以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ウレタンプレポリマーと架橋剤とを用いて得られた2液硬化型ウレタン粘着剤であって、
ウレタンプレポリマーが、ポリオールとポリイソシアネートとを用いて得られたものであること、
ポリオールの平均官能基数fが1.7以上であること、
ポリオールの平均官能基数fと架橋剤の添加量Eq(当量)との関係が下記式:
1−(f−1.7)×10<Eq<20−(f−1.7)×20 (但し、Eq>0)
を満たすこと、並びに
周波数1Hz、25℃での弾性率が2×105Pa以下、周波数1Hz、80℃での弾性率が2×104Pa以上であること
をその特徴とする。
本発明のウレタン粘着剤は、周波数1Hz、25℃での弾性率が2×105Pa以下であるが、好ましくは、3×104Pa〜2×105Paの範囲であり、さらに好ましくは、6×104Pa〜1.9×105Paの範囲である。周波数1Hz、25℃での弾性率が2×105Paを超えると粘着剤の変形に対する追従不良が発生するため、被着体の段差へ追従できずに気泡が発生するため使用が困難である。
本発明のウレタン粘着剤は、周波数1Hz、80℃での弾性率が2×104Pa以上であることを特徴とする。好ましくは、2×104Pa〜2×105Paの範囲であり、さらに好ましくは、2.2×104Pa〜1.5×105Paの範囲である。周波数1Hz、80℃での弾性率が2×104Paを下回ると耐熱性が悪く、熱をかける工程において液流れして成形が困難であり、使用が困難である。室温においても架橋不足による凝集力不足により密着力が低く粘着剤としての使用が困難であり、離型フィルムを使用する場合でも剥離時に凝集破壊するためハンドリングが困難である。
本発明において、25℃、80℃での弾性率は、動的粘弾性測定装置UBM社製Rheogel E−4000を用いて、測定温度−80℃〜200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、それぞれの温度における貯蔵弾性率G’の値を意味する。
本発明のウレタン粘着剤のゲル分率は、特に限定されないが、20%〜65%の範囲が好ましい。さらに好ましくは22%〜60%の範囲であり、最も好ましくは25%〜55%の範囲である。粘着剤のゲル分率が20%〜65%であれば、良好な接着信頼性と耐衝撃性が期待できるため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤のゲルの膨潤度は、特に限定されないが、950%以上であることが好ましい。なかでも950%〜4000%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1150%〜2500%の範囲である。粘着剤のゲルの膨潤度が950%以上であれば、ゲルが緻密になりすぎず高い粘着力が期待できるため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤のゾル分の数平均分子量は、特に限定されないが、15000〜100000の範囲が好ましい。さらに好ましくは、35000〜80000の範囲であり、最も好ましくは、40000〜70000の範囲である。ウレタン粘着剤のゾル分の数平均分子量は15000〜100000の範囲であれば、基材への移行成分を抑制しつつ高い粘着力、保持力が期待できる。
本発明のウレタン粘着剤のゲル分率は、酢酸エチル100mlに粘着剤を0.2g加えて7日静置した際に溶解せず残る不溶分の比率(%)を表し、可溶分を濃縮して得られる成分をゾル分とした。
また、ウレタン粘着剤のゲル分の取り出し直後の膨潤した状態での重量と80℃8時間防爆乾燥機で乾燥後の重量の比率(%)をゲルの膨潤度とした。
本発明のウレタン粘着剤のガラス転移温度は、特に限定されないが、−80℃〜−30℃の範囲が好ましい。さらに好ましくは、−80℃〜−50℃の範囲である。ガラス転移温度が−80℃〜−30℃の範囲であれば、糊残りや耐熱性が低下せず、低温下でも落下した際に剥離や割れが抑制でき低温での高い密着性が期待できるため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤の周波数1Hz、25℃での損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比(tanδ)は、特に限定されないが、0.3以上であることが好ましい。なかでも、周波数1Hz、25℃でのtanδが0.35〜1.4の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.37〜0.85の範囲である。25℃での損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比(tanδ)は、0.3以上であれば粘性があり、エネルギーの熱等への変換が期待できるため、室温での振動吸収性や耐衝撃性が期待できるため好ましい。
本発明において、ガラス転移温度、25℃でのtanδは、動的粘弾性測定装置UBM社製Rheogel E−4000を用いて、測定温度−80℃〜200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、貯蔵弾性率G’に対する損失弾性率G”の比であるtanδのピーク値を取る温度をガラス転移温度として評価し、25℃での値を25℃での損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比(tanδ)として評価した。
本発明のウレタン粘着剤のJIS Z0237の方法で測定した無アルカリガラスとの粘着力は、特に限定されないが、3〜25N/25mmの範囲であることが好ましく、3〜15N/25mmの範囲であることがさらに好ましい。無アルカリガラスとの粘着力が3〜25N/25mmの範囲であれば、基材への接着信頼性や耐衝撃性、再剥離性が期待できるため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤の粘着力は、無アルカリガラスとして0.7mm厚みのコーニング社製イーグルXGを用いてJIS Z0237に準じて測定した値である。具体的には、粘着面に厚さ25μmのPETフィルム東レ社製ルミラーS−10を裏打ちし、幅25mmにカットしてJIS Z0237に準じてロール圧着して試験片を作製。引張試験機オリエンテック社製RTG−1210を用いて、JIS Z0237に準拠して23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った、180°引き剥がし粘着力(N/25mm)を粘着力とした。
本発明のウレタン粘着剤のJIS Z0237の方法で測定したボールタックは、特に限定されないが、6以上であることが好ましい。なかでも、6〜20の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは6〜14の範囲である。ボールタックが6以上であれば、粘着剤の浮きや基材からの剥離が発生しにくいため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤のボールタックはJIS Z0237に準じて評価した値であり、具体的には、傾斜角度30度、助走距離10cmの条件で粘着剤距離10cmの間で停止したボールNo.である。
本発明に用いるウレタン粘着剤のJIS Z0237の方法で測定した保持力は、特に限定されないが、40℃条件で10分以上であることが好ましく、100分以上であることがさらに好ましい。
本発明のウレタン粘着剤の保持力はJIS Z0237に準じて評価した値であり、具体的には、SUS基材に25mm×25mmの接着面で張り合わせ、40℃、静荷重1kgの条件で重りが落下するまでの時間を評価した。保持力が40℃条件で10分以上であれば、移行成分が少なく、高い凝集力により高温での弾性率の保持が期待できる。
本発明のウレタン粘着剤のJISK7136の方法で測定したHazeは、特に限定されないが、好ましくは40μm厚みでのHazeが5%以下であり、さらに好ましくはHazeが0.8%以下である。40μm厚みでのHazeが5%以下であれば、透明性が高く視認性に優れ、良好な外観が期待できるため好ましい。特に限定されないが、光学用粘着シートなどの光学用途で用いる場合、40μm厚みでのHazeが5%以下であることが好ましい。このような40μm厚みでのHazeが5%以下の粘着剤は、ウレタンプレポリマーの反応性基に対して架橋剤量が7当量以下(モル比)の条件で製造することが好ましい。
本発明において、Hazeは測定に用いる基材を除いた値である。具体的には、PMMA基材のHazeが0.2%、PMMAと粘着剤の2層構造でのHazeが0.5%の場合、粘着剤のHazeは0.5−0.2=0.3%とした。
本発明のウレタン粘着剤は、室温で柔軟性を有し高温でも弾性を保持でき、振動吸収性、粘着性、低温特性、タック性に優れ、印刷段差への追従性や耐衝撃性、低温から高温までの密着性が期待できる。
本発明のウレタン粘着剤には、ポリオールとポリイソシアネートとを用いて得られたウレタンプレポリマーが用いられる。
