JP6525828B2 - バイポーラ動作型の半導体装置およびその使用方法 - Google Patents

バイポーラ動作型の半導体装置およびその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、バイポーラ動作型の半導体装置およびその使用方法に関する。
半導体装置として例えばIGBT(insulated gate bipolar transistor)においては、サージ電圧を抑制しながらスイッチング損失を低減する技術が求められる。例えばIGBTのスイッチング過渡期の各段階でゲート抵抗を変化させる技術がある。しかし、IGBTの動作状態を検出する手段が必要であったり、複数種のゲート抵抗を作成する必要があるため回路の複雑化、コスト増加につながる。
これに対して、スイッチング損失の要因であるIGBTのオン電圧を下げる構造の一つとして、いわゆるゲート間引き構造がある。しかし、このようなゲート間引き構造には、ダミーセル領域の電位が上昇することでゲート容量が負になりゲート電圧の発振やノイズの原因となる課題がある。
このような課題に対応したものが考えられているが、その対策の一つでは、バッファ抵抗を形成するためにプロセスが追加され、チップコストの増加を招いたり、抵抗値に合わせたレイアウト設計が必要となるという課題が残る。
また、別の対策では、ゲートを2種類作成し、独立に制御することによりノイズを抑えるようにした技術がある。しかし、この構成では、間引き効果が低下するためにチップサイズが大きくなりコストの増加を招くという課題がある。
特許第3927111号公報 特許第4398719号公報
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、ゲート間引き構造を採用したIGBTのようなゲート容量特性を生かして、最適なゲート駆動条件を採用する事により特殊な回路制御を用いずにスイッチング損失とノイズ低減を両立させることができるバイポーラ動作型の半導体装置およびその使用方法を提供することにある。
請求項1に記載のバイポーラ動作型の半導体装置は、隣接するゲートの間の領域に、エミッタが形成される領域と、エミッタが形成されない領域とを有し、前記ゲートとエミッタとの間に直流電圧を印加したときのゲート容量を基準ゲート容量とし、前記ゲートとエミッタとの間に駆動周波数にてオンオフを繰り返しながら電圧を上昇したときに負性を有するゲート容量の最小値が前記基準ゲート容量に対する割合をゲート容量割合とすると、インダクタンス成分を含む負荷回路を指定の駆動周波数で、スイッチングで通断電するときの前記ゲート容量割合は、前記ゲート容量割合に応じて変化するサージ電流レベルがサージ電流上限値以下で、且つスイッチング損失レベルがスイッチング損失上限値以下となるように構成されている。
上記構成において、隣接するゲートの間の領域に、エミッタが形成される領域と、エミッタが形成されない領域とを有するいわゆる「間引き構造」では、ゲート容量が、あるゲート電圧の範囲において負性容量を示す特徴がある。そして、スイッチング動作をする時にゲート電圧がこの範囲に入ると、ゲートが自分自身でチャージするため電圧が急上昇する。ゲート電圧の上昇に伴って動作電流が増加するため、間引き構造を採用していないものに比べて急峻な電圧上昇を伴うオン動作である。
この後、ゲート電圧が負性容量を発生させている電圧範囲を超えると、間引き構造を採用しているものは、間引き構造を採用していないものよりもゲート容量が大きくなる特徴がある。そのため、ゲート電圧の上昇は緩やかになり、動作電流(Ic)の変化量が小さくなり、これによってノイズに対して有利に機能する動作となる。この結果、速いオン動作ができることでスイッチング損失が低減し、完全にオンする間際の動作電流の変化を緩やかにすることで電流サージの抑制をすることができる。
上記したような特性は、ゲート駆動周波数(スピード)やデバイス構造に対する依存性がある。したがって、負性容量の周波数依存と構造依存を活用し、最適なゲート駆動周波数範囲で駆動させることにより、損失と低サージの両立を可能にすることができる。負性容量の挙動を導入したモデルを用いて回路動作時のターンオン波形をシミュレーションすることにより、スイッチングの損失および電流サージの両者を上限値を超えない範囲で使用できる間引き構造を得ることができる。また、このことは、使用する半導体装置に対して、スイッチング速度つまりゲートの駆動周波数を調整することにより、低損失と低ノイズを両立する使用形態を実現することもできる。
