実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の構成を示す模式図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の室内機3が室内に設置された状態を示す模式図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1において運転条件の初期設定条件の変更処理に関わる構成を示す要部ブロック図である。本実施の形態1にかかる空気調和機1は、屋外に配置された室外機2と、室内に配置された室内機3と、室内に配置された設定操作装置4を、備える。
室外機2と室内機3とは、冷媒配管5および内外通信線6で接続されており、冷媒配管5には熱交換を行うための冷媒が流れている。空気調和機1は、一つの完結した冷凍サイクルを室外機2と室内機3とで形成している。空気調和機1は、冷媒配管5を通って室外機2と室内機3との間を循環する冷媒を使用して、空調対象空間である室内の空気と室外の空気との間で熱移動を行い、室内に対する空気調和を実現している。図1および図3では空気調和機1の特徴に関係する要部の構成のみを示しており、送風ファン、圧縮機を含む冷凍サイクル機構といった各種構成部の図示は省略している。
図2に示すように、室内機3は、多角形状を呈する下面が室内に露出した状態で室内における天井11に埋め込まれて設置されている。室内機3の下面における外周側には、複数の吹き出し口21が配置されている。すなわち、四角形状を呈する室内機3の下面における外周側には、四角形状の各辺に沿って延在する長方形状の吹き出し口21である、第1吹き出し口21a、第2吹き出し口21b、第3吹き出し口21cおよび第4吹き出し口21dが配置されている。また、各吹き出し口21には、吹き出し口21を閉鎖可能であり且つ吹き出し口21から吹き出される気流の上下風向を制御可能とする風向フラップ22が取り付けられている。また、室内機3は、下面の一辺の位置が、室内の壁13に近い位置に配置されている。そして、室内には、障害物12が配置されている。
図2に示すように、室内機3は、各吹き出し口21の使用の有無および各吹き出し口21から吹き出させる気流の風速の設定の制限値などの、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更を行う運転条件設定部30と、室内機3の制御を行う室内機制御部40と、を備える。
運転条件設定部30は、障害物情報取得部31と、設定変更判定部32と、適正初期設定条件記憶部33と、初期設定条件変更部34と、初期設定条件記憶部35、室内機通信部36と、を備える。障害物情報取得部31と、設定変更判定部32と、初期設定条件変更部34と、適正初期設定条件記憶部33とは情報通信可能とされている。
障害物情報取得部31は、室内機3の下面における一角に、室内に臨む状態で配置されている。障害物情報取得部31は、各吹き出し口21の周囲の障害物12を検出し、検出結果を各吹き出し口21の周囲にある障害物に関する情報であり障害物の有無の情報を含む障害物情報を生成して設定変更判定部32へ送信する。
障害物情報取得部31には、吹き出し口21の周囲の障害物を検出する際に、室内機3からの気流を室内に流すことなく、単独で障害物を検出可能なセンサーが用いられる。このような障害物情報取得部31には、例えば赤外線センサーなどの光学センサー、超音波センサー距離画像センサおよびステレオカメラといった、障害物の有無および室内機3の吹き出し口21から障害物までの距離を単独で取得可能なセンサーが用いられる。
吹き出し口21の周囲の障害物を検出する際に室内機3を運転させて気流を室内に流す場合には、障害物に気流が当たる場合がある。この場合、外側から温めたり冷やしたりする必要がない温度管理型ショーケースである冷凍ショーケースまたは冷蔵ショーケース等であっても気流が当たることになり、ショーケースの冷却効率を下げ、ショーケースに保存されている食品等の保存状態を悪化させてしまうおそれがある。また、温度管理型ショーケースに直接気流が当たらない場合でも、温度管理型ショーケースの周囲の全体には気流が当たり続けるため、この気流の影響により温度管理型ショーケースの温度が変化し、温度管理型ショーケースに不要な熱ストレスを与えてしまうおそれがある。
一方、本実施の形態1にかかる障害物情報取得部31は、室内機3からの気流を室内に流すことなく、吹き出し口21の周囲の障害物を検出するため、検出対象である障害物に対して熱ストレスを与えずに障害物を検出できる。
設定変更判定部32は、障害物情報取得部31から取得した各吹き出し口21についての障害物情報に基づいて、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の適正な条件を、適正初期設定条件記憶部33に記憶された情報に基づいて判定し、決定する。また、設定変更判定部32は、判定した空気調和機1の運転条件の初期設定条件の適正な条件に基づいて、あらかじめ空気調和機1に設定されている現在の初期設定条件の変更の要否、すなわち現在の空気調和機1に設定されている初期設定条件の変更が必要であるか否かを判定する。設定変更判定部32は、現在の空気調和機1に設定されている初期設定条件の変更が必要であると判定した場合は、初期設定条件の変更の有無の指示要求情報を設定操作装置4に送信する。
