JP6545473B2 - 滲み防止加工布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、滲み防止加工布帛に関する。特に、油性インクの滲みが抑制された布帛に関する。
園児、学童若しくは生徒の持ち物又は衣料(例えば、体操服又は水着)などは、名札又はゼッケンが付されて用いられる。こうした名札又はゼッケンには、自身の名前又は所属が記入されるが、油性ペンで名前等を記入すると油性インクが表面で滲んでしまい、輪郭がぼやけるという問題がある。油性インクが布帛(名札又はゼッケン)に滲む理由の一つとして、油性インクが繊維中に滲みこんでしまう毛細管現象が挙げられる。こうした問題を避けるために、例えば家庭用の糊で布帛の目を潰したり、手早く文字を記入したりする方法が採用されることがある。しかし、これらの方法は個人のカンやコツに頼るものであり、現実的な方法ではない。
また、布帛における油性インクの滲みを抑制する方法として、これまで布帛を様々に加工する方法が提案されている。例えば、撥水剤を布帛の表面に固着させたり、合成樹脂を布帛の表面に含浸させたりして、布帛の毛細管現象を減少させることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2又は特許文献3を参照)。
特開2000−029393号公報 実用新案登録3033898号公報 実開平2−106492号公報
しかし、特許文献1〜3に記載された技術を採用したとしても、撥水剤又は樹脂が油性インクの浸透性を阻害してしまうため、薄い文字しか記入することができない。または、繰り返して洗濯を行うと文字濃度が低下し、文字が消失してしまう。
本発明の目的は、油性インクの滲みを防止し、油性ペンで濃く鮮明に文字を記入することができ(つまり、筆記性が良好で)、さらに繰り返し洗濯による文字の濃度低下が抑制された(つまり、洗濯耐久性に優れる)、滲み防止加工布帛を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂と微粒子とを含有する塗工層を備えた滲み防止加工布帛は、塗工層表面におけるKES法(川端評価システム法)に従って測定された平均摩擦係数が特定の範囲であるため、油性インクに対する滲み防止性、筆記性及び洗濯耐久性に優れるため、ゼッケン又は名札に好適に使用できることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(9)を要旨とする。
(1)布帛と、塗工層とを備えた滲み防止加工布帛であって、前記塗工層は、樹脂と微粒子とを含有し、前記塗工層の表面におけるKES法に従って測定された平均摩擦係数が0.15〜0.30である、滲み防止加工布帛。
(2)前記微粒子が酸化チタン微粒子、酸化珪素微粒子、酸化亜鉛微粒子、及び酸化アルミニウム微粒子からなる群より選択された1種以上である、(1)の滲み防止加工布帛。
(3)前記樹脂が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂である、(1)又は(2)の滲み防止加工布帛。
(4)前記微粒子の平均粒子径が0.1〜5μmである、(1)〜(3)の何れかの滲み防止加工布帛。
(5)前記塗工層における前記樹脂と前記微粒子との質量比が、(微粒子)/(樹脂)=0.25〜2.0である、(1)〜(4)の何れかの滲み防止加工布帛。
(6)直径が2.0mmである黒色油性ペンの先端を前記塗工層の表面に押圧させて10秒経過したときの、前記塗工層の表面における前記黒色油性ペンのインクが拡散した部分の面積が12.5mm以下である、(1)〜(5)の何れかの滲み防止加工布帛。
(7)前記塗工層の表面に、先端の直径が7.0mmである黒色油性ペンを用いて、タテの長さが7.0mmでありヨコの長さが20.0mmである一文字を書いたときの、JIS Z 8730:2009 色の表示方法に従って測定された前記一文字の筆記濃度Lが30.0以下である、(1)〜(6)の滲み防止加工布帛。
(8)前記塗工層の表面に、先端の直径が7.0mmである黒色油性ペンを用いて、タテの長さが7.0mmでありヨコの長さが20.0mmの一文字を書いた後、JIS L 0217 103法に従って家庭洗濯を30回行ったときの、前記家庭洗濯前後における前記一文字の色差ΔEが2.0以下である、(1)〜(7)の滲み防止加工布帛。
(9)ゼッケン用、ネーム用、名札タグ用、イベント幕用、又は看板用である、(1)〜(8)の何れかの滲み防止加工布帛。
本発明の滲み防止加工布帛は、樹脂及び微粒子を含む塗工層を備えるため、油性ペンのインクが布帛を構成する繊維表面に接触することがない。さらに、塗工層に含有される微粒子により、塗工層の表面に微細な凹凸が形成及び維持される。そのため、凹凸に基づく表面の接触面積(油性ペン先との接触面積)又は摩擦抵抗に起因して、油性インクの滲みを顕著に防止できる。
