JP6608093B2 - 機上現像型平版印刷版原版、及び平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版の端部から内側に5mmまでの画像記録層側版面の領域に含まれる分子量が60〜300であり、20℃における水に対する溶解度が10g/L以上の水溶性化合物の単位面積当たりの含有量が、上記領域以外の領域における上記水溶性化合物の単位面積当たりの含有量より、50mg/m2以上多い平版印刷版原版が提案されている。
ところで、上記特許文献1に記載の平版印刷版は、いわゆる捨版として使用されるため、通常の平版印刷版原版と異なり、画像記録層の代りにアルカリ水溶液に溶解又は膨潤する樹脂からなる非感光性樹脂層を有している。そして、当該平版印刷版は、通常の湿式現像処理と同様に、アルカリ水溶液で処理して非感光性樹脂層を除去した後、不感脂化処理が施されることにより上記エッジ汚れを防止することが可能となる。
ところが、機上現像型平版印刷版原版の場合、上記特許文献1に記載のようにアルカリ水溶液で処理されたり、不感脂化処理が施されることがない。従って、機上現像型平版印刷版原版の場合には、上記エッジ汚れを防止することは出来ない。
ところで、上記特許文献2に記載の平版印刷版原版においては、エッジ汚れを防止するために、平版印刷版原版の端部から内側に5mmまでの画像記録層側版面の領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの手段により、端部領域における水溶性化合物の含有量を高めている。
しかしながら、平版印刷版原版の端部領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの親水化処理を施すと、端部領域における画像形成性能が低下するという問題が生じる傾向がある。このことは、親水化処理を施すことにより、水溶性化合物が画像記録層に移動し、画像記録層の機械的強度が低下すること、及び、画像記録層と支持体との密着力が低下することに起因して、機上現像時に、端部領域における画像記録層が保持されず、非画像部と共に除去されることが原因と考えられる。
[1]
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が6%以下であり、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.2〜2.2g/m 2 であり、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が15〜40nmである機上現像型平版印刷版原版。
[2]
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が6%以下であり、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.2〜2.2g/m 2 であり、上記ダレ量Xが30〜50μmである機上現像型平版印刷版原版。
[3]
上記ダレ量Xが30〜50μmである[1]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[4]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[5]
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[6]
上記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する[1]〜[5]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[7]
上記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である[6]に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[8]
上記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する[1]〜[7]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
本発明は、上記[1]〜[9]に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記(1)〜(13))についても記載している。
(1)
陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、上記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版。
(2)
上記クラックの面積率が10%以下である(1)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(3)
上記クラックの面積率が6%以下である(2)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(4)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(5)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.5〜5.0g/m2である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(6)
上記陽極酸化皮膜量が0.8〜1.2g/m2である(5)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(7)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域以外の領域の上記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量より小さい(1)〜(6)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(8)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が5〜100nmである(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(9)
上記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の上記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(10)
上記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する(1)〜(9)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(11)
上記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である(10)に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(12)
上記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する(1)〜(11)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
(13)
(1)〜(12)のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
本明細書において、式で表される化合物における基の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、当該基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」の用語は「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」を意味する。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリル樹脂」等も同様である。
