JP6617265B2 - 熱伝導構造体、熱伝導構造体の製造方法、冷却装置、及び半導体モジュール - Google Patents

熱伝導構造体、熱伝導構造体の製造方法、冷却装置、及び半導体モジュール Download PDF

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Description

本発明は、グラフェンシートが積層されてなる熱伝導体を有する熱伝導構造体、熱伝導構造体の製造方法、冷却装置、及び半導体モジュールに関する。
放熱対象である発熱体の熱を移動させて放熱する熱伝導体として、グラフェンシートが積層された構造を有するグラファイトを利用したものが知られている。例えば、特許文献1には、グラファイトの一部に金属が埋め込まれ、熱源から熱を受ける受熱部が上記金属に接触するように構成された熱伝導体が開示されている。
前記グラファイトは、一般に、組成が脆く崩れ安い性質を有している。そのため、従来、板状の熱伝導体の周部を被覆するように支持部材が設けられ、効率的な熱伝導を実現しつつ、強度を高めることが可能な熱伝導体(異方性熱伝導素子)が提案されている(特許文献2参照)。
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などの自動車産業においては、モーターの出力の増大にともない、耐電圧が高く、定格電流の大きいパワー半導体を含むパワーモジュール(電力用半導体素子)が用いられるようになってきた。このようなパワーモジュールで制御される電流路は、数百アンペアを超える大電流が流れるため、パワーモジュールにおいて数kWの熱が発生する場合があり、発生した熱を効率よく放熱する熱伝導部材が求められている。
特開2008−28283号公報 特開2011−23670号公報
ところで、パワーモジュールが用いられるデバイスの設置環境は様々であり、例えば、自動車に搭載するパワーモジュールにおいては、自動車の走行による衝撃や振動、エンジンの振動などの影響を受ける。また、パワーモジュール自体の発熱或いは外部熱の影響によって加熱されると、パワーモジュールに用いられる素材の膨張率に応じてパワーモジュール自体が変形する場合がある。
また、近年、可撓性を有する樹脂基板を用いた可撓性を有する液晶パネルなどが市場に流通するようになってきた。このような液晶パネルの大画面化が進むと、液晶パネルに用いられる半導体においても効率よく放熱する熱伝導部材が求められることになる。
しかしながら、振動を受けたり熱変形するパワーモジュールの放熱用として前記グラファイトを用いた熱伝導体が適用された場合、熱伝導体がパワーモジュールから外れたり、熱伝導体に亀裂が生じるという問題がある。また、撓まされることを前提する基板などに搭載された半導体の放熱用として前記グラファイトを用いた熱伝導体が適用された場合は、基板の撓みに対して熱伝導体が追従することができず、熱伝導体が破損するという問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、放熱対象である発熱体の熱を効率よく放熱することができ、しかも、可撓性を有する熱伝導構造体、及びこの熱伝導構造体の製造方法を提供することにある。また、他の目的は、熱伝導構造体を利用した発熱体の冷却装置、及び半導体モジュールを提供することにある。
本発明の熱伝導構造体は、グラフェンシートが積層されてなる板状の第1熱伝導体及び第2熱伝導体を有する。この熱伝導構造体は、前記グラフェンシートの積層方向を一致させた状態で前記積層方向に直交する方向の接合面が相互に所定の接合材によって接合された構造を有する。
前記接合材は、前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体よりも融点の低い金属である。この場合、前記熱伝導構造体は、前記第1熱伝導体の前記接合面と前記第1熱伝導体の前記接合面との間に前記接合材が介在した状態で前記接合材が加熱溶融されることによって前記接合面が相互に接合された構造を有する。
また、本発明は、グラフェンシートが積層されてなる板状の第1熱伝導体及び第2熱伝導体を有する熱伝導構造体を製造する製造方法である。本発明の熱伝導構造体の製造方法は、前記グラフェンシートの積層方向を一致させた状態で前記積層方向に直交する方向の接合面を相互に所定の接合材によって接合することを特徴とする。
