JP6551640B1 - 非対称膜 - Google Patents

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Abstract

ポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む非対称膜であって、前記ポリイミド樹脂がテトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位(A)及びジアミンに由来する構成単位(B)を有し、前記構成単位(A)が式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(A-1)を含み、前記構成単位(B)が式(b-1)に由来する構成単位(B-1)を含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B-1)の比率が0.1〜50mol%であり、前記架橋剤がカルボキシ基と結合する官能基を2以上含む化合物である、非対称膜。(式(b-1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基であり、Xは単結合又は特定の基であり、pは0〜2の整数であり、m1は0〜4の整数であり、m2は0〜4の整数である。ただし、pが0の場合、m1は1〜4の整数である。)

Description

本発明は、排ガス分離処理、工業ガス用ガス分離等に有用な非対称膜に関する。
1997年の地球温暖化防止会議において先進国の温室効果ガス排出量削減目標が定められたことから、温室効果ガスの内、大気放出が最も多いCO2ガスの排出量削減が求められている。一方、気体混合物から選択的に目的とする気体を分離する気体分離膜が知られており、特に高分子気体分離膜は透過性や加工性に優れるため、火力発電所や工場等で大量に排出されるCO2ガスを分離するための用途として期待されている。例えば、特許文献1には、酢酸セルロースからなるガス分離膜が工業的に広く使われていることが開示されている。
また、特許文献2には、ガス透過性とガス分離選択性のいずれにも優れ、高圧条件下でも優れたガス透過性とガス分離選択性を示し、且つ、天然ガス中に存在するトルエン等の不純物の影響も受けにくいガス分離層を有するガス分離膜を提供することを目的として、3,5−ジニトロ−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミドに代表される特定のジアミンを用いたポリイミド化合物を含有してなるガス分離層を有するガス分離膜が開示されている。
特公平3−001055号公報 国際公開第2017/002407号
しかしながら、特許文献1に開示された酢酸セルロース等のセルロースエステルは溶媒溶解性に劣るため、フィルム状等に加工する際の加工性に劣るという問題がある。また、更なる効率化が求められる中で、CO2透過性とCO2選択性とのバランスの観点からは、未だ十分満足できる性能を有しているとはいえない。
また、高分子膜は、天然ガス等のガスを分離する際に高圧下で暴露されると、高分子膜の可塑化が起こることがある。可塑化した高分子膜は、CO2選択性が低下してしまう。更に場合によっては、可塑化によって不可逆にCO2選択性が低下することがある。不可逆なCO2選択性の低下が起こると、大気中に取り出してもCO2選択性が回復しないため、製品寿命が短いという問題がある。
特許文献2には、オルトチタン酸テトライソプロピル等を架橋剤とした芳香族ポリイミドを分離層として用いた気体分離膜が開示されている。この気体分離膜は、トルエン等の不純物に対する耐可塑性は良好であったが、高圧のCO2によって起こり得る不可逆なCO2選択性の低下については具体的な記載がなく考慮されていない。
本発明が解決しようとする課題は、優れたCO2透過性とCO2選択性とを両立し、かつ、CO2選択性回復率の高いガス分離膜として有用な非対称膜を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造の繰り返し単位を有するポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む非対称膜が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の非対称膜に関する。
<1>ポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む非対称膜であって、
前記ポリイミド樹脂が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位(A)、及びジアミンに由来する構成単位(B)を有し、
前記構成単位(A)が下記式(a−1)で表される化合物に由来する構成単位(A−1)を含み、
前記構成単位(B)が下記式(b−1)に由来する構成単位(B−1)を含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B−1)の比率が0.1〜50mol%であり、
前記架橋剤が、カルボキシ基と結合する官能基を2以上含む化合物である、非対称膜。
Figure 0006551640

(式(b−1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基であり、Xは単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、下記式(b−1−i)で表される基、又は下記式(b−1−ii)で表される基であり、pは0〜2の整数であり、m1は0〜4の整数であり、m2は0〜4の整数である。ただし、pが0の場合、m1は1〜4の整数である。)
Figure 0006551640

(式(b−1−i)中、m3は0〜5の整数であり;式(b−1−ii)中、m4は0〜5の整数である。なお、式(b−1)中、m1+m2+m3+m4は1以上であり、pが2の場合、2つのX及び2つのm2〜m4のそれぞれは独立して選択される。)
<2>前記構成単位(B−1)が、下記式(b−1−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−1−1)である、上記<1>に記載の非対称膜。
Figure 0006551640

(式(b−1−1)中、X、p、m1及びm2は、前記式(b−1)中のX、p、m1及びm2と同義である。
<3>前記構成単位(B−1)が、下記式(b−1−11)で表される化合物に由来する構成単位(B−1−11)である、上記<1>又は<2>に記載の非対称膜。
Figure 0006551640

<4>前記構成単位(B)が、下記式(b−2−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−1)、下記式(b−2−2)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−2)及び下記式(b−2−3)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−3)からなる群より選ばれる少なくとも1つである構成単位(B−2)を更に含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B−2)の比率が10〜99.9mol%である、上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の非対称膜。
Figure 0006551640

(式(b−2−1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基である。)
<5>前記架橋剤が、分子内に2以上のオキサゾリル基を有する化合物である、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の非対称膜。
<6>前記架橋剤が、分子内に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の非対称膜。
<7>中空繊維状である、上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の非対称膜。
<8>フィルム状である、上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の非対称膜。
<9>気体分離膜である、上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の非対称膜。
本発明の非対称膜は、優れたCO2透過性とCO2選択性を両立させることができるとともに、CO2選択性回復率が高く製品寿命が長い。
[非対称膜]
本実施形態の非対称膜は、ポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む非対称膜であって、
前記ポリイミド樹脂が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位(A)、及びジアミンに由来する構成単位(B)を有し、
前記構成単位(A)が下記式(a−1)で表される化合物に由来する構成単位(A−1)を含み、
前記構成単位(B)が下記式(b−1)に由来する構成単位(B−1)を含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B−1)の比率が0.1〜50mol%であり、
前記架橋剤が、カルボキシ基と結合する官能基を2以上含む化合物である。
本実施形態において「非対称膜」とは、ガス透過性の多孔質層と、ガス分離能を有する緻密層の少なくとも2層からなる非対称構造を有する膜のことをいう。緻密層はガス種によって透過速度が実質的に異なる程度の緻密さを有し、ガス種による分離機能を持つ。一方、多孔質層は実質的なガス分離機能を持たない程度に多孔性を有する層であって、必ずしも孔径は一定でなく、大きな孔から順次細かい孔となり更に連続的に緻密層を形成したものであっても構わない。本実施形態におけるポリイミド樹脂は、少なくとも非対称膜の緻密層に含まれる。
本実施形態の非対称膜は、ポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む。以下、本実施形態におけるポリイミド樹脂及び架橋剤について説明する。
<ポリイミド樹脂>
本実施形態におけるポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位(A)及びジアミンに由来する構成単位Bを有し、構成単位Aが下記式(a−1)で表される化合物に由来する構成単位(A−1)を含み、構成単位Bが下記式(b−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−1)を含む。
Figure 0006551640

(式(b−1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基であり、Xは単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、下記式(b−1−i)で表される基、又は下記式(b−1−ii)で表される基であり、pは0〜2の整数であり、m1は0〜4の整数であり、m2は0〜4の整数である。ただし、pが0の場合、m1は1〜4の整数である。)
Figure 0006551640

(式(b−1−i)中、m3は0〜5の整数であり;式(b−1−ii)中、m4は0〜5の整数である。なお、式(b−1)中、m1+m2+m3+m4は1以上であり、pが2の場合、2つのX及び2つのm2〜m4のそれぞれは独立して選択される。)
(構成単位(A))
構成単位(A)は、ポリイミド樹脂に占めるテトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位であり、下記式(a−1)で表される化合物に由来する構成単位(A−1)を含む。
Figure 0006551640
式(a−1)で表される化合物は、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(CpODA)である。
構成単位(A)が構成単位(A−1)を含むことによって、優れたCO2透過性とCO2選択性とを両立させたガス分離膜として有用な非対称膜を提供することができる。
構成単位(A)中における構成単位(A−1)の比率は、好ましくは0.1〜100mol%である。1mol%以上であってもよく、5mol%以上であってもよく、10mol%以上であってもよく、30mol%以上であってもよく、50mol%以上であってもよく、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。また、構成単位(A−1)の比率の上限値は特に限定されず、100mol%である。すなわち、構成単位(A)は構成単位(A−1)のみからなっていてもよい。
構成単位(A)は、構成単位(A−1)以外の構成単位を含んでもよい。そのような構成単位を与えるテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば下式(I−1)〜(I−28)で表される基を有するテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。式(I−1)〜(I−28)中の*はカルボキシ基との結合部位を示し、1分子中4つのカルボキシ基が脱水縮合して2つの無水物を形成する。X1〜X3はそれぞれ独立に単結合又は2価の連結基を示し、Lは−CH=CH−又は−CH2−を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を示す。
Figure 0006551640
構成単位(A−1)以外の構成単位を与えるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、9,9’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸無二水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物(ただし、式(a−1)で表される化合物を除く);並びにエチレンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
なお、本明細書において、芳香族テトラカルボン酸二無水物とは芳香環を1つ以上含むテトラカルボン酸二無水物を意味し、脂環式テトラカルボン酸二無水物とは脂環を1つ以上含み、かつ芳香環を含まないテトラカルボン酸二無水物を意味し、脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは芳香環も脂環も含まないテトラカルボン酸二無水物を意味する。
構成単位(A)に任意に含まれる構成単位(A−1)以外の構成単位は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
(構成単位(B))
構成単位(B)は、ポリイミド樹脂に占めるジアミンに由来する構成単位であって、下記式(b−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−1)を含む。
Figure 0006551640

(式(b−1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基であり、Xは単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、下記式(b−1−i)で表される基、又は下記式(b−1−ii)で表される基であり、pは0〜2の整数であり、m1は0〜4の整数であり、m2は0〜4の整数である。ただし、pが0の場合、m1は1〜4の整数である。)
Figure 0006551640