このようなウレタンプレポリマーとしては、特に限定するものではないが、分子内に反応性基を有することが好ましい。反応性基としては、特に限定されないが、活性水素基といったイソシアネート基と反応する反応性基、イソシアネート基といった活性水素基と反応する反応性基を含有することが好ましく、特に分子末端に水酸基を含有する水酸基末端ウレタンプレポリマーであることが好ましい。ポリイソシアネートの有するNCO基とポリオールの有するOH基総量の比率が1.00以下の範囲では水酸基が末端構造である。また、1.00を超える範囲ではイソシアネート基が末端構造のものが多い。
本発明のウレタン粘着剤に用いるウレタンプレポリマーの末端構造としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、アリル基等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明のウレタン粘着剤に用いるウレタンプレポリマーの標準ポリスチレン換算の数平均分子量は、30000〜300000の範囲であることが好ましく、50000〜180000範囲がより好ましい。ウレタンプレポリマーの数平均分子量が30000〜300000の範囲であれば、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなりすぎず、得られるウレタン硬化物が良好な柔軟性を期待できるため好ましい。標準ポリスチレン換算の数平均分子量は、カラム温度40℃、流速1.0ml/min、溶媒THFの条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線検量線として算出することができる。
本発明のウレタン粘着剤に用いるウレタンプレポリマーの粘度は、特に限定されず、用途により選択されるが、好ましくは15〜1000000Pa・s(25℃)の範囲であり、さらに好ましくは15〜500000Pa・s(25℃)の範囲である。ウレタンプレポリマーの粘度が15〜1000000Pa・s(25℃)の範囲であれば、十分な分子量の樹脂が形成され、良好な溶剤への分散性や塗工性が期待できるため好ましい。
ここで、ウレタンプレポリマーに用いるポリオールとしては、良好な柔軟性、透明性、低温特性が期待できることから、ポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、2官能のポリエーテルジオール(以下、「ポリオールA」と称する。)が好ましく、必要に応じて3官能以上のポリエーテルポリオール(以下、「ポリオールB」と称する。)を含むことが好ましい。2官能のポリオールA、必要に応じて3官能以上のポリオールBを含むことで良好な柔軟性、耐衝撃性、粘着力、タック性が期待できるため好ましい。
本発明において、ポリオールAとしては、オキシアルキレン基を有し、ポリマー末端、分岐鎖末端といった任意の箇所に分子内に1分子当たり水酸基を2個有している化合物が好ましい。
このようなポリオールAとしては、例えば、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリ(オキシプロピレン−オキシエチレン)ジオール等の2官能のポリアルキレンオキシド等が挙げられ、特に限定するものではないが、具体的には、三洋化成社製サンニックスPP−1000、PP−2000、PP−3000,PP−4000、三井化学社製アクトコールP−22、P−21、P−23、P−28、ED−28、旭硝子社製エクセノール720、1020、2020、3020、4020、510、4002、4010、4019、5001、5005、プレミノール4002、5005、プレミノールS4004、4011、4012、4015、4008F、4013F、4318F、日油社製ユニオールD−1000、D−1200、D−2000、D−4000、PB−700、PEG#1500、PEG#2000、プロノン#102、#104、#202B、#204等の市販品として入手することができる。
ポリオールAは、一種類に限定されることはなく、複数種のポリエーテルジオールを混合して使用してもよい。
ポリオールAは、オキシプロピレン基を有することが好ましく、オキシエチレン基を有してもよい。
ポリオールAの数平均分子量(Mn)は、3000〜30000の範囲が好ましい。さらに好ましくは3500〜20000の範囲であり、最も好ましくは4000〜15000の範囲である。ポリオールAの数平均分子量(Mn)は、3000〜30000の範囲であれば、得られるウレタン粘着剤が良好な柔軟性が期待できるため好ましい。
本発明において、ポリオールAの「数平均分子量」とは、ポリオールAの水酸基価(OHV、単位はmgKOH/g)に基づき、下記式:
数平均分子量=(56100/OHV)×1分子当たりの水酸基数
を用いて計算した値をいう。
ここで、「OHV」は、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。また、「1分子当たりの水酸基数」とは、ポリオールAを製造するときに原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素原子の数をいい、例えば、エチレングリコール及びプロピレングリコールは2であり、グリセリン及びトリメチロールプロパンは3である。市販品で開始剤の活性水素原子の数を特定できない場合、その公称官能基数を用いる。
ポリオールAの分子量分布としては、特に限定されないが、1.16未満が好ましく、1.13未満がさらに好ましく、1.10未満が特に好ましい。分子量分布を1.16未満とすることで、得られるプレポリマーの粘度低下やプレポリマー化の反応性向上が期待できる。
本発明において、ポリオールAの分子量分布(Mw/Mn)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することによって得られるポリスチレン換算の分子量の分布であり、GPC質量平均分子量(Mw)をGPC数平均分子量(Mn)で割った値をいう。GPC法による分子量分布は、例えば、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、ポリスチレン換算で求めることができる。
ポリオールAの不飽和度は、0.07meq/g以下であることが好ましい。なかでも0.01〜0.07meq/gの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.014〜0.06meq/gの範囲である。ポリオールAの不飽和度が0.07meq/g以下であれば、得られるウレタンプレポリマーに良好な硬化性が期待でき、移行成分の低減が期待できるため好ましい。
2種以上のポリエーテルジオールを併用してポリオールAとする場合、それぞれのポリエーテルジオールの不飽和度が0.07meq/g以下であることが好ましいが、不飽和度が0.07meq/g以上のポリエーテルジオールを使用するときは、それ以外のポリエーテルジオールと混合して、その混合物の平均の総不飽和度を0.07meq/g以下にすればよい。
ポリオールAの不飽和度はポリオールA中に存在するモノオール量の指標となり、増加することで平均官能基数fAが低下することがあるが、本発明では、それらを含め、「ポリオールA」と称する。
本発明において、ポリオールAの「不飽和度(meq/g)」とは、ポリオールAの1g当たりに含まれる不飽和基の総量のことであり、JIS K1557 6.7に規定された方法に準拠して測定した値である。
本発明において、ポリオールAの不飽和度(meq/g)と数平均分子量は、下記式:
不飽和度≦数平均分子量×0.00001
を満たすことが好ましい。なかでも、下記式:
数平均分子量×0.0000025≦不飽和度≦数平均分子量×0.000009
を満たすことが好ましく、下記式:
数平均分子量×0.000003≦不飽和度≦数平均分子量×0.000008
を満たすことがさらに好ましい。ポリオールAの不飽和度を、数平均分子量×0.00001以下とすることで、得られたウレタンプレポリマーの硬化物に良好な柔軟性を期待することができるため好ましい。
ポリオールAの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。例えば、2官能開始剤を用い、開環重合触媒の存在下、アルキレンオキシドを開環重合することで製造することができる。
開環重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム等の汎用アルカリ金属化合物触媒;水酸化セシウム等のセシウム金属化合物触媒;亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体等の複合金属シアン化物錯体触媒;フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等が挙げられる。これら触媒は一種又は二種以上使用してもよい。
これらの触媒のうち、不飽和度の低いポリオールAを製造するためには、セシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を用いることが好ましい。また、ポリオールAをイミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒を用いて製造することで、得られるポリオールAの分子量分布が狭くなるため、ポリオールA、それを用いたプレポリマーの粘度低下や、硬化物とした際の移行成分の低減が期待できるため好ましい。
イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒としては、イミノ基及びP−N結合を有する化合物であればよく、特に限定されないが、下記一般式で示される化合物が挙げられる(例えば、特開2011−132179号公報参照)。
