JP6565724B2 - ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物及び全固体型リチウムイオン二次電池 - Google Patents

ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物及び全固体型リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物及び全固体型リチウムイオン二次電池に関する。
全固体型リチウムイオン二次電池は、非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池に比べて、固体電解質を用いるため熱的安定性が高い。その中でも酸化物系の固体電解質は化学的にも安定であるという特徴がある。固体電解質に求められる主な特性としては、リチウムイオン伝導度が高いこと、化学的な安定性に優れていること、電位窓が広いことなどが挙げられる。ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物であるLiLaZr12(以下、LLZと省略する)は、こうした特性のうち、化学的安定性に優れ、電位窓が広いという利点を持つため、固体電解質の有望な候補の1つである(例えば非特許文献1参照)。
特許第5132639号公報
Angew.Chem.Int.Ed.,2007年,46巻,7778−7781
このようなガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を固体電解質として使用するには、機械的強度の面からも更なる焼結密度の向上が必要となっている。
特許文献1ではガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物であるLLZにAlを含有させることにより、イオン伝導度を向上させたセラミックス焼結体の製造方法について開示している。しかしながら、高い焼結密度は得られていない。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、良好なイオン伝導度を有するAl含有のLLZにおいて、高い焼結密度を有するガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を提供すると共に、このガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を固体電解質として用いた全固体リチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者等は適切な量のNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2からなる群より選ばれた1種以上の酸化物を、Al含有のLLZに含有させることにより、高い焼結密度を有するガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、Alを含み、さらに元素T(TはNi、Cu、Co、Feのいずれか1種以上)を有し、前記Alは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、Al換算で2.5mol%≦Al≦15mol%の量を含有し、
前記元素Tは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、25mol%≦T≦100mol%の量を含有することを特徴とする。
また、本発明にかかるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、Al及びM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)を含有し、Al及びMの含有量が、
2.5mol%≦Al≦15mol%
25mol%≦M≦100mol%
であることを特徴とする。
上記本発明のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、従来のAl含有のLLZよりも高い焼結密度を有している。本発明者らは、このような効果が得られる要因を次のように考えている。Al含有のLLZにNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物が加わることで、焼結密度が向上したものと考えている。
また、全固体型リチウムイオン二次電池の固体電解質として、上述したガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を用いることが好ましい。これにより、放電容量の高い全固体リチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
本発明によれば、良好なイオン伝度度を有するAl含有のLLZにおいて、高い焼結密度を有するガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を提供すると共に、このガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を固体電解質として用いることで優れた電池特性の全固体リチウムイオン二次電池を提供することができる。
図1は、比較例1、比較例2、実施例1〜実施例4で得られたガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の相対密度を示す図である。 図2は、比較例1、比較例2、実施例1〜実施例4で得られたガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の粒界を含むイオン伝導度を示す図である。 図3は、比較例3、比較例4、実施例3、実施例5〜実施例7で得られたガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の相対密度を示す図である。 図4は、比較例3、比較例4、実施例3、実施例5〜実施例7で得られたガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の粒界を含むイオン伝導度を示す図である。 図5は、リチウムイオン二次電池の概念的構造を示す断面図である。
本実施形態のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物に、Al、及び元素T(TはNi、Cu、Co、Feのいずれか1種以上)が含有されており、
前記Alは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、Alとして2.5mol%≦Al≦15mol%の量を含有し、