第1実施形態を示す負性容量割合の変化に対するターンオン損失割合および電流サージの変化特性を示す図 IGBTの一部を示す平面図(a)およびX方向の縦断側面図(b) シミュレーションに用いた駆動回路の構成図 シミュレーションに用いたモデルの模式的断面図 シミュレーションに用いた駆動回路のゲート電圧(a)、コレクタ−エミッタ間電圧(b)およびコレクタ電流(c)のタイムチャート ゲートを開放したものと接地したもののターンオン時のゲート電圧およびコレクタ電流の時間推移を示す図 駆動周波数に対するゲート容量の最小値の変化を示す図 ターンオン時のコレクタ電流の時間推移を示す図 間引き構造の距離Wfloを3通りに設定した場合のモデルの模式的断面図 図9の各構成のもののゲート電圧に対するゲート容量の変化を示す図 間引き構造の比率RWに対する負性容量割合RCの関係を示す図 第2実施形態を示すターンオン時のコレクタ−エミッタ電圧、コレクタ電流および損失の時間推移を示す図 ゲート駆動周波数に対するターンオン損失と電流サージの関係を示す図 シミュレーションに用いたモデルの模式的断面図 ゲート電圧に対するゲート容量の変化を示すシミュレーション結果 第3実施形態を示すIGBTの一部を示す平面図(a)およびX方向の縦断側面図(b) 第4実施形態を示すIGBTの一部を示す平面図(a)およびX方向の縦断側面図(b)
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
図2(a)、(b)はトレンチゲート型のIGBT(insulated gate bipolar transistor)1のチップ上面の一部のXY平面の配置パターンと、X方向の断面構造を示している。図2(b)において、IGBT1は、シリコンなどの半導体基板2に形成されている。半導体基板2は、下面側からp型コレクタ層2a、n型バルク層2b、p型ベース層2cが積層形成されている。上面には表面からn型バルク層2bに達する深さにトレンチ3がY方向に延びるように形成され、絶縁膜4を介してゲート5が埋め込み形成されている。ゲート5に隣接するようにn型エミッタ層2dが形成されている。
ゲート5は、図2(a)に示すように、複数本のゲート5a〜5dなどがY方向に延伸したストライプ状に形成されている。また、ゲート5a−5b間および5c−5d間は、間隔Wemiに設定され、n型エミッタ層2dが形成されている。一方、ゲート5b−5c間は、間隔Wfloに設定され、n型エミッタ層2dは形成されていない「間引き構造」とされている。
図1は、本実施形態におけるIGBT1の特性を決めるゲート容量割合であるゲート容量の負性容量割合RC(%)の設定範囲を示している。ここでは、図中に両立範囲で示す負性容量割合RCとなるように上記した間隔WemiおよびWfloが設定されている。これによって、ターンオン損失割合RPおよびターンオン時の電流サージΔAの両者が上限値を超えないように動作する。
以下、IGBT1の構造を上記のように負性容量割合RCの両立範囲に設定するための方法について説明する。負性容量割合RCは、基準ゲート容量値Csに対して使用する駆動周波数で動作させるときのゲート容量の最小値Cmの比RC(=Cm/Cs)を示している。
基準ゲート容量値Csは、IGBT1に対して直流電圧(駆動周波数0Hz)でゲート電圧Vgeを上昇させていったときにゲート容量が最も小さい負の値となる(最大の負性容量値となる)ときのゲート容量値である。ここで、負性容量となるゲート容量とは、上記構成を採用するIGBT1において発生する現象で測定されるゲート容量値である。上記構成のIGBT1では、p型ベース層2c中にn型エミッタ層2dを設けない構成を含んでいる。このため、後述するようにしてエミッタ−コレクタ間に電圧Vceを印加した状態で、ゲート電圧Vgeを印加すると、ゲート電圧Vgeがある電圧範囲で、ゲート周りに自動的に電荷がチャージされ、これが電流に寄与することから、負性容量として認識できるのである。
