JP6182875B2 - 半導体装置及びその駆動方法 - Google Patents

半導体装置及びその駆動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6182875B2
JP6182875B2 JP2013010372A JP2013010372A JP6182875B2 JP 6182875 B2 JP6182875 B2 JP 6182875B2 JP 2013010372 A JP2013010372 A JP 2013010372A JP 2013010372 A JP2013010372 A JP 2013010372A JP 6182875 B2 JP6182875 B2 JP 6182875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
groove
region
semiconductor region
semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013010372A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014132625A (ja
Inventor
保幸 斉藤
保幸 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanken Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanken Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanken Electric Co Ltd filed Critical Sanken Electric Co Ltd
Priority to JP2013010372A priority Critical patent/JP6182875B2/ja
Priority to CN201310454639.2A priority patent/CN103855205A/zh
Publication of JP2014132625A publication Critical patent/JP2014132625A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6182875B2 publication Critical patent/JP6182875B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)
  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Description

本発明は、半導体装置、特に、大電流でスイッチング動作させることが可能な半導体装置の構造に関する。また、その電流をオフ状態からオン状態とするための駆動方法に関する。
近年、大電流で駆動することのできるパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)や、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:以下、IGBTと略)が、スイッチング素子として用いられている。
こうしたパワー半導体素子においては、動作電流のオン・オフがゲート電圧によって制御される。この動作電流は、パワーMOSFETにおいては、ソース・ドレイン間の電流であり、IGBTにおいては、パワーMOSFETと同様の動作に加えてバイポーラトランジスタ的な動作も同時に行われ、この動作電流はエミッタ・コレクタ間に流れる。
図15は、従来のIGBTの構成の一例を示す断面図である。このIGBTは、半導体基板中に形成された溝(トレンチ)中にゲートが形成されたトレンチゲート型の素子である。図15において、この半導体基板80においては、コレクタ領域となるp層(第4の半導体領域)81の上に、バッファ領域となるn層82、ドリフト領域となるn層(第1の半導体領域)83、電荷(キャリア)を蓄積するn層(蓄積層)84、ベース領域となるp層(第2の半導体領域)85が順次形成されている。半導体基板80の表面側には、p層85を貫通する溝(トレンチ)86が形成されている。溝86は、図15における紙面と垂直方向に延伸して並行に複数形成されている。溝86の内面(両側面)には酸化膜(ゲート絶縁膜)87が一様に形成された上で、ゲート電極88が溝86を埋め込むように形成されている。半導体基板80の表面側においては、溝86の両側にエミッタ領域となるn層89が形成されている。半導体基板80の裏面全面には、p層(コレクタ領域)81と接触してコレクタ電極(裏面電極)90が形成されている。半導体基板80の表面には、エミッタ電極(共通電極)91が形成されている。ただし、溝86の表面側においては層間絶縁膜92が溝86を覆うように形成されているため、エミッタ電極91は、n層89とp層85の両方に接触するが、ゲート電極88とは絶縁される。このため、各溝86毎に、ゲート電極88に印加された電圧によって溝86の側面におけるp層85でチャネルが生じ、n層83とn層89の間でnチャネルのMOSFETとして動作する。
このMOSFETがオンとされた場合、通常のMOSFETとしての動作に加え、コレクタ層であるp層(第4の半導体領域)81から、ドリフト領域となるn層83側にホールが注入されるため、ドリフト領域における伝導度変調が生じ、IGBTのオン抵抗が特に小さくなる。このため、特に大電流を流すことができる。この際、伝導度変調の効果を高くして大電流を流すためには、ホールがエミッタ電極91側に流れにくくすることが有効である。このため、ホールを蓄積しやすい電荷蓄積層として機能するn層84がn層83の上に形成されている。以上により、ゲート電極88に印加された電圧によって、エミッタ電極91とコレクタ電極90との間に流れる大電流のオン・オフを制御することができる。
図15に示されるように、溝86及びその周囲の構造は並列に多数形成され、各ゲート電極88は、図示された範囲外で並列に接続される。このため各溝86毎に形成されたIGBTは全て並列に接続されており、このために、エミッタ電極(共通電極)91・コレクタ電極(裏面電極)90間に大電流を流すことができ、このオン・オフをゲート電極88に印加する電圧によって制御することができる。
また、特許文献1に記載されるように、全ての溝中(あるいはその周囲)の構造を同一とする必要はなく、溝毎に複数種類の構造を採用することによる最適化も行われる。例えば、図15の構成では全ての溝86に対応してn層89が形成され、全ての溝86においてチャネルが形成される構成としているが、特許文献1の図23等に記載されるように、溝86に対応するn層89が形成されていない溝(ダミートレンチ)を形成する場合もある。この場合、ダミートレンチは、それ自身はMOSFETにおけるチャネルを生じさせるゲートとしては機能しないが、ダミートレンチを設けることによって、耐圧が向上する、負荷短絡耐量が向上する、等の効果が得られる。
図16は、こうした構造の一例を示す断面図である。図16においては、左側から2、4番目の溝86の周囲においてn層89が形成されず、この部分では溝86等は形成されているがチャネルは生じない。なお、こうした構造は、IGBTに限らず、ゲート周辺において同様の構造をもつパワーMOSFETにおいても同様の効果を奏する。