前記元素Tは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、25mol%≦T≦100mol%の量を含有することを特徴とする。
本実施形態のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、従来のAl含有のLLZよりも高い焼結密度を有している。これは元素Tの働きであると考えている。したがって、元素Tの価数状態は問わず、酸化物であっても、他の化合物であっても良い。
なお、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物であることを同定するには、粉末X線回折により行えばよい。また、言うまでもないが、LiLaZr12といういわゆるLLZが同定されればよいため、必ずしも化学両論組成のものでなくてもよい。つまり酸素欠損等の欠損が生じていてもよい。
このガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物に添加される元素Tは、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の粉末を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)にて定量すればよい。
LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、Al及びM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)を含有し、Al及びMの含有量が、
2.5mol%≦Al≦15mol%
25mol%≦M≦100mol%
である。
Alの含有量は、2.5mol%≦Al≦15mol%の関係にあることが望ましい。これにより、良好なリチウムイオン伝導度が得られるためである。Alの含有量が2.5mol%未満になると、リチウムイオン伝導性の低いLLZの正方晶相が生成しやすく、また、Alの含有量が15mol%を超えるとリチウムイオン伝導性の低いLaAlOが生成しやすくなるため、リチウムイオン伝導度が低下してしまう。
MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物である。
Mの含有量は、25mol%≦M≦100mol%の関係にある。これにより、高い焼結密度(相対密度90%以上)が得られる。Mの含有量が25mol%未満では、十分な密度の改善効果がみられず、一方、100mol%を超えてしまうとイオン伝導度が低下してしまう。
なおLLZの同定や、Al、Mの定量は上記元素Tの時の同定法と同様である。
また、Mは、上述したように酸化物の状態で存在するのが好ましく、LLZ粒子の粒子表面、または粒子間に存在することが好ましい。このような粒界に、Mのような微粒な化合物が存在することで、LLZ粒子間の空隙を埋め、より焼結密度が向上する。このときMはアモルファスで存在することが好ましい。このときアモルファスであるか否かはX線回折にてMに関わるピークが得られないことで判別する。
本実施形態によれば、上述したガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を用いることで、焼結密度の高い固体電解質を有する全固体型リチウムイオン二次電池とすることができる。
次に、本実施形態に係るガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の製造方法について説明する。本実施形態に係るガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の製造方法は、Li化合物と、La化合物と、Zr化合物と、Alと、M(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)とを混合した混合原料を焼成することにより得ることができる。
前記Li化合物としては、例えば、LiOH又はその水和物、LiCO、LiNO、CHCOOLi等を挙げることができる。前記La化合物としては、La、La(OH)、La(CO、La(NO、(CHCOO)La等を挙げることができる。前記Zr化合物としては、ZrO、ZrO(NO、ZrO(CHCOO)、Zr(OH)CO、等を挙げることができる。
(製造方法)
本実施形態のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の製造方法の1例について説明する。この酸化物の製造方法は、(1)リチウム化合物などの原料とAlを添加して混合粉砕する工程、(2)所定の仮焼温度で仮焼粉末を得る仮焼工程、(3)元素TまたはM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)として添加して混合粉砕する工程、(4)粉末を成形する工程、(5)焼成を行う工程であり、以下各工程順に説明する。
(1)リチウム化合物などの原料とAlを添加して混合粉砕する工程
リチウム化合物などの原料とAlを添加して混合する工程では、化学式LiLaZr12(式中Xは6≦X≦8)の各元素を含む出発原料を前記化学式の化学量論比になるようにそれぞれ秤量し混合する。また、このとき、A1を化学式LiLaZr12(式中Xは6≦X≦8)に対してmol%で、2.5mol%以上15mol%以下の範囲内にすることにより、イオン伝導度の高いガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を得ることができる。混合方法は、溶媒に入れずに乾式で混合粉砕してもよいし、溶媒に入れて湿式で混合粉砕するものとしてもよいが、溶媒に入れて湿式の混合粉砕を行うことが混合性の向上の面からは好ましい。この混合方法は、例えば、遊星ミル、アトライター、ボールミルなどを用いることができる。溶媒としては、Liが溶解しにくいものが好ましく、例えばエタノールなどの有機溶媒がより好ましい。混合時間は混合量にもよるが、例えば1h〜32hとすることができる。
(2)所定の仮焼温度で仮焼粉末を得る仮焼工程
仮焼工程では、原料を混合する工程で得られた混合粉末を仮焼する。この時の仮焼温度は出発原料の状態変化(例えばガスの発生とか相変化など)が起きる温度以上、焼成時の温度未満とするのが好ましい。例えば、出発原料として、LiCOを用いた場合には、この炭酸塩が分解する温度以上、焼成時の温度未満とすることが好ましい。こうすれば、のちの焼成において、熱分解でのガス発生による密度の低下を抑制することができる。具体的には仮焼温度は、800℃〜1000℃とすることが好ましい。
(3)元素TまたはM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)として添加して混合粉砕する工程