したがって、IGBT1を駆動する際のゲート駆動周波数fについて、図1に示した損失割合RPおよび電流サージΔAの各上限値を超えない範囲の負性容量割合RCの範囲が決まる。この範囲内の条件でIGBT1を駆動することにより、損失Pを低減しつつ電流サージΔAを低減した動作をさせることができる。
また、上記したゲート容量が負性容量となるゲート電圧Vgeを決める要素としては、駆動周波数fだけではなく、n型エミッタ層2dを設ける場所や寸法などの間引き構造にも依存している。すなわち、駆動周波数fを固定していても、構造を変えることでゲート容量が負性容量となる条件を変えることができる。
このことは、換言すれば、IGBT1を使用する回路で、用いる駆動周波数fが決まっている場合に、その駆動周波数fにおいて決まる負性用量割合RCが、IGBT1の損失割合RPおよび電流サージΔAの各上限値を超えない範囲に設定するように間引き構造を決めることができるということになる。つまり、間引き構造の設計いかんによって損失が少なく且つ電流サージも抑制することができるIGBT1を提供することができる。
次に、図3を参照して、IGBT1を用いて負荷を駆動する駆動回路10について説明する。駆動回路10は、誘導性を有する負荷回路としてインダクタンスL1のコイル11を直流電源Vcにより通電する構成である。IGBT1はゲート駆動回路12によりゲート信号が与えられる。コイル11の両端子間にはダイオード13、コイル14、抵抗15、16からなる還流回路17が接続されている。
図4は、上記の回路でシミュレーションを行う場合について、IGBT1のモデルを示している。本実施形態の構成では、n型エミッタ層2dは、グランドに接続されているが、n型エミッタ層2dが形成されていないp型ベース層2cはフローティング状態となっており、図中では、スイッチSwがオフ状態となっているOPEN型の状態である。これに対して、比較のために、スイッチSwがオン状態となっている構成つまりn型エミッタ層2dに相当する構成部分がグランドに接続されたGND型を従来型として同時にシミュレーションをしている。
上記構成の駆動回路10は、ゲート駆動回路12により所定周波数fの駆動パルス信号VgeがIGBT1のゲートに印加されると、直流電源Vcの電圧がコイル11に印加されて通電される。図5(a)〜(c)は、このときのゲート電圧Vge、コレクタ電圧Vcおよびコレクタ電流Icのタイムチャートをそれぞれ示している。
図5(a)に示しているように、ゲート電圧Vgeの初めの駆動パルス信号では、時刻t0でVgeが印加されると、閾値電圧を越えたときにIGBT1がオンし、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが図5(b)に示すようにほぼゼロになる。このとき、コイル11には電流が徐々に上昇するように流れるので、IGBT1に流れる電流Icは、図5(c)に示しているように、コイル11に流れる電流にしたがって徐々に上昇する。
この後、ゲート電圧Vgeが時刻t1でゼロになってIGBT1がオフされると、IGBT1のコレクタ電流Icはゼロになるが、コイル11に流れていた電流は誘導作用により流れ続けようとし、ダイオード13を介して還流回路17に流れるようになる。
そして、この還流回路17に流れる電流が残っている状態で、ゲート電圧Vgeが時刻t2で印加されると、還流回路17に流れていた電流がIGBT1を介してコレクタ電流Icとして流れるようになり、急激に増大するように立ち上がる。このとき、コレクタ電流Icの増大の傾向を詳細に見ると、ゲート電圧Vgeの上昇の傾向と関係している。
図6は、時刻t2で変化するゲート電圧Vgeとコレクタ電流Icについて時間変化を詳細に示している。また、図6中、実線で示したものは、コレクタ電流Icとゲート電圧Vgeの時間推移に伴う変化をシミュレーションにより求めたものである。シミュレーションに用いたデバイスモデルは図4に示している。この場合、間引き構造を採用している本実施形態の構成(OPEN型)では、シミュレーションモデルとしてn型エミッタ層2dが形成されていないp型ベース層2cの部分がオープンになっている状態に対応している。また、比較のために、間引き構造を採用していない通常のIGBTに対応するもの(GND型)として、n型エミッタ層2dが形成されていないp型ベース層2cの部分がグランドに接続された状態でシミュレーションをしている。