加えて、油性ペンで文字を濃く鮮明に書くことが可能となり、さらに繰り返し洗濯による文字濃度の低下を抑制することができる。すなわち、本発明の滲み防止加工布帛は、滲み防止性に優れるとともに、筆記性及び洗濯耐久性に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の滲み防止加工布帛は、布帛と、布帛上に形成された塗工層とを備える。塗工層は樹脂と微粒子とを含有する。塗工層は布帛の片面のみに備えられてもよいし、布帛の両面に備えられてもよい。樹脂とは、特に被膜形成能を有する樹脂である。
布帛を構成する繊維は、例えば、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリ乳酸などからなる繊維)、ポリアミド系繊維(ナイロン6、又はナイロン66などからなる繊維)、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、天然繊維(綿、獣毛繊維、絹、麻、又は竹などからなる繊維)、再生繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、又は溶剤紡糸セルロース繊維)、半合成繊維(アセテートなど)を含むことができる。布帛が複数種類の繊維を含む場合は、繊維を交撚、混紡、混繊、交織、又は交編するなどの手法を採用することができる。
布帛の形態は特に限定されず、織物、編物又は不織布であってもよい。さらに、布帛の織組織又は編み組織についても、特に限定されない。
被膜形成能を有する樹脂は、微粒子を布帛に定着させる役目とバインダーとしての役目とを担うとともに、油性ペンのインクが布帛を構成する繊維へ接触することを抑制する。
上記の樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂であることが好ましい。特に、汎用性及び洗濯耐久性に優れるために、アクリル系樹脂であることが好ましい。
塗工層には、洗濯耐久性を向上させる目的で、架橋剤(例えば、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング剤、又はグリオキザール系樹脂)が含有されていてもよい。
塗工層には、滲み防止性及び筆記性を向上させる目的で、パラフィンワックスなどの有機化合物が含有されていてもよい。
塗工層には、本発明の滲み防止加工布帛がゼッケン又は名札などに適用された際の白色度を高める目的で、蛍光増白剤(例えば、スチルベン系化合物、ベンゾイミダゾール系、又はベンゾオキサゾール系化合物)が含有されてもよい。また、塗工層には、耐光性を高めるために、紫外線吸収剤又は酸化防止剤(例えば、ヒンダートアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、又はベンゾフェノン系化合物)が含有されてもよい。
微粒子は、塗工層表面に必要な微細な凹凸を形成及び保持させ、滲み防止性、筆記性及び洗濯耐久性の何れをも向上させるために含有される。詳しくは、塗工層が微粒子を含有することにより、塗工層表面の平均摩擦係数(MIU)の値を特性の範囲に制御することができる。
詳しくは、本発明の滲み防止加工布帛は、塗工層の表面においてKES法(川端評価システム法)に従って測定された平均摩擦係数(MIU)の値が0.15〜0.30であり、0.16〜0.20であることが好ましい。
KES法に従って測定される平均摩擦係数(MIU)とは、人間の指先の感覚を数値化する試験機(例えば、カトーテック株式会社製、商品名「KES−SE」)で測定された値であり、人間が物体の表面を擦る時に感じる滑り易さ(又は、滑り難さ)の指標である。つまり、平均摩擦係数(MIU)は表面の平滑性を表し、この値が大きくなるほど表面の平滑性に乏しくなり十分な凹凸があることを示している。平均摩擦係数(MIU)の値が0.15〜0.30であれば、油性インクに対する滲み防止性及び筆記性に必要な接触面積を有する凹凸が形成されていることを示す。本発明の平均摩擦係数(MIU)の値は、微粒子の平均粒子径、微粒子と樹脂との質量比、樹脂種類、微粒子種類、塗工層の厚さ、布帛の生地組織、又は布帛の構成繊維などを特定の範囲に調整することにより、0.15〜0.30の範囲に制御することができる。なお、平均摩擦係数(MIU)の測定方法については、実施例にて後述する。
本発明の滲み防止加工布帛は、滲み防止性及び筆記性に必要な凹凸が形成されている観点から、塗工層の表面においてKES法に従って測定された平均摩擦係数(MIU)の平均偏差(MMD)の値が0.015〜0.030であることが好ましい。同様にKES法に従って測定された平均表面粗さ(SMD)の値が2.0〜4.0μmであることが好ましい。MMD及びSMDは、MIUと同様に表面平滑性の指標となるものであり、測定方法については、実施例にて後述する。