本発明に係る機上現像型平版印刷版原版は、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体と画像記録層とから少なくとも構成され、平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有しており、ダレ幅Yに相当する領域の陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が30%以下である機上現像型平版印刷版原版である。
機上現像型平版印刷版原版を構成する陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体について記載する。
アルミニウム板の厚さは、0.1〜0.6mm程度が好ましい。
アルミニウム支持体の製造方法は、特に限定されるものではない。アルミニウム支持体の製造方法の好ましい態様としては、アルミニウム板に粗面化処理を施す工程(粗面化処理工程)、粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程(陽極酸化処理工程)、陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させ、陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程(ポアワイド処理工程)を含む方法が挙げられる。
粗面化処理工程は、アルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施す工程である。粗面化処理工程は、後述する陽極酸化処理工程の前に実施されることが好ましいが、アルミニウム板の表面がすでに好ましい表面形状を有していれば、実施しなくてもよい。
機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせる場合には、機械的粗面化処理の後に、電気化学的粗面化処理を施すのが好ましい。
機械的粗面化処理の諸条件は特に限定されないが、例えば、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って施すことができる。機械的粗面化処理は、パミストン懸濁液を使用したブラシグレイン処理により施したり、転写方式で施したりすることができる。
また、化学的粗面化処理も特に限定されず、公知の方法に従って施すことができる。
機械的粗面化処理の後に施される化学エッチング処理は、アルミニウム板の表面の凹凸形状のエッジ部分をなだらかにし、印刷時のインキの引っかかりを防止し、平版印刷版の耐汚れ性を向上させるとともに、表面に残った研磨材粒子等の不要物を除去するために行われる。
化学エッチング処理としては、酸によるエッチングやアルカリによるエッチングが知られているが、エッチング効率の点で特に優れている方法として、アルカリ溶液を用いる化学エッチング処理(以下、「アルカリエッチング処理」ともいう。)が挙げられる。
また、アルカリ剤は、アルミニウムイオンを含有してもよい。アルカリ溶液の濃度は、0.01質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上であるのがより好ましく、また、30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましい。
更に、アルカリ溶液の温度は室温以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、80℃以下であるのが好ましく、75℃以下であるのがより好ましい。
また、処理時間は、エッチング量に対応して2秒〜5分であるのが好ましく、生産性向上の点から2〜10秒であるのがより好ましい。
酸性溶液に用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。酸性溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。また、酸性溶液の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。酸性溶液の濃度および温度がこの範囲であると、アルミニウム支持体を用いた平版印刷版の耐ポツ状汚れ性がより向上する。
電気化学的粗面化処理は、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流または交流を用いて行われる。
また、電気化学的粗面化処理後にアルカリエッチング処理を行わない場合においても、スマットを効率よく除去するため、デスマット処理を行うのが好ましい。
陽極酸化処理工程は、上記粗面化処理が施されたアルミニウム板に陽極酸化処理を施すことにより、アルミニウム板表面に深さ方向(厚み方向)にのびるマイクロポアを有するアルミニウムの酸化皮膜を形成する工程である。この陽極酸化処理によりアルミニウム板の表面に、マイクロポアを有するアルミニウムの陽極酸化皮膜が形成される。
更に、陽極酸化処理に引き続いて下記のポアワイド処理を行い、その後再度陽極酸化処理を行うこともできる。この場合、第1陽極酸化処理、ポアワイド処理、第2陽極酸化処理を行うこととなる。
深さ方向(厚み方向)に向かって径が不連続で小さくなる形状のマイクロポアとしては、具体的には、陽極酸化皮膜表面から深さ方向に延びる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ方向に延びる小径孔部とから構成されるマイクロポアが挙げられる。このような形状のマイクロポアを形成するためには、上記の第1陽極酸化処理、ポアワイド処理、第2陽極酸化処理を行う方法が利用できる。
大径孔部は陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に10〜1000nmのびる孔部である。上記深さは、10〜200nmが好ましい。
大径孔部の底部は、陽極酸化皮膜表面から深さ方向(厚み方向)に10〜1000nmに位置する。
大径孔部の形状は特に制限されず、例えば、略直管状(略円柱状)、および、深さ方向(厚み方向)に向かって径が連続的に小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。
小径孔部の連通位置における平均径は、13nm以下が好ましく、11nm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、通常8nm以上である。
小径孔部の形状は特に制限されず、例えば、略直管状(略円柱状)、および、深さ方向(厚み方向)に向かって径が連続的に小さくなる円錐状が挙げられ、略直管状が好ましい。
ポアワイド処理工程は、上記陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。このポアワイド処理により、マイクロポアの径が拡大され、より大きな平均径を有するマイクロポアを有する陽極酸化皮膜が形成される。
ポアワイド処理工程は支持体上の一部の領域(端部)でのみ実施されることも好ましい。上記のようにポアワイド処理を支持体の全面ではなく、一部の領域で実施することにより、耐キズ性の低下を防止することができる。
アルミニウム支持体の製造方法は、上記ポアワイド処理工程の後、親水化処理を施す親水化処理工程を有していてもよい。親水化処理としては、特開2005−254638号公報の段落0109〜0114に開示される公知の方法が使用できる。
機上現像型平版印刷版原版を構成する画像記録層について記載する。
画像記録層は、ポリマー粒子を含有することが好ましい。ポリマー粒子は、機上現像性の向上に寄与する。ポリマー粒子は、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できるポリマー粒子であることが好ましい。ポリマー粒子は、疎水性熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、ポリメタクリル酸メチルが挙げられる。疎水性熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
マイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましく、0.05〜2.0μmがより好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
ポリマー粒子の含有量は、画像記録層の全固形分中、5〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜75質量%が更に好ましい。
重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルやカチオン等の重合開始種を発生する化合物であり、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、赤外線感光性重合開始剤が好ましい。また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
電子受容性重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化物、カルボニル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、メタロセン化合物、アジド化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、及び、オニウム塩化合物が挙げられる。
カルボニル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0024に記載の化合物が好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0025に記載の化合物が好ましい。
メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0026に記載の化合物が好ましい。
アジド化合物としては、例えば、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0027に記載の化合物が好ましい。
ジスルホン化合物としては、例えば、特開昭61−166544号、特開2002−328465号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0028〜0030に記載の化合物が好ましい。
電子受容性重合開始剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、0.8〜20質量%が更に好ましい。
電子供与性重合開始剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版の耐刷性向上に寄与する。電子供与性重合開始剤としては、例えば、以下の5種類が挙げられる。(i)アルキル又はアリールアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、ボレート化合物等が挙げられる。(ii)アミノ酢酸化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシ基、トリメチルシリル基又はベンジル基が好ましい。具体的には、N−フェニルグリシン類(フェニル基に置換基を有していてもよい。)、N−フェニルイミノジ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。(iii)含硫黄化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を硫黄原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。具体的には、フェニルチオ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。(iv)含錫化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。(v)スルフィン酸塩類:酸化により活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等が挙げられる。
ボレート化合物が有する対カチオンとしては、アルカリ金属イオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はテトラブチルアンモニウムイオンがより好ましい。
電子供与性重合開始剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜25質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が更に好ましい。
赤外線吸収剤は、赤外線により励起して重合開始剤等に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。また、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有する。赤外線吸収剤は、750〜1,400nmの波長域に極大吸収を有することが好ましい。赤外線吸収剤としては、染料又は顔料が挙げられ、染料が好ましく用いられる。
染料のうち、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩が好ましく、シアニン色素がより好ましく、インドレニンシアニン色素が特に好ましい。
また、特開平5−5005号公報の段落0008〜0009、特開2001−222101号公報の段落0022〜0025に記載の化合物も好ましく使用することができる。
顔料としては、特開2008−195018号公報の段落0072〜0076に記載の化合物が好ましい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜10質量%が更に好ましい。
重合性化合物は、例えば、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよいが、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物が好ましく、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物がより好ましい。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体若しくはオリゴマー、又は、それらの混合物などの化学的形態を持つことができる。
CH2=C(RM4)COOCH2CH(RM5)OH (M)
式(M)中、RM4及びRM5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
重合性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分中、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーとしては、皮膜性を有するポリマーが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられる。
機上現像用バインダーポリマーとしては、アルキレンオキサイド鎖を有するバインダーポリマーが好ましい。アルキレンオキサイド鎖を有するバインダーポリマーは、ポリ(アルキレンオキサイド)部位を主鎖に有していても側鎖に有していてもよい。また、ポリ(アルキレンオキサイド)を側鎖に有するグラフトポリマーでも、ポリ(アルキレンオキサイド)含有繰返し単位で構成されるブロックと(アルキレンオキサイド)非含有繰返し単位で構成されるブロックとのブロックコポリマーでもよい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位を主鎖に有する場合は、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリ(アルキレンオキサイド)部位を側鎖に有する場合の主鎖のポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられ、特に(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
