JP6555354B2 - 脆性基板の分断方法 - Google Patents

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Description

本発明は脆性基板の分断方法に関する。
フラットディスプレイパネルまたは太陽電池パネルなどの電気機器の製造において、ガラス基板などの脆性基板を分断することがしばしば必要となる。まず基板上にスクライブラインが形成され、次にこのスクライブラインに沿って基板が分断される。スクライブラインは、カッタを用いて基板を機械的に加工することによって形成され得る。カッタが基板上を摺動または転動することで、基板上に塑性変形によるトレンチが形成されると同時に、このトレンチの下方には垂直クラックが形成される。その後、ブレイク工程と称される応力付与がなされる。ブレイク工程によりクラックを厚さ方向に完全に進行させることで、基板が分断される。
基板が分断される工程は、基板にスクライブラインを形成する工程の直後に行なわれることが多い。しかしながら、スクライブラインを形成する工程とブレイク工程との間において基板を加工する工程を行なうことも提案されている。基板を加工する工程とは、たとえば、基板上に何らかの部材を設ける工程である。
たとえば国際公開第2002/104078号の技術によれば、有機ELディスプレイの製造方法において、封止キャップを装着する前に各有機ELディスプレイとなる領域毎にガラス基板上にスクライブラインが形成される。このため、封止キャップを設けた後にガラス基板上にスクライブラインを形成したときに問題となる封止キャップとガラスカッターとの接触を回避させることができる。
またたとえば国際公開第2003/006391号の技術によれば、液晶表示パネルの製造方法において、2つのガラス基板が、スクライブラインが形成された後に貼り合わされる。これにより1度のブレイク工程で2枚の脆性基板を同時にブレイクすることができる。
国際公開第2002/104078号 国際公開第2003/006391号
上記従来の技術によれば、脆性基板への加工がスクライブラインの形成後に行なわれ、その後応力付与によりブレイク工程が行なわれる。このことは、脆性基板への加工時に垂直クラックが既に存在することを意味する。この垂直クラックの厚さ方向におけるさらなる伸展が加工中に意図せず発生することで、加工中は一体であるべき脆性基板が分断されてしまうことがあり得た。また、スクライブラインの形成工程と基板のブレイク工程との間に基板の加工工程が行なわれない場合においても、通常、スクライブラインの形成工程の後かつ基板のブレイク工程の前に基板の搬送または保管が必要であり、その際に基板が意図せず分断されてしまうことがあり得た。このため、脆性基板が分断されることになる位置を、垂直クラックを伴わないライン(言い換えれば、後述する「クラックレス状態」にあるライン)によって規定することができれば、極めて有用である。また上述したような意図しない分断への配慮が不要な場合であっても、脆性基板が分断されることになる位置を、垂直クラックを伴わないラインによって規定することができるのであれば、当該ラインの形成工程において脆性基板へ刃先を押し付ける荷重がより小さくても十分となる。刃先の荷重の軽減は、刃先の摩耗または脆性基板表面のダメージを軽減するのに有用である。しかしながら、脆性基板が分断されることになる位置を規定することができる、垂直クラックを伴わないラインを、刃先の摺動を用いて形成する技術は、これまで十分に検討されてきていなかった。むしろ、そのように垂直クラックを伴わないラインは、刃先への荷重不足などに起因した単なる不良ラインとしか認識されてこなかったのが通常であった。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、脆性基板が分断されることになる位置を、垂直クラックを伴わないラインによって規定することができる、脆性基板の分断方法を提供することである。
本発明の一の局面に従う脆性基板の分断方法は、以下の工程a)〜c)を有している。
a)突起部と突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、突起部から側部へ向かう方向に摺動させることによって、一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインが形成される。トレンチラインは、トレンチラインの下方において脆性基板がトレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成される。
b)トレンチラインの少なくとも一部に沿って脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインが形成される。クラックラインによってトレンチラインの下方において脆性基板はトレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれている。
c)クラックラインに沿って脆性基板が分断される。
工程a)は、工程b)においてクラックラインがトレンチラインに沿って伸展する方向が、トレンチラインが形成された方向と同じとなるように行われる。また、前記刃先は、互いに隣り合う第1から第3の面と、前記第1から第3の面が合流する頂点と、前記第2および第3の面がなす稜線とを有し、前記刃先の前記突起部は前記頂点で構成され、前記刃先の前記側部は前記稜線で構成される。
本発明の他の局面に従う脆性基板の分断方法は、以下の工程a)〜c)を有している。
