以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械の代表例である油圧ショベルを示している。油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた後述の作業装置4とにより大略構成されている。
ここで、作業装置4は、後述のスイングポスト11に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられたバケット4Cとにより大略構成されている。
また、スイングポスト11とブーム4Aとの間にはブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケットシリンダ4Fが設けられ、これらブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fは、作業装置4の油圧アクチュエータを構成している。
さらに、作業装置4には、ブーム4Aの背面に沿って延びる複数本の油圧配管4Gが設けられている。これら各油圧配管4Gの先端側は、油圧ホース4Hを介してアームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fに接続され、各油圧配管4Gの基端側には、後述する油圧ホース群32が接続される構成となっている。
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に取付けられている。旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ6が設けられ、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられている。また、カウンタウエイト7の前側には建屋カバー8が設けられ、該建屋カバー8内には、旋回フレーム5に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)の搭載機器が収容されている。さらに、旋回フレーム5には、キャブ6の下側に位置して油圧機器としてのコントロールバルブ9が搭載されている。
ここで、コントロールバルブ9は、複数の方向制御弁の集合体により構成されている。コントロールバルブ9の流入口は、油圧ポンプ(図示せず)の吐出口に接続され、コントロールバルブ9の吐出口には、後述する油圧ホース群32、ブームシリンダ用油圧ホース33等の基端側が接続されている。そして、コントロールバルブ9は、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、旋回モータ、走行モータ(いずれも図示せず)等の油圧アクチュエータに対する圧油の供給と排出を切換えることにより、当該油圧アクチュエータの動作を制御するものである。
10は旋回フレーム5の前端側に設けられたポスト支持ブラケットを示している。このポスト支持ブラケット10は、図7等に示すように、後述のスイングポスト11を左,右方向に揺動可能に支持するものである。ここで、ポスト支持ブラケット10は、軸方向の中間部が小径な円筒状となり、軸方向の両端部が大径な円筒状となった段付き円筒状に形成され、その内周側は後述の連結ピン12が挿嵌されるピン挿嵌孔10Aとなっている。
次に、11は上部旋回体3のポスト支持ブラケット10に連結ピン12を介して揺動可能に支持されたスイングポストを示している。スイングポスト11は、連結ピン12を中心として左,右方向に揺動可能な状態で、作業装置4を俯仰動可能に支持するものである。そして、スイングポスト11は、図3および図4に示すように、後述の後面板13、左側面板14、右側面板15、シリンダ取付ブラケット19、ホース挿通孔21等により構成されている。
13は連結ピン12を介してポスト支持ブラケット10に揺動可能に取付けられる後面板で、該後面板13は、ポスト支持ブラケット10を上,下方向から挟むようにコ字状に形成され、上,下方向に延びている。ここで、後面板13の上,下方向の両端側は、後方に向けて水平に延びる上面部13A、下面部13Bとなっている。また、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとには、ポスト支持ブラケット10のピン挿嵌孔10Aと同心上にピン挿嵌孔13C,13Cがそれぞれ形成されている。従って、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとに形成された各ピン挿嵌孔13Cと、ポスト支持ブラケット10のピン挿嵌孔10Aとに連結ピン12を挿嵌することにより、スイングポスト11が、ポスト支持ブラケット10に左,右方向に揺動可能に取付けられている。
14は後面板13の左側に設けられた左側面板、15は後面板13の右側に設けられた右側面板を示している。これら左側面板14と右側面板15とは、後面板13から上方及び前方に張出した板状をなし、左,右方向で互いに対面している。