(式(b−1−i)中、m3は0〜5の整数であり;式(b−1−ii)中、m4は0〜5の整数である。なお、式(b−1)中、m1+m2+m3+m4は1以上であり、pが2の場合、2つのX及び2つのm2〜m4のそれぞれは独立して選択される。)
式(b−1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基である。これらの基は、ヘテロ原子及び/又はハロゲン原子を含む基で置換されていてもよい。
芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12、より好ましくは2〜10、更に好ましくは3〜8である。脂環式炭化水素基としては、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基であってもよく、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基のうち2種以上の組合せであってもよい。例えば、芳香族基及び脂肪族炭化水素基を含む基であってもよい。
構成単位(B−1)は、下記式(b−1−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−1−1)であることが好ましい。式(b−1−1)で表される化合物は、式(b−1)におけるQ1及びQ2がベンゼン環である化合物である。
Figure 0006551640

(式(b−1−1)中、X、p、m1及びm2は、前記式(b−1)中のX、p、m1及びm2と同義である。
式(b−1)で表される化合物の具体例としては、下記式(b−1−11)〜(b−1−17)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006551640
また、式(b−1)で表される化合物の他の具体例としては、2,4,6−トリメチル−3,5−ジニトロ安息香酸、ジアミノナフタレンカルボン酸、リシン、α−アミノフェニルアラニン、2−アミノロイシン、2,3−ジアミノブタン酸、3,4−ジアミノシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
上記化合物の中でも式(b−1−11)で表される化合物が好ましく、下記式(b−1−111)で表される化合物、すなわち3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)がより好ましい。
Figure 0006551640
構成単位(B−1)は、ポリイミド樹脂にカルボキシ基を与える構成単位である。ポリイミド樹脂がカルボキシ基を有することによって、後述する架橋剤を介したポリイミド樹脂同士の架橋が可能となり、架橋ポリイミド樹脂を形成することができる。そして、そのような架橋ポリイミド樹脂を含むことで、高圧下での使用でも可塑化しにくくCO2選択性回復率の高い非対称膜を提供することができる。
したがって、構成単位Bが構成単位(B−1)を含むことによって、CO2選択性回復率の高い非対称膜を提供することができる。
構成単位(B)中における構成単位(B−1)の比率は、0.1〜50mol%である。構成単位(B)中における構成単位(B−1)の比率が50mol%以下であれば、優れたCO2透過性とCO2選択性を保ちつつ、かつ後述する架橋剤を介したポリイミド樹脂同士の架橋が適切に行われ、CO2選択性回復率の高い非対称膜を提供することができる。
構成単位(B)中における構成単位(B−1)の比率は、好ましくは1〜50mol%、より好ましくは5〜40mol%、更に好ましくは8〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
構成単位(B−1)以外の構成単位としては、脂環式ジアミンに由来する構成単位、脂肪族ジアミンに由来する構成単位、芳香族ジアミンに由来する構成単位が挙げられる。構成単位(B−1)以外の構成単位としては、芳香族ジアミンに由来する構成単位が好ましい。
なお、本明細書において、芳香族ジアミンとは芳香環を1つ以上含むジアミンを意味し、脂環式ジアミンとは脂環を1つ以上含み、かつ芳香環を含まないジアミンを意味し、脂肪族ジアミンとは芳香環も脂環も含まないジアミンを意味する。
構成単位(B)に任意に含まれる構成単位(B−1)以外の構成単位は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
脂環式ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、フェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、カルド型フルオレンジアミン誘導体等が挙げられる。
フェニレンジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等が挙げられ、フェニレンジアミン誘導体としては、例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,4−トリフェニレンジアミン等の、メチル基、エチル基等のアルキル基が結合したジアミンが挙げられる。
ジアミノビフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基がフェニル基同士で結合したものであり、例えば、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、5,5’−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)−2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン(後述の式(b−2−2)で表される化合物)等が挙げられる。
ジアミノジフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士で結合したものである。他の基としては、エーテル結合、スルホニル結合、チオエーテル結合、アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合、アゾ結合、ホスフィンオキシド結合、アミド結合、ウレイレン結合等が挙げられる。アルキレン結合は炭素数が1〜6程度のものが挙げられ、その誘導体基はアルキレン基の水素原子の1つ以上がハロゲン原子等で置換されたものである。ジアミノジフェニル化合物としては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(p−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−2−ぺンテン、イミノジアニリン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)ペンタン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と1つのフェニレン基が何れも他の基を介して結合したものであり、他の基は、ジアミノジフェニル化合物と同様のものが挙げられる。ジアミノトリフェニル化合物としては、例えば、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
ジアミノナフタレンとしては、例えば、1,5−ジアミノナフタレン及び2,6−ジアミノナフタレンが挙げられる。
アミノフェニルアミノインダンとしては、例えば、5−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン(後述の式(b−2−3)で表される化合物)、6−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンが挙げられる。
ジアミノテトラフェニル化合物としては、例えば、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(m−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等が挙げられる。
カルド型フルオレンジアミン誘導体としては、例えば、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(後述の式(b−2−1)で表される化合物)等が挙げられる。
なお、芳香族ジアミンとしては、上記ジアミンの水素原子が、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等からなる群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。また、芳香族ジアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(B−1)以外の構成単位としては、優れたCO2透過性とCO2選択性の観点から、下記式(b−2−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−1)、下記式(b−2−2)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−2)及び下記式(b−2−3)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−3)からなる群より選ばれる少なくとも1つである構成単位(B−2)が好ましい。
Figure 0006551640

