JP2016127093A - 光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】時間経過による変換効率の低下が少ない光電変換素子を提供する。
【解決手段】一対の電極と、一対の電極間に配置された活性層と、活性層と一対の電極のうちの少なくとも一方との間に配置された絶縁体層と、を備えることを特徴とする光電変換素子。
【選択図】図1A

Description

本発明は、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
近年、太陽電池用の様々な光電変換素子が報告されている。一例として、活性層材料として有機半導体が用いられている光電変換素子が挙げられる。例えば、非特許文献1には、ポリチオフェンのようなp型高分子半導体化合物とフラーレン化合物のようなn型半導体化合物とを含有するバルクへテロ型の活性層を有する有機光電変換素子が記載されている。
また、別の例として、活性層材料としてペロブスカイト半導体が用いられている光電変換素子も報告されている。例えば、非特許文献2及び3には、ペロブスカイト構造を有する化合物を含有する活性層を備える光電変換素子が記載されている。これらの光電変換素子の変換効率は、近年著しく向上している。
Zhou et al. Macromolecules, 2014, 45, 607-632. Wang et al. Nanoscale, 2014, 6, 12287-12297. Boix et al. Materials today, 2014, 17, 16-23.
本発明者等の検討によると、作製直後には高い変換効率が得られる光電変換素子であっても、時間経過とともに変換効率が低下することがあることが判明した。
本発明は、時間経過による変換効率の低下が少ない光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、変換効率の低下の原因は、外部環境下で使用する際に、光電変換素子に含まれる活性層が水分により劣化するためであると推定した。本発明者らが上記実情に鑑み鋭意検討した結果、光電変換素子内に水分を遮断する絶縁体層を設けても光電変換による光電流を取り出せること、及び変換効率の低下を抑制できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記活性層と前記一対の電極のうちの少なくとも一方との間に配置された絶縁体層と、を備えることを特徴とする光電変換素子。
[2]前記絶縁体層の厚さが1.0nm以上30nm以下であることを特徴とする、[1]に記載の光電変換素子。
[3]前記絶縁体層の体積抵抗率が1.0×10Ωcm以上であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記絶縁体層は高分子化合物を含有することを特徴とする、[1]から[3]の何れかに記載の光電変換素子。
[5]前記絶縁体層はフッ素含有樹脂又はケイ素含有樹脂を含有することを特徴とする、[1]から[4]の何れかに記載の光電変換素子。
[6]前記活性層がぺロブスカイト半導体を含有することを特徴とする、[1]から[5]の何れかに記載の光電変換素子。
[7][1]から[6]の何れかに記載の光電変換素子を有する太陽電池。
[8][7]に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
本発明により、時間経過による変換効率の低下が少ない光電変換素子、該光電変換素子を有する太陽電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光電変換素子の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態に係る光電変換素子の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に示す断面図。 本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
[1.光電変換素子]
本発明の一実施形態に係る光電変換素子は、一対の電極と、一対の電極間に配置された活性層と、活性層と一対の電極のうちの少なくとも一方との間に配置された絶縁体層と、を備える。本発明の一実施形態に係る光電変換素子110を図1Aに示す。
図1Aに示すように、光電変換素子110は、基材100と、下部電極101と、下部バッファ層102と、活性層103と、上部バッファ層104と、仕事関数チューニング層105と、絶縁体層106と、上部電極107と、がこの順に積層された構造を有する。このように、光電変換素子110は一対の電極である下部電極101及び上部電極107を備える。一対の電極のうち、下部電極101は基材100により近い電極のことを指し、上部電極107は基材100からより離れた電極のことを指す。また、一対の電極の間には活性層103が配置されている。また、活性層103と上部電極107との間には絶縁体層106が配置されている。
しかしながら、本発明に係る光電変換素子が、図1Aに示す構造を有している必要はない。本発明の他の実施形態に係る光電変換素子120を図1Bに示す。光電変換素子120は、光電変換素子110と類似した構成を有するが、上部バッファ層104と仕事関数チューニング層105との間に絶縁体層106が配置されている。このように、一実施形態において、絶縁体層106は、活性層103と、一対の電極のうち基材100からより離れている上部電極107と、の間に配置されている。
図1Cには、本発明のさらなる実施形態に係る光電変換素子130が示されている。光電変換素子130は、光電変換素子110と類似した構成を有するが、下部電極101と下部バッファ層102との間に絶縁体層106が配置されている。また、上部バッファ層104及び仕事関数チューニング層105が存在しない。このように、一実施形態において、絶縁体層106は、活性層103と、一対の電極のうち基材100により近い下部電極101と、の間に配置されている。また、下部バッファ層102と上部バッファ層104とのうち少なくとも一方が存在しなくてもよい。さらには、仕事関数チューニング層105は存在しなくてもよい。なお、基材100が存在することも必須ではない。
図1Dには、本発明のさらなる実施形態に係る光電変換素子140が示されている。光電変換素子140は、光電変換素子110と類似した構成を有するが、活性層103と上部バッファ層104との間に絶縁体層106が配置されている。
このように、絶縁体層106は、活性層103と一対の下部電極101及び上部電極107とのうちの少なくとも一方との間に配置されている。言い換えれば、絶縁体層106は、一対の下部電極101及び上部電極107の間に配置されている。図1A〜Dは、光電変換素子が1つの絶縁体層106を有する場合について示されている。しかしながら、光電変換素子は2つ以上の絶縁体層106を有していてもよい。また、活性層103と下部電極101との間、及び活性層103と上部電極107との間、の双方に絶縁体層106が配置されていてもよい。
以下、光電変換素子110が備える各構成について説明する。光電変換素子120,130,140が備える各構成は、光電変換素子110が備える各構成と同様であり、説明は省略する。
[1−1.絶縁体層(106)]
絶縁体層106とは、絶縁体を含有する層のことを指す。絶縁体は、直流電流を通さない物質のことを指す。絶縁体は、通常は導電体よりも高い誘電性を有するとともに、広いバンドギャップを有する。
絶縁体を含有する絶縁体層106を光電変換素子110の活性層103と下部電極101又は上部電極107との間に設けた場合、活性層103と下部電極101又は上部電極107との間でキャリアが移動せず、光電流を取り出せないことが想定される。しかしながら、本発明者らの検討によれば、絶縁体層106を設けても光電流を取り出すことが可能となることが判明した。さらには、絶縁体層106を設けない場合と比較して、絶縁体層106を設けた場合にも変換効率は低下しないことが判明した。これは、トンネル効果のために、電子又は正孔であるキャリアが絶縁体層106を透過するためと考えられる。
このような絶縁体層106を活性層103と下部電極101又は上部電極107との間に設けることにより、時間経過による光電変換素子110の変換効率の低下が抑制されることが判明した。これは、活性層103へと微量の水分が侵入することが防止されるためであると考えられる。具体的には、活性層103と下部電極101又は上部電極107との間に絶縁体層106を設けることにより、光電変換素子110内に侵入した水分が活性層103に到達することを防止することができる。特に、上部電極107は光電変換素子110の一面(図1Aの下面)の一部にのみ設けられることがあり、このような場合には、上部電極107で覆われていない部分から侵入する水分を絶縁体層106により効果的にブロックすることができる。また、活性層103と下部電極101又は上部電極107との間に絶縁体層106を設けることにより、例えば製造時に基材100に付着していたために光電変換素子110内に含まれる水分が、活性層103に到達することを防止することができる。
絶縁体層106による防湿性を向上させ、及び絶縁体層106の厚さを均一とする観点から、絶縁体層106の厚さは、1.0nm以上であることが好ましく、5.0nm以上であることがさらに好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。また、トンネル効果によるキャリアの移動を促進する観点から、絶縁体層106の厚さは、30nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。