前述のようにIGBT1のゲートにゲート駆動信号を与える場合のゲート電圧Vgeとコレクタ電流Icを、OPEN型とGND型の双方について求めた。図6に示しているように、GND型のものではゲート電圧Vgeがゆっくり立ち上がり、これに伴ってコレクタ電流Icもゲート電圧Vgeが閾値電圧に達する時点から徐々に増加する。このとき、コレクタ電流Icは急激に増加して一定の電流値に収まるが、オーバーシュートを起こしている。これが電流サージとなってIGBT1に負担をかけている。
これに対して、図6中に実線で示しているOPEN型つまりエミッタが間引きされた構成の本実施形態の構成のものでは、ゲート電圧VgeがGND型の場合よりも速く立ち上がり、閾値電圧に達してコレクタ電流Icが流れ始める時点で、コレクタ電流Icは急峻な立ち上がりで流れる(図6中、傾きX1で示す)。これは、n型エミッタ層2dが間引きされた部分に徐々にホールが蓄積され、ゲート電圧Vgeが閾値電圧に達するころに、ゲートが負性容量を呈する状態となるためで、ゲート電圧Vgeの上昇に伴ってコレクタ電流Icが増加するため、間引き構造を採用していないものに比べて急峻な電圧上昇のオン動作となるためである。
この後、ゲート電圧Vgeが、負性容量を発生させる電圧範囲を超えると、間引き構造を採用していないものよりもゲート容量が大きくなり、ゲート電圧Vgeの上昇が緩やかになり、コレクタ電流Icの変化量も小さくなる(図6中、傾きX2で示す)。この結果、電流サージΔAを抑制することができる。これによってノイズに対して有利に機能する動作となり、速いオン動作ができることでスイッチング損失が低減し、完全にオンする間際の動作電流の変化を緩やかにすることでサージ電流の抑制をすることができる。
図7は、IGBT1の駆動周波数fを変化させたときに、ゲート電圧Vgeの印加でゲート容量の最小値Cmをシミュレーションにより求めた結果である。この結果から分かるように、負性容量の最小値Cmは、駆動周波数fが直流から100Hz近傍までは、最も小さい値となる基準ゲート容量Csから変化が少なくほぼ一定であり、1kHz近傍から急激に大きくなるように変化し、100kHzあたりで0に近くなる。したがって、このIGBT1の場合には、駆動周波数を100Hz〜100kHzの間で使用することで、負性容量割合RCを選択することができ、ターンオン損失割合RPを低減しつつ電流サージΔAも低減した条件で用いることができる。
このIGBT1の場合には、例えば、駆動周波数を数10kHz以下で使用する場合には電流サージΔAが上限値を超えて大となり、200kHz以上で使用する場合にはターンオン損失割合RPが上限値を超えて大となる。したがって、電流サージΔAとターンオン損失割合RPとを共に上限値以下となる両立領域の使用条件は10kHz〜200kHzの間の駆動周波数で使用することである。
図8は、上記した駆動周波数fに依存する電流サージΔAの大きさを検証した結果である。すなわち、駆動周波数fを変えてIGBT1がターンオンするときのコレクタ電流Icの時間的変化をシミュレーションにより求めたものである。この図からわかるように、IGBT1の駆動周波数fが高くなるほど電流サージΔAの大きさが小さくなることがわかる。この電流サージΔAの大きさの上限値を設定したときに許容される駆動周波数fの範囲が、例えば図7中に示した両立領域となる。
図9は、間引き構造に起因して変化する負性容量の値についてシミュレーションをするための構造的なモデルを示している。図中、n型エミッタ層2dが設けられた側の幅寸法Wemiを一定とし、これに対してn型エミッタ層2dを設けない部分のゲート5間の幅寸法Wlfoを小さいものを(a)Wfloa、中間のものを(b)Wflob、大きいものを(c)Wflocとして設定した。
図10は、シミュレーション結果を示すもので、ゲート電圧Vgeを上昇させていったときのゲート容量の変化を示している。図中、負側に変化しているところが負性容量として現れる部分である。この結果からわかるように、ゲート電圧Vgeが所定範囲になると、ゲート容量が負性容量となり、最小値を示した後に負性容量が急激に消失してゼロに近づいている。
また、このときゲート容量が最小の負性容量となるときの容量値は、エミッタを設けていない部分の幅寸法Wfloが最も大きい(c)のWflocの場合が最も小さい容量値Cmcを示し、これは負性容量が最も大きくなることを示している。逆に、エミッタを設けていない部分の幅寸法Wfloが最も小さい(a)のWfloaの場合が最も大きい容量値Cmaを示し、負性容量が最も小さいことを示している。