このように、複数のトレンチ(溝)を用いたパワー半導体素子の場合には、その周期や各々の構造を最適化することによって、耐圧や負荷短絡耐量を向上させることができる。
特開平8−167711号公報
上記の構成によって、耐圧や負荷短絡耐量は向上させることができるものの、パワー半導体素子を使用するに際しては、そのスイッチング動作の速度(スイッチング速度)を向上させることが重要である。このスイッチング動作において、特にオン動作を行うために要する時間(オン時間)を短縮する必要がある。
このオン時間については、図16の構成においても、従来の構造(図15)のパワー半導体素子と比較して全く改善がなされていなかった。特に、複数のゲート電極88が並列に接続された構成の場合、ゲート容量が大きくなるために、オン時間を短縮したパワー半導体素子を得ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
発明の半導体装置は、第1の導電型をもつ第1の半導体領域の上に前記第1の導電型と逆の第2の導電型をもつ第2の半導体領域が形成され、当該第2の半導体領域を表面に具備し、前記第2の半導体領域の表面に前記第1の導電型をもつ第3の半導体領域が局所的に形成され、前記表面から前記第2の半導体領域を貫通し前記第1の半導体領域に達する溝が並行に複数形成された半導体基板と前記溝が延伸する方向を中心とした両側面に形成されたゲート絶縁膜を介して前記溝の中に形成されたゲート電極と、前記半導体基板の上に形成された層間絶縁層と、当該層間絶縁層に設けられた開口を介して前記第3の半導体領域及び前記第2の半導体領域と接する共通電極と、前記第1の半導体領域の下側に形成された裏面電極と、を具備し、前記第1の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に流れる電流のオン・オフが前記ゲート電極の電位で制御される半導体装置であって、隣接する前記溝に挟まれた領域には、隣接する前記溝の間において、隣接する前記溝と接するように前記第3の半導体領域が前記第2の半導体領域の表面に形成され、前記開口を介して前記共通電極が前記第3の半導体領域及び前記第2の半導体領域と電気的に接する第1の溝間領域と、隣接する前記溝の間において、前記第3の半導体領域が形成されず、前記開口を介して前記共通電極が前記第2の半導体領域と電気的に接する第2の溝間領域と、が含まれ、前記第1の溝間領域、前記第2の溝間領域のどちらにおいても前記第2の半導体領域は前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極と容量結合し、前記第1の溝間領域において前記共通電極は前記開口を介して第1の接触面積をもって前記第2の半導体領域と接し、前記第2の溝間領域において前記共通電極は前記開口を介して前記第1の接触面積よりも小さな第2の接触面積をもって前記第2の半導体領域と接し、前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口は、前記溝の延伸方向に沿って複数周期的に配列して形成されたことを特徴とする
本発明の半導体装置は、前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口と、前記第2の溝間領域における前記第2の接触面積をもつ前記開口とが、それぞれ複数形成され、前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口は前記溝の延伸方向と垂直な方向に沿って前記第2の溝間領域を挟んで隣接するように形成され、前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口の前記溝の延伸方向に垂直な方向における間隔αに対する、前記第2の溝間領域における前記第2の接触面積をもつ前記開口の前記溝の延伸方向における間隔βの比率β/αは、25〜70の範囲とされたことを特徴とする
本発明の半導体装置は、前記第1の半導体領域の下側に前記第2の導電型をもつ第4の半導体領域が形成され、前記裏面電極が前記第4の半導体領域と電気的に接続されたことを特徴とする。
本発明の半導体装置は、前記第1の半導体領域の下側に前記第2の導電型をもつ第4の半導体領域が形成され、前記裏面電極が前記第4の半導体領域と電気的に接続され、前記溝の中心を基準とした前記第1の溝間領域の間隔(D1)に対する、前記溝の中心を基準とした前記第2の溝間領域の間隔(D2)の比率が、0.5〜3.0の範囲であることを特徴とする。
本発明の半導体装置の駆動方法は、前記半導体装置の駆動方法であって、前記ゲート電極に印加する電圧を閾値電圧未満とした状態で前記裏面電極と前記共通電極との間に印加する電圧を上昇させた後で、前記ゲート電極に印加する電圧を閾値電圧以上とすることを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、オン時間を短縮したパワー半導体素子を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す上面透視図である。 従来のIGBT(a)と本発明の実施例となるIGBT(b)におけるスイッチング動作時における電流変化をシミュレーションによって調べた結果である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IGBT)の溝周囲の等価回路を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IGBT)において注入されたホールの動きを模式的に示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例の構成を示す上面透視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の第3の変形例の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の第3の変形例の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す上面透視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例の構成を示す断面図である。 従来のIGBTの一例の構成を示す断面図である。 従来のIGBTの他の例の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態となる半導体装置について説明する。この半導体装置は、ゲートによってチャネルのオン・オフが制御されることによって、電流のオン・オフが制御される半導体素子である。また、ゲート等は複数設けられ、複数のチャネルが並列に接続されることによって、大電流を流すことができる構成とされる。より具体的には、この半導体装置は、例えばパワーMOSFET、IGBTである。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置について説明する。この半導体装置は、IGBTである。図1は、この半導体装置10の構成を示す断面図である。また、図2は、この半導体装置10の上面透視図であり、図1は、その中のA−A断面に相当する。