活性層103への水分の侵入を抑えるために、絶縁体層106は低い水蒸気透過率を有することが好ましい。例えば、絶縁体層106の材料を用いて100μmの厚さの薄膜を形成した場合、この薄膜の水蒸気透過率(JIS K7129,赤外センサー法,25℃,相対湿度差90%,24時間)は、好ましくは5.0g/m以下であり、さらに好ましくは1.0g/m以下であり、より好ましくは0.5g/m以下である。下限は特になく、0g/m以上である。また、水蒸気バリア性を発揮するように、絶縁体層106の水との接触角は好ましくは60°以上であり、さらに好ましくは80°以上であり、より好ましくは100°以上である。
一般に、光電変換素子110の変換特性は、各層の仕事関数の関係に影響を受ける。光電変換素子110の変換特性を高く保つためには、仕事関数の大きさの順に各層を配列することが多い。このため、防水性を期待して光電変換素子110の内部に金属層のような導電性層を設けようとしても、仕事関数の関係が乱れてしまうために、光電変換特性を高く保つことは容易ではなかった。一方で、本実施形態のように絶縁体層106を設ける場合には、絶縁体層106は広いバンドギャップを有し、各層の仕事関数の関係を乱さないため、光電変換素子110の変換特性を高く保つことができるものと考えられる。このような観点から、絶縁体層106、又は絶縁体層106を構成する絶縁体の体積抵抗率(JIS K6911)は、1.0×10Ωcm以上であることが好ましく、1.0×1012Ωcm以上であることがより好ましく、1.0×1015Ωcm以上であることがさらに好ましい。体積抵抗率に特に上限はなく、例えば1.0×1020Ωcm以下であってもよい。また、絶縁体層106、又は絶縁体層106を構成する絶縁体の比誘電率は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがさらに好ましい。比誘電率に特に上限はなく、例えば20以下であってもよい。
また、特に絶縁体層106を介して光が活性層103に入射する場合、太陽光が絶縁体層106を介して活性層103に到達するように、絶縁体層106の太陽光線透過率が高いことが好ましい。絶縁体層106の太陽光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。上限は特になく、100%以下である。また、絶縁体層106の材料を用いて200μmの厚さの薄膜を形成した場合にも、この薄膜の太陽光線透過率は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。上限は特になく、100%以下である。太陽光線透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
また、絶縁体層106における光の反射を抑えるために、絶縁体層106、又は絶縁体層106を構成する絶縁体の屈折率は、1.5以下であることが好ましく、1.45以下であることがさらに好ましく、1.4以下であることが特に好ましい。下限は特になく、例えば1.0以上である。
絶縁体層106に含まれる絶縁体に特段の制限はない。一実施形態においては、塗布法による成膜が容易である高分子化合物が絶縁体として用いられる。なお、絶縁体としては、特段の制限はないが、透明性の高いアモルファスポリマーが好ましい。なお、アモルファスポリマーは、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。具体的なアモルファスポリマーの例としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、AS樹脂、PMMA等のアクリル樹脂、フッ素樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、及びエポキシ樹脂、並びにこれらの高分子化合物に基づくポリマーアロイ等が挙げられる。なかでも、防湿性の観点から、フッ素樹脂又はケイ素樹脂を用いることは好ましい。
フッ素樹脂としては、一般的なフッ素系コーティング剤を用いることができる。フッ素樹脂の具体例としては、側鎖を有していてもよいポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、側鎖を有していてもよいポリフッ化ビニリデン(PVF)、側鎖を有していてもよいエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、側鎖をさらに有していてもよいパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等が挙げられる。
また、通常の使用環境において絶縁体層106が変形しないように、絶縁体層106、又は絶縁体層106を構成する絶縁体のガラス転移温度は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが特に好ましい。
絶縁体層106の形成方法には特段の制限はない。例えば、上記の絶縁体と溶媒とを含む塗布液を作製して塗布することにより、絶縁体層106を形成することができる。
溶媒に特段の制限はなく、例えば水系溶媒又は有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、フッ素系溶媒、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、又はエーテル系溶媒が挙げられる。混合された2種以上の溶媒を用いてもよい。
塗布液を均一に塗布することにより絶縁体層106を形成できるように、溶媒の沸点は60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。一方で、乾燥速度を早め、絶縁体層106中に溶媒が残存することを防ぐために、溶媒の沸点は250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがさらに好ましく、150℃以下であることが特に好ましい。
塗布液への溶解性の観点から、絶縁体がフッ素樹脂である場合、溶媒の水との接触角は90°よりも大きいことが好ましく、100°よりも大きいことがより好ましい。また、溶解性の観点から、絶縁体がケイ素樹脂である場合、溶媒として炭化水素系溶媒を用いることが好ましい。
塗布液中の絶縁体の量に特段の制限はなく、形成しようとする絶縁体層106の厚さに従って適宜選択できる。均一に塗布を行うことにより良好な絶縁体層を形成するために、塗布液中の絶縁体の量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましく、0.10質量%以上であることが特に好ましく、一方で、10質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがさらに好ましく、5.0質量%以下であることが特に好ましい。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。塗布液の塗布後に、溶媒を蒸発させるために加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
絶縁体層106は、一対の下部電極101及び上部電極107の間に加えて、一対の下部電極101及び上部電極107に挟まれない外側に配置されていてもよい。例えば、絶縁体層106は、上部電極107の、活性層103から離れた面に積層されていてもよい。このような構成によれば、活性層103への水分の侵入をさらに抑制することができる。また、このような構成によれば、絶縁体層106で覆われることにより上部電極107が酸化されることが防止されるため、光電変換素子110の耐久性を向上させることができる。
[1−2.活性層(103)]
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子110が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは下部電極101及び上部電極107から取り出される。
活性層103の構造は特に限定されない。例えば、活性層103はp型半導体化合物を含有する層とn型半導体化合物を含有する層とを含むヘテロ接合型の活性層であってもよい。このような活性層103に光が入射すると、層界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)が下部電極101及び上部電極107へと輸送される。
一実施形態において、活性層103は、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型の活性層である。i層においては、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが相分離している。i層に光が入射すると、相界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)が下部電極101及び上部電極107へと輸送される。i層には、p型半導体化合物を含有する層と、n型半導体化合物を含有する層との少なくとも一方が積層されていてもよい。
他の実施形態において、活性層103は、ペロブスカイト半導体を含有する層であり、このような活性層103を有する太陽電池はペロブスカイト太陽電池として知られている。ペロブスカイト半導体においては、ぺロブスカイト構造を有する化合物が結晶を形成している。このような結晶においては速い電荷分離が起こるとともに正孔及び電子の拡散距離が長いため、効率のよい電荷分離が起こる。
特に、バルクヘテロ接合型の活性層及びペロブスカイト半導体を含有する活性層は、水分に弱い傾向があることから、絶縁体層106により水分の侵入を抑制できる本実施形態に係る光電変換素子110において好適に用いられる。