[上記一般式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、R1とR2が互いに結合して環構造を形成していても良いし、R1同士又はR2同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。X−は、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。]
2官能開始剤としては、特に限定されないが、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリオキシアルキレンジオール等の2官能のポリオール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール類、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類等の、2個の活性水素を有する化合物から選ばれる一種又は二種以上が用いられる。
アルキレンオキシドとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドからなる群より選ばれる一種又は二種以上が用いられる。
これらのうち、上記2官能開始剤を一種又は二種以上用い、炭素数が2〜3の3員環のアルキレンオキシドを一種又は二種以上開環重合させることにより得られるポリエーテルジオールが好ましい。
ポリオールAの製造方法として、具体的には、セシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を用いて、1段で所定の分子量までアルキレンオキシドを付加する方法、2官能開始剤を用い、水酸化カリウム触媒、セシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を用いて、数平均分子量200〜10000程度までアルキレンオキシドを付加し、その後当該触媒を除去又は残存した状態でセシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を1種又は2種以上用いて所定の分子量まで2段以上でアルキレンオキシドを付加する方法等が例示される。
また、本発明において、ポリオールBとしては、オキシアルキレン基を有し、ポリマー末端、分岐鎖末端といった任意の箇所に分子内に1分子当たりに少なくとも3個の水酸基を有しているポリエーテルポリオールが好ましい。
このようなポリオールBとしては、例えば、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリ(オキシプロピレン−オキシエチレン)ポリオール等の3官能以上のポリアルキレンオキシドが挙げられ、特に限定するものではないが、具体的には、三洋化成社製サンニックスGP−1000、GP−1500、GP−3000、GP−4000V、GA−5000S、FA−908、FA−961、FA−921、FA−703、FA−757、三井化学社製アクトコールG−28、MN−5000、MN−4000、P−31、MN−1500、旭硝子社製エクセノール1030、4030、5030、230、828、837、プレミノール3005、3010、3015、3020、7001、7006、7012、プレミノールS3006、3011、やプレミノール7021(4官能)等の市販品として入手することができる。
ポリオールBの1分子当たりの水酸基数は、3〜6の範囲であることが好ましく、3〜4の範囲であることがさらに好ましい。ポリオールBの1分子当たりの水酸基数が3〜6の範囲であれば、得られたウレタン粘着剤に良好な柔軟性や粘着性が期待できるため好ましい。
なお、ポリオールBの上記1分子当たりの水酸基数は、後述するポリオールBを製造するのに用いた多価開始剤の活性水素原子数と一致する。例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパンは3であり、ジフェニルメタンジアミンでは4である。
ポリオールBの数平均分子量(Mn)は、5000〜40000の範囲が好ましい。なかでも5000〜30000の範囲が好ましく、さらに好ましくは6000〜20000の範囲である。ポリオールBの数平均分子量(Mn)は、5000〜40000の範囲であれば、得られるウレタン粘着剤の良好な柔軟性が期待できるため好ましい。
本発明において、ポリオールBの数平均分子量は、ポリオールBの水酸基価(OHV、単位はmgKOH/g)に基づいて下記式:
数平均分子量=(56100/OHV)×1分子当たりの水酸基数
を用いて計算した値をいう。
ここで、「OHV」は、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。また、「1分子当たりの水酸基数」とは、ポリオールBを製造するときに原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素原子の数をいう。市販品で開始剤の活性水素原子の数を特定できない場合、公称官能基数を用いる。
ポリオールBの分子量分布は、特に限定されないが、1.30未満が好ましく、さらに好ましくは、1.25未満である。分子量分布が1.30未満では得られるウレタンプレポリマーの粘度低下や高い反応性が期待できるため好ましい。
本発明において、ポリオールBの分子量分布(Mw/Mn)は、上記したポリオールAの分子量分布と同様の方法で求めることができる。
ポリオールBの不飽和度は、0.07meq/g以下が好ましい。なかでも0.003〜0.07meq/gの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.004〜0.06meq/gの範囲である。不飽和度が0.07meq/g以下であれば、得られるウレタンプレポリマーの良好な硬化性が期待でき、移行成分の低減が期待できるため好ましい。
2種以上のポリエーテルポリオールを併用してポリオールBとする場合、それぞれのポリエーテルポリオールの不飽和度が0.07meq/g以下であることが好ましいが、不飽和度が0.07meq/g以上のポリエーテルポリオールを使用するときは、それ以外のポリエーテルポリオールと混合して、その混合物の平均の総不飽和度を0.07meq/g以下にすればよい。
不飽和度が増加することで、ポリオールBの平均官能基数fBが低下することがあるが、本発明ではそれらを含め、「ポリオールB」と称する。
本発明において、ポリオールBの「不飽和度(meq/g)」とは、ポリオールBの1g当たりに含まれる不飽和基の総量のことであり、JIS K1557 6.7に規定された方法に準拠して測定した値である。
本発明において、ポリオールBの不飽和度と数平均分子量とは、下記式:
不飽和度≦数平均分子量×0.000009
を満たすことが好ましく、さらに下記式:
数平均分子量×0.0000003≦不飽和度≦数平均分子量×0.000007
を満たすことが好ましい。不飽和度を数平均分子量×0.000009以下とすることで、得られたウレタンプレポリマーの分子量が高くなり、その柔軟性の向上が期待できるため好ましい。
ポリオールBは一種類に限定されることはなく、複数種のポリエーテルポリオールを混合して使用してもよい。
ポリオールBの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。例えば、3官能以上の多価開始剤を用い、開環重合触媒の存在下、アルキレンオキシドを開環重合することで製造することができる。
開環重合触媒としては、例えば、上記したものが使用できる。
3官能以上の多価開始剤としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、三洋化成社製サンニックスGP−250、GP−400、GP−600、GP−1000等の3官能の低分子量ポリオール等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオール、ヘキソール、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等の3個以上の活性水素を有する化合物を一種又は二種以上用いることができる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、上記したものが使用できる。
これらのうち、3官能以上の官能基数を有する開始剤を一種又は二種以上用い、炭素数が2〜3の3員環のアルキレンオキシドを一種又は二種以上開環重合させることにより得られたポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
本発明において、ポリオールBの製造方法としては特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。例えば、3官能以上の開始剤にセシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒、イミノ基含有フォスファゼニウム塩触媒、水酸化バリウム触媒等を用いて1段、又は2段以上で所定の分子量までアルキレンオキシドを付加する方法が挙げられる。
本発明において、ポリオールの平均官能基数fは下記式によって求めた値である。
f=(1000fn/Mn)/[{(1000/Mn)一(USV/fn)}+USV]