前記接合材は、前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体よりも融点の低い金属である。この場合、本発明の熱伝導構造体の製造方法において、前記第1熱伝導体の前記接合面と前記第1熱伝導体の前記接合面との間に前記接合材を介在させた状態で前記接合材を加熱溶融させることによって、前記接合面を相互に接合する。
本発明の熱伝導構造体の製造方法において、前記第1熱伝導体の前記接合面と前記第1熱伝導体の前記接合面との間に前記接合材を介在させ、加熱による前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体の前記積層方向の膨張量、つまり、膨張後の前記積層方向の長さを予め定められた許容範囲内となるように規制しつつ全体を加熱することにより前記接合材を溶融させることによって、前記接合面を相互に接合する。
前記許容範囲は、加熱前における前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体の前記積層方向の長さに対して105%〜125%である。
本発明の冷却装置は、前記熱伝導構造体と、前記積層方向に直交する方向における前記熱伝導構造体の両端面それぞれに接合された金属またはセラミックスからなる薄肉の密着層と、前記熱伝導構造体の少なくとも一方の端面に接合された放熱体と、を備える。前記冷却装置は、前記熱伝導構造体の他方の端面に取り付けられた発熱体から前記熱伝導構造体及び前記放熱体を通じて放熱する。
本発明の半導体モジュールは、前記冷却装置と、前記冷却装置の前記熱伝導構造体の他方の端面に取り付けられた半導体素子と、を備える。
本発明によれば、放熱対象である発熱体の熱を効率よく放熱することができ、しかも、振動や撓みなどの変形に影響して破損し難い熱伝導構造体を実現することができる。また、前記発熱体の熱を効率よく放熱することができ、且つ、可撓性を有する熱伝導構造体を製造することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態に係るグラファイト複合体を示す斜視図である。 図2は、グラファイト複合体において図1の切断線II−IIの断面構造を部分的に拡大した拡大断面図である。 図3は、グラファイト複合体の製造に用いられる金型装置を説明するための分解斜視図である。 図4は、金型装置を説明するための図であり、図4(A)は金型装置の平面図、図4(B)は金型装置において図4(A)の切断線IVB−IVBの断面図である。 図5は、金型装置の断面図であり、図5(A)はグラファイト部材を金型に装着した状態を示し、図5(B)は金型装置内においてグラファイト部材が熱膨張している状態を示し、図5(C)は金型装置内においてグラファイト部材の膨張が規制部材によって規制されている状態を示す。 図6(A)及び(B)は、グラファイト複合体が可撓性を有することを説明するための図である。 図7は、本発明の実施形態に係るグラファイト複合体が適用された冷却装置及び半導体モジュールを示す図である。
以下、添付図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
以下、図1及び図2を参照して、本発明の熱伝導構造体の一例であるグラファイト複合体10について説明する。
図1に示されるように、グラファイト複合体10は、二層構造を有する矩形板状のものである。グラファイト複合体10は、上側に平板状に形成されたグラファイト部材11を有しており、下側に平板状に形成されたグラファイト部材12を有している。本実施形態では、グラファイト部材11,12が互いに後述の接合材19(図3参照)によって接合されている。なお、上側のグラファイト部材11は、本発明の第1熱伝導体の一例であり、下側のグラファイト部材12は、本発明の第2熱伝導体の一例である。
