本実施形態に係る医用画像処理装置及びMRI装置について、添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す概略図である。
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置10を示す。医用画像処理装置10は、医用画像データから生成された位置決め画像に対して関心領域を設定する。例えば、医用画像処理装置10は、ボクセルデータが3次元的に配置されたボリュームデータから生成された位置決め画像に対して、以下に説明する方法を用いて関心領域を設定する。そして、医用画像処理装置10は、ボリュームデータから、設定された関心領域の3次元画像を生成する。3次元画像としては、MPR(multi planar reconstruction)画像や、ボリュームレンダリング画像や、サーフェイスレンダリング画像などが挙げられる。なお、位置決め画像の元となる医用画像データは、ボリュームデータに限定されるものではない。例えば、位置決め画像の元となる医用画像データは、2次元画像データや、時系列に複数の2次元画像の各フレームデータや、時系列に複数の3次元画像(4次元画像)の各フレームデータであってもよい。
なお、関心領域を設定する元となるボリュームデータは、MRI装置、X線CT(computed tomography)装置、X線診断装置、及び超音波診断装置などの医用画像診断装置によって生成される。ボリュームデータを生成するモダリティ装置の種類は問わないものとする。
医用画像処理装置10は、例えば、専用又は汎用コンピュータである。なお、医用画像処理装置10は、後述する機能111〜114を有するものであればよい。例えば、医用画像処理装置10の機能は、ネットワークを介して接続されたMRI装置等の医用画像診断装置や、医用画像に画像処理を施すPC(ワークステーション)や、医用画像を保存・管理する医用画像管理装置(サーバ)などに含むものであってもよい。
以下、医用画像処理装置10が専用又は汎用のコンピュータである場合を例にとって説明する。
医用画像処理装置10は、処理回路11、入力回路(入力部)12、ディスプレイ(表示部)13、IF(通信部)14、及び記憶回路(記憶部)15を備える。
処理回路11は、専用又は汎用のCPU(central processing unit)又はMPU(micro processor unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、及び、プログラマブル論理デバイスなどを意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:simple programmable logic device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)などが挙げられる。処理回路11は記憶回路15に記憶された、又は、処理回路11内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能111〜114を実現する。
また、処理回路11は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した回路の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、プログラムを記憶する記憶回路15は処理回路11ごとに個別に設けられてもよいし、単一の記憶回路15が複数の回路(処理回路)の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
処理回路11は、表示制御機能(表示制御部)111、受付機能(受付部)112、及び移動制御機能(移動制御部)113、及び画像生成機能(画像生成部)114を実現する。処理回路11は、記憶回路15に格納されている各種制御プログラムを読み出して機能111〜114を実現すると共に、各部12乃至15における処理動作を統括的に制御する。
表示制御機能111は、記憶回路15に記憶されたボリュームデータを取得し(読み出し)、ボリュームデータから生成される位置決め画像を生成してディスプレイ13に表示させとともに、位置決め画像上に、関心領域と、その関心領域を設定するための基準となるガイドとをディスプレイ13に表示させる機能である。
受付機能112は、入力回路12から関心領域及びガイドの移動操作を受け付ける機能である。移動操作は、表示画面上のガイドや関心領域の初期位置を変更するための操作である。
移動制御機能113は、ガイドの移動操作に伴う関心領域の移動を許容するか否か、或いは、関心領域の移動操作に伴うガイドの移動を許容するか否か、の切り替えを制御する機能である。
画像生成機能114は、表示制御機能111によって取得されたボリュームデータに基づいて、移動制御機能113によって移動が制御された後の関心領域の3次元画像を生成する機能である。
なお、医用画像処理装置10が有する機能111〜114の具体的な説明は、図4に示すフローチャートを用いて行なう。
入力回路12は、操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウス等)やキーボード等の入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは、入力デバイス自体も入力回路12に含まれるものとする。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路12はその操作に応じた入力信号を生成して処理回路11に出力する。なお、医用画像処理装置10は、入力デバイスがディスプレイ13と一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。
ディスプレイ13は、LCD(liquid crystal display)等によって構成される。ディスプレイ13は、処理回路11からの指示に応じてLCD上に、各種操作画面や、画像データ等の各種表示情報を表示させる。
IF(interface)14は、所定の通信規格にしたがって、外部装置との通信動作を行う。医用画像処理装置10がネットワーク上に設けられる場合、IF14は、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。例えば、IF14は、MRI装置等の医用画像診断装置(図示しない)による撮像で得られたボリュームデータを医用画像診断装置や医用画像管理装置(図示しない)等から受信したり、医用画像処理装置10によって生成された3次元画像を医用画像管理装置や読影端末(図示しない)に送信したりして、外部装置と通信動作を行なう。
記憶回路15は、RAM(random access memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。記憶回路15は、USB(universal serial bus)メモリ及びDVD(digital video disk))などの可搬型メディアによって構成されてもよい。記憶回路15は、処理回路11において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータや、ボリュームデータ及び医用画像を記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ13への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力回路12によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を含めることもできる。
また、記憶回路15は、表示画面上における移動操作の対象の移動操作に伴う移動を許容するか否かを示す移動許容情報(図2(A)〜図2(E))を記憶する。記憶回路15は、撮像目的の情報(例えば、部位情報)、操作者識別情報(例えば、操作者ID)、及び患者識別情報(例えば、患者ID)のうち少なくとも1の情報を有する属性情報に、移動許容情報を対応付けた属性情報テーブル(図3(A)〜図3(C)に図示)を記憶する。ここで、撮像目的の情報は、撮像対象の解剖学的部位を示す情報である部位情報を含む。部位情報とは、例えば、脳、膝、心臓、大動脈弁、肺動脈弁等である。また、撮像目的の情報は、拡散強調画像(DWI:diffusion weighted image)などの画像の種別を示す情報や、タイムオブフライト法(TOF:time‐of‐flight)などの撮像方法の種別を示す情報を含んでもよい。
医用画像処理装置10は、移動許容情報と、属性情報に基づいて、ガイドや関心領域の移動を制御する。以下、移動許容情報と属性情報について順に説明する。
図2(A)〜図2(E)は、移動許容情報の例を示す図である。
図2(A)〜図2(E)に示すように、移動許容情報M1〜M5は、移動操作の対象と、移動操作の種別と、移動の対象とを含む。ここで、移動操作の種別としては、回動操作及びスライド(平行移動)操作が挙げられる。回動操作は、時計回りの回転操作と、反時計回りの回転操作とを含む。移動操作の対象はガイド又は関心領域であり、移動の対象もガイド又は関心領域である。
図2(A)は、移動許容情報M1を示す。移動許容情報M1は、ガイドの回動操作に伴う関心領域の回動を許容するとともに、ガイド及び関心領域のスライド操作に伴うガイド及び関心領域のスライドをそれぞれ独立に許容する。移動対象がガイドである場合、移動許容情報M1は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうち回動操作で、ガイドの回動と、関心領域の連動(回動)とを許容する(図2(A)に示す「○」)。つまり、ガイドを回動させたとき、これに連動して関心領域が回動することを示している。また、移動許容情報M1は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうちスライド操作で、ガイドのスライドを許容するが、関心領域の連動(スライド)を許容しない(図2(A)に示す「×」)。つまり、ガイドを回動させても関心領域は動かないことを示している。
一方、移動対象が関心領域である場合、移動許容情報M1は、表示画面上における関心領域の移動操作のうち回動操作で、関心領域の回動を許容するが、ガイドの連動(回動)を許容しない。また、移動許容情報M1は、表示画面上における関心領域の移動操作のうちスライド操作で、関心領域のスライドを許容するが、ガイドの連動(スライド)を許容しない。
移動許容情報M1によると、表示画面上における関心領域の回動操作でガイドの連動(回動)は許容されないが、表示画面上におけるガイドの回動操作で関心領域の連動(回動)は許容される。よって、移動許容情報M1によると、表示画面上における関心領域の回動操作で関心領域とガイドとの角度差をつけ、表示画面上におけるガイドの回動操作で当該角度差を維持したまま関心領域を回動させることができる。このように、ガイドから所定の角度差を有する関心領域の設定が容易となる。
図2(B)は、移動許容情報M2を示す。移動許容情報M2は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうち回動操作で、ガイドの回動と、関心領域の連動(回動)とを許容する。また、移動許容情報M2は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうちスライド操作で、ガイドのスライドを許容するが、関心領域の連動(スライド)を許容しない。
移動許容情報M2は、表示画面上における関心領域の移動操作のうち回動操作で、関心領域の回動と、ガイドの連動(回動)とを許容する。また、移動許容情報M2は、表示画面上における関心領域の移動操作のうちスライド操作で、関心領域のスライドを許容するが、ガイドの連動(スライド)を許容しない。
移動許容情報M1,M2によると、表示画面上におけるガイドの回動操作で関心領域の連動(回動)は許容されるが、表示画面上における関心領域のスライド操作でガイドの連動(スライド)は許容されない。よって、移動許容情報M1,M2によると、基準点に基づいて配置されたガイドの回動操作で関心領域を回動させて関心領域の角度が設定された後、関心領域がスライド操作されてもガイドの位置が変化しない。よって、移動許容情報M1,M2によると、操作者は、表示画面を見ながら、回動された関心領域の角度が適切であるかどうかを常に確認できる。
図2(C)は、移動許容情報M3を示す。移動許容情報M3は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうち回動操作で、ガイドの回動と、関心領域の連動(回動)とを許容する。また、移動許容情報M3は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうちスライド操作で、ガイドのスライドと、関心領域の連動(スライド)とを許容する。
移動許容情報M3は、表示画面上における関心領域の移動操作のうち回動操作で、関心領域の回動と、ガイドの連動(回動)とを許容する。また、移動許容情報M3は、表示画面上における関心領域の移動操作のうちスライド操作で、関心領域のスライドと、ガイドの連動(スライド)とを許容する。
図2(D)は、移動許容情報M4を示す。移動許容情報M4は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうち回動操作で、ガイドの回動と、関心領域の連動(回動)とを許容する。また、移動許容情報M4は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうちスライド操作で、ガイドのスライドと、関心領域の連動(スライド)とを許容する。
移動許容情報M4は、表示画面上における関心領域の移動操作のうち回動操作で、関心領域の回動と、ガイドの連動(回動)とを許容しない。また、移動許容情報M4は、表示画面上における関心領域の移動操作のうちスライド操作で、関心領域のスライドと、ガイドの連動(スライド)とを許容しない。