活性層103の厚さに特段の制限はない。より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、特に好ましくは120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点で、活性層103の厚さは、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
(バルクへテロ型の活性層)
バルクヘテロ型の活性層103が含有するp型半導体化合物に特段の制限はなく、低分子半導体化合物であっても高分子半導体化合物であってもよい。また、2種以上のp型半導体化合物を用いてもよい。電荷分離を促進する観点から、1.0eV以上1.8eV以下のエネルギーバンドギャップを有するp型半導体化合物を用いることは好ましい。また、簡易な塗布プロセスを用いて活性層103を形成できる点で、溶媒に溶解可能な高分子半導体化合物を用いることは好ましい。
p型の高分子半導体化合物としては、特段の制限はないが、二種以上のモノマー単位の共重合体である高分子半導体化合物を用いることが好ましい。このような光電子半導体化合物の例としては、Accounts of Chemical Research, 2012, 45, 723-733、Macromolecules, 2012, 45, 607-632、Chemistry of Materials, 2011, 23, 456-469、Energy & Environmental Science, 2011, 4, 1225-1237、Progress in Polymer Science, 2011, 36, 1326-1414、Journal of Materials Chemistry, 2012, 22, 10416-10434、及びProgress in Polymer Science, 2012, 37, 1292-1331に記載されるものが挙げられる。また、これらの高分子半導体化合物の誘導体を用いることもできるし、上記の文献に記載されたモノマーの共重合により得られる高分子半導体化合物を用いることもできる。さらには、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位、及びLUMOエネルギー準位等を制御するために、これらの高分子半導体化合物に対して置換基を導入してもよい。
バルクヘテロ型の活性層103が含有するn型半導体化合物に特段の制限はなく、例えばフラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム等のキノリノール誘導体金属錯体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン若しくはペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物、単層カーボンナノチューブ又はn型ポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型ポリマーがより好ましく、フラーレン化合物が特に好ましい。フラーレン化合物としては、特段の制限はないが、C60誘導体又はC70誘導体が特に好ましく、C61PCBM又はC71PCBMが特に好ましい。また、2種以上のn型半導体化合物を用いてもよい。
バルクヘテロ型の活性層103において、i層におけるn型半導体化合物に対するp型半導体化合物の質量比率(p型半導体化合物/n型半導体化合物)は、特段の制限はないが、良好な相分離構造を得ることにより光電変換効率を向上させる点で、0.15以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、一方、4以下であることが好ましく、2以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
(ぺロブスカイト半導体を含有する活性層)
ペロブスカイト半導体とは、ペロブスカイト構造を有する半導体化合物のことを指す。光電変換効率を向上させる観点から、ペロブスカイト半導体としては、1.0eV以上3.5eV以下のエネルギーバンドギャップを有する半導体化合物を用いることが好ましい。
ぺロブスカイト半導体としては、特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。
ぺロブスカイト半導体としては、下記式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
ABX ・・・(1)
式(1)において、Aは、置換基を有していてもよいカチオンを表す。カチオンは特段の制限はないが、例えば、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族〜第16族元素のカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン又は置換基を有していてもよいホスホニウムイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。
式(1)において、Bはカチオンであり、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましく、また、周期表第14族元素のカチオンであることが好ましい。具体例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、2種類以上のカチオンを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
式(1)において、Xはハロゲンアニオンを表す。ハロゲンアニオンの例としては、塩素アニオン、臭素アニオン又はヨウ素アニオンが挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ素アニオンを用いることが好ましい。なお、バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。
ペロブスカイト半導体の好ましい例としては、有機−無機ペロブスカイト半導体が挙げられ、特にハライド系有機−無機ペロブスカイト半導体が挙げられる。ペロブスカイト半導体の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3−x)Cl、CHNHPbI(3−x)Br、CHNHPbBr(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn、CHNHPb(1−y)SnBr、CHNHPb(1−y)SnCl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Br、CHNHPb(1−y)SnBr(3−x)Cl、が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。
活性層103は、2種類以上のペロブスカイト半導体を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なる2種類以上のペロブスカイト半導体が活性層103に含まれていてもよい。
活性層103に含まれるペロブスカイト半導体の量は、良好な光電変換特性が得られるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に制限はなく、100質量%以下である。
また、活性層103は、ペロブスカイト半導体に加えて、添加物を含有していてもよい。添加物は特に限定されないが、添加物としては、例えばハロゲン化物、酸化物、又は硫化物、硫酸塩、硝酸塩若しくはアンモニウム塩等の無機塩のような、無機化合物が挙げられる。活性層103中の添加剤の量は、良好な光電変換特性が得られるように、好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。下限に制限はなく、0質量%以上である。
ぺロブスカイト半導体を含有する活性層は、製造直後には高い変換特性を示すが、水分に対して非常に弱い傾向にある。したがって、ぺロブスカイト半導体を含有する活性層は、絶縁体層106により水分の侵入を抑制できる本実施形態に係る光電変換素子110において好適に用いられる。すなわち、ぺロブスカイト半導体を含有する活性層103と、絶縁体層106とを組み合わせることにより、高い変換効率を維持可能な光電変換素子を実現することができる。
(活性層の形成方法)
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることは好ましい。以下に、塗布法により活性層103を形成する方法について説明する。
バルクヘテロ型の活性層103は、p型半導体化合物と、n型半導体化合物と、溶媒と、を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布することにより形成することができる。この塗布液は、さらに添加剤を含有していてもよい。また、溶媒として、高沸点溶媒と低沸点溶媒との混合溶媒を用いてもよい。このような添加剤又は混合溶媒を用いることにより、溶媒の揮発速度を調整することができ、半導体化合物の組織化を促進して相分離構造を最適化することができる。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
塗布液を塗布した後に、加熱乾燥を行ってもよい。バルクヘテロ型の活性層103に対して加熱を行うことにより、活性層の自己組織化を促進することができる。加熱温度は、自己組織化の効果が得られるように、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、一方、熱による損傷が生じないように、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。加熱する時間としては、自己組織化の効果が得られるように、好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上であり、一方、処理効率を向上させる観点から、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。
