JP6562398B2 - 半導体デバイス、太陽電池、太陽電池モジュール、及び組成物 - Google Patents

半導体デバイス、太陽電池、太陽電池モジュール、及び組成物 Download PDF

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Description

本発明は、半導体デバイス、太陽電池、太陽電池モジュール、及び組成物に関する。
電界効果トランジスタ、電界発光素子(LED)、及び光電変換素子のような半導体デバイスにおいて、半導体材料が経時劣化することは、半導体デバイスの性能低下の原因となる。特に、非特許文献1及び2で用いられているペロブスカイト半導体は、水分により劣化しやすいことが知られている。このような課題を解決するために、例えば、防湿層のようなバリア層を設ける方法が模索されてきた(特許文献1)。
特開2011−77425号公報
Wang et al. Nanoscale, 2014, 6, 12287-12297. Boix et al. Materials today, 2014, 17, 16-23.
半導体デバイスのさらなる耐久性向上のために、バリア層を設けるだけでなく、半導体層自体の構成を工夫することにより、半導体デバイスの耐久性を向上させることが求められている。
本発明は、半導体デバイスの耐久性を向上させることを目的とする。
本発明者らは、驚くべきことに、半導体層に絶縁性ポリマーを混合することにより、半導体デバイスの耐久性が向上することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]一対の電極と、前記一対の電極間に配置された半導体層と、を有する半導体デバイスであって、前記半導体層が、半導体化合物と下式(Ia)で表される繰り返し単位を含む絶縁性ポリマーとを含有することを特徴とする、半導体デバイス。
(式(Ia)において、R及びRはそれぞれ独立して炭化水素基又は水素原子を表し、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
]R及びRが互いに結合して環を形成していることを特徴とする、[]に記載の半導体デバイス。
]前記絶縁性ポリマーを構成する繰り返し単位のうち、式(Ia)で表される繰り返し単位の割合が50モル%以上であることを特徴とする、[1]又は]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]前記半導体層における、前記半導体化合物に対する前記絶縁性ポリマーの割合が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]前記絶縁性ポリマーの重量平均分子量が10×10以上400×10以下であることを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]前記絶縁性ポリマーはアモルファスポリマーであり、かつ屈折率が1.5以下であることを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]1gのN,N−ジメチルホルムアミドに対する前記絶縁性ポリマーの25℃における溶解度が0.5mg以上であることを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]前記半導体化合物がペロブスカイト半導体化合物を含有することを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
]光電変換素子であることを特徴とする、[1]から[]のいずれかに記載の半導体デバイス。
10]フィルファクターが0.7以上であることを特徴とする、[]に記載の半導体デバイス。
11][]又は[10]に記載の半導体デバイスを有する太陽電池。
12][11]に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
半導体デバイスの耐久性を向上させることができる。
一実施形態に係る電界効果トランジスタ素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態に係る電界発光素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。 実施例3−1に係るXRD測定結果である。 比較例3−1に係るXRD測定結果である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
<1.半導体デバイス>
本発明に係る半導体デバイスは、一対の電極と、一対の電極間に配置された半導体層と、を有する。また、半導体層は、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。
半導体層に絶縁性化合物を加えた場合、半導体層の機能が損なわれることが想定される。しかしながら、本願発明者らによれば、半導体層に絶縁性ポリマーを加えても半導体層の機能は大きくは損なわれず、場合によっては半導体層の機能が向上することが見出された。また、半導体層に絶縁性ポリマーを加えることにより、半導体デバイスの耐久性が向上することも見出された。
活性層への絶縁性ポリマーの添加により耐久性が向上する理由は明確ではないが、本願発明者らは以下のようにその理由を推測している。すなわち、半導体化合物のみを用いて半導体層を形成する場合、半導体化合物の結晶サイズが大きくなるとその結晶サイズは不均一になる傾向がある。このために、半導体層のモルフォロジーが良好でなくなり、また、半導体層と他の層との接合が不十分となる結果として、電流のリークが生じることが考えられる。一方で、絶縁性ポリマーを添加することにより、半導体化合物の結晶が不均一に成長することを抑制することができ、良好なモルフォロジーを有する半導体層が得られるために、電流のリークを抑制することができると考えられる。この結果、半導体デバイスの耐久性が向上するものと推測される。
また、半導体層中の半導体化合物結晶のサイズが均一となることにより、半導体層の光透過率が向上することが考えられる。したがって、光電変換素子又は電界発光素子のように半導体層中を光が移動する場合において、光の利用効率又は放出効率が向上するものと考えられる。
一方で、Masi et al. Scientific Reports, 5, 7758.には、半導体層に導電性ポリマーを加えることにより、半導体層を容易に形成できることが記載されている。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、半導体層に導電性ポリマーを加えた場合、半導体層の機能が損なわれることが見出された。これは、導電性ポリマーを添加することにより活性層中の半導体化合物自体の速い電荷分離機能が阻害されること、又は、半導体化合物と導電性ポリマーとのエネルギー準位との関係により時間経過と共に半導体層の特性が変化すること、が原因であると考えられる。
本明細書において半導体デバイスとは、半導体化合物を含有する半導体層を備える電子デバイスのことを指す。電子デバイスとは、2個以上の電極とを有し、その電極間に流れる電流若しくは生じる電圧を、電気、光、磁気若しくは化学物質等により制御するデバイス、又は、その電極間に印加した電圧若しくは電流により、光、電場若しくは磁場等を発生させるデバイスのことを指す。具体例としては、電圧若しくは電流の印加により電流若しくは電圧を制御する素子、磁場の印加により電圧若しくは電流を制御する素子、又は化学物質を作用させて電圧若しくは電流を制御する素子等が挙げられる。制御の具体例としては、整流、スイッチング、増幅又は発振等が挙げられる。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が好ましくは1.0x10−6cm/V・s以上、より好ましくは1.0x10−5cm/V・s以上、さらに好ましくは5.0x10−5cm/V・s以上、特に好ましくは1.0x10−4cm/V・s以上である。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、又はタイムオブフライト法等により測定できる。
半導体デバイスの例としては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化して得られたデバイスが挙げられる。また、半導体デバイスのさらなる例としては光素子が挙げられ、光素子には光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、電界を印加することにより発光する電界発光素子、又は光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等が含まれる。
半導体デバイスのより具体的な例としては、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。なかでも、一実施形態に係る半導体デバイスの好ましい例としては、電界効果トランジスタ素子(FET)、電界発光素子(LED)、光電変換素子又は太陽電池が挙げられる。
電極の種類は特に限定さない。半導体デバイスの種類に応じて、適切な材料を用いて電極を作製することができる。電極の具体例は、いくつかの半導体デバイスに関して後に説明する。
半導体化合物とは、半導体の材料となる化合物のことを指す。半導体化合物の種類も特に限定されない。例えば、半導体層は、p型半導体化合物を含有していてもよいし、n型半導体化合物を含有していてもよいし、これらの双方を含有していてもよい。また、半導体層は、ペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。
p型半導体化合物としては、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役コポリマー半導体のような高分子半導体化合物が挙げられる。また、p型半導体化合物として、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等のような低分子半導体化合物も挙げられる。また、単層カーボンナノチューブ又はグラフェン等もp型半導体化合物として使用することができる。
n型半導体化合物としては、例えば、フラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム等のキノリノール誘導体金属錯体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン若しくはペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物、グラフェン又はn型ポリマー等が挙げられる。
ペロブスカイト半導体化合物とは、ペロブスカイト構造を有する半導体化合物のことを指す。ペロブスカイト半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。例えば、ペロブスカイト化合物としては、一般式AMXで表されるもの又は一般式AMXで表されるものが挙げられる。ここで、Mは2価のカチオンを、Aは1価のカチオンを、Xは1価のアニオンを指す。
一方で、ペロブスカイト半導体は、水分により劣化しやすく、耐久性が低いことが知られている。本実施形態のように半導体層に絶縁性ポリマーを添加することは、このような特性を有するペロブスカイト半導体の耐久性を向上させられる点で、非常に有利である。このように、一実施形態において、半導体層が含有する半導体化合物は、ペロブスカイト半導体化合物を含有する。
半導体層に含まれる半導体化合物としては、半導体デバイスの種類に応じて適切なものを選択することができる。半導体化合物の具体例は、いくつかの半導体デバイスに関して後に説明する。
