JP6524761B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ポリメタクリル酸メチルは、その透明性、耐候性に優れ、表面硬度も高いことから、電気製品の光学部品、看板、建材、自動車部品および屋内又は屋外用途の各種成形品に対して、表面を保護するための貼合フィルムなど広範な分野で使用されている。ポリメタクリル酸メチルは一般的に耐衝撃性が低いため、ゴム粒子を添加する場合があるが、ゴム粒子を添加した場合、一般的に耐熱性が低下しやすい問題がある。
ポリメタクリル酸メチルと同等の透明性、耐候性、耐薬品性を持ち、かつより高い耐熱性を持つ熱可塑性樹脂として、特許文献1には、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと少なくとも1種の芳香族ビニルモノマーとを含むモノマー組成物を重合して得られ、かつ、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(Bモル)に対する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(Aモル)のモル比(A/B)が1〜4である共重合体の芳香族二重結合の70%以上を水素化することで、透明性、耐候性、耐薬品性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂(a)が得られることが開示されている。なお、本願において(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸とアクリル酸のことを指す。
また、特許文献2には、特許文献1で得られる熱可塑性樹脂(a)と(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位を少なくとも1 種と、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位を少なくとも1 種含み、該(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位の割合が全構成単位の合計に対して1〜99モル%である熱可塑性樹脂(b)をブレンドすることで、屈折率の調整が容易であり、かつ透明性、耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れたアクリル系樹脂組成物(A)が得られることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂および特許文献2に記載の熱可塑性樹脂組成物は、ポリメタクリル酸メチルと同様に耐衝撃性が低く、一定の耐衝撃性が求められる、各種光学部品、義歯床用材料および薄肉フィルム用途などには不適であった。
特開2006−089713号公報 国際公開2011/138953号パンフレット
本発明の目的は、前記のような状況に鑑み、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位と、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位とを含む熱可塑性樹脂における芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られる、特定構造の熱可塑性樹脂とゴム系材料(B)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
下記の熱可塑性樹脂(a)を含むアクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)を含み、アクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)の合計に対するゴム系材料(B)の割合が1〜50重量%である熱可塑性樹脂組成物。
熱可塑性樹脂(a):下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)と、下記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)を含み、構成単位(I)と構成単位(II)の合計に対する構成単位(I)の割合が1〜99モル%である熱可塑性樹脂(a)において、構成単位(II)中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られることを特徴とする熱可塑性樹脂。
(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(I)が複数存在する場合、複数存在するR1、R2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい)
(式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4は炭素数1〜4の炭化水素置換基を有することのあるフェニル基であり、構成単位(II)が複数存在する場合、複数存在するR3、R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい)
本発明によれば、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供され、該熱可塑性樹脂組成物は、一定の耐衝撃性が求められる光学部品、義歯床用材料および薄肉フィルム用途に好適に使用される。
以下で本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(a)を含むアクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)を含み、前記熱可塑性樹脂(a)は該芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合が水素化された構成単位を70%以上有することを特徴とする。
本発明に用いるアクリル系樹脂組成物(A)は、熱可塑性樹脂(a)を含む。
熱可塑性樹脂(a)は、前記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)と、前記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)とを含み、構成単位(I)と構成単位(II)の合計に対する構成単位(I)の割合が1〜99モル%である熱可塑性樹脂(a)において、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られる熱可塑性樹脂である。すなわち、熱可塑性樹脂(a)は、熱可塑性樹脂(a)の芳香族二重結合を水素化する前の熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂(a)の全構成単位中に、構成単位(I)と構成単位(II)の合計が占める割合は80モル%以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(a)を構成する前記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)において、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(I)が複数存在する場合、複数存在するR1、R2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。構成単位(I)はR2がメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、およびイソボルニル基から選ばれる少なくとも1種である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位であることが好ましく、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が挙げられる。構成単位(I)は、より好ましくは、メタアクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位である。