塗布液の溶媒としては、p型半導体化合物とn型半導体化合物とを均一に溶解できるものであれば、特に限定されない。具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;又は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類である。一方で環境負荷の観点からは、非ハロゲン系溶媒を用いることが好ましい。
より好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン若しくはシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の非ハロゲン系脂環式炭化水素類;又は、1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。溶媒としては1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
高沸点溶媒としては、常圧下での沸点が180℃以上250℃以下である溶媒を用いることが好ましく、具体例としてはテトラリン、デカリン又はアセトフェノン等が挙げられる。低沸点溶媒としては、常圧下での沸点が60℃以上150℃以下である溶媒を用いることが好ましく、具体例としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン又はエチルメチルケトン等が挙げられる。このような沸点の溶媒を組み合わせることにより、半導体化合物の組織化を促進することができる。環境負荷の観点から、これらの高沸点溶媒及び低沸点溶媒は非ハロゲン系溶媒であることが好ましい。
高沸点溶媒と低沸点溶媒との比率は、特に制限されない。半導体化合物の組織化を促進しやすい点で、重量比(高沸点溶媒/低沸点溶媒)が1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがより好ましい。一方、重量比(高沸点溶媒/低沸点溶媒)が10/1以下であることが好ましく、2/1以下であることがさらに好ましく、1/1以下であることがより好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。
低沸点溶媒と高沸点溶媒との組み合わせの例としては、非ハロゲン芳香族炭化水素類と脂環式炭化水素類、非ハロゲン芳香族炭化水素類と芳香族ケトン類、エーテル類と脂環式炭化水素類、エーテル類と芳香族ケトン類、脂肪族ケトン類と脂環式炭化水素類、又は脂肪族ケトン類と芳香族ケトン類、等が挙げられる。好ましい組み合わせの具体例としては、トルエンとテトラリン、キシレンとテトラリン、トルエンとアセトフェノン、キシレンとアセトフェノン、テトラヒドロフランとテトラリン、テトラヒドロフランとアセトフェノン、メチルエチルケトンとテトラリン、メチルエチルケトンとアセトフェノン等が挙げられる。
塗布液が添加剤を含む場合、塗布液全体に対する添加剤の量は、半導体化合物の組織化を促進しやすい点で、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、一方、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
塗布液は、p型半導体化合物の溶液と、n型半導体化合物の溶液とをそれぞれ調製した後に、これらの溶液を混合することにより作製することができる。また、塗布液は、溶媒にp型半導体化合物とn型半導体化合物とを溶解させることによっても作製することができる。
塗布液中のp型半導体化合物とn型半導体化合物との合計濃度は、特に限定されない。十分な厚さの活性層を形成する観点から、合計濃度は塗布液全体に対して0.3質量%以上であることが好ましいる。また、半導体化合物を十分に溶解させる観点から、合計濃度は塗布液全体に対して20質量%以下であることが好ましい。
ヘテロ接合型の活性層103は、p型半導体化合物と溶媒とを含む塗布液と、n型半導体化合物と溶媒とを含む塗布液をそれぞれ調整し、これらの塗布液を順番に塗布することにより形成することができる。溶媒及び塗布方法に特段の制限はなく、バルクヘテロ型の活性層の形成方法において説明した溶媒及び塗布方法を使用することができる。バルクヘテロ型の活性層を作製する場合と同様、それぞれの塗布液を塗布した後に加熱乾燥を行うことが好ましい。また、バルクヘテロ型の活性層を作製する場合と同様、それぞれの塗布液は添加剤を含んでいてもよい。
ペロブスカイト半導体を含有する活性層103を形成する場合にも、活性層103の形成方法に特段の制限はない。一例としては、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表わされる化合物と、溶媒と、を含有する塗布液を作製し、この塗布液を塗布する方法が挙げられる。このような塗布液は、化合物を溶液中で加熱攪拌することにより作製することができる。この方法によれば、上記式(1)で表される化合物を含有する活性層103を作製することができる。
別の例としては、下記式(3)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布した後、下記式(2)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布し、加熱アニールする方法が挙げられる。この方法によっても、上記式(1)で表される化合物を含有する活性層103を作製することができる。
AX ・・・(2)
BX ・・・(3)
式(2)及び式(3)において、A、B及びXは、式(1)のA、B及びXと同義である。
塗布液の溶媒としては、特段の制限はないが、例えば、Brandrup,J.ら編「Polymer Handbook, 4th Ed.」に記載の溶解度パラメーター(SP値)が、9以上であるものが好ましく、10以上であるものが特に好ましい。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。なお、混合溶媒を用いる場合も、混合溶媒のうち少なくとも1種の溶媒の溶解度パラメーターは10以上であることが好ましい。
加熱攪拌又は加熱アニールの際の加熱温度は、化合物の反応を十分に促進する観点から、60℃以上であることが好ましく、一方、副反応を避ける観点から、150℃以下であることが好ましい。また、加熱攪拌時間は、化合物の反応を十分に促進する観点から、2時間以上であることが好ましく、生産効率を向上させる観点から、24時間以下であることが好ましい。
式(3)で表される化合物に対する式(2)で表される化合物のモル分率(2/3)は、特段の制限はない。しかしながら、活性層中にBXが残存すると光電変換素子の変換効率が低下する傾向がある。また、後述する加熱処理により式(2)で表される化合物を除去できても、式(3)で表される化合物は加熱により除去することが困難であることが多い。そのため、式(3)で表される化合物が層中に残存しないように活性層103を形成することが好ましい。この点から、式(3)で表される化合物に対する式(2)で表される化合物のモル分率(2/3)は100モル%以上であることが好ましく、一方、600モル%以下であることが好ましく、400モル%以下であることが特に好ましい。
また、塗布液全量に対する式(2)で表される化合物及び/又は式(3)で表される化合物の合計量は、十分な厚さの活性層103を作製するために、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。一方で、溶媒中での析出を避けるために、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
また、結晶形成を促進するために、塗布液がさらに添加物を含んでいてもよい。この場合、添加物の量は、良好な光電変換性能が得られるように、式(2)で表される化合物及び/又は(3)で表される化合物の合計量に対して、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
ペロブスカイト半導体を含有する活性層103を形成する場合も、塗布液を塗布した後に加熱乾燥を行うことが好ましい。加熱により配位している溶媒及び残存する式(2)で表わされる化合物が層中から除去されて結晶化が促進され、光電変換効率が向上する傾向にある。結晶化の進行は塗布液の濃度に依存するため、塗布液の濃度が薄い場合又は溶媒の含有量が少ない場合には、加熱時間を短くすることが好ましい。
この際の加熱温度は、特段の制限はないが、十分に結晶化を促進する観点から、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、一方、ペロブスカイト半導体の分解及び副反応を抑制するために、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。加熱する時間にも特段の制限はないが、十分に結晶化を促進する観点から、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、一方、生産効率を向上させる観点から、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは2時間以下である。
[1−3.バッファ層(102,104)]
