と、上記一般式のMに当る金属の金属塩と、上記一般式のNに当る金属の金属塩とが区別できないほどに混合されてなる組成物であることが好ましい。区別できないほどに混合しているとは、任意のリチウム原子を選んだときに、その半径10μm以内にMに当る金属と、Nに当る金属が存在する状態を言う。
活物質前駆体の作製方法は特に限定されないが、上記の塩を水などの溶媒に目的化合物のモル比で混合・溶解した後溶剤を乾燥する方法や、各塩を固体のまま粉砕・混合する方法などが挙げられる。溶液にして乾燥する際の乾燥方法は特に限定されるものではないが、活物質前駆体の状態を維持するため、低温で乾燥することが好ましい。具体的には200℃以下の低温で真空乾燥する方法や、噴霧乾燥する方法が挙げられる。
例えば、溶媒として水を使用する場合、水中にリチウム塩、金属としてマンガン塩、コバルト塩を溶解し、スターラーなどで十分に混合し、活物質前駆体の溶液(前駆体溶液)を作製する。前駆体溶液はpHが7になるように調整することが好ましく、pH調整のためには、アンモニア水やクエン酸が好ましく用いられる。そして、前駆体溶液を噴霧乾燥や凍結乾燥することにより、活物質前駆体を作製することができる。また、前駆体溶液をポリマー溶液やグリコール酸などに滴下してから、噴霧乾燥等により乾燥することによってゲル状態の活物質前駆体を作製することも可能である。この場合の溶媒としては、水・エタノール・メタノール・イソプロピルアルコール・N−メチルピロリドン・ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
原料塩の固体を粉砕・混合する手法には特に制限は無く、例えばブレンダー、クラッシャー、乾式ビーズミル、ロッキングミキサー、ハイブリダイザー、遊星ボールミルなどが挙げられるが、中でも遊星ボールミルが好ましく用いられる。遊星ボールミルを用いる方法では、ジルコニア容器中に、リチウム塩・リン酸塩、金属としてマンガン塩、及びジルコニアビーズを入れ、密閉して遊星ボールミル中で混合することにより、各塩が十分に混合された活物質前駆体を作製することができる。混合の促進のため、ジルコニア容器中に水やアルコールなどの溶媒を添加しても良い。
活物質前駆体の材料としては、共沈することにより作製した複合塩も使用することが出来る。複合塩の作製例としては、硫酸ニッケル、硫酸マンガンおよび硫酸コバルトを所定量水に溶解し、アンモニア水によってpH=7に調整した後、炭酸ナトリウムを滴下する方法を挙げることができる。このようにして得られた複合炭酸塩を、リチウム塩と粉砕・混合することにより、活物質前駆体を作成することができる。
〔酸化グラファイト〕
本発明において用いられる酸化グラファイトは、黒鉛(グラファイト)を酸化することにより作製できる。黒鉛は酸化されると、グラファイト層間距離が黒鉛より長くなり、エックス線回折測定で12.5°〜13.0°にピークをもつ。
酸化グラファイトは公知の方法で作製することができる。また市販の酸化グラファイトを購入してもよい。酸化グラファイトの原料となる黒鉛は、人造黒鉛・天然黒鉛のどちらでも良いが、天然黒鉛が好ましく用いられる。黒鉛の粒径には制限は無いが、後に記述するように酸化グラファイトとしての大きさに好ましい範囲があるため、目的の酸化グラファイトの大きさにするために、原料の黒鉛を微細化してもよい。微細化手法としてはボールミル、乳鉢、自動乳鉢、カッティングミルなどが挙げられる。
酸化グラファイトの作製法は、ハマーズ法が好ましい。その例を下記する。
黒鉛粉末に濃硫酸、硝酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを添加して、25〜50℃下、0.2〜5時間攪拌反応する。その後脱イオン水を加えて希釈し、懸濁液を得て、これを引き続き80〜100℃で5〜50分間反応する。最後に過酸化水素と脱イオン水を加え1〜30分間反応させた後、濾過、洗浄し、酸化グラファイト分散液を得る。
各反応物の配合の例としては、黒鉛粉末、濃硫酸、硝酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムと過酸化水素水の比が10g:150〜300ml:2〜8g:10〜40g:40〜80gである。濃硫酸、硝酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを加える時は氷浴を利用して温度を制御する。過酸化水素と脱イオン水を加える時、脱イオン水の質量は過酸化水素質量の10〜20倍である。
酸化グラファイトの酸化度は特に限定されないが、酸化度が低すぎると活物質前駆体との親和性が悪くなり、酸化度が高すぎると還元した後の導電性が悪くなる。本発明に用いられる酸化グラファイトにおいて、酸化グラファイト中の、酸素原子の炭素原子に対する元素割合は、0.3以上1以下であることが好ましい。酸化グラファイト中の酸素原子の炭素原子に対する割合はX線光電子分光法により測定することが可能である。
酸化グラファイトの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。酸化反応の際の黒鉛に対する硝酸ナトリウムの重量比は特に限定されるものではないが、0.2以上0.8以下であることが好ましい。黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの重量比は特に限定されるものではないが、1以上4以下であることが好ましい。