グラファイト部材11,12は、グラフェンシート15が一方向に沿って複数積層された結晶構造を有している。グラフェンシート15は、シート状のグラフェンであって、六員環が平面方向に共有結合して形成されたものであり、その厚みは炭素原子一つ分である。グラファイト部材11,12の各グラフェンシート15の層間は、ファンデルワールス力で結合されているため、グラフェンシート15は、層状に剥がれ易い性質を有している。本実施形態のグラファイト部材11,12は、グラフェンシート15が積み重ねられた積層方向(図1のX方向)に直交する厚み方向(図1のY方向)のサイズ(厚み)が薄いプレート状に形成されている。具体的には、グラファイト部材11,12それぞれは、その厚みが1.5[mm]〜2.0[mm]に形成されている。また、グラファイト部材11,12は、平面視で矩形状に形成されており、例えば、一辺が30[mm]の正方形状に形成されている。なお、グラフェンシート15の実際の厚みは炭素原子1個分であるが、説明の便宜上、各図では、実際の厚み以上に表されたグラフェンシート15が示されている。
グラファイト部材11,12としては、一般的なグラファイトよりも高い熱伝導性を有する高配向性熱分解グラファイト(HOPG:Highly Oriented Pyrolytic Graphite)が採用されている。具体的には、米国MINTEQ International Inc.製の商品名「PYROID HT」が用いられている。
グラファイト部材11,12は、熱伝導率に関して異方性を有している。つまり、グラファイト部材11,12は、X方向(Y−Z面に垂直な方向)の熱伝導率よりもY−Z面に沿う方向、つまり、図1においてグラファイト部材11,12の厚み方向の熱伝導率が極めて高い。このように、素材の方向によって熱伝導率が異なる性質を異方性といい、この異方性を有するグラファイト部材11,12は、一般に、異方性熱伝導体、或いは異方性熱伝導素子と称されている。グラファイト部材11,12は、詳細には、Y−Z平面に沿う方向の熱伝導率は1500[W/mK]〜1700[W/mK]程度であり、X方向の熱伝導率は5[W/mK]〜10[W/mK]程度である。
また、一般的なグラファイトの前記積層方向(X方向)の線膨張率が4.5[ppm/K]〜5.5[ppm/K]であるのに対して、高配向性熱分解グラファイトであるグラファイト部材11,12の前記積層方向(X方向)の線膨張率は極めて高く、具体には約25[ppm/K]である。
本実施形態に係るグラファイト複合体10は、グラファイト部材11及びグラファイト部材12それぞれにおけるグラフェンシート15の積層方向を一致させた状態で、グラファイト部材11の厚み方向下側の接合面とグラファイト部材11の厚み方向上側の接合面とを接合材19(図3参照)によって互いに接合した構造を有する。
接合材19は、インサート材とも称されており、グラファイト部材11,12よりも融点の低い金属又はその金属からなる合金、或いは、複数種の金属で構成されたものが用いられる。具体的には、接合材19は、銀、銅およびチタンから構成された薄板状(シート状)のものである。接合材19は、0.05[mm]の厚みのシート状に形成されている。なお、接合材19は、シート状のものに限られず、スラリー状のものを適用することも可能である。しかし、グラファイト複合体10におけるグラファイト部材11,12間の接合層の厚みを均一すること、及び接合層における気泡の発生を抑制することに鑑みると、接合材19は、均一厚さに形成されたシート状のものが好ましい。なお、接合材19として、銀、銅、チタン、及び錫を含むものが適用されてもよい。
グラファイト複合体10は、グラファイト部材11の前記接合面と、グラファイト部材12の前記接合面とをシート状の接合材19を用いて互いに接合したものである。前記接合面間に接合材19が介在された状態で接合材19が加熱溶融されることによって、前記接合面同士が互いに接合される。前記接合面同士の接合方法としては、ろう接合(ろう付け)、固相拡散接合、或いは液相拡散接合などを適用することができるが、本実施形態では、後述するように、液相拡散接合によって前記接合面同士が接合されている。なお、具体的な接合工程については後述する。
グラファイト部材11,12の前記接合面は、複数のグラフェンシート15のエッジが幾層にも重ね合わされた状態となっており、一般にエッジ面と称されている。上述したように、グラフェンシート15は、六員環が共有結合して形成されているため、グラフェンシート15における面方向(Y−Z面に沿う方向)は六員環による強い共有結合で炭素間が繋がっている。しかしながら、前記接合面においては、六員環による前記面方向の供給結合が切断された状態となっているため、前記接合面の炭素原子の結合は不飽和な状態となっている。そのため、前記接合面においては、炭素原子が他の物質と反応し易い活性状態となっている。