ポリ(アルキレンオキサイド)部位におけるアルキレンオキサイドの繰返し数は2〜120が好ましく、2〜70がより好ましく、2〜50が更に好ましい。
アルキレンオキサイドの繰返し数が120以下であれば、摩耗による耐刷性、インキ受容性による耐刷性の両方が低下することがなく好ましい。
一価の有機基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
式(AO)において、yは2〜70が好ましく、2〜50がより好ましい。R1は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。R2は水素原子又はメチル基が特に好ましい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンなどが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又は−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)及び−CH2CH2−OCO−CH=CH2が挙げられる。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分中、1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
連鎖移動剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版における耐刷性の向上に寄与する。
連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、沸点(揮発し難さ)の観点で炭素数7以上のチオールがより好ましく、芳香環上にメルカプト基を有する化合物(芳香族チオール化合物)が更に好ましい。チオール化合物は単官能チオール化合物であることが好ましい。
連鎖移動剤の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜50質量%が好ましく、0.05〜40質量%がより好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましい。
低分子親水性化合物は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版の耐刷性を低下させることなく、平版印刷版原版の機上現像性の向上に寄与する。低分子親水性化合物は、分子量1,000未満の化合物が好ましく、分子量800未満の化合物がより好ましく、分子量500未満の化合物が更に好ましい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類等が挙げられる。
低分子親水性化合物の含有量は、画像記録層の全固形分中、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。
感脂化剤は、平版印刷版原版から作製される平版印刷版におけるインキの着肉性(以下、単に「着肉性」ともいう)の向上に寄与する。感脂化剤としては、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどが挙げられる。特に、平版印刷版原版が保護層に無機層状化合物を含有する場合、これらの化合物は、無機層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機層状化合物による印刷途中の着肉性低下を抑制する機能を有する。
感脂化剤としては、ホスホニウム化合物と、含窒素低分子化合物と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することが好ましく、ホスホニウム化合物と、第四級アンモニウム塩類と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することがより好ましい。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90、Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70、Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60、Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比25/75、Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw7.5万)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5、Mw6.5万)
画像記録層は、その他の成分として、界面活性剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機層状化合物等を含有することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落0114〜0159に記載の各成分を用いることができる。
画像記録層のもう一つの形態によれば、画像記録層は、赤外線吸収剤、熱融着性粒子、及び、バインダーポリマーを含有する。
画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落0142〜0143に記載のように、必要な上記各成分を適宜公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得る観点から、0.3〜3.0g/m2程度が好ましい。
下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわずに現像性を向上させることに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合に、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ効果も有する。
支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−COCH2COCH3が好ましい。親水性基としては、スルホ基又はその塩、カルボキシ基の塩が好ましい。架橋性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基などが好ましい。
ポリマーは、ポリマーの極性置換基と、当該極性置換基と対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層に用いられるポリマーの質量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。
保護層は酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報及び特開2006−259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2−5D4O10(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K、Na、Caのいずれか、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
図1において、平版印刷版原版1はその端部にダレ2を有している。平版印刷版原版1の端面1cの上端(ダレ2と端面1cとの境界点)と、画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)1aの延長線との距離Xを「ダレ量」といい、平版印刷版原版1の画像記録層面1aがダレ始める点と端面1cの延長線上との距離Yを「ダレ幅」という。