活物質前駆体と良好に混合するためには酸化グラファイトをさらに微細化処理することが好ましい。上記の工程で得られた酸化グラファイト分散液は各種の方法で微細化することが可能である。微細化手法に制限は無いが、超音波処理、ボールミル、ビーズミル、乳鉢、自動乳鉢などの物理的な手法により微細化することが可能である。酸化グラファイトの面方向の大きさに制限は無いが、大きすぎると活物質前駆体との複合化が困難になり、小さすぎると導電パスが短くなり導電性が下がってしまう。好ましい酸化グラファイトの面方向の大きさは500nm以上20um以下であり、700nm以上10um以下であることがより好ましく、1um以上10um以下であることがさらに好ましい。
酸化グラファイトの面方向の大きさは、酸化グラファイトを0.001〜0.005wt%にまで希釈し、ガラス基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、光学顕微鏡又はレーザー顕微鏡で観察することで容易に測定することが可能である。レーザー顕微鏡としては、例えばキーエンス社製VK-X250などを用いることができる。ここで酸化グラファイトの面方向の大きさとは、上記方法で基板を観察して酸化グラファイト小片の最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)を測定し、(長径+短径)/2で求められる数値を意味するものとし、本発明においてはランダムに50個以上の酸化グラフェン小片を測定した場合の平均値を指すものとする。
〔工程1:活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を得る工程〕
本発明のリチウム過剰系正極活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子(以下、単に「前駆体複合体粒子」ということがある。)は、活物質前駆体の一次粒子が酸化グラファイトを介して複合化してなるものである。複合化の形態は限定されないが、例を挙げると酸化グラファイトが被覆された活物質前駆体粒子同士が凝集している状態、酸化グラファイトネットワークの中に活物質前駆体が分散している状態、などが挙げられる。
前駆体複合体粒子は、リチウム過剰系正極活物質前駆体と酸化グラファイトを混合する方法により得られる。
酸化グラファイトは粉末であっても溶媒中に分散した分散液状態であっても良いが、分散液状態で混合することがより好ましい。酸化グラファイトが粉末である場合は、リチウム過剰系正極活物質前駆体と混合する前にブレンダーなどで細かく粉砕することが好ましい。
リチウム過剰系正極活物質前駆体と酸化グラファイトを混合する手法には特に制限は無く、公知のミキサー・混練機を用いることができる。具体的には、自動乳鉢、三本ロール、ビーズミル、遊星ボールミル、ホモジェナイザー、プラネタリーミキサー、二軸混練機などを利用した方法が挙げられるが、固相で混合することが好ましい態様として挙げられる。固相で混合することにより酸化グラファイトと正極活物質前駆体の間に強いせん断力がかかり、接触面積の多い緻密な複合化が可能になる。ここで、固相で混合する、とは、混合する際の前駆体及び酸化グラファイトの固形分重量に対し、溶剤の量が50%以下であることをいう。すなわち、混合を開始する時点で酸化グラファイトが分散液状態であっても、混合された後で溶剤が固形分重量に対し50%以下であれば、本発明においては固相混合であると考えるものとする。
いずれのミキサー・混練機でも粉砕を繰り返すことで前駆体複合体粒子の粒子径を微細化することが出来るが、ナノスケールの粉砕をするには、物理的に接触して磨り潰すような混練機が好ましく、遊星ボールミル、乾式ビーズミル、自動乳鉢がとくに好ましい。前駆体粒子が塊状である場合、事前にブレンダーなどで細かく粉砕すると、均一性の高い複合化が可能になる。
遊星ボールミルを使用する場合の例を挙げると、ジルコニア容器にジルコニアビーズと酸化グラファイト粉末と、前駆体粒子とを入れる。この際の、前駆体粒子と酸化グラファイトの比は、複合体が還元・焼成工程を経た後に炭素成分が複合体粒子中の重量比で1%〜10%になるようにするのが好ましい。還元・焼成工程を経ると、酸化グラファイトは炭素成分として約50%残留する。また、前駆体はxLiMO2-(1-x)Li2NO3以外の成分が無くなるため、塩の種類によって残留率が異なる。このような酸化グラファイトの炭素残留率・及び前駆体焼成後の残留率などを考慮して、混合比を決める。混合の際、水・アルコールなどの溶剤を添加すると混合・粉砕が促進されることがあるので必要に応じて添加する。
遊星ボールミルを使用する場合、ジルコニアビーズの径、ジルコニア容器の容量、ボールミルの回転数、粉砕時間によって得られる前駆体複合体粒子の一次粒子径を調整することができる。本発明の5nm以上100nm以下の活物質前駆体粒子を得るための条件は、酸化グラファイトの酸化度や前駆体複合体粒子によっても異なるので、一律に決めることは出来ないが、例えば実施例1の条件でフリッチュ社の遊星ボールミル(型式:P-5)を用いる場合、ジルコニアビーズ径3mm〜10mm、ジルコニア容器12mm、回転数250〜300rpm、粉体総量1〜2g、添加溶剤量、0.05g〜0.2gといった条件で混合することで、5nm以上100nm以下の活物質前駆体粒子を得ることができる。
