以下、本発明に係る小型油圧ショベルの実施の形態を、超小旋回型の小型油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図14を参照しつつ詳細に説明する。
図1、図2において、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、例えば市街地における道路脇の側溝掘り作業などの狭い場所での掘削作業に用いられるため、例えば機械重量が0.8〜4トン程度に設定されている。この小型油圧ショベル1は、トラックフレーム2Aの左,右両側にクローラ式の走行装置2Bを備えた自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に支持された上部旋回体4と、下部走行体2の前側に設けられた排土板5と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられたオフセットフロント装置6とを含んで構成されている。
旋回装置3は、下部走行体2と上部旋回体4との間に設けられた旋回輪3Aと、上部旋回体4を旋回駆動する旋回モータ3B(図5参照)とにより構成されている。旋回輪3Aを形成する外輪3A1は、後述する旋回フレーム7のセンタフレーム7Aの下面に複数本のボルト(図示せず)を用いて取付けられている。
オフセットフロント装置6は、後述する旋回フレーム7の左,右の前縦板7B,7Cにブームフート部6A1が俯仰動可能に取付けられたロアブーム6Aと、ロアブーム6Aの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム6Bと、アッパブーム6Bの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアーム支持体6Cと、アーム支持体6Cの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたアーム6Dと、アーム6Dの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット6Eと、ロアブーム6Aとアーム支持体6Cとの間を連結するリンク6Fと、これらを動作させるためのブームシリンダ6G、オフセットシリンダ6H、アームシリンダ6J、バケットシリンダ6Kとにより構成されている。
一方、図3、図6に示すように、ロアブーム6Aのフート部6A1は、左,右の前縦板7B,7Cの前側に位置するブラケット7B1,7C1に連結ピン6Lを介して回動可能に結合されている。さらに、各シリンダ6G〜6Kは、それぞれ後述の制御弁群22に各油圧ホース31を介して接続されている。
オフセットフロント装置6は、オフセットシリンダ6Hが伸長、縮小することにより、アーム6Dをロアブーム6Aに対して左,右方向に平行移動させる。この状態でロアブーム6Aを俯仰動させつつアーム6D、バケット6Eを回動させることにより、側溝等の掘削作業を行うことができる。
ここで、図2に示すように、オフセットフロント装置6は、ロアブーム6Aの先端側を最も後方まで仰動させ、かつアーム6Dをロアブーム6A側に折り畳むことにより、超小旋回姿勢をとることができる。オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢とした状態(上方に立上げた状態)では、上部旋回体4を旋回させたときに、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とが、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回することができる構成となっている。この場合、図3に示すように、下部走行体2の車幅寸法は、左,右の走行装置2B間の幅寸法Lによって設定されている。
上部旋回体4は、後述する旋回フレーム7、カウンタウエイト9、エンジン10、オルタネータ11、油圧ポンプ12、熱交換器13、運転席台座14、足置き部材15、燃料タンク23、作動油タンク24、タンク側面カバー26、点検用開口33、点検カバー34、下カバー35、ガイド部材42、ホース規制部材43を含んで構成されている。
ここで、図3に示すように、上部旋回体4は、下部走行体2の車幅寸法(左,右の走行装置2B間の幅寸法L)とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有している。一方、カウンタウエイト9の外周面9Aは、上部旋回体4の旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を上方に立上げた超小旋回姿勢の状態で、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回中心Oを中心として旋回したときに、上部旋回体4がオフセットフロント装置6と共にほぼ下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内に収まる超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