また、設定変更判定部32は、設定操作装置4から受信する、初期設定条件の変更の有無の指示要求情報に対する応答が初期設定条件の変更を行う旨の情報である場合に、決定した適正な初期設定変更条件を初期設定条件変更部34へ送信する。
初期設定条件変更部34は、設定変更判定部32から適正な初期設定変更条件を受信した場合に、初期設定条件記憶部35に記憶されている空気調和機1の運転条件の初期設定条件を、適正な初期設定変更条件に従って変更する。なお、初期設定条件は、空気調和機1の設置処理が全て完了して使用者に引き渡されるときに設定されている空気調和機1の運転条件である。また、空気調和機1がリセットされる場合には、リセット後に最初に空気調和機1が使用される際に設定されている空気調和機1の運転条件である。
初期設定条件変更部34は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図4は、本発明の実施の形態1における処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。初期設定条件変更部34を構成する各構成要素が図4に示す処理回路により実現される場合、初期設定条件変更部34を構成する各構成要素は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、初期設定条件変更部34の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、設定変更判定部32と室内機通信部36との各々を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して設定変更判定部32と室内機通信部36との各々の機能を実現してもよい。また、設定変更判定部32と室内機通信部36との各々の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、初期設定条件変更部34と設定変更判定部32と室内機通信部36とのうちの1つの構成部を実現するためのプロセッサおよびメモリは、初期設定条件変更部34と設定変更判定部32と室内機通信部36とのうちの他の構成部を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
適正初期設定条件記憶部33は、空気調和機1の運転条件の、障害物の有無に沿った適正な初期設定条件の変更候補条件である複数の初期設定変更条件を記憶する。適正初期設定条件記憶部33は、主記憶装置、SD(Secure Digital)カード、USB(Universal Serial Bus)メモリおよびハードディスク等の、情報を記憶できる媒体により構成される。
初期設定条件記憶部35は、空気調和機1の運転条件の初期設定条件を記憶する記憶部である。初期設定条件記憶部35には、空気調和機1の設置前にあらかじめ空気調和機1の運転条件の初期設定条件が記憶されている。また、初期設定条件記憶部35に記憶されている空気調和機1の運転条件の初期設定条件は、初期設定条件変更部34により変更可能である。初期設定条件記憶部35は、主記憶装置、SDカード、USBメモリおよびハードディスク等の、情報を記憶できる媒体により構成される。
室内機通信部36は、後述する設定操作装置4の操作装置通信部53と有線通信または無線通信より互いに情報の双方向通信を行う。
室内機制御部40は、運転条件設定部30を含む空気調和機1全体の動作を制御する。
室内機制御部40は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。室内機制御部40が図4に示す処理回路により実現される場合、室内機制御部40は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、室内機制御部40の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
設定操作装置4は、ユーザーが初期設定条件の変更の有無の指示を入力するための初期設定操作部である。設定変更判定部32から受信した初期設定可否情報に基づいて、メッセージを表示し、空気調和機1の運転条件の設定情報の入力をユーザーに促す。設定操作装置4は、ユーザーにより入力された空気調和機1の運転条件の設定情報を、室内機3の設定変更判定部32に送信する。設定操作装置4には、専用のリモートコントローラが用いられるが、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報機器を用いることも可能である。