前駆体複合体粒子中における活物質前駆体と酸化グラファイトの接触面積が十分大きくないと、焼成後に十分な導電性を得ることができないため、活物質前駆体粒子は十分微小である必要がある。従って、前駆体複合体粒子中の前記リチウム過剰系正極活物質前駆体の一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。一方で、活物質前駆体粒子が小さすぎると、焼成後に、リチウム過剰系正極活物質の結晶子サイズが小さくなりすぎて結晶界面の影響が大きくなり、正極活物質としての容量が小さくなってしまう。活物質前駆体の一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、8nm以上であることよりが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
焼成前の前駆体においても、リチウム過剰系正極活物質は一部生成している場合がある。リチウム過剰系正極活物質前駆体のほうが、リチウム過剰系正極活物質自体と比較して酸化グラフェンとの親和性が高い。そのため、前駆体の時点でリチウム過剰系正極活物質が多く精製されていると複合化効率が悪くなる傾向がある。そこで、前駆体複合体は、エックス線回折強度において、リチウム過剰系正極活物質に基づくエックス線回折ピークの最大強度が、リチウム過剰系正極活物質以外に基づくエックス線回折ピークの最大強度に対して50%以下であることが好ましい。
リチウム過剰系活物質の組成によってエックス線回折ピークの位置が異なるが、本発明においては、500℃以上で加熱焼成した後に測定した時に現れるエックス線回折ピークをリチウム過剰系正極活物質に基づくエックス線回折ピークとする。
活物質前駆体の一次粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定することができる。イオンミリング装置を用いて前駆体複合体粒子の断面を出し、透過型電子顕微鏡により断面観察することで、前駆体複合体粒子内にある活物質の形状を観察できる。この手法により活物質の粒子が50個以上200個以下視野内に入る倍率で観察したとき、視野内のすべての粒子の粒子径の平均を、活物質の平均粒子径とする。このとき、一個の粒子の粒子径は、粒子の最大径と最小径の平均を粒子径とする。
前駆体複合体粒子中に含まれる炭素の質量割合は、加熱処理後に残るグラフェンの比率が高いほど導電性が高くなる一方で、重量あたりの電池容量は下がる。前駆体複合体粒子中に含まれる炭素成分の質量割合は10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。また、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。
前駆体複合体粒子中に含まれる炭素成分の質量割合は、例えば、炭素−硫黄分析装置によって定量することが可能である。炭素−硫黄分析装置では、高周波によって複合体を空気中で加熱し、含有する炭素を完全に酸化させ、発生した二酸化炭素を赤外線により検出する。炭素成分量の分析の際には、分析の前に複合体粒子を600度窒素中で6時間加熱する。この処理により溶媒を除去し、活物質前駆体を十分反応させた上で、炭素成分の分析を行う。炭素−硫黄分析装置以外の方法としては、酸などにより複合体の無機成分を溶解・除去し、複合体中の無機成分の割合を有機成分の元素比率をX線光電子分光法によって測定する方法が挙げられる。
前駆体複合体粒子の粒子径は、小さすぎると、電極ペースト作製時に凝集しやすくなるため、電極塗膜作製が困難になるなどの問題が生じる。逆に粒子径が大きすぎると電解液が内部にまで浸透するのに時間がかかり、イオン導電性が悪くなる。そのため、前駆体複合体粒子の粒子径は0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。また、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。ここでいう粒子径とは、前駆体複合体粒子を水中に分散した状態で循環し測定直前に超音波分散し、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置によって測定した時の、メジアン径を指す。
〔工程2:活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を加熱する工程〕
上記工程により得られた、リチウム過剰系正極活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を500℃以上で不活性雰囲気又は還元雰囲気で加熱することにより、リチウム過剰系正極活物質とグラフェンが複合してなるリチウム過剰系正極活物質複合体粒子(以下、単に活物質複合体粒子という場合がある。)を得ることができる。リチウム過剰系正極活物質前駆体は加熱によりリチウム過剰系正極活物質となる。また、酸化グラファイトは不活性雰囲気又は還元雰囲気中で加熱することにより、還元されグラフェンになる。加熱工程における加熱温度は750度以上が好ましく、900度以上がさらに好ましい。