通常、平版印刷版原版1の端部において、画像記録層と支持体との境界B、及び、支持体面1bも、画像記録層面1aと同様に、ダレが発生している。
具体的には、平版印刷版原版の裁断時に使用するスリッター装置における上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量、刃先角度などを調整することにより行うことができる。
例えば、図2は、スリッター装置の裁断部を示す概念図である。スリッター装置には、上下一対の裁断刃10、20が左右に配置されている。裁断刃10、20は円板上の丸刃からなり、上側裁断刃10a及び10bは回転軸11に、下側裁断刃20a及び20bは回転軸21に、それぞれ同軸上に支持されている。上側裁断刃10a及び10bと下側裁断刃20a及び20bとは、相反する方向に回転される。平版印刷版原版30は、上側裁断刃10a、10bと下側裁断刃20a,20bとの間を通されて所定の幅に裁断される。スリッター装置の裁断部の上側裁断刃10aと下側裁断刃20aとの隙間及び上側裁断刃10bと下側裁断刃20bとの隙間を調整することによりダレ形状を有する端部を形成することができる。
ここで、ダレ幅Yに相当する領域とは、上記図1における画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)1aの延長線と端面1cの延長線との交点から1aの延長線が画像記録層面(保護層が形成されている場合には保護層面)の接するまでの領域を意味する。
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactorPR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、Pt-Pd膜を3nm蒸着して導電処理して試料を作成する。この試料を、(株)日立ハイテクノロジーズ製S-4800型電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、加速電圧30kVでSEM観察を行い、観察倍率1,500倍で端部から中央部に向かって連続写真を取得し、150×50μmの画像を得る。この画像に対して、画像処理ソフト「ImageJ」により、クラック部と陽極酸化皮膜層表面の輝度差を利用してクラック形状を抽出、2値化処理を行い、150×50μm範囲におけるクラックの割合を算出し、クラックの面積率とする。
上記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率の算出方法と同様にして、150×50μmの画像を得る。この画像に対して、画像処理ソフト「ImageJ」により、クラック部と陽極酸化皮膜層表面の輝度差を利用してクラック形状を抽出、2値化処理を行い、150×50μm範囲におけるクラック15本の幅を測定し、その平均値をクラックの平均幅とする。
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactor PR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、蛍光X線分析装置((株)リガク製ZSX PrimusII)で測定し、別途作成した検量線を用いて陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量(g/m2)を算出する。検量線は蛍光X線分析装置から得られるコンプトン散乱線強度とメイソン法で算出した陽極酸化皮膜量の関係から作成した。メイソン法の測定精度を上げるため、メイソン液は全て新液を用いた。蛍光X線分析の条件は以下のとおりである。X線管球:Rh、測定スペクトル:RhLα、管電圧:50kV、管電流:60mA、スリット:S2、分光結晶:Ge、検出器:PC、分析面積:30mmφ、ピーク位置(2θ):89.510deg.、バックグランド(2θ):87.000deg.及び92.000deg.、積算時間:60秒/sample
平版印刷版原版の構成層(下塗り層、画像記録層、保護層)を、ヤマト科学(株)製PlasmaReactorPR300を用いて除去する。露出したアルミニウム支持体の陽極酸化皮膜の表面を、カーボン又はPt-Pd膜を3nm蒸着して導電処理して試料を作成する。この試料を、(株)日立ハイテクノロジーズ製S-4800型電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、観察倍率150,000倍で端部から中央部に向かって連続写真を取得し、400×600nmの画像を4枚得る。この4枚の画像に存在するマイクロポア90個の直径を測定し、平均してマイクロポアの平均径とする。なお、マイクロポアの形状が円形でない場合には、マイクロポアの投影面積と同じ投影面積を持つ円を想定し、その円の直径をマイクロポアの直径とする。
マイクロポアが大径孔部と小径孔部を有する場合には、大径孔部表面および小径孔部表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nm2の範囲に存在するマイクロポア(大径孔部および小径孔部)の径を測定し、平均した値である。なお、大径孔部の深さが深く、小径孔部の径が測定しづらい場合は、陽極酸化皮膜上部を切削し、その後各種径を求めた。
更に、本発明に係る機上現像型平版印刷版原版においては、端部領域に、水溶性化合物を含有する塗布液を塗布するなどの親水化処理を施すことなく、エッジ汚れの発生を防止することができるという特徴を有する。
本発明に係る平版印刷版の作製方法は、本発明に係る平版印刷版原版を画像露光する工程(露光工程)、及び、画像露光後の平版印刷版原版を印刷機上で印刷インキ及び湿し水の少なくとも一方により、画像記録層の未露光部を除去する工程(機上現像工程)を含む。
画像露光は、デジタルデータを赤外線レーザー等により走査露光する方法により行うことが好ましい。
露光光源の波長は、750〜1,400nmが好ましく用いられる。750〜1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。露光機構は内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。
露光工程はプレートセッターなどにより公知の方法で行うことができる。また、露光装置を備えた印刷機を用いて、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で露光を行ってもよい。
機上現像工程においては、画像露光後の平版印刷版原版に何らの現像処理を施すことなく、印刷機上において印刷インキ及び湿し水を供給して印刷を開始すると、印刷途上の初期の段階で平版印刷版原版の未露光部分が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出し非画像部が形成される。印刷インキ及び湿し水としては、公知の平版印刷用の印刷インキ及び湿し水が用いられる。最初に平版印刷版原版表面に供給されるのは、印刷インキでも湿し水でもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給することが好ましい。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
アルミニウム板に、下記(a)〜(g)の各処理を順次施し、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体(支持体(1))を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS 1052)に、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/m2であった。
アルミニウム板に、温度35℃の硫酸水溶液(濃度300g/L)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