a)突起部と突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、側部から突起部へ向かう方向に摺動させることによって、一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインが形成される。トレンチラインは、トレンチラインの下方において脆性基板がトレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成される。
b)トレンチラインの少なくとも一部に沿って脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインが形成される。クラックラインによってトレンチラインの下方において脆性基板はトレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれている。
c)クラックラインに沿って脆性基板が分断される。
工程a)は、工程b)においてクラックラインがトレンチラインに沿って伸展する方向が、トレンチラインが形成された方向と逆となるように行われる。また、前記刃先は、互いに隣り合う第1から第3の面と、前記第1から第3の面が合流する頂点と、前記第2および第3の面がなす稜線とを有し、前記刃先の前記突起部は前記頂点で構成され、前記刃先の前記側部は前記稜線で構成される。
本発明によれば、脆性基板が分断される位置を規定するラインとして、その下方にクラックを有しないトレンチラインが形成される。分断の直接のきっかけとして用いられることになるクラックラインは、トレンチラインの形成後にそれに沿ってクラックを伸展させることで形成される。これにより、脆性基板が分断されることになる位置を、垂直クラックを伴わないラインによって規定することができる。
本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法に用いられる器具の構成を概略的に示す側面図(A)、および、上記器具が有する刃先の構成を図1(A)の矢印IBの視点で概略的に示す平面図(B)である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法の構成を概略的に示すフロー図である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法において形成されるトレンチラインの構成を概略的に示す端面図である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法において形成されるクラックラインの構成を概略的に示す端面図である。 本発明の実施の形態1の第1の変形例の脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態1の第1の変形例の脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態1の第2の変形例の脆性基板の分断方法の一工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法の第3の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態2の変形例の脆性基板の分断方法の一工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態3における脆性基板の分断方法の一工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
<実施の形態1>
(カッティング器具の構成)
図1を参照して、はじめに、本実施の形態のガラス基板4(脆性基板)の分断方法におけるトレンチラインの形成工程に用いられるカッティング器具50の構成について説明する。カッティング器具50は刃先51およびシャンク52を有している。刃先51は、そのホルダとしてのシャンク52に固定されることによって保持されている。
刃先51には、天面SD1(第1の面)と、天面SD1を取り囲む複数の面とが設けられている。これら複数の面は側面SD2(第2の面)および側面SD3(第3の面)を含む。天面SD1、側面SD2およびSD3(第1〜第3の面)は、互いに異なる方向を向いており、かつ互いに隣り合っている。刃先51は、天面SD1、側面SD2およびSD3が合流する頂点を有し、この頂点によって刃先51の突起部PPが構成されている。また側面SD2およびSD3は、刃先51の側部PSを構成する稜線をなしている。側部PSは突起部PPから線状に延びている。また側部PSは、上述したように稜線であることから、線状に延びる凸形状を有する。
刃先51はダイヤモンドポイントであることが好ましい。すなわち刃先51は、硬度および表面粗さを小さくすることができる点からダイヤモンドから作られていることが好ましい。より好ましくは刃先51は単結晶ダイヤモンドから作られている。さらに好ましくは結晶学的に言って、天面SD1は{001}面であり、側面SD2およびSD3の各々は{111}面である。この場合、側面SD2およびSD3は、異なる向きを有するものの、結晶学上、互いに等価な結晶面である。
なお単結晶でないダイヤモンドが用いられてもよく、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で合成された多結晶体ダイヤモンドが用いられてもよい。あるいは、微粒のグラファイトや非グラファイト状炭素から、鉄族元素などの結合材を含まずに焼結された多結晶体ダイヤモンド粒子を鉄族元素などの結合材によって結合させた焼結ダイヤモンドが用いられてもよい。