このように、エミッタを設けた部分の幅寸法Wemiに対するエミッタを設けていない部分の幅寸法Wfloの比の値をRW(=Wflo/Wemi)とすると、比の値RWが大きいほどゲート容量が負性容量となる最小値Cmが下がっていくことがわかる。
図11は、上記したRWの値を変化させたときのゲート容量が負性容量となるときの最小値Cmの変化をシミュレーションにより求めた結果を示している。ここで、縦軸は負性容量割合として示しており、RWが20のときの負性容量の最小値の値を「1」としたときに対する割合としている。
この結果からわかるように、RWの値を大きくすると負性容量割合の値は増大していくが、一定以上になるとほぼ「1」に近づいてきて、飽和する傾向にある。つまり、比の値RWを大きくすることで負性容量の最小値Cmを低下させる効果は低下してくることを示している。換言すれば、負性容量割合を増大させるために、比の値RWを大きくすることすなわちエミッタを設けない部分の幅寸法Wfloを大きくすることは、その効果が少なくなり、逆にエミッタを設けない部分の面積を増大させることになる。
したがって、例えば、負性容量割合を決めるときの設計条件として、負性容量割合がほとんど飽和状態に達している比の値RWが「15」を最大値として、比の値RWの上限値を設定した上で設計することが好ましい。これにより、負性容量割合を大きく設定したい場合でも、上限を設定しておくことで、不要な面積が発生するのを抑制することができる。比の値RWの上限の設定については、「15」に限らず、例えば「10」などとすることもできる。
このような本実施形態によれば、IGBT1を使用する駆動回路10でのゲート電圧Vgeの駆動周波数fが決まっている場合に、IGBT1のn型エミッタ層2dを設ける部分のゲート間引き構造をシミュレーション結果に基づいて適切に設定することで、IGBT1のターンオン損失Pおよびターンオン時の電流サージΔAをいずれも上限値を超えない両立範囲内で使用できる構成を得るようにした。これにより、特殊なゲート駆動回路を設ける必要がなくなり、簡単且つ安価に回路に組み込むことができる。
(第2実施形態)
図12〜図15は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、使用するIGBTが決まっている場合に、回路に適用して損失を低減させるための駆動条件を最適にする使用方法を提供するものである。
図12は、使用するIGBT1に対して、ターンオン条件を変えた場合のシミュレーション結果を示している。具体的には、使用するIGBT1を駆動する際のゲート電圧Vgeの駆動周波数をf1、f2、f3(f1<f2<f3)と変えて印加したときのコレクタ−エミッタ間電圧Vce、コレクタ電流Icおよびこれらの積の値として発生するターンオン損失Pを示している。
この結果からわかるように、ゲート電圧Vgeの駆動周波数fをf1、f2、f3と変えることで、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが変化し、これに伴って、コレクタ電流Icが変化している。コレクタ電流Icはターンオン後に一定電流に落着く前に、ターンオン直後に一定電流を超えて流れる電流サージΔAが発生する。これは、駆動周波数fが高い方が大きくなる傾向にある。また、このターンオン時にはIGBT1のコレクタ−エミッタ間電圧Vceがかかった状態でコレクタ電流Icが過渡的に流れるので、これらの積で決まるターンオン損失Pが発生する。ターンオン損失Pで発生する消費電力は曲線で囲まれた領域の面積に相当するので、面積が大きいほど損失が大きいことを示している。この場合には、駆動周波数fが低いほど損失が大きくなる傾向にある。
図13は、上記したIGBT1の駆動周波数fに依存した傾向を見るために、ゲート電圧Vgeの駆動周波数fを横軸にとり、ターンオン損失割合RPと電流サージΔAの値を示している。この結果からわかるように、許容されるターンオン損失割合RPの上限値以下となるようにゲート駆動周波数fを設定することができる。また、許容される電流サージΔAの上限値以下となるようにゲート駆動周波数fを設定することができる。そして、両者の条件が成立する両立範囲においてゲート駆動周波数fを設定することで、ターンオン損失および電流サージの両者の特性を、上限値を超えない範囲で用いることができる。