前記式(2)で表される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)において、R3は水素原子又はメチル基であり、R4はフェニル基又は炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するフェニル基である。構成単位(II)が複数存在する場合、複数存在するR3、R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン及びp―メチルスチレンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。構成単位(II)はより好ましくは、R3が水素原子、R4がフェニル基である、スチレン由来の構成単位である。
熱可塑性樹脂(a)は、後述する方法により、熱可塑性樹脂(a)の芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)中の全芳香族二重結合の70%以上を水素化することにより得られる。熱可塑性樹脂(a)は、構成単位(II)におけるR4(炭素数1〜4の炭化水素置換基を有することのあるフェニル基)のフェニル基の芳香族2重結合の一部が水添された構成単位を含んでよく、R4がフェニル基である構成単位(すなわちフェニル基の芳香族二重結合が水素化していない構成単位)を含んでもよい。R4のフェニル基の芳香族2重結合の一部が水添された構成単位としては、具体的には、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、α―メチルシクロヘキサン、α―メチルシクロヘキセン、α―メチルシクロヘキサジエン、o―メチルシクロヘキサン、o―メチルシクロヘキセン、o―メチルシクロヘキサジエン、p―メチルシクロヘキサン、p―メチルシクロヘキセン、p―メチルシクロヘキサジエンに由来する構成単位が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種の構成単位を含んでもよい。中でも、シクロヘキサンおよびα―メチルシクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂(a)の芳香族二重結合を水素化する前の熱可塑性樹脂(a)において、、(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)と芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)の合計に対する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)の割合が、1〜99モル%であり、45〜99モル%であることが好ましく、45〜90モル%モル%であることがより好ましく、55〜80モル%であることが更に好ましく、70〜80モル%であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)の割合が45〜99モル%であれば、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)との相溶性が特に高く、優れた透明性が得られやすい。
アクリル系樹脂組成物(A)は熱可塑性樹脂(b)を含んでもよい。熱可塑性樹脂(b)は、前記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)と、下記式(3)で示される構成単位(III)および下記式(4)で示される脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)から選ばれる少なくとも1種とを含む熱可塑性樹脂であり、かつ、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)と構成単位(III)と脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)の合計に対する構成単位(II)の割合が1〜99モル%であることを特徴とする。
(式中、R5及びR6は水素原子、または直鎖状または分岐状の炭素数1から12のアルキル基もしくはアリール基を表す。また、式中、Xは酸素原子または窒素原子を示す。Xが酸素原子の場合、R7は存在しない。Xが窒素原子の場合、R7はアリール基またはシクロヘキシル基を表す。構成単位(III)が複数存在する場合、複数存在するR5、R6、R7はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
(式中、R8、R9は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(IV)が複数存在する場合、複数存在するR8、R9はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
前記式(3)で示される構成単位(III)は、N−置換環状マレイミドまたは環状酸無水物に由来する構成単位である。構成単位(III)において、R5、R6は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子または、炭素数1から12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアリール基を表す。また、式(3)中、Xは酸素原子または窒素原子を示す。Xが酸素原子の場合、R7は存在しない。Xが窒素原子の場合、R7はアリール基もしくはシクロヘキシル基を表す。これらのうち構成単位(III)は、R5、R6がそれぞれ水素原子、メチル基及びフェニル基から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、Xが酸素原子であるか、もしくは、R5、R6がそれぞれ水素原子、メチル基及びフェニル基から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、Xが窒素原子であり、R7がアリール基もしくはシクロヘキシル基であることが好ましい。より好ましくはR5、R6がそれぞれ水素原子またはメチル基であり、かつ、Xが酸素原子である構成単位である。更に好ましくはR5、R6が水素原子の構成単位であり、かつ、Xが酸素原子である構成単位である。前記、N−置換環状マレイミドまたは環状酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物、無水マレイン酸フェニルマレイミド置換体、無水マレイン酸シクロヘキシルマレイミド置換体等が挙げられる。これらのうち、入手が容易であることから、無水マレイン酸、無水マレイン酸フェニルマレイミド置換体、無水マレイン酸シクロヘキシルマレイミド置換体がