JP6608193B2 - 固形状組成物 - Google Patents
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Description
近年、メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの患者数が著しく増加し、社会的に大きな問題となっていることから、前述したような生理機能を有する脂肪球皮膜成分の幅広い利用が期待されている。
したがって、本発明は、高濃度の脂肪球皮膜成分を含みながらも風味が良好で、摂取し易い固形状組成物を提供することに関する。
(A)脂肪球皮膜成分 20質量%以上、
(B)乳糖 5質量%以上、
(C)乳糖以外の二糖類、及び単糖類から選択される少なくとも1種の糖類
を配合してなり、成分(A)の配合量に対する成分(B)と成分(C)の合計配合量の比(配合質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.5〜3.5であり、且つ成分(B)と成分(C)の合計配合量に対する成分(B)の配合量の比(配合質量比)[(B)/{(B)+(C)}]が0.08〜0.72である固形状組成物を提供するものである。
また、脂質以外の成分としては、ミルクムチンと呼ばれる糖タンパク質が含まれることが知られている(Mather、Biochim Biophys Acta、1978)。
また、(A)脂肪球皮膜成分は、生理効果の点から、リン脂質としてスフィンゴミエリンを含むのが好ましく、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量が、1%以上、更に2%以上、更に3%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、50%以下、更に30%以下、更に25%以下、更に20%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量は、1〜50%、更に2〜30%、更に3〜25%、更に3〜20%が好ましい。
同様の点から、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量が、3%以上、更に5%以上、更に10%以上、更に15%以上であるのが好ましく、また、50%以下、更に40%以下、更に35%以下、更に30%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3〜50%、更に5〜40
%、更に10〜35%、更に15〜30%が好ましい。
なお、本明細書において、脂肪球皮膜成分中の脂質、リン脂質及びスフィンゴミエリンの含有量、並びに脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、脂肪球皮膜成分の乾燥物に対する質量割合とする。
なお、(A)脂肪球皮膜成分の形態は、特に限定されず、室温(15〜25℃)で液状、半固体状(ペースト等)、固体状(粉末、固形、顆粒等)等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
バターミルクは、牛乳等を遠心分離して得られるクリームからバター粒を製造する際に得られ、当該バターミルク中に脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターミルクをそのまま使用してもよい。同様に、バターオイルを製造する際に生じるバターセーラム中にも脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターセーラムをそのまま使用してもよい。
なお、固形状組成物中の配合量は、固形状組成物原料の合計質量に対して配合(添加)される量である。
固形状組成物中のリン脂質及びスフィンゴミエリンは、(A)脂肪球皮膜成分以外の配合成分に由来するもの、別途配合された化学的に合成されたもの等でもあってもよいが、脂肪球皮膜成分に由来するものであるのが好ましい。
脂肪球皮膜成分中又は固形状組成物中の脂質及びリン脂質の含有量は、酸分解法、比色法又は薄層クロマトグラフ法により測定することができる。
本発明の固形状組成物中、(B)乳糖の配合量は5%以上であるが、効果を有効に発現する点から、10%以上であるのが好ましく、また、物性の点で、60%以下、更に35%以下が好ましい。また、固形状組成物中の(B)乳糖の配合量は、5〜60%、更に10〜50%、更に10〜35%が好ましい。
乳糖以外の二糖類としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、トレハロース等が挙げられる。また、単糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ガラクトース等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの糖類も無水物又は水和物であってもよい。
なかでも、風味の点から、ショ糖、ブドウ糖、果糖が好ましく、ショ糖がより好ましい。ショ糖は、清浄精製した白色の砂糖である白糖が好ましい。白糖としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、白双糖、氷砂糖、角砂糖等が挙げられ、グラニュー糖、粉糖が好ましく、粉糖がより好ましい。
なお、糖類の定量法としては、フェノール硫酸法、Somogyi−Nelson法を用いることができる。
このような剤型の固形状組成物を製造する際には、必要に応じて許容される担体を配合することができる。例えば、賦形剤(例えば、デンプン類、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等)、崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等)、嬌味剤(例えば、ステビア等)、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、希釈剤等の担体が挙げられる。
また、錠剤硬度は、運搬、全自動錠剤分包機や押出式薬剤包装機(PTP)から押出す際の負荷、保存等に耐え得る硬度であることが好ましく、10N〜140Nが好ましく、12N〜90Nがより好ましい。
錠剤は、前記混合物を直接圧縮して成形(直接粉末圧縮法)しても、乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから圧縮して成形(顆粒圧縮法)しても良い。なかでも、工程の簡便性の点から、直接粉末圧縮法を用いて錠剤とするのが好ましい。
直接圧縮して成形して錠剤を製造する場合、打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
また、造粒法より造粒してから錠剤とする場合、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッター等を使用する押し出し造粒法;スピードミル、パワーミル等を使用する破砕造粒法;転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等により造粒物を製造し、乾燥・整粒した後、得られた造粒物を前記打錠成形機で圧縮して錠剤を形成できる。
(1)タンパク質の分析
タンパク質量はケルダール法を用いて、窒素・タンパク質換算係数6.38として求めた。
脂質量は酸分解法で求めた。試料を1g量りとり、塩酸を加え分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを加え、攪拌混和した。エーテル混合液層を取り出し、水洗した。溶媒を留去させ、乾燥させた後、重量を秤量することで脂質量を求めた。
炭水化物量は試料の質量から試料中のタンパク質量、脂質質量、灰分量、及び水分量を除くことにより求めた。なお、灰分量は直接灰化法(550℃で試料を灰化させ重量測定)、水分量は常圧加熱乾燥法(105℃4時間乾燥させ重量測定)により求めた。
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち2mLを分取し、溶媒留去後、550℃16時間加熱処理により灰化した。灰分を6M塩酸水溶液5mLに溶解後、蒸留水を添加し、総量を50mLとした。3mLを分取し、モリブデンブルー発色試薬5mL、5%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をリン脂質量とした。
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち10mLを分取し、シリカカートリッジカラムに添加した。カラムをクロロホルム20mLで洗浄後、メタノール30mLでリン脂質を溶出し、溶媒留去後クロロホルム1.88mLに溶解した。シリカゲル薄層プレートに20μLを負荷し、1次元展開溶媒としてテトラヒドロフラン:アセトン:メタノール:水=50:20:40:8(V/V)、2次元展開溶媒としてクロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水=50:20:10:15:5(V/V)を用いて2次元展開を行った。展開後の薄層プレートにディトマー試薬を噴霧し、スフィンゴミエリンのスポットをかきとり、3%(V/V)硝酸含有過塩素酸溶液2mL添加後、170℃3時間の加熱処理を行った。蒸留水5mL添加後モリブデンブルー発色試薬5mL、5%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をスフィンゴミエリン量とした。
脂肪球皮膜成分1:BSCP、メグレジャパン(株)(水分3.0%)
脂肪球皮膜成分2:ミルクセラミドMC−5、雪印乳業(株)(水分1.6%)
乳糖:ラクトース、レプリノフーズ
ショ糖:フロストシュガーFS−2、日新製糖(株)
ブドウ糖:粉末ブドウ糖、サンエイ糖化(株)
果糖:果糖、三育フーズ(株)
コーンスターチ:日食コーンスターチ、日本食品化工 (株)
アスパルテーム:PAL SWEET DIET、味の素(株)
脂肪球皮膜成分2の組成は、乾燥物換算で、炭水化物:26.1%、脂質:43.3%、タンパク質:21.2%であった。また、脂肪球皮膜成分2中、リン脂質含有量は33.3%であった。スフィンゴミエリン含有量は8.03%であった。
実施例1〜実施例16及び比較例1〜比較例9
粒径の大きい原料は粉砕し、50メッシュに通したのち、表1に記載の配合組成で各原料成分を混合した。次に単発式打錠機(RIKEN製)を用いて、穴径9.5mmのリング状杵で、錠剤重量500mgで打錠し、チュアブル錠を得た。
また、サンプルの硬度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2を「5」、比較例7を「1」とし評価した。具体的には以下のような項目で評価した。
5:風味が口の中に強く広がり、非常に良好
4:風味が口の中に広がり、良好
3:風味が口の中にやや広がり、やや良好
2:風味が口の中にやや広がらず、やや良くない
1:風味が口の中に広がらず、良くない
実施例6を「5」、比較例9を「1」とし評価した。具体的には以下のような項目で評価した。
5:良好な乳風味を非常に強く感じる
4:良好な乳風味を強く感じる
3:良好な乳風味を感じる
2:良好な乳風味を殆ど感じない
1:良好な乳風味を感じない
実施例2を「5」、比較例2を「1」とし評価した。具体的には以下のような項目で評価した。
5:歯や舌への付着性が非常に弱い
4:歯や舌への付着性が弱い
3:歯や舌への付着性がわずかに強い
2:歯や舌への付着性が強い
1:歯や舌への付着性が非常に強い
製造直後のサンプルについて、FUJIWARA HARDNESS TESTER(藤原製作所製)を用いて直径方向の硬度を測定した。試験は2錠で行い、その平均値をサンプル硬度とした。
これに対し、乳糖と乳糖以外の糖類を所定の範囲で配合しない比較例1〜9は脂肪球皮膜成分の乳風味が弱く、比較例1、2、5〜7は口内でのべたつき・ねとつきが感じられた。また、比較例2、6〜8は打錠時に崩れやすく、もろかった。
Claims (6)
- 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)脂肪球皮膜成分 20〜70質量%、
(B)乳糖 5〜60質量%、
(C)乳糖以外の二糖類、及び単糖類から選択される少なくとも1種の糖類 10〜60質量%
を配合してなり、成分(A)の配合量に対する成分(B)と成分(C)の合計配合量の比(配合質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.5〜3.5、且つ成分(B)と成分(C)の合計配合量に対する成分(B)の配合量の比(配合質量比)[(B)/{(B)+(C)}]が0.08〜0.72である固形状組成物。 - (C)乳糖以外の二糖類、及び単糖類から選択される少なくとも1種の糖類が、ショ糖、ブドウ糖及び果糖から選択される1種又は2種以上である請求項1記載の固形状組成物。
- 固形状組成物中のリン脂質の含有量が1〜60質量%である請求項1又は2記載の固形状組成物。
- 固形状組成物中のスフィンゴミエリンの含有量が0.5〜3.5質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の固形状組成物。
- チュアブル錠である請求項1〜4のいずれか1項記載の固形状組成物。
- 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)脂肪球皮膜成分、
(B)乳糖、
(C)乳糖以外の二糖類、及び単糖類から選択される少なくとも1種の糖類
を配合する工程を含む固形状組成物の製造方法であって、
成分(A)の配合量が全配合原料の合計質量に対して20〜70質量%であり、
成分(B)の配合量が全配合原料の合計質量に対して5〜60質量%であり、
成分(C)の配合量が全配合原料の合計質量に対して10〜60質量%であり、
成分(A)の配合量に対する成分(B)と成分(C)の合計配合量の比(配合質量比)[{(B)+(C)}/(A)]が0.5〜3.5であり、且つ
成分(B)と成分(C)の合計配合量に対する成分(B)の配合量の比(配合質量比)[(B)/{(B)+(C)}]が0.08〜0.72である、製造方法。
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