図14は、駆動周波数fに依存したIGBT1のゲート容量の負性容量が発生する様子をシミュレーションにより求めるモデルを示している。コレクタ−エミッタ間に電圧Vce(=600V)を印加し、ゲートに駆動周波数f(0.001Hz、1kHz、10kHz)の成分を印加しながらゲート電圧Vgeを印加していくモデルである。なお、エミッタを設けていない部分は、間引き構造であるからオープン状態(フローティング状態)にしている。
図15は、上記のモデルを用いて、ゲート電圧Vgeの上昇に伴うゲート容量の変化をシミュレーションにより求めた結果を示している。ゲート容量の値はゲート電圧Vgeの上昇に伴い徐々に負性容量を呈するように変化し、一定のゲート電圧Vgeに達したあたりで負のピーク値をとり、この後急激にゼロに変化する。このとき、負性容量の負のピーク値(最小値)Cmは、駆動周波数fが低いほど低くなる。駆動周波数fが0.001Hzすなわちほぼ直流のゲート電圧Vgeが印加される場合には最も小さい負性容量値Cmをとり、駆動周波数fが高くなるにしたがって負性容量値Cmとして負側に変化する程度が減少している。
つまり、前述した図13に示す結果は、IGBT1を駆動する駆動周波数fを変えることで、ゲート容量が負性容量を呈する状態の最小値Cmを制御することができる。これによって、図13に示す両立範囲で駆動周波数fを設定することで、ターンオン損失Pおよび電流サージΔAの双方の上限値を超えないようにIGBT1を駆動することができるのである。
このような第2実施形態によれば、使用する駆動回路およびIGBTが決まっている場合に、そのゲート電圧を印加する際の駆動周波数fを図13に示すような両立範囲で設定することで、特殊なゲート駆動回路を設けることなく、ターンオン損失および電流サージのいずれも低減した状態で使用することができる。
(第3実施形態)
図16は第3実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。
この実施形態においては、IGBT10の内部構造として、図2に示したものに対して、p型ベース層2cのうちのn型エミッタ層2dが設けられていない領域に、さらにトレンチ3を複数本形成し、ゲート5を設ける構成としたものである。図示の構成では、例えば2本のゲート5e、5fを等間隔で設けている。
なお、この構造においても、ゲート5a−5b間および5c−5d間が、間隔Wemiに設定され、n型エミッタ層2dが形成されている。また、ゲート5e、5fを挟んだゲート5b−5c間は、間隔Wfloに設定され、n型エミッタ層2dは形成されていない「間引き構造」とされている。
このような第3実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記構成は、例えばゲート5はn型エミッタ層2dの形成の如何にかかわらず例えばWemiの等間隔で配置し、設計の結果に応じて設定すべきWfloに最も近い距離となるようにゲート5の本数を選んでn型エミッタ層2dを形成することができる。これによって、設計を予め決められたトレンチ3の配置パターンに設定しておき、n型エミッタ層2dを形成する部分のパターンを選択することで所望の特性を得ることができ、設計の簡略化を図ることができる。
(第4実施形態)
図17は第4実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態においては、図17(a)に示すように、図中Y方向すなわちゲート5の延伸方向に沿ってn型エミッタ層2ddを設ける部分と設けない部分とを配置するようにしている。
図17(a)、(b)に示すように、p型ベース層2cにトレンチ3が等間隔で配置されている。トレンチ3内に絶縁膜4を介してゲート5が形成されている。ゲート5の形成方向であるY方向において、n型エミッタ層2ddが間隔を置いて形成されている。n型エミッタ層2ddのY方向の距離Lemiに対して、隣接するn型エミッタ層2ddとの間に配置間隔Lfloを設けている。このようにY方向に離間するようにn型エミッタ層2ddを配置することで「間引き構造」を形成している。