図2(E)は、移動許容情報M5を示す。移動許容情報M5は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうち回動操作で、ガイドの回動を許容するが、関心領域の連動(回動)を許容しない。また、移動許容情報M5は、表示画面上におけるガイドの移動操作のうちスライド操作で、ガイドのスライドを許容するが、関心領域の連動(スライド)を許容しない。
移動許容情報M5は、表示画面上における関心領域の移動操作のうち回動操作で、関心領域の回動を許容するが、ガイドの連動(回動)を許容しない。また、移動許容情報M4は、表示画面上における関心領域の移動操作のうちスライド操作で、関心領域のスライドを許容するが、ガイドの連動(スライド)を許容しない。
次に、属性情報について説明する。図3(A)〜図3(C)は、属性情報が規定された属性情報テーブルの例を示す図である。
図3(A)は、属性情報としての部位情報に、移動許容情報の種別を対応付けた属性情報テーブルT1を示す。属性情報テーブルT1は、部位情報として、例えば、4つの部位「脳、膝、大動脈弁・肺動脈弁、及び心臓」を含む。属性情報テーブルT1の「移動許容情報」では、部位情報が「脳」である場合には、図2(A)に示す移動許容情報M1が割り当てられることが規定されている。同様に、部位情報が「膝」の場合には、図2(B)に示す移動許容情報M2が割り当てら、「大動脈弁・肺動脈弁」の場合には、図2(C)に示す移動許容情報M3が割り当てられ、「心臓」の場合には、図2(D)に示す移動許容情報M4が割り当てられることが規定されている。
図3(B)は、属性情報としての操作者識別情報に、移動許容情報の種別を対応付けた属性情報テーブルT2を示す。属性情報テーブルT2は、例えば操作者識別情報として、3者「O1〜O3」を含む。操作者「O1」には、例えば、図2(A)に示す移動許容情報M1が割り当てられ、操作者「O2」には、図2(B)に示す移動許容情報M2が割り当てられ、操作者「O3」には、図2(A)に示す移動許容情報M1が割り当てられる。
図3(C)は、属性情報としての患者識別情報に、移動許容情報の種別を対応付けた属性情報テーブルT3を示す。属性情報テーブルT3は、患者識別情報として、3者「P1〜P3」を含む。患者「P1」には、例えば、図2(A)に示す移動許容情報M1が割り当てられ、患者「P2」には、図2(B)に示す移動許容情報M2が割り当てられ、患者「P3」には、図2(C)に示す移動許容情報M3が割り当てられる。
また、属性情報テーブルT1〜T3は、属性情報に対応付けられた、初期表示画面(図5に図示)における関心領域Rの相対位置及びオフセット角の情報を含んでもよい。関心領域Rの相対位置とは、初期表示画面上のガイドGの位置(中心位置など)に対する関心領域Rの中心位置の相対的な位置である。
関心領域Rのオフセット角とは、初期表示画面上のガイドGの角度に対する関心領域Rの相対角度である。関心領域Rがスライスやスラブの場合、スライスやスラブの傾斜角とガイドGの傾斜角との差が、オフセット角となる。
属性情報として図3(A)に示す属性情報テーブルT1が参照され、さらに部位情報が「脳」である場合、図3(A)では、「関心領域の相対位置」が(x1, y1, z1)となっており、「関心領域のオフセット角」が0°となっている。この場合、初期表示画面は、図5に示すように、関心領域Rは、ガイドGの中心位置(y0,z0)を基準とする相対位置(y0+y1,z0+z1)に中心位置RCを有し、関心領域Rの傾斜角(スラブRの傾斜角)は、ガイドGの角度に対して0°の角度を有することになる。すなわち、関心領域RとガイドGは、初期表示画面上では平行となる。
なお、属性情報は、部位情報、操作者識別情報、及び患者識別情報のうち少なくとも1の情報を有していればよい。すなわち、部位情報、操作者識別情報、及び患者識別情報の組み合わせに移動許容情報が対応付けられてもよい。
続いて、第1実施形態に係る医用画像処理装置10の機能を具体的に説明する。
図4は、第1実施形態に係る医用画像処理装置10の機能を具体的に説明するためのフローチャートである。
操作者によって入力回路12から操作者の識別情報(ID:identification)及びパスワードなどが入力されることで、医用画像処理装置10の表示制御機能111は、操作者を認証する(ステップST1)。
前述したように、記憶回路15には、MRI装置、X線CT装置、X線診断装置、及び超音波診断装置などの医用画像診断装置によって生成されたボリュームデータが記憶されている。
表示制御機能111は、入力回路12から所要のボリュームデータが指定されると、記憶回路15から指定されたボリュームデータを取得する(読み出す)(ステップST2)。
表示制御機能111は、表示制御機能111によって取得されたリュームデータの部位情報(撮像部位)を設定する(ステップST3)。ステップST3による部位情報の設定は、ボリュームデータの付帯情報に基づいて自動的に設定されてもよいし、入力回路12から入力される情報に基づいて設定されてもよい。
表示制御機能111は、ステップST2によって取得されたボリュームデータに基づいて、基準点を検出する(ステップST4)。ステップST4によって検出される基準点は、ステップST3によって設定された部位情報の種類に従って異なるものとすることができる。例えば、部位情報が脳の場合、鼻棘G1及び橋下端G2(図5に図示)などの特徴部位を基準点として検出する。
基準点の検出は、例えば、テンプレートマッチング法を用いて行なうことができる。例えば、鼻棘G1及び橋下端G2(図5に図示)などの頭部の解剖学的特徴部位の形状をテンプレートとして保持しておき、これらのテンプレートとボリュームデータとのマッチングを取ることによって、鼻棘G1及び橋下端G2の位置を自動検出することができる。しかしながら、基準点の検出はテンプレートマッチング法に限定されるものではない。例えば、事前に脳の特徴部位の周辺画像パターンから機械学習によって識別器を構築しておき、この識別器を用いてボリュームデータ内の特徴部位を検出してもよい。
表示制御機能111は、ステップST4によって検出された基準点を含むガイドを設定するとともに、関心領域を設定する(ステップST5)。ステップST5において、表示制御機能111は、ガイドを基準とする関心領域の相対位置及びオフセット角(これらは、前述したように、属性情報テーブルT1〜T3において規定されている)と、入力回路12を介して設定されるスライスの厚みや枚数、或いはスラブの厚みなどと、に基づいて、自動的に関心領域を設定する。
表示制御機能111は、ステップST2によって取得されたボリュームデータから位置決め画像を生成する(ステップST6)。例えば、表示制御機能111は、ステップST5によって設定されたガイドを含む2次元断面画像(例えば、ガイドを含むサジタル画像)をボリュームデータから生成し、これを位置決め画像とする。そして、表示制御機能111は、ステップST6によって生成された位置決め画像と、ステップST5によって設定されたガイド及び関心領域とをディスプレイ13に初期表示させる(ステップST7)。