この半導体装置(IGBT)10には、半導体基板中に形成された溝(トレンチ)中にゲートが形成された構成を具備するトレンチゲート型の素子である。図1において、この半導体基板20においては、コレクタ領域となるp層(第4の半導体領域)21の上に、バッファ層となるn層22、ドリフト層となるn層(第1の半導体領域)23と、電荷蓄積層となるn層(蓄積層)24、ベース領域となるp層(第2の半導体領域)25が順次形成されている。半導体基板20の表面側には、表面からp層25(第2の半導体領域)を貫通してn層(第1の半導体領域)23に達する溝(トレンチ)26が形成されている。溝26は、図1における紙面と垂直方向に延伸して並行に複数形成されている。溝26の内面(側面)には酸化膜(ゲート絶縁膜)27が一様に形成された上で、ゲート電極28が溝26を埋め込むように形成されている。なお、電荷蓄積層となるn層24はなくともよいが、これがある場合、溝(トレンチ)26は、n層24に達するように形成されている。
半導体基板20の表面側においては、溝26の両側に、n層(第3の半導体領域)29が形成されている。半導体基板20の裏面全面には、p層(コレクタ領域)21と電気的に接続してコレクタ電極(裏面電極)30が形成されている。半導体基板20の表面には、エミッタ電極(共通電極)31が形成されている。ただし、溝26の表面側においては層間絶縁膜32がゲート電極28(溝26)を覆うように形成されているため、エミッタ電極(共通電極)31は、層間絶縁膜32の開口部を通じてn層(第3の半導体領域)29とp層(第2の半導体領域)25の両方に電気的に接続し、ゲート電極28とは絶縁される。
この半導体装置10においては、各溝26毎に、ゲート電極28に印加された電圧によって溝26の側面におけるp層25(第2の半導体領域)でチャネルが生じ、このチャネルを介して電流を流すことができる。このため、n層23(第1の半導体領域)とn層29(第3の半導体領域)の間でnチャネルのMOSFETとして動作する。このMOSFETがオンとされた場合、通常のMOSFETとしての動作に加え、コレクタ領域であるp層(第4の半導体領域)21からホールが、ドリフト層となるn層23(第1の半導体領域)側に注入されるため、ドリフト層における伝導度変調が生じ、IGBTのオン抵抗が特に小さくなる。このため、特に大電流を流すことができる。すなわち、ゲート電極28に印加する電圧によって、エミッタ電極(共通電極)31とコレクタ電極(裏面電極)30との間の電流のオン・オフを制御することができる。
上面からの透視図である図2においては、エミッタ電極31、層間絶縁膜32を透視した構成が示されており、層間絶縁膜32における開口部であるエミッタ接続開口部321が破線で示されている。エミッタ電極31と半導体基板20とは、このエミッタ接続開口部321で直接接する。なお、図1、2においては、構造を模式的に示すために、溝26の幅とその間隔、各半導体層の厚さ等の比率が実際とは異なって示されている。
また、隣接する2つの溝26の周囲における構成が同一となっていない点については図16の構造と同様であるが、隣接する2つの溝26の間の領域(溝間領域)は、その構造に応じて2種類に大別される。その一つ目の領域(第1の溝間領域)は、図1における左から1番目の溝26とこれに隣接する左から2番目の溝26の間、左から2番目の溝26に隣接する左から3番目の溝26とこれに隣接する左から4番目の溝26の間の領域である。その2つ目の領域(第2の溝間領域)は、2つの第1の溝間領域に挟まれた溝26の間の領域である、図1における左から2番目の溝26とこれに隣接する左から3番目の溝26の間の領域である。第1の溝間領域と第2の溝間領域は図1における紙面の左右方向において交互に設けられる。
具体的には、一番左側の溝26と左から3番目の溝26においては、右側のみにn層29が形成されており、左から2番目の溝26と一番右側の溝26においては、左側のみにn層29が形成されている。この構成により、第1の溝間領域においてはn層29が形成された側同士が相対し、第2の溝間領域においてはn層29が形成されない側同士がそれぞれ相対する。
また、層間絶縁膜32におけるエミッタ接続開口部321は、第1の溝間領域においてのみ形成され、第2の溝間領域においては形成されていない。このため、エミッタ電極(共通電極)31は、第1の溝間領域においてのみn層29及びp層25と接続され、第2の溝間領域におけるp層25とは接続されない。なお、ここで、「接続される」とは、実質的に低抵抗で接続される、例えばオーミック接触する場合を意味し、ショットキー接触する場合や、絶縁層を介して接触する場合、動作時にpn接合が逆バイアスとなるように接合される場合等を含まないものとする。例えば、第1の溝間領域におけるp層25とエミッタ電極31との間の抵抗を下げるために、第1の溝間領域におけるp層25の表面に局所的に他の層(例えばp層)を形成し、この層を介して第1の溝間領域におけるp層25とエミッタ電極31とが電気的に接続される構成とすることもできる。ここでは、こうした場合も、「エミッタ電極31が第1の溝間領域におけるp層25と接続される」場合に含むものとする。
この場合、第1の溝間領域におけるp層25の電位は、エミッタ電極31の電位と等しくなる。一方、第2の溝間領域におけるp層25は、仮に図示された範囲外(例えば溝26が延伸する方向の端部側)で第1の溝間領域のp層25と繋がっていたとしても、p層25の不純物濃度が低く、かつエミッタ接続開口部321から沿面距離は長くなる。このため、第2の溝間領域におけるp層25の電位は、第1の溝間領域におけるp層25の電位とは必ずしも一致しない。すなわち、第2の溝間領域におけるp層25は、第1の溝間領域におけるp層25あるいはエミッタ電極31から浮遊したものと近似的に考えることができる。このため、以下では、第1の溝間領域におけるp層25をそれぞれ電位固定p層251(第2の半導体領域の第1の部分)と呼称し、第2の溝間領域におけるp層25を浮遊p層252(第2の半導体領域の第2の部分)と呼称する。
この構成と図16の構成において、コレクタ電極とエミッタ電極との間の電圧VCEを上昇させて所定の高電圧を印加した後に、ゲート電極の電圧(エミッタ電極を基準とする)VGEを零から閾値以上に上昇させた場合における、コレクタ電極に流れる電流ICをシミュレーションによって調べた。
図16の構成(比較例)における上記の特性を図3(a)、図1の構成(実施例)における上記の特性を図3(b)にそれぞれ示す。ここで、上段は上記の動作の際のVCEの変化を示し、下段はVGE、ICの変化を示している。ここで、VCE、VGEは共に電圧を示しているが、VCEの最大値は100V以上、VGEの最大値は10V以下であり、上段と下段における電圧のスケールは大きく異なる。このため、実際にはVCEの絶対値、その変化率は、VGEと比べて大きくなっている。
この結果より、実施例(図3(b))においては、VGEの立ち上がり速度が比較例(図3(a))と比べると、より速く閾値電圧に達し、そのためにICの立ち上がり時間(オン時間)が大幅に短縮されることが明らかである。VCEは、ICの立ち上がりに応じて急激に減少している。すなわち、図1の構成においては、オン時間を大幅に短くすることができる。
ここで、このオン時間は、図3における期間I(VGEが閾値VTまで上昇するまでの期間)と、期間II(VGEが閾値に達してからICが充分な値となるまでの期間)に分けて考えることができ、オン時間は期間Iと期間IIの和となる。図3(b)の場合(実施例)においては、期間I、II共に図3(a)の場合(比較例)と比べて短縮しているために、オン時間が短くなっている。