設定操作装置4は、表示部51と、操作部52と、操作装置通信部53と、操作装置制御部54と、を備える。表示部51は、ユーザーに対して空気調和機1の運転条件の設定情報の変更の要否の情報の入力を促すメッセージおよび各種情報を表示する。操作部52は、ユーザーから入力される、表示部51に表示されたメッセージに対する応答である変更指示情報および変更不要指示情報を受け付ける。操作部52は、受け付けた情報を操作装置制御部54に送信する。
操作装置通信部53は、室内機3の室内機通信部36と有線通信または無線通信より互いに情報の双方向通信を行う。操作装置制御部54は、表示部51における表示の制御、変更指示情報および変更不要指示情報の室内機3への送信制御を含む、設定操作装置4全体の動作の制御を行う。
操作装置制御部54は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。操作装置制御部54が図4に示す処理回路により実現される場合、操作装置制御部54は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、操作装置制御部54の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、操作装置通信部53を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して操作装置通信部53の機能を実現してもよい。また、操作装置通信部53の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、操作装置通信部53を実現するためのプロセッサおよびメモリは、操作装置制御部54を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
つぎに、本実施の形態1にかかる空気調和機1の設置後の空気調和機1における運転条件の初期設定時の動作について説明する。図5および図6は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の設置後における、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更を実施する動作を示すフローチャートである。以下では、空気調和機1において第4吹き出し口21dについて周囲の障害物を検出して空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更処理を行う場合を例に説明する。
空気調和機1は、室内の天井11に設置された後、初めて起動されたときに運転条件の初期設定条件の変更処理を開始する。すなわち、空気調和機1は、初回起動時に室内機3の運転条件設定部30が、初期設定条件の変更処理の処理を開始する。
まず、ステップS10において、運転条件設定部30の障害物情報取得部31が、第4吹き出し口21dについて周囲の障害物検出処理を開始し、障害物の有無および第4吹き出し口21dから障害物までの距離の情報である検出距離を取得する。なお、障害物情報取得部31における障害物検出処理は既知の技術により実現されるため、詳細な説明は省略する。一例として、障害物情報取得部31が超音波センサーである場合は、障害物情報取得部31が発した送波と、送波の反射波と、の伝搬時間を利用した測定法により、障害物の有無および検出距離が得られる。
つぎに、ステップS20において障害物情報取得部31は、第4吹き出し口21dについて、取得した検出距離である第4吹き出し口21dから障害物までの距離の情報と、あらかじめ障害物情報取得部31に記憶されている既定の基準距離T1と、を比較し、基準距離T1内に障害物があるか否かを個別に判定する。既定の基準距離T1は、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更処理において、第4吹き出し口21dの周囲に障害物があるか否かを判定するための基準値である。基準距離T1としては、空気調和機1の設置前にあらかじめ障害物情報取得部31にたとえば「1メートル」が記憶されている。障害物情報取得部31は、検出距離が既定の基準距離T1以下である場合には、第4吹き出し口21dの周囲に障害物が有ると判定する。障害物情報取得部31は、検出距離が既定の基準距離T1より大である場合には、第4吹き出し口21dの周囲に障害物が無いと判定する。
なお、基準距離T1は、室内機3の運転条件設定部30における障害物情報取得部31以外の領域に記憶されていてもよい。また、基準距離T1は、空気調和機1の初回起動時に、室内機3の外部から障害物情報取得部31または運転条件設定部30における障害物情報取得部31以外の領域に入力されて記憶されてもよい。