ここで、ステップST5によって設定されるガイドは、例えば関心領域が脳を含む領域の場合、鼻棘と橋下端を含む線や、鼻棘と橋下端を結ぶ線分などのことである。また、ステップST5によって設定される関心領域は、脳を含む領域に設定される1つ又は複数の断面(スライス)や、例えば直方体形状の領域(スラブ)のことである。ステップST6によって生成される位置決め画像に最初に表示される関心領域は、ガイドの位置に対して所定の相対的な位置関係をもった初期位置に設定される。
図5は、脳を含む位置決め画像、関心領域、及びガイドを含む初期表示画面を示す図である。
図5は、脳を含むボリュームデータに基づく位置決め画像を示し、例えば、脳を含むY−Z断面のサジタル画像(横断面画像)である。サジタル画像上には、関心領域R及びガイドGが示される。ガイドGは、ステップST4によって検出された基準点を含む線(断面)である。ここで、脳を含むサジタル画像の場合、検出される基準点を、鼻棘G1及び橋下端G2とする場合が好適であるが、その場合に限定されるものではない。例えば、基準点は、前交連及び後交連であってもよい。
関心領域Rの中心位置RCは、ボリュームデータに基づいて検出された特徴部位に設定されたり、3又は4点の基準点の中心に設定されたり、ガイドGの位置に基づいて決定されたりする。ガイドGの位置に基づいて決定される場合、中心位置RCは、ガイドG上の点、例えば、基準点G1、基準点G2、又は、基準点G1,G2の中点と、予め設定された相対位置とに基づいて決定される。例えば、基準点G1,G2の中点の位置(Y,Z)が(y0,z0)であり、予め設定された相対位置(Y,Z)が(yn,zn)である場合、中心位置RCの位置は、(y0+yn,z0+zn)と決定される。予め設定される相対位置(yn,zn)は、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
関心領域Rの角度は、ガイドGの角度に基づいて決定される。例えば、関心領域Rは、ガイドGから予め設定されたオフセット角θをもつ辺を含む。図5に示す例では、関心領域Rは、ガイドGと平行な辺(オフセット角θ=0)を含む矩形である。関心領域Rとともに、関心領域Rの中心線R1,R2が表示されてもよい。予め設定されるオフセット角θは、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
なお、図4に示すステップST7によって初期表示される位置決め画像は、図5に示すサジタル画像であってもよいし、X−Y断面のアキシャル画像、X−Z断面のコロナル画像、又は、オブリーク断面画像であってもよい。また、初期表示される位置決め画像は、サジタル画像、アキシャル画像、コロナル画像、及びオブリーク断面画像から選択される複数の画像であってもよい。オブリーク断面画像とは、直交3断面以外の任意角度の断面画像である。オブリーク断面画像は、直交3断面画像やボリュームデータから求められるものであってもよいし、任意角度の撮像により得られるものであってもよい。例えば、オブリーク断面画像は、鼻棘、橋下端、前交連、及び後交連のうちいずれか3点を通る断面、又は、これら4点との距離が最小となる断面の画像であってもよい。
図4の説明に戻って、受付機能112は、記憶回路15に記憶された属性情報(例えば、図3(A)〜図3(C)に示す属性情報テーブルT1〜T3のいずれか)を参照する。そして、受付機能112は、ガイド及び関心領域の移動を許容するか否かを示す移動許容情報(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す移動許容情報M1〜M5のいずれか)を取得する(ステップST8)。
受付機能112は、入力回路12から関心領域及びガイドの移動操作を受け付ける(ステップST9)。移動制御機能113は、ステップST8によって取得された移動許容情報(又は、図6に示すステップST10dによって変更後の移動許容情報)に基づいて、移動操作の対象の移動操作に伴うガイド及び関心領域の移動を許容するか否かの切り替えを制御する(ステップST10)。
ここで、ステップST10の機能を具体的に説明する。
図6は、図4に示すステップST10の機能を具体的に示すフローチャートである。
移動制御機能113は、図4に示すステップST8によって取得された移動許容情報(又は、ステップST10dによって変更後の移動許容情報)に基づいて、表示画面上でガイド及び関心領域の移動を許容するか否かを判断する。移動制御機能113は、表示画面上で、許容されたガイド及び関心領域を移動させる(ステップST10a)。
ここで、図2(A)に示す移動許容情報M1の場合におけるガイド及び関心領域の移動を、図7〜図10に示す表示画面を用いて説明する。
図7は、ガイドの回動操作に連動して回動する関心領域を説明するための表示画面を示す図である。
図5に示す初期表示画面でガイドGが回動操作されると、図7に示すように、ガイドGがその中心位置を中心として回動し、関心領域Rが連動してその中心位置を中心としてガイドGの回転量の分だけ回動する。図7において、回動前のガイドG及び関心領域Rが破線で、回動後のガイドG及び関心領域Rが実線でそれぞれ示される。例えば、ガイドGの回動操作は、回動前においてガイドGの中心位置以外の部分H1が指定され、次いで、部分H1を指定したまま部分H1が移動されて指定が所望角度で解除されることで実現される。つまり、ガイドGの回動操作は、ドラッグアンドドロップ操作によって実現される。
また、図7に示す表示画面は、図2(A)に示す移動許容情報M1の内容を示す情報を含んでもよい。移動許容情報M1の内容が文字情報として表示されることで、操作者は、表示画面上のガイドGの移動操作によってガイドG及び関心領域Rが移動するのか否かを視認することができる。
さらに、図7に示す表示画面は、初期のガイドGの角度に対する、回動操作後のガイドGの相対角度(30°)を含んでもよい。
図8は、ガイドのスライド操作に連動しない関心領域を説明するための表示画面を示す図である。
図5に示す初期表示画面でガイドGがスライド操作されると、図8に示すように、ガイドGはスライドするが、関心領域Rはスライドしない。図8において、スライド前のガイドGが破線で、スライド後のガイドGが実線でそれぞれ示される。例えば、ガイドGのスライド操作は、スライド前においてガイドGの中心位置の部分H2が指定され、次いで、部分H2を指定したまま部分H2が移動されて指定が所望角度で解除されることで実現される。つまり、ガイドGのスライド操作は、ドラッグアンドドロップ操作によって実現される。
また、図8に示す表示画面は、図2(A)に示す移動許容情報M1の内容を示す情報を含んでもよい。移動許容情報M1の内容が文字情報として表示されることで、操作者は、表示画面上のガイドGの移動操作によってガイドG及び関心領域Rが移動するのか否かを視認することができる。