この理由は、以下の通りに説明される。図4は、図1における溝26の左右における構成を模式的に示す図である。溝26の右側が第1の溝間領域、左側が第2の溝間領域となっている。ここでは、単純化のために、上記の動作において本質的でないn層22、n層24の記載は省略している(あるいは、これらはドリフト層であるn層23に含まれるものとしてもよい)。この動作においては、図4におけるコレクタ端子Cとエミッタ端子Eの電位差が図3におけるVCE、ゲート端子Gとエミッタ端子Eの電位差がVGEとなり、コレクタ端子C又はエミッタ端子Eに流れる電流がICとなる。ゲート端子Gに流れる電流は無視できる程度である。前記の通り、VGEを閾値以上に上昇させることによって、電位固定p層251における溝26(酸化膜(ゲート絶縁膜)27)と接する側において、チャネル50が生じ、MOSFETがオンとなる。
この動作においては、チャネル50の生成は、ゲート電極28とその右側の電位固定p層251との間の寄生容量C1に依存する。一方、ゲート電極28とその左側の浮遊p層252との間には寄生容量C3が存在する。電位固定p層251の電位は、エミッタ端子Eと等しくなる一方、前記の通り、ゲート電極28の左側にある浮遊p層252の電位は、電位固定p層251の電位とは等しくならない。この浮遊p層252の電位は、p層(コレクタ層)21と接したドリフト層であるn層23と浮遊p層252との間のpn接合によって生じる空乏層による寄生容量C2、ゲート電極28と浮遊p層252との間のゲート絶縁膜27によって生じる寄生容量C3の直列接続を含む等価回路によって定まると考えることができる。このため、図3に示された過程においては、エミッタ端子Eと電気的に接続された電位固定p層251の電位は一定であると考えることができるのに対して、浮遊p層252の電位は変動する。
ここで、上記の期間I、IIは、いずれも、ゲート電極28に接続された寄生容量(C1、C2、C3)を(充)放電する時間に対応する。このため、どちらの期間においても、これらの寄生容量に蓄積された電荷が素速く変化できる(変位電流が流れる)状況とすれば、この期間を短縮することができる。
ここで、上記の動作において、実施例(図3(b)においては、VGEの上昇よりも先にVCEが上昇しているため、VCG(コレクタ端子Cとゲート端子Gの間の電位差)に対応した電荷がC2、C3に蓄積される。
その後、期間Iにおいて、VGEが上昇を始めると、これに伴ってVCGも変化する。これによって、C2、C3に蓄積された電荷が減少する(変位電流が流れる)。これによって、ゲート電極28の電位の上昇速度が高まる。すなわち、期間Iが短縮する。
次に、期間IIにおいて、VGがVTに達した場合、ICが増大を始め、これによって、VCEは減少を始める。これによって、VCGが変化するため、更にC2、C3に蓄積された電荷が減少し、変位電流が流れる。このため、期間IIが短縮する。
特に、前記の通り、VCEの最大値はVGEの最大値よりも大きいために、VCGもVGEの最大値よりも大きくなる。このため、VCGによってC2、C3に蓄積された電荷量はC1に蓄積される電荷量よりも大きく、C2、C3を流れる上記の変位電流の寄与は大きくなる。
これに対して、比較例の場合には、図4における浮遊p層252が存在せず、図4における溝26の左側と右側の構造は同じであり、その電位は常に左右で等しくなり、エミッタ端子Eと等しい。このため、上記のようなC2、C3における変位電流の寄与は発生し得ない。
すなわち、図1の構成の半導体装置10においては、VCEを所望の高電圧まで上昇させた後でVGEを閾値以上に上昇させる動作を行うことによって、オン時間を短くすることができる。
この半導体装置10はIGBTであるものとしたが、周知のように、コレクタ層となるp層21(第4の半導体領域)を除いたトレンチゲート型のパワーMOSFETにおいても、同様の構成によって、同様の効果を奏することは明らかである。ただし、特にIGBTにおいては、以下に説明する効果も奏する。
図5は、図1の構成においてコレクタ領域(p層21)からドリフト領域(n層23)に注入されたホールの状況を模式的に示す図である。このホールの注入によってn層23で伝導度変調が起こり、オン抵抗を減少させ、大電流を流すことができる。あるいは、コレクタ−エミッタ飽和電圧(VCE(sat))を低下することができる。しかしながら、n層23側に注入されたホールは、図中の実線の矢印で示されるように、電位固定p層251を介して上側に形成されたエミッタ電極31に流れるため、このホールがn層23に残存する量は限定される。前記の通り、このホールを蓄積するためにn層24が設けられている。しかしながら、図16におけるエミッタ電極91はIGBTの動作に不可欠ではあるが、n層23中のホールを制限する要因となっていることも明らかである。
これに対して、上記の半導体装置10においては、第2の溝間領域における浮遊p層252にはエミッタ電極31が接続されないため、浮遊p層252下のn層23とn層24との界面近傍の領域におけるホールはエミッタ電極31側には流れ出ることが困難であり、図5中の破線で示された領域に蓄積されやすくなる。この蓄積されたホールは、n層23における伝導度変調に寄与する。このため、図15や図16の構成と比べて、n層23における伝導度変調の効果を大きくすることができ、VCE(sat)を低下させることができる。なお、この効果は電荷蓄積層であるn層24がない場合でも同様であるため、n層24を形成することは必須ではない。
ここで、この効果は、第1の溝間領域の幅と第2の溝間領域の幅の比率に依存することは明らかである。図1において、第1の溝間領域の幅がD、第2の溝間領域の幅がDとして示されている。ここで、これらの値は、各領域における隣接する各溝26の中央を基準とした間隔(トレンチ間隔)として示されている。Dに対してDが小さいと、ホールを蓄積できるという前記の効果が小さくなることが明らかである。
一方、電子がコレクタ領域(p層21)側に向かって(下側に向かって)流れることによって、逆にホールがコレクタ領域から図1において上側に流れて蓄積される。この電子は、エミッタ電極31と接続された第1の溝間領域(幅D)から注入される。このため、半導体装置のチップサイズが同じ場合、比率D/Dが大きくなると、下側に向かって流れる電子の量が少なくなるため、結局ホールが蓄積される量も少なくなる。
このため、比率D/Dは、1から大きくは外れず、0.5〜3.0の範囲とすることが、オン抵抗を低減するという観点からは好ましい。具体的には、例えばD=4.2μm、D=6.2μm程度とすることができる。
なお、トレンチゲート型の素子の構造において、溝や浮遊p層等の構成としては、各種のものが可能である。図6は、この一例の構成(第1の変形例)を示す断面図である。この構造においては、図1の構造における左から2番目と3番目の溝26の間に、n層29が両側に形成されない溝26が更に設けられている。このため、図6の構成においては、左から1、2番目の溝26の間の領域が第1の溝間領域となり、左から2、3番目の溝26の間、左から3、4番目の溝26の間の領域が第2の溝間領域となる。この構成の場合には、第1の溝間領域と第2の溝間領域とは交互に形成されていないが、同様の効果を奏することは明らかである。