シャンク52は軸方向AXに沿って延在している。刃先51は、天面SD1の法線方向が軸方向AXにおおよそ沿うようにシャンク52に取り付けられることが好ましい。
(ガラス基板の分断方法)
本実施の形態においては、刃先51(図1)をガラス基板4の上面SF1上で方向DAに摺動させる工程を含むガラス基板4の分断方法(図2)について説明する。
分断されることになるガラス基板4は、上面SF1(一の面)と、その反対の下面SF2(他の面)とを有している。図3を参照して、上面SF1を囲む縁は、互いに対向する辺ED1(第1の辺)および辺ED2(第2の辺)を含む。図3で示す例においては、縁は長方形状である。よって辺ED1およびED2は互いに平行な辺である。また図3で示す例においては辺ED1およびED2は長方形の短辺である。またガラス基板4は、上面SF1に垂直な厚さ方向DTを有している。
図2および図3を参照して、ステップS30にてトレンチラインTLが形成される。具体的には、以下の工程が行われる。
まず、上面SF1に刃先51の突起部PPおよび側部PSが位置N1で押し付けられる。位置N1の詳細は後述する。刃先51の押し付けは、図1(A)を参照して、ガラス基板4の上面SF1上で刃先51の突起部PPが辺ED1および側部PSの間に配置されるように、かつ刃先51の側部PSが突起部PPと辺ED2の間に配置されるように行なわれる。
次に、押し付けられた刃先51がガラス基板4の上面SF1上で摺動される(図3の矢印参照)。刃先51(図1)は、上面SF1上で、突起部PPから側部PSへ向かう方向DAに摺動させられる。言い換えれば、刃先51は、突起部PPから側部PSへ向かう方向を上面SF1上に射影した方向DAに摺動させられる。方向DAは、突起部PPの近傍における側部PSの延在方向を上面SF1上に射影した方向におおよそ沿っている。この摺動によって上面SF1上に塑性変形が発生させられる。これにより上面SF1上に、溝形状を有するトレンチラインTL(図中では5つのライン)が形成される。このようにトレンチラインTLはガラス基板4の塑性変形によって生じ、この塑性変形はガラス基板の表面が削れない、低い荷重で十分に形成されるが、ガラス基板4が若干削れてもよい。ただしこのような削れは、好ましくない微細な破片を生じ得ることから、生じないことが好ましい。
トレンチラインTLの形成は、位置N1および位置N3の間で行なわれる。位置N1およびN3の間には位置N2が位置する。よってトレンチラインTLは、位置N1およびN2の間と、位置N2およびN3の間とに形成される。
位置N1およびN3は、図3に示すようにガラス基板4の上面SF1の縁から離れて位置してもよく、あるいは、その一方または両方が上面SF1の縁に位置してもよい。形成されるトレンチラインTLは、前者の場合はガラス基板4の縁から離れており、後者の場合はガラス基板4の縁に接している。
位置N1およびN2のうち位置N1の方が辺ED1により近く、また位置N1およびN2のうち位置N2の方が辺ED2により近い。なお図3に示す例では、位置N1は辺ED1およびED2のうち辺ED1に近く、位置N2は辺ED1およびED2のうち辺ED2に近いが、位置N1およびN2の両方が辺ED1またはED2のいずれか一方の近くに位置してもよい。
トレンチラインTLが形成される際には、本実施の形態においては、位置N1から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N3へ変位させられる。すなわち、図1を参照して、刃先51が、辺ED1から辺ED2へ向かう方向である方向DAへ変位させられる。方向DAは、刃先51から延びる軸方向AXを上面SF1上へ射影した方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を引き摺られる。
図4を参照して、トレンチラインTLを形成する工程は、トレンチラインTLの下方においてガラス基板4がトレンチラインTLの延在方向(図3における横方向)と交差する方向DCにおいて連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように行なわれる。クラックレス状態においては、塑性変形によるトレンチラインTLは形成されているものの、それに沿ったクラックは形成されていない。よって従来のブレイク工程のようにガラス基板4に単純に曲げモーメントなどを発生させる外力を加えても、トレンチラインTLに沿った分断は容易には生じない。このためクラックレス状態においてはトレンチラインTLに沿った分断工程は行われない。クラックレス状態を得るために、刃先51に加えられる荷重は、スクライブ時にはクラックが発生しない程度に小さく、かつ、後の工程でクラックを発生させることができる内部応力の状態を作り出すような塑性変形が発生する程度に調整される。
上記クラックレス状態は所望の時間に渡って維持され得る。クラックレス状態の維持のためには、トレンチラインTLにおいてガラス基板4に対して過度の応力が加わるような操作、たとえば基板に破損を生じるような大きな外部応力の印加または大きな温度変化を伴う加熱、が避けられればよい。その間に、ガラス基板4が搬送されたり、保管されたり、加工されたりし得る。ガラス基板4の加工は、たとえば、ガラス基板4上に部材(図示せず)を設ける工程であってもよい。