また、あらかじめ障害物情報取得部31等に記憶されている基準距離T1は、室内機3の外部から入力された他の数値を障害物情報取得部31等に記憶させることにより、任意の数値に変更可能である。また、基準距離T1は、初期設定条件変更部34の機能のうちの少なくとも一部が電子回路として実装される場合には、電子回路上のスイッチ等で設定および切り替えが可能な構成とされてもよく、基準距離T1の設定方法は問わない。
また、基準距離T1は、空気調和機1の設置前において、第1吹き出し口21a、第2吹き出し口21b、第3吹き出し口21cおよび第4吹き出し口21dの全ての吹き出し口21について、共通の同じ数値が設定されている。なお、第1吹き出し口21a、第2吹き出し口21b、第3吹き出し口21cおよび第4吹き出し口21dについて、吹き出し口21毎に個別の数値が設定されてもよい。
基準距離T1内に障害物が無いと判定された場合、すなわち、ステップS20においてNoの場合は、ステップS30において障害物情報取得部31は、第4吹き出し口21dの周囲に障害物が無い旨を示す障害物情報として、障害物無し情報を設定変更判定部32に送信する。そして、設定変更判定部32が障害物無し情報を受信することにより、運転条件設定部30は、第4吹き出し口21dについて、空気調和機1の運転条件の設定変更処理を終了する。障害物情報取得部31は、たとえば障害物無し情報として、「第4吹き出し口:障害物無し」といった情報を設定変更判定部32に送信する。
一方、基準距離T1内に障害物が有ると判定された場合、すなわち、ステップS20においてYesの場合は、ステップS40において障害物情報取得部31は、吹き出し口の周囲に障害物が有る旨を示す障害物情報として、障害物有り情報を設定変更判定部32に送信する。障害物情報取得部31は、たとえば障害物有り情報として、「第4吹き出し口:障害物有り」といった情報を設定変更判定部32に送信する。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機1の適正初期設定条件記憶部33に記憶された初期設定変更条件候補テーブル61の一例を示す図である。初期設定変更条件候補テーブル61は、空気調和機1の運転条件の、障害物の有無に沿った適正な初期設定条件の変更候補条件である初期設定変更条件が記憶されたテーブルである。初期設定変更条件候補テーブル61には、障害物情報取得部31で生成される障害物情報に対応する適正な初期設定変更条件が記憶されている。
設定変更判定部32は、第4吹き出し口21dの周囲に障害物が有る旨を示す障害物有り情報を障害物情報取得部31から受信した場合には、ステップS50において図7に示す初期設定変更条件候補テーブル61を参照し、第4吹き出し口21dについて、初期設定条件の適正な条件を決定する。すなわち、設定変更判定部32は、障害物有り情報を受信した第4吹き出し口21dについて、適正初期設定条件記憶部33に記憶されている変更候補条件から、障害物有り情報に基づいて適正な初期設定変更条件を選択して決定する。
設定変更判定部32は、たとえば図7に示す初期設定変更条件候補テーブル61の「障害物:有り」の条件に該当する条件を、適正な初期設定変更条件に決定する。ここでは、設定変更判定部32は、図7に示された「障害物:有り」の条件に該当する、「風向:閉」、「風速:無」、「風速設定:無効」の条件を、適正な初期設定変更条件に決定する。なお、図7に示す初期設定変更条件候補テーブル61において、障害物が有る場合について、より多くの複数のパターンの変更候補条件が記憶されていてもよい。
つぎに、ステップS60において、設定変更判定部32は、決定した適正な初期設定変更条件と、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件とが同一条件であるか否かを判定する。
決定した適正な初期設定変更条件と、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件とが同一条件である場合、すなわちステップS60においてYesの場合は、ステップS70において設定変更判定部32は、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件の変更が不要であると判定する。この場合は、設定変更判定部32は、初期設定条件の変更の有無の指示要求情報として、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件の変更が必要である旨の初期設定変更必要情報、および適正な初期設定変更条件は、設定操作装置4に送信しない。そして、設定変更判定部32は、決定した適正な初期設定変更条件を破棄し、空気調和機1の運転条件の設定変更処理を終了する。これにより、空気調和機1の運転条件の設定変更処理における不要な処理を無くし、運転条件設定部30の負荷を低減できる。