また、ここでいう不活性雰囲気とは、窒素・アルゴン・ヘリウムなどの不活性ガスで充満された雰囲気、又は真空をいうが、炭素成分が燃焼しない程度であれば酸素が少量含まれていても良い。また、還元雰囲気とは、還元性気体で充満された雰囲気をいうが、水素雰囲気であっても良いし還元性の有機物質が揮発している状態であっても良く、不活性ガスの一部を還元性気体で置換した雰囲気であっても良い。
〔化学還元工程〕
酸化グラファイトの還元においては、化学還元の方が、加熱還元よりも高い導電性のグラフェンを得ることができる。そのため、本発明の活物質複合体粒子の製造方法においては、上記加熱工程の前に前駆体複合体粒子を化学還元する化学還元工程を設けることが好ましい。
化学還元に用いる還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤のいずれも使用することができる。有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤があげられ、有機還元剤の中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤として挙げられるのは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、カテコール、エタノールアミン、ドーパミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられ、特にベンジルアルコール、カテコール、ドーパミンが好適である。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどがあげられ、無機還元剤の中でも、ヒドラジン、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムは、酸化グラファイトを常温でも十分に還元することが出来、高い導電性が得られるため好適に用いられる。
(測定例1:エックス線光電子測定)
各サンプルのエックス線光電子測定はQuantera SXM (PHI 社製))を使用して、測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6 eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°であった。酸化グラファイト中の、酸素原子の炭素原子に対する割合は、ワイドスキャンの酸素原子のピーク面積と、炭素原子のピーク面積から求めた。
(測定例2:元素分析)
炭素成分量の分析の際には、分析の前に複合体粒子を600度窒素中で6時間加熱する。この処理により溶媒を除去し、前駆体を十分反応させた後、炭素−硫黄分析装置(堀場製作所製、EMIA−810W)を用いて複合体中の炭素の質量割合を分析した。
(測定例3:電気化学評価)
作製した活物質−グラフェン複合体粒子を700mg、導電助剤としてアセチレンブラックを40mg、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン60mg、溶剤としてN−メチルピロリドンを800mg、を加えたものをプラネタリーミキサーで混合して電極ペーストを得た。電極ペーストをアルミニウム箔(厚さ18μm)にドクターブレード(300μm)を用いて塗布し、80℃30分間乾燥して電極板を得た。
作製した電極板を直径15.9mmに切り出して正極とし、直径16.1mm厚さ0.2mmに切り出したリチウム箔を負極とし、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)セパレータとして、LiPF6を1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3の溶媒を電解液として、2042型コイン電池を作製し、電気化学評価を行った。
充放電測定においては、電流レート0.1Cで上限電圧4.5Vまで定電流充電した後、2.0まで放電する充放電を2回繰り返す、続けて上限電圧4.6V下限電圧2.0Vで2回、
上限電圧4.7V下限電圧2.0Vで2回、充放電した後、上限電圧4.8V下限電圧2.0Vで10回充放電し、10回目の放電時の容量を放電容量とした。
(測定例4:酸化グラファイトのサイズ測定)
酸化グラファイトゲルを水で0.001%に希釈し、ガラス基板に滴下・乾燥した。この基板をレーザー顕微鏡(キーエンス社、VK-X250)で観察し、ランダムに50個の酸化グラファイト小片について最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分長さ(短径)を測定し、(長径+短径)/2の平均を取った。
(合成例1:酸化グラファイトの作製1)