また、図1、6中においては、全ての溝26は紙面と垂直に延伸しているものとし、n層29、電位固定p層251、浮遊p層252等、半導体基板20の上層側における構成も溝26の延伸方向と並行であるとした。しかしながら、溝26の延伸方向において、例えばn層29と電位固定p層251の構成が交互に設けられた構成とすることもできる。こうした構成の半導体装置(第2の変形例)の断面図を図7、上面透視図を図8に示す。ここで、図7は図1に対応し、図8は図2に対応する。図7(a)、(b)はそれぞれ図8におけるB−B断面、C−C断面に相当する。
この半導体装置においては、第1の溝間領域において、B−B断面の箇所では左右方向の全面にわたりn層29が形成されているのに対し、C−C断面の箇所ではn層29は全く形成されていない。すなわち、n層29が第1の溝間領域の溝26の延伸方向においてエミッタ接続開口部321に対応して周期的に形成されている。こうした構成においても、第1の溝間領域におけるp層25は電位固定p層251として機能し、第2の溝間領域におけるp層25は浮遊p層252として機能するため、前記と同様の効果を奏することは明らかである。
また、特許文献1等に記載の技術と同様に、その他の具体的構成、例えば溝の配列構成等を最適化することによって、素子の特性を向上させることができる。例えば、溝26の間隔D、Dの比率は上記の通りであるが、これらの絶対値を最適化することによって耐圧を調整する、等が可能である。
また、IGBTとして充分な特性が得られる限りにおいて、バッファ層となるn層22や蓄積層となるn層24を設ける必要はない。また、第1の半導体領域、第2の半導体領域は、前記の例ではそれぞれ一様な厚さをもつ半導体層(n層、p層)であり、これらが積層されて半導体基板が形成されるものとしたが、これらが積層されず、例えば図2における異なる領域において存在するようにしてIGBT、パワーMOSFETを構成することもできる。
更に、上記と同様に、電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)と浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)を具備し、ゲート電極が浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)と容量結合した構成であれば、トレンチゲート型以外の素子においても、同様の効果を奏する。図9は、この構造をプレーナゲート型のIGBTにおいて用いた例である半導体装置60(第3の変形例)の断面図である。
この構成においては、コレクタ領域となるp層(第4の半導体領域)21の上に、ドリフト領域となるn層(第1の半導体領域)23が形成されている。このn層23の表面において、選択的不純物拡散あるいはイオン注入によって、電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)251、及び電位固定p層251上において離間して2つのn層(第3の半導体領域)29が形成されている。更に、隣合う電位固定p層251間に浮遊p層252(第2の半導体領域の第2の部分:図中の中央の一つ)が形成されている。この半導体装置においては、半導体基板の表面に露出したn層29から、同様に露出した電位固定p層251、n層23を介して、浮遊p層252までの範囲を、酸化膜(ゲート絶縁膜)26を介してゲート電極28が覆っている。また、ゲート電極28上や半導体基板上を覆って層間絶縁膜32、エミッタ電極(共通電極)31が順次形成されている。電位固定p層251中における2つのn層29の間においては、p層251aが形成され、エミッタ電極31とp層251a及び2つのn層29とが電気的に接続するように、エミッタ接続開口部321が層間絶縁膜32に形成されている。
また、図10は、上記の半導体装置60における電位固定p層251と浮遊p層252の配置の一例を示す上面から見た平面図である。このように、浮遊p層252は、隣接する電位固定p層251の間に形成され、電位固定p層251が浮遊p層252に囲まれる形態とされる。ただし、図10においては分離された浮遊p層252が複数形成された形態としたが、電位固定p層251同士、浮遊p層252同士を繋げた構成とすることもできる。電位固定p層251、浮遊p層252の平面形状は円形ではなく、こうした配列に好適な六角形の形状とすることもできる。
この半導体装置(IGBT)60においては、エミッタ電極(共通電極)31とコレクタ電極30との間に所定の電位が与えられ、動作する。この際、浮遊p層252は、その周囲のn層23とはpn接合によってpn接合分離され、図4と同様に、浮遊p層252とn層23との間に寄生容量C2、浮遊p層252とゲート電極28との間に寄生容量C3が生じ、これらの寄生容量C2、C3に電荷が充電される。その後、ゲート電極28の電位を上げるように制御することによってチャネルが形成され、この半導体装置60がオンとなる。
ここで、この半導体装置60においても、図4と同様の等価回路が形成されるため、寄生容量C2、C3に充電されていた電荷が寄与してゲート電極28と寄生容量C1における電荷の充電が早まり、図3(b)と同様の動作を行った場合には、オン時間を短くすることができる。
この構成においても、電位固定p層251と浮遊p層252とを形成し、ゲート電極28がMOSFETのゲートとして機能することができる限りにおいて、上記と異なる各種の配置を実現することができる。また、IGBTだけでなく、パワーMOSFETにおいても同様の構造を実現し、同様の効果を得ることができることは明らかである。また、同様の機能が維持される限りにおいて、図9において示されていない層を適宜形成してもよい。
(第2の実施の形態)
このように、第1の実施の形態となる半導体装置10は、オン動作の高速化が図れる、IGBTの場合には、更に、オン抵抗を小さくすることができるという効果を奏する。しかしながら、一方で、浮遊p層252(第2の半導体領域の第2の部分)が電気的に浮遊している場合においては、ノイズの影響を受けやすくなることは明らかである。特に、素子全体において浮遊p層252の占める面積が大きい場合には、この影響は大きくなり、ゲート電極の電位(スイッチング動作)がノイズの影響を受けやすくなる。このため、前記の図3(b)に示されたオン時の動作は、ノイズの影響を受けやすく、誤動作の確率が高くなる。
また、前記の通り、浮遊p層252(第2の半導体領域の第2の部分)と電位固定p層251(第2の半導体領域の第1の部分)が実際には素子の端部で接続されており、浮遊p層252が厳密には電気的に浮遊していない場合もある。こうした場合には、素子の面内で多数形成された浮遊p層252の状態は均一とはならず、素子の面内で複数並列に形成されたIGBTやパワーMOSFETの特性も均一とはならない。この場合、例えば、図3(b)におけるVGEの上昇の度合いが各IGBT毎にばらつき、これらを並列に接続した場合には、結局、オン動作の高速化という効果は低減することになる。
このため、第2の実施の形態に係る半導体装置110においては、電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)については前記と同様の構成とするが、浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)については、浮遊状態とはせずに、これも共通電極と接続された形態とする。ただし、電位固定p層と共通電極との間の接続は、これらの間で大電流を流すために、接触抵抗が小さくなるように行われるのに対して、この場合の浮遊p層と共通電極との間の接続は、大きく制限された状態で行われる。以下では、新たに共通電極と接続された浮遊p層を疑似浮遊p層と呼称する。また、この疑似浮遊p層を、新たに、第2の半導体領域の第2の部分と呼称する。