図5を参照して、ステップS30(図2)の後のステップS50(図2)にて、トレンチラインTLの少なくとも一部に沿って厚さ方向DTにおけるガラス基板4のクラックが伸展させられる。図5においては、形成されていたトレンチラインTL(図3)のうち位置N2および位置N3の間の部分に沿ってガラス基板4のクラックが伸展させられる。これによってクラックラインCLが形成される。
本実施の形態においては、トレンチラインTLと位置N2で交差するアシストラインALが形成されることをきっかけとして、クラックラインCLの形成が開始される。アシストラインALは、厚さ方向DTにおけるクラックをともなう通常のスクライブラインであってよく、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するものである。アシストラインALの形成方法は、特に限定されないが、図5に示すように、上面SF1の縁を基点として形成されてもよい。
図6を参照して、クラックラインCLによってトレンチラインTLの下方においてガラス基板4はトレンチラインTLの延在方向(図5における横方向)と交差する方向DCにおいて連続的なつながりが断たれている。ここで「連続的なつながり」とは、言い換えれば、クラックによって遮られていないつながりのことである。なお、上述したように連続的なつながりが断たれている状態において、クラックラインCLのクラックを介してガラス基板4の部分同士が接触していてもよい。また、トレンチラインTLの直下にわずかに連続的なつながりが残されていてもよい。
本実施の形態においては、トレンチラインTL(図3)に沿ってクラックラインCL(図5)が伸展する方向(図5の破線矢印)は、トレンチラインTLが形成された方向(図3の実線矢印)と同じとされる。クラックラインCLの伸展方向をそのように選択するためには、トレンチラインTLの形成方法が適切に選択されればよい。
本発明者の検討によれば、本実施の形態のように刃先51(図1)の方向DAへの摺動によってトレンチラインTLが形成される場合は、刃先51の軸方向AXがガラス基板4の上面SF1に対して垂直に近ければ、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と同じとなる。なお、本実施の形態のように刃先51(図1)の方向DAへの摺動によってトレンチラインTLが形成される場合において、上記とは逆に軸方向AXがガラス基板4の上面SF1の法線方向から大きく傾いていれば、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と逆となる。軸方向AXがこれらの中間的な角度であると、クラックラインCLの伸展方向は不安定となり、その予測が困難となる。
よってクラックラインCLの伸展方向をトレンチラインTLの形成方向と、より確実に同じとするためには、軸方向AX(図1)の角度が上面SF1に対してより垂直に近づくように刃先51の姿勢を調整すればよい。言い換えれば、上面SF1と側面SD3との間の角度AG1を増大させ、かつ上面SF1と天面SD1との間の角度AG2を減少させることによって、より確実に、クラックラインCLの伸展方向をトレンチラインTLの伸展方向と同じとすることができる。
上述したように刃先51(図1)の姿勢を調整すると、角度AG1が増大しかつ角度AG2が減少する。天面SD1と側部PSとの間の角度が158°の刃先51を用いた第1の実験によれば、角度AG1=5°かつ角度AG2=17°とすると、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と逆となった。軸方向AXの調整により、角度AG1=角度AG2=11°とすると、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と同じとなった。天面SD1と側部PSとの間の角度が165°の刃先51を用いた第2の実験によれば、角度AG1=5°かつ角度AG2=10°とすると、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と逆となった。軸方向AXの調整により、角度AG1=7°かつ角度AG2=8°とすると、クラックラインCLの伸展方向はトレンチラインTLの伸展方向と同じとなった。なお、刃先51の突起部PPは、ある程度鋭利であることが望まれるため、天面SD1と側部PSとの間の角度は160°程度以下であることが好ましい。そのような条件下においては、クラックラインCLの伸展方向をトレンチラインTLの伸展方向と同じとするためには、角度AG2≦角度AG1とすることが好ましい。
上記のようにクラックラインCLの伸展方向が選択される場合、トレンチラインTLに沿って位置N2から位置N3の方へ(図5中、破線矢印参照)、厚さ方向DT(図6)におけるガラス基板4のクラックが伸展する。なお位置N2から位置N3への方向に比して、位置N2から位置N1への方向へは、クラックラインCLが形成されにくい。つまりクラックラインCLの伸展のしやすさには方向依存性が存在する。よってクラックラインCLが位置N2およびN3の間には形成され位置N2およびN1の間には形成されないという現象が生じ得る。本実施の形態は位置N2およびN3間に沿ったガラス基板4の分断を目的としており、位置N2およびN1間に沿ったガラス基板4の分離は目的としていない。よって位置N2およびN3間でクラックラインCLが形成されることが必要である一方で、位置N2およびN1間でのクラックラインCLの形成されにくさは問題とはならない。