アルミニウム板を、1質量%塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電源を用いて、フラットセル型の電解槽を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源の波形は、正弦波を用いた。電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、30A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量総和とカソード反応時の電気量総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量総和で480C/dm2であった。電解液はポンプを用いて液を循環させることで、電解槽内の撹拌を行った。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.05g/m2であった。
アルミニウム板に、硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、液温35℃の水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、40℃、電流密度15A/dm2の条件で厚さ1,000nmの直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で2秒間アルカリ処理して支持体(1)を作製した。
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更し、(g)ポアワイド処理を行わなかった他は、支持体(1)の作製と同様にして、支持体(2)を作製した
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、60℃、電流密度30A/dm2の条件で直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)の電解液を用い、60℃、電流密度15A/dm2の条件で直流陽極酸化皮膜を設けた。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(2)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
支持体(2)の作製において、第2陽極酸化処理の処理時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを300nmとした以外は、支持体(2)の作製と同様にして、支持体(3)を作製した。
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(4)を作製した。支持体(4)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で4秒間アルカリ処理した。
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(5)を作製した。支持体(5)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い30℃で6秒間アルカリ処理した。
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(6)を作製した。支持体(6)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
支持体(4)の作製において、陽極酸化処理の時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを500nmとする他は、支持体(4)の作製方法と同様にして、支持体(7)を作製した。
支持体(6)の作製において、陽極酸化処理の時間を調整して、陽極酸化皮膜の厚さを300nmとする他は、支持体(6)の作製方法と同様にして、支持体(8)を作製した。
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(9)を作製した。支持体(9)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
22質量%リン酸水溶液を電解液として、38℃、電流密度15A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(5)の作製において、(g)ポアワイド処理を以下のように変更する他は、支持体(5)の作製方法と同様にして、支持体(10)を作製した。
アルミニウム板を、端部のみをNaOH5%水溶液を用い30℃で2秒間アルカリ処理した。ダレ部の最終的な陽極酸化皮膜の厚さは1000nmであった。
支持体(1)の作製において、(g)ポアワイド処理を行わなかったこと、及び、陽極酸化処理の時間を制御し、表1に記載の陽極酸化皮膜の厚さに変更する他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(11)及び(12)を作製した。
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更し、(g)ポアワイド処理を行わなかった他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(13)を作製した。
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。支持体(13)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。
支持体(13)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更した他は、支持体(13)の作製方法と同様にして、支持体(14)を作製した。
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/m2であった。
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(14)における陽極酸化皮膜の厚さは、800nmであった。
支持体(13)の作製において、(f)陽極酸化処理を以下のように変更した他は、支持体(13)の作製方法と同様にして、支持体(15)を作製した。
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は、処理時間を調節して、0.3g/m2とした。
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.3A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(15)における陽極酸化皮膜の厚さは、500nmであった。
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理及び(g)ポアワイド処理を以下のように変更した他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(16)を作製した。
15質量%リン酸水溶液を電解液として用い、35℃、電流密度4.5A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/m2であった。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い40℃で4秒間アルカリ処理した。その後、スプレーによる水洗を行った。
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度13A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(16)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。支持体(16)における陽極酸化皮膜のマイクロポアは大径孔部と小径孔部から構成されており、大径孔部の深さ、大径孔部の平均径、小径孔部の深さ、小径孔部の連通位置における平均径は、各々100nm、100nm、900nm、8nmであった。