元素TまたはM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)として添加して混合粉砕する工程では、所定の仮焼温度で仮焼粉末を得る仮焼工程で得られた粉末に、所望のNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物を所定量添加して混合粉砕する。混合粉砕する方法は例えば、遊星ミル、アトライター、ボールミルなどを用いることができる。溶媒としてはLiが溶解しにくいものが好ましく、例えばエタノールなどの有機溶媒がより好ましい。混合粉砕時間は、混合量にもよるが、例えば1h〜32hとすることができる。
(4)粉末を成形する工程
粉末を成形する工程では、第2副成分を添加して混合粉砕する工程で得られた粉末を成形する。成形体は冷間等方成形(CIP)や熱間等方成形(HIP)、金型成形、ホットプレスなどにより任意の形状に行うことができる。またドクターブレードやロールコーター等を用いたシート工法による成形方法等もあげられる。
(5)焼成を行う工程
焼成を行う工程では、粉末を成形する工程で得られた成形体について焼成を行う。これにより本実施形態のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物が得られる。
焼成雰囲気は大気雰囲気中で実施することもできるが還元雰囲気中で実施されることがより好ましい。大気雰囲気中では焼結体の密度は高くなるがイオン伝導度が低下するからである。これは大気雰囲気中ではNiとLLZが反応し、イオン伝導度の低い異相の発生を多量に伴うためである。焼成温度は目的とするガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の結晶化温度以上であればよいが、例えば1050℃〜1150℃の範囲内であることがより好ましい。1050℃未満では高い密度の焼結体を得ることができず、1150℃を超えるとLiの揮発や異相(LaZr)の生成が認められるようになり、イオン伝導度が低下するためである。また焼成時間は2時間〜20時間の範囲内で行うことがより好ましい。
(全固体型リチウム二次電池)
本実施形態の全固体リチウム二次電池は、図5に示す通り、正極1と、負極2と固体電解質3から構成され、固体電解質3は、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、Al及びM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)を含有し、Al及びMの含有量が、
2.5mol%≦Al≦15mol%
25mol%≦M≦100mol%
で表されることを特徴とする、このような構成の全固体型リチウム二次電池にすることで、従来に比して実用的な二次電池となっている。
本実施形態の全固体型リチウムイオン二次電池の正極及び負極は、それぞれ正極活物質5と正極集電体4及び負極活物質7と負極活物質6からなる。
リチウム二次電池に使用されている従来公知の正極活物質及び負極活物質を含むことができ、常法により製造される。
(正極活物質)
正極活物質としては特に制限はなく、従来公知の全固体電池に用いられる正極活物質を用いることができる。こうした正極活物質の具体例としては、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えば、LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えば、LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えば、LiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えば、LiMnCo1−y)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えば、LiMn2−yNi)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化合物(例えば、LiFePO、LiFe1−yMnPO、LiCoPO、LiVOPO)、ナシコン構造を有するリチウムリン酸化合物(例えば、Li(PO、LiVOP、LiVP、Li(VO)(PO、及びLi(P(PO)、硫酸鉄(Fe(SO)、バナジウム酸化物(例えば、V)などを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。なお、これらの化学式中、x,yは1<x<5,0<y<1の範囲であることが好ましい。これらのなかでは、LiCoO、LiNiO、Li(PO、LiFePOが好ましい。
(負極活物質)
負極活物質としては特に制限はなく、従来公知の全固体電池に用いられる負極活物質を用いることができる。例えば、カーボン、金属リチウム(Li)、金属化合物、金属酸化物、Li金属化合物、Li金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物を含む)、ホウ素添加炭素、グラファイト、ナシコン構造を有する化合物などを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。例えば、上記金属リチウム(Li)を用いた場合には、全固体電池の容量を拡大させることができる。上記カーボンとしては、例えば、グラファイトカーボン、ハードカーボン、ソフトカーボンなど、従来公知のカーボン材料を挙げることができる。上記金属化合物としては、LiAl、LiZn、LiBi、LiSd、LiSi、Li4.4Sn、Li0.17C(LiC)等を挙げることができる。上記金属酸化物としては、SnO、SnO、GeO、GeO、InO、In、AgO、AgO、Ag、Sb、Sb、Sb、SiO、ZnO、CoO、NiO、TiO、FeO等を挙げることができる。Li金属化合物としては、LiFeN、Li2.6Co0.4N、Li2.6Cu0.4N等を挙げることができる。Li金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)としては、LiTi12で表されるリチウム−チタン複合酸化物等を挙げることができる。上記ホウ素添加炭素としては、ホウ素添加カーボン、ホウ素添加グラファイト等を挙げることができる。
(集電体)
本実施形態の全固体型リチウムイオン二次電池の集電体を構成する材料は、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルなどを用いるのが好ましい。特に、銅はリン酸チタンアルミニウムリチウムと反応し難く、さらにリチウムイオン二次電池の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。集電体を構成する材料は、正極と負極で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の正極集電体層及び負極集電体層は、それぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことが好ましい。