次に、上部旋回体4の支持構造体をなす旋回フレーム7の構成について説明する。
旋回フレーム7は、上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体を形成している。図9、図10に示すように、旋回フレーム7は、旋回装置3を構成する旋回輪3Aの外輪3A1が取付けられる平板状のセンタフレーム7Aと、センタフレーム7Aの前,後方向の中間部から前側に位置してセンタフレーム7A上に左,右方向に一定の間隔を保った状態で前,後方向に延びて立設された左前縦板7B、右前縦板7Cと、センタフレーム7Aの前,後方向の中間部に位置する右前縦板7Cの後端から左,右方向の左側に延びて立設された中間横板7Dと、センタフレーム7Aの左端近傍に位置して中間横板7Dから後方に延びて立設された左後縦板7Eと、右前縦板7Cの後側に連続するように中間横板7Dから後方に延びて立設された右後縦板7Fと、左,右の後縦板7E,7Fの後端に亘って左,右方向に延びて立設された後横板7Gと、各後述するフロア支持フレーム8とを含んで構成されている。
センタフレーム7Aは、例えば厚肉な鋼板からなり、前,後方向に長尺な長方形状に形成されている。左,右の前縦板7B,7Cは、上部旋回体4の旋回中心O(図10参照)よりも左,右方向の右側に片寄った位置に配置されている。左,右の前縦板7B,7Cのうち旋回中心Oよりも前側となる部位は、センタフレーム7Aから上方に突出した山形のブラケット7B1,7C1となっている。これらブラケット7B1,7C1には、ロアブーム6Aのブームフート部6A1が俯仰動可能に取付けられる。
左前縦板7Bには、ブラケット7B1よりも前側で、後述する補強部材7Pよりも上側に位置してホース挿通孔7B2が設けられている。このホース挿通孔7B2には、各油圧ホース31が挿通される。また、各前縦板7B,7C間には、シリンダブラケット7Hが設けられ、このシリンダブラケット7Hにはブームシリンダ6Gが取付けられる。
一方、中間横板7Dは、旋回中心Oよりも後側に位置して左前縦板7Bよりも左側に延び、センタフレーム7Aの左端から左方向に突出している。中間横板7Dは、後述するエンジン10と制御弁群22との間を仕切ると共に、後述する運転席台座14の前側を支持するものである。
センタフレーム7Aの前側には、左前縦板7Bの左側に位置して左前縦板7Bに沿うようにセンタフレーム7Aから前側に延びた右前フレーム7Jと、右前フレーム7Jから左側に離間しセンタフレーム7Aの左端部から前側に延びた左前フレーム7Kと、左前フレーム7Kの後側近傍に位置してセンタフレーム7Aの左端部から斜め前側に延びた傾斜フレーム7Lと、中間横板7Dに沿うようにセンタフレーム7Aから左側に延びた左後フレーム7Mとが設けられている。これら各フレーム7J〜7Mは、後述するフロア支持フレーム8を支持するものである。
センタフレーム7Aの右側には、センタフレーム7Aを右側に延ばすように、センタフレーム7A、右前縦板7Cおよび右後縦板7Fから右方向に張出す板状の右張出し板7Nが設けられている。この右張出し板7Nは、後述する燃料タンク23、作動油タンク24等を支持するものである。
左前縦板7Bと右前縦板7Cとの間には、補強部材7Pが設けられている。この補強部材7Pは、山形状の上面部7P1と、上面部7P1の前端から下向きに屈曲した前面部7P2とにより構成されている。上面部7P1には、後述する下カバー35の下板部36の前側部位がボルト36Bを用いて取付けられる。
さらに、センタフレーム7Aの左側寄りには、旋回中心Oの左前側に位置して旋回モータ挿通孔7Qが設けられている。この上で、旋回モータ挿通孔7Qに対応する位置には、センタフレーム7Aの上面に重なるように旋回モータ取付座7Rが設けられている。この旋回モータ取付座7Rは、旋回モータ3Bが取付けられるものである。
図8、図9に示すように、フロア支持フレーム8は、旋回フレーム7の左前側部分を構成するものである。フロア支持フレーム8は、センタフレーム7Aの左前側の角部(左前縦板7Bと中間横板7Dとで仕切られた領域)に設けられた右前フレーム7J、左前フレーム7K、傾斜フレーム7L、左後フレーム7Mに取付けられている。
