JP2019175970A - 光電変換素子及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性を向上させた有機無機ハイブリット半導体材料を用いた光電変換素子を提供する。【解決手段】上部電極105と下部電極101とにより構成される一対の電極と、一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する活性層103と、を有する光電変換素子であって、ポリトリアリールアミン系半導体化合物を含有する層102が、活性層と一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、ポリトリアリールアミン系半導体化合物の数平均分子量が、8500以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子及び太陽電池モジュールに関する。
光電変換素子では、一対の電極の間に、活性層、及びバッファ層等が配置されている。この活性層において、有機無機ハイブリット半導体材料を用いることが、高効率性のために注目を浴びており、特に、ペロブスカイト構造を有する化合物を用いることが検討されている。
また、このような光電変換素子のバッファ層としては、有機半導体化合物等が使用されており、特許文献1では、光電変換素子の耐久性を向上させるため、バッファ層に使用される有機半導体化合物が検討されている。
特開2017−066096号公報
有機無機ハイブリット半導体材料を用いた光電変換素子において、太陽電池としての実用化のためには、より長期間の使用を可能とするため、耐久性を向上させることが望まれていた。
本発明は、有機無機ハイブリット半導体材料を用いた光電変換素子において、耐久性を向上させることを目的とする。
従来、バッファ層に含有される有機半導体化合物の分子量について着目されていなかった。本発明者らは、これに着目し、有機半導体化合物の分子量と、光電変換素子の耐久性との関係について検討したところ、ポリトリアリールアミン(PTAA)系半導体化合物の分子量が、特定の値以上になると、光電変換素子の耐久性が向上することを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
ポリトリアリールアミン系半導体化合物を含有する層が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、
前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物の数平均分子量が、8500以上である、ことを特徴とする光電変換素子。
[2]前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物が、下記式(I)で表される単位を有する、ことを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
(前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
[3]前記R〜Rが、メチル基である、ことを特徴とする[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物が、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]である、ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
[5]前記数平均分子量が、10000以上である、ことを特徴とする、[1]乃至[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6]前記有機無機ハイブリッド型半導体材料が、ペロブスカイト構造を有する化合物である、ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の光電変換素子。
[7]前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物を含有する層が、正孔輸送層である、ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の光電変換素子。
[8][1]乃至[7]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
有機無機ハイブリット半導体材料を用いた光電変換素子の耐久性を向上させることができる。
一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極間に有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する活性層を有し、活性層と一対の電極の少なくとも一方との間に、ポリトリアリールアミン(PTAA)系半導体化合物を含有する層を有する。ポリトリアリールアミン系半導体化合物の数平均分子量は、8500以上である。以下、ポリトリアリールアミン系半導体化合物のことを、PTAA系半導体化合物と呼ぶことがある。また、光電変換素子の耐久性は、PTAA系半導体化合物の数平均分子量を8500以上とすることで向上する。この点は、後述する実施例等より明らかとなる。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
[1.一実施形態に係る光電変換素子]
図1は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図1に示されるものに限られるわけではない。図1に示す光電変換素子100においては、下部電極101、活性層103、及び上部電極105がこの順に配置されている。また、光電変換素子100において、下部電極101と活性層103との間に存在するバッファ層102は、ポリトリアリールアミン(PTAA)系半導体化合物を含有する層である。もっとも、光電変換素子100が上部電極105と活性層103との間にバッファ層104を有していてもよく、このバッファ層104が式(I)で表される有機半導体化合物を含有する層であってもよい。また、図1に示すように、光電変換素子100が、基材106、絶縁体層、及び仕事関数チューニング層のようなその他の層を有していてもよい。
[1.活性層]
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは下部電極101及び上部電極105から取り出される。
本実施形態において、活性層103は有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する。有機無機ハイブリッド型半導体材料とは、有機成分と無機成分とが分子レベル又はナノレベルで組み合わせられた材料であって、半導体特性を示す材料のことを指す。