光電変換素子110は、下部電極101と活性層103との間に下部バッファ層102を有し、上部電極107と活性層103との間に上部バッファ層104を有する。下部バッファ層102は、活性層103から下部電極101へのキャリア取り出し効率を向上させる機能を有する。また、上部バッファ層104は、活性層103から上部電極107へのキャリア取り出し効率を向上させる機能を有する。上述の通り、下部バッファ層102及び上部バッファ層104は必須の構成部材ではない。すなわち、光電変換素子110は、下部バッファ層102と上部バッファ層104とのうち一方を有していなくてもよいし、双方を有していなくてもよい。
以下では、活性層103からカソードへの電子取り出し効率を向上させる機能を有するバッファ層を電子取り出し層と呼び、活性層103からアノードへの正孔取り出し効率を向上させる機能を有するバッファ層を正孔取り出し層と呼ぶ。一実施形態においては、下部電極101がカソードでありかつ上部電極107がアノードであり、この場合下部バッファ層102は電子取り出し層であり、かつ上部バッファ層104は正孔取り出し層である。別の実施形態においては、下部電極101がアノードであり、かつ上部電極107がカソードであり、この場合下部バッファ層102は正孔取り出し層であり、かつ上部バッファ層104は電子取り出し層である。なお、本明細書において、アノードは正孔を捕集する電極のことを指し、カソードは電子を捕集する電極のことを指す。
(電子取り出し層)
電子取り出し層の材料は、活性層103からカソードへ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はなく、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。
無機化合物である電子取り出し層の材料の好ましい例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはセシウム等のアルカリ金属塩、又は金属酸化物等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム又はフッ化セシウムのようなフッ化物塩が好ましい例として挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化チタン(TiOx)又は酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体特性を有する金属酸化物が好ましい例として上げられる。特に好ましくは、酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体特性を有する金属酸化物である。このような材料の動作機構は不明であるが、カソードと組み合わされた際に、カソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物である電子取り出し層の材料の好ましい例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。また、電子取り出し層の材料としては、上述したn型半導体化合物を用いることもできる。例えば、フラーレン化合物は電子取り出し層の材料として好適に用いられる。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、好ましくは−4.5eV以上、さらに好ましくは−4.3eV以上である。一方、好ましくは−1.9eV以下、さらに好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、活性層103から電子取り出し層への電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−4.5eV以上であることは、電子取り出し層から活性層103への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、好ましくは−9.0eV以上、さらに好ましくは−8.0eV以上である。一方、好ましくは−5.0eV以下、さらに好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、活性層103から正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法、ケルビンプローブ、光電子収量分析装置又は逆光電子分光装置等が挙げられる。
電子取り出し層の材料が有機化合物である場合、DSC法により測定した場合のこの化合物のガラス転移温度は、特段の制限はないが、観測されないか、又は55℃以上であることが好ましい。例えば、一実施形態において、電子取り出し層の材料は、DSC法によるガラス転移温度が30℃以上55℃未満に観測されないものである。ガラス転移温度は、さらに好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、さらにより好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。DSC法によりガラス転移温度が観測されないとは、400℃以下においてガラス転移温度が観測されないことを意味する。ガラス転移温度が観測されない材料は、熱的に高い安定性を有している点で好ましい。一方、ガラス転移温度の上限は特にないが、好ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。
本明細書において、ガラス転移温度とは、アモルファス状態の固体において、熱エネルギーにより局所的な分子運動が開始される温度とされており、比熱が変化する点として定義される。温度がガラス転移温度より高くなると、固体構造が変化して結晶化が起こる(この時の温度を結晶化温度(Tc)とする)。さらに温度が高くなると、一般的には融点(Tm)において固体は融解して液体状態に変化する。ただし、高温で分子が分解したり昇華したりするたるめに、これらの相転移が見られないこともある。
DSC法とは、JIS K−0129「熱分析通則」に定義されている熱物性の測定法(示差走査熱量測定法)である。ガラス転移温度をより明確に決める為には、一度ガラス転移点以上の温度に加熱したサンプルを急冷した後にガラス転移温度を測定することが望ましい。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法により、ガラス転移温度の測定を実施することができる。
電子取り出し層の材料のガラス転移温度が55℃以上である場合、この化合物は、印加される電場、流れる電流、曲げ又は温度変化等による応力等の外部ストレスに対して構造が変化しにくいため、耐久性の面で好ましい。さらに、電子取り出し層の材料のガラス転移温度が55℃以上である場合、材料の結晶化が進みにくい傾向があるため、光電変換素子110の使用温度範囲においてこの材料がアモルファス状態と結晶状態との間で変化しにくくなる。このために電子取り出し層の安定性が向上するため、耐久性の面で好ましい。この効果は、材料のガラス転移温度が高ければ高いほど、より顕著に表れる。
電子取り出し層の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.1nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上である。一方、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは20nm以下である。電子取り出し層の厚さが0.1nm以上であることで電子取り出し効率を向上させる機能が良好に発揮される。一方で、電子取り出し層の厚さが100nm以下であることで、電子の輸送効率が向上し、光電変換効率が向上しうる。
(正孔取り出し層)
正孔取り出し層の材料は、活性層103からアノードへ正孔の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はない。具体例としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基として有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、三酸化モリブデン等の金属酸化物、又は上述のp型半導体化合物等が挙げられる。その中でも、スルホン酸がドーピングされた導電性ポリマーが好ましく、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸がドーピングされているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)がより好ましい。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で用いられてもよいし、の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の厚さは特に制限はないが、好ましくは0.2nm以上、さらに好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上である。一方、好ましくは400nm以下、さらに好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。正孔取り出し層の厚さが0.2nm以上であることで正孔取り出し効率を向上させる機能が良好に発揮される。一方で、正孔取り出し層104の厚さが400nm以下であることで、正孔の輸送効率が向上し、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層及び正孔取り出し層の形成方法に特に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は、真空蒸着法等により電子取り出し層又は正孔取り出し層を形成することができる。また、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により電子取り出し層又は正孔取り出し層形成することができる。