2000メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料とした。氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、3.5gの硝酸ナトリウム、21gの過マンガン酸カリウムを入れ、混合液の温度を20℃以下に保持しつつ、1時間機械攪拌した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを加えて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素水(濃度70%)を入れ、5分間反応を行い、酸化グラファイト分散液を得た。これを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返し、酸化グラファイトゲルを作製した。この酸化グラファイトゲルを、測定例4に従いサイズ測定したところ、10.5μmであった。酸化グラファイトゲルを凍結乾燥することにより、酸化グラファイト粉末を得た。得られた酸化グラファイト粉末の酸素原子の炭素原子に対する元素比を測定例1により測定したところ、0.45であった。
(合成例2:酸化グラファイトの作製2)
硝酸ナトリウムの量を2.75g、過マンガン酸カリウムを16.5gとした以外は(合成例1)と同様に作製した。この酸化グラファイトゲルを、測定例4に従いサイズ測定したところ、12.1μmであった。得られた酸化グラファイト粉末の酸素原子の炭素原子に対する元素組成比を測定例1により測定したところ、0.41であった。
(合成例3:微細化酸化グラファイトの作製3)
合成例1における凍結乾燥前の酸化グラファイトゲルを1%まで希釈し、30分間超音波装置で微細化処理を行った後、測定例4に従いサイズ測定したところ2.6μmであった。
[実施例1]
酢酸ニッケル、酢酸マンガン、酢酸コバルトおよび酢酸リチウムを、モル比0.17:0.56:0.07:1.20で、溶液濃度0.1mol/kgとなる水溶液を作製し、酢酸塩と等モルのクエン酸を加えてpHを7.0に調整後、前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液を噴霧乾燥することにより、リチウム過剰系正極活物質前駆体を作製した。このリチウム過剰系正極活物質前駆体1gと、合成例1により作製した酸化グラファイト粉末0.1gと、水0.1gと、ジルコニアボール(直径1cm)7個をジルコニア容器(12ml)内に入れて、遊星型ボールミル(フリッチュ社製、型式P−5)で300rpm、6時間混合し、リチウム過剰系正極活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を得た。当該前駆体複合体粒子を、イオンミリング装置により断面を出して透過電子顕微鏡により観察したところ、活物質前駆体の平均一次粒子径は36nmであった。また、前駆体複合体粒子中の炭素の質量割合を測定例2に従って分析したところ、3.3%であった。
得られた前駆体複合体粒子1gを、100gの水中に分散し、亜ジチオン酸1gを加えて、40℃1時間反応し、酸化グラファイトを還元した。得られた粒子をろ過、洗浄した後、窒素雰囲気下で900℃、24時間加熱し、リチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)がグラフェンと複合化した活物質複合体粒子を得た。
測定例3に従い、放電容量を測定したところ、251mAh/gであった。
[実施例2]
硫酸ニッケル、硫酸マンガンおよび硫酸コバルトを、モル比0.13:0.54:0.13で、溶液濃度0.1mol/kgとなる水溶液を作製し、アンモニア水を加えてpH=7に調整後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、ニッケル・マンガン・コバルト複合炭酸塩を得た。該複合炭酸塩と、水酸化リチウムをモル比0.80:1.20となるように遊星ボールミルで粉砕・混合してリチウム過剰系正極活物質前駆体を得た。
得られたリチウム過剰系正極前駆体を用いて実施例1と同様に前駆体複合体粒子、及びリチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.33Co0.33Mn0.34O2)複合体を得た。評価結果は表1に示す。
[実施例3]〜[実施例5]
実施例1と同様にリチウム過剰系正極活物質前駆体を作製し、製造条件を表1に記載のとおりに変えた以外は実施例1と同様にしてリチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3-0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)複合体粒子を得た。評価結果を表1に示す。ただし、実施例5は比較例4と読み替えるものとする。
[実施例6]
合成例1において凍結乾燥する前の酸化グラファイトゲルを、ろ過装置で濃縮して、固形分20%の酸化グラファイトゲルを得た。
実施例1で得たリチウム過剰系正極活物質前駆体1gと、固形分20%の酸化グラファイトゲル0.5gとを実施例1と同様に混合処理し、焼成してリチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)複合体粒子を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
合成例3の酸化グラファイトゲルを、ろ過装置で濃縮して、固形分20%の酸化グラファイトゲルを得た。