絶縁性ポリマーとは、絶縁性を有するポリマーのことである。本明細書において、絶縁性ポリマー単体の電気抵抗率は1×10Ω・m以上であり、好ましくは1×10Ω・m以上であり、さらに好ましくは1×1010Ω・m以上である。絶縁性ポリマー単体の電気抵抗率が1×10Ω・m以上であることにより、半導体層中を流れるリーク電流を抑えることができると考えられる。
絶縁性ポリマーの種類は、半導体化合物とともに半導体層を形成可能であれば特に限定されない。一実施形態において、絶縁性ポリマーとしては、安定性がより高い、主鎖が炭素原子で構成されているポリマーが用いられる。
絶縁性ポリマーを含む半導体層を塗布法により形成できるように、絶縁性ポリマーは可溶性のポリマーであることが好ましく、非プロトン性極性溶媒への溶解性を示すことが好ましい。具体的には、1gのN,N−ジメチルホルムアミドに対する絶縁性ポリマーの25℃における溶解度は、0.5mg以上であることが好ましく、1.0mg以上であることがさらに好ましく、2.0mg以上であることがより好ましい。
絶縁性ポリマーの種類に特段の制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリイソプロピルアクリルアミド等の非イオン性ポリマー;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリイソプロピレンスルホン酸ナトリウム、ポリナフタレンスルホン酸縮合体塩、ポリエチレンイミンザンテート塩等のカチオン性ポリマー;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアミジン、ポリビニルイミダゾリン、ジシアンジアミド系縮合体、エピクロルヒドリンジメチルアミン縮合体、ポリエチレンイミン等のアニオン性ポリマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩アクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドのホフマン分解物等の両性ポリマーが挙げられる。
このような絶縁性ポリマーとして、特に、親水性置換基を有するポリビニル系のポリマーが好ましい。親水性置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(−COOR)、アルキルカルボニルオキシ基(−OCOR)、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミド基(−NRCOR)、ニトロ基、スルホ基、スルホニルオキシ基、ホスホ基、ホスホノオキシ基、炭素数2〜10の複素環基(例えばピロリル基、ピロリジニル基又はチエニル基等)、及びこれらの親水性置換基を有する炭素数1〜10の炭化水素基、等が挙げられる。
より具体的には、絶縁性ポリマーが下式(I)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(I)において、Zは親水性置換基を表す。親水性置換基としては、上述のものが好ましい。
一実施形態において、絶縁性ポリマーは下式(Ia)で表される繰り返し単位を有する。
式(Ia)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭化水素基又は水素原子を表し、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、より具体的には炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、及び炭素数1〜10のアルキニル基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
さらなる実施形態において、式(Ia)で表される繰り返し単位において、R及びRは互いに結合して環を形成している。例えば、R及びRは、炭素数2〜5のアルカンジイル基を構成していてもよい。
式(I)及び(Ia)で表される繰り返し単位は、さらなる置換基を有していてもよい。さらなる置換基としては、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルキニル基、エステル基、アリールカルボニル基、アリールチオ基、アリールオキシ基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜10の複素環基等が挙げられる。
具体例として、絶縁性ポリマーは下式(Ib)で表される繰り返し単位を有することができる。
式(Ib)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の置換基である。1価の置換基としては、特段の制限はないが、上記式(Ia)のさらなる置換基の例として挙げた置換基が挙げられる。すなわち、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルキニル基、エステル基、アリールカルボニル基、アリールチオ基、アリールオキシ基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜10の複素環基等が挙げられる。なお、これらの中でもR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、なかでも、R〜Rはそれぞれ水素原子であることが好ましい。
絶縁性ポリマーは、式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される、2以上の互いに異なる繰り返し単位を含んでいてもよく、さらに架橋されて架橋高分子を形成していてもよく、またヨウ素等の化合物と錯体を形成していてもよい。また、絶縁性ポリマーは、式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される繰り返し単位以外の、例えば酢酸ビニル単位のような繰り返し単位を含んでいてもよく、例えば、絶縁性ポリマーは、式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。絶縁性ポリマーを構成する繰り返し単位のうち、式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される繰り返し単位の割合は、好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される繰り返し単位の割合が30モル%以上であることにより、絶縁性ポリマーを含む塗布液の作製がより容易となる。
なお、絶縁性ポリマーの末端基としては、特段の制限はないが、水素原子、水酸基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基又はビニル基等が挙げられる。
絶縁性ポリマーの重量平均分子量は、半導体層の耐久性が向上する効果が得られるのであれば特に限定されないが、好ましくは5×10以上であり、より好ましくは10×10以上である。また、好ましくは1000×10以下であり、より好ましくは400×10以下である。重量平均分子量がこの範囲にあることにより、半導体化合物の結晶成長を適切に制御できるものと考えられる。
半導体層に含まれる半導体化合物と絶縁性ポリマーとの比率は、特に限定されない。耐久性を向上させる効果がより得られるように、半導体化合物に対する絶縁性ポリマーの割合は、好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.2質量%以上である。また、半導体デバイスの性能が十分に維持されるように、半導体化合物に対する絶縁性ポリマーの割合は、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下であり、特に好ましくは3.0質量%以下である。
半導体層中において絶縁性ポリマーは均一に分散していることが好ましい。この観点から、絶縁性ポリマーの結晶性は高くないことが好ましい。具体的には、絶縁性ポリマーは、単体とした場合にアモルファス状態になるアモルファスポリマーであることが好ましい。アモルファスポリマーの具体例としては、ポリビニルピロリドン又はアクリル樹脂等が挙げられる。また、アモルファスポリマーは光透過性が高い傾向にある。したがって、光電変換素子又は電界発光素子のように半導体層中を光が移動する場合、絶縁性ポリマーがアモルファス状態にあることは、光の反射及び屈折が抑えられるために、高い光透過性を有するデバイスを得ることができる点で好ましい。そのため、絶縁性ポリマーは、単体とした場合の屈折率が1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
半導体層の厚さは特に限定されず、半導体層の用途に応じて適宜選択することができる。一例としては、半導体層の厚さは0.5nm以上500nm以下であってもよい。
半導体層には、半導体化合物及び絶縁性ポリマー以外に、他の化合物が添加されていてもよい。この場合、半導体層の半導体特性がよく発揮されるように、半導体層中の半導体化合物及び絶縁性ポリマーの割合は、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。また半導体層は、異なる材料を含み又は異なる成分を有する複数の層で形成される積層構造を有していてもよい。
半導体層の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、半導体化合物又は半導体化合物前駆体と、絶縁性ポリマーと、を含有する塗布液を塗布することにより半導体層を形成する塗布法、並びに半導体化合物及び絶縁性ポリマーを共蒸着させる蒸着法等が挙げられる。簡易に半導体層を形成できる点で、塗布法を用いることは好ましい。
半導体化合物前駆体とは、塗布液を塗布した後に半導体化合物へと変換可能な材料のことを指す。具体的な例としては、加熱することにより半導体化合物へと変換可能な半導体化合物前駆体がある。例えば、塗布液を塗布することにより得られた膜を加熱することにより、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換し、半導体化合物及び絶縁性ポリマーを含有する半導体層を形成することができる。
半導体化合物前駆体の具体例としては、加熱により後述する式(1)で表されるペロブスカイト半導体化合物へと変換可能である、後述する式(2)で表される化合物及び/又は後述する式(3)で表される化合物が挙げられ、具体的には金属ハロゲン化物及びアルキルアンモニウム塩ハロゲン化物が挙げられる。また、加熱によりポルフィリン化合物へと変換可能なビシクロポルフィリン化合物等も挙げられる。
塗布法に用いられる塗布液は、半導体化合物又は半導体化合物前駆体と、絶縁性ポリマーと、を溶媒に溶解させることにより作製することができる。溶媒としては、半導体化合物及び絶縁性ポリマーが溶解するのであれば特に限定されない。溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、ジメチルスルホキシド、若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
ペロブスカイト半導体化合物を使用する場合、塗布液の溶媒としては、Brandrup,J.ら編「Polymer Handbook, 4th Ed.」に記載の溶解度パラメータ(SP値)が、9以上であるものが好ましく、10以上であるものが特に好ましい。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。なお、混合溶媒を用いる場合も、混合溶媒のうち少なくとも1種の溶媒の溶解度パラメータは10以上であることが好ましい。