[1−3.電極(101,107)]
下部電極101及び上部電極107は、活性層103が光を吸収することにより生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。上述のように下部電極101と上部電極107との一方はアノードであり他方はカソードである。アノードとしては正孔の捕集に適した電極が用いられ、カソードとしては電子の捕集に適した電極が用いられる。活性層103に光が到達できるように、下部電極101と上部電極107との少なくとも一方は透光性を有することが好ましい。具体的には、下部電極101と上部電極107との少なくとも一方の太陽光線透過率は40%以上であることが好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。太陽光線透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
カソードは、一般には仕事関数がアノードよりも小さい値を有する導電性材料で構成され、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
カソードの材料としては、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は小さい仕事関数を有する材料であるため、好ましい。また、電子取り出し層の材料として酸化亜鉛のような導電性を有するn型半導体材料を用いる場合、酸化インジウムスズ(ITO)のような大きい仕事関数を有する材料をカソードの材料として用いることもできる。電極保護の観点から、カソードの材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム若しくはインジウム等の金属又はこれらの金属を用いた合金である。
カソードの厚さに特に制限は無いが、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソードの厚さが10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソードの厚さが10μm以下であることにより、カソードを介した光透過率を向上させることができる。カソードが透光性を有し、カソードを介して光が活性層103に入射する場合には、光透過率とシート抵抗を両立する厚さを選ぶ必要がある。
カソードのシート抵抗に特に制限は無いが、電子の取り出しが円滑に行われるように、好ましくは1000Ω/□以下、さらに好ましくは500Ω/□以下、より好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無く、例えば1Ω/□以上である。
アノードは、一般には仕事関数がカソードよりも大きい値を有する導電性材料で構成され、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノードの材料としては、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金等が挙げられる。これらの物質は大きい仕事関数を有する材料であるため、好ましい。また、これらの物質は、PEDOT:PSSで代表される導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。アノードに大きい仕事関数を有する導電性高分子材料を積層する場合には、上記のような大きい仕事関数を有する材料の代わりに、アルミニウム又はマグネシウムのような等の小さい仕事関数を有する金属を用いることもできる。また、アノードの材料として、PEDOT:PSS、又はポリピロール若しくはポリアニリン等にヨウ素等がドーピングされている導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノードが透光性を有し、アノードを介して光が活性層103に入射する場合には、アノードの材料としてはITO、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITO又はFTOを用いることが好ましい。
アノードの厚さに特に制限は無いが、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。アノードの厚さが10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノードの厚さが10μm以下であることにより、アノードを介した光透過率を向上させることができる。アノードが透光性を有し、アノードを介して光が活性層103に入射する場合には、光透過率とシート抵抗を両立する厚さを選ぶ必要がある。
アノードのシート抵抗に特に制限は無いが、正孔の取り出しが円滑に行われるように、好ましくは1000Ω/□以下、さらに好ましくは500Ω/□以下、より好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無く、例えば1Ω/□以上である。
カソード及びアノードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子若しくは前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。また、カソードとアノードとの少なくとも一方が、2層以上の積層構造を有していてもよい。さらに、カソードとアノードとの少なくとも一方に対して表面処理を行うことにより、電気特性又はぬれ特性等の特性を改良してもよい。
[1−4.仕事関数チューニング層(105)]
仕事関数チューニング層105は、下部電極101又は上部電極107の仕事関数を調整する。しかしながら、下部電極101又は上部電極107が適切に機能しうるのであれば、仕事関数チューニング層105を設ける必要はない。
仕事関数チューニング層105の種類は特に限定されず、公知のものを使用することができる。仕事関数チューニング層105の材料の例としては、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)若しくは分岐ポリエチレンイミン(PEI)等のアミン系ポリマー若しくはオリゴマーが、塗布による成膜が容易な点で好ましい。この場合、有機溶媒への溶解性を上げる観点から、仕事関数チューニング層105の材料の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは1000以上、特に好ましくは10000であり、一方で、好ましくは1000000以下、好ましくは500000以下であり、特に好ましくは200000以下である。
仕事関数チューニング層105は下部電極101又は上部電極107と接していてもよい。一方で、仕事関数チューニング層105と下部電極101又は上部電極107との間に絶縁体層106が存在していても、仕事関数チューニング層105は効果的に働く。
[1−5.基材(100)]
光電変換素子110は支持体となる基材100を有する。すなわち、基材100上に、下部電極101、活性層103、及び上部電極107が形成される。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材100を有さなくてもよい。
基材100の材料は、光電変換素子の特性を著しく損なわない限り特に限定されない。基材100の材料の例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル若しくはポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材100の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材100の厚さに制限はなく、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、一方、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。基材の厚さが5μm以上であることは、光電変換素子の強度を向上できる点で好ましい。基材の厚さが20mm以下であることは、光電変換素子の製造コストが抑えられ、かつ光電変換素子の重量を抑えることができる点で好ましい。基材100の材料がガラスである場合の厚さは、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上であり、一方、好ましくは1cm以下、さらに好ましくは0.5cm以下である。ガラス製の基材100の厚さが0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス製の基材100の厚さが0.5cm以下であることは、重量を抑えられる点で好ましい。
[1−6.光電変換素子の製造方法]
光電変換素子110は、上述した各層を積層することにより作製することができる。例えば、光電変換素子110は、基材100上に下部電極101、下部バッファ層102、活性層103、上部バッファ層104、仕事関数チューニング層105、絶縁体層106及び上部電極107を順に積層することにより作製できる。各層の形成方法については上述した通りである。
上述の通り、絶縁体層106により、外部の水分等が活性層103に侵入することにより光電変換素子110が劣化することを抑制することができる。さらに、絶縁体層106を設けることにより、仕事関数チューニング層105等の既に形成された層を覆って表面を平坦にすることができる。このために、絶縁体層106上に形成される上部電極107等の層の均一性を向上させることができる。