(式(b−2−1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基である。)
式(b−2−1)中において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。式(b−2−1)で表される化合物としては、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられ、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが好ましい。
式(b−2−2)で表される化合物は、5,5’−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)−2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン(HFA−mTB)である。
式(b−2−3)で表される化合物は、5−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン(TMDA)である。
構成単位(B)中における構成単位(B−2)の比率は、好ましくは50〜99.9mol%、より好ましくは50〜99mol%、更に好ましくは60〜95mol%、更に好ましくは70〜92mol%、更に好ましくは75〜90mol%である。
本実施形態において、ポリイミド樹脂の数平均分子量は、得られるポリイミドフィルムの機械的強度の観点から、好ましくは5,000〜100,000である。なお、ポリイミド樹脂の数平均分子量は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー測定による標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求めることができる。
<ポリイミド樹脂の製造方法>
ポリイミド樹脂は、上述したテトラカルボン酸成分と、ジアミン成分とを用いて製造することができ、その製造方法は特に限定されない。例えば、(i)溶液重合法、(ii)ポリアミック酸溶液を得て製膜し、イミド化する方法、(iii)カルボン酸成分とジアミン成分との塩又はオリゴマーを得た後、固相重合を行なう方法、(iv)テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートを原料とする方法等、従来公知の方法が挙げられ、それぞれの方法を併用することもできる。また、反応の際には、酸、三級アミン類、無水物等の従来公知の触媒等を用いることができる。
本実施形態におけるポリイミド樹脂は、通常、有機溶媒溶液として製造する。有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m−クレゾ−ル、フェノ−ル、p−クロルフェノール、2−クロル−4−ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ポリイミドと溶媒からなるポリイミドワニスの性能の観点からは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、γ−ブチロラクトン(GBL)を単独、又は併用するのが好ましい。
また、溶液重合による製造の場合、前記の有機溶媒と併せてヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の貧溶媒を、重合体が析出しない程度に使用することができる。
ポリイミド樹脂の有機溶媒溶液は、例えば、下記(1)〜(3)の方法で製造することができる。
(1)ジアミン成分の有機溶媒溶液にテトラカルボン酸成分を添加し、または、テトラカルボン酸成分の有機溶媒溶液にジアミン成分を添加し、好ましくは80℃以下、特に室温付近ないしそれ以下の温度で0.5〜3時間保つ。得られた反応中間体のポリアミド酸溶液にトルエンあるいはキシレン等の共沸脱水溶媒を添加して、生成水を共沸により系外へ除きつつ脱水反応を行い、ポリイミド樹脂の有機溶媒溶液を得る。
(2)上記(1)で得られた反応中間体のポリアミド酸溶液に無水酢酸等の脱水剤を加えてイミド化した後、メタノール等のポリイミドに対する溶解能が乏しい溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。この沈殿物をろ過、洗浄及び乾燥により固体として分離した後、有機溶媒に溶解してポリイミド樹脂の有機溶媒溶液を得る。
(3)上記(1)において、クレゾール等の高沸点溶媒を用いてポリアミド酸溶液を調製し、そのまま150〜220℃に3〜12時間保ってポリイミド化させた後、メタノール等のポリイミドに対する溶解能が乏しい溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。この沈殿物をろ過、洗浄及び乾燥により固体として分離した後、N,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶媒に溶解してポリイミド樹脂の有機溶媒溶液を得る。
本実施形態におけるポリイミド樹脂を溶液重合で製造する場合、触媒として3級アミン化合物を用いることが好ましい。3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂の溶液の濃度は、1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
ポリイミド樹脂の有機溶媒溶液には、フッ素系、ポリシロキサン系等の界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加により、表面平滑性の良好なフィルムを得やすくなる。
本実施形態において、ポリイミド樹脂の製造に用いるテトラカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み量比は、テトラカルボン酸成分1モルに対してジアミン成分が0.9〜1.1モルであることが好ましい。
また、本実施形態において、ポリイミド樹脂の製造には、前述のテトラカルボン酸成分及びジアミン成分の他に、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としてはモノアミン類あるいはジカルボン酸類が好ましい。導入される末端封止剤の仕込み量としては、テトラカルボン酸成分1モルに対して0.0001〜0.1モルが好ましく、特に0.001〜0.06モルが好ましい。モノアミン類末端封止剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、4−エチルベンジルアミン、4−ドデシルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、3−エチルベンジルアミン、アニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン等が推奨される。これらのうち、ベンジルアミン、アニリンが好適に使用できる。ジカルボン酸類末端封止剤としては、ジカルボン酸類が好ましく、その一部を閉環していてもよい。例えば、フタル酸、無水フタル酸、4−クロロフタル酸、テトラフルオロフタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等が推奨される。これらのうち、フタル酸、無水フタル酸が好適に使用できる。
本実施形態におけるポリイミド樹脂の有機溶媒溶液には、従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤等のその他の成分が含まれていてもよい。