左側面板14の上端側には、後面板13の上面部13Aよりも上方に突出した円筒状のブーム取付部14Aが設けられ、左側面板14の前端側には、右側面板15に向けて突出する円筒状のブームシリンダ取付部14Bが設けられている。一方、右側面板15の上端側にもブーム取付部15Aが設けられ、右側面板15の前端側にも、左側面板14に向けて突出するブームシリンダ取付部15Bが設けられている。そして、スイングポスト11には、後面板13、左側面板14および右側面板15によって囲まれると共に前側が開口し、横断面が上方からみて略U字状をなす空間16が形成され、該空間16内には、後述するホースカバー22、ホース保持部材41等が配置されている。
ここで、図7に示すように、左,右の側面板14,15のブーム取付部14A,15Aには、作業装置4を構成するブーム4Aのブームフート部4A1が、ピン17を介して回動可能に取付けられている。また、左,右の側面板14,15のブームシリンダ取付部14B,15Bには、ブームシリンダ4Dの取付アイ4D1が、ピン18を介して回動可能に取付けられている。
ここで、ブーム4Aのブームフート部4A1は左,右方向に延びる円筒状をなし、ブームフート部4A1の両端部は、ブーム4Aの左,右の側面よりも外側に突出している。このため、左,右の側面板14,15のブーム取付部14A,15Aにブームフート部4A1を取付けた状態で、左側面板14の内面とブーム4Aの左側面との間、および右側面板15の内面とブーム4Aの右側面との間には、それぞれ後述のブームシリンダ用油圧ホース33の外径寸法よりも大きな隙間が形成されている。
19は右側面板15に設けられたシリンダ取付ブラケットで、該シリンダ取付ブラケット19は、右側面板15から右側方に突出して設けられている。このシリンダ取付ブラケット19には、スイングシリンダ20の一端側が取付けられ、該スイングシリンダ20を伸縮させることにより、スイングポスト11が連結ピン12を中心として左,右方向に揺動する構成となっている。
21は後面板13と左側面板14とが交わる角隅部に形成されたホース挿通孔を示している。このホース挿通孔21は、連結ピン12を挟んでシリンダ取付ブラケット19とは反対側に配置され、後述する油圧ホース群32は、ホース挿通孔21を通じてスイングポスト11の空間16内に導かれる構成となっている。
22は左,右の側面板14,15間に位置して後面板13の前側に配置されたホースカバーを示している。ホースカバー22は、スイングポスト11の空間16内に配置された後述する油圧ホース群32を前方から覆って保護するものである。ここで、ホースカバー22は、図5および図6に示すように、互いに別部材として形成された後述の前ホースカバー23と上ホースカバー24とにより大略構成されている。
23は前ホースカバーを示し、該前ホースカバー23は、後面板13と対面しつつ上,下方向に延びる板体として形成されている。前ホースカバー23の上,下方向の途中部位は、前方に突出するように屈曲した屈曲部23Aとなり、前ホースカバー23のうち屈曲部23Aよりも上側となる部位は、後方に向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面23Bとなっている。
前ホースカバー23の上端側には、左,右方向に延びる補強板23Cが溶接等の手段を用いて固着されている。前ホースカバー23の下端側には、略L型に屈曲した取付板23Dがボルト締めされ、この取付板23Dの後端部は、スイングポスト11を構成する後面板13の下面部13Bにボルト締めされる構成となっている。一方、傾斜面23Bの上端側には、左,右方向に離間して2個のボルト挿通孔23Eが形成されている。また、屈曲部23Aの近傍となる傾斜面23Bの下端側には、ナット等からなる2個のねじ座23Fが、左,右に離間して固着され、該各ねじ座23Fに後述するホース保持部材41が取付けられる構成となっている。
24は前ホースカバー23の上端側に取付けられた上ホースカバーで、該上ホースカバー24は、前ホースカバー23の上端側から後方へと延びる板体として形成されている。上ホースカバー24の前端側には、前ホースカバー23の傾斜面23Bと平行して前,後方向に延びる傾斜面24Aが設けられている。また、傾斜面24Aの後側には、後面板13の上面部13Aと平行して前,後方向に延びる水平面24Bが設けられている。
ここで、傾斜面24Aには、前ホースカバー23の各ボルト挿通孔23Eと対応する位置に、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部24Cが設けられている。また、傾斜面24Aの左,右両端部には、後述する第1のホースクランプ28に当接する左,右の当接片24Dが設けられている。一方、水平面24Bの前端部中央には、後述する第2のホースクランプ29を受ける平板状のクランプ受け24Eが固着して設けられ、該クランプ受け24Eを挟む左,右両側には、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部24Fが設けられている。