下部電極101及び上部電極107を積層することにより得られた光電変換素子110を加熱することは好ましい(この処理をアニーリング処理と呼ぶ)。アニーリング処理の温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、一方、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。アニーリング処理を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子110の各層間の密着性、例えば下部バッファ層102と下部電極101との密着性、又は上部バッファ層104と活性層103との密着性を向上させる効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性を向上させることにより、光電変換素子の熱安定性又は耐久性等を向上させることができる。また、アニーリング処理により、活性層103の自己組織化を促進することができる。また、活性層103内の有機化合物が熱分解しないように、アニーリング処理を300℃以下の温度で行うことは好ましい。アニーリング処理においては、上記の温度範囲内で異なる温度で段階的に加熱を行ってもよい。
アニーリング処理における加熱時間は、密着性が十分に向上するように、好ましくは1分以上、さらに好ましくは3分以上であり、一方、生産性を向上させるために、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。アニーリング処理は、光電変換素子の性能を示すパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になった後に終了することが好ましい。また、アニーリング処理は、処理の容易性の観点から常圧下で行うことが好ましく、光電変換素子110の劣化を防ぐ観点から不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
アニーリング処理における加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載る方法、又はオーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れる方法等が挙げられる。また、アニーリング処理は、1グループの光電変換素子に対して処理を行った後に他グループの光電変換素子に対して処理を行うバッチ方式で行うことができる。また、アニーリング処理は、処理装置における光電変換素子の処理中に、未処理の光電変換素子の処理装置への投入及び処理済の光電変換素子の処理装置からの排出を行う連続方式で行うこともできる。
光電変換素子の熱安定性又は耐久性等を向上させるためにアニーリング処理工程を行っても、アニーリング処理工程中に活性層103中の相分離が過度に進むために光電変換効率が低下することがある。このような場合には、活性層103中に上述のように添加剤を添加することにより、相分離を抑制することができる。
[1−7.光電変換特性]
光電変換素子110の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子110にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗及びシャント抵抗等の光電変換特性を求めることができる。
光電変換素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であることの他に、光電変換素子が高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。
光電変換素子110の光電変換効率は、特段の制限はないが、好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上である。上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
光電変換素子の耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を所定の条件に暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。具体的な例としては、光電変換素子を21〜22℃、湿度35〜45%の条件で2日間放置する前後での光電変換効率の比により、光電変換素子の耐久性を評価することができる。この条件下に放置する前の光電変換効率を初期変換効率、放置した後の光電変換効率を2日後の変換効率とすると、光電変換効率の維持率は以下のように算出できる。
維持率(%)=(2日後の変換効率/初期変換効率)×100である。
こうして算出される維持率は、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上であり、高ければ高いほどよい。
[2.太陽電池及び太陽電池モジュール]
本発明に係る光電変換素子110〜140は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。図2に表すように、本実施形態に係る太陽電池14は、薄膜太陽電池であって、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。太陽電池素子6としては、上述した光電変換素子110〜140を用いることができる。
この太陽電池14に対して、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されると、太陽電池素子6による発電が行われる。なお、バックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムが接着されたシート等の防水性の高いシートが用いられる場合には、用途によりゲッター材フィルム8とガスバリアフィルム9との少なくとも一方を省略することができる。
図2に示すような太陽電池14の各部の構成は周知であり、例えば国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載されている技術を採用することができる。また、太陽電池14の製造方法としても、このような公知文献に記載されている方法を採用することができる。
太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、太陽電池14は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等として用いることができる。
太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図3に模式的に表すように、基材12上に太陽電池14が設けられている太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることもできる。太陽電池モジュール13の構成は周知であり、例えば基材12としては国際公開第2011/016430号等の公知文献に記載のものを採用することができる。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に太陽電池14を設けることにより、太陽電池パネルである太陽電池モジュール13を作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例には限定されない。
[実施例1]
(活性層塗布液の調製)
モル比が1:1となるようにヨウ化鉛(II)(1.11g)とヨウ化メチルアンモニウム(CHNHI,0.38g)とをバイアルにはかりとり、ジメチルスルホキシド(0.61mL)及びγ−ブチロラクトン(1.40mL)を加えた。次に、得られた混合液を67℃で12時間加熱撹拌した。その後、得られた溶液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径0.2μm)で濾過することにより、活性層塗布液を作製した。得られた活性層塗布液中での、ヨウ化鉛(II)とヨウ化メチルアンモニウムとの合計濃度は、40質量%であった。
(光電変換素子の作製)
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、洗浄剤(横浜油脂工業社製,精密ガラス基板用洗浄剤セミクリーンM−LO,15mL)を用いた超音波洗浄、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV−オゾン処理を行った。
次に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)分散液(PEDOT:PSS,ヘレウス社製)をオートバイアル(孔径0.45μm)でろ過した後、室温で、上記の基板上に3000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約35nmの正孔取り出し層を形成した。得られた基板を120℃で30分間加熱した。
次に、基板をグローブボックスに導入し、窒素雰囲気下115℃で20分間加熱処理した。冷却後、基板上に活性層塗布液(0.1mL)を5000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約320nmの活性層を形成した。こうして形成された活性層には、ハライド系有機−無機ペロブスカイト半導体であるCHNHPbIが含まれる。
次に、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM,フロンティアカーボン社製,30mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた溶液を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径0.2μm)で濾過した。得られた溶液(0.1mL)を活性層上に4000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約90nmの電子取り出し層を形成した。