フロア支持フレーム8は、左端側が前述した仮想円Cに沿って円弧状に湾曲した略扇状の平板からなる下板8Aと、下板8Aの前側位置に立設された支柱8Bと、支柱8Bの上部に左,右方向に延びて設けられたレバー・ペダル取付板8Cとを含んで構成されている。フロア支持フレーム8の下板8Aは、センタフレーム7Aに設けられた各フレーム7J〜7Mに取付けられ、下板8Aの上面側には、制御弁群22が搭載される。
図3、図5等に示すように、カウンタウエイト9は、オフセットフロント装置6との重量バランスをとるために旋回フレーム7の後側に取付けられている。カウンタウエイト9は、左,右方向の中央が後方に突出する円弧状の重量物として形成されている。これにより、カウンタウエイト9の外周面9Aは、前述した旋回半径Rの仮想円C内にほぼ収まる円弧面として形成されている。
次に、カウンタウエイト9の前側に位置して旋回フレーム7の上側に配設され、動力源を構成するエンジン10、オルタネータ11、油圧ポンプ12、熱交換器13について述べる。
動力源を構成するエンジン10は、カウンタウエイト9の前側に位置して旋回フレーム7上に搭載されている。エンジン10は、旋回フレーム7の中間横板7Dと後横板7Gとの間に位置して各後縦板7E,7F上に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン10の左側には、後述する油圧ポンプ12が取付けられている。一方、エンジン10の右側には、突出した回転軸(図示せず)の先端に冷却ファン10Aが設けられている。
オルタネータ11は、エンジン10によって駆動されることにより、発生した電力を後述のバッテリ25に供給するものである。オルタネータ11は、エンジン10の一部を構成するもので、エンジン10の前側位置に取付けられている。具体的には、オルタネータ11は、エンジン10の回転軸にベルト11A等を介して接続されている。ここで、オルタネータ11は、エンジン10の回転軸に対応した位置に設けられているから、図4、図5に示すように、オフセットフロント装置6のロアブーム6Aの後方に配置されている。
図5、図6に示すように、油圧ポンプ12は、エンジン10の左側に取付けられ、エンジン10により回転駆動される。この油圧ポンプ12は、後述の作動油タンク24内から油液を吸込みつつ、この油液を高圧な圧油として吐出する。油圧ポンプ12から吐出された圧油は、制御弁群22、各油圧ホース29,30,31を介してオフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6K等に供給される。
熱交換器13は、エンジン10の冷却ファン10Aに対面するように旋回フレーム7上に設けられている。この熱交換器13は、ラジエータ、オイルクーラ等を含んで構成されている。
次に、旋回フレーム7上に設けられた運転席台座14の構成について説明する。
運転席台座14は、旋回フレーム7を構成する左前縦板7Bの左側に位置し、エンジン10の上側を覆うように旋回フレーム7上に設けられている。この運転席台座14は、上部旋回体4の旋回中心Oを通る前,後方向の中心線をA−A(図3参照)としたときに、この中心線A−Aを越えて左前縦板7Bまで達する領域を、オペレータの居住空間として設定している。このように、本実施の形態による小型油圧ショベル1は、上部旋回体4のうちオフセットフロント装置6の左側に形成される狭い領域を最大限に有効利用することにより、運転席台座14によって設定されるオペレータの居住空間を、可能な限り大きく確保することができる構成となっている。
ここで、図8、図9に示すように、運転席台座14は、旋回フレーム7の中間横板7D上に位置して左,右方向に延びて立設された前面部位14Aと、前面部位14Aの上部から後側に延びた運転席取付部位14Bと、運転席取付部位14Bの後部から後側に向けて斜め上側に傾斜した背板部位14Cと、背板部位14Cの上部(後部)から後側に延びたウエイト取付部位14Dと、前面部位14A、運転席取付部位14Bおよび背板部位14Cの右端部に位置して前面部位14Aの上,下方向の中間部からウエイト取付部位14Dまで傾斜して延びた左開口枠14Eとにより構成されている。
この左開口枠14Eは、点検用開口33の左側の枠部を構成している。また、左開口枠14Eは、オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢としたときに、ロアブーム6Aとロアブーム6Aの背面6A2を延びる各油圧ホース31とが沿う角度で傾斜している。