このような、半導体化合物又は半導体化合物前駆体、絶縁性ポリマー、及び溶媒を含有する塗布液は、半導体層形成用の組成物として用いることができる。特に、ペロブスカイト半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物前駆体、絶縁性ポリマー、及び溶媒を含有する組成物は、耐久性を備えるペロブスカイト半導体層を形成するために有用である。また、このような組成物は、高い光透過率を有するペロブスカイト型半導体層を形成するためにも有用である。組成物はさらに添加剤を含有していてもよいが、好ましくは組成物の主成分は半導体化合物若しくは半導体化合物前駆体、絶縁性ポリマー、及び溶媒である。
組成物中に含まれる半導体化合物又は半導体化合物前駆体と絶縁性ポリマーとの比率は、特に限定されない。耐久性を向上させる効果がより得られるように、組成物中に含まれる半導体化合物の質量、又は組成物中に含まれる半導体化合物前駆体により形成可能な半導体化合物の質量に対する、組成物中に含まれる絶縁性ポリマーの質量の割合は、好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.2質量%以上である。また、半導体デバイスの性能が十分に維持されるように、半導体化合物又は半導体化合物前駆体に対する絶縁性ポリマーの割合は、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下であり、特に好ましくは3.0質量%以下である。
また、組成物中に含まれる半導体化合物又は半導体化合物前駆体の濃度も、特に限定されず、適切な厚さの半導体層が形成されるように適宜選択することができる。塗布成膜が円滑に進むように、半導体化合物又は半導体化合物前駆体の濃度は好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは15重量%以上であり、一方で好ましくは60重量%以下であり、さらに好ましくは45重量%以下である。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
塗布液を塗布した後に乾燥を行うとともに、必要に応じて半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換する処理を行うことにより、半導体層を形成することができる。乾燥方法は特に限定されず、例えば加熱乾燥を行ってもよい。
以下、本発明に係る半導体デバイスの例として、電界効果トランジスタ素子、電界発光素子、光電変換素子、及び太陽電池について詳細に説明する。
<2.電界効果トランジスタ(FET)>
本発明に係る電界効果トランジスタ(FET)素子は、半導体層と、一対の電極であるソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極とを有する。この半導体層は、上述のように半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。
以下、一実施形態に係るFET素子について詳細に説明する。図1は、本発明に係るFET素子の構造例を模式的に表す図である。図1において、51が半導体層、52が絶縁体層、53及び54がソース電極及びドレイン電極、55がゲート電極、56が基材をそれぞれ示す。半導体層51は、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。もっとも、別の実施形態において、FET素子は、ソース電極53とドレイン電極54との間のチャネルとして働く半導体層51とは異なる、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有する半導体層を有していてもよい。図1(A)〜(D)にはそれぞれ異なる構造のFET素子が記載されているが、どれも本発明に係るFET素子の構造例を示している。FET素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
一実施形態に係るFET素子において、半導体層51は、基材56上に直接又は他の層を介して半導体を膜状に形成することにより作製される。半導体層51の膜厚に制限は無く、例えば横型の電界効果トランジスタ素子の場合、所定の膜厚以上であれば素子の特性は半導体層51の膜厚には依存しない。ただし、膜厚が厚くなりすぎると漏れ電流が増加してくることが多いため、半導体層の膜厚は、好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは10nm以上であり、コストの観点から好ましくは1μm以下、さらに好ましくは200nm以下である。
半導体層51の特性としては、室温におけるキャリア移動度が好ましくは1.0x10−6cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10−5cm/V・s以上、より好ましくは5.0x10−5cm/V・s以上、特に好ましくは1.0x10−4cm/V・s以上である。
<3.電界発光素子(LED)>
本発明に係る電界発光素子(LED)は、一対の電極である陽極及び陰極と、電極間に配置された半導体層である発光層と、を有する。電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。一実施形態において、この発光層は、上述のように半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。しかしながら、別の実施形態において、電界発光素子が、発光層とは異なる、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有する半導体層を有していてもよい。例えば、電子輸送層又は正孔輸送層等が、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有する半導体層であってもよい。
図2は、本発明に係る電界発光素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。図2において、符号31は基材、32は陽極、33は正孔注入層、34は正孔輸送層、35は発光層、36は電子輸送層、37は電子注入層、38は陰極、39は電界発光素子を示している。発光層35は、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。なお、電界発光素子がこれらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。例えば、必ずしも、正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層36、及び電子注入層37を設ける必要はない。電界発光素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
発光層35の形成方法に制限はない。例えば、湿式成膜法又は乾式成膜法を用いることができる。また、素子の発光効率を向上させる目的、発光色を変える目的、及び素子の駆動寿命を改善する目的等で、ホスト材料に蛍光色素や燐光性金属錯体等の別の化合物をドープすることにより発光層35を作製してもよい。例えば、蛍光色素をドープすることで、
1)高効率の蛍光色素による発光効率の向上
2)蛍光色素の選択による発光波長の可変化
3)濃度消光を起こす蛍光色素が使用可能となる
4)薄膜性の悪い蛍光色素も使用可能となる
5)電荷トラップ解消により駆動安定性が向上する、等の効果が期待される。
また、発光層35中に正孔輸送材料を混合することも、特に素子の駆動安定性を向上させる目的のために有効である。発光層35中に混合される正孔輸送材料の量は、5〜50質量%の範囲であることが好ましい。
発光層35の膜厚に制限はなく、発光層35に望まれる条件を満たしながら発光量を確保できるように、好ましくは3nm以上、さらに好ましくは10nm以上であり、好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
なお、図2は本発明に係る電界発光素子の一実施形態を示すものにすぎず、本発明に係る電界発光素子が図示された構成に限定されるわけではない。例えば、図2とは逆の積層構造とすること、すなわち、基板31上に陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33及び陽極32をこの順に積層することも可能である。
本発明に係る電界発光素子の構成は特に限定されず、単一の素子であっても、アレイ状に配置された構造からなる素子であっても、陽極と陰極とがX−Yマトリックス状に配置された構造の素子であってもよい。
<4.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極であるカソード及びアノードと、電極間に配置された半導体層である活性層と、を有する。また、一実施形態に係る光電変換素子は、基材、電子取り出し層、及び正孔取り出し層を含むその他の構成要素を有していてもよい。一実施形態において、活性層は、上述のように半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。しかしながら、別の実施形態において、光電変換素子が、活性層とは異なる、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有する半導体層を有していてもよい。例えば、電子取り出し層又は正孔取り出し層等が、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有する半導体層であってもよい。
図3は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図3に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図3に示されるものに限られるわけではない。本発明の一実施形態に係る光電変換素子100は、基材107、カソード(電極)101、電子取り出し層(バッファ層)102、活性層103、正孔取り出し層(バッファ層)104、仕事関数チューニング層105及びアノード(電極)106がこの順に形成された層構造を有する。活性層103は、半導体化合物と絶縁性ポリマーとを含有している。なお、必ずしも電子取り出し層102、正孔取り出し層104及び仕事関数チューニング層105を設ける必要はない。また、仕事関数チューニング層がカソード101と電子取り出し層102との間に存在してもよい。
<4−1.活性層(103)>
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアはカソード101及びアノード106から取り出される。
活性層103の構造は特に限定されない。例えば、活性層103はp型半導体化合物を含有する層とn型半導体化合物を含有する層とを含むヘテロ接合型の活性層であってもよい。このような活性層103に光が入射すると、層界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)がカソード101及びアノード106へと輸送される。この場合、どの層が絶縁性ポリマーを含有していてもよい。例えば、全ての層が絶縁性ポリマーを含有していてもよい。