次に、ステップS60(図2)にて、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が分断される。すなわち、いわゆるブレイク工程が行なわれる。ブレイク工程は、たとえば、ガラス基板4への外力の印加によって行ない得る。たとえば、ガラス基板4の上面SF1上のクラックラインCL(図6)に向かって下面SF2上に応力印加部材を押し付けることによって、ガラス基板4へクラックラインCLを開くような応力が印加される。なおクラックラインCLがその形成時に厚さ方向DTに完全に進行した場合は、クラックラインCLの形成とガラス基板4の分断とが同時に生じ得る。
以上によりガラス基板4の分断が行なわれる。なお上述したクラックラインCLの形成工程は、いわゆるブレイク工程と本質的に異なっている。ブレイク工程は、既に形成されているクラックを厚さ方向にさらに伸展させ、基板を完全に分離するものである。一方、クラックラインCLの形成工程は、トレンチラインTLの形成によって得られたクラックレス状態から、クラックを有する状態への変化をもたらすものである。この変化は、クラックレス状態が有する内部応力の開放によって生じると考えられる。トレンチラインTLの形成時の塑性変形、およびトレンチラインTLの形成によって生成される内部応力の大きさや方向性などの状態は、回転刃の転動が用いられる場合と、本実施の形態のように刃先の摺動が用いられる場合とでは異なると考えられ、刃先の摺動が用いられる場合には、より広いスクライブ条件においてクラックが発生しやすくなる。また内部応力の開放にはそのきっかけとして応力印加が必要であり、本実施の形態においては、アシストラインALの形成がそのようなきっかけとして作用する。
なお上記においては上面SF1が平坦である場合について説明したが、上面は湾曲していてもよい。またトレンチラインTLが直線状である場合について説明したが、トレンチラインは曲線状であってもよい。また脆性基板としてガラス基板4が用いられる場合について説明したが、脆性基板は、ガラス以外の脆性材料から作られていてもよく、たとえば、セラミックス、シリコン、化合物半導体、サファイアまたは石英から作られ得る。
(効果)
本実施の形態によれば、ガラス基板4が分断される位置を規定するラインとして、その下方にクラックを有しないトレンチラインTL(図4)が形成される。分断の直接のきっかけとして用いられることになるクラックラインCL(図6)は、トレンチラインTLの形成後にそれに沿ってクラックを伸展させることで形成される。これにより、ガラス基板4が分断されることになる位置を、垂直クラックを伴わないラインであるトレンチラインTLによって規定することができる。
上記のように、垂直クラックを伴わないラインであるトレンチラインTLは、垂直クラックを伴う通常のスクライブラインに比して、ガラス基板4へ刃先51を押し付ける荷重が比較的小さくても形成しやすい。刃先51の荷重の軽減は、刃先51の摩耗またはガラス基板4の上面SF1のダメージを軽減するのに有用である。
また本実施の形態のように刃先51が方向DA(図1)に向かって摺動させられる場合、刃先51が方向DBに向かって摺動させられる場合に比して、刃先51の局所的な摩耗が生じにくくなる。これにより刃先51の寿命が長くなる。
また、トレンチラインTLの形成後かつクラックラインCLの形成前のガラス基板4(図3)は、ガラス基板4が分断される位置がトレンチラインTLによって規定されつつも、クラックラインCLが未だ形成されていないので容易に分断は生じない状態にある。この状態を用いることで、ガラス基板4が分断される位置を予め規定しつつも、分断されるべき時点より前にガラス基板4が意図せず分断されることを防ぐことができる。たとえば、搬送中にガラス基板4が意図せず分断されることを防ぐことができる。また、このガラス基板4への何らかの加工中にガラス基板4が意図せず分断されることを防ぐことができる。
また、後述する実施の形態2と異なり本実施の形態においては、トレンチラインTLが形成された時点(図3)ではアシストラインAL(図5)は未だ形成されていない。よってクラックレス状態を、アシストラインALからの影響なく、より安定的に維持することができる。
(第1の変形例)
図7を参照して、第1の変形例は、アシストラインALとトレンチラインTLとの位置N2での交差ではクラックラインCL(図5)の形成開始のきっかけが十分に得られない場合に関するものである。図8を参照して、ガラス基板4へ、曲げモーメントなどを発生させる外力を加えることで、アシストラインALに沿って厚さ方向DTにおけるクラックが伸展し、その結果、ガラス基板4が分離される。これをきっかけとしてクラックラインCLの形成が開始される。本変形例によれば、トレンチラインTLからクラックラインCLを、より確実に形成することができる。
なお本変形例においては、ガラス基板4の分離によりトレンチラインTL付近の内部応力の歪みが解放され、それによりクラックラインCLの形成が開始される。したがってアシストラインAL自身が、トレンチラインTLに応力を加えることで形成されたクラックラインCLであってもよい。
また、図7においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、アシストラインALは下面SF2上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
(第2の変形例)