本実施形態におけるポリイミド樹脂は、溶媒溶解性に優れるため、広い範囲の通常の有機溶媒に可溶である。したがって、ポリイミド樹脂を用いてフィルム状等の膜に成形する際の加工性に優れるという利点を有する。
<架橋剤>
本実施形態における架橋剤は、カルボキシ基と結合する官能基を2以上含む化合物である。架橋剤としては、上記ポリイミド樹脂を架橋し得るものであれば特に限定されず、従来公知の材料を使用することができる。例えば、ポリオール化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、アミン系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール、PDO)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(1,3−PBO)、エチレンジアミン等を使用することができる。
また、本実施形態で使用され得る架橋剤としては、分子内に2以上のオキサゾリル基を有する化合物(多官能オキサゾリン化合物)であることが好ましい。オキサゾリル基はカルボキシ基との反応性を有しており、カルボキシ基とオキサゾリル基とが反応すると、以下に示すようにアミドエステル結合が形成される。この反応は、80℃以上に加熱すると特に進行しやすい。
Figure 0006551640
本実施形態に係るポリイミド樹脂はカルボキシ基を有することから、本実施形態に係るポリイミド樹脂及び架橋剤を含む組成物を加熱すると、架橋剤を介してポリイミド樹脂同士が架橋して、架橋ポリイミド樹脂が形成される。架橋剤を介したポリイミド樹脂同士の架橋が適切に行われることで、CO2選択性回復率の高い非対称膜を提供することができる。なお、オキサゾリル基とカルボキシ基との反応は室温ではほとんど進行しないため、本実施形態に係るポリイミド樹脂及び架橋剤を含む組成物は保存安定性に優れる。
多官能オキサゾリン化合物の具体例としては、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、株式会社日本触媒製の「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」、2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,6−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−ターシャリーブチル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。
多官能オキサゾリン化合物としては、少なくとも2つのオキサゾリル基が結合したベンゼン環を含む化合物が好ましく、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンがより好ましい。
多官能オキサゾリン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤として多官能オキサゾリン化合物を用いる場合、架橋剤中のオキサゾリル基とポリイミド樹脂中のカルボキシ基とのモル比(オキサゾリル基/カルボキシ基)が1/4〜1/0.5の範囲となるような比率で、ポリイミド樹脂と架橋剤とを配合することが好ましい。前記モル比は、より好ましくは1/4〜1/1であり、更に好ましくは1/2〜1/1である。
なお、上記のモル比は、架橋剤に含まれるオキサゾリル基と、ポリイミド樹脂の製造に用いる構成単位(B−1)を与える化合物に含まれるカルボキシ基とのモル比を意味し、架橋剤の添加量と構成単位(B−1)を与える化合物の添加量に基づいて計算される。
また、本実施形態で使用され得る他の架橋剤としては、分子内に2以上のヒドロキシ基を有する化合物(ポリオール化合物)であることが好ましい。ヒドロキシ基はカルボキシ基との反応性を有しており、カルボキシ基とヒドロキシ基とが反応するとエステル結合が形成される。この反応は、150℃以上に加熱すると特に進行しやすい。
架橋剤としてポリオール化合物を用いる場合、架橋剤中のヒドロキシ基とポリイミド樹脂中のカルボキシ基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシ基)が1/4〜1/0.5の範囲となるような比率で、ポリイミド樹脂と架橋剤とを配合することが好ましい。前記モル比は、より好ましくは1/4〜1/1であり、更に好ましくは1/2〜1/1である。
なお、上記のモル比は、架橋剤に含まれるヒドロキシ基と、ポリイミド樹脂の製造に用いる構成単位(B−1)を与える化合物に含まれるカルボキシ基とのモル比を意味し、架橋剤の添加量と構成単位(B−1)を与える化合物の添加量に基づいて計算される。
本実施形態の非対称膜は、ガス透過性の多孔質層と、ガス分離能を有する緻密層の少なくとも2層からなる。本実施形態の非対称膜において、上述した架橋ポリイミド樹脂は少なくとも緻密層に含まれることが好ましい。上述した架橋ポリイミド樹脂は多孔質層に含まれていてもよい。
本実施形態の非対称膜の形状は特に限定されないが、中空繊維状又はフィルム状であることが好ましい。
本実施形態の非対称膜は、優れたCO2透過性とCO2選択性とを両立する。
CO2透過性としては、二酸化炭素の透過係数PCO2の値が、好ましくは10Barrer以上、より好ましくは15Barrer以上、更に好ましくは18Barrer以上、更に好ましくは20Barrer以上である。透過係数の単位は「Barrer」であり、1Barrer=10-10cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHgである。
CO2選択性としては、メタンに対する二酸化炭素の分離度αPCO2/PCH4の値が、好ましくは27以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは33以上、更に好ましくは36以上、更に好ましくは40以上である。
CO2透過性及びCO2選択性は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
また、本実施形態の非対称膜は、高いCO2選択性回復率を示す。
CO2選択性回復率は、非対称膜を4MPaの混合ガスに2週間暴露した後に、大気中に取り出して1か月後のαPCO2/PCH4を測定し、混合ガスに曝露する前のαPCO2/PCH4に基づいてCO2選択性の回復率を算出することで求められる。CO2選択性回復率は、具体的には後述する実施例に記載の方法で測定される。
CO2選択性回復率は、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、更に好ましくは95%以上である。
[非対称膜の製造方法]
本実施形態の非対称膜は、例えば、ポリイミド樹脂から得られるポリイミド樹脂膜を緻密層とし、多孔質層をこの緻密層に積層すること等により得ることができる。ポリイミド樹脂膜は、例えば、上述したテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られたポリアミック酸(ポリイミド前駆体)、または有機溶媒可溶性のポリイミド等の有機溶媒溶液を、製膜用のドープ液として使用して、そのドープ液の薄膜を形成し、ドープ液の薄膜から溶媒を除去して固化する乾燥工程を主体にして製膜する乾式製膜法、またはドープ液の薄膜を凝固液と接触させて凝固して固化する湿式製膜法で、フィルム状、または中空繊維状に形成して、種々の形状のポリイミド樹脂膜を得ることができる。また、ポリイミド樹脂膜の製造においては、基材として表面の平滑な材料(例えば、ガラス板、平面平滑な銅板、表面平滑な金属ロールまたはベルト等)を使用して製膜して、均質膜を形成した後に、基材から膜を引き剥がすことにより、均質膜が極めて薄いフィルム状のものとして得られる。