そして、前ホースカバー23の傾斜面23Bと上ホースカバー24の傾斜面24Aとの間に、後述する第1のホースクランプ28を挟込んだ状態で、前ホースカバー23の各ボルト挿通孔23Eに挿通したボルト25を、上ホースカバー24の各雌ねじ部24Cに螺合することにより、前ホースカバー23と上ホースカバー24とが一体化されたホースカバー22が形成される。
一方、図6に示すように、前ホースカバー23の取付板23Dの後端部を、ボルト26を用いて後面板13の下面部13Bに取付けると共に、上ホースカバー24の水平面24Bを、ボルト27を用いて後面板13の上面部13Aに取付けることにより、ホースカバー22は、左側面板14と右側面板15との間に固定される構成となっている。
28はホースカバー22に設けられた第1のホースクランプで、該第1のホースクランプ28は、後述する油圧ホース群32の途中部位を把持するものである。ここで、第1のホースクランプ28は、図5に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて左,右方向に延びる直方体状に形成されている。また、第1のホースクランプ28の左,右方向の両端側には、前,後方向に貫通する複数のホース保持孔28Aが、左,右方向(長さ方向)に並んで設けられている。さらに、第1のホースクランプ28の左,右方向の中央部には、前ホースカバー23のボルト挿通孔23Eと対応する2個のボルト挿通孔28B,28Bが、左,右に離間して設けられている。
そして、第1のホースクランプ28は、前ホースカバー23と上ホースカバー24とを締結するボルト25を、ボルト挿通孔28B内に挿通することにより、前ホースカバー23の傾斜面23Bと上ホースカバー24の傾斜面24Aとの間で挟持される。これにより、第1のホースクランプ28は、図7に示すように、連結ピン12の近傍位置に配置され、油圧ホース群32の途中部位をホース保持孔28A内で把持する構成となっている。
29はホースカバー22の上ホースカバー24に設けられた第2のホースクランプで、該第2のホースクランプ29は、後述するブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を把持するものである。ここで、第2のホースクランプ29は、ゴム等の弾性材料を用いて第1のホースクランプ28よりも短尺な直方体状に形成され、前,後方向に貫通する2個のホース保持孔29Aが左,右に離間して設けられている。
第2のホースクランプ29は、略U字状をなすクランプ固定具30と上ホースカバー24のクランプ受け24Eとの間に挟込まれた状態で、クランプ固定具30に挿通したボルト31を上ホースカバー24の雌ねじ部24Fに螺合することにより、上ホースカバー24の上面側に固定されている。これにより、第2のホースクランプ29は、第1のホースクランプ28と共に連結ピン12の近傍位置に配置され、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を、ホース保持孔29A内で把持する構成となっている。
この場合、第1のホースクランプ28と第2のホースクランプ29とは、上,下に離間して配置されているので、第1のホースクランプ28によって把持された油圧ホース群32と、第2のホースクランプ29によって把持されたブームシリンダ用油圧ホース33とを、上,下方向に分離することができる構成となっている。
次に、32は上部旋回体3からスイングポスト11内を通過して作業装置4へと延びる油圧ホース群を示している。この油圧ホース群32は、上部旋回体3に搭載されたコントロールバルブ9と、作業装置4のアームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとの間を接続する複数(例えば4本)の油圧ホース32Aにより構成されている。
ここで、油圧ホース群32は、その基端側がコントロールバルブ9の吐出口に接続され、コントロールバルブ9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延びている。そして、油圧ホース群32は、スイングポスト11のホース挿通孔21から空間16内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー22に沿って下側から上側へと延びている(図7参照)。
この場合、油圧ホース群32を構成する各油圧ホース32Aの途中部位は、第1のホースクランプ28によって把持されている。そして、第1のホースクランプ28からスイングポスト11の外部(上側)に導出された各油圧ホース32Aの先端側は、スイングポスト11に取付けられたブーム4A(ブームフート部4A1)の下側を通ってブーム4Aの背面側へと延び、該ブーム4Aの背面に配設された油圧配管4Gの基端側に接続されている。