図9を参照して、第2の変形例においては、ステップS30(図2)にてトレンチラインTLが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N3に比して位置N2でより大きな力で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N3およびN2の間の位置として、トレンチラインTLの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が低減される。言い換えれば、刃先51の荷重が、位置N3に比して、トレンチラインTLの始端部である位置N1およびN4の間で高められる。これにより、始端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態におけるガラス基板4の分断方法について、図10〜図12を用いつつ、以下に説明する。
図10を参照して、本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、アシストラインALがトレンチラインTLの形成前に形成される。アシストラインALの形成方法自体は、図5(実施の形態1)と同様である。
図11を参照して、次に、ステップS20(図2)にて上面SF1に刃先51が押し付けられ、そしてステップS30(図2)にて、トレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLの形成方法自体は、図3(実施の形態1)と同様である。アシストラインALおよびトレンチラインTLは位置N2で互いに交差する。
図12を参照して、次に、ガラス基板4へ曲げモーメントなどを発生させる外力を加える通常のブレイク工程によって、アシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これにより、ステップS50(図2)として、実施の形態1と同様のクラックラインCLの形成が開始される(図中、破線矢印参照)。なお、図10においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、ガラス基板4を分離するためのアシストラインALはガラス基板4の下面SF2上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じである。
図13を参照して、次に変形例について説明する。本変形例においては、ステップS30(図2)にてトレンチラインTLが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N3に比して位置N2でより大きな力で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N3およびN2の間の位置として、トレンチラインTLの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が低減される。言い換えれば、刃先51の荷重が、位置N3に比して、トレンチラインTLの始端部である位置N1およびN4の間で高められる。これにより、始端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
<実施の形態3>
本実施の形態においては、実施の形態1および2と異なりトレンチラインTLが、刃先51(図1)をガラス基板4の上面SF1上で、方向DAに代わり方向DBに摺動させることによって形成される。具体的には、以下の工程が行われる。
図14を参照して、まず、上面SF1に刃先51の突起部PPおよび側部PSが位置N3で押し付けられる。刃先51の押し付けは、図1(A)を参照して、ガラス基板4の上面SF1上で刃先51の突起部PPが辺ED1および側部PSの間に配置されるように、かつ刃先51の側部PSが突起部PPと辺ED2の間に配置されるように行なわれる。
次に、押し付けられた刃先51がガラス基板4の上面SF1上で摺動される(図中の矢印参照)。刃先51(図1)は、上面SF1上で、側部PSから突起部PPへ向かう方向DBに摺動させられる。言い換えれば、刃先51(図1)は、側部PSから突起部PPへ向かう方向を上面SF1上に射影した方向DBに摺動させられる。方向DBは、突起部PPの近傍における側部PSの延在方向を上面SF1上に射影した方向におおよそ沿っている。この摺動によって、実施の形態1と同様に、トレンチラインTLが形成される。
トレンチラインTLが形成される際には、本実施の形態においては、位置N3から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N1へ変位させられる。すなわち、図1を参照して、刃先51が、辺ED2から辺ED1へ向かう方向である方向DBへ変位させられる。方向DBは、刃先51から延びる軸方向AXを上面SF1上へ射影した方向と逆の方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を押し進められる。
次に、実施の形態1(図5)と同様に、クラックラインCLが形成される。クラックラインCLの伸展方向は実施の形態1のもの(図5における破線矢印)と同じである。よって本実施の形態においては、トレンチラインTL(図14)に沿ってクラックラインCL(図5)が伸展する方向(図5の破線矢印)は、トレンチラインTLが形成された方向(図14の実線矢印)と逆とされる。クラックラインCLの伸展方向をそのように選択するためには、トレンチラインTLの形成方法が適切に選択されればよい。具体的には、刃先51の姿勢が実施の形態1と同様に選択されればよい。本発明者の検討によれば、クラックラインCLの伸展方向は、トレンチラインTLの形成方向ではなく、刃先51の姿勢によって主に決定される。