一実施形態において、活性層103は、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)を有するバルクヘテロ型の活性層である。i層においては、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが相分離している。i層に光が入射すると、相界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)がカソード101及びアノード106へと輸送される。i層には、p型半導体化合物を含有する層と、n型半導体化合物を含有する層との少なくとも一方が積層されていてもよい。この場合も、どの層が絶縁性ポリマーを含有していてもよい。
他の実施形態において、活性層103は、ペロブスカイト半導体化合物を含有する層であり、このような活性層103を有する太陽電池はペロブスカイト太陽電池として知られている。ペロブスカイト半導体においては、ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト半導体化合物が結晶を形成している。このような結晶においては速い電荷分離が起こるとともに正孔及び電子の拡散距離が長いため、効率のよい電荷分離が起こる。
活性層103の厚さに特段の制限はない。より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、特に好ましくは120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点で、活性層103の厚さは、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
(ヘテロ接合型の活性層及びバルクヘテロ型の活性層)
ヘテロ接合型又はバルクヘテロ型の活性層103が含有するp型半導体化合物に特段の制限はなく、低分子半導体化合物であっても高分子半導体化合物であってもよい。また、2種以上のp型半導体化合物を用いてもよい。電荷分離を促進する観点から、1.0eV以上1.8eV以下のエネルギーバンドギャップを有するp型半導体化合物を用いることは好ましい。また、簡易な塗布プロセスを用いて活性層103を形成できる点で、溶媒に溶解可能な高分子半導体化合物を用いることは好ましい。
p型の高分子半導体化合物としては、特段の制限はないが、二種以上のモノマー単位の共重合体である高分子半導体化合物を用いることが好ましい。このような光電子半導体化合物の例としては、Accounts of Chemical Research, 2012, 45, 723-733、Macromolecules, 2012, 45, 607-632、Chemistry of Materials, 2011, 23, 456-469、Energy & Environmental Science, 2011, 4, 1225-1237、Progress in Polymer Science, 2011, 36, 1326-1414、Journal of Materials Chemistry, 2012, 22, 10416-10434、及びProgress in Polymer Science, 2012, 37, 1292-1331に記載されるものが挙げられる。また、これらの高分子半導体化合物の誘導体を用いることもできるし、上記の文献に記載されたモノマーの共重合により得られる高分子半導体化合物を用いることもできる。さらには、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位等を制御するために、これらの高分子半導体化合物に対して置換基を導入してもよい。
ヘテロ接合型又はバルクヘテロ型の活性層103が含有するn型半導体化合物に特段の制限はなく、例えば、半導体層が含んでいてもよいn型半導体化合物として例示したものを用いることができる。
これらの中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型ポリマーがより好ましく、フラーレン化合物が特に好ましい。フラーレン化合物としては、特段の制限はないが、C60誘導体又はC70誘導体が特に好ましく、C61PCBM又はC71PCBMが特に好ましい。また、2種以上のn型半導体化合物を用いてもよい。
バルクヘテロ型の活性層103において、i層におけるn型半導体化合物に対するp型半導体化合物の質量比率(p型半導体化合物/n型半導体化合物)は、特段の制限はないが、良好な相分離構造を得ることにより光電変換効率を向上させる点で、0.15以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、一方、4以下であることが好ましく、2以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
(ペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層)
ペロブスカイト半導体化合物としては、特段の制限はなく、上述したものを用いることができる。好ましいペロブスカイト化合物の構造としては、一般式AMXで表されるものと一般式AMXで表されるものとが挙げられる。
1価のカチオンAに特段の制限はないが、例えば、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族〜第16族元素を含むカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン又は置換基を有していてもよいホスホニウムイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンAとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
1価のカチオンAの具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルアンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n−プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n−ブチルアンモニウムイオン、t−ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
2価のカチオンMにも特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンMとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
1価のアニオンXの例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4−ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。なかでも、Xとしてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせを用いることが好ましい。ハロゲン化物イオンXの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ化物イオンを用いることが好ましい。
ペロブスカイト半導体化合物の好ましい例としては、有機−無機ペロブスカイト半導体化合物が挙げられ、特にハライド系有機−無機ペロブスカイト半導体化合物が挙げられる。ペロブスカイト半導体化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3−x)Cl、CHNHPbI(3−x)Br、CHNHPbBr(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn、CHNHPb(1−y)SnBr、CHNHPb(1−y)SnCl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Br、及びCHNHPb(1−y)SnBr(3−x)Cl、並びに、上記の化合物においてCHNHの代わりにCFHNH、CFHNH、又はCFNHを用いたもの、等が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。
光電変換効率を向上させる観点から、ペロブスカイト半導体化合物としては、1.0eV以上3.5eV以下のエネルギーバンドギャップを有する半導体化合物を用いることが好ましい。
活性層103は、2種類以上のペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なる2種類以上のペロブスカイト半導体化合物が活性層103に含まれていてもよい。
活性層103に含まれるペロブスカイト半導体化合物の量は、良好な光電変換特性が得られるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に制限はなく、100質量%以下である。
また、活性層103は、ペロブスカイト半導体化合物に加えて、添加物を含有していてもよい。添加物は特に限定されないが、添加物としては、例えばハロゲン化物、酸化物、又は硫化物、硫酸塩、硝酸塩若しくはアンモニウム塩等の無機塩のような、無機化合物が挙げられる。活性層103中の添加剤の量は、良好な光電変換特性が得られるように、好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。下限に制限はなく、0質量%以上である。
(活性層の形成方法)
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることは好ましい。以下に、塗布法により活性層103を形成する方法について説明する。
バルクヘテロ型の活性層103は、p型半導体化合物と、n型半導体化合物と、絶縁性ポリマーと、溶媒と、を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布することにより形成することができる。この塗布液は、さらに添加剤を含有していてもよい。また、溶媒として、高沸点溶媒と低沸点溶媒との混合溶媒を用いてもよい。このような添加剤又は混合溶媒を用いることにより、溶媒の揮発速度を調整することができ、半導体化合物の組織化を促進して相分離構造を最適化することができる。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
塗布液を塗布した後に、加熱乾燥を行ってもよい。バルクヘテロ型の活性層103に対して加熱を行うことにより、活性層の自己組織化を促進することができる。加熱温度は、自己組織化の効果が得られるように、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、一方、熱による損傷が生じないように、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。加熱する時間としては、自己組織化の効果が得られるように、好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上であり、一方、処理効率を向上させる観点から、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。
塗布液の溶媒としては、p型半導体化合物、n型半導体化合物及び絶縁性ポリマーを均一に溶解できるものであれば、特に限定されない。例えば、半導体層を塗布法により形成する際に用いることができる溶媒として挙げたものを用いることができる。なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;又は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類である。一方で環境負荷の観点からは、非ハロゲン系溶媒を用いることが好ましい。