運転席台座14は、前面部位14Aの下部が旋回フレーム7の中間横板7Dの上部に取付けられ、ウエイト取付部位14Dがカウンタウエイト9の上面に取付けられている。これにより、運転席台座14は、エンジン10、油圧ポンプ12の前側と上側を覆っている。運転席台座14の運転席取付部位14Bには、後述の運転席16、左,右のフロント操作装置17,18等が取付けられている。また、ウエイト取付部位14Dには、左開口枠14Eを越えて右側に延びた延出部14D1を有している。この延出部14D1は、後述する点検カバー34の後取付板部34Cを取付けるための取付座となっている。延出部14D1の前端部は、点検用開口33の後側の枠部を構成している。
図8に示すように、足置き部材15は、運転席台座14の前側に位置して旋回フレーム7に設けられている。足置き部材15は、左,右方向に延びる長方形の平板によって形成されている。足置き部材15は、前側がフロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cに取付けられ、後側が運転席台座14の前面部位14Aの下部に取付けられている。
次に、運転席台座14上に搭載される運転席16、左,右のフロント操作装置17,18の構成について説明する。
図3、図7に示すように、運転席16は、運転席台座14の運転席取付部位14Bに取付けられ、オペレータが着席するものである。運転席16の左,右両側には、旋回装置3、オフセットフロント装置6を操作するための左,右のフロント操作装置17,18が設けられている。
走行操作レバー19は、運転席16の前方となるフロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cに設けられている。この走行操作レバー19は、前,後方向に傾転操作することにより、下部走行体2の走行を操作するものである。また、レバー・ペダル取付板8Cには、走行操作レバー19の左,右両側に位置して、操作ペダル20,21が配置されている。これら各操作ペダル20,21は、例えばオフセットフロント装置6のオフセット操作、オプションとして取付けられる付属機器の操作等を行うものである。
制御弁群22は、足置き部材15の下側、即ち、旋回フレーム7を構成するフロア支持フレーム8の下板8A上に設けられている。制御弁群22は、複数個の制御弁を左,右方向に連ねることにより構成され、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ3Bおよび油圧ポンプ12に後述の油圧ホース29,30,31を介して接続されている。
燃料タンク23は、オフセットフロント装置6のブームフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム7に搭載されている。燃料タンク23は、貯油タンクを構成するもので、旋回フレーム7の右張出し板7Nの前側に搭載され、エンジン10に供給される燃料を貯溜している。
作動油タンク24は、燃料タンク23と共に貯油タンクを構成するもので、オフセットフロント装置6のブームフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム7に搭載されている。作動油タンク24は、燃料タンク23の後側に位置して旋回フレーム7の右張出し板7Nに搭載されている。作動油タンク24は、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ3B等の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。作動油タンク24の後側で熱交換器13の右側には、右張出し板7N上に位置してバッテリ25(図5参照)が設けられている。このバッテリ25には、オルタネータ11から電力が供給される。
図4、図6に示すように、タンク側面カバー26は、燃料タンク23、作動油タンク24の左側に位置し、旋回フレーム7の右前縦板7Cに沿って前,後方向に延びて設けられている。タンク側面カバー26の後側には、運転席台座14の左開口枠14Eに左,右方向で対向して右開口枠26Aが設けられている。
この右開口枠26Aは、左開口枠14Eと同様に傾斜して形成され、点検用開口33の右側の枠部を構成している。また、右開口枠26Aは、前述した左開口枠14Eと同様に、オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢としたときに、ロアブーム6Aとロアブーム6Aの背面6A2を延びる各油圧ホース31とが沿う角度で傾斜している。
外装カバー27は、旋回フレーム7のフロア支持フレーム8の周囲を覆う左前カバー部27Aと、左前カバー部27Aとカウンタウエイト9との間を覆う左後カバー部27Bと、燃料タンク23、作動油タンク24等を覆うタンクカバー部27Cと、タンクカバー部27Cの後側に位置して熱交換器13、バッテリ25等を覆う熱交換器カバー27Dと、エンジン10のメンテナンス用にカウンタウエイト9に開閉可能に設けられたエンジンカバー部27Eとを含んで構成されている。