本実施形態の非対称膜を構成するポリイミド樹脂膜は、上述のポリイミド樹脂が上述の架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む。すなわち、本実施形態の非対称膜を構成するポリイミド樹脂膜は、架橋剤を介したポリイミド樹脂同士の架橋物である架橋ポリイミド樹脂を含む。
ポリイミド樹脂膜の製造方法には、ポリイミド樹脂と架橋剤との架橋反応が進行する温度(好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上)で架橋する工程を含めば、特に制限はない。例えば、上述のポリイミド樹脂及び架橋剤を含有する有機溶媒溶液を、ガラス板、金属板、プラスチック等の平滑な支持体上に塗布、又はフィルム状に成形した後、加熱する方法が挙げられる。この加熱処理により、溶液中のポリイミド樹脂と架橋剤との架橋反応を進行させながら、溶液中に含まれる反応溶剤や希釈溶剤等の有機溶媒を除去することができる。前記支持体の表面には、必要に応じて、予め離形剤を塗布しておいてもよい。
加熱処理としては、以下の方法が好ましい。すなわち、60〜150℃の温度で有機溶媒を蒸発させて自己支持性膜とした後、該自己支持性膜を支持体より剥離し、該自己支持性膜の端部を固定し、用いた有機溶媒の沸点以上の温度で乾燥してポリイミド樹脂膜を製造することが好ましい。また、窒素雰囲気下で乾燥することが好ましい。乾燥雰囲気の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよい。自己支持性膜を乾燥してポリイミド樹脂膜を製造する際の加熱温度は、特に限定されないが、250〜400℃が好ましい。
ポリイミド樹脂膜の厚みは用途等に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1〜250μm、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜80μmの範囲である。厚みが1〜250μmであることで、自立膜としての実用的な使用が可能となる。ポリイミド樹脂膜の厚みは、ポリイミドワニスの固形分濃度や粘度を調整することにより、容易に制御することができる。
非対称膜は、例えば、緻密層(X)としてのポリイミド樹脂膜を、他の多孔質膜と積層または貼合わせることにより製造することができる。さらに、ポリイミド樹脂膜の製造法において、基材として多孔質膜を使用することにより、ポリイミド樹脂膜が多孔質膜の表面に一体に形成された非対称膜が得られる。ここで、多孔質膜としては、特に限定されないが、例えば、ナノ濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜、織布、不織布等のガス透過性の膜が挙げられる。不織布としては、ポリエスエル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いることができる。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたりする等の目的で、不織布を2本のロールで挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
また、非対称膜は、ポリイミドを適当な溶剤に溶解した製膜原液をそのまま平滑なガラス板上に流延あるいは塗布し、一定時間溶媒の一部を蒸発させた後に、非溶媒中に浸漬し、脱溶媒する方法により製造することもできる。また、二重管構造の中空糸紡糸ノズルの環状口から上述の製膜原液と円状口から非溶媒を同時に凝固液中に押し出すことにより中空糸膜を製膜することもできる。かかる湿式法で製膜した非対称膜を乾燥後、ガス分離膜として使用することができる。乾燥法は常法でよく、例えば室温で風乾した後、真空乾燥あるいは加熱乾燥する。得られたポリイミド膜は、緻密層と、それを支える同ポリイミドからなる多孔質層とを有する非対称構造をとる。
本実施形態の非対称膜は、溶媒溶解性に優れたポリイミド樹脂を用いるため加工性に優れ、また、優れたCO2透過性とCO2選択性とを併せ持っている。さらにCO2選択性回復率が高く、製品寿命が長い。
本実施形態の非対称膜は、空気の酸素富化、窒素富化、溶接ガス等の混入した使用済みヘリウムからのヘリウムの回収又は精製、天然ガス中のヘリウムの濃縮、アンモニアパージガスからの水素の回収、合成ガス中の一酸化炭素/水素のモル比調節、水添脱硫プラントのパージガスからの水素の回収、原油回収時に注入された炭酸ガスの炭化水素からの分離又は回収、天然ガス中の炭酸ガスの分離又は除去、嫌気性微生物分解により生じたバイオガスからのメタンの分離又は回収等に用いることができ、特に、排ガス分離処理、工業ガス用の気体分離膜として有用である。他にも、逆浸透による水の脱塩、ガソリン及びディーゼル燃料の深度脱硫のような非水性液体分離、エタノール/水の分離、水性/有機混合物のパーベーパレーション脱水、CO2/CH4、CO2/N2、H2/CH4、O2/N2、H2S/CH4、オレフィン/パラフィン、イソ/ノルマルパラフィンの分離、及び他の軽質気体混合物の分離のような、種々の液体、気体、及び蒸気の分離のために好適であるだけでなく、触媒反応及び燃料電池用途等の他の用途のために用いることもできる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例にて使用したテトラカルボン酸成分、ジアミン成分、架橋剤、並びにその略号は以下の通りである。
<テトラカルボン酸成分>
CpODA:ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(JXエネルギー株式会社製;式(a−1)で表される化合物)
HPMDA:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(三菱ガス化学株式会社製)
<ジアミン成分>
3,5−DABA:3,5−ジアミノ安息香酸(日本純良薬品株式会社製;式(b−111)で表される化合物)
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(田岡化学工業株式会社製;式(b−2−1)で表される化合物)
HFA−mTB:5,5’−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシイソプロピル)−2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン(セントラル硝子株式会社製;式(b−2−2)で表される化合物)
TMDA:5−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン(日本純良薬品株式会社製;式(b−2−3)で表される化合物)
<架橋剤>
1,3−PBO:1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(三國製薬工業株式会社製)
PDO:1,3−プロパンジオール(デュポン株式会社製)
実施例1
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた1Lの5つ口丸底フラスコに、BAFLを31.361g(0.090モル)と、3,5−DABAを1.522g(0.010モル)と、γ−ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)を105.961g投入し、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、CpODAを38.438g(0.100モル)と、γ−ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)を26.490gとを一括で添加した後、イミド化触媒としてトリエチルアミン(関東化学株式会社製)を0.506g及びトリエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製)を0.056g投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して3時間還流した。