より好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン若しくはシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の非ハロゲン系脂環式炭化水素類;又は、1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。溶媒としては1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
高沸点溶媒としては、常圧下での沸点が180℃以上250℃以下である溶媒を用いることが好ましく、具体例としてはテトラリン、デカリン又はアセトフェノン等が挙げられる。低沸点溶媒としては、常圧下での沸点が60℃以上150℃以下である溶媒を用いることが好ましく、具体例としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン又はエチルメチルケトン等が挙げられる。このような沸点の溶媒を組み合わせることにより、半導体化合物の組織化を促進することができる。環境負荷の観点から、これらの高沸点溶媒及び低沸点溶媒は非ハロゲン系溶媒であることが好ましい。
高沸点溶媒と低沸点溶媒との比率は、特に制限されない。半導体化合物の組織化を促進しやすい点で、重量比(高沸点溶媒/低沸点溶媒)が1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがより好ましい。一方、重量比(高沸点溶媒/低沸点溶媒)が10/1以下であることが好ましく、2/1以下であることがさらに好ましく、1/1以下であることがより好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。
低沸点溶媒と高沸点溶媒との組み合わせの例としては、非ハロゲン芳香族炭化水素類と脂環式炭化水素類、非ハロゲン芳香族炭化水素類と芳香族ケトン類、エーテル類と脂環式炭化水素類、エーテル類と芳香族ケトン類、脂肪族ケトン類と脂環式炭化水素類、又は脂肪族ケトン類と芳香族ケトン類、等が挙げられる。好ましい組み合わせの具体例としては、トルエンとテトラリン、キシレンとテトラリン、トルエンとアセトフェノン、キシレンとアセトフェノン、テトラヒドロフランとテトラリン、テトラヒドロフランとアセトフェノン、メチルエチルケトンとテトラリン、メチルエチルケトンとアセトフェノン等が挙げられる。
塗布液が添加剤を含む場合、塗布液全体に対する添加剤の量は、半導体化合物の組織化を促進しやすい点で、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、一方、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
塗布液は、p型半導体化合物の溶液と、n型半導体化合物の溶液と、絶縁性ポリマーの溶液とをそれぞれ調製した後に、これらの溶液を混合することにより作製することができる。また、塗布液は、溶媒にp型半導体化合物、n型半導体化合物及び絶縁性ポリマーを溶解させることによっても作製することができる。
塗布液中のp型半導体化合物とn型半導体化合物との合計濃度は、特に限定されない。十分な厚さの活性層を形成する観点から、合計濃度は塗布液全体に対して0.3質量%以上であることが好ましい。また、半導体化合物を十分に溶解させる観点から、合計濃度は塗布液全体に対して20質量%以下であることが好ましい。
ヘテロ接合型の活性層103は、p型半導体化合物と溶媒とを含む塗布液と、n型半導体化合物と溶媒とを含む塗布液をそれぞれ調製し、これらの塗布液を順番に塗布することにより形成することができる。p型半導体化合物を含む塗布液と、n型半導体化合物を含む塗布液と、の少なくとも一方は、さらに絶縁性ポリマーを含んでいる。溶媒及び塗布方法に特段の制限はなく、バルクヘテロ型の活性層の形成方法において説明した溶媒及び塗布方法を使用することができる。バルクヘテロ型の活性層を作製する場合と同様、それぞれの塗布液を塗布した後に加熱乾燥を行うことが好ましい。また、バルクヘテロ型の活性層を作製する場合と同様、それぞれの塗布液は添加剤を含んでいてもよい。
ペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層103を形成する場合にも、活性層103の形成方法に特段の制限はない。一例としては、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表わされる化合物と、絶縁性ポリマーと、溶媒と、を含有する塗布液を作製し、この塗布液を塗布する方法が挙げられる。このような塗布液は、化合物を溶液中で加熱攪拌することにより作製することができる。この方法によれば、下記式(1)で表される化合物と絶縁性ポリマーとを含有する活性層103を作製することができる。
別の例としては、下記式(3)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布した後、下記式(2)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布し、加熱アニールする方法が挙げられる。式(3)で表される化合物を含有する塗布液と、式(2)で表される化合物を含有する塗布液と、の少なくとも一方は、さらに絶縁性ポリマーを含んでいる。この方法によっても、下記式(1)で表される化合物と絶縁性ポリマーとを含有する活性層103を作製することができる。
AMX ・・・(1)
AX ・・・(2)
MX ・・・(3)
A、M及びXの定義は上述の通りである。AXの具体例としてはハロゲン化アルキルアンモニウム塩が挙げられ、MXの具体例としては金属ハロゲン化物が挙げられる。AX及びMXは、ベロブスカイト半導体化合物AMXの前駆体である。
加熱攪拌又は加熱アニールの際の加熱温度は、化合物の反応を十分に促進する観点から、60℃以上であることが好ましく、一方、副反応を避ける観点から、150℃以下であることが好ましい。また、加熱攪拌時間は、化合物の反応を十分に促進する観点から、2時間以上であることが好ましく、生産効率を向上させる観点から、24時間以下であることが好ましい。なお、アニールの方法は、特段の制限はなく、常圧下、または、減圧下、ホットプレートにより行ってもよいし、近赤外線加熱装置(NIR)により行ってもよい。
式(3)で表される化合物に対する式(2)で表される化合物のモル分率(2/3)は、特段の制限はない。しかしながら、活性層中にBXが残存すると光電変換素子の変換効率が低下する傾向がある。また、後述する加熱処理により式(2)で表される化合物を除去できても、式(3)で表される化合物は加熱により除去することが困難であることが多い。そのため、式(3)で表される化合物が層中に残存しないように活性層103を形成することが好ましい。この点から、式(3)で表される化合物に対する式(2)で表される化合物のモル分率(2/3)は100モル%以上であることが好ましく、一方、600モル%以下であることが好ましく、400モル%以下であることが特に好ましい。
また、塗布液全量に対する式(2)で表される化合物及び/又は式(3)で表される化合物の合計量は、十分な厚さの活性層103を作製するために、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。一方で、溶媒中での析出を避けるために、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
また、結晶形成を促進するために、塗布液がさらに添加物を含んでいてもよい。この場合、添加物の量は、良好な光電変換性能が得られるように、式(2)で表される化合物及び/又は(3)で表される化合物の合計量に対して、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
ペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層103を形成する場合も、塗布液を塗布した後に加熱乾燥を行うことが好ましい。加熱により配位している溶媒及び残存する式(2)で表わされる化合物が層中から除去されて結晶化が促進され、光電変換効率が向上する傾向にある。結晶化の進行は塗布液の濃度に依存するため、塗布液の濃度が薄い場合又は溶媒の含有量が少ない場合には、加熱時間を短くすることが好ましい。
この際の加熱温度は、特段の制限はないが、十分に結晶化を促進する観点から、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、一方、ペロブスカイト半導体化合物の分解及び副反応を抑制するために、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。加熱する時間にも特段の制限はないが、十分に結晶化を促進する観点から、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、一方、生産効率を向上させる観点から、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは2時間以下である。これらの加熱は、常圧下、または、減圧下、で行ってよい。
<4−2.バッファ層(102,104)>
バッファ層は通常、電子取り出し層と正孔取り出し層とに分類することができる。一実施形態において、光電変換素子100は、カソード101と活性層103との間に電子取り出し層102を有し、活性層103とアノード106との間に正孔取り出し層104を有する。もっとも、光電変換素子100は、電子取り出し層102と正孔取り出し層104との一方のみを有していてもよいし、電子取り出し層102と正孔取り出し層104とのどちらも有さなくてもよい。
電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは、一対の電極(101,106)間に、活性層103を挟むように配置されることが好ましい。すなわち、光電変換素子100が電子取り出し層102と正孔取り出し層104の両者を含む場合、アノード(電極)106、正孔取り出し層104、活性層103、電子取り出し層102、及びカソード(電極)101をこの順に配置することができる。光電変換素子100が電子取り出し層102を含み正孔取り出し層104を含まない場合は、アノード(電極)106、活性層103、電子取り出し層102、及びカソード(電極)101をこの順に配置することができる。電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは積層順序が逆であってもよい。また、電子取り出し層102と正孔取り出し層104の少なくとも一方が異なる複数の膜により構成されていてもよい。
(電子取り出し層)
電子取り出し層102の材料に特に限定は無く、活性層103からカソード101への電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等のアルカリ金属の塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム又は酸化インジウム等の金属酸化物が挙げられる。有機化合物としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、フラーレン化合物、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
