JP6570057B2 - 木造建築物の壁構造、当該木造建築物の壁構造の構築方法 - Google Patents
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Description
ところで、板材には3枚の無垢材を、その繊維方向が互い違いになるように重ね合わせて接着した無垢材積層板など、構造用合板と内装材を兼ねることができるものがある。
この板材を骨組に保持させる方法として、柱の互いに対向する部分に上下方向へ延びる保持溝を形成し、この保持溝に板材を差し込んで保持する構法(以下、落し込み構法という。)がある。この落し込み構法では板材が構造用合板と内装材を兼ねるように用いられるため、板材を骨組に対し強固に固定すると共に、内側(部屋内)から見て板材と保持溝の内側面との間に隙間がないように施工する必要がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、落し込み構法において、板材と骨組とを強固に連結できると共に、板材と保持溝の内側面との間に隙間がない状態に仕上ることができ良好な内装の外観を得ることが可能な木造建築物の壁構造、当該木造建築物の壁構造の構築方法の提供を、その目的とする。
符号2は骨組を示し、この骨組2は土台3、柱5及び梁9によって構成されている。
土台3の上面には左右方向へ延びる保持溝3aが形成されている。土台3には一対の柱5が互いに間隔を開けて対向して立設されている。説明の便宜上一対の柱5を示したが、実際の建築物では左右方向へ更に多くの柱5が互いに間隔を開けて並設される。以下の説明では一対の柱5を対象とする。
柱5の互いに対向する部分には上下方向へ延びる保持溝5aが形成されている。また、梁9の下面にも左右方向へ延びる保持溝9aが形成されている。
保持溝3a、5a、9aの深さ寸法は10mm〜35mmの範囲で設定し、幅寸法は31mm〜50mmの範囲で設定する。板材11の厚さ寸法が30mmである場合は、保持溝3a、5a、9aの深さ寸法は20mm、幅寸法は33mmが推奨される。
図3に示すように板材11の縁部には等間隔を開けて下孔13が形成されている。この下孔13は板材11の外面11bの端部から内面11aの角部近傍へ貫通するように傾斜している。
図2に示すように板材11を一対の保持溝5aに上方から差し込み、そのまま下降させて板材11の下端部を土台3の保持溝3aに差し込む。最下段の板材11の上端面のダボ穴11cにはダボ15の下半部を差し込んで嵌合させ固定しておく。ダボ15の上半部はダボ穴11cから突出した状態となっている。
更に板材11を保持溝5aに差し込んで下降させ、この板材11の下端面に形成されたダボ穴11cに下段の板材11の上端面から突出するダボ15を差し込む(図3参照)。中段の板材11の下端面に形成されたダボ穴11cと下段の板材11の上端面から突出するダボ15も嵌合させて固定する。
これより、下段、中段、上段の板材11の端面どうしが接合して、ぴったり合わさる状態となる。
これと同様に板材11の左右の端部に形成されたすべての下孔13にそれぞれ雄ネジ17を差し込み、保持溝5aの内面5bに傾斜姿勢でねじ込む。従って、雄ネジ17は上下方向に複数個配置されることになる。
板材11の外面11bの下端部の下孔13に外面11bから雄ネジ17を挿入して、土台3の保持溝3aの内面3bに傾斜姿勢でねじ込む。
そして、柱5の上端面に梁9を備えて、板材11の外面11bの上端部の下孔13に外面11bから雄ネジ17を挿入して、梁9の保持溝9aの内面9bに傾斜姿勢でねじ込む。
板材11の内面11aが土台3の保持溝3aの内面3bに圧接させられ、板材11の内面11aが梁9の保持溝9aの内面9bに圧接させられる。
しかも、板材11は保持溝5a、更に保持溝3a、9aに保持されて、雄ネジ17によって柱5、土台3及び梁9に強固に連結されるので、板材11と骨組2が一体構造となる。従って、頑丈な壁構造を得ることが可能となる。因みに4倍〜5倍の壁倍率を得ることができると想定される。これにより、建築物の壁が比較的少なくても高い耐震性を得ることが可能となり、間取りやデザインの自由度を向上させることができるようになる。
また、木造建築物の壁構造1を構築するための作業も比較的簡単である。すなわち、本発明では、木製の受け材や接ぎ材等の補助材を使用することなく、強固な木造建築物の壁構造を構築することができるので、構築の手間を軽減でき、作業効率を大幅に向上させることができる。
なお、本木造建築物の壁構造1では補助材を使用していないので、板材11の外面側に突起物がなく、断熱材や配線等の設置を容易に行うことができる。
例えば、上記実施例ではダボを用いて板材どうしを上下方向において連結したが、本発明はこれに限定されず、ダボを用いない構成としてもよい。
また、板材を上下方向に三段連ねる構成としたが、本発明はこれに限定されず、三段より少なく、または多い段としてもよい。
上記実施の形態では板材として無垢材積層板を用いたが、本発明はこれに限定されず、合板、パーティクルボード等を使用してもよい。
3…土台 3a…土台の保持溝
3b…土台の保持溝の内面 5…柱
5a…柱の保持溝 5b…柱の保持溝の内面
9…梁 9a…梁の保持溝
9b…梁の保持溝の内面 11…板材
11a…板材の内面 11b…板材の外面
11c…ダボ穴 13…下孔
15…ダボ 17…雄ネジ
Claims (5)
- 木造建築物の土台、柱、梁から成る骨組と、前記骨組の内側面に連なって幅方向のほぼ中心に形成された保持溝と、前記保持溝の底部間の距離に対して幅寸法が小さくなるように設定され、前記保持溝に差し込まれて保持される板材を有する木造建築物の壁構造において、前記板材は耐力壁を構成する構造用材であり、しかも内面が内装を構成するもので、前記板材の外面から前記保持溝の内面に雄ネジが傾斜姿勢でねじ込まれて、前記板材の内面が前記保持溝の内面に圧接させられていることを特徴とする木造建築物の壁構造。
- 請求項1に記載した木造建築物の壁構造において、板材には雄ネジを挿入するための下孔が形成されていることを特徴とする木造建築物の壁構造。
- 請求項1または2に記載した木造建築物の壁構造において、板材は連設されて複数配置され、前記板材の端面どうしが接合しており、且つ前記端面どうしが連結材を介して連結されていることを特徴とする木造建築物の壁構造。
- 請求項1から3のいずれかに記載した木造建築物の壁構造において、板材は無垢材を、その繊維方向が互い違いになるように複数枚重ね合わせて接着したものであることを特徴とする木造建築物の壁構造。
- 請求項1から4のいずれかの木造建築物の壁構造を構築する方法において、木造建築物の土台、柱、梁等の骨組に互いに対向して形成された保持溝に差し込まれて保持される板材を有する木造建築物の壁構造において、前記板材は耐力壁を構成する構造用材であり、しかも内面が内装を構成するもので、前記板材の外面から前記保持溝の内面に雄ネジを傾斜姿勢でねじ込み、前記板材の内面を前記保持溝の内面に圧接させることを特徴とする木造建築物の壁構造を構築する方法。
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