本実施形態では、活性状態の前記接合面同士を接合するための接合材19には、上述したように、チタンが含まれている。チタンは、所謂活性金属であり、接合面に対する濡れ性、つまり、不飽和状態の炭素原子との結合反応性が極めて高い。このため、接合材19が加熱溶融されることによって、前記接合面の原子拡散が誘発されて、チタンと炭素とが積極的に反応し、前記接合面間にチタン化合物であるチタンカーバイド(TiC)が生成される。もちろん、チタン化合物だけでなく、接合材19を構成する各金属(銅や銀等)と炭素との金属化合物も生成される。これにより、グラファイト部材11,12の前記接合面において接合界面が存在しなくなり、前記金属化合物によって、グラファイト部材11とグラファイト部材12とが強固に接合される。
このように構成されたグラファイト複合体10は、グラファイト複合体10のY方向及びZ方向において、概ね1500[W/mK]〜1700[W/mK]の熱伝導率を実現することが可能となる。
以下、グラファイト複合体10の製造方法について説明する。
グラファイト複合体10の製造には、図3に示される金型装置30が用いられる。金型装置30は、グラファイト複合体10の構成要素であるグラファイト部材11,12と、これらを接合するための接合材19とを収容するものである。図3に示されるように、金型装置30は、メス型31とオス型32とを有している。
メス型31及びオス型32は、一般的なグラファイト(非高配向性を有しないグラファイト)で構成されており、グラファイトブロック(黒煙ブロック)を切削加工することによって得られる。メス型31及びオス型32の線膨張率は、4.5[ppm/K]〜5.5[ppm/K]程度である。グラファイトは、アルミニウムの熱伝導率よりも劣るものの、その熱伝導率は116[W/mK]であり比較的大きく、真空中における熱伝達性が良好あり、また、耐熱性が高く、不純物も少ないため、グラファイト複合体10の製造用としての金型装置30に適している。また、後述するように接合材19が加熱溶融されてメス型31にはみ出してメス型31の内壁に固着した場合でも、メス型31の材質がグラファイトである場合は、その固着を容易に取り外すことができる。
メス型31は、水平方向の断面が正方形のブロック体である。メス型31には、上面31Aから下面に凹まされた断面正方形の収容部34が形成されている。収容部34は、グラファイト部材11,12が前後左右に隙間が生じる程度のサイズに形成されている。また、収容部34の深さは、グラファイト部材11,12や接合材19が収容された状態で、メス型31の上面31Aから突出しないサイズに形成されている。収容部34にグラファイト部材11,12が収容される。
メス型31の上面31Aには、オス型32を取り付けるための複数のネジ穴36が形成されている。8つのネジ穴36が、収容部34を囲むように形成されている。
オス型32は、メス型31と同じように、水平方向の断面が正方形のブロック体である。オス型32の下面32Aには、下面32Aから下方へ突出する凸状の嵌合部37が形成されている。嵌合部37Aが収容部34に挿入される部分であり、収容部34と同様に、断面正方形に形成されている。
オス型32には、上面31Aから下面に貫通する8つの貫通穴38が形成されている。これらの貫通穴38は、ネジ穴36に対応する位置に形成されている。
メス型31の上面にオス型32が組み合わされて、嵌合部37が収容部34に嵌め入れられると、メス型31とオス型32とが上下に組み付けられる。
グラファイト複合体10を製造するにあたり、まず、図3に示されるように、収容部34にグラファイト部材11,12及び接合材19を収容する。具体的には、収容部34の底部にグラファイト部材12を配置し、その上に接合材19を乗せ、そして、接合材19を上下方向に挟むようにして接合材19の上にグラファイト部材11を乗せる。このとき、グラファイト部材11の積層方向とグラファイト部材12の積層方向とが一致するように、グラファイト部材11,12が収容部34に収容される。その後、収容部34に後述の規制プレート35が挿入される。