次に、電子取り出し層上に、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)のメタノール溶液(0.2質量%,0.1mL)を、4000rpmの回転下で添加することにより、厚さ約10nmの仕事関数チューニング層を形成した。
次に、仕事関数チューニング層上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液CYTOP(旭硝子社製,0.4質量%に調製,0.1mL)を、6000rpmの回転下で添加することにより、絶縁体層を形成した。絶縁体層の厚さは15nmであった。
CYTOPの特性は、体積抵抗率:>1017Ωcm(JIS K6911)、比誘電率:2.0〜2.1(100Hz〜1MHz,室温,JEC−6150)、屈折率:1.34(JIS K7142,25℃〜)、水接触角:110°、ガラス転移温度:108℃である。また200μm厚のCYTOPフィルムの可視光線透過率は95%である。さらに、100μm厚のCYTOPフィルムの水蒸気透過率は、0.2g/m(24時間)である。
次に、絶縁体層上に、抵抗加熱型真空蒸着法によりパターニングマスクを用いて厚さ約150nmの銀膜を蒸着させ、上部電極を形成した。こうして、25x30mm角の光電変換素子を作製した。
(光電変換素子の評価)
得られた光電変換素子に1mm角のメタルマスクを付け、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定にはソースメーター(ケイスレー社製,2400型)を用い、照射光源としてはエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用いた。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。光電変換素子を作製した直後の測定結果に基づいて算出された光電変換効率のことを初期変換効率と呼ぶ。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
また、得られた光電変換素子を、21〜22℃、湿度35〜45%の条件で2日間放置してから、同様に電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を算出した。この際に算出された光電変換効率のことを2日後の変換効率と呼ぶ。得られた初期変換効率及び2日後の変換効率を表1に示す。表1において、維持率(%)=(2日後の変換効率/初期変換効率)×100である。
[実施例2]
仕事関数チューニング層上に加えて上部電極上にも絶縁体層を形成したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。具体的には、上部電極上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液CYTOP(旭硝子社製,2質量%に調製,0.1mL)を、4000rpmの速度でスピンコートすることにより、絶縁体層を形成した。
[実施例3]
CYTOPの代わりに、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液マーベルコート(菱江化学社製,0.05質量%,0.01mL)を、6000rpmの速度でスピンコートすることにより絶縁体層を形成したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。絶縁体層の厚さは10nmであった。
[実施例4]
仕事関数チューニング層上に加えて上部電極上にも絶縁体層を形成したことを除き、実施例3と同様に光電変換素子を作製した。具体的には、上部電極上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液マーベルコート(菱江化学社製,0.1質量%,0.1mL)を、2000rpmの速度でスピンコートすることにより絶縁体層を形成した。
[実施例5]
CYTOPの代わりに、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液Novec1720(3M社製,0.1質量%,0.01mL)を、6000rpmの速度でスピンコートすることにより絶縁体層を形成したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。絶縁体層の厚さは12nmであった。
Novec1720の特性は、水接触角:105°、屈折率:1.34、可視光線透過率:98%以上である。
[実施例6]
仕事関数チューニング層上に加えて上部電極上にも絶縁体層を形成したことを除き、実施例5と同様に光電変換素子を作製した。具体的には、上部電極上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液Novec1720(3M社製,2質量%,0.1mL)を、6000rpmの速度でスピンコートすることにより、絶縁体層を形成した。
[実施例7]
CYTOPの代わりに、アモルファスフッ素樹脂ポリマーテフロン(登録商標)AF1600(デュポン社製,ハイドロフルオロエーテルで0.2質量%に希釈,0.01mL)を、6000rpmの速度でスピンコートすることにより、絶縁体層を形成したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。絶縁体層の厚さは10nmであった。
テフロン(登録商標)AF1600の特性は、屈折率:1.31、透光性:95%以上、誘電率:1.93、フィルム厚さ220μmでの可視光線透過率:90%以上、ガラス転移温度:160℃である。
[実施例8]
仕事関数チューニング層上に加えて上部電極上にも絶縁体層を形成したことを除き、実施例7と同様に光電変換素子を作製した。具体的には、上部電極上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマーテフロン(登録商標)AF1600(デュポン社製,ハイドロフルオロエーテルで2質量%に希釈,0.1mL)を、4000rpmの速度でスピンコートすることにより、絶縁体層を形成した。
[実施例9]
活性層、電子取り出し層、仕事関数チューニング層、絶縁体層の順に各層を形成する代わりに、活性層、絶縁体層、電子取り出し層、仕事関数チューニング層の順に各層を形成したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[実施例10]
活性層上に加えて上部電極上にも絶縁体層を形成したことを除き、実施例9と同様に光電変換素子を作製した。具体的には、上部電極上に、アモルファスフッ素樹脂ポリマー溶液CYTOP(旭硝子社製,2質量%に調製,0.1mL)を、4000rpmの速度でスピンコートすることにより、絶縁体層を形成した。
[比較例1]
絶縁体層を形成しなかったことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
実施例2〜10及び比較例1で得られた光電変換素子についても、実施例1と同様に電流−電圧特性を測定し、初期変換効率及び2日後の変換効率を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2016127093
表1に示すように、比較例1に係る光電変換素子は2日後の変換効率が大幅に低下することが確認された。一方で、実施例1〜10に係る光電変換素子においては初期変換効率は比較例1に係る光電変換素子よりも高くなっており、2日後の変換効率も初期変換効率からほとんど低下することなく、比較例1と比べると高く維持されることが確認された。従って、本発明に係る光電変換素子は高い耐久性を有することが分かる。また、変換効率自体も向上することが分かる。
100 基材
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 活性層
104 上部バッファ層
105 仕事関数チューニング層
106 絶縁体層
107 上部電極
110,120,130,140 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池

Claims (8)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層と、前記活性層と前記一対の電極のうちの少なくとも一方との間に配置された絶縁体層と、を備えることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記絶縁体層の厚さが1.0nm以上30nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記絶縁体層の体積抵抗率が1.0×10Ωcm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記絶縁体層は高分子化合物を含有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記絶縁体層はフッ素樹脂又はケイ素樹脂を含有することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記活性層がぺロブスカイト半導体を含有することを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光電変換素子。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
  8. 請求項7に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
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