図11は、この半導体装置110の構成を示す断面図であり、図12は、その上面透視図である。ここで、図11、図12(a)はそれぞれ第1の実施の形態における図1、2に対応しており、図11は、図12(a)におけるD−D断面を示している。図12(b)においては、図12(a)をより広範囲で示した構成における層間絶縁層32の開口部が実線で示されている。
図11に示されるように、この半導体装置110においては、前記の浮遊p層252に対応した疑似浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)253が、層間絶縁膜32に設けられた浮遊層電位調整開口部322を介して、エミッタ電極(共通電極)31と接続されている。このために、前記の浮遊p層252とは異なり、疑似浮遊p層253の電位はエミッタ電極(共通電極)31によって調整される。
ここで、第1の実施の形態の構成(図1)と同様に、電位固定p層251は、エミッタ接続開口部321を介してエミッタ電極31と接する。この接触面積(第1の接触面積)と比べて、疑似浮遊p層253とエミッタ電極31との接触面積(浮遊層電位調整開口部322の開口面積:第2の接触面積)は小さく設定されている。図11においては、第1の接触面積は、第1の溝間領域におけるn層29の間隔に対応する。この半導体装置110の動作電流を大きくするためには、第1の接触面積は大きいことが必要である。
このため、エミッタ電極31と疑似浮遊p層253との間の抵抗は、エミッタ電極31と電位固定p層251との間の抵抗と比べて高くなる。この抵抗が高い場合には、オン動作時においては、疑似浮遊p層253の電位が電位固定p層251の電位と常時等しくはならない。このため、図3(b)のVCE、VGEにおける過渡期間(オン動作の時間)の短い期間内においては、第1の実施の形態の半導体装置10と同様に、図4に示された等価回路が形成されていると考えることができ、参考例と同様の効果、すなわち、オン時間の短縮やIGBTにおけるオン抵抗の低下の効果が得られる。
また、エミッタ電極31と疑似浮遊p層253との間の抵抗が高ければ、ホールの引き抜きがされにくくなるため、IGBTにおけるオン抵抗を低下するという第1の実施の形態と同様の効果が得られることも明らかである。一方で、第1の実施の形態とは異なり、疑似浮遊p層253は完全な浮遊状態とはされないため、ノイズの影響は低減される。
このため、上記の構成において、これらの効果を得るためには、エミッタ電極31と疑似浮遊p層253との間の抵抗の、エミッタ電極31と電位固定p層251との間の抵抗に対する比率が大きいことが好ましい。この比率は、第1の接触面積、第2の接触面積だけでなく、それぞれ複数設けられたエミッタ接続開口部321と浮遊層電位調整開口部322の構成によっても調整することができる。ここで、面内において複数形成された各素子の特性を均一とするためには、エミッタ接続開口部321、浮遊層電位調整開口部322を、共に周期的に形成することが好ましい。
図12(a)に示されるように、エミッタ接続開口部321は第1の溝間領域Mにおいてのみ形成され、その横方向(溝26の延伸方向と垂直な方向)における間隔はαとされる。また、エミッタ電極31と電位固定p層251との間の抵抗を小さくするためには、図12の上下方向におけるエミッタ接続開口部321の間隔は狭くされる。
一方、浮遊層電位調整開口部322も周期的に設けることが好ましいことは前記の通りであるが、エミッタ電極31と疑似浮遊p層253との間の抵抗を高めるためには、この周期を大きくすることが有効である。このため、図12における上下方向(溝26の延伸方向)における浮遊層電位調整開口部322の間隔βをαよりも大きくとることが有効である。具体的には、比β/αを、25〜70の範囲とすることが好ましい。この比が25よりも小さいと、上記のオン時間の短縮、IGBTにおけるオン抵抗の低下等の効果が小さくなる。この比が70よりも大きいと、疑似浮遊p層25が電気的に浮遊した状態に近づくため、ノイズの影響が大きくなる。具体的には、例えばαは12μm程度とされ、βは上記の範囲内で適宜設定される。
なお、トレンチゲート型の素子の構造において、溝や浮遊p層の構成としては、各種のものが可能である。図13は、この一例の構成(第1の変形例)を示す断面図であり、第1の実施の形態における図6の構成に対応する。図13の構造においては、図中左から2番目と3番目の溝26の間に、n層29が両側に形成されない溝26が更に設けられている。このため、図13の構成においては、左から1、2番目の溝26の間の領域が第1の溝間領域Mとなり、左から2、3番目の溝26の間、左から3、4番目の溝26の間の領域が第2の溝間領域Mとなる。2つの第2の溝間領域Mにおいて、浮遊層電位調整開口部322が設けられている。この浮遊層電位調整開口部322は、溝26が延伸する方向においてβ/α=25〜70となる間隔βをもって周期的に形成すればよい。この構成の場合には、第1の溝間領域Mと第2の溝間領域Mとは交互に形成されていないが、同様の効果を奏することは明らかである。
また、第1の半導体層、第2の半導体層の構成も、IGBTあるいはパワーMOSFETとして動作する限りにおいて、任意である。例えば、第1の半導体層において、コレクタ層となるp層21と接する側(n層22の下側)にバッファ層となるn層を更に設けてもよい。
また、IGBTとして充分な特性が得られる限りにおいて、バッファ層となるn層22や蓄積層となるn層24を設ける必要はない。また、第1の半導体領域、第2の半導体領域は、前記の例ではそれぞれ一様な厚さをもつ半導体層(n層、p層)であり、これらが積層されて半導体基板が形成されるものとしたが、これらが積層されず、例えば図12における異なる領域において存在するようにしてIGBT、パワーMOSFETを構成することもできる。
更に、第1の実施の形態と同様に、電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)と疑似浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)を具備し、ゲート電極が疑似浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)と容量結合した構成であれば、トレンチゲート型以外の素子においても、同様の効果を奏する。図14は、第1の実施の形態における図9と同様に、この構造をプレーナゲート型のIGBTにおいて用いた例である半導体装置120(第2の変形例)の断面図である。
この構成においては、コレクタ領域となるp層(第4の半導体領域)21の上に、ドリフト領域となるn層(第1の半導体領域)23が形成されている。このn層23の表面において、選択的不純物拡散あるいはイオン注入によって、電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)251、及び電位固定p層251上において離間して2つのn層(第3の半導体領域)29が形成されている。更に、隣合う電位固定p層251間に疑似浮遊p層253(第2の半導体領域の第2の部分:図中の中央の一つ)が形成されている。この半導体装置においては、半導体基板の表面に露出したn層29から、同様に露出した電位固定p層251、n層23を介して、浮遊p層252までの範囲を、酸化膜(ゲート絶縁膜)26を介してゲート電極28が覆っている。また、ゲート電極28上や半導体基板上を覆って層間絶縁膜32、エミッタ電極(共通電極)31が順次形成されている。電位固定p層251中における2つのn層29の間においては、p層251aが形成され、エミッタ電極31とp層251a及び2つのn層29とが電気的に接続するように、エミッタ接続開口部321が層間絶縁膜32に形成されている。