微粒子は、酸化チタン微粒子、酸化珪素微粒子、酸化亜鉛微粒子、及び酸化アルミニウム微粒子からなる群より選択された1種以上であることが好ましい。なかでも微粒子は、汎用性及び取り扱い性に優れるために、酸化チタン微粒子であることがより好ましい。
微粒子の平均粒子径は0.01〜5μmであることが好ましく、0.02〜3μmであることがより好ましく、0.06〜3μmであることがいっそう好ましい。微粒子の平均粒子径が上記の範囲であると油性ペンの筆記に必要な凹凸を十分に形成及び維持することができ、上記の平均摩擦係数(MIU)の値を特定の範囲とすることがより容易となり、滲み防止性及び筆記性により優れる。さらには、加工布帛表面の手触りが良好となり風合いに優れるうえ、塗工層の強度が強くなり微粒子が剥離し難くなるため洗濯耐久性により優れる。
塗工層における樹脂と微粒子との質量比が、(微粒子)/(樹脂)=0.25〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。ここで質量比が上記の範囲であると、油性ペンの筆記に必要な凹凸を十分に形成及び維持することができ、上記の平均摩擦係数(MIU)の値を特定の範囲とすることがより容易となり、筆記性により優れる。さらに、バインダーとしての樹脂の量が十分であるため塗工層の強度が強くなり、摩耗又は洗濯で樹脂が脱落することがないため洗濯耐久性により優れる。
塗工層の質量(樹脂の質量と微粒子の質量との合計)は、布帛の全質量に対して0.01〜10%の範囲であることが好ましく、0.05〜3%であることがより好ましい。塗工層の質量が上記の範囲であると、油性インクの滲み防止性、筆記性、風合い、及びコストパフォーマンスに優れる。
以上のように形成される塗工層の厚みは、0.5〜50μmであることが好ましい。塗工層の厚みが上記の範囲であると、上記の平均摩擦係数(MIU)の値を特定の範囲とすることがより容易となり、滲み防止性及び洗濯耐久性により優れる。
なお、公知の撥水剤と微粒子とを含む塗工層を形成したとしても、本発明の効果を奏することはできない。なぜなら、撥水剤では微粒子を十分に保持することができないこと、及び、筆記表面に撥水性が発現することにより、筆記性及び洗濯耐久性に乏しくなるからである。
次に、本発明の滲み防止加工布帛の製造方法について説明する。
まず、樹脂と微粒子とを含有する分散液を調製する。分散液を調製する方法としては、例えば、樹脂を水又は有機溶剤に溶解して樹脂液を作成し、この樹脂液に微粒子を分散させる方法;樹脂、水又は有機溶剤、及び微粒子を一括で混合する方法が挙げられる。
微粒子又は樹脂の凝集を防ぐために、分散液には、分散剤(界面活性剤)を含有させることが好ましい。また、分散液の粘度を増加させて塗工しやすくするために、分散液に増粘剤を含有させてもよい。
次いで、布帛の片面又は両面に分散液を塗工し、次いで熱処理することで塗工層を形成することができる。詳しくは、布帛を分散液に浸漬しマングルで絞った後に、熱処理を行うパッド−熱処理法;布帛に分散液を噴霧し、熱処理を行うスプレー−熱処理法;増粘させた分散液を布帛の表面にプリントし、熱処理を行うプリント−熱処理法;増粘させた分散液を布帛の表面にコーティングし、熱処理を行うコーティング−熱処理法;といった公知の方法を適宜選択することができる。特に印捺法、リバースロールコート法、又は、ナイフコート法等により分散液を塗布し、次いで熱処理する方法が好ましい。熱処理に際しては、例えば、テンター等を用いて拡布状にして熱処理してもよい。
熱処理温度は、例えば80〜200℃であってもよい。また、熱処理には、公知の装置を適宜に選択して用いることができる。こうした装置としては、例えば、拡布状で行うピンテンター若しくはクリップテンターのようなテンター熱処理機、シュリンクサーファーのようなネット乾燥機、ローラー乾燥機、又はシリンダー乾燥機が挙げられる。
こうした本発明の滲み防止加工布帛は、衣服又は袋物などに付され油性インクで文字などが記入されて用いられるゼッケン、ネーム若しくは名札タグとして、又はイベント幕若しくは看板などとして、好適に用いられる。
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。
本発明の実施例における測定方法、又は評価方法は、以下の通りである。
(1)KES法による表面特性(MIU、MMD、SMD)