その後、γ−ブチロラクトン(三菱化学株式会社製)を478.614g添加して、反応系内温度を120℃まで冷却した後、更に約3時間撹拌して均一化して、固形分濃度10.0質量%のポリイミド樹脂溶液(1)を得た。
続いて、ポリイミド樹脂溶液(1)100g中に、架橋剤として1,3−PBOを0.159g(0.00074モル)添加し、室温で1時間撹拌後、架橋剤とポリイミド樹脂とを含む固形分濃度10.14質量%のポリイミドワニスを得た。なお、1,3−PBOの添加量と3,5−DABAの添加量に基づいて計算されるオキサゾリル基/カルボキシ基のモル比は、1/1である。
続いてガラス板上へ、得られたポリイミドワニスを塗布し、ホットプレートで80℃、20分間保持し、その後、窒素雰囲気下、熱風乾燥機中350℃で30分加熱し溶媒を蒸発させ、厚み50μmのフィルムを得た。
比較例1
ポリイミド樹脂溶液(1)に対して架橋剤1,3−PBOを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリイミドワニスを作製した。即ち、ポリイミド樹脂溶液(1)を、そのままポリイミドワニスとして用いた。
得られたポリイミドワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、厚み50μmのフィルム(非対称膜)を得た。
実施例2
実施例1において、CpODAの量を38.438g(0.100モル)から17.219g(0.050モル)に変更し、HPMDAを11.208g(0.050モル)追加した以外は、実施例1と同様の方法によりポリイミド樹脂溶液を作製し、固形分濃度10質量%のポリイミド樹脂溶液(2)を得た。
続いて、ポリイミド樹脂溶液(2)100g中に、架橋剤として1,3−PBOを0.176g(0.00082モル)添加し、室温で1時間撹拌後、架橋剤とポリイミド樹脂とを含む固形分濃度10.16質量%のポリイミドワニスを得た。なお、1,3−PBOの添加量と3,5−DABAの添加量に基づいて計算されるオキサゾリル基/カルボキシ基のモル比は、1/1である。
得られたポリイミドワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、厚み50μmのフィルム(非対称膜)を得た。
実施例3
実施例1において、BAFL 31.361g(0.090モル)をHFA−mTB 48.991g(0.090モル)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリイミド樹脂溶液を作製し、固形分濃度10.00質量%のポリイミド樹脂溶液(3)を得た。
続いて、ポリイミド樹脂溶液(3)100g中に、架橋剤として1,3−PBOを0.122g(0.00056モル)添加し、室温で1時間撹拌後、架橋剤とポリイミド樹脂とを含む固形分濃度10.13質量%のポリイミドワニスを得た。なお、1,3−PBOの添加量と3,5−DABAの添加量に基づいて計算されるオキサゾリル基/カルボキシ基のモル比は、1/1である。
得られたポリイミドワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、厚み50μmのフィルム(非対称膜)を得た。
実施例4
実施例1において、BAFL 31.361g(0.090モル)をTMDA 23.975g(0.090モル)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリイミド樹脂溶液を作製し、固形分濃度10.00質量%のポリイミド樹脂溶液(4)を得た。
続いて、ポリイミド樹脂溶液(4)100g中に、架橋剤として1,3−PBOを0.169g(0.00078モル)添加し、室温で1時間撹拌後、架橋剤とポリイミド樹脂とを含む固形分濃度10.14質量%のポリイミドワニスを得た。なお、1,3−PBOの添加量と3,5−DABAの添加量に基づいて計算されるオキサゾリル基/カルボキシ基のモル比は、1/1である。
得られたポリイミドワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、厚み50μmのフィルム(非対称膜)を得た。
実施例5
実施例1において、ポリイミド樹脂溶液(1)100g中に、架橋剤として1,3−PBO 0.159g(0.00074モル)をPDO 0.059g(0.00074モル)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリイミドワニスを作製した。
なお、PDOの添加量と3,5−DABAの添加量に基づいて計算されるヒドロキシ基/カルボキシ基のモル比は、1/1である。
得られたポリイミドワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、厚み50μmのフィルム(非対称膜)を得た。
比較例2
三酢酸セルロース(TAC)からなる膜厚50μmのフィルム(LOFO社製)を用いた。
Figure 0006551640
[CO2透過性及びCO2選択性の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜2で得たフィルムを用い、二酸化炭素の透過係数PCO2(Barrer)及びメタンの透過係数PCH4を以下のとおりに測定し、さらに、メタンに対する二酸化炭素の分離度αPCO2/PCH4を求めた。
透過係数(P)の単位はBarrer(1Barrer=10-10cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg)である。
組成がCH4/CO2=90/10(mL/mL)であり、温度が40℃であるガスを実施例および比較例で得られたフィルムに供給し、透過側にスウィープガスとしてアルゴンを10mL/min供給した等圧法によって、各フィルムの透過係数を測定した。
CH4=(CH4透過流量)/(膜面積)・(膜厚)・(CH4供給分圧−CH4透過分圧)
CO2=(CO2透過流量)/(膜面積)・(膜厚)・(CO2供給分圧−CO2透過分圧)
αPCO2/PCH4=PCO2/PCH4
試験に用いたフィルム面積は8.5cm2とした。結果を表1に示す。
[CO2選択性回復率の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜2で得たフィルムを用い、CO2選択性回復率を以下のとおりに測定した。
実施例及び比較例で得られたフィルムを4MPaの混合ガス(25%CO2,40%メタン、20%エタン、15%プロパン)に2週間暴露した後に、大気中に取り出して1か月後のαPCO2/PCH4を測定した。混合ガスに曝露する前のαPCO2/PCH4から、性能の回復率を算出した。
αPCO2/PCH4については、前項と同様の等圧法によって測定した。
Figure 0006551640
比較例1では、優れたCO2透過性とCO2選択性とを両立させることができるが、CO2選択性回復率が低かった。また、比較例2では、CO2選択性回復率が高いが、CO2透過性及びCO2選択性がいずれも不十分であった。
これに対し、本実施形態の非対称膜は、優れたCO2透過性とCO2選択性とを両立させることができるとともに、CO2選択性回復率が高かった。
本発明の非対称膜は、排ガス分離処理、工業ガス用のガス分離膜として有用である。