なお、図7及び図8に示す表示画面において、移動許容情報M1の内容が文字情報以外の情報で表示されてもよい。例えば、移動前において部分H1,H2が指定されている間に、ガイドG及び関心領域Rを示す線を、移動許容情報の内容に従った色の属性情報(色相情報、明度情報、及び彩度情報の少なくとも1の情報)で表現することができる。例えば、移動許容情報M1によるとガイドGの回動操作でガイドG及び関心領域Rの回動が許容されるので、回動前において部分H1(図7に図示)が指定されている間に、ガイドG及び関心領域Rを示す線がそれぞれ青色で表現される。また、例えば、移動許容情報M1によるとガイドGのスライド操作でガイドGのスライドは許容されるが関心領域Rのスライドは許容されないので、スライド前においてガイドGの中心位置の部分H2(図8に図示)が指定されている間に、ガイドGを示す線が青色で表現され、関心領域Rを示す線が赤色で表現される。移動許容情報の内容が表示されることで、操作者は、表示画面上のガイドG及び関心領域Rの移動操作によって関心領域R及びガイドGが移動するのか否かを視認することができる。
図9は、関心領域の回動操作に連動して回動するガイドを説明するための表示画面を示す図である。
図5に示す初期表示画面で関心領域Rが回動操作されると、図9に示すように、関心領域Rがその中心位置を中心として回動し、ガイドGが連動してその中心位置を中心として関心領域Rの回転量の分だけ回動する。図9において、回動前の関心領域R及びガイドGが破線で、回動後の関心領域R及びガイドGが実線でそれぞれ示される。例えば、関心領域Rの回動操作は、回動前において中心線R2(又は中心線R1)の部分H3が指定され、次いで、部分H3を指定したまま部分H3が移動されて指定が所望角度で解除されることで実現される。つまり、関心領域Rの回動操作は、ドラッグアンドドロップ操作によって実現される。
また、図9に示す表示画面は、図2(A)に示す移動許容情報M1の内容を示す情報を含んでもよい。移動許容情報M1の内容が文字情報として表示されることで、操作者は、表示画面上の関心領域Rの移動操作によって関心領域R及びガイドGが移動するのか否かを視認することができる。
図10は、関心領域のスライド操作に連動しないガイドを説明するための表示画面を示す図である。
図5に示す初期表示画面でガイドGがスライド操作されると、図10に示すように、関心領域Rはスライドするが、ガイドGはスライドしない。図10において、スライド前の関心領域Rが破線で、スライド後の関心領域Rが実線でそれぞれ示される。例えば、関心領域Rのスライド操作は、スライド前において関心領域Rの枠の部分H4が指定され、次いで、部分H4を指定したまま部分H4が移動されて指定が所望位置で解除されることで実現される。つまり、関心領域Rのスライド操作は、ドラッグアンドドロップ操作によって実現される。
また、図10に示す表示画面は、図2(A)に示す移動許容情報M1の内容を示す情報を含んでもよい。移動許容情報M1の内容が文字情報として表示されることで、操作者は、表示画面上の関心領域Rの移動操作によってガイドG及び関心領域Rが移動するのか否かを視認することができる。
図6の説明に戻って、移動制御機能113は、移動操作を終了するか否かを判断する(ステップST10b)。ステップST10bの判断にてYES、すなわち、移動操作を終了すると判断する場合、移動制御機能113は、図4に示すステップST11に進んで関心領域を設定する。
一方、ステップST10bの判断にてNO、すなわち、移動操作を終了しないと判断する場合、移動制御機能113は、入力回路12から移動許容情報の変更指示があるか否かを判断する(ステップST10c)。ステップST10cの判断にてYES、すなわち、移動許容情報の変更指示があると判断する場合、移動制御機能113は、移動許容情報の変更指示に従って移動許容情報を変更する(ステップST10d)。次いで、移動制御機能113は、図4に示すステップST9に戻って入力回路12から関心領域及びガイドの移動操作を受け付ける。
一方、ステップST10cの判断にてNO、すなわち、移動許容情報の変更指示がないと判断する場合、移動制御機能113は、移動許容情報を変更しないまま図4に示すステップST9に戻って入力回路12から関心領域及びガイドの移動操作を受け付ける。
図4の説明に戻って、ステップST10の制御に従って表示画面上でガイド又は関心領域が移動操作されることで、移動制御機能113は、関心領域を設定する(ステップST11)。
画像生成機能114は、ステップST2によって取得されたボリュームデータに基づいて、ステップST11によって設定された関心領域の3次元画像を生成する(ステップST12)。
なお、図5に示す部位情報の「脳」に関する位置決め画像上における関心領域の設定方法について説明した。しかしながら、部位情報は「脳」の場合に限定されるものではない。部位情報は、例えば、「膝」、「大動脈弁・肺動脈弁」、及び「心臓」であってもよい。それらの場合の関心領域の設定方法について説明する。
図11は、膝を含む位置決め画像、関心領域、及びガイドを含む初期表示画面を示す図である。
図11は、膝を含むボリュームデータから生成された位置決め画像を示し、例えば、膝を含むX−Y断面のアキシャル画像である。アキシャル画像上には、関心領域R及びガイドGが示される。ガイドGは、例えば、ステップST4によって検出された基準点を含む線分である。ここで、膝を含むアキシャル画像の場合、検出される基準点を、大腿骨内側顆下端G1及び大腿骨外側顆下端G2とする場合が好適であるが、その場合に限定されるものではない。例えば、基準点は、大腿骨内側顆上端G3及び大腿骨外側顆上端G4であってもよい。
関心領域Rの中心位置RCは、ボリュームデータに基づいて検出された特徴部位(大腿骨領域の中心)に設定されたり、3又は4点の基準点の中心に設定されたり、ガイドGの位置に基づいて決定されたりする。ガイドGの位置に基づいて決定される場合、中心位置RCは、ガイドG上の点、例えば、基準点G1、基準点G2、又は、基準点G1,G2の中点と、予め設定された相対位置とに基づいて決定される。例えば、基準点G1,G2の中点の位置(X,Y)が(x0,y0)であり、予め設定された相対位置(Y,Z)が(xn,yn)である場合、中心位置RCの位置は、(x0+xn,y0+yn)と決定される。予め設定される相対位置(xn,yn)は、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
関心領域Rの角度は、ガイドGの角度に基づいて決定される。例えば、関心領域Rは、ガイドGから予め設定されたオフセット角θをもつ辺を含む。図11に示す例では、関心領域Rは、ガイドGと平行な辺(オフセット角θ=0)を含む矩形である。関心領域Rとともに、関心領域Rの中心線R1,R2が表示されてもよい。予め設定されるオフセット角θは、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
なお、図4に示すステップST7によって初期表示される位置決め画像は、図11に示すアキシャル画像であってもよいし、サジタル画像、コロナル画像、又はオブリーク断面画像であってもよい。また、初期表示される位置決め画像は、サジタル画像、アキシャル画像、コロナル画像、及びオブリーク断面画像から選択される複数の画像であってもよい。