支持体(1)の作製において、(f)陽極酸化処理及び(g)ポアワイド処理を以下のように変更した他は、支持体(1)の作製方法と同様にして、支持体(17)を作製した。
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。第1陽極酸化皮膜量は0.5g/m2であった。
アルミニウム板を、NaOH5%水溶液を用い40℃で3秒間アルカリ処理した。その後、スプレーによる水洗を行った。
170g/L硫酸水溶液を電解液として用い、50℃、電流密度30A/dm2の条件で陽極酸化処理を実施した。その後、スプレーによる水洗を行った。
支持体(17)における陽極酸化皮膜の厚さは、1,000nmであった。支持体(17)における陽極酸化皮膜のマイクロポアは大径孔部と小径孔部から構成されており、大径孔部の深さ、大径孔部の平均径、小径孔部の深さ、小径孔部の連通位置における平均径は、各々100nm、30nm、900nm、10nmであった。
支持体上に、下記組成の下塗り層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で30秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が20mg/m2の下塗り層を形成した。
・下塗り化合物1(下記) 0.18部
・メタノール 55.24部
・蒸留水 6.15部
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が1.0g/m2の画像記録層(1)を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)及びミクロゲル液を塗布直前に混合し攪拌することにより調製した。
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.245g
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造〕 0.046g
・ボレート化合物 0.010g
TPB〔下記構造〕
・重合性化合物 0.192g
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステル A−9300、新中村化学(株)製)
・低分子親水性化合物 0.062g
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 0.055g
ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕
・感脂化剤 0.018g
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩
・感脂化剤 0.035g
アンモニウム基含有ポリマー(1)
〔下記構造、還元比粘度44ml/g〕
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78g(80mmol)と下記多価フェノール化合物(1)7.35g(20mmol)との酢酸エチル(25.31g)懸濁溶液に、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)(ネオスタン U−600、日東化成(株)製)43mgを加えて攪拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間攪拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間攪拌後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−オクチル酸塩(U−CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20gを加え、室温で30分攪拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を20質量%になるように調整し、ミクロゲル(1)の水分散液が得られた。光散乱法により平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
(成分1)酢酸エチル:12.0g
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル辺末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製):3.76g
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として):15.0g
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR−399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.54g
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA−41−C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液:4.42g
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、94℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量0.85g/m2の画像記録層を形成した。
・重合性化合物1*1 0.325部
・グラフトコポリマー1*2 0.060部
・グラフトコポリマー2*3 0.198部
・メルカプト−3−トリアゾール*4 0.180部
・Irgacure250*5 0.032部
・赤外線吸収剤1(下記) 0.007部
・テトラフェニルホウ酸ナトリウム(下記) 0.04部
・Klucel 99M*6 0.007部
・Byk 336*7 0.015部
・n−プロパノール 7.470部
・水 1.868部
*2:グラフトコポリマー1は、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−メトキシ−,エテニルベンゼンでグラフトされたポリマーであり、これを、80%n−プロパノール/20%水の溶剤中25%の分散物である。
*3:グラフトコポリマー2は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート/スチレン/アクリロニトリル=10:9:81のグラフトコポリマーのポリマー粒子であり、これを、n−プロパノール/水の質量比が80/20である溶媒中に、24質量%含有している分散物である。ポリマー粒子の体積平均粒径は193nmである。
*4:メルカプト−3−トリアゾールは、PCAS社(フランス)から入手可能な3−メルカプト−1H,2,4−トリアゾールである。
*5:Irgacure 250は、Ciba Specialty Chemicals社から入手可能な、ヨードニウム (4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェートの75%プロピレンカーボネート溶液である。
*6:Klucel 99Mは、Hercules社から入手可能な、ヒドロキシプロピルセルロース増粘剤の1%水溶液である。
*7:Byk 336は、Byk Chemie社から入手可能な、変性ジメチルポリシロキサンコポリマーの25%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液である。
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.15g/m2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
・無機層状化合物分散液(1)〔下記〕 1.5g
・ポリビニルアルコール(CKS50、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール(PVA−405、(株)クラレ製、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エマレックス710、