決定した適正な初期設定変更条件と、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件とが同一条件でない場合、すなわちステップS60においてNoの場合は、ステップS80において設定変更判定部32は、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件の変更が必要であると判定する。そして、ステップS90において設定変更判定部32は、初期設定条件の変更の有無の指示を要求する指示要求情報を設定操作装置4の操作装置制御部54に送信する。指示要求情報には、少なくとも、空気調和機1の設置前にあらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件の変更が必要である旨の初期設定変更必要情報、初期設定条件の変更が必要である吹き出し口21の情報、および適正な初期設定変更条件を含む。また、指示要求情報には、障害物情報を含めてもよい。すなわち、設定変更判定部32は、決定した適正な初期設定変更条件と、初期設定条件記憶部35に記憶されている現在の初期設定条件との同一性に基づいて現在の初期設定条件の変更の要否を判定する。
設定操作装置4の操作装置制御部54は、指示要求情報を受信すると、ステップS100において、表示部51に初期設定条件の変更の有無の指示を促す旨のメッセージを表示させる制御を行う。そして、ステップS110において、操作装置制御部54は、ユーザーによる、表示部51に表示されたメッセージに対する応答の操作が操作部52に行われたか否かを判定する。すなわち、操作装置制御部54は、指示要求情報に対する応答情報である初期設定操作情報の受信の有無を判定する。
図8は、本発明の実施の形態1にかかる設定操作装置4の表示部51に表示された初期設定条件の変更の有無の指示を促す旨のメッセージの表示例を示す図である。また、図8に示した表示部51は、画面を切り換えて適正な初期設定変更条件を表示する。メッセージに対する応答の操作は、たとえば図8に示すように操作部52のOKボタン62またはNOボタン63が押下することにより行われる。
初期設定条件の変更を行う旨の操作は、たとえば図8に示すように操作部52のOKボタン62を押下することにより行われる。OKボタン62が押下されると、初期設定操作情報として、初期設定条件の適正な初期設定変更条件への変更を行う旨を指示する情報である変更指示情報が、操作部52から操作装置制御部54に送信される。変更指示情報には、少なくとも初期設定条件の変更の有無を指示する変更有無指示情報が含まれる。ここで、変更指示情報には、少なくとも初期設定条件の変更が必要である旨の変更有無指示情報が含まれる。変更指示情報は、たとえば「初期設定変更:実行」を示す旨の情報である。この場合の変更有無指示情報は、初期設定条件の変更が必要である旨の情報である。また、変更指示情報には押下されたボタンの情報が含まれる。さらに適正な初期設定変更条件のうち任意の項目を選択できるようにする場合には、選択された初期設定項目が含まれる。
初期設定条件の変更を行わない旨の操作は、たとえば図8に示すように操作部52のNOボタン63を押下することにより行われる。NOボタン63が押下されると、初期設定条件の適正な初期設定変更条件への変更を行わない旨を指示する情報である変更不要指示情報が、操作部52から操作装置制御部54に送信される。変更不要指示情報には、少なくとも初期設定条件の変更の有無を指示する変更有無指示情報が含まれる。ここで、変更不要指示情報には、初期設定条件の変更が不要である旨の変更有無指示情報が含まれる。変更不要指示情報は、たとえば「初期設定変更:キャンセル」を示す旨の情報である。また、変更指示情報には押下されたボタンの情報が含まれる。さらに適正な初期設定変更条件のうち任意の項目を選択できるようにする場合には、選択された初期設定項目が含まれる。
メッセージに対する応答が無い場合、すなわちステップS110においてNoの場合は、操作装置制御部54は、ステップS110を繰り返す。メッセージに対する応答が有る場合、すなわちステップS110においてYesの場合は、操作装置制御部54は、ステップS120においてメッセージに対する応答である初期設定操作情報が変更指示情報であるか否かを判定する。
メッセージに対する応答である初期設定操作情報が変更指示情報である場合、すなわち、ステップS120においてYesの場合は、ステップS130において操作装置制御部54は、ステップS90における初期設定条件の変更の有無の指示要求情報の応答として、変更指示情報を室内機3の設定変更判定部32に送信する。
一方、メッセージに対する応答である初期設定操作情報として変更不要指示情報を受信し、メッセージに対する応答が変更指示情報でない場合、すなわち、ステップS120においてNoの場合は、ステップS140において操作装置制御部54は、ステップS90における初期設定条件の変更の有無の指示要求情報に対する応答として、変更不要指示情報を室内機3の設定変更判定部32に送信する。
つぎに、ステップS150において室内機3の設定変更判定部32は、ステップS90における初期設定条件の変更の有無の指示要求情報に対する応答が変更指示情報であるか否かを判定する。