図3(A)の属性情報テーブルT1が参照される場合であって、部位情報「膝」である場合、移動制御機能113は、ステップST8において、移動許容情報M2を取得する。この場合、ガイドと関心領域の連動関係は、移動許容情報M2によって規定されることになる。
図12は、大動脈弁・肺動脈弁を含む位置決め画像、関心領域、及びガイドを含む初期表示画面を示す図である。
図12は、大動脈弁・肺動脈弁を含むボリュームデータに基づく位置決め画像を示し、大動脈弁・肺動脈弁を含むX−Y断面のアキシャル画像である。
アキシャル画像上には、関心領域R及びガイドGが示される。ガイドGは、ステップST4によって検出された基準点を含む線(断面)である。ここで、大動脈弁・肺動脈弁を含むアキシャル画像の場合、検出される基準点を、大動脈弁(付け根)G1,G2とする場合が好適であるが、その場合に限定されるものではない。例えば、基準点は、肺動脈弁(付け根)であってもよい。
関心領域Rの中心位置RCは、ボリュームデータに基づいて検出された特徴部位に設定されたり、3又は4点の基準点の中心に設定されたり、ガイドGの位置に基づいて決定されたりする。ガイドGの位置に基づいて決定される場合、中心位置RCは、ガイドG上の点、例えば、基準点G1、基準点G2、又は、基準点G1,G2の中点と、予め設定された相対位置とに基づいて決定される。例えば、基準点G1,G2の中点の位置(X,Y)が(x0,y0)であり、予め設定された相対位置(Y,Z)が(xn,yn)である場合、中心位置RCの位置は、(x0+xn,y0+yn)と決定される。予め設定される相対位置(xn,yn)は、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
関心領域Rの角度は、ガイドGの角度に基づいて決定される。例えば、関心領域Rは、ガイドGから予め設定されたオフセット角θをもつ辺を含む。図12に示す例では、関心領域Rは、ガイドGと平行な辺(オフセット角θ=0)を含む矩形である。関心領域Rとともに、関心領域Rの中心線R1,R2が表示されてもよい。予め設定されるオフセット角θは、図3(A)〜図3(C)に示すように、属性情報に基づいて決定されてもよい。
なお、図4に示すステップST7によって初期表示される位置決め画像は、図12に示すアキシャル画像であってもよいし、サジタル画像、コロナル画像、又はオブリーク断面画像であってもよい。また、初期表示される位置決め画像は、サジタル画像、アキシャル画像、コロナル画像、及びオブリーク断面画像から選択される複数の画像であってもよい。
図3(A)の属性情報テーブルT1が参照される場合であって、属性情報が図12に示す「大動脈弁・肺動脈弁」である場合、移動制御機能113は、ステップST8において、移動許容情報M3を取得する。この場合、ガイドと関心領域の連動関係は、移動許容情報M2によって規定されることになる。
以上のように、医用画像処理装置10によると、表示画面上におけるガイドの移動操作に伴う関心領域の連動関係(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す5個の移動許容情報のいずれか)を切り替えることができるので、関心領域の設定効率を向上させることができる。また、検出精度が低い基準点に基づいてガイド及び関心領域が初期表示された場合には、操作者によって表示画面上におけるガイドの移動操作が頻繁に行なわれることになる。その場合に特に、医用画像処理装置10では、操作者によるガイドの移動操作に連動して関心領域の位置や角度を変更させたり変更させなかったりすることが可能となるため、関心領域の設定効率の向上が顕著となる。
特に、医用画像処理装置10によると、表示画面上におけるガイド及び関心領域の、異なる複数の連動関係(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す5個の移動許容情報)を、部位情報、操作者識別情報、及び患者識別情報に基づいて切り替えることができるので、関心領域の設定効率を向上させることができる。
(第2の実施形態)
図13は、第2実施形態に係るMRI装置の構成を示す概略図である。
図13は、被検体(例えば、患者)Pの撮像部位に対して撮像を行なう第2実施形態に係るMRI装置50を示す。MRI装置50は、医用画像データ、例えばボリュームデータに基づいて、第1の実施形態に係る医用画像処理装置10で説明した機能とほぼ同様の機能を用いて関心領域を設定する。そして、MRI装置50は、設定された関心領域に対して、本撮像(例えば、診断画像を取得するための撮像)を行なう。
また、MRI装置50は、本撮像がタグ領域等の補助的な領域へのRF信号や傾斜磁場の印加を伴う場合にも、補助的な領域のために、関心領域を設定することもできる。なお、関心領域の設定の元となるボリュームデータは、MRI装置50自身によって生成されてもよいし、X線CT装置等の他の医用画像診断装置によって生成されてもよい。ボリュームデータがMRI装置50自身によって生成される場合、MRI装置50は、例えば、本撮像に先立って行なわれる予備撮像によってボリュームデータを生成する。なお、実施形態はこれに限られるものではない。MRI装置50による検査において、複数の本撮像が複数のプロトコルによって行なわれる場合、MRI装置50は、前段の本撮像によってボリュームデータを生成してもよい。以下、関心領域の設定の元となるボリュームデータがMRI装置50自身によって生成されるものとして説明する。
MRI装置50は、MRI装置50は、大きくは、撮像システム51と制御システム52とから構成される。
撮像システム51は、静磁場磁石61、傾斜磁場コイル62、傾斜磁場電源装置63、寝台64、寝台制御部65、送信コイル66、送信部67、受信用コイル(受信用のRFコイル)68a〜68e、受信部69、及びシーケンサ(シーケンスコントローラ)70を備える。
静磁場磁石61は、被検体(例えば、患者)の撮像領域であるボア(静磁場磁石61の内部空間)内に静磁場を発生させる。静磁場磁石61は、超電導コイルを内蔵し、液体ヘリウムによって超電導コイルが極低温に冷却されている。静磁場磁石61は、励磁モードにおいて静磁場用電源(図示しない)から供給される電流を超電導コイルに印加することで静磁場を発生し、その後、永久電流モードに移行すると、静磁場用電源から切り離される。静磁場磁石61は、一旦永久電流モードに移行すると、長時間、例えば1年以上に亘って、大きな静磁場を発生し続ける。なお、静磁場磁石61は、永久磁石によって構成されてもよい。
傾斜磁場コイル62は、静磁場磁石61の内側に配置され、内部空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部である。傾斜磁場コイル62は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成される。これら3つのコイルは、傾斜磁場電源装置63から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