ここで、fnは水酸基数、Mnは数平均分子量、USVは不飽和度である。水酸基数fnは、ポリオールA又はポリオールBを製造するときに原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素原子の数をいい、例えば、エチレングリコール及びプロピレングリコールは2であり、グリセリン及びトリメチロールプロパンは3である。市販品の場合、公称官能基数を用いた。なお、ポリオールAの平均官能基数fがfA、ポリオールBの平均官能基数fがfBである。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリオールとして、ポリオールAとポリオールBとを併用した場合には、その平均官能基数faveは、以下のとおり算出できる。
fave=(fA×WA/MA+fB×WB/MB)/(WA/MA+WB/MB)
ここで、fAはポリオールAの平均官能基数、WAはポリオールAの重量部、MAはポリオールAの数平均分子量を表し、fBはポリオールBの平均官能基数、WBはポリエーテルポリオールの重量部、MBはポリオールBの数平均分子量を表す。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリオールの平均官能基数fは、1.7以上であるが、1.75以上がさらに好ましく、特に好ましくは1.8以上である。また、ポリオールの平均官能基数fは、2.2以下が好ましく、2.19以下がさらに好ましく、特に好ましくは2.15以下である。ポリオールの平均官能基数fが1.7以上、2.2以下であれば、ウレタンプレポリマーのゲル化が無く良好なハンドリング性と良好な硬化性を有し、得られた硬化物の高い柔軟性や基材への密着性が期待できるため、特に段差部分が大きい用途の密着においても段差へ追従し気泡の発生を抑制することが期待できる。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリオール中のポリオールAのモル比としては、特に限定されないが、ポリオール中の30%以上の範囲が好ましく、さらに好ましくは、51%以上の範囲である。ポリオール中の30%以上であれば、良好な柔軟性や耐衝撃性が期待できるため好ましい。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリオール中のポリオールBのモル比としては、特に限定されないが、ポリオール中の70%以下が好ましく、さらに好ましくは、49%以下の範囲である。ポリオール中の70%以下であれば、良好な柔軟性や耐衝撃性が期待できるため好ましい。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリイソシアネートとしては、特に限定されず、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物が使用できる。
例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)も包含される。
これらのなかでも、柔軟性、耐衝撃性、透明性が発現しやすいため、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、これらの変性体が好ましく、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、脂肪族イソシアネート含有プレポリマー、脂環式イソシアネート含有プレポリマー、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)が好ましい。これらイソシアネートは一種又は二種以上混合して使用してもよい。
イソシアネート含有プレポリマーとしては、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、イソトリデカノール、ヘキシルデカノール、エチルヘキサノール、ブチルテトラグリコール等のモノオール、ポリオール、モノアミン、ポリアミン等とイソシアネートとの反応物が挙げられる。
本発明において、ウレタンプレポリマーに用いるポリイソシアネートの添加量としては、ポリイソシアネートの有するNCO基総量と、ポリオールの有するOH基総量のモル比率([NCO基総量]/[OH基総量])が、0.85〜1.15(モル比)となる範囲であり、好ましくはポリイソシアネートの有するNCO基総量とポリオールの有するOH基総量のモル比率が0.85〜1.05(モル比)となる範囲である。これらのなかでも、保存安定性が高いOH基末端のプレポリマーが得られることからポリイソシアネートの有するNCO基とポリオールの有するOH基総量の比率が0.85〜0.99(モル比)の範囲が特に好ましい。ポリイソシアネートの有するNCO基総量と、ポリオールの有するOH基総量とのモル比率が0.85〜1.15の範囲であれば、ウレタンプレポリマーの分子量が高く、得られるウレタン粘着剤に高い柔軟性が期待できる。
本発明において、ポリオールとして、ポリオールA及びポリオールB以外の活性水素化合物(以下、「その他の活性水素化合物」と称する。)を使用することができる。その他の活性水素化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、水、多価カルボン酸、ポリアミン、ポリオール等の1分子当たり少なくとも1個の活性水素基を有する化合物である。その他の活性水素化合物を用いる場合、その他の活性水素化合物の添加量としては、特に限定するものではないが、多すぎると得られたウレタン粘着剤の柔軟性や透明性が低下する場合があるため、ポリオールの総量100重量部に対して40重量部以下の範囲で使用することが好ましい。
ポリオールA、ポリオールBに加えて、その他の活性水素化合物を用いる場合、ポリイソシアネートの添加量としては、ポリイソシアネートのNCO基総量と、ポリエーテルジオールA、ポリエーテルポリオールB、及びその他の活性水素化合物のOH基総量とのモル比率が0.85〜1.15(モル比)であることが好ましい。
本発明において、ウレタンプレポリマーの合成方法としては特に制限されず、例えば、ポリオール、必要に応じてその他活性水素化合物と、ポリイソシアネートとを、ウレタン化触媒、溶剤、消泡材、その他添加剤等の存在下、ウレタン化反応させる方法等が挙げられる。よって、得られたウレタンプレポリマーは、ウレタン化触媒、消泡材、添加剤等を含んでいてもよい。
ここで、ウレタン化反応の温度としては、特に限定されないが、120℃以下であることが好ましく、更に好ましくは50〜110℃である。120℃以下であれば、反応速度の制御や所定の数平均分子量と構造のウレタンプレポリマーが得られやすいため、好ましい。
したがってウレタン化反応は、120℃以下で1〜20時間行なうのが好ましい。反応の終点は、滴定によるイソシアネート残留量測定、又はIR測定によるイソシアネートピークの消失により判断することができる。
ウレタン化反応は、特に限定されないが、反応制御を容易にするため、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。ウレタンプレポリマーの溶解性、溶媒の沸点等の点から特に、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン又はこれらの混合溶媒が好ましい。これら溶媒は、反応初期、反応中盤、反応終了後等任意のタイミングで添加してもよい。
ウレタン化反応時に溶媒を使用した場合のウレタンプレポリマー濃度(溶媒を除く未反応の原料を含む)としては、特に限定されず、用途により選択されるが、好ましくは10〜90重量%の範囲であり、更に好ましくは20〜55重量%の範囲である。ウレタンプレポリマー溶液中のウレタンプレポリマー濃度が10〜90重量%の範囲であれば、ウレタン化の反応性の低下が小さく、ハンドリング性の向上効果が期待できるため好ましい。
本発明のウレタンプレポリマーの合成時には、公知のウレタン化触媒を使用することができる。例えば、三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
三級アミン系化合物としては、特に限定されないが、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)等が挙げられ、単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用できる。
有機金属系化合物としては、特に限定されないが、錫系化合物、及び非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、ジオクチル錫ジラウリレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート等の鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記ウレタン化触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が、反応性及び衛生性の点で好ましい。
上記三級アミン系化合物、有機金属系化合物等の触媒は、単独でも使用できるが、併用することもできる。