図4に示されるように、規制プレート35は、グラファイト部材11,12と収容部34の内壁34A,34Bとの間の隙間ΔT1に挿入される。規制プレート35は、加熱によってグラファイト部材11,12が前記積層方向に膨張する膨張量を予め定められた許容範囲内となるように規制するためのものである。規制プレート35は、グラファイト部材11,12と同じ材質で形成された所定厚みのプレート状の部材である。
上述したように、グラファイト部材11,12は、一方向にグラフェンシート15が積層された構造を有している。グラファイト部材11,12が加熱されると、グラフェンシート15それぞれがその線膨張率に応じてシートの厚み方向(積層方向と同じ方向)に膨張する。グラフェンシート15それぞれが厚み方向に膨張し、その膨張量が積み重ねられると、グラファイト部材11,12が積層方向に膨張する。グラファイト部材11,12として高配向性熱分解グラファイトが用いられているため、積層方向の膨張を規制せずにグラファイト部材11,12を加熱すると、一般的なグラファイト部材と比べて大きく膨張する。したがって、本実施形態では、規制プレート35を前記隙間ΔT1に挿入して、グラファイト部材11,12の積層方向の膨張量、つまり、膨張後の長さを、加熱前の前記積層方向の長さL1(図5(A)参照)に対して105%〜125%(本発明の許容範囲に相当)となるように、つまり、長さL1の1.05倍〜1.25倍となるように調整している。
なお、収容部34においてグラファイト部材11,12を安定させるために、グラファイト部材11,12と収容部34の内壁34C,34Dとの間の隙間ΔT2に、グラファイト部材11,12を支えるためのサポートプレート(不図示)が挿入されてもよい。
収容部34にグラファイト部材11,12、接合材19、規制プレート35が収容されると、メス型31の上面にオス型32が組み合わされて、メス型31とオス型32とが上下に組み付けられる。このとき、オス型32の嵌合部37の下面がグラファイト部材11の上面に当接する。この状態で、ネジ39が貫通穴38に挿通されて、ネジ穴36に取り付けられて、メス型31とオス型32とが固定される(図4(B)参照)。
金型装置30において、ネジ39の締め付け深さは任意に調整することができる。ネジ39の締め付け深さを調整することにより、グラファイト部材11,12に対して上下方向に所定の加重を加えることができる。本実施形態では、グラファイト部材11,12に対して上下方向に5.0〜25[MPa]の加重を加えることができる。
グラファイト部材11,12などの各部材が収容部34に収容された状態で、金型装置30は、真空炉で加熱される。これにより、グラファイト部材11,12の接合面間に接合材19が介在した状態で接合材19が加熱溶融される。具体的には、金型装置30においてグラファイト部材11,12が上下方向に約15[MPa]の加重が加えられた状態で、10−3Paの真空環境、及び、摂氏805℃の温度環境のもとで、30分から1時間加熱される。
図5は、真空炉で金型装置30を加熱したときのグラファイト部材11,12の状態変化を示す図である。図5(A)は加熱前の状態を示し、図5(B)は加熱中の状態を示し、図5(C)は加熱完了後の状態を示している。なお、図5中の矢印P1,P2はグラファイト部材11,12に掛けられる圧力の方向を示し、矢印P3,P4はグラファイト部材11,12の膨張方向を示し、矢印P5,P6は規制プレート35から受ける反力の方向を示している。
真空炉において金型装置30の加熱が開始されると、グラファイト部材11,12が積層方向へ徐々に膨張しはじめる(図5(B)参照)。そして、更に膨張が進むと、グラファイト部材11,12の前記積層方向の両端が規制プレート35に当接し、規制プレート35から受ける反力によってそれ以上の膨張が規制される(図5(C)参照)。