ここで、傾斜磁場コイル62によって発生するX,Y,Z軸の各軸の傾斜磁場は、例えば、リードアウト用傾斜磁場Gr、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びスライス選択用傾斜磁場Gsにそれぞれ対応している。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR(magnetic resonance)信号の周波数を変化させるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。
傾斜磁場電源装置63は、シーケンサ70から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル62に電流を供給する。
寝台64は、被検体Pが載置される天板64aを備える。寝台64は、後述する寝台制御部65による制御のもと、天板64aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル62の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台64は、長手方向が静磁場磁石61の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御部65は、シーケンサ70による制御のもと、寝台64を駆動して、天板64aを長手方向および上下方向へ移動する。
送信コイル66は、傾斜磁場コイル62の内側に配置されており、送信部67からRFパルス信号の供給を受けて、RFパルスを発生する。
送信部67は、シーケンサ70から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応するRFパルス信号を送信コイル66に送信する。
受信用コイル68a〜68eは、傾斜磁場コイル62の内側に配置されており、高周波磁場の影響によって被検体Pの撮像部位から放射されるMR信号を受信する。ここで、受信用コイル68a〜68eは、それぞれ、被検体Pの撮像部位から発せられたMR信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルを有するアレイコイルであり、各要素コイルによってMR信号が受信されると、受信されたMR信号を受信部69に出力する。
受信用コイル68aは、被検体Pの頭部に装着される頭部用のコイルである。また、受信用コイル68b,68cは、それぞれ、被検体Pの背中と天板64aとの間に配置される脊椎用のコイルである。また、受信用コイル68d,68eは、それぞれ、被検体Pの腹側に装着される腹部用のコイルである。
受信部69は、シーケンサ70から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて受信用コイル68a〜68eから出力されるMR信号に基づいて、MR信号を生成する。また、受信部69は、MR信号を生成すると、そのMR信号を、シーケンサ70を介して制御システム52に送信する。
なお、受信部69は、受信用コイル68a〜68eが有する複数の要素コイルから出力されるMR信号を受信するための複数の受信チャンネルを有している。そして、受信部69は、撮像に用いる要素コイルが制御システム52から通知された場合には、通知された要素コイルから出力されたMR信号が受信されるように、通知された要素コイルに対して受信チャンネルを割り当てる。
シーケンサ70は、傾斜磁場電源装置63、寝台制御部65、送信部67、受信部69、及び制御システム52と接続される。シーケンサ70は、傾斜磁場電源装置63、寝台制御部65、送信部67、及び受信部69を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源装置63に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する。
また、シーケンサ70は、記憶した所定のシーケンスに従って寝台制御部65を駆動させることによって、天板64aを架台に対してZ方向に進退させる。さらに、シーケンサ70は、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源装置63、送信部67、及び受信部69を駆動させることによって、架台内にX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRFパルス信号を発生させる。
制御システム52は、MRI装置50の全体制御や、データ収集、画像再構成等を行なう。制御システム52は、処理回路71、入力回路72、ディスプレイ73、IF74、記憶回路75、データ収集回路76、及びデータ処理回路77を有する。
処理回路71は、図1に示す処理回路11と同等の構成を有する。処理回路71は、第1撮像機能(第1撮像部)710、表示制御機能(表示制御部)711、受付機能(受付部)712、移動制御機能(移動制御部)713、及び第2撮像機能(第2撮像部)714を実現する。ここで、表示制御機能711は図1に示す表示制御機能111と、受付機能112は、図1に示す受付機能112と、移動制御機能713は、図1に示す移動制御機能113とそれぞれ同等の機能である。処理回路71は、記憶回路75に格納されている各種制御プログラムを読み出して機能710〜714を実現すると共に、各部72乃至77における処理動作を統括的に制御する。
第1撮像機能710は、第1の撮像を行なって、撮像部位に関するボリュームデータを生成し、ボリュームデータを記憶回路75に記憶させる。第1の撮像は、診断用の撮像(本撮像)に先立った位置決め用の予備撮像や、複数のプロトコルが実行される場合における後段のプロトコルに先立った前段のプロトコルによる撮像である。以下、第1の撮像が、本撮像に先立った位置決め用の予備撮像の場合を例にとって説明する。予備撮像としての3D撮像のパルスシーケンスは、診断用の撮像で用いるパルスシーケンスと異なってもよい。ただし、予備撮像としての3D撮像は、なるべく短時間でボリュームデータを取得することが望ましいため、高速の3次元撮像用のパルスシーケンスが用いられることが好ましい。例えば、位置決め用の3D撮像のパルスシーケンスは、3D FFE(fast field echo)シーケンス、FFEシーケンス、SSFPシーケンス等を用いた3D撮像等である場合が好ましいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
第2撮像機能714は、移動制御機能713によって設定された関心領域を撮像範囲(FOV:field of view)として、各種診断用シーケンスを用いた診断用の撮像(本撮像)を実行して、診断用の画像を生成する。診断用シーケンスとは、例えば、T2強調画像、T1強調画像、FLAIR、Diffusion、及びT2*強調画像などである。しかしながら、診断用シーケンスはこれらに限定されるものではなく、本撮像の撮像目的に応じて適宜決定される。