Claims (9)

  1. ポリイミド樹脂が架橋剤により架橋されてなる架橋ポリイミド樹脂を含む非対称膜であって、
    前記ポリイミド樹脂が、テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位(A)、及びジアミンに由来する構成単位(B)を有し、
    前記構成単位(A)が下記式(a−1)で表される化合物に由来する構成単位(A−1)を含み、
    前記構成単位(B)が下記式(b−1)に由来する構成単位(B−1)を含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B−1)の比率が0.1〜50mol%であり、
    前記架橋剤が、カルボキシ基と結合する官能基を2以上含む化合物である、非対称膜。
    Figure 0006551640

    (式(b−1)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含む基であり、Xは単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、下記式(b−1−i)で表される基、又は下記式(b−1−ii)で表される基であり、pは0〜2の整数であり、m1は0〜4の整数であり、m2は0〜4の整数である。ただし、pが0の場合、m1は1〜4の整数である。)
    Figure 0006551640

    (式(b−1−i)中、m3は0〜5の整数であり;式(b−1−ii)中、m4は0〜5の整数である。なお、式(b−1)中、m1+m2+m3+m4は1以上であり、pが2の場合、2つのX及び2つのm2〜m4のそれぞれは独立して選択される。)
  2. 前記構成単位(B−1)が、下記式(b−1−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−1−1)である、請求項1に記載の非対称膜。
    Figure 0006551640

    (式(b−1−1)中、X、p、m1及びm2は、前記式(b−1)中のX、p、m1及びm2と同義である。)
  3. 前記構成単位(B−1)が、下記式(b−1−11)で表される化合物に由来する構成単位(B−1−11)である、請求項1又は2に記載の非対称膜。
    Figure 0006551640
  4. 前記構成単位(B)が、下記式(b−2−1)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−1)、下記式(b−2−2)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−2)及び下記式(b−2−3)で表される化合物に由来する構成単位(B−2−3)からなる群より選ばれる少なくとも1つである構成単位(B−2)を更に含み、前記構成単位(B)100mol%中における該構成単位(B−2)の比率が10〜99.9mol%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非対称膜。
    Figure 0006551640

    (式(b−2−1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基である。)
  5. 前記架橋剤が、分子内に2以上のオキサゾリル基を有する化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非対称膜。
  6. 前記架橋剤が、分子内に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非対称膜。
  7. 中空繊維状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非対称膜。
  8. フィルム状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非対称膜。
  9. 気体分離膜である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非対称膜。
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