33は油圧ホース群32とは別に、上部旋回体3からスイングポスト11内を通過して作業装置4へと延びるブームシリンダ用油圧ホースを示している。このブームシリンダ用油圧ホース33は、上部旋回体3に設けられたコントロールバルブ9と作業装置4のブームシリンダ4Dとの間を接続する複数(例えば2本)の油圧ホース33A,33Bにより構成されている。
なお、本実施の形態においては、ブームシリンダ用油圧ホース33を構成する2本の油圧ホース33A,33Bに対し、油圧ホース群32の各油圧ホース32Aは、他の油圧ホースを構成している。
ここで、ブームシリンダ用油圧ホース33は、基端側がコントロールバルブ9の吐出口に接続され、該コントロールバルブ9から連結ピン12の上方を通り、スイングポスト11を通過してブームシリンダ4Dへと延びている。ブームシリンダ用油圧ホース33の各油圧ホース33A,33Bの途中部位は、スイングポスト11を構成する左,右の側面板14,15に設けられたブーム取付部14A,15Aとブームシリンダ取付部14B,15Bとの間、即ち、ブーム4Aのブームフート部4A1と、ブームシリンダ4Dの取付アイ4D1との間を通過して前,後方向に延びている。
この場合、ブームシリンダ用油圧ホース33の各油圧ホース33A,33Bの途中部位は、ホースカバー22の上ホースカバー24に設けられた第2のホースクランプ29によって把持されると共に、後述するホース保持部材41によって移動可能に保持されている。そして、第2のホースクランプ29からスイングポスト11の外部(前側)に導出されたブームシリンダ用油圧ホース33の先端側は、スイングポスト11に取付けられたブームシリンダ4Dに沿って延び、図2に示すように、一方の油圧ホース33Aの先端側は、ブームシリンダ4Dに固定されたシリンダ配管4D2に接続され、他方の油圧ホース33Bの先端側は、ブームシリンダ4Dに固定されたシリンダ配管4D3に接続されている。
次に、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を移動可能に保持するために本実施の形態に用いられるホース保持部材について説明する。
41はスイングポスト11の空間16内に位置してホースカバー22の前面側に設けられたホース保持部材を示している。このホース保持部材41は、第2のホースクランプ29とブームシリンダ4Dとの間で、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を移動可能に保持するものである。このホース保持部材41は、図3および図5に示すように、ホースカバー22に固定される固定部42と、該固定部42からスイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部43、および右側面板15に向けて延びる右腕部44とにより構成されている。
ここで、固定部42は、左,右方向に延びる長方形の板体により構成され、左,右方向の両端側には、ホースカバー22の前ホースカバー23に固着された各ねじ座23Fに対応する2個のボルト挿通孔42Aが穿設されている。そして、固定部42は、ボルト挿通孔42Aに挿通したボルト45をねじ座23Fに螺合することにより、前ホースカバー23の傾斜面23Bの前面側に固定されるものである。
固定部42の左端部には、スイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部43が設けられている。この左腕部43は、中実な丸棒材を略L字状に折曲げることにより形成され、固定部42の左端部に溶接等の手段を用いて固着されている。一方、固定部42の右端部には、スイングポスト11の右側面板15に向けて延びる右腕部44が設けられている。この右腕部44は、中実な丸棒材を略L字状に折曲げることにより形成され、固定部42の右端部に溶接等の手段を用いて固着されている。
そして、ホース保持部材41の固定部42をホースカバー22の前ホースカバー23に固定した状態で、左腕部43の先端部43Aは、左側面板14の内面に当接、または僅かな隙間(ブームシリンダ用油圧ホース33の外径に比べて十分に小さな隙間)をもって対面する。これにより、図9に示すように、左腕部43と、スイングポスト11の左側面板14と、ホースカバー22の前ホースカバー23とによって囲まれた左側ホース保持空間46が形成され、この左側ホース保持空間46内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の一方の油圧ホース33Aの途中部位が遊挿される。
これと同様に、右腕部44の先端部44Aは、右側面板15の内面に当接、または僅かな隙間をもって対面する。これにより、右腕部44と、スイングポスト11の右側面板15と、ホースカバー22の前ホースカバー23とによって囲まれた右側ホース保持空間47が形成され、この右側ホース保持空間47内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の他方の油圧ホース33Bの途中部位が遊挿される。