また、電位固定p層251と同様の伝導型、キャリア濃度をもつ疑似浮遊p層253は、隣接する電位固定p層251の間に形成される。疑似浮遊p層253は、層間絶縁膜32における浮遊層電位調整開口部322を介してエミッタ電極31と接する。
この半導体装置(IGBT)120においては、エミッタ電極(共通電極)31とコレクタ電極30との間に所定の電位が与えられ、動作する。この際、疑似浮遊p層253は、その周囲のn層23とはpn接合によってpn接合分離され、図4と同様に、疑似浮遊p層253とn層23との間に寄生容量C2、疑似浮遊p層253とゲート電極28との間に寄生容量C3が生じ、これらの寄生容量C2、C3に電荷が充電される。その後、ゲート電極28の電位を上げるように制御することによってチャネルが形成され、この半導体装置120がオンとなる。
ここで、この半導体装置120においても、図4と同様の等価回路が形成されるため、寄生容量C2、C3に充電されていた電荷が寄与してゲート電極28と寄生容量C1における電荷の充電が早まり、図3(b)と同様の動作を行った場合には、オン時間を短くすることができる。
一方、疑似浮遊p層253は、エミッタ接続開口部321よりも面積が小さな浮遊層電位調整開口部322を介してエミッタ電極31と接するため、疑似浮遊p層253は電気的に完全に浮遊した状態とはならず、その電位はエミッタ電極31の電位で制御される。
このため、この半導体装置120においても、前記の半導体装置110と同様の効果が得られる。すなわち、オン時間の短縮や、IGBTにおけるオン抵抗の低下が得られる一方で、ノイズの影響は低減される。
この構成においても、電位固定p層251と疑似浮遊p層253とを形成し、ゲート電極28がMOSFETのゲートとして機能することができる限りにおいて、上記と異なる各種の配置を実現することができる。また、IGBTだけでなく、パワーMOSFETにおいても同様の構造を実現し、同様の効果を得ることができることは明らかである。また、同様の機能が維持される限りにおいて、図14において示されていない層を適宜形成してもよい。
また、上記の例と同様にしてpチャネル型のIGBT、パワーMOSFETを実現することができることも明らかである。例えば、上記の例では第1、第3の半導体領域をn型(第1の導電型)とし、第2、第4の半導体領域をこれと逆のp型(第2の導電型)としたが、pチャネル型の素子を実現するためには、第1、第3の半導体領域をp型(第1の導電型)、第2、第4の半導体領域の導電型をn型(第2の導電型)として同様の構造を形成すればよい。この場合には、VCE、VGE等の符号を正負逆転させた動作を行わせることによって、同様にオン時間を短縮させることができる。
10、60、110、120 半導体装置
20、80 半導体基板
21、81 p層(第4の半導体領域)
22、82 n層(バッファ領域)
23、83 n層(第1の半導体領域)
24、84 n層(蓄積層)
25、85 p層(第2の半導体領域)
26、86 溝(トレンチ)
27、87 酸化膜(ゲート絶縁膜)
28、88 ゲート電極
29、89 n層(第3の半導体領域)
30、90 コレクタ電極(裏面電極)
31、91 エミッタ電極(共通電極)
32、92 層間絶縁膜
50 チャネル
251 電位固定p層(第2の半導体領域の第1の部分)
251a p
252 浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分))
253 疑似浮遊p層(第2の半導体領域の第2の部分)
321 エミッタ接続開口部
322 浮遊層電位調整開口部

Claims (5)

  1. 第1の導電型をもつ第1の半導体領域の上に前記第1の導電型と逆の第2の導電型をもつ第2の半導体領域が形成され、当該第2の半導体領域を表面に具備し、前記第2の半導体領域の表面に前記第1の導電型をもつ第3の半導体領域が局所的に形成され、前記表面から前記第2の半導体領域を貫通し前記第1の半導体領域に達する溝が並行に複数形成された半導体基板と
    前記溝が延伸する方向を中心とした両側面に形成されたゲート絶縁膜を介して前記溝の中に形成されたゲート電極と、
    前記半導体基板の上に形成された層間絶縁層と、
    当該層間絶縁層に設けられた開口を介して前記第3の半導体領域及び前記第2の半導体領域と接する共通電極と、
    前記第1の半導体領域の下側に形成された裏面電極と、を具備し、前記第1の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に流れる電流のオン・オフが前記ゲート電極の電位で制御される半導体装置であって、
    隣接する前記溝に挟まれた領域には、
    隣接する前記溝の間において、隣接する前記溝と接するように前記第3の半導体領域が前記第2の半導体領域の表面に形成され、前記開口を介して前記共通電極が前記第3の半導体領域及び前記第2の半導体領域と電気的に接する第1の溝間領域と、
    隣接する前記溝の間において、前記第3の半導体領域が形成されず、前記開口を介して前記共通電極が前記第2の半導体領域と電気的に接する第2の溝間領域と、
    が含まれ
    前記第1の溝間領域、前記第2の溝間領域のどちらにおいても前記第2の半導体領域は前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極と容量結合し、
    前記第1の溝間領域において前記共通電極は前記開口を介して第1の接触面積をもって前記第2の半導体領域と接し、前記第2の溝間領域において前記共通電極は前記開口を介して前記第1の接触面積よりも小さな第2の接触面積をもって前記第2の半導体領域と接し、
    前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口は、前記溝の延伸方向に沿って複数周期的に配列して形成されたことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口と、前記第2の溝間領域における前記第2の接触面積をもつ前記開口とが、それぞれ複数形成され、
    前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口は前記溝の延伸方向と垂直な方向に沿って前記第2の溝間領域を挟んで隣接するように形成され、