正極集電体層及び負極集電体層がそれぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことにより、正極集電体層と正極活物質層及び負極集電体層と負極活物質層との密着性が向上するため望ましい。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び、負極集電体層の各材料をペースト化し、塗布乾燥してグリーンシートを作製し、係るグリーンシートを積層し、作製した積層体を同時に焼成することにより製造する。
ペースト化の方法は、特に限定されないが、例えば、ビヒクルに上記各材料の粉末を混合してペーストを得ることができる。ここで、ビヒクルとは、液相における媒質の総称である。ビヒクルには、溶媒、バインダーが含まれる。係る方法により、正極集電体層用のペースト、正極活物質層用のペースト、固体電解質層用のペースト、負極活物質層用のペースト、及び、負極集電体層用のペーストを作製する。
作製したペーストをPETなどの基材上に所望の順序で塗布し、必要に応じ乾燥させた後、基材を剥離し、グリーンシートを作製する。ペーストの塗布方法は、特に限定されず、スクリーン印刷、塗布、転写、ドクターブレード等の公知の方法を採用することができる。
作製したグリーンシートを所望の順序、積層数で積み重ね、必要に応じアライメント、切断等を行い、積層ブロックを作製する。並列型又は直並列型の電池を作製する場合は、正極層の端面と負極層の端面が一致しないようにアライメントを行い積み重ねるのが好ましい。
積層ブロックを作製するに際し、以下に説明する活物質ユニットを準備し、積層ブロックを作製してもよい。
その方法は、まずPETフィルム上に固体電解質ペーストをドクターブレード法でシート状に形成し、固体電解質シートを得た後、その固体電解質シート上に、スクリーン印刷により正極活物質層ペーストを印刷し乾燥する。次に、その上に、スクリーン印刷により正極集電体層ペーストを印刷し乾燥する。更にその上に、スクリーン印刷により正極活物質ペーストを再度印刷し、乾燥し、次いでPETフィルムを剥離することで正極活物質層ユニットを得る。このようにして、固体電解質シート上に、正極活物質層ペースト、正極集電体層ペースト、正極活物質ペーストがこの順に形成された正極活物質層ユニットを得る。同様の手順にて負極活物質層ユニットも作製し、固体電解質シート上に、負極活物質層ペースト、負極集電体層ペースト、負極活物質ペーストがこの順に形成された負極活物質層ユニットを得る。
正極活物質層ユニット一枚と負極活物質層ユニット一枚を、固体電解質シートを介するようにして積み重ねる。このとき、一枚目の正極活物質層ユニットの正極集電体層ペーストが一の端面にのみ延出し、二枚目の負極活物質層ユニットの負極集電体層ペーストが他の面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねる。この積み重ねられたユニットの両面に所定厚みの固体電解質シートをさらに積み重ね積層ブロックを作製する。
作製した積層ブロックを一括して圧着する。圧着は加熱しながら行うが、加熱温度は、例えば、40〜95℃とする。
圧着した積層ブロックを、例えば、還元雰囲気下で600℃〜1200℃に加熱し焼成を行う。焼成時間は、例えば、0.1〜3時間とする。この焼成により積層体が完成する。
本発明の内容を実施例及び比較例を参照してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例2]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、NiOを用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを下記の表1のようになるようにそれぞれ秤量した。その後、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを50mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
(表1)
Figure 0006565724
[実施例5〜実施例7、比較例3〜比較例4]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、NiOを用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量した。その後、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを下記表2のようになるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
(表2)
Figure 0006565724
[実施例8]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、CoO4/3を用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、CoO4/3を50mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例9]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、CuOを用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、CuOを50mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例10]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、FeO3/2を用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、FeO3/2を50mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例11]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al化合物(Al)、NiO、CoO4/3を用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを25mol%、CoO4/3を25mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例12]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、CuO、FeO3/2を用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、CuOを25mol%、FeO3/2を25mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例13]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、NiO、CoO4/3、CuOを用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを20mol%、CoO4/3を10mol%、CuOを20mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