電子取り出し層102の形成方法に特に制限はない。昇華性を有する化合物を材料として用いる場合は、真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、溶媒に可溶な化合物を材料として用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。なお、溶媒としては、活性層103の形成方法の説明において挙げた溶媒を用いることができる。湿式成膜法を用いる場合の、電子取り出し層102の材料を含有する塗布液の塗布方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法及びカーテンコート法が挙げられる。また、塗布法として1種の方法のみを用いてもよいし、2種以上の方法を組み合わせて用いることもできる。
電子取り出し層102の全体の膜厚に特に限定はないが、好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が上記の範囲内にあることで、均一な塗布が容易となり、電子取り出し機能もよく発揮されうる。
(正孔取り出し層)
正孔取り出し層104の材料に特に限定は無く、活性層103からアノード106への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。また、有機化合物としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及びヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー(例えば、PEDOT:PSS又はドーピングされたP3HT)、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、又はリチウムドーピングされたspiro−OMeTADが挙げられる。
正孔取り出し層104の全体の膜厚に特に限定はないが、好ましくは0.5nm以上である。一方、好ましくは400nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.5nm以上であることでバッファ材料としての機能をよく果たすことになり、正孔取り出し層104の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。昇華性を有する化合物を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、溶媒に可溶な化合物を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。なお、溶媒としては、活性層103の形成方法の説明において挙げた溶媒を用いることができる。
<4−3.電極(101,106)>
電極は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極としては、正孔の捕集に適したアノード106と、電子の捕集に適したカソード101とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U−4100)で測定できる。
カソード101及びアノード106の構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。
<4−4.仕事関数チューニング層(105)>
仕事関数チューニング層105は、カソード101又はアノード106の仕事関数を調整する。しかしながら、カソード101又はアノード106が適切に機能しうるのであれば、仕事関数チューニング層105を設ける必要はない。
仕事関数チューニング層105の種類は特に限定されず、公知のものを使用することができる。仕事関数チューニング層105の材料の例としては、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)若しくは分岐ポリエチレンイミン(PEI)等のアミン系ポリマー若しくはオリゴマーが、塗布による成膜が容易な点で好ましい。この場合、有機溶媒への溶解性を上げる観点から、仕事関数チューニング層105の材料の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは1000以上、特に好ましくは10000であり、一方で、好ましくは1000000以下、好ましくは500000以下であり、特に好ましくは200000以下である。
仕事関数チューニング層105の形成方法に制限はない。昇華性を有する化合物を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、溶媒に可溶な化合物を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。なお、溶媒としては、活性層103の形成方法の説明において挙げた溶媒を用いることができる。
<4−5.その他の層>
光電変換素子110は、図3に示す構成要素以外の構成要素を有していてもよい。例えば、光電変換素子110は、活性層103と電極(101,106)との間に絶縁体層を有していてもよい。具体的な例としては、活性層103と電子取り出し層104との間に絶縁体層を設けることができる。絶縁体層とは、直流電流を通さない絶縁体を含有する層のことを指す。このような絶縁体層を設けることにより、水分等の物質が活性層103に到達することを効果的に抑制することができる。その一方で、薄い絶縁体層を設けても光電変換素子110の機能は保たれる。これは、トンネル効果のために電子又は正孔であるキャリアが絶縁体層を透過するためであると考えられる。
絶縁体層の材料に特に制限はないが、例えばフッ素樹脂又はケイ素樹脂を用いることができる。絶縁体層による防湿性を向上させる観点から、絶縁体層の厚さは、1.0nm以上であることが好ましく、5.0nm以上であることがさらに好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。また、トンネル効果によるキャリアの移動を促進する観点から、絶縁体層の厚さは、30nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。
<4−6.基材(107)>
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材107を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材107を有さなくてもよい。基材107の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
<4−7.光電変換素子の作製方法>
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(万葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。
なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合がある。
ロールツゥーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツゥーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、好ましくは4m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は好ましくは1cm以上、さらに好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは各工程で成膜される層が曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは光電変換素子100の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
また、カソード101又はアノード106を積層した後に、光電変換素子100を好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上、一方、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、光電変換素子100の各層間の密着性、例えば電子取り出し層102とカソード101、電子取り出し層102と活性層103等の層間の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、光電変換素子100に含まれる有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内において異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、熱分解を抑えながら密着性を向上させるために、好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上、一方、好ましくは180分以下、さらに好ましくは60分以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
<4−8.光電変換特性>
光電変換素子100の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子100にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
光電変換素子100の光電変換効率は、特段の制限はないが、好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。また、光電変換素子100のフィルファクターは、特段の制限はないが、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
また、光電変換素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、光電変換素子100を1週間大気暴露する前後での光電変換効率の耐久性は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。光電変換効率の耐久性は、光電変換素子100を大気暴露する前後での光電変換効率に基づいて、以下のように算出することができる。
耐久性(%)=((大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率))×100
<5.太陽電池>
本発明に係る光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図4は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図4には本発明の一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池が示されている。図4に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、本発明に係る光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図4中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図5に示すように、本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。基材12としては周知技術を用いることができ、例えば、基材12の材料としては国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等に記載の材料を用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
<6.本発明に係るさらなる半導体デバイス>