なお本実施の形態においても、実施の形態1における第1の変形例(図7および図8)および第2の変形例(図9)と同様の変形例が適用可能である。また実施の形態2およびその変形例と同様、トレンチラインTLが形成される前にアシストラインALが形成されてもよい。
次に変形例について説明する。まずは、上記本実施の形態と同様に、刃先51の方向DB(図1)への摺動によってトレンチラインTLが位置N3からN2を経由してN1まで形成される。その後、本変形例においては、刃先51の摺動が位置N1で折り返される。そして位置N1から位置N2まで、既に形成されているトレンチラインTL上を刃先41が再度摺動させられる。言い換えれば、刃先51の方向DBへの摺動によって形成されたトレンチラインTLの終端部において、刃先51の方向DAへの再度の摺動が行われる。この再度の摺動をきっかけとして、トレンチラインTLのうち刃先51の上記再度の摺動を受けた部分からクラックラインCLが位置N3へ向かって伸展する。本変形例によれば、アシストラインAL(図5)などの形成を特に必要とすることなく、クラックラインCLの形成が開始されるきっかけをガラス基板4へ容易に与えることができる。この再度の摺動は位置N3から位置N1までと同様に方向DBへ行われてもよいが、位置N1において刃先51がガラス基板4の上面SFから離れることなく(すなわち、刃先51が上面SFに接触した状態が保たれつつ)逆方向へ折り返し摺動させられることにより、確実に位置N1から位置N2へ、既に形成されたトレンチラインTL上に刃先51を再度摺動させることができる。
なお、この変形例では、刃先51の摺動によるトレンチラインTLの形成において、刃先51の再度の摺動を受けることになる部分が形成される際に、刃先51の荷重が高められてもよい。具体的には、位置N3から位置N2までの荷重と比較して、位置N2から位置N1までの荷重が高められてもよい。その後、刃先51が位置N1で折り返して位置N2まで摺動する際も、この高められた荷重が維持されることが好ましい。これにより、刃先51が重複して摺動される区間(すなわち位置N1と位置N2との間の区間)以外の区間での刃先51の荷重を軽減しつつ、刃先51が重複して摺動される区間からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
<実施の形態4>
図15を参照して、本実施の形態においては、刃先51の方向DB(図1)への摺動によってトレンチラインTLが形成される際に、刃先51が、ガラス基板4の縁である辺ED1に位置する位置N0を通過する。これにより刃先51は位置N0においてガラス基板4の縁を切り下ろす。これをきっかけとして、図16に示すように、クラックラインCLが位置N0から位置N3へ向かって伸展する。本実施の形態によれば、アシストラインAL(図5)などの形成を特に必要とすることなく、クラックラインCLの形成が開始されるきっかけをガラス基板4へ容易に与えることができる。
なおクラックラインCLの形成は、トレンチラインTL上の所定の箇所においてガラス基板4に、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するような応力を印加することによって開始される。応力の印加は、実施の形態1〜3で説明したアシストラインALの形成もしくはそれに沿ったガラス基板の分離、または実施の形態4で説明したガラス基板4の縁の切り下ろしに限定されるものではなく、たとえば、形成されたトレンチラインTL上またはその付近に再度刃先を押し付けることによる外部応力の印加、または、レーザ光の照射などによる加熱によっても行ない得る。
<付記>
上記の諸実施の形態においては、トレンチラインTLの形成における刃先51(図1)の摺動方向が方向DAである場合は、トレンチラインTLが形成された方向と同じ方向にクラックラインCLが形成される。またトレンチラインTLの形成における刃先51(図1)の摺動方向が方向DBである場合は、トレンチラインTLが形成された方向と逆の方向にクラックラインCLが形成される。いずれの場合においても、刃先51の軸方向AXがガラス基板4の上面SF1の法線方向からより傾けられれば、クラックラインCLの伸展方向を、上述したものとは逆にすることができる。すなわち、トレンチラインTLの形成における刃先51(図1)の摺動方向が方向DAである場合に、トレンチラインTLが形成された方向と逆の方向にクラックラインCLが形成され得る。またトレンチラインTLの形成における刃先51(図1)の摺動方向が方向DBである場合は、トレンチラインTLが形成された方向と同じ方向にクラックラインCLが形成され得る。この場合、図1において角度AG2>角度AG1とされることが好ましい。
なお、トレンチラインTLに沿ってクラックラインCLが形成されるきっかけとなる応力印加の位置は、クラックラインCLの伸展方向を考慮して選択されればよい。たとえば、応力印加としてアシストラインALが形成される場合、アシストラインALがトレンチラインTLと交差する位置は、クラックラインCLの伸展方向を考慮して選択される。
上記内容に基づき、下記(1)または(2)に記載のガラス基板(脆性基板)の分断方法が実施され得る。
(1) 第1の脆性基板の分断方法は、以下の工程a)〜c)を有している。