実施例1で得たリチウム過剰系正極活物質前駆体1gと、上記固形分20%の酸化グラファイトゲル0.5gとを実施例1と同様に混合処理し、焼成してリチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)複合体粒子を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にリチウム過剰系正極前駆体を作製し、酸化グラファイト粉末の代わりにグラフェン(XGScience社、XGNP-M-5)を用いて複合化し、リチウム過剰系正極前駆体−グラフェン複合体粒子を得た。当該前駆体-グラフェン複合体粒子の活物質前駆体の平均一次粒子径、炭素の質量割合の分析結果は表1に示す。
得られた前駆体-グラフェン複合体粒子を窒素雰囲気下で900℃、12時間加熱し、リチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)−グラフェン複合体粒子を得た。放電容量の測定結果は表1に示すとおりである。
[比較例2]
実施例1と同様にリチウム過剰系正極活物質前駆体粒子を作製した。この前駆体粒子を窒素雰囲気下900℃12時間加熱しで焼成しリチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)を得た。該リチウム過剰系正極活物質とグラフェン(XGScience社、XGNP-M-5)を用いて実施例1と同様に複合化しリチウム過剰系正極活物質−グラフェン複合体粒子を得た。当該活物質-グラフェン複合体粒子の活物質の平均一次粒子径、炭素の質量割合の分析結果、及び放電容量の測定結果は表1に示す。
[比較例3]
実施例1と同様にリチウム過剰系正極前駆体粒子を作製した。
合成例1で作製した酸化グラファイトを1%水溶液とし、酸化グラファイトと同じ重量のヒドラジンと80℃で1時間混合し、ろ過・洗浄・乾燥することでグラフェン粉末を得た。
上記リチウム過剰系正極活物質前駆体とグラフェン粉末を用いて実施例1と同様に複合化しリチウム過剰系正極活物質前駆体−グラフェン複合体粒子を得た。当該前駆体複合体粒子中における活物質前駆体粒子の平均一次粒子径、炭素の質量割合の分析結果、及び放電容量の測定結果は表1に示す。
得られた前駆体-グラフェン複合体粒子を窒素雰囲気下で900℃、24時間加熱し、リチウム過剰系正極活物質(0.5Li2MnO3- 0.5LiNi0.42Co0.18Mn0.4O2)−グラフェン複合体粒子を得た。放電容量の測定結果は表1に示すとおりである。
Figure 0006631012

Claims (7)

  1. 工程1:リチウム過剰系正極活物質前駆体と酸化グラファイトとを混合し、活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を得る工程;
    工程2:工程1で得た活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を、不活性雰囲気又は還元雰囲気下、500℃以上で加熱する工程;
    を有する、リチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法であって、前記工程2の前に、前記工程1で得た活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子を、還元剤を用いて化学還元する化学還元工程をさらに有する、リチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  2. 前記工程1で得られる活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子の中に含まれる炭素の質量割合が3質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  3. 前記工程1において、前記混合を固相で行うことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  4. 前記工程1で得られる活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子が、エックス線回折強度において、リチウム過剰系正極活物質に基づくエックス線回折ピークの最大強度が、リチウム過剰系正極活物質以外に基づくエックス線回折ピークの最大強度に対して50%以下となるものである、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  5. 前記活物質前駆体−酸化グラファイト複合体粒子中における前記リチウム過剰系正極活物質前駆体の一次粒子径が5nm以上100nm以下である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  6. 前記リチウム過剰系正極活物質前駆体が、リチウム塩、マンガン塩、ニッケル塩およびコバルト塩を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法。
  7. 工程1で使用する酸化グラファイトのサイズが500nm以上20μm以下である、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のリチウム過剰系正極活物質複合体粒子の製造方法
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