本発明のウレタンプレポリマーの合成時における、上記ウレタン化触媒の添加量としては、特に限定されないが、少なすぎると生産性が低下する場合があり、多すぎると反応が不均一となり物性が不安定となる場合があるため、ポリエーテルジオールAとポリエーテルポリオールB、及び必要に応じて添加されるその他活性水素化合物の総量100重量部に対して、上記した3級アミン系化合物では0.01〜15重量部、上記した有機金属系化合物では0.0001〜5重量部の範囲が好ましい。合成後、これら触媒は、除去してもよく、残存していてもよい。
本発明のウレタンプレポリマーは、高分子量化を促進するため、鎖延長剤を用いて鎖延長することができる。特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミンを使用して鎖延長することができる。
本発明において、ウレタンプレポリマーは、それを用いて得られた2液硬化型ウレタン粘着剤としてのハンドリング性を考慮すると、ウレタンプレポリマーと溶媒を用いて得られたウレタンプレポリマー溶液として用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。これらのうち、ウレタンプレポリマーの溶解性、溶媒の沸点等の点から、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン又はこれらの混合溶媒が特に好ましい。
本発明において、ウレタンプレポリマー溶液中のウレタンプレポリマーの濃度は、用途により選択され、特に限定するものではないが、好ましくは10〜90重量%の範囲であり、更に好ましくは20〜70重量%の範囲である。ウレタンプレポリマー溶液中のウレタンプレポリマーの濃度が10〜90重量%の範囲であれば、反応性の低下が小さく、ハンドリング性の向上効果が期待できるため好ましい。
本発明において、ウレタンプレポリマー溶液の粘度は、用途により選択され、0.1〜100Pa・s(25℃)の範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜50Pa・s(25℃)の範囲である。ウレタンプレポリマー溶液の粘度が0.1〜100Pa・s(25℃)の範囲であれば、適度な液の流動性を示して良好なハンドリング性が期待できるため好ましい。
本発明の2液硬化型ウレタン粘着剤は、上記したウレタンプレポリマーと架橋剤とを用いて得られたものである。
本発明の2液硬化型ウレタン粘着剤に用いる架橋剤としては、活性水素基に対して反応性を有する化合物、又はイソシアネート基に対して反応性を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ架橋剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、金属キレート系架橋剤、ポリオール架橋剤、アミン系架橋剤、水分等が挙げられる。これらの架橋剤は、一般に液状であるためそのまま使用することができるが、必要に応じて、有機溶媒で希釈して用いてもよい。
ウレタンプレポリマー中の、ポリイソシアネートに由来するNCO基総量とポリオールに由来するOH基総量のモル比率([NCO基総量]/[OH基総量])が1.00以下の範囲では、架橋剤としては、活性水素基に対して反応性を有する化合物が好ましい。このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ架橋剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらのなかでも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ架橋剤が耐熱性等の性能を発現しやすいため好ましい。
一方、ウレタンプレポリマー中の、ポリイソシアネートに由来するNCO基総量とポリオールに由来するOH基総量のモル比率が1.00を超える範囲では、架橋剤としては、イソシアネート基に対して反応性を有する化合物であることが好ましい。このような架橋剤としては、例えば、ポリオール架橋剤やアミン系架橋剤、水分等が挙げられる。
ポリオールA、ポリオールBに加えて、その他の活性水素化合物を用いる場合、ポリイソシアネートのNCO基総量と、ポリオールA、ポリオールB及びその他の活性水素化合物のOH基総量とのモル比率を用いて、上記した架橋剤を選択してもよい。
イソシアネート系架橋剤としては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物が使用でき、特に限定されない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有ウレタンプレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)も包含される。
これらのなかでも、ウレタン粘着剤の柔軟性や透明性が発現しやすいため、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、これらの変性体が好ましく、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート含有ウレタンプレポリマー、脂環式ポリイソシアネート含有ウレタンプレポリマー、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)が好ましい。これらイソシアネートは一種又は二種以上混合して使用してもよい。さらに好ましくは、アロファネート基を有するポリイソシアネート、アロファネート基を有する脂環式イソシアネート、これらアロファネート変性イソシアネートを1種以上含む混合物であり、特に限定されないが、例えば、東ソー社製コロネート2770、コロネート2785、コロネート2792、これらを1種以上含む混合物等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、特に限定されないが、エポキシ基及びアミノ基を有するアミン型エポキシ架橋剤、非アミン型エポキシ架橋剤が挙げられ、例えばビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン及び1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、2,2’一[[2,2一ビス(オキシランー2一イルメトキシメチル)一1,3一プロパンジイル]ビス(オキシメチレン)]ビスオキシラン、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。特に限定されないが、例えば、三菱ガス化学社製テトラッドC、テトラッドX、ナガセケムテックス社製デナコールEX−411、デナコールEX212、デナコールEX214、綜研化学社製E−5C等の市販品が挙げられる。
ポリオール架橋剤としては、2個以上の活性水素基を有していればよく、特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、短鎖長の低分子量アルキレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンプロピレンポリオールポリエチレングリコール、ポリエステルポリオール、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。これらのなかでも、硬化性に優れ、透明性に優れる硬化物が得られるため、ポリオール中に芳香環を含まず数平均分子量は8000未満の上記ポリオール架橋剤であることが好ましい。
アミン系架橋剤としては、特に限定されないが、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス−(seC−ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、JeffAmineD−2000等のポリオキシアルキレンポリアミン、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。
本発明において、架橋剤の官能基数としては、特に限定されないが、2〜6の範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜3の範囲である。架橋剤の官能基数が2〜6の範囲であれば、架橋が均一に進行しやすく、硬化も不十分となりにくいため好ましい。
ウレタンプレポリマーに3官能以上のポリオールを用いる場合、架橋剤の官能基数としては、2〜4の範囲が好ましく、最も好ましくは2〜3の範囲である。また、ウレタンプレポリマーに3官能以上のポリオールを用いない場合、架橋剤の官能基数としては、2〜6官能の範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜5の範囲であり、最も好ましくは2.3〜4の範囲である。架橋剤を2種以上用いる場合、平均の官能基数で上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明において、架橋剤の添加量Eqは、ウレタンプレポリマーの反応性基に対して、0.0001当量〜20当量(モル比)の範囲が好ましい。なかでも、0.01〜15当量の範囲が特に好ましく、さらに好ましくは0.05〜10当量の範囲である。架橋剤の添加量Eqが、ウレタンプレポリマーの反応性基(系中の水分を含む)に対して、0.0001当量〜20当量(モル比)の範囲であれば、良好な硬化性を有し、高い柔軟性、粘着力が期待できるため好ましい。