a)突起部と突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、突起部から側部へ向かう方向に摺動させることによって、一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインが形成される。トレンチラインは、トレンチラインの下方において脆性基板がトレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成される。
b)トレンチラインの少なくとも一部に沿って脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインが形成される。クラックラインによってトレンチラインの下方において脆性基板はトレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれている。
c)クラックラインに沿って脆性基板が分断される。
工程a)は、工程b)においてクラックラインがトレンチラインに沿って伸展する方向が、トレンチラインが形成された方向と逆となるように行われる。
(2) 第2の脆性基板の分断方法は、以下の工程a)〜c)を有している。
a)突起部と突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、側部から突起部へ向かう方向に摺動させることによって、一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインが形成される。トレンチラインは、トレンチラインの下方において脆性基板がトレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成される。
b)トレンチラインの少なくとも一部に沿って脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインが形成される。クラックラインによってトレンチラインの下方において脆性基板はトレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれている。
c)クラックラインに沿って脆性基板が分断される。
工程a)は、工程b)においてクラックラインがトレンチラインに沿って伸展する方向が、トレンチラインが形成された方向と同じとなるように行われる。
4 ガラス基板(脆性基板)
51 刃先
AL アシストライン
CL クラックライン
SF1 上面(一の面)
TL トレンチライン
PP 突起部
PS 側部

Claims (2)

  1. a)突起部と前記突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、前記突起部から前記側部へ向かう方向に摺動させることによって、前記一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインを形成する工程を備え、前記トレンチラインは、前記トレンチラインの下方において前記脆性基板が前記トレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成され、さらに
    b)前記トレンチラインの少なくとも一部に沿って前記脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインを形成する工程を備え、前記クラックラインによって前記トレンチラインの下方において前記脆性基板は前記トレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれており、さらに
    c)前記クラックラインに沿って前記脆性基板を分断する工程を備え、
    前記工程a)は、前記工程b)において前記クラックラインが前記トレンチラインに沿って伸展する方向が、前記トレンチラインが形成された方向と同じとなるように行われ
    前記刃先は、互いに隣り合う第1から第3の面と、前記第1から第3の面が合流する頂点と、前記第2および第3の面がなす稜線とを有し、
    前記刃先の前記突起部は前記頂点で構成され、前記刃先の前記側部は前記稜線で構成される、
    脆性基板の分断方法。
  2. a)突起部と前記突起部から延びかつ凸形状を有する側部とを有する刃先を脆性基板の一の面上で、前記側部から前記突起部へ向かう方向に摺動させることによって、前記一の面上に塑性変形を発生させることで、溝形状を有するトレンチラインを形成する工程を備え、前記トレンチラインは、前記トレンチラインの下方において前記脆性基板が前記トレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように形成され、さらに
    b)前記トレンチラインの少なくとも一部に沿って前記脆性基板のクラックを伸展させることによってクラックラインを形成する工程を備え、前記クラックラインによって前記トレンチラインの下方において前記脆性基板は前記トレンチラインと交差する方向において連続的なつながりが断たれており、さらに
    c)前記クラックラインに沿って前記脆性基板を分断する工程を備え、
    前記工程a)は、前記工程b)において前記クラックラインが前記トレンチラインに沿って伸展する方向が、前記トレンチラインが形成された方向と逆となるように行われ
    前記刃先は、互いに隣り合う第1から第3の面と、前記第1から第3の面が合流する頂点と、前記第2および第3の面がなす稜線とを有し、
    前記刃先の前記突起部は前記頂点で構成され、前記刃先の前記側部は前記稜線で構成される、
    脆性基板の分断方法。
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