真空炉の炉内温度が760℃を超えると、接合材19が溶融し始めて、グラファイト部材11,12の各接合面からグラファイト部材11,12の内部に拡散する。そして、接合材19がグラファイト部材11,12の内部に拡散するにしたがって、接合面の組成に変化が生じ始める。具体的には、グラファイト部材11,12の各接合面においてチタンと炭素とが積極的に反応し、接合面にチタンカーバイド(TiC)からなる接合層17が生成される。この接合層17の平均厚みは、約0.02[mm]である。チタンカーバイドの融点は3170℃であり、接合材19の各要素よりも融点が高い。したがって、接合面の組成変化に伴って接合面付近の融点が上昇して凝固して、グラファイト部材11,12の接合面同士が相互に接合する。このとき、元の長さL1に対して1.05〜1.25倍の長さを維持した状態で、接合層17が凝固する。これにより、グラフェンシート15間に積層方向の膨張量に対応する微小な隙間ΔD(図2参照)が形成されたグラファイト複合体10が製造される。なお、上述の接合方法は、液相拡散接合と称されている。
その後、金型装置30は、炉内で緩やかに冷却される。ここで、接合層17はチタンカーバイドで構成されており、その線膨張率は8.0[ppm/K]であり、グラファイト部材11,12の線膨張率に比べて小さい。そのため、金型装置30の冷却にともない接合層17が積層方向にほとんど収縮せず、元の長さL1に対して1.05〜1.25倍の長さを維持する。つまり、元の長さL1に対して積載方向において1.05〜1.25倍の長さのグラファイト複合体10が得られる。
このように製造されたグラファイト複合体10は、積層方向に直交する厚み方向に撓むことができる可撓性を有する。すなわち、図2に示されるように、グラファイト部材11,12の各接合面が接合層17によって堅牢に固定されており、グラファイト部材11,12の他方側の面においては、各グラフェンシート15の端部が固定されていない状態となっている。また、グラファイト部材11,12は、元の長さL1(図5(A)参照)に対して積載方向へ1.05〜1.25倍の長さに伸張した状態で接合層17によって保持されている。そのため、図6(A)に示されるように、グラファイト複合体10の上面に下向きの力(矢印に示す方向の力)が加えられた場合に、接合層17があたかも板バネのようにすり鉢状に撓まされる。このとき、グラファイト部材11において隣接するグラフェンシート15間の隙間ΔD(図2参照)が狭められ、グラファイト部材12において隣接するグラフェンシート15間の隙間ΔD(図2参照)が広げられる。これにより、グラファイト複合体10は厚み方向に撓む。また、同様にして、図6(B)に示されるように、グラファイト複合体10の下面に上向きの力(矢印に示す方向の力)が加えられた場合に、接合層17があたかも板バネのようにアーチ状に撓まされる。このとき、グラファイト部材11において隣接するグラフェンシート15間の隙間ΔD(図2参照)が広げられ、グラファイト部材12において隣接するグラフェンシート15間の隙間ΔD(図2参照)が狭められる。これにより、グラファイト複合体10は厚み方向に撓む。
このようにグラファイト複合体10が可撓性を有するため、放熱対象であるパワー半導体やパワーモジュールなどの発熱体が振動したり変形した場合でも、その振動や変形に追従してグラファイト複合体10が変形することができる。これにより、グラファイト複合体10の厚み方向に熱を効率よく放熱することができ、また、蓄熱体の振動や変形に影響した破損を防止することができる。
上述のグラファイト複合体10は、主として、パワー半導体やパワーモジュール(半導体素子の一例)などのように、熱を発生する発熱体としての半導体素子56を放熱する用途として用いられる。以下、図7を参照して、グラファイト複合体10を有する冷却装置50、及び冷却装置50と半導体素子56とからなる半導体モジュール60について説明する。
図7に示されるように、冷却装置50は、グラファイト複合体10と、グラファイト複合体10を挟むように設けられた2枚の銅板51,52(本発明の密着層の一例)と、ヒートシンクなどの放熱体55と、を備える。
銅板51,52は、薄肉の箔状又はプレート状に形成されており、図7に示されるように、グラファイト複合体10におけるY方向の両方の端面(上面及び下面)に接合されている。銅板51,52の厚みは、0.3[mm]である。グラファイト複合体10の上面及び下面に、接合材19と同じ接合材を用いて銅板51,52が接合される。グラファイト複合体10と銅板51,52との接合方法は、ろう接合(ろう付け)、固相拡散接合、或いは液相拡散接合などを適用することができる。なお、本発明の密着層として銅板51,52を例示するが、例えば、銅板51,52に代えてセラミックスで形成されたセラミックス板であってもよい。また、本発明の密着層は、グラファイト複合体10の上面及び下面にスパッタリングによって形成された金属膜であってもよい。