    前記第1の溝間領域における前記第1の接触面積をもつ前記開口の前記溝の延伸方向に垂直な方向における間隔αに対する、前記第2の溝間領域における前記第2の接触面積をもつ前記開口の前記溝の延伸方向における間隔βの比率β/αは、25〜70の範囲とされたことを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  3. 前記第1の半導体領域の下側に前記第2の導電型をもつ第4の半導体領域が形成され、前記裏面電極が前記第4の半導体領域と電気的に接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記第1の半導体領域の下側に前記第2の導電型をもつ第4の半導体領域が形成され、前記裏面電極が前記第4の半導体領域と電気的に接続され、前記溝の中心を基準とした前記第1の溝間領域の間隔(D1)に対する、前記溝の中心を基準とした前記第2の溝間領域の間隔(D2)の比率が、0.5〜3.0の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の半導体装置の駆動方法であって、
    前記ゲート電極に印加する電圧を閾値電圧未満とした状態で前記裏面電極と前記共通電極との間に印加する電圧を上昇させた後で、前記ゲート電極に印加する電圧を閾値電圧以上とすることを特徴とする、半導体装置の駆動方法。
JP2013010372A 2012-12-05 2013-01-23 半導体装置及びその駆動方法 Active JP6182875B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013010372A JP6182875B2 (ja) 2012-12-05 2013-01-23 半導体装置及びその駆動方法
CN201310454639.2A CN103855205A (zh) 2012-12-05 2013-09-29 半导体装置及其驱动方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012266430 2012-12-05
JP2012266430 2012-12-05
JP2013010372A JP6182875B2 (ja) 2012-12-05 2013-01-23 半導体装置及びその駆動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014132625A JP2014132625A (ja) 2014-07-17
JP6182875B2 true JP6182875B2 (ja) 2017-08-23

Family

ID=51411562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013010372A Active JP6182875B2 (ja) 2012-12-05 2013-01-23 半導体装置及びその駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6182875B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6515484B2 (ja) * 2014-10-21 2019-05-22 株式会社デンソー 半導体装置
JP6525828B2 (ja) * 2015-09-09 2019-06-05 株式会社デンソー バイポーラ動作型の半導体装置およびその使用方法
WO2018074425A1 (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 富士電機株式会社 半導体装置
CN110692140B (zh) * 2017-12-14 2023-07-04 富士电机株式会社 半导体装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09153611A (ja) * 1995-12-01 1997-06-10 Toshiba Corp 半導体装置
JP2000164859A (ja) * 1998-11-25 2000-06-16 Sanken Electric Co Ltd 半導体装置及びその製造方法
JP4581179B2 (ja) * 2000-04-26 2010-11-17 富士電機システムズ株式会社 絶縁ゲート型半導体装置
JP4676125B2 (ja) * 2002-07-03 2011-04-27 ルネサスエレクトロニクス株式会社 トレンチゲート型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
JP4765000B2 (ja) * 2003-11-20 2011-09-07 富士電機株式会社 絶縁ゲート型半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014132625A (ja) 2014-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10892352B2 (en) Power semiconductor device
CN112993039B (zh) Ldmos晶体管及相关***和方法
US9362393B2 (en) Vertical semiconductor device including element active portion and voltage withstanding structure portion, and method of manufacturing the vertical semiconductor device
US9653596B2 (en) Superjunction device and semiconductor structure comprising the same
JP5762689B2 (ja) 半導体装置
US9564425B2 (en) Integrated transistor structure having a power transistor and a bipolar transistor
JP5637188B2 (ja) 横型素子を有する半導体装置
US8912632B2 (en) Semiconductor device
US9136381B1 (en) Super junction MOSFET with integrated channel diode
JP6182875B2 (ja) 半導体装置及びその駆動方法
JP2012089824A (ja) 半導体素子およびその製造方法
US8159026B2 (en) Lateral high-voltage semiconductor devices with majorities of both types for conduction
CN102694024A (zh) 半导体器件
JP2013145903A (ja) 半導体装置
KR20150061202A (ko) 전력 반도체 소자
JP2014154739A (ja) 半導体装置
JP2015181178A (ja) 半導体装置
JP6627452B2 (ja) 半導体装置
JP6173987B2 (ja) 半導体装置
JP2012099696A (ja) 半導体装置
JP2016207829A (ja) 絶縁ゲート型スイッチング素子
CN107591445B (zh) 超结器件及其制造方法
JP2013251468A (ja) 半導体装置および半導体装置の制御方法
JP6406021B2 (ja) 半導体装置
JP6089070B2 (ja) 半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6182875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250