ウレタンプレポリマーに3官能以上のポリオールを用いる場合、架橋剤の添加量Eqとしては、0.0001当量〜10当量(モル比)の範囲が好ましい。なかでも、0.01〜7当量の範囲が特に好ましく、さらに好ましくは0.1〜2当量の範囲である。ウレタンプレポリマーに3官能以上のポリオールを用いる場合、架橋剤の添加量Eqとしては、0.0001当量〜10当量(モル比)の範囲であれば良好な硬化性を有し、高い透明性と柔軟性、粘着力が期待できるため好ましい。また、ウレタンプレポリマーが3官能以上のポリオールを含まない場合、架橋剤の添加量Eqとしては、2当量〜20当量(モル比)の範囲が好ましい。なかでも、2〜15当量の範囲が特に好ましく、さらに好ましくは3〜10当量の範囲である。ウレタンプレポリマーが3官能のポリオールを含まない場合、架橋剤の添加量Eqが2当量〜20当量(モル比)の範囲であれば、良好な柔軟性と粘着力が期待できるため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤を光学用粘着シート等の光学用途で用いる場合、架橋剤の添加量は7当量以下(モル比)であることが好ましい。なかでも、0.01〜5当量の範囲が特に好ましく、さらに好ましくは0.01〜3当量の範囲である。架橋剤の添加量が7当量以下であれば、ウレタンプレポリマーとの相溶性悪化によるHazeの悪化が軽微で、高い透明性が期待できる。
本発明において、ウレタンプレポリマー中のポリオールの平均官能基数fと架橋剤の添加量Eq(当量)とは、下記式:
1−(f−1.7)×10<Eq<20−(f−1.7)×20 (但し、Eq>0)
を満たす。
なかでも、下記式:
1−(f−1.7)×7<Eq<20−(f−1.7)×30 (但し、Eq>0)
を満たすことが好ましく、下記式:
2−(f−1.7)×7<Eq<20−(f−1.7)×40 (但し、Eq>0)
を満たすことがさらに好ましい。
架橋剤の添加量Eq(当量)が、1−(f−1.7)×10以下では、得られたウレタン粘着剤の硬化が不十分であるため、耐熱性が悪く、熱をかける工程において液流れして成形が困難であり、また得られた粘着剤も移行成分が多く発生し、使用が困難である。
また、架橋剤の添加量Eq(当量)が20−(f−1.7)×20以上では、硬化が進行しすぎて密着性が悪く、粘着剤の変形に対する追従不良も発生するため、被着体の段差へ追従・密着できずに気泡が発生するため使用が困難である。
本発明の粘着シートは、1種以上の基材と、その基材上に設けられた粘着剤層とを有し、粘着剤層が、本発明の2液硬化型ウレタン粘着剤であることをその特徴とする。
本発明の粘着シートに用いる基材としては、例えば、離型フィルム、芯材等が挙げられる。このような離型フィルムとしては、例えば、PET、PP、TPX、これらをシリコーン、フッソ等で離型処理したフィルム等が挙げられ、市販品としては、帝人デュポン社製ピューレックスA31、A33、A35、A43等の離型PETが挙げられる。芯材としては、不織布やPETフィルム、PPフィルム等が挙げられる。
本発明の粘着シートの積層構成としては、例えば、離型フィルム(具体的には、離型PET等)で両面を挟み込んだ3層構造の基材レス型粘着シート、粘着剤層に芯材を用いた5層構成の両面粘着シート等が挙げられる。
本発明の粘着シート中の粘着剤層の厚みとしては、特に限定されないが、好ましくは10μm〜1000μmの範囲であり、さらに好ましくは15μm〜250μmの範囲であり、最も好ましくは20μm〜130μmである。特にフィルムセンサー用の光学用粘着シートの場合、20μm〜150μmの範囲が好ましく、タッチパネルとカバーパネル間用のガラスセンサー向け光学用粘着シートの場合、50μm〜250μmの範囲が好ましい。
本発明の粘着シートの形状としては、特に限定されず、所望の形状としてよい。例えば、ロール状としてもよく、裁断してシート状で提供してもよい。
本発明の粘着シートの製造方法としては、基材上で、ウレタンプレポリマー(好ましくはウレタンプレポリマー溶液)と架橋剤とを所定の形状で硬化させることにより製造することができ、必要に応じて脱泡、乾燥して所定の形状で製造することができる。例えば、塗工することでシート状、フィルム状にすることができ、ウレタンプレポリマー(好ましくはウレタンプレポリマー溶液)と架橋剤とを所定の比率で混合した後、ロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等により塗工する方法を挙げることが出来る。これらの塗工方式を用いて、基材の片面又は両面に、ウレタンプレポリマー(好ましくはウレタンプレポリマー溶液)と架橋剤との混合物を塗布した後、必要に応じて脱泡、加熱、乾燥することが望ましい。加熱する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、一般に使用される方法を用いることができる。乾燥温度は特に制限されないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜180℃、更に好ましくは80〜150℃である。基材として熱可塑性樹脂を使用する場合、乾燥温度はその融点以下であることが望ましい。乾燥温度50〜200℃の範囲では、基材の劣化や色調の変化が生じにくいため好ましい。
本発明のウレタン粘着剤、粘着シートの用途としては、特に限定されないが、粘着剤層が透明性、柔軟性、低温特性に優れることから、テープ、ラベル、シール、化粧用シート、滑り止めシート、両面粘着テープ等が挙げられる。具体的には包装テープやラベル用テープ、マスキングテープ、クラフトテープ等の包装・事務・家庭用粘着テープ、絆創膏等の医療用テープ、壁紙用テープ、フォームテープ、建築用弾性粘着剤等の建築用テープ、パソコン、テレビ、携帯電話、自動車、太陽電池、その他家電等に用いる電子材料用テープ、液晶ディスプレイやタッチパネルの密着等の光学用粘着シート、製造工程における表面保護テープや防水テープ、導電性テープ、放熱性テープ等が例示される。
本発明のウレタン粘着剤、粘着シートは、柔軟性に優れることから、例えば、電子材料製造用の表面保護テープやフォームテープ、自動車用のテープ等の凹凸のある用途や局面のある用途、弾性率の温度依存性が低いことから構造用の粘着剤や仮止め用テープ等の建築用テープや製造工程で熱をかける電子材料用テープ等の温度変化が大きい用途の密着に好適に使用できる。また、透明性に優れた硬化物が得られることから、タッチパネル用途等光学用途に使用することができ、具体的にはスマートフォンやタブレットPC、ノートパソコン等の光学用粘着シートが挙げられる。なかでも、各種フィルムの密着に好適に用いることができる。
本発明の光学用粘着シートは、本発明のウレタン粘着剤を用いて得られた、光学用途に使用される粘着シートである。具体的な光学用途としては、特に限定されないが、例えば携帯電話、スマートフォン、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機等のタッチパネルやディスプレイ、ITOフィルムや銀メッシュ、銅メッシュ、偏光板といった分野の機能性フィルムの密着等に用いる粘着シートが挙げられる。タッチパネルの動作方式としては、特に限定されず、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式、電磁誘導式等に好適に用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した材料、および評価方法は以下に示すとおりである。
表2及び表3に記載の原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
<原材料>
1)ポリオール、その他活性水素化合物
<ポリオールA>
ポリオールA1、A2:イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒を用いて、2官能分子量400のポリオキシプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加したポリエーテルジオール.
ポリオールA3、A4:中国製複合金属シアン化物錯体(DMC)触媒を用いて、2官能分子量400のポリオキシプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加した後、イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒を用いて、プロピレンオキシドを付加したポリエーテルジオール.
ポリオールA5:市販の汎用ポリオキシプロピレングリコール.
<ポリオールB>
ポリオールB1:市販の低不飽和度ポリオキシプロピレントリオール.
ポリオールB2:開始剤にペンタエリスリトールを用いた以外は、ポリオールA3と同様の方法で合成したポリエーテルポリオール.
<その他のポリオール>
ポリオールA6:ジエチレンアジペート系ポリエステルポリオール(東ソー製ニッポラン1004)
これらポリオールは使用前に加熱、真空脱水してから使用した。
2)ポリイソシアネート
ポリイソシアネートC1:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
3)架橋剤
架橋剤1:アロファネート変性2官能HDI系架橋剤(東ソー社製コロネート2770).
架橋剤2:アロファネート変性2官能HDI系架橋剤(東ソー社製コロネート2770)50重量%と約3官能のヌレート変性HDI系架橋剤(東ソー社製コロネートHX)の50重量%混合物.