センタジョイント28は、上部旋回体4の旋回中心Oに位置するように、下部走行体2のトラックフレーム2Aに設けられている。このセンタジョイント28は、上部旋回体4の旋回動作時でも、上部旋回体4と下部走行体2との間で圧油を流通させるものである。
次に、オフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6K等と油圧ポンプ12と制御弁群22とを接続する複数本の油圧ホース29,30,31の構成について述べる。本実施の形態では、圧油を給排するための各種管体を総称して油圧ホースと述べている。即ち、油圧ホースには、可撓性の耐圧ホース、金属管等を含むものである。
図5に示すように、複数本の油圧ホース29は、油圧ポンプ12と制御弁群22とを接続している。また、複数本の油圧ホース30は、制御弁群22と旋回モータ3B、センタジョイント28との間を接続している。さらに、複数本の油圧ホース31は、制御弁群22とオフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6Kとの間を接続している。これらの油圧ホース29,30,31は、オフセットフロント装置6の一部を構成するものである。
複数本の油圧ホース31のうち、2本の油圧ホース31は、制御弁群22から右側に延びつつ旋回フレーム7の左前縦板7Bに形成されたホース挿通孔7B2を通って補強部材7P上に突出し、この補強部材7Pの上面部7P1上で前側に曲げられてブームシリンダ6Gに接続されている。
一方、複数本の油圧ホース31のうち、残りの油圧ホース31は、制御弁群22から右側に延びつつ左前縦板7Bのホース挿通孔7B2を通って補強部材7P上に突出し、この補強部材7Pの上面部7P1上で後側に曲げられている。また、図6に示すように、補強部材7P上を後側に延びる各油圧ホース31は、オフセットフロント装置6を構成するロアブーム6Aのブームフート部6A1の下側を通って後述の下カバー35の下板部36上に達し、立上り板部37の前側で上側に曲げられる。そして、立上り板部37の前側を通って上側に延びた各油圧ホース31は、ロアブーム6Aの背面6A2を通ってロアブーム6Aの先端側に延び、オフセットシリンダ6H、アームシリンダ6Jおよびバケットシリンダ6Kに接続されている。
ここで、ロアブーム6Aの背面6A2を通る各油圧ホース31は、ロアブーム6Aを俯動させたときに、ブームフート部6A1を回り込むための長さ寸法が必要になる。このため、ロアブーム6Aを大きく仰動させたときには、各油圧ホース31に弛み部位31Aが形成される。そこで、ブームフート部6A1と下カバー35の下板部36、立上り板部37との間には、ロアブーム6Aを仰動させたときに各油圧ホース31に弛み部位31Aが生じるのを許すための空間部32が形成されている。この場合、弛み部位31Aが後側の近傍に位置する前取付ボルト40の頭部40Aに当接する虞がある。しかし、本実施の形態では、後述のガイド部材42によって弛み部位31Aを頭部40Aからブームフート部6A1に向けて離れるようにガイドすることにより、頭部40Aとの当接を防止している。
次に、本発明の特徴部分と関連する点検用開口33、点検カバー34および下カバー35の構成について説明する。
図4に示すように、点検用開口33は、エンジン10、オルタネータ11等を点検するために、旋回フレーム7の各前縦板7B,7Cの後側に位置して運転席台座14とタンク側面カバー26との間に設けられている。具体的には、点検用開口33は、運転席台座14のウエイト取付部位14Dの延出部14D1の前端部、左開口枠14E、タンク側面カバー26の右開口枠26Aおよび後述する下カバー35の凹陥枠37Cによって囲まれた前,後方向および上,下方向に長尺な開口として形成されている。また、点検用開口33は、前側から後側に向けて立ち上がるように傾けられた状態で開口している。この場合、点検用開口33の前側を、ロアブーム6Aのブームフート部6A1の近傍に達する位置まで延ばして形成したことにより、この点検用開口33は、大きな開口として形成することができる。
点検カバー34は、点検用開口33を着脱可能に閉塞して設けられている。図6に示すように、点検カバー34は、オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢としたときに、ロアブーム6Aとロアブーム6Aの背面6A2を延びる各油圧ホース31とが沿う傾斜面からなっている。