応答が変更指示情報でない場合、すなわちステップS150においてNoの場合は、設定変更判定部32は、初期設定条件の変更を実施しないと判定し、ステップS50において決定した適正な初期設定変更条件を破棄し、空気調和機1の運転条件の設定変更処理を終了する。
応答が変更指示情報である場合、すなわち、ステップS150においてYesの場合は、設定変更判定部32は、ステップS160において初期設定条件の変更を実施すると判定し、ステップS50において決定した適正な初期設定変更条件と変更指示情報とを初期設定条件変更部34へ送信する。
初期設定条件変更部34は、適正な初期設定変更条件を受信すると、ステップS170において、あらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている第4吹き出し口21dの現在の初期設定条件を適正な初期設定変更条件に従って変更し、空気調和機1の運転条件の設定変更処理を終了する。すなわち、初期設定条件変更部34は、初期設定条件記憶部35に記憶されている第4吹き出し口21dの現在の初期設定条件を、適正な初期設定変更条件である「風向:閉」、「風速:無」、「風速設定:無効」の条件、に変更する。ここで、設定変更判定部32が適正な初期設定変更条件のみを初期設定条件変更部34へ送信し、初期設定条件変更部34が適正な初期設定変更条件に基づいて第4吹き出し口21dの初期設定条件設定を変更してもよい。
そして、上記と同様にして、第1吹き出し口21a、第2吹き出し口21bおよび第3吹き出し口21cについても、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更処理が行われる。
なお、上述した障害物情報は一例であり、他の情報を利用して、上記と同様にして初期設定条件設定を変更することも可能である。たとえば障害物情報には、吹き出し口の周囲における障害物の有無の情報の他に、障害物の形、障害物の大きさ、吹き出し口21から障害までの距離、既定の基準距離T1以内に存在する障害物の数、といった他の情報の少なくともいずれか1つを含めることが好ましい。このような情報を含める場合には、障害物の有無だけではなく、これらの情報を初期設定変更条件候補テーブル61に含める。これにより、より多くの適正な初期設定変更条件を初期設定変更条件候補テーブル61に用意することができ、より詳細に適正な初期設定変更条件を決定することができる。
また、図7に示した初期設定条件として設定する項目は一例であり、初期設定条件として設定する項目は、空気調和機1に関わる任意の設定項目でよく、風向フラップ22のスイングの有無、または設定温度の設定範囲といった空気調和機1の設定項目でもよい。そして、初期設定条件として設定する項目には、吹き出し口21の使用の有無、吹き出し口21から吹き出す気流の風向の制限、吹き出し口21から吹き出す気流の風量の制限、吹き出し口21から吹き出す気流の設定温度の制限、空気調和機1の運転モードの制限の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。これにより、吹き出し口21の周囲における障害物の有無に沿った、より詳細な初期設定条件を自動で設定できる。この場合には、これらの情報を初期設定変更条件候補テーブル61にも含める。これにより、より多くの適正な初期設定変更条件を初期設定変更条件候補テーブル61に用意することができ、より詳細に適正な初期設定変更条件を決定することができる。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気調和機1は、室内機3からの気流を室内に流すことなく、単独で障害物を検出可能である。そして、空気調和機1は、障害物が吹き出し口21の周囲に存在し、空気調和機1に影響を及ぼす場合に、空気調和機1の初期設定条件の適正化、すなわち障害物が近い吹き出し口21の閉塞および風速の設定不可といった初期設定条件の変更をユーザーに対して促す。また、空気調和機1は、ユーザーから入力される、初期設定条件の変更を行う旨の情報に基づいて、吹き出し口21の周囲における障害物の有無に沿った適正な初期設定条件を自動で変更できる。また、ユーザーからの情報に基づいて初期設定条件を自動で変更できるため、初期設定条件の変更においてユーザーの意思を反映させることができる。
したがって、本実施の形態1にかかる空気調和機1は、居室内の設計時に壁および障害物を考慮した設計がされていない場合、施工時に初期設定条件の適正化処理が忘れられた場合でも、障害物に対して熱ストレスを与えることなく、適正な初期設定条件の設定を行うことが可能である。