カトーテック株式会社製「KES−FB4」を用いて測定した。糸目を通した試料(サイズ:20cm×20cm)を平滑な金属表面上におき、19.6cN/cmの一軸張力をかけた。次いで、0.5mmのピアノ線を移動軸方向に垂直に10本並べた接触子(摩擦面寸法:5mm×5mm)を、50gfの荷重で試料の膜面に圧着した。試料を0.1cm/secの速度で水平に2cm移動させたときの摩擦抵抗力から、次式により平均摩擦係数(MIU)を求めた。平均摩擦係数(MIU)の平均偏差であるMMDの値を同時に測定した。
MIU=(1/X)∫ xμdx
ここでμは、摩擦力/試料を圧する力(50gf)である。
また、xは試料表面上の位置であり、Xは移動距離(2cm)である。
また、平均表面粗さ(SMD)については、粗さ測定用の接触子(直径0.5mmのピアノ線1本からなり、接触面積5mm)に荷重10gで織物の表面に接触させ、1mm/secの移動速度で移動させて求めた。
(2)滲み防止性
黒色油性ペン(サクラクレパス株式会社製の「マイネーム」、ペン先端の直径:2.0mm)の先端を、試料における塗工層の表面に10秒間押圧させた。そして、黒色油性ペンのインクが拡散した楕円状部分の長軸の半径A(mm)と短軸の半径B(mm)を測定し下記式から面積S(mm)を計算し、下記の基準で評価した。
S=π×A×B
○:インクが拡散した部分の面積が12.5mm以下であった。
△:インクが拡散した部分の面積が12.5mmを超え19.5mm以下であった。
×:インクが拡散した部分の面積が19.5mmを超えた。
なお、インクが拡散した部分が真円形状である場合は、半径(mm)を用いて面積S(mm)を計算した。
(3)洗濯耐久性
塗工層の表面に、黒色油性ペン(サクラクレパス株式会社製の「マイネーム」、ペン先端の直径:7.0mm)を用いて、長さが20.0mmである一文字を書いた。次いで、JIS L 0217 103法に従って家庭洗濯を30回行った。ついで、洗濯前と洗濯30回後の文字の濃さを分光光度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製、「CE−7000E」)を用いて測定して色差ΔEを求め、下記の基準で評価した。
○:ΔEが2.0以下であった。
△:ΔEが2.0を超え4.0以下であった。
×:ΔEが4.0を超えた。
(4)筆記性
塗工層の表面に黒色油性ペン(サクラクレパス株式会社製の「マイネーム」、ペン先端の直径:7.0mm)を用いて、長さが20.0mmである一文字を書いた。この一文字の筆記濃度L(文字濃度)を、JIS Z 8730:2009 色の表示方法に従って測定し、下記の基準で評価した。
○:Lが30.0以下であった。
△:Lが30.0を超え35.0以下であった。
×:Lが35.0を超えた。
なお、上記(2)〜(4)において、布帛に塗工層が形成されていない場合は、布帛表面で評価又は測定を行った。また、布帛に撥水剤が付与されて撥水加工が施されている場合は、撥水加工された表面で評価又は測定を行った。
実施例1
ポリエステル繊維混率が65質量%であり、綿繊維混率が35質量%であるポリエステル綿混紡糸(英式綿番手:45番手)を準備した。このポリエステル綿混紡糸を、エアージェット織機(株式会社石川製作所製)を用いて、平組織の織物(経糸密度136本/インチ、緯糸密度72本/インチ)に製織した。そして、この織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白、及びシルケットをこの順に行った。その後、蛍光増白剤を用い通常の連続染色法に従って蛍光白色加工を施すことにより、蛍光白色織物とした。
次に、下記処方1の分散液Aを調製した。150g/mの分散液Aを、ロータリー捺染機(東伸工業株式会社製、商品名「ICHINOSE・RSX」)を用いて上記の蛍光白色織物に塗布した。次いで、ネット乾燥機を用いて、130℃×2分の条件で熱処理して乾燥することで塗工層を形成し、実施例1の滲み防止加工布帛を得た。
<処方1>
NKバインダーMX−HN 10質量部
(新中村化学工業株式会社製のアクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
アイスコートT−300 10質量部
(大和化学工業株式会社製の酸化チタン分散液、固形分濃度:20質量%、平均粒子径:0.5μm)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学工業株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 10質量部
実施例2
分散液Aを下記処方2の分散液Bに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例2の滲み防止加工布帛を得た。
<処方2>
スーパーフレックスE−4000 10質量部
(第一工業製薬工業株式会社製のポリウレタン樹脂エマルジョン、固形分濃度:45質量%)
ZW−143 7.5質量部