日本エマルジョン(株)製)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
イオン交換水193.6gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
上記支持体及び画像記録層を表1に記載のように組み合わせて平版印刷版原版を作製した。なお、画像記録層(1)の上には上記保護層を形成したが、画像記録層(2)の上には保護層は形成しなかった。
平版印刷版原版を、図2に示すような回転刃を用いて、上側裁断刃と下側裁断刃の隙間、噛み込み量及び刃先角度を調整して裁断し、端部に表1に記載のダレ量及びダレ幅を有するダレ形状を形成した。
<エッジ汚れ防止性>
平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxcel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,4000dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び50%網点チャートを含むようにした。
画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとして、インクテック(株)製 ソイビーKKST−S(紅)と東洋インキ(株)製東洋ALKY湿し水を用いて、100,000枚/時のスピードで印刷し、地汚れ解消の水目盛から2倍の水目盛で、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、エッジ部の汚れの程度を下記の基準で評価した。
5:全く汚れていない
4:5と3の中間レベル
3:うっすらと汚れているが許容レベル
2:3と1の中間レベル(許容レベル)
1:はっきりと汚れており非許容レベル
上記エッジ汚れ防止性の評価と同様にして画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとして、インクテック(株)製ソイビーKKST−S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN−1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した新聞用紙の枚数を機上現像枚数として計測し、以下の基準で評価した。
5:機上現像枚数25枚以下
4:機上現像枚数26〜30枚
3:機上現像枚数31〜35枚
2:機上現像枚数36〜40枚
1:機上現像枚数100枚以上であり非許容レベル
平版印刷版原版を25℃60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機TYPE−18に取り付け、打ち抜いていない平版印刷版原版の表面の上に、打ち抜いた平版印刷版原版の裏面が接触するようにセットし、0gf〜1,500gfの加重で平版印刷版原版の数箇所に擦れ傷をつけた。擦れ傷をつけた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxcel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,4000dpiの条件で露光した。
画像露光した平版印刷版原版を、(株)東京機械製作所製オフセット輪転印刷機に装着し、新聞用印刷インキとしてインクテック(株)製ソイビーKKST−S(紅)、湿し水としてサカタインクス(株)製エコセブンN−1を用い、新聞用紙に100,000枚/時のスピードで印刷した。印刷過程において、1,000枚目の印刷物をサンプリングし、擦れ傷に起因するキズ汚れの程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。
3:視認及び6倍率のルーペでキズ汚れが確認できない。
2:視認では確認はできないが、6倍率のルーペで確認可能なキズ汚れが数か所ある。
1:視認で確認可能なキズ汚れが複数個所にあり非許容レベル。
また、本発明に係る平版印刷版原版では、端部領域における画像形成性能が低下することも認められなかった。
なお、実施例2、3、6及び10は、それぞれ参考例2、3、6、及び10に読み替えるものとする。
本出願は、2017年7月31日出願の日本特許出願(特願2017−148558)、2018年6月5日出願の日本特許出願(特願2018−107994)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1a 画像記録層面
1b 支持体面
1c 端面
2 ダレ
X ダレ量
Y ダレ幅
B 画像記録層面と支持体との境界
10 裁断刃
10a 上側裁断刃
10b 上側裁断刃
11 回転軸
20 裁断刃
20a 下側裁断刃
20b 下側裁断刃
21 回転軸
Claims (9)
- 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、前記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が6%以下であり、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.2〜2.2g/m 2 であり、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するマイクロポアの平均径が15〜40nmである機上現像型平版印刷版原版。
- 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に、画像記録層を有する機上現像型平版印刷版原版であって、前記平版印刷版原版の端部が、ダレ量Xが25〜150μm、ダレ幅Yが70〜300μmのダレ形状を有し、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの面積率が6%以下であり、前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の陽極酸化皮膜量が0.2〜2.2g/m 2 であり、前記ダレ量Xが30〜50μmである機上現像型平版印刷版原版。
- 前記ダレ量Xが30〜50μmである請求項1に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜の表面に存在するクラックの平均幅が20μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記平版印刷版原版のダレ幅Yに相当する領域の前記陽極酸化皮膜のマイクロポアが、陽極酸化皮膜表面から深さ10〜1000nmの位置までのびる大径孔部と、大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20〜2000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、小径孔部の連通位置における平均径が13nm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、ポリマー粒子を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記ポリマー粒子が、スチレン化合物に由来するモノマー単位、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル化合物に由来するモノマー単位を含むポリマーの粒子である請求項6に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、さらに重合開始剤、赤外線吸収剤及び重合性化合物を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水から選ばれる少なくとも1つにより、画像記録層の未露光部分を除去する工程とを含む平版印刷版の作製方法。
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