このような第4実施形態においてもn型エミッタ層2ddの距離Lemiと配置間隔Lfloをシミュレーションにより得た寸法で設定することで、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記構成では、ゲート5の配置を等間隔で配置しておけるので、n型エミッタ層2ddの寸法をシミュレーション結果に基づいて設定する変更を加えるだけで、所望の特性を得ることができるので、製造時の仕様変更も簡単且つ安価に実施することができる。
なお、上記実施形態では、n型エミッタ層2ddを等間隔Lfloで配置する例を示したが、間隔Lfloは場所によって変えることもできる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
上記各実施形態では、シリコンを材料としたIGBT1、20、21を示したが、シリコン以外の材料例えば炭化シリコン(SiC)を材料とした半導体装置に適用することもできるし、また、IGBT以外のバイポーラ動作型の半導体装置全般にも適用することができる。
上記各実施形態では、nチャンネル型のIGBTに適用した例を示したが、pチャンネル型のものに適用することもできる。
第3実施形態および第4実施形態のものは、第2実施形態にも適用することができる。
第4実施形態で示した構成は、第3実施形態で示した構成と組み合わせた構成として適用することもできる。
負荷回路は、コイル11以外に、他の素子を設けるものでも適用可能で、インダクタンス成分を含む素子全般に適用することができる。
図面中、1、20、21はIGBT(半導体装置)、2は半導体基板、2cはp型ベース層、2d、2ddはn型エミッタ層、3はトレンチ、5はゲート、10は駆動回路、11はコイル(負荷回路)である。

Claims (4)

  1. 隣接するゲート(5)の間の領域に、エミッタ(2d、2dd)が形成される領域と、エミッタが形成されない領域(2c)とを有し、
    前記ゲートとエミッタとの間に直流電圧を印加したときのゲート容量を基準ゲート容量(Cs)とし、
    前記ゲートとエミッタとの間に駆動周波数にてオンオフを繰り返しながら電圧を上昇したときに負性を有するゲート容量の最小値(Cm)が前記基準ゲート容量に対する割合をゲート容量割合(RC)とすると、
    インダクタンス成分を含む負荷回路(11)を指定の駆動周波数でスイッチングで通断電するときの前記ゲート容量割合は、前記ゲート容量割合に応じて変化するサージ電流レベルがサージ電流上限値以下で、且つスイッチング損失レベルがスイッチング損失上限値以下となるように構成されていることを特徴とするバイポーラ動作型の半導体装置(1、20、21)。
  2. 請求項1に記載のバイポーラ動作型の半導体装置において、
    前記隣接するゲートの間にエミッタが形成されない領域は、前記ゲート容量割合を満たすように幅寸法が設定されることを特徴とするバイポーラ動作型の半導体装置(1、20、21)。
  3. 請求項2に記載のバイポーラ動作型の半導体装置において、
    前記エミッタが形成されない領域の幅寸法をWfloとし、前記エミッタが形成される領域の幅寸法をWemiとしたときに、
    Wlfo/Wemi<15
    を満たすように形成されていることを特徴とするバイポーラ動作型の半導体装置(1、20、21)。
  4. 隣接するゲート(5)の間の領域に、エミッタ(2d)が形成される領域と、エミッタが形成されない領域(2c)とを有するバイポーラ動作型の半導体装置の使用方法であって、
    前記ゲートとエミッタとの間に直流電圧を印加したときのゲート容量を基準ゲート容量(Cs)とし、
    前記ゲートとエミッタとの間に駆動周波数にてオンオフを繰り返しながら電圧を上昇したときに負性を有するゲート容量の最小値(Cm)が前記基準ゲート容量に対する割合をゲート容量割合(RC)とし、
    ターンオン後にコレクタ電流が一定電流に落ち着く前に一定電流を超えて流れる電流を電流サージ(ΔA)とすると、
    インダクタンス成分を含む負荷回路をスイッチングで通断電するときの駆動周波数は、
    許容されるターンオン損失割合の上限値以下で、且つ許容される電流サージの上限値以下となる周波数を用いることを特徴とするバイポーラ動作型の半導体装置(1)の使用方法。
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