[実施例14]
出発原料にはLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Al、NiO、CoO4/3、CuO、FeO3/2を用いた。はじめに、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように秤量し、Alを10mol%となるように秤量し、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行った。得られた仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを20mol%、CoO4/3を10mol%、CuOを10mol%、FeO3/2を10mol%となるように秤量し、これらの粉末をエタノール中にてボールミル(120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合・粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離し乾燥後、粉砕粉末を得た。次にそれらの粉砕粉末に対して、有機系バインダーを添加し顆粒を作製した。その顆粒をφ10mmの金型を用い、7kNにて円盤状に成形した。成形体は白金板上で1100℃の焼結温度で2時間還元雰囲気下(5%H/95%N)にて焼成を行い、円盤状の焼結体試料を得た。
実施例8から14で得られた焼結体試料の相対密度と粒界を含むイオン伝導度に関して表3に示した。
(表3)
Figure 0006565724
上記の実施例および比較例において、組成比及び各種物性評価は、以下のように行った。
[焼結密度の見積もり]
前記円盤状焼結体を形成するガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の焼結密度は、該円盤状焼結体の体積をノギス、マイクロメータにより計測した後、該円盤状焼結体の乾燥重量を該体積で除することにより算出した。また、その焼結密度と理論密度から相対密度を算出した。なお、上記理論密度にはLiLaZr12の理論密度(5.1g/cm)を用いた。また、本実施例では、相対密度が90%以上である試料を良品と判断した。
[イオン伝導度の見積もり]
恒温槽中にてACインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製1260)を用い、測定温度を25℃、測定周波数を0.05Hz〜1MHz、振幅電圧:50mVとしてインピーダンスと位相角を測定した。これらの測定値をもとにナイキストプロットを描きその円弧より抵抗値を求め、この抵抗値から粒界を含むイオン伝導度を算出した。ACインピーダンスアナライザーで測定する際のブロッキング電極にはAu電極を用いた。Au電極は、φ3mm円状でスパッタ法によって形成した。また、本実施例では、粒界を含むイオン伝導度が5.0×10−5(Scm−1)以上である試料を良品と判断した。
[化学組成分析]
実施例1〜実施例14、比較例1〜比較例4で得られた焼結体試料を溶解し、ICP組成分析を行ったところ仕込み組成がほぼ保たれていることを確認した。
表1、図1及び図2に示すように、化学式LiLaZr12で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、Alの含有量が2.5mol%≦Al≦15mol%の範囲にある実施例1〜実施例4は、比較例1及び比較例2と比較し、高い焼結密度が得られるため、相対密度が90%以上となっていることが確認できる。また、粒界を含むイオン伝導度も5.0×10−5(Scm−1)以上であることが確認できた。
表2、図3及び図4に示すように、化学式LiLaZr12で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、M(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)の含有量が25mol%≦M≦100mol%の範囲にある実施例3及び実施例5〜実施例7は、比較例3及び比較例4と比較し、高い焼結密度が得られるため、相対密度が90%以上となっていることが確認できる。また、粒界を含むイオン伝導度が5.0×10−5(Scm−1)以上であることが確認できた。
表3に示すように、化学式LiLaZr12で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、M(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)の含有量が25mol%≦M≦100mol%の範囲にある実施例8から実施例14は、高い焼結密度が得られるため、相対密度が90%以上となっていることが確認できる。また、粒界を含むイオン伝導度も5.0×10−5(Scm−1)以上であることが確認できた。
[実施例15]
以下に、全固体リチウム二次電池の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、部表示は、断りのない限り、質量部である。
(正極活物質及び負極活物質の作製)
正極活物質及び負極活物質として、以下の方法で作製したLi(POを用いた。その作製方法としては、LiCOとVとNHPOとを出発材料とし、ボールミルで16時間湿式混合を行い、脱水乾燥した後に得られた粉体を850℃で2時間、窒素水素混合ガス中で仮焼した。仮焼品をボールミルで湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して粉末を得た。この作製した粉体の構造がLi(POであることは、X線回折装置を使用して確認した。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、ともにLi(POの粉末100部に、バインダーとしてエチルセルロース15部と、溶媒としてジヒドロターピネオール65部とを加えて、混合・分散して活物質ペーストを作製した。