(住友大阪セメント株式会社製の酸化亜鉛分散液、固形分濃度:30質量%、平均粒子径:0.5μm)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 12.5質量部
実施例3
分散液Aを下記処方3の分散液Cに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例3の滲み防止加工布帛を得た。
<処方3>
プラスコートZ−221 20質量部
(互応化学工業株式会社製のポリエステル樹脂、固形分濃度:20質量%)
スノーテックスMP−2040 5質量部
(日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ(酸化珪素)、固形分濃度40質量%、平均粒子径0.2μm)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 5質量部
比較例1
分散液Aの塗布及び乾燥を行わず(つまり、塗工層の形成を行わず)、実施例1における蛍光白色織物を比較例1の布帛とした。
比較例2
実施例1における蛍光白色織物を、フッ素系撥水剤(日華化学株式会社製、商品名「NKガード S−33」、フッ素樹脂固形分濃度:20質量%)の5質量%水溶液に浸漬した後、マングルを用いて絞り率50%で含浸した。その後、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で乾燥し、テンターにて170℃×1分熱処理を行って、比較例2の布帛を得た。
比較例3
分散液Aを下記処方4の分散液Dに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3の布帛を得た。
<処方4>
NKバインダーMX−HN 10質量部
(新中村化学工業株式会社製のアクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学工業株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 10質量部
比較例4
分散液Aを下記処方5の分散液Eに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4の布帛を得た。
<処方5>
NKバインダーMX−HN 10質量部
(新中村化学工業株式会社製のアクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
アイスコートT−300 2質量部
(大和化学工業株式会社製の酸化チタン分散液、固形分濃度:20質量%、粒径:0.5μm)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学工業株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 10質量部
比較例5
分散液Aを、下記処方6の分散液Fに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例5の布帛を得た。
<処方6>
NKバインダーMX−HN 10質量部
(新中村化学工業株式会社製のアクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
アイスコートT−300 50質量部
(大和化学工業株式会社製の酸化チタン分散液、固形分濃度:20質量%、平均粒子径:0.5μm)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学工業株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 10質量部
比較例6
分散液Aを、下記処方7の分散液Gに変更した以外は、実施例1と同様の手法により、比較例6の布帛を得た。
<処方7>
NKバインダーMX−HN 10質量部
(新中村化学工業株式会社製のアクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
酸化チタン 2質量部
(関東化学株式会社製の特級試薬、平均粒子径:0.05μm)
カオーセラ2020 1質量部
(花王株式会社製の分散剤)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 16質量部
比較例7
分散液Bを、下記処方8の分散液Fに変更した以外は、実施例2と同様の手法により、比較例7の布帛を得た。
<処方8>
スーパーフレックスE−4000 10質量部
(第一工業製薬工業株式会社製のポリウレタン樹脂エマルジョン、固形分濃度:45質量%)
酸化亜鉛 2.25質量部
(堺化学株式会社製の大粒子酸化亜鉛、平均粒子径:10.0μm)