架橋剤3:TDI系架橋剤(東ソー社製コロネートL)。
(ポリオール性状の分析)
<水酸基価、数平均分子量>
水酸基価はJIS−K1557−1の方法に従い、測定した。ポリオールの数平均分子量は製造に使用した開始剤の官能基数(市販品は公称官能基数)とポリオールの水酸基あたりの分子量の積で計算した水酸基換算分子量をポリオールの数平均分子量とした。
<不飽和度>
JIS−K1557−6の方法に従い、測定した。
<分子量分布(Mw/Mn)>
サンプル瓶へポリオール10mgとTHF10mlを添加し、1終夜静置することで溶解し、PTFEカードリッジフィルター(0.5μm)でろ過することでサンプルを得た。検出器としてRI検出器RI8020、測定用カラムとしてTSKgelGMR−HHRL×2本直列、HLC−8020GPCを用いた(いずれも東ソー社製)。測定条件としては、カラム温度40℃、流速1.0ml/min、溶媒THFの条件で測定し、東ソー社製標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線を検量線として、分子量分布(Mw/Mn)の解析を行った。
(ウレタンプレポリマー合成例1)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた四つ口セパラブルフラスコに、ポリオールA1、ポリイソシアネートC1を所定量加え70℃まで昇温して反応を行った。反応器内容物のNCO基をジブチルアミン逆滴定により追跡し、赤外分光光度計を用いて反応完結を確認して実施例1のウレタンプレポリマーを得た。
ウレタンプレポリマー合成例1以外の実施例、比較例のウレタンプレポリマーも同様の方法で合成し、反応速度等により触媒としてDBTDLを0.02重量%を超えない範囲でマイクロシリンジを用いて適宜添加し、また撹拌状況等により溶媒としてメチルエチルケトンを80重量%を超えない範囲で適宜添加した。
(ウレタンプレポリマー溶液製造例1)
合成例1にて得られたウレタンプレポリマーへ溶媒として超脱水のメチルエチルケトンを加えて加温しながら撹拌して溶解し、ウレタンプレポリマー濃度50%の溶液を調製した。本ウレタンプレポリマー溶液をカールフィッシャー水分計により含水率を測定した。
ウレタンプレポリマー溶液製造例1以外のウレタンプレポリマー、ウレタンプレポリマー溶液も必要に応じて同様の方法で溶媒を添加し、ウレタンプレポリマー濃度は塗工性見合いで10重量%〜100重量%(無溶媒)の範囲で調製した。
(ウレタン粘着剤、粘着シート製造例1)
ウレタンプレポリマー溶液製造例1にて得られた溶液約10gとウレタンプレポリマーと溶液中の水分を合わせた活性水素基量に対して5当量の架橋剤2(コロネート2770とコロネートHXの等量混合物)を、サンプル瓶に加えてペンシルミキサーにて均一になるまで撹拌した。本ウレタンプレポリマー組成物を50℃で30分加温しながら静置して系内の気泡を除去し、室温へ冷却した。離型PET(帝人デュポン社製ピューレックス)上へ乾燥厚み40μmになるようにアプリケーターにて塗工し、80℃に加温した防爆乾燥機内で30分静置して溶媒を除去した。この時点でNCO基の残量は混合直後の約20%であった。乾燥終了後、基材側と離型力に差異がある離型PET(帝人デュポン社製ピューレックス)を硬化物面に気泡が入らないようにローラーで3往復して張り合わせた。その後、23〜25℃、50%RHの恒温室で静置し、3日後IRにてNCO基の消失を確認。40μmの硬化物厚みの離型PET/硬化物/離型PETの3層構造のシートを作製し、実施例1の硬化物評価サンプル(粘着シート)とした。
実施例1以外も同様に、ウレタンプレポリマーと溶液中の水分を合わせた活性水素基量に対して所定量・種類の架橋剤を用いて同条件で硬化物シートを作製し、それぞれ実施例2〜14の硬化物評価サンプルとした。
(粘着剤特性の評価例)
<弾性率(25℃、80℃)>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られたウレタン粘着剤を離型PETから引き剥がし、折り返して測定試料とした。動的粘弾性測定装置UBM社製Rheogel E−4000を用いて、測定温度−80℃〜200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、25℃、80℃での貯蔵弾性率G’を評価した。25℃でのG’が2×105Pa以下であれば室温で柔軟であり、印刷段差を含む基材へ密着時も追従性が期待できると評価(評価○)。80℃でのG’が2×104Pa以上であれば高温で形状が保持され、高温での密着性が期待できると評価(評価○)。その範囲以外では、評価×とした。
<ゲル分率、膨潤度>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られた硬化物を離型PETから引き剥がし、200メッシュの金網に0.2g軽く張り合わせた後、粘着剤の付着側の金網を内側に折り曲げて内容物がメッシュを通る以外で出ないように、ホチキスで数度口を封鎖して重量を測定した。酢酸エチル100mlに粘着剤0.2g付金網袋を加えて7日静置した後に、押しつぶさないように取り出し、直後の重量を測定した。回収した金網袋を防爆乾燥機で80℃、8時間乾燥させ乾燥後の重量を測定した。乾燥後の金網・ホチキス分を差し引いた重量と試験前に付着させた粘着剤の重量から、計算した溶解せず残った不溶分の比率(%)をゲル分率として評価した。また、乾燥後の重量と取り出し直後の膨潤状態の重量よりそれぞれ金網袋の重量を除いた重量の比率(%)をゲルの膨潤度として評価した。
<ゾル分の数平均分子量>
上記、ゲル分率評価時の、酢酸エチル溶解分を濃縮して得られる可溶分をゾル分として、THF系のGPCにより数平均分子量を評価した。具体的には、検出器としてRI検出器RI8020、測定用カラムとしてTSKgelGMR−HHRL×2本直列、HLC−8020GPCを用いた(いずれも東ソー社製)。測定条件としては、カラム温度40℃、流速1.0ml/min、溶媒THFの条件で測定し、東ソー社製標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線を検量線として、数平均分子量(Mn)の解析を行った。
<ガラス転移温度、25℃でのtanδ>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られた硬化物を離型PETから引き剥がし、折り返して測定試料とした。動的粘弾性測定装置UBM社製Rheogel E−4000を用いて、測定温度−80℃〜200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、貯蔵弾性率G’に対する損失弾性率G”の比であるtanδのピーク値を取る温度をガラス転移温度として評価し、25℃での値を25℃での損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比(tanδ)として評価した。ガラス転移温度が低いと低温特性が良く低温での密着性が期待できると評価し、25℃でのtanδが高いと室温でエネルギーをよく熱へ変換するため、耐衝撃性が期待できると評価した。ガラス転移温度が−30℃以下であれば○、−30℃を超える範囲では×とした。
<粘着力>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られたシートの離型PETを片面剥離し、粘着面に厚さ25μmのPETフィルム東レ社製ルミラーS−10を裏打ちした。幅25mmにカットし、無アルカリガラス板コーニング社製イーグルXGにJIS Z0237に準じてロール圧着して試験片を作製した。引張試験機オリエンテック社製テンシロンTG−1210を用いて、JIS Z0237に準拠して180°剥離試験を行い、180°引き剥がし粘着力(N/25mm)を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。試験回数は2回以上とし、平均値を算出した。粘着力が高いほど、室温での基材への密着性が期待できると評価した。粘着力が3N/25mm以上であれば○、3N/25mm未満であれば×とした。
<保持力>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られた硬化物を離型PETから引き剥がし、粘着面に厚さ25μmのPETフィルム東レ社製ルミラーS−10を裏打ちした。もう一面の離型PETを剥がし、SUS基材に25mm×25mmの接着面で張り合わせ試験片とし、JIS Z0237に準じて評価した。具体的には、40℃、静荷重1kgの条件で重りが落下するまでの時間を測定した。保持力が高いと粘着剤の凝集力が高く、再剥離性や接着信頼性が期待できると評価した。保持力が100分を超える範囲で○(良好)、保持力が10分〜100分で△(合格)、10分未満を×とした。
<ボールタック>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られた硬化物を離型PETから引き剥がし、粘着面に厚さ25μmのPETフィルム東レ社製ルミラーS−10を裏打ちした。もう一面の離型PETを剥がしてJIS Z0237に準じて評価し、傾斜角度30度、助走距離10cmの条件で粘着面へ所定の鋼球を転がし、粘着剤距離10cmの間で停止したボールNo.を評価した。ボールタックが6以上であれば良好なタック性と評価し○、5未満ではタック性に劣ると評価し×とした。
<Haze(白濁度)>
ウレタン粘着剤、粘着シート製造例に従い、得られた厚み40μmの粘着剤シートの離型PETを片面剥離し、PMMA基材三菱レイヨン製アクリライトL♯001クリアへローラーを用いて張り合わせた。もう一面の離形PETを剥離してNDH5000にて全光線透過率とHazeを測定し、PMMA基材単独のHazeを差し引いたHazeを評価した。具体的には、PMMA基材のHazeが0.2%、PMMA2と粘着剤の2層構造で0.5%の場合、0.5%−0.2%=粘着剤のHaze0.3%と評価した。粘着剤のHazeが0.8%以下では○(優良)、0.8%超〜5%の範囲では△(合格)、5%超では×とした。
表2、表3に示す配合に従ってウレタン粘着剤を合成し、その特性を評価した。実施例1〜14の結果を表2に、比較例1〜11の結果を表3に示す。
実施例1〜6.