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、吹き出し口21の周囲の障害物を検出した場合に、施工者に対して初期設定条件の変更の要否を選択させ、空気調和機1の初期設定条件を空気調和機1が自動で変更する形態について説明した。本実施の形態2では、施工者に対して初期設定条件の変更の要否を選択させることなく、空気調和機1が自動で初期設定条件を変更する場合について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機において運転条件の初期設定条件の変更処理に関わる構成を示す要部ブロック図である。本発明の実施の形態2にかかる空気調和機は、設定操作装置4を有しない点が、実施の形態1にかかる空気調和機1と異なる。図9においては、図3と同様に、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機の特徴に関係する要部の構成のみを示している。
以下、本実施の形態2にかかる空気調和機の設置後の、空気調和機における運転条件の初期設定時の動作について説明する。図10は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機1の設置後における、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更を実施する動作を示すフローチャートである。以下では、実施の形態1の場合と同様に、空気調和機において第4吹き出し口21dについて周囲の障害物を検出して空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更処理を行う場合を例に説明する。
図10において、ステップS210からステップS280までの処理は、実施の形態1の図5に示したフローチャートのステップS10からステップS80と同じであるため、詳細は省略する。
ステップS280の後、ステップS290において設定変更判定部32は、ステップS250において決定した適正な初期設定変更条件と変更指示情報とを初期設定条件変更部34へ送信する。本実施の形態2においては、設定操作装置4を有しないため、設定変更判定部32は、初期設定条件の変更の有無の指示要求情報を設定操作装置4に送信することなく、適正な初期設定変更条件と変更指示情報とを初期設定条件変更部34へ送信する。
初期設定条件変更部34は、適正な初期設定変更条件を受信すると、ステップS300において、あらかじめ初期設定条件記憶部35に記憶されている第4吹き出し口21dの現在の初期設定条件を適正な初期設定変更条件に従って変更し、空気調和機1の運転条件の設定変更処理を終了する。ここで、設定変更判定部32が適正な初期設定変更条件のみを初期設定条件変更部34へ送信し、初期設定条件変更部34が適正な初期設定変更条件に基づいて第4吹き出し口21dの初期設定条件設定を変更してもよい。
そして、上記と同様にして、第1吹き出し口21a、第2吹き出し口21bおよび第3吹き出し口21cについても、空気調和機1の運転条件の初期設定条件の変更処理が行われる。
上述したように、本実施の形態2にかかる空気調和機は、実施の形態1にかかる空気調和機1と同様に、室内機3からの気流を室内に流すことなく、単独で障害物を検出可能である。そして、空気調和機1は、障害物が吹き出し口21の周囲に存在し、空気調和機1に影響を及ぼす場合に、ユーザーの指示を必要とせずに、吹き出し口21の周囲における障害物の有無に沿った適正な初期設定条件を自動で設定できる。
したがって、本実施の形態2にかかる空気調和機は、実施の形態1にかかる空気調和機1と同様に、居室内の設計時に壁および障害物を考慮した設計がされていない場合、施工時に初期設定条件の適正化処理が忘れられた場合でも、障害物に対して熱ストレスを与えることなく、適正な初期設定条件の設定を行うことが可能である。
そして、本実施の形態2にかかる空気調和機は、全自動で適正な初期設定条件の設定を行うことが可能であるため、空気調和機の設置時における施工者の作業の省力化が可能である。
なお、上述した実施の形態では、一例として室内に障害物12がある場合の制御について説明したが、吹き出し口21の周囲に室内の壁および窓が存在する場合についても上述した実施の形態と同様の処理を実施することにより、適正な初期設定条件の設定を行うことが可能である。
なお、上述した実施の形態では、空気調和機の設置時における適正な初期設定条件の設定について説明したが、適正な初期設定条件の設定を空気調和機のリセット時に行ってもよい。
また、上述した実施の形態では、障害物情報取得部31が空気調和機1の室内機3に組み込まれている場合について説明したが、障害物情報取得部31を空気調和機1の外部に設置し、障害物情報を室内機3に送信するようにしてもよい。この場合、障害物情報を室内機3に送信する通信方法は有線通信または無線通信を問わず、通信形式も問わない。
また、上述した実施の形態では、1台の空気調和機での処理について説明したが、複数台の空気調和機が近接して設置される場合には、複数台の空気調和機を通信可能に接続し、代表の1台の障害物情報を共有して、各空気調和機において上述した適正な初期設定条件の設定を行ってもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。