本発明に係るさらなる半導体デバイスは、一対の電極と、一対の電極間に配置された半導体層と、を有する。一実施形態において、半導体層の格子サイズは25nm以下である。ここで、格子サイズとは、半導体層に含まれる半導体化合物結晶の大きさのことを意味し、X線回折測定に基づいてシェラーの式を用いて算出することができる。半導体層の格子サイズを小さくすることにより、半導体層の表面粗さが小さくなって層界面がより平滑になるため、短絡等による性能劣化を抑制することが可能となる。また、半導体層がより緻密になり、耐久性を向上させることができる。
また、半導体デバイスを光デバイスとして用いる場合、半導体層の光透過率が高いことが好ましいことがある。例えば、光電変換素子においては、活性層の光透過率を高めることにより、活性層内部に到達する光を増加させることができる。ここで、半導体層の格子サイズを小さくすることにより、半導体層中における光の反射及び/又は散乱を抑えることができるため、半導体層の光透過率も高めることができる。また、半導体層の格子サイズを小さくすることにより、半導体層の表面粗さを小さくすることができ、半導体層表面における光の反射及び/又は散乱を抑えることができるため、半導体層の光透過率も高めることができる。
このような半導体デバイスは、例えば、上述したように半導体層に絶縁性ポリマーを加えることにより作製することができる。しかしながら、作製方法はこの方法には限定されず、半導体層の格子サイズを小さくすることで上記のような効果を得ることができる。一実施形態において、上記の効果を得るために、半導体層の格子サイズは20nm以下であることが特に好ましい。また、格子サイズの下限に特段の制限はないが、導電性の低下を防ぐために5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることが好ましい。
また、半導体層の表面粗さ(Rq)は、特段の制限はないが、上記の効果を得るために10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。一方、下限は特に限定されない。表面粗さ(Rq,二乗平均平方根粗さ)は、JIS B 0601:2013に従って測定できる。その他の構成については、上述した半導体デバイスと同様の構成を採用することができ、例えば半導体層はペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例には限定されない。
[実施例1]
(活性層塗布液の調製)
モル比が1:1:4となるようにヨウ化鉛(II)(0.84g)、塩化鉛(II)(0.51g)及びヨウ化メチルアンモニウム(CHNHI,1.16g)をバイアルに量りとり、ポリビニルピロリドン(PVP,49.4mg,重量平均分子量Mw=40×10)とN、N−ジメチルホルムアミド(8mL)を加えた。次に、得られた混合液を67℃で6時間加熱撹拌した。その後、得られた溶液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径0.2μm)で濾過することにより、活性層塗布液を作製した。得られた活性層塗布液中での、ヨウ化鉛(II)、塩化鉛(II)とヨウ化メチルアンモニウムとの合計濃度は、25質量%であった。こうして作製された活性層塗布液を用いることにより、モル比1:1:2のヨウ化鉛(II)、塩化鉛(II)、及びヨウ化メチルアンモニウムで構成されるペロブスカイト半導体化合物(1.93g)を形成できると考えられた。形成可能なペロブスカイト半導体化合物に対する、活性層塗布液に含まれるポリビニルピロリドンの質量比は2.6質量%であった。
(光電変換素子の作製)
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、洗浄剤(横浜油脂工業社製,精密ガラス基板用洗浄剤セミクリーンM−LO,15mL)を用いた超音波洗浄、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV−オゾン処理を行った。
次に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)分散液(PEDOT:PSS,ヘレウス社製)をオートバイアル(孔径0.45μm)でろ過した後、室温で、上記の基板上に3000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約35nmの正孔取り出し層を形成した。得られた基板を120℃で30分間加熱した。
次に、基板をグローブボックスに導入し、窒素雰囲気下115℃で20分間加熱処理した。冷却後、基板上に活性層塗布液(0.1mL)を6000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約100nmの層を形成し、さらにホットプレート上100℃で25分間加熱アニールした。以上のようにして、活性層を形成した。こうして形成された活性層には、ハライド系有機−無機ペロブスカイト半導体化合物と、絶縁性ポリマーであるポリビニルピロリドンとが含まれる。
次に、活性層上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液CYTOP(旭硝子社製,0.4質量%に調製,0.1mL)を、6000rpmの回転下で添加することにより、絶縁体層を形成した。絶縁体層の厚さは15nmであった。
なお、CYTOPの特性は、体積抵抗率:>1017Ωcm(JIS K6911)、比誘電率:2.0〜2.1(100Hz〜1MHz,室温,JEC−6150)、屈折率:1.34(JIS K7142,25℃〜)、水接触角:110°、ガラス転移温度:108℃である。また200μm厚のCYTOPフィルムの可視光線透過率は95%である。さらに、100μm厚のCYTOPフィルムの水蒸気透過率は、0.2g/m(24時間)であった。
次に、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM,フロンティアカーボン社製,20mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた溶液を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径0.2μm)で濾過した。得られた溶液(0.1mL)を活性層上に2000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約70nmの電子取り出し層を形成した。
次に、電子取り出し層上に、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)のメタノール溶液(0.2質量%,0.1mL)を、6000rpmの回転下で添加することにより、厚さ約10nmの仕事関数チューニング層を形成した。
次に、仕事関数チューニング層上に、抵抗加熱型真空蒸着法によりパターニングマスクを用いて厚さ約150nmの銀膜を蒸着させ、電極を形成した。こうして、25×30mm角の光電変換素子を作製した。
[実施例2]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を19.8mg(1.0質量%(ペロブスカイト半導体化合物に対する質量比、以下同じ))としたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例3]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を39.5mg(2.0質量%)としたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例4]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を59.3mg(3.1質量%)としたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例5]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの重量平均分子量が10×10であり、質量が29.6mg(1.5質量%)であったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例6]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの重量平均分子量が10×10であり、質量が59.3mg(3.1質量%)であったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例7]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの重量平均分子量が360×10であり、質量が29.6mg(1.5質量%)であったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例8]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに重量平均分子量66×10のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(70:30,29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例9]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに重量平均分子量45×10のポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(50:50,29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例10]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに重量平均分子量45×10のポリビニルピロリドン−ヨウ素錯体(アルドリッチ社製,29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例11]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに架橋ポリビニルピロリドン(Alfa社製,29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例12]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに重量平均分子量60×10のポリ(4−ビニルピリジン)(29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例13]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに重量平均分子量160×10のポリ(4−ビニルピリジン)(29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[比較例1]
活性層塗布液にポリビニルピロリドンを加えなかったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[比較例2]
活性層塗布液にポリビニルピロリドンを加えなかったこと、及び活性層上に絶縁体層を形成しなかったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[比較例3]
活性層塗布液を調製する際に、ポリビニルピロリドンの代わりに導電性ポリマーであるポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV,29.6mg,1.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[光電変換素子の評価]