カオーセラ2020 1質量部
(花王株式会社製の分散剤)
NKエキステンダーAK 70質量部
(新中村化学株式会社製のターペン系エマルジヨン糊)
水 16質量部
実施例及び比較例で得られた布帛を、各種の評価に付した。評価結果を表1にまとめて示した。
Figure 0006545473
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた本発明の滲み防止加工布帛は、布帛の繊維表面が樹脂で覆われているため、油性ペンのインクが繊維表面に接触することがなく、毛細管現象によるインクの滲みが防止されていた。さらに、微粒子に起因する微細な凹凸が塗工層表面に形成されているため、平均摩擦係数(MIU)の値が本発明にて規定された範囲となり、文字を濃く鮮明に書くことができ、さらには繰り返し洗濯による文字濃度の低下が抑制されており、ゼッケン用又はネーム用などの布帛として好適なものであった。なお、樹脂種類又は微粒子種類を好適に組み合わせることにより、平均摩擦係数(MIU)の値は適切な範囲内となった。
比較例1で得られた布帛は、塗工層が形成されておらず平均摩擦係数(MIU)の値が過小となったため、滲み防止性及び筆記性に乏しかった。比較例2においては、布帛表面に塗工層を形成することに代えて、撥水剤を付与して撥水加工を施した。そのため、滲み防止性は発現されているものの、微粒子を保持していないためにMIUの値が過小となり、文字が薄く(つまり、筆記性が悪く)、インクの洗濯耐久性が不足していた。
比較例3で得られた布帛は、塗工層に微粒子が含有されていなかったため、平均摩擦係数(MIU)の値が過小となり、インクの滲み防止性及び筆記性に劣っていた。
比較例4で得られた布帛は、微粒子が少なく平均摩擦係数(MIU)の値が過小となり、インクの滲み防止性及び筆記性に劣っていた。なお、比較例3および4においては塗工層表面の凹凸数が少なかったためインクの浸透性が高く、筆記した部分が滲んで濃くなることにより、洗濯後のインクの脱落が若干低減されていたが、十分なものではなかった。
比較例5で得られた布帛は、微粒子が多く樹脂量が十分ではなかったため塗工膜の強度が弱くなり、洗濯又は各種測定において、樹脂被膜又は微粒子が脱落し易くなったと推察される。その結果、インクの濃度が低くなり、インクの洗濯耐久性に劣っていた。また、微粒子が多く樹脂表面の凹凸が多くなるため平均摩擦係数(MIU)の値が大きくなった。インクの浸透性が低く、滲み防止性は若干向上していたが十分なものではなかった。
比較例6で得られた布帛は、微粒子の平均粒子径が小さく平均摩擦係数(MIU)の値が過小となり、滲み防止性及び筆記性に劣るものであった。なお、比較例6においては塗工層表面の凹凸数が小さかったためインクの浸透性が高く、筆記した部分が滲んで濃くなることにより、洗濯後のインクの脱落が若干低減されていたが、十分なものではなかった。
比較例7で得られた布帛は、微粒子の平均粒子径が過大になり過ぎて摩擦抵抗が低くなり、平均摩擦係数(MIU)の値が過小となった。そのため、洗濯耐久性及び筆記性に劣るものであった。なお、比較例7においてはMIUの値が過小であったが、凹凸部における油性ペン先との接触面積が非常に大きかったため、一定レベルの滲み防止性が確保されたと推察される。

Claims (6)

  1. 布帛と、塗工層とを備えた滲み防止加工布帛であって、
    前記塗工層は、樹脂と微粒子とを含有し、
    前記微粒子の平均粒子径が0.1〜3μmであり、
    前記塗工層の表面におけるKES法に従って測定された平均摩擦係数が0.15〜0.30であることを特徴とする、滲み防止加工布帛。
  2. 前記微粒子が酸化チタン微粒子、酸化珪素微粒子、酸化亜鉛微粒子、及び酸化アルミニウム微粒子からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の滲み防止加工布帛。
  3. 前記樹脂が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の滲み防止加工布帛。
  4. 前記樹脂が、アクリル系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の滲み防止加工布帛。
  5. 前記塗工層における前記樹脂と前記微粒子との質量比が、(微粒子)/(樹脂)=0.25〜2.0であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の滲み防止加工布帛。
  6. ゼッケン用、ネーム用、名札タグ用、イベント幕用、又は看板用である、請求項1〜の何れか1項に記載の滲み防止加工布帛。
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