グラファイト複合体10の上面側の銅板51には、中央にパワー半導体やパワーモジュールなどの発熱体としての半導体素子56が取り付けられている。上面側の銅板51に半導体素子56が取り付けられることにより、冷却装置50と半導体素子56とからなる半導体モジュール60が構成されている。
また、下面側の銅板52には、ヒートシンクなどの放熱体57が取り付けられている。これにより、冷却装置50は、グラファイト複合体10の上側に取り付けられた半導体素子56からグラファイト複合体10及び放熱体57を通じて熱を効率よく放熱することが可能である。
なお、上述の実施形態では、元の長さL1に対して前記積層方向に1.05〜1.25倍(105%〜125%)の長さに伸張したグラファイト複合体10について例示したが、この範囲内においてグラファイト複合体10のサイズは適宜変更することができる。なお、グラファイト複合体10の前記積層方向の長さが105%未満である場合は、グラフェンシート15間の微小な隙間ΔD(図2参照)が密になりすぎて十分な撓みが得られず、また、125%を超える場合は、隙間ΔDが大きくなりすぎてグラフェンシート15それぞれが安定して支持されなくなる。
10:グラファイト複合体
11:グラファイト部材
12:グラファイト部材
15:グラフェンシート
17:接合層
19:接合材
30:金型装置
31:メス型
32:オス型
35:規制プレート
50:冷却装置
51,52:銅板
56:半導体素子
57:放熱体

Claims (5)

  1. グラフェンシートが積層されてなる板状の第1熱伝導体及び第2熱伝導体を有し、
    前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体それぞれは、前記グラフェンシートの積層方向を一致させた状態で前記積層方向に平行な方向の接合面を有し、
    前記第1熱伝導体の前記接合面と前記第1熱伝導体の前記接合面との間に、前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体よりも融点の低い金属からなる接合材が介在した状態で前記接合材が加熱溶融されることによって前記接合面が相互に接合された熱伝導構造体。
  2. グラフェンシートが積層されてなる板状の第1熱伝導体及び第2熱伝導体を有する熱伝導構造体を製造する製造方法であって、
    前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体それぞれは、前記グラフェンシートの積層方向を一致させた状態で前記積層方向に平行な方向の接合面を有し、
    前記第1熱伝導体の前記接合面と前記第1熱伝導体の前記接合面との間に、前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体よりも融点の低い金属からなる接合材を介在させた状態で、加熱による前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体の前記積層方向の膨張量を予め定められた許容範囲内となるように規制しつつ全体を加熱することにより前記接合材を溶融させることによって、前記接合面を相互に接合することを特徴とする熱伝導構造体の製造方法。
  3. 前記許容範囲は、加熱前における前記第1熱伝導体及び前記第2熱伝導体の前記積層方向の長さに対して105%〜125%である請求項に記載の熱伝導構造体の製造方法。
  4. 請求項1に記載の熱伝導構造体と、
    前記積層方向に直交する方向における前記熱伝導構造体の両端面それぞれに接合された金属またはセラミックスからなる薄肉の密着層と、
    前記熱伝導構造体の少なくとも一方の端面に接合された放熱体と、を備え、
    前記熱伝導構造体の他方の端面に取り付けられた発熱体から前記熱伝導構造体及び前記放熱体を通じて放熱する発熱体の冷却装置。
  5. 請求項記載の冷却装置と、
    前記冷却装置の前記熱伝導構造体の他方の端面に取り付けられた半導体素子と、を備える半導体モジュール。

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