(固体電解質シートの作製)
固体電解質として、出発原料にLi化合物(LiCO)、La化合物(La)、Zr化合物(ZrO)、Alを用いて、出発原料をモル比がLi:La:Zr=7:3:2となるように、さらにAlを10mol%になるようにそれぞれ秤量した。その後、エタノール中にてボールミル(回転数120rpm/ジルコニアボール)で16時間、混合粉砕を行った。得られたスラリーをボールとエタノールから分離したのち、アルミナ製坩堝中にて、900℃、5時間大気雰囲気で仮焼を行い、仮焼粉末を得た。
次いで、この仮焼粉末の主成分であるLiLaZr12に対して、NiOを50mol%となるように秤量し、溶媒としてエタノール100部、トルエン200部をボールミルで加えて湿式混合・粉砕を行った。その後ポリビニールブチラール系バインダー16部とフタル酸ベンジルブチル4.8部をさらに投入、混合し固体電解質ペーストを調製した。
(固体電解質シートの作製)
この固体電解質ペーストをドクターブレード法でPETフィルムを基材としてシート成形し、厚さ15μmの固体電解質シートを得た。
(集電体ペーストの作製)
集電体として用いたNiとLi(POとを体積比率で80/20となるように混合した後、バインダーとしてエチルセルロースと、溶媒としてジヒドロターピネオールを加えて混合・分散して集電体ペーストを作製した。Niの平均粒径は0.9μmであった。
(端子電極ペーストの作製)
銀粉末とエポキシ樹脂、溶剤とを混合・分散し、熱硬化型の端子電極ペーストを作製した。
これらのペーストを用いて、以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(正極活物質層ユニットの作製)
上記の固体電解質シート上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質層ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極集電体層ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質ペーストを再度印刷し、80℃で10分間乾燥し、次いでPETフィルムを剥離した。このようにして、固体電解質シート上に、正極活物質層ペースト、正極集電体層ペースト、正極活物質ペーストがこの順に印刷・乾燥された正極活物質層ユニットのシートを得た。
(負極活物質層ユニットの作製)
上記の固体電解質シート上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極活物質ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極集電体層ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極活物質ペーストを再度印刷し、80℃で10分間乾燥し、次いでPETフィルムを剥離した。このようにして、固体電解質シート上に、負極活物質ペースト、負極集電体層ペースト、負極活物質ペーストがこの順に印刷・乾燥された負極活物質層ユニットのシートを得た。
(積層体の作製)
正極活物質層ユニット一枚と負極活物質層ユニット一枚を、固体電解質シートを介するようにして積み重ねた。このとき、一枚目の正極活物質層ユニットの正極集電体層ペーストが一の端面にのみ延出し、二枚目の負極活物質層ユニットの負極集電体層ペーストが他の面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねた。この積み重ねられたユニットの両面に厚さ500μmとなるように固体電解質シートを積み重ね、その後、これを熱圧着により成形した後、切断して積層ブロックを作製した。その後、積層ブロックを同時焼成して積層体を得た。同時焼成は、官憲雰囲気中で昇温速度200℃/時間で焼成温度1100℃まで昇温して、その温度に2時間保持し、焼成後は自然冷却した。
(端子電極形成工程)
積層ブロックの端面に端子電極ペーストを塗布し、150℃、30分の熱硬化を行い、一対の端子電極を形成してリチウムイオン二次電池を得た。
(電池の評価)
得られたリチウムイオン二次電池の端子電極にリード線を取り付け、充放電試験を行った。測定条件は、充電及び放電時の電流はいずれも2.0μA、充電時及び放電時の打ち切り電圧をそれぞれ4.0V及び0Vとした。本電池は、良好に充放電し、また、電池特性としても、比較例1の固体電解質を使用した場合には放電容量0.4μAだったものが、2.5μAと非常に良好な電池特性を有することがわかった。
以上のように、本製造方法によれば、焼結密度の高いガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を作製することができ、全固体型リチウムイオン二次電池における固体電解質に利用可能である。
1 正極
2 負極
3 固体電解質
4 正極集電体
5 正極活物質
6 負極集電体
7 負極活物質
8 リチウムイオン二次電池

Claims (3)

  1. LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、Alを含み、さらに元素T(TはNi、Cu、Co、Feのいずれか1種以上)を有し、
    前記Alは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、Al換算で2.5mol%≦Al≦15mol%の量を含有し、
    前記元素Tは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、25mol%≦T≦100mol%以下の量を含有することを特徴とするガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物。
  2. LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物において、Al及びM(MはNiO、CuO、CoO4/3、FeO3/2の中から選択される1種以上の酸化物)を含有し、Al及びMの含有量が
    2.5mol%≦Al≦15mol%
    25mol%≦M≦100mol%
    であることを特徴とするガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物。
  3. 請求項1または2に記載のガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物を固体電解質とした全固体型リチウムイオン二次電池。



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