具体的には、図11、図12に示すように、点検カバー34は、運転席台座14の左開口枠14Eとタンク側面カバー26の右開口枠26Aとに沿うように傾斜して延びた傾斜板部34Aと、傾斜板部34Aの前端から下向きに延びた前取付板部34Bと、傾斜板部34Aの後端から後向きに延びた後取付板部34Cとにより形成されている。前取付板部34Bには、後述の前取付ボルト40が挿通されるボルト挿通溝34Dが左,右方向に間隔をもって設けられている。一方、後取付板部34Cには、後述の後取付ボルト41が挿通されるボルト挿通孔34Eが左,右方向に間隔をもって設けられている。
点検カバー34は、前取付板部34Bの各ボルト挿通溝34Dに前取付ボルト40を挿通し、各前取付ボルト40を下カバー35の立上り板部37に締結する。また、後取付板部34Cの各ボルト挿通孔34Eに後取付ボルト41を挿通し、各後取付ボルト41を運転席台座14のウエイト取付部位14Dの延出部14D1に締結する。これにより、点検カバー34は、点検用開口33を着脱可能に閉塞することができる。
下カバー35は、点検カバー34の前取付板部34Bの下側に設けられている。図6、図11に示すように、この下カバー35には、点検カバー34の前側部位となる前取付板部34Bが前取付ボルト40を用いて取外し可能に締着される。図12ないし図14に示すように、下カバー35は、鋼板等の鉄系金属材に曲げ加工や溶接を施すことにより形成されている。下カバー35は、オフセットフロント装置6を構成するロアブーム6Aの下側を前,後方向に延びた下板部36と、下板部36の後部から立ち上がった立上り板部37と、立上り板部37の左端縁から前側に延びた左板部38と、立上り板部37の右端縁から前側に延びた右板部39とにより構成されている。また、立上り板部37には、後述のガイド部材42が取付けられている。
下板部36は、前,後方向に延びる略長方形状の板体として形成されている。下板部36は、前側に向けて緩やかに下側に傾斜し、その前端部には、左,右方向に間隔をもってボルト挿通溝36Aが設けられている。ここで、下板部36は、前端がロアブーム6Aのブームフート部6A1(連結ピン6L)のほぼ真下に位置し、後端が旋回フレーム7の中間横板7Dの上方に位置している。下板部36は、各ボルト挿通溝36Aに挿通したボルト36B(図6参照)を旋回フレーム7の補強部材7Pの上面部7P1に螺着することにより補強部材7Pに取付けられている。
図14に示すように、立上り板部37は、下側位置が後方に凹陥し、上側位置が前方に張出すように断面S字状に曲げられた板体として形成されている。立上り板部37の上側に位置して前方に張出した張出し部位37Aは、ほぼ垂直な平坦面として形成されている。この張出し部位37Aには、点検カバー34の各ボルト挿通溝34Dに対応して2個のねじ孔37Bが形成されている。各ねじ孔37Bには、前取付ボルト40が螺合するもので、例えば溶接ナット等により形成されている。立上り板部37の上部には、左,右方向に広幅な矩形状の切欠からなる凹陥枠37Cが各ねじ孔37Bの近傍位置まで形成されている。この凹陥枠37Cは、点検用開口33の下側の枠部を構成している。さらに、張出し部位37Aには、各ねじ孔37Bの下側近傍に位置して後述のガイド部材42が取付けられている。
左板部38は、上,下方向に延びる平板体からなり、対面して配置された構造物、例えば、後述のキャノピ44、運転席台座14等にボルト(図示せず)を用いて取付けられている。
右板部39は、旋回フレーム7の右前縦板7Cに沿って延びた逆U字状の平板体により形成されている。右板部39は、タンク側面カバー26にボルト(図示せず)を用いて取付けられている。また、右板部39には、前,後方向の中間部に位置してオフセットフロント装置6の連結ピン6L等を避けるための切欠部39Aが形成されている。さらに、右板部39には、後述のホース規制部材43が設けられている。
図11、図12に示すように、前取付ボルト40は、点検カバー34の前側部分を下カバー35を構成する立上り板部37の上側部分に着脱可能に取付けるもので、左,右方向に離間して2本設けられている。前取付ボルト40は、六角柱状の頭部40Aと、頭部40Aから同一軸線上に延びたねじ部40Bとにより構成されている。
ここで、各前取付ボルト40は、エンジン10、オルタネータ11等を点検するときに、点検カバー34を外部から容易に取外すことができるように、前側から立上り板部37のねじ孔37Bに螺着されている。このために、各前取付ボルト40の頭部40Aは、各油圧ホース31側に突出している。