この場合、左側ホース保持空間46は、油圧ホース33Aの外径寸法に比較して充分に大きく設定され、右側ホース保持空間47は、油圧ホース33Bの外径寸法に比較して充分に大きく設定されている。これにより、ホース保持部材41は、油圧ホース33Aの途中部位を、左側面板14に沿わせた状態で前,後方向、左,右方向に移動可能に保持すると共に、右側ホース保持空間油圧ホース33Bの途中部位を、右側面板15に沿わせた状態で前,後方向、左,右方向に移動可能に保持する。従って、ブームシリンダ4Dが伸縮動作を行った場合でも、スイングポスト11が左,右方向に揺動動作を行った場合でも、ブームシリンダ用油圧ホース33がスイングポスト11の空間16内で自由に移動するのを制限し、各油圧ホース33A,33Bを左,右に分岐させ、これらを予め定められたホースルートに従わせることができる構成となっている。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて側溝掘り作業等を行う場合には、スイングシリンダ20により連結ピン12を中心としてスイングポスト11を左,右方向に揺動させると共に、上部旋回体3をスイングポスト11の揺動方向とは反対側に旋回させる。これにより、作業装置4を左,右方向に平行移動させることができ、この状態で作業装置4を俯仰動させることにより、側溝掘り作業を行うことができる。
この場合、油圧ホース群32の途中部位は、ホースカバー22に設けた第1のホースクランプ28によって把持されるので、油圧ホース群32を構成する各油圧ホース32Aが互いに接触するのを抑えることができ、各油圧ホース32Aの寿命を延ばすことができる。
一方、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位は、ホースカバー22の上ホースカバー24に設けた第2のホースクランプ29によって把持されるので、ブームシリンダ用油圧ホース33を構成する各油圧ホース33A,33Bが互いに接触するのを抑えることができ、各油圧ホース33A,33Bの寿命を延ばすことができる。
ここで、ブームシリンダ用油圧ホース33のうち、第2のホースクランプ29からブームシリンダ4Dに向けて延びる途中部位は、第2のホースクランプ29よりも前側に位置してホースカバー22の前ホースカバー23に設けられたホース保持部材41によって移動可能に保持されている。
この場合、図9に示すように、ブームシリンダ用油圧ホース33を構成する一方の油圧ホース33Aは、ホース保持部材41の左腕部43によってスイングポスト11の左側面板14に押付けられ、常に当該左側面板14の内面に沿って移動するようになる。一方、ブームシリンダ用油圧ホース33を構成する他方の油圧ホース33Bは、ホース保持部材41の右腕部44によってスイングポスト11の右側面板15に押付けられ、常に当該右側面板15の内面に沿って移動するようになる。
これにより、例えば図8に示すように、ブームシリンダ4Dを最縮小させてブーム4Aの先端を最も地面側に傾けたとしても、一方の油圧ホース33Aを、スイングポスト11の左側面板14とブーム4Aの左側面との間に形成される隙間を通じてブームシリンダ4D側に導出することができ、他方の油圧ホース33Bを、スイングポスト11の右側面板15とブーム4Aの右側面との間に形成される隙間を通じてブームシリンダ4D側に導出することができる。この結果、各油圧ホース33A,33Bが、ブーム4Aとスイングポスト11との間に挟まれるのを確実に防止することができ、ブームシリンダ用油圧ホース33の寿命を延ばすことができる。
ここで、図11は比較例によるブームシリンダ用油圧ホース101のスイングポスト11内での配置を示している。この場合、比較例によるブームシリンダ用油圧ホース101は、スイングポスト11内を通過する途中部位が、第1の実施の形態に用いたホース保持部材41によって保持されることなく、第2のホースクランプ29のみによって把持されている。
この比較例において、ブームシリンダ4Dを最縮小させてブーム(図示せず)の先端を最も地面側に傾けた場合には、ブームシリンダ用油圧ホース101の各油圧ホース101A,101Bは、ブームシリンダ4Dの前傾に伴い、スイングポスト11の左,右の側面板14,15の中間位置へと移動するようになる。この結果、ブームシリンダ用油圧ホース101が、不用意にブームの下側に配置されてしまい、ブームの下面とスイングポスト11との間に挟まれてしまう虞れがある。