入力回路72は、図1に示す入力回路12と同等の構成を有する。ディスプレイ73は、図1に示すディスプレイ13と同等の構成を有する。IF74は、図1に示すIF14と同等の構成を有する。記憶回路75は、図1に示す記憶回路15と同等の構成を有する。
データ収集回路76は、受信部69から送信されるMR信号を収集する。データ収集回路76は、MR信号を収集すると、収集したMR信号を記憶回路75に記憶させる。
データ処理回路77は、記憶回路75に記憶されているMR信号に対して、後処理、すなわち、フーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体Pの撮像部位内における所望核スピンのスペクトラムデータ又は画像データを生成する。また、データ処理回路77は、位置決め画像の撮像が行なわれる場合には、受信用コイル68a〜68eが有する複数の要素コイルそれぞれによって受信されたMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。そして、データ処理回路77は、生成した各種データを記憶回路75に格納する。
図14は、第2実施形態に係るMRI装置50の機能を具体的に説明するためのフローチャートである。
操作者によって入力回路72から操作者の識別情報及びパスワードなどが入力されることで、MRI装置50の第1撮像機能710は、操作者を認証する(ステップST21)。
第1撮像機能710は、先ず、ボリュームデータの部位情報(撮像部位)を設定する(ステップST22)。次に、第1撮像機能710は、診断用の撮像(本撮像)に先立った位置決め用の予備撮像を行なって、撮像部位に関するボリュームデータを生成し、ボリュームデータを記憶回路75に記憶させる(ステップST23)。
表示制御機能711は、入力回路72から所要のボリュームデータが指定されると、記憶回路75から所要のボリュームデータを取得する(読み出す)(ステップST24)。
表示制御機能711は、ステップST4(図4に図示)と同様に、ステップST24によって取得されたボリュームデータに基づいて、基準点を検出する(ステップST25)。ステップST25によって検出される基準点は、ステップST22によって設定された部位情報の種類に従って異なるものとすることができる。
表示制御機能711は、ステップST5(図4に図示)と同様に、ステップST25によって検出された基準点を含むガイドを設定するとともに、関心領域を設定する(ステップST26)。表示制御機能711は、ステップST6(図4に図示)と同様に、ステップST24によって取得されたボリュームデータから位置決め画像を生成する(ステップST27)。そして、表示制御機能711は、ステップST7(図4に図示)と同様に、ステップST27によって生成された位置決め画像と、ステップST26によって設定されたガイド及び関心領域とをディスプレイ73に初期表示させる(ステップST28)。
ここで、ステップST28によって表示される初期表示画面は、図5、図11、及び図12に示す初期表示画面と同等である。
受付機能712は、ステップST8(図4に図示)と同様に、記憶回路15に記憶された属性情報(例えば、図3(A)〜図3(C)に示す属性情報テーブルT1〜T3のいずれか)を参照する。そして、受付機能712は、ステップST8(図4に図示)と同様に、ガイド及び関心領域の移動を許容するか否かを示す移動許容情報(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す移動許容情報M1〜M5のいずれか)を取得する(ステップST29)。
受付機能712は、ステップST9(図4に図示)と同様に、入力回路72から関心領域及びガイドの移動操作を受け付ける(ステップST30)。移動制御機能713は、ステップST10(図4に図示)と同様に、ステップST29によって取得された移動許容情報(又は、図6に示すステップST10dによって変更後の移動許容情報)に基づいて、移動操作の対象の移動操作に伴うガイド及び関心領域の移動を許容するか否かの切り替えを制御する(ステップST31)。
ステップST31の制御に従って表示画面上でガイド又は関心領域が移動操作されることで、移動制御機能713は、ステップST11(図4に図示)と同様に、関心領域を設定する(ステップST32)。
第2撮像機能714は、ステップST32によって設定された関心領域を撮像範囲として、各種診断用シーケンスを用いた診断用の撮像(本撮像)を実行して、診断用の画像を生成する(ステップST33)。
ここで、ステップST32によって設定される関心領域は、撮像範囲である場合に限定されない。関心領域は、撮像範囲とは別に設定される補助的な領域であってもよい。例えば、本撮像において事前飽和パルスが用いられる場合、補助的な領域としては、事前飽和パルスにより飽和状態にする領域(事前飽和領域)が挙げられる。また、例えば、補助的な領域は、Time−SLIP法等で用いられるラベリング領域(或いはタグ領域)であってもよい。なお、Time−SLIP法とは、造影剤を使用しない撮像法であり、ラベリング領域にラベリングパルスを印加して流体を標識化することで、ラベリング領域から領域外へ移動する流体を観察可能とする技術である。
また、例えば、モンロー孔のCSF(cerebrospinal fluid:脳脊髄液)を観察する撮像では、表示制御機能711は、位置決め画像としての冠状断面画像から基準点としてのモンロー孔を検出し、モンロー孔の角度に平行で、モンロー孔から第三脳室側へ所定の距離(例えば1mm)だけ第三脳室側に離れた位置を中心位置とする関心領域を設定する。
以上のように、MRI装置50によると、表示画面上におけるガイドの移動操作に伴う関心領域の連動関係(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す5個の移動許容情報のいずれか)を切り替えることができるので、関心領域(撮像範囲)の設定効率を向上させることができる。また、検出精度が低い基準点に基づいてガイド及び関心領域が初期表示された場合には、操作者によって表示画面上におけるガイドの移動操作が頻繁に行なわれることになる。その場合に特に、MRI装置50では、操作者によるガイドの移動操作に連動して関心領域の位置や角度を変更させたり変更させなかったりすることが可能となるため、関心領域の設定効率の向上が顕著となる。
特に、MRI装置50によると、表示画面上におけるガイド及び関心領域の、異なる複数の連動関係(例えば、図2(A)〜図2(E)に示す5個の移動許容情報)を、部位情報、操作者識別情報、及び患者識別情報に基づいて切り替えることができるので、本撮像での撮像領域(関心領域)や、ラベリング領域等の補助的な関心領域の設定効率を向上させることができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、移動制御機能113,713として機能することで、表示画面上における関心領域の設定効率を向上させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。