図3、図6に示すように、後取付ボルト41は、点検カバー34の後側部分を運転席台座14のウエイト取付部位14Dに着脱可能に取付けるもので、左,右方向に離間して2本設けられている。各後取付ボルト41は、各前取付ボルト40と同様に、外部(上側)から容易に着脱することができる。
次に、本発明の特徴部分となるガイド部材42の構成およびガイド部材42の機能について説明する。
図13、図14に示すように、ガイド部材42は、各前取付ボルト40の近傍に位置して下カバー35に設けられた凸状体として構成されている。具体的には、ガイド部材42は、鋼材等の鉄系金属材からなる長尺な円柱体を左,右方向に延びるように、下カバー35を構成する立上り板部37の張出し部位37Aに溶接手段を用いて固着されている。ここで、ガイド部材42は、各油圧ホース31が当たる前頂部42A側が円弧状をなしている。また、ガイド部材42の直径寸法は、例えば、各油圧ホース31が各前取付ボルト40の頭部40Aに当たる前に前頂部42Aに当たるように、頭部40Aの突出寸法よりも大きな寸法に設定されている。なお、ガイド部材42としては、安価に入手できる市販の丸棒を用いることができる。
これにより、ロアブーム6Aのブームフート部6A1と下カバー35の下板部36、立上り板部37との間の空間部32で、各油圧ホース31の弛み部位31Aが立上り板部37側に押付けられた場合には、ガイド部材42は、円弧状の前頂部42Aで各油圧ホース31を各前取付ボルト40の頭部40Aからロアブーム6Aのブームフート部6A1に向けて離れるようにガイドする。これにより、各油圧ホース31が各前取付ボルト40の頭部40Aに当接するのを未然に防ぐことができる。しかも、各油圧ホース31が接触する前頂部42Aは、円弧状をなしているから各油圧ホース31が傷付く虞もない。
ホース規制部材43は、下カバー35の右板部39に設けられている。ホース規制部材43は、例えば、右前縦板7Cの周縁のエッジ部分等に各油圧ホース31が当たらないように規制するものである。ホース規制部材43は、右前縦板7Cの周縁に沿うように、金属製の丸棒材を略S字状に曲げることにより形成されている。また、ホース規制部材43の長さ方向の両端部は、右側に屈曲して右板部39に取付けられている。
これにより、右前縦板7Cのホース挿通孔7B2の位置で折曲げられた各油圧ホース31の復元力により、前記各油圧ホース31が右前縦板7Cないし下カバー35の右板部39に押付けられた場合でも、ホース規制部材43は、各油圧ホース31に当接することにより、各油圧ホース31が右前縦板7C等に押付けられるのを規制することができる。
キャノピ44は、運転席16の上方と右側方を覆うように旋回フレーム7、カウンタウエイト9の上側に設けられている。このキャノピ44は、例えば3柱式のキャノピとして構成されている。また、フロアマット45は、フロア支持フレーム8と足置き部材15の上側を覆うように敷説されている。
本実施の形態による超小旋回型の小型油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、足置き部材15に搭乗し、運転席16に着席する。運転席16に着席したオペレータが、走行操作レバー19を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。一方、オペレータが、左,右のフロント操作装置17,18をレバー操作することにより、上部旋回体4の旋回動作、オフセットフロント装置6による土砂の掘削作業等を行うことができる。
この場合、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を図2に示す超小旋回姿勢とすることにより、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とを、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回させることができる。これにより、小型油圧ショベル1は、市街地等の狭い作業現場においても、周囲の障害物に干渉することなく、オフセットフロント装置6を用いて側溝掘り作業等を円滑に行うことができる。
次に、エンジン10、オルタネータ11等を点検する場合について述べる。この場合には、各前取付ボルト40を緩め、各後取付ボルト41を取外した後、点検カバー34を上側に引き上げることにより取外すことができる。これにより、点検用開口33を開放することができるから、この点検用開口33を通じてエンジン10、オルタネータ11等を点検または整備することができる。このときに、点検用開口33は、オフセットフロント装置6を構成するロアブーム6Aの近傍まで大きく開口させているから、点検作業時の作業性を良好にすることができる。
一方で、点検用開口33をロアブーム6Aの近傍まで大きく開口させた場合、点検カバー34の前側部分を下カバー35の立上り板部37に取付けるための前取付ボルト40の頭部40Aが、各油圧ホース31に接近して配置されることになる。このため、オフセットフロント装置6を仰動して超小旋回姿勢としたときには、各油圧ホース31に弛み部位31Aが形成され、この弛み部位31Aが各前取付ボルト40の頭部40Aに当たる虞がある。
然るに、本実施の形態によれば、エンジン10、オルタネータ11等の動力源を点検するために旋回フレーム7の各前縦板7B,7Cの後側に位置して運転席台座14とタンク側面カバー26との間に設けられ前側から後側に向けて立ち上がるように傾けられた状態で開口した点検用開口33と、点検用開口33を着脱可能に閉塞して設けられオフセットフロント装置6を仰動して折り畳んだ超小旋回姿勢としたときロアブーム6Aと各油圧ホース31とが沿う傾斜面からなる点検カバー34と、点検カバー34の下側に設けられ点検カバー34の前側部位が各前取付ボルト40を用いて取外し可能に締着される下カバー35と、各前取付ボルト40の近傍に位置して下カバー35に設けられオフセットフロント装置6の各油圧ホース31が各前取付ボルト40からロアブーム6Aのブームフート部6A1に向けて離れるように各油圧ホース31をガイドするガイド部材42とを備えている。
従って、点検用開口33をロアブーム6Aの近傍まで大きく開口させたことで、点検カバー34の前側部分を下カバー35の立上り板部37に取付けるための前取付ボルト40の頭部40Aが、各油圧ホース31に接近して配置された場合でも、ガイド部材42は、各油圧ホース31の弛み部位31Aが各前取付ボルト40の頭部40Aに当たるのを未然に防ぐことができる。この結果、各油圧ホース31が傷付くことを気にすることなく、点検用開口33を大きく形成することができ、エンジン10、オルタネータ11等の動力源の点検、整備の作業性を向上することができる。
旋回フレーム7のセンタフレーム7Aには、足置き部材15の下側に位置して制御弁群22が設けられている。また、オフセットフロント装置6の各油圧ホース31は、旋回フレーム7の左前縦板7Bに形成されたホース挿通孔7B2を介してロアブーム6Aのブームフート部6A1の下側に導くことにより、下カバー35の前側を通ってロアブーム6Aの背面6A2を先端側に向けて延びて設けることができる。
下カバー35は、オフセットフロント装置6のロアブーム6Aの下側を前,後方向に延びた下板部36と、下板部36の後部から立ち上がり上部に前取付ボルト40が締結されるねじ孔37Bを有する立上り板部37と、立上り板部37の右端縁から旋回フレーム7の右前縦板7Cに沿って前側に延びた右板部39とにより構成されている。この上で、立上り板部37には、ねじ孔37Bの近傍に位置してガイド部材42が設けられている。また、右板部39には、ホース挿通孔7B2の位置で折曲げられた各油圧ホース31の復元力により各油圧ホース31が右前縦板7Cないし右板部39に押付けられるのを規制するホース規制部材43を設けている。
これにより、左前縦板7Bのホース挿通孔7B2の位置で折曲げられた各油圧ホース31の復元力により、各油圧ホース31が右前縦板7Cないし下カバー35の右板部39に押付けられた場合でも、ホース規制部材43は、各油圧ホース31に当接することにより、各油圧ホース31が右前縦板7C等に押付けられるのを規制することができ、各油圧ホース31の耐久性を向上することができる。
ガイド部材42は、前取付ボルト40の下側近傍に位置して左,右方向に延び、少なくとも各油圧ホース31が当たる部位が円弧状をなした凸状体として形成されている。この点においても、各油圧ホース31の耐久性を向上することができる。
さらに、下カバー35とガイド部材42は、鉄系金属材からなり、ガイド部材42は、溶接手段を用いて下カバー35に固着されている。この結果、下カバー35に対してガイド部材42を簡単な構成で取付けることができる。
なお、実施の形態では、下カバー35の立上り板部37に金属製の丸棒材からなるガイド部材42を溶接手段を用いて固着する構成としている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、立上り板部37にプレス成形を施すことにより、左,右方向に延びる円弧状の突条を形成し、この突条をガイド部材として用いる構成としてもよい。
また、実施の形態では、運転席16の上方と右側方を覆うキャノピ44が設けられたキャノピ仕様の小型油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席の上方と周囲を覆うキャブが設けられたキャブ仕様の小型油圧ショベルに適用してもよい。