いずれも25℃での弾性率が低く柔軟性に優れ、80℃での弾性率が高く高温でも形状を保持できる粘着剤であり、段差追従性と加工性が良好であることが分かった。これらの粘着剤のゲル分率は何れも25%〜49%の範囲であり、ゲルの膨潤度も1200%以上であった。また、ゾル分の分子量は何れも40000〜70000の範囲であった。
これらの粘着剤は、tanδ、粘着力、ボールタック、保持力も高く、耐衝撃性や密着性、接着信頼性が期待でき、ガラス転移温度が低く低温から高温までの密着力が期待できることが分かった。
実施例7〜11.
いずれも25℃での弾性率が低く柔軟性に優れ、80℃での弾性率が高く高温でも形状を保持できる粘着剤であり、段差追従性と加工性が良好であることが分かった。これらの粘着剤のゲル分率は何れも25%〜41%の範囲であり、ゲルの膨潤度も2000%以上であった。また、ゾル分の分子量は何れも40000〜70000の範囲であった。
これらの粘着剤は、tanδ、粘着力、ボールタック、保持力も高く、耐衝撃性や密着性、接着信頼性が期待でき、ガラス転移温度が低く低温から高温までの密着力が期待できることが分かった。
実施例12、13.
25℃での弾性率が低く柔軟性に優れ、80℃での弾性率が高く高温でも形状を保持できる粘着剤であり、段差追従性と加工性が良好であることが分かった。ゲル分率が55〜65%と高めであり、tanδが低めであったが(合格)、粘着力、ボールタック、保持力も高く、耐衝撃性や密着性、接着信頼性が期待でき、ガラス転移温度が低く低温から高温までの密着力が期待できることが分かった。ゲルの膨潤度は共に1300%以上、ゾル分の分子量は何れも40000〜70000の範囲であった。
実施例14.
25℃での弾性率が低く柔軟性に優れ、80℃での弾性率が高く高温でも形状を保持できる粘着剤であり、段差追従性と加工性が良好であることが分かった。ゲル分率が5%と低く、保持力が低めであったが(合格)、tanδ、粘着力、ボールタックも高く、耐衝撃性や密着性、接着信頼性が期待でき、ガラス転移温度が低く低温から高温までの密着力が期待できることが分かった。ゲルの膨潤度は2000%以上、ゾル分の分子量は何れも40000〜70000の範囲であった。
実施例15.
実施例1の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は2.7%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例16.
実施例3の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.3%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例17.
実施例4の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は3.5%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例18.
実施例7の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.2%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例19.
実施例8の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.3%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例20.
実施例9の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.2%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例21.
実施例10の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.1%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例22.
実施例11の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.2%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例23.
実施例12の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は2.5%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
実施例24.
実施例14の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は0.1%であり、光学用の粘着剤への適応が期待できる粘着剤であった。
比較例1、2、5、6、7.
25℃での弾性率は低いが、80℃での弾性率も低く(評価×)高温では形状を保持できず加工性が期待できない粘着剤であり、ゲル分率も20%より低いものであった。
本粘着剤は、ゲル分率が20%より低く凝集力不足の為、試験片作成時に凝集破壊して粘着力、タック性、保持力の評価ができないものであった。
比較例3、4.
80℃での弾性率は高いが、25℃での弾性率が高く(評価×)室温での柔軟性が低い粘着剤であり、段差への追従が期待できない粘着剤であった。本粘着剤は、タック性に劣る(評価×)粘着剤であり、粘着力、保持力、tanδも低め(合格)であった。
また、比較例3のゾル分の数平均分子量は20000、比較例4のゾル分の数平均分子量は34000と実施例と比較して低めであり、ウレタンプレポリマー分子量が低いことで架橋した際の架橋点間の分子量が低めとなり、25℃の弾性率が高くなった可能性がある。
比較例8.
25℃での弾性率は低いが、80℃での弾性率も低く(評価×)高温では形状を保持できず加工性が期待できない粘着剤であり、ゲル分率も20%より低いものであった。
本粘着剤は、ゲル分率が20%より低く凝集力不足の為、粘着力、保持力が低く(評価×)、密着性が期待できない粘着剤であった。
比較例9.
80℃での弾性率は高いが、25℃での弾性率が高く(評価×)室温での柔軟性が低い粘着剤であり、段差への追従が期待できない粘着剤であった。
本粘着剤は、ゲル分率が85%と高く25℃でのtanδが低い(評価×)ため、耐衝撃性に期待できない粘着剤であった。
比較例10.
モノオール量の多い汎用の2官能PPGを用いて、ウレタンプレポリマーを合成し、硬化物の性状を評価した。本粘着剤は、25℃での弾性率は低いが、80℃での弾性率も極端に低く(評価×)高温では形状を保持できず加工性が期待できない粘着剤であり、ゲル分率も20%より低いものであった。
本粘着剤は、ゾル分の数平均分子量が9000と低くゲル分率も20%より低いため凝集力不足と推定され、粘着力、保持力が低く(評価×)、密着性が期待できない粘着剤であった。
比較例11.
ポリエーテルポリオール100部の代わりにポリエステルポリオール100部を用いてウレタンプレポリマーを合成し、硬化物の性状を評価した。
80℃での弾性率は高いが、25℃での弾性率が高く(評価×)室温での柔軟性が低い粘着剤であり、段差への追従が期待できない粘着剤であった。また、ゲル分率が高くてゲルの膨潤度も低く、tanδも低いため(評価×)耐衝撃性に期待できない粘着剤であった。
ガラス転移温度が−20℃以上と低温特性に劣る粘着剤であった。そのため低温から高温までの密着性に期待できない粘着剤であった。
比較例12.
比較例1の処方に従い合成した40μm厚みの粘着剤のHazeを測定した。粘着剤層のHaze(PMMA基材分0.2%を除く)は14.2%であり、光学用の粘着剤への適応は期待できない粘着剤であった。