本実施形態において、有機無機ハイブリッド型半導体材料は、ペロブスカイト構造を有する化合物(以下、ペロブスカイト半導体化合物と呼ぶことがある)である。ペロブスカイト半導体化合物とは、ペロブスカイト構造を有する半導体化合物のことを指す。ペロブスカイト半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 − Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。例えば、ペロブスカイト半導体化合物としては、一般式AMXで表されるAMX型のもの又は一般式AMXで表されるAMX型のものが挙げられる。ここで、Mは2価のカチオンを、Aは1価のカチオンを、Xは1価のアニオンを指す。
1価のカチオンAに特段の制限はないが、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族乃至第16族元素を含むカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン又は置換基を有していてもよいホスホニウムイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンAとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
1価のカチオンAの具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルアンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n−プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n−ブチルアンモニウムイオン、t−ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
2価のカチオンMにも特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンMとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
1価のアニオンXの例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4−ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。一実施形態において、Xとしてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化物イオンXの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ化物イオンを用いることが好ましい。
ペロブスカイト半導体化合物の好ましい例としては、有機−無機ペロブスカイト半導体化合物が挙げられ、特にハライド系有機−無機ペロブスカイト半導体化合物が挙げられる。ペロブスカイト半導体化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3−x)Cl、CHNHPbI(3−x)Br、CHNHPbBr(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn、CHNHPb(1−y)SnBr、CHNHPb(1−y)SnCl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Br、及びCHNHPb(1−y)SnBr(3−x)Cl、並びに、上記の化合物においてCHNHの代わりにCFHNH、CFHNH、又はCFNHを用いたもの、等が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。
活性層103は、2種類以上のペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なる2種類以上のペロブスカイト半導体化合物が活性層103に含まれていてもよい。また活性層103は、異なる材料を含み又は異なる成分を有する複数の層で形成される積層構造を有していてもよい。
活性層103に含まれるペロブスカイト半導体化合物の量は、良好な半導体特性が得られるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に特に制限はない。また、活性層103には、ペロブスカイト半導体化合物に加えて添加剤が含まれていてもよい。添加剤の例としては、ハロゲン化物、酸化物、又は硫化物、硫酸塩、硝酸塩若しくはアンモニウム塩等の無機塩のような、無機化合物、又は有機化合物が挙げられる。
活性層103の厚さに特段の制限はない。より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、一実施形態において10nm以上、別の実施形態において50nm以上、さらに別の実施形態において100nm以上、さらに別の実施形態において120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点、又は電荷の取出し効率を高める点で、活性層103の厚さは、一実施形態において1500nm以下、別の実施形態において1000nm以下、さらに別の実施形態において600nm以下である。
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることができる。例えば、ペロブスカイト半導体化合物又はその前駆体を含有する塗布液を塗布し、必要に応じて加熱乾燥することにより活性層103を形成する方法が挙げられる。また、このような塗布液を塗布した後で、ペロブスカイト半導体化合物の溶解性が低い溶媒をさらに塗布することにより、ペロブスカイト半導体化合物を析出させることもできる。
ペロブスカイト半導体化合物の前駆体とは、塗布液を塗布した後にペロブスカイト半導体化合物へと変換可能な材料のことを指す。具体的な例として、加熱することによりペロブスカイト半導体化合物へと変換可能なペロブスカイト半導体化合物前駆体を用いることができる。例えば、一般式AXで表される化合物と、一般式MXで表される化合物と、溶媒と、を混合して加熱攪拌することにより、塗布液を作製することができる。この塗布液を塗布して加熱乾燥を行うことにより、一般式AMXで表されるペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層103を作製することができる。溶媒としては、ペロブスカイト半導体化合物及び添加剤が溶解するのであれば特に限定されず、例えばN,N−ジメチルホルムアミドのような有機溶媒が挙げられる。
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
[2.電極]
電極は、活性層103における光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。本発明の一実施形態に係る光電変換素子100は一対の電極を有し、一対の電極のうち一方を上部電極と呼び、他方を下部電極と呼ぶ。光電変換素子100が基材を有するか又は基材上に設けられている場合、基材により近い電極を下部電極と、基材からより遠い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶことができる。また、透明電極を下部電極と、下部電極よりも透明性が低い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶこともできる。図1に示す光電変換素子100は、下部電極101及び上部電極105を有している。
一対の電極としては、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることができる。この場合、光電変換素子100は、下部電極101がアノードであり上部電極105がカソードである順型構成を有していてもよいし、下部電極101がカソードであり上部電極105がアノードである逆型構成を有していてもよい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U−4100)で測定できる。
下部電極101及び上部電極105、又はアノード及びカソードの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。
[3.バッファ層]
バッファ層は、活性層103と一対の電極101、105の少なくとも一方との間に位置する層である。バッファ層は、例えば、活性層103から下部電極101又は上部電極105へのキャリア移動効率を向上させるために用いることができる。
本発明の一実施形態において、バッファ層はポリトリアリールアミン(PTAA)系半導体化合物を含有する。ポリトリアリールアミン(PTAA)系半導体化合物は、アンモニアの水素原子をアリール基で置換した化合物の単位を有するポリマーである。PTAA系半導体化合物の数平均分子量は8500以上である。バッファ層が当該化合物を含有して形成されることにより、有機無機ハイブリッド型化合物を用いた光電変換素子の耐久性を向上させることができる。光電変換素子の耐久性が向上するメカニズムは明らかではないが、後述する実施例等より、PTAA系半導体化合物の数平均分子量が約8500を境界として光電変換効率の維持率(耐久性)が向上することが明らかとなった。
一実施形態において、PTAA系半導体化合物は下記式(I)で表される単位を有するものとすることができる。
式(I)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の炭化水素基である。炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基又は炭素数6の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよいし、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよいし、環状の炭化水素基であってもよい。炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、又は炭素数4〜6のアルカジエニル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、制限するわけではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基等を挙げることができる。
炭素数2〜6のアルケニル基としては、制限するわけではないが、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基、又は2−ブテニル等を挙げることができる。
炭素数2〜6のアルキニル基としては、制限するわけではないが、エチニル基、プロピニル基、又はブチニル基等を挙げることができる。
炭素数4〜6のアルカジエニル基は、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル基等を挙げることができる。
一実施形態において、式(I)におけるR〜Rは全てアルキル基とすることができ、一例として、全てメチル基とすることができる。別の実施形態において、ポリトリアリールアミン系半導体化合物は、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]とすることができる。活性層がペロブスカイト構造を有する化合物を含有するものである場合、バッファ層がポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]を含有するものとすると、光電変換素子の耐久性が向上する。
PTAA系半導体化合物の合成方法は特に限定されないが、例えば、トリアリールアミンモノマーの酸化重合や遷移金属触媒を用いたカップリング反応により合成できる。PTAAの数平均分子量は、反応温度、反応時間、触媒などで調整することができる。
PTAA系半導体化合物の数平均分子量は、一実施形態において8500以上、別の実施形態において9000以上、さらに別の実施形態において10000以上、さらに別の実施形態において15000以上、さらに別の実施形態において20000以上である。この下限とすることで光電変換素子の耐久性が向上する。一方、後述の実施例に全て示していないものの、数平均分子量が大きくなれば光電変換効率の維持率が向上することは確認されているため、上限は特に限定されるものでないが、一実施形態において100000以下、別の実施形態において80000以下、さらに別の実施形態において50000以下である。また、この上限とすることでコスト低減が図れる。
PTAA系半導体化合物の重量平均分子量は、一実施形態において15000以上、別の実施形態において20000以上、さらに別の実施形態において30000以上、さらに別の実施形態において35000以上、さらに別の実施形態において40000以上である。この下限とすることで光電変換素子の耐久性が向上する。一方、重量平均分子量の上限は、特に限定されるものでないが、一実施形態において120000以下、別の実施形態において100000以下、さらに別の実施形態において80000以下である。また、この上限とすることでコスト低減が図れる。PTAA系半導体化合物が、上記数平均分子量と重量平均分子量の範囲を同時に満足すると、光電変換効率の維持率が向上することがある。
上述のように、光電変換素子100は、下部電極101と活性層103との間にバッファ層102を有することができ、又は、上部電極105と活性層103との間にバッファ層104を有することができる。また、光電変換素子100は、バッファ層102とバッファ層104との双方を有することもできる。ここで、下部電極101と活性層103との間に設けられるバッファ層102と、上部電極105と活性層103との間に設けられるバッファ層104とは、異なる材料で構成されていてもよい。すなわち、一方のバッファ層がPTAA系半導体化合物を含有する層である一方、他方のバッファ層はPTAA系半導体化合物以外の化合物で構成される層であってもよい。なお、上述の通り、PTAA系半導体化合物を含有する層は、下部電極101と活性層103との間に位置していてもよいし、活性層103と上部電極105との間に位置していてもよい。但し、PTAA系半導体化合物を含有する層を塗布法により成膜する際には、塗布溶媒が活性層103を浸漬して、活性層103に影響を及ぼす可能性があるため、PTAA系半導体化合物を含有する層は、下部電極101と、活性層103との間に位置していることが好ましい。
アノードと活性層との間に設けられたバッファ層は正孔輸送層と呼ばれることがあり、カソードと活性層との間に設けられたバッファ層は電子輸送層と呼ばれることがある。一実施形態において、正孔輸送層はPTAA系半導体化合物を含有する層である。
PTAA系半導体化合物以外の化合物で構成されるバッファ層に関しては、材料に特に限定はない。例えば、正孔輸送層については、活性層からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な任意の材料を用いることができる。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。また、有機化合物としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等にドーパントがドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、又はリチウムドーピングされたspiro−OMeTADが挙げられる。
同様に、電子輸送層についても、活性層からカソードへの電子の取り出し効率を向上させることが可能な任意の材料を用いることができる。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等のアルカリ金属の塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム又は酸化インジウム等の金属酸化物が挙げられる。有機化合物としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、フラーレン化合物、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
バッファ層の膜厚に特に限定はないが、一実施形態において0.5nm以上、別の実施形態において1nm以上、さらに別の実施形態において5nm以上である、一方、一実施形態において1μm以下、別の実施形態において500nm以下、さらに別の実施形態において200nm以下、さらに別の実施形態において100nm以下である。バッファ層の膜厚が上記の範囲内にあることで、キャリアの移動効率が向上しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
バッファ層の形成方法に制限はなく、材料の特性に合わせて形成方法を選択することができる。例えば、材料と溶媒を含有する塗布液を作製し、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法を用いることにより、バッファ層を形成することができる。また、真空蒸着法等の乾式成膜法により、バッファ層を形成することもできる。
[4.基材]
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材106を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材106を有さなくてもよい。基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
[5.光電変換素子の作製方法]
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(万葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。
なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合がある。
ロールツゥーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツゥーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、好ましくは4m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は好ましくは1cm以上、さらに好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは各工程で成膜される層が曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは光電変換素子100の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
また、上部電極105を積層した後に、光電変換素子100を一実施形態において50℃以上、別の実施形態において80℃以上、一方、一実施形態において300℃以下、別の実施形態において280℃以下、さらに別の実施形態において250℃以下の温度範囲において、加熱することができる(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子100の各層間の密着性、例えばバッファ層102と下部電極101、バッファ層102と活性層103等の層間の密着性が向上する効果が得られる。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、光電変換素子100に含まれる有機化合物が熱分解する可能性が低くなる。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内において異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、熱分解を抑えながら密着性を向上させるために、一実施形態において1分以上、別の実施形態において3分以上、一方、一実施形態において180分以下、別の実施形態において60分以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることができる。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することができる。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
[6.光電変換特性]
光電変換素子100の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子100にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
光電変換素子100の光電変換効率は、特段の制限はないが、一実施形態において1%以上、別の実施形態において1.5%以上、さらに別の実施形態において2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。また、光電変換素子100のフィルファクターは、特段の制限はないが、一実施形態において0.6以上、別の実施形態において0.7以上、さらに別の実施形態において0.9以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
本実施形態に係る光電変換素子は、耐久性が高いという特徴を有する。一実施形態において、温度60℃、湿度90%で、64時間及び92時間、暗所においた後の、光電変換効率の維持率は、0.40以上であり、一実施形態において0.60以上であり、別の実施形態において0.85以上であり、さらに別の実施形態において0.90以上であり、さらに別の実施形態において0.95%以上である。例えば、光電変換素子を作製した直後の初期光電変換効率と、この光電変換素子を試験環境においた後の光電変換効率とに基づいて、維持率を求めることができる。また、維持率は、上記のように光電変換素子を封止した後で測定することができる。ここで、維持率とは、試験環境におく前の光電変換効率の値が1.00となるように規格化されたもので、試験環境におく前後での光電変換効率に基づいて、以下のように算出することができる。
維持率=(試験環境においた後の光電変換効率)/(試験環境におく前の光電変換効率)
[7.太陽電池]
一実施形態において、本発明に係る光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用される。図2は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図2には本発明の一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池が示されている。図2に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、本発明に係る光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図2中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図3に示すように、本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。基材12としては周知技術を用いることができ、例えば、基材12の材料としては国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等に記載の材料を用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例には限定されない。
[実施例1]
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)より求めた。なお、分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm 内径7.5mm,長さ30cm)2本直列に接続して使用
ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出
器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料をトルエンに溶解させた液5μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
温度:40℃
解析:Lab−Solution(島津製作所社製)
(PTAA系半導体化合物の調製)
PTAA系半導体化合物として、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]を以下のように合成した。
窒素雰囲気下、モル比が約1:1となるように2,4,6−トリメチルアニリンと、4,4‘−ジブロモビフェニルとを、100mL二口ナスフラスコに入れ、さらに、触媒としてジクロロビス(ジt−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(2.0mol%)を入れて窒素置換をした。そこへ、ナトリウムt−ブトキシド、トルエン(20mL)を入れ、90℃で攪拌し、反応が終了したのを確認した後に室温まで冷却した。反応溶液に貧溶媒を注ぎ、析出した沈殿を濾過した。得られた固体をトルエンに溶解させ、酸性シリカゲルのショートカラムに通した。溶液に活性白土(和光純薬製)を加え処理し、ろ過・濃縮することで目的物を収率52%で得た。得られたポリマーの数平均分子量は約11,000であり、PDIは1.4であった。
[塗布液の調製]
(電子輸送層用塗布液の調製)
酸化スズ(IV)15%水分散液(Alfa Aesar社製)に超純水を加えることにより、7.5%の酸化スズ水分散液を作製した。
(活性層用塗布液の調製)
ヨウ化鉛(II)をバイアル瓶に量りとりグローブボックスに導入した。ヨウ化鉛(II)の濃度が1.3mol/Lとなるように溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを加え、その後、100℃で1時間加熱撹拌することで活性層用塗布液1を作製した。
次に、別のバイアル瓶にホルムアミジンヨウ化水素酸塩(FAI)、メチルアミン臭化水素酸塩(MABr)、及びメチルアミン塩化水素酸塩(MACl)を10:1:1の質量比となるよう量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒としてイソプロピルアルコールを加えることにより、FAI、MAbr、及びMAClの合計濃度が0.49mol/Lである活性層用塗布液2を調製した。
(正孔輸送層用塗布液の調製)
64mgのポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]と、7.2mgの4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(TPFB,TCI社製)とをバイアル瓶に量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒として1.6mLのオルトジクロロベンゼンを加えた。次に、得られた混合液を150℃で1時間加熱撹拌することにより、正孔輸送層用塗布液を調製した。
(光電変換素子の作製)
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV−オゾン処理を行った。
次に、上記のように調製した電子輸送層用塗布液を、室温で、上記の基板上に2000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約35nmの電子輸送層を形成した。その後、基板をホットプレート上150℃で10分間加熱した。
次に、基板をグローブボックスに導入し、100℃に加熱した活性層用塗布液1を電子輸送層上に150μL滴下し、2000rpmの速度でスピンコートした。次に、基板をホットプレート上100℃で10分間加熱アニールすることにより、ヨウ化鉛層を形成した。次に、基板が室温に戻った後、ヨウ化鉛層上に活性層塗布液2(120μL)を2000rpmの速度でスピンコートし、150℃で20分間加熱することにより、有機無機ペロブスカイトの活性層(厚さ650nm)を形成した。
次に、基板が室温に戻った後、活性層上に、正孔輸送層塗布液(200μL)を1500rpmの速度でスピンコートし、さらにホットプレート上90℃で5分間加熱することで、正孔輸送層(170nm)を形成した。
次に、正孔輸送層上に、抵抗加熱型真空蒸着法により厚さ約100nmの銅を蒸着させ、金属層を形成した。以上のようにして、光電変換素子を作製した。
[実施例2]
ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]の反応時間を延長し、数平均分子量が約21000のPTAA系半導体化合物を調製し、それで正孔輸送層を作製したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
[比較例1]
市販の数平均分子量が約8300のポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン](シグマ−アルドリッチ社製)で正孔輸送層を作製したことを除き、実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
表1に、実施例1、実施例2、及び比較例1で使用したPTAA系半導体化合物の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、及び分子量分布PDI(Mw/Mn)を示す。
[光電変換素子の評価]
実施例1、実施例2、及び比較例1で得られた光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、ITO電極と銅電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定にはソースメーター(ケイスレー社製,2400型)を用い、照射光源としてはエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用いた。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。光電変換素子を作製した直後の測定結果に基づいて算出されたこれらの値を表2に示す。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
また、光電変換素子に最大光電変換効率PCEを与える電圧を印加させながら光を照射させ、電流値の変化をソースメーターで測定した。光を40秒入射させた後(初期安定化後)の電流値を基準として、光を80秒入射させた後の電流値から、80秒後の電流値の維持率を算出した。80秒後の電流値の維持率を表3に示す。
次に、得られた光電変換素子を温度60℃、湿度90%で、64時間、及び92時間、暗所においた後に、同様の方法で電流−電圧特性を測定して光電変換効率PCEを算出した。なお、0時間のPCE値は暗所におく前のPCE値である。また、各時点における維持率の推移を算出した。各時点における光電変換効率PCE及び維持率を表4に示す。
表2及び表3に示すように、初期の変換効率、及び80秒後の電流値維持率は、実施例1、実施例2、及び比較例1で大きな差は見られなかった。それに対して、表4に示すように、実施例1、及び実施例2の64時間後及び92時間後の光電変換効率及び維持率は、比較例1と比較して高かった。以上の結果から、数平均分子量が8500以上のPTAA系半導体化合物をバッファ層として使用することで、光電変換効率の維持率(耐久性)を備えることが分かる。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
100 光電変換素子
101 下部電極
102 バッファ層
103 活性層
104 バッファ層
105 上部電極
106 基材

Claims (8)

  1. 上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
    ポリトリアリールアミン系半導体化合物を含有する層が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、
    前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物の数平均分子量が、8500以上である、ことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物が、下記式(I)で表される単位を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
    (前記式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
  3. 前記R〜Rが、メチル基である、ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物が、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記数平均分子量が、10000以上である、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記有機無機ハイブリッド型半導体材料が、ペロブスカイト構造を有する化合物である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記ポリトリアリールアミン系半導体化合物を含有する層が、正孔輸送層である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
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