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた光電変換素子に1mm角のメタルマスクを付け、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定にはソースメーター(ケイスレー社製,2400型)を用い、照射光源としてはエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用いた。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。光電変換素子を作製した直後の測定結果に基づいて算出されたこれらの値を表1に示す。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
また、実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた光電変換素子の耐久性を評価した。結果を表1に示す。耐久性は、21〜22℃、湿度35〜45%の条件下で測定を繰り返し行った場合に、作製直後の変換効率(初期変換効率)に対して変換効率が80%となるまでの時間により評価した。表1において、×は、24時間未満で変換効率が初期変換効率の80%以下になったことを示す。また、△は、24時間以上48時間未満で変換効率が初期変換効率の80%以下になったことを示す。また、○は、48時間以上500時間未満で変換効率が初期変換効率の80%以下になったことを示す。また、◎は、500時間経過しても変換効率が初期変換効率の80%以下にならなかったことを示す。
また、実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた光電変換素子の透過性の評価を行った。透過性は、上部電極(銀電極)を形成する前における光電変換素子の透過スペクトルに従って評価した。すなわち、ブランクを空気として透過スペクトルを測定し、400〜800nmの波長範囲における平均透過率を算出した。得られた結果を表1に示す。
表1に示すように、活性層が絶縁性ポリマーを含有している実施例1〜13においては、比較例1〜3と比べて耐久性が大幅に向上することが確認された。また、活性層が絶縁性ポリマーを含有している実施例1〜13においては、フィルファクター(FF)の値が大幅に向上することが分かった。さらには、絶縁性ポリマーの添加により、光電変換素子の光透過率も向上することが分かった。さらに、実施例1〜13において、活性層が絶縁性ポリマーを含有しているにもかかわらず、作製直後の光電変換効率はほとんど低下せず、むしろ向上しているものが多数確認された。
[実施例14]
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、洗浄剤(横浜油脂工業社製,精密ガラス基板用洗浄剤セミクリーンM−LO,15mL)を用いた超音波洗浄、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV−オゾン処理を行った。次に、活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を57.0mg(3.0質量%(ペロブスカイト半導体化合物に対する質量比、以下同じ))としたことを除き、実施例1と同様の方法で活性層塗布液を作製し、基板上に該活性層塗布液(0.1mL)を6000rpm/45秒の速度でスピンコートし、その後、ホットプレート上100℃で25分間加熱アニールした。
このようにして得られた膜の格子サイズ及び表面粗さを測定した。なお、格子サイズは以下の条件でX線回折ピークを測定し、下記のシェラーの式により算出した。また、表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM)により、バネ板の先端に探針を取り付けたカンチレバーを、試料表面より数nmの距離にまで近づけて、探針先端の原子と試料の原子の間に働く原子間力によって試料の凹凸を測定し、その差を求めることで測定した。
(測定条件)
測定装置 リガク社製SmartLab
光学系 斜入射X線回折光学系
測定条件 out of plane法
X線出力 45kV、200mA(CuKα)
走査軸 2θ
入射角(θ) 0.02°
走査範囲(2θ) 3−40°
走査速度 3°/min
(シェラーの式)
T=Kλ/β・cosθ
(T=格子サイズ、K=形状因子、λ=X線波長、β=ピーク半値全幅、θ=ブラッグ角)
なお、形状因子は0.94を用いた。
[実施例15]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を114.0mg(5.9質量%(ペロブスカイト半導体化合物に対する質量比、以下同じ))としたことを除き、実施例14と同様の方法により活性層を成膜し、格子サイズ及び表面粗さを測定した。得られた結果を表2に示す。
[実施例16]
活性層塗布液を調製する際に用いたポリビニルピロリドンの質量を190.0mg(9.8質量%(ペロブスカイト半導体化合物に対する質量比、以下同じ))としたことを除き、実施例14と同様の方法により活性層を成膜し、格子サイズ及び表面粗さを測定した。得られた結果を表2に示す。
[比較例4]
ポリビニルピロリドンを添加しなかったこと以外は、実施例14と同様の方法により活性層を成膜し、格子サイズ及び表面粗さを測定した。得られた結果を表2に示す。
表2の結果から、絶縁性ポリマーを添加しない比較例4に係る活性層の格子サイズは38nmであった。一方で、実施例14〜16に係る活性層の格子サイズは16nm〜17nmと非常に小さいことが確認できた。すなわち、表1及び表2の結果を踏まえて考えると、絶縁性ポリマーを添加しない場合、活性層の格子サイズが大きいために、素子に光が入射した際に、光の反射及び/又は散乱により素子の光の透過率が低くなってしまったと考えられる。一方で、絶縁性ポリマーを添加することにより、活性層の格子サイズが小さくなるために、光の反射、散乱等を抑えることができ、その結果、素子の透過率が向上したと考えられる。
また、比較例4に係る活性層の表面粗さが14.55nmであったのに対して、実施例14〜16に係る活性層の表面粗さは2.85nm〜3.11nmとなり、比較例4と比較して大幅に小さくなることが確認できた。すなわち、表1及び表2の結果を踏まえて考えると、絶縁性ポリマーを添加しない場合、活性層の表面粗さが大きいために、素子に光が入射した際に、光の反射及び/又は散乱により素子の光の透過率が低くなってしまったと考えられる。一方で、絶縁性ポリマーを添加した場合は、活性層の表面粗さが小さくなるために、光の反射、散乱等を抑えることができ、その結果、素子の透過率が向上したと考えられる。このように実施例14〜16において活性層の表面粗さが小さくなることは、活性層の格子サイズが小さくなったことを反映しているものと考えられる。また、以上のような格子サイズ及び表面粗さに関する特性は、各実施例に係る光電変換素子の耐久性によい影響を与えているものと考えられる。
[実施例17]
ペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層の結晶構造を確認するために、以下のようにXRD測定を行った。すなわち、実施例14と同様の方法により基板上に活性層塗布液を塗布し、加熱処理を行い、それぞれ26℃又は60℃下においてXRD測定を行った。なお、XRD測定は、温度以外は実施例14と同様の条件で行った。得られた結果を図6に示す。
[比較例5]
比較例4と同様の方法により基板上に活性層塗布液を塗布し、加熱処理を行い、それぞれ26℃又は60℃下においてXRD測定を行った。なお、XRD測定は、温度以外は実施例14と同様の条件で行った。得られた結果を図7に示す。
図7の結果を参照すると、比較例5において、活性層は60℃の場合立方晶系の構造であったのに対して、26℃の場合正方晶系の構造であったことが確認できる。一方、図6の結果を参照すると、実施例17においては、26℃及び60℃でともに活性層は立方晶系の構造となることが確認できる。これらの結果を評価すると、絶縁性ポリマーを添加しないペロブスカイト化合物含有活性層は、温度が低下すると立方晶系から正方晶系に変化してしまうために耐久性が低いものと考えられる。一方、絶縁性ポリマーを添加したペロブスカイト化合物含有活性層は温度が低下しても立方晶系を維持することができるために、温度変化に伴い構造が変化せず、高い耐久性を有するものと考えられる。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
31 基材
32 陽極
33 正孔注入層
34 正孔輸送層
35 発光層
36 電子輸送層
37 電子注入層
38 陰極
39 電界発光素子
51 半導体層
52 絶縁体層
53,54 ソース電極及びドレイン電極
55 ゲート電極
56 基材
100 光電変換素子
101 カソード
102 電子取り出し層
103 活性層
104 正孔取り出し層
105 仕事関数チューニング層
106 アノード
107 基材

Claims (12)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極間に配置された半導体層と、を有する半導体デバイスであって、前記半導体層が、半導体化合物と下式(Ia)で表される繰り返し単位を含む絶縁性ポリマーとを含有することを特徴とする、半導体デバイス。
    (式(Ia)において、R及びRはそれぞれ独立して炭化水素基又は水素原子を表し、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。)
  2. 及びRが互いに結合して環を形成していることを特徴とする、請求項に記載の半導体デバイス。
  3. 前記絶縁性ポリマーを構成する繰り返し単位のうち、式(Ia)で表される繰り返し単位の割合が50モル%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
  4. 前記半導体層における、前記半導体化合物に対する前記絶縁性ポリマーの割合が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  5. 前記絶縁性ポリマーの重量平均分子量が10×10以上400×10以下であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  6. 前記絶縁性ポリマーはアモルファスポリマーであり、かつ屈折率が1.5以下であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  7. 1gのN,N−ジメチルホルムアミドに対する前記絶縁性ポリマーの25℃における溶解度が0.5mg以上であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  8. 前記半導体化合物がペロブスカイト半導体化合物を含有することを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  9. 光電変換素子であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項に記載の半導体デバイス。
  10. フィルファクターが0.7以上であることを特徴とする、請求項に記載の半導体デバイス。
  11. 請求項又は10に記載の半導体デバイスを有する太陽電池。
  12. 請求項11に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
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