これに対し、本実施の形態によれば、ブームシリンダ用油圧ホース33の各油圧ホース33A,33Bの途中部位を、第2のホースクランプ29よりも前側に配置されたホース保持部材41によって移動可能に保持することにより、これら各油圧ホース33A,33Bを左,右方向に分岐させることができる。このため、一方の油圧ホース33Aを、ホース保持部材41の左腕部43によってスイングポスト11の左側面板14に押付け、常に左側面板14の内面に沿って移動させることができる。これと同様に、他方の油圧ホース33Bを、ホース保持部材41の右腕部44によってスイングポスト11の右側面板15に押付け、常に右側面板15の内面に沿って移動させることができる。
この結果、ブームシリンダ4Dを最縮小させてブーム4Aの先端を最も地面側に傾けたとしても、各油圧ホース33A,33Bが、ブーム4Aとスイングポスト11との間に挟まれたり、互いに接触して擦れたりするのを確実に防止することができ、ブームシリンダ用油圧ホース33の寿命を延ばすことができる。
次に、図12および図13は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ホース保持部材の固定部をスイングポストに直接的に取付ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51はスイングポスト11の空間16内に配置された本実施の形態によるホース保持部材を示し、このホース保持部材51は、上述した第1の実施の形態によるホース保持部材41と同様に、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を移動可能に保持するものである。しかし、ホース保持部材51は、スイングポスト11に直接的に取付けられる点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
このホース保持部材51は、スイングポスト11の後面板13に固定される固定部52と、該固定部52からスイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部53、および右側面板15に向けて延びる右腕部54とにより構成されている。
ここで、固定部52は、スイングポスト11の後面板13と対面し上,下方向に延びる取付板部52Aと、該取付板部52Aの上端側から前方に向けて傾めに折曲げられた傾斜板部52Bとにより構成されている。取付板部52Aには、左,右に離間して2個のボルト挿通孔52Cが穿設され、該各ボルト挿通孔52Cに挿通したボルト55を、スイングポスト11の後面板13に螺設した2個の雌ねじ孔13Dに螺合することにより、固定部52がスイングポスト11に直接的に取付けられている。
この場合、取付板部52Aを挟む傾斜板部52Bの左,右方向の両端側には、後端側から前方に向けて凹陥状の切欠部52Dが形成され、スイングポスト11の後面板13にホース保持部材51を取付けたときに、各切欠部52Dと後面板13との間に油圧ホース群32の途中部位が収容される構成となっている。
傾斜板部52Bの左端部には、スイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部53が溶接等の手段を用いて固着されている。この左腕部53は、中実な丸棒材を略U字状に折曲げることにより形成されている。一方、傾斜板部52Bの右端部には、スイングポスト11の右側面板15に向けて延びる右腕部54が溶接等の手段を用いて固着されている。この右腕部54も、中実な丸棒材を略U字状に折曲げることにより形成されている。
そして、ホース保持部材51の固定部52をスイングポスト11の後面板13に固定した状態で、左腕部53の一端部53Aと他端部53Bは、左側面板14の内面に当接、または僅かな隙間をもって対面する。これにより、左腕部53と左側面板14とによって囲まれた左側ホース保持空間56が形成され、この左側ホース保持空間56内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の一方の油圧ホース33Aの途中部位が遊挿される。
これと同様に、右腕部54の一端部54Aと他端部54Bは、右側面板15の内面に当接、または僅かな隙間をもって対面する。これにより、右腕部54と右側面板15とによって囲まれた右側ホース保持空間57が形成され、この右側ホース保持空間57内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の他方の油圧ホース33Bの途中部位が遊挿される。
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如きホース保持部材51を備えたもので、その基本的作用については第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、本実施の形態によれば、ホース保持部材51を単独でスイングポスト11に取付けることができるので、例えばホース保持部材51をスイングポスト11に取付けたまま、上ホースカバー24のみを交換することができ、その作業性を高めることができる。
次に、図14ないし図16は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ホース保持部材の固定部がホースカバーの一部を構成することにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61はスイングポスト11の空間16内に配置された本実施の形態によるホースカバーを示し、該ホースカバー61は、スイングポスト11の空間16内に配置された油圧ホース群32を保護するものである。ここで、ホースカバー61は、上ホースカバー24と、後述するホース保持部材62の固定部63とにより構成されている。
62は本実施の形態によるホース保持部材を示し、このホース保持部材62は、上述した第1の実施の形態によるホース保持部材41と同様に、ブームシリンダ用油圧ホース33の途中部位を移動可能に保持するものである。しかし、ホース保持部材62は、後述する固定部63がホースカバー61の一部を構成している点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
このホース保持部材62は、上ホースカバー24と共にホースカバー61を構成する固定部63と、該固定部63からスイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部64、および右側面板15に向けて延びる右腕部65とにより構成されている。
ここで、固定部63は、上ホースカバー24の傾斜面24Aとの間で第1のホースクランプ28を挟持した状態で当該傾斜面24Aに取付けられる取付板部63Aと、該取付板部63Aから斜め前方に延びた平板状の延長板部63Bとにより構成されている。取付板部63Aには、左,右に離間して2個のボルト挿通孔63Cが穿設され、該各ボルト挿通孔63Cに挿通したボルト66を、第1のホースクランプ28のボルト挿通孔28Bを介して上ホースカバー24の雌ねじ部24Cに螺合することにより、上ホースカバー24に固定部63が固定されている。これにより、固定部63は、上ホースカバー24から前方に延在し、スイングポスト11の空間16内に配置された油圧ホース群32を前側から覆う構成となっている。
延長板部63Bの左端部には、スイングポスト11の左側面板14に向けて延びる左腕部64が溶接等の手段を用いて固着されている。この左腕部64は、中実な丸棒材を略U字状に折曲げることにより形成されている。一方、延長板部63Bの右端部には、スイングポスト11の右側面板15に向けて延びる右腕部65が溶接等の手段を用いて固着されている。この右腕部65も、中実な丸棒材を略U字状に折曲げることにより形成されている。
そして、ホース保持部材51の固定部63を上ホースカバー24に固定した状態で、左腕部64の一端部64Aと他端部64Bは、左側面板14の内面に当接、または僅かな隙間をもって対面する。これにより、左腕部64と左側面板14とによって囲まれた左側ホース保持空間67が形成され、この左側ホース保持空間67内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の一方の油圧ホース33Aの途中部位が遊挿される。
これと同様に、右腕部65の一端部65Aと他端部65Bは、右側面板15の内面に当接、または僅かな隙間をもって対面する。これにより、右腕部65と右側面板15とによって囲まれた右側ホース保持空間68が形成され、この右側ホース保持空間68内に、ブームシリンダ用油圧ホース33の他方の油圧ホース33Bの途中部位が遊挿される。
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如きホース保持部材62を備えたもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、本実施の形態によれば、ホース保持部材62の固定部63が、上ホースカバー24と共にホースカバー61の一部を構成することにより、互いに別部材からなるホースカバーとホース保持部材とを別々にスイングポスト11に取付ける場合に比較して、部品点数を削減することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、ホース保持部材41の左腕部43と右腕部44とを、中実な丸棒材を用いて形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば中空なパイプ材を用いて左,右の腕部を形成しても良く、さらに、丸棒材の外周側に回転可能にローラを取付ける構成としても良い。このことは、第2,第3の実施の形態によるホース保持部材51,62についても同様である。
また、上述した実施の形態では、建設機械としてスイングポスト11を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、スイングポストを備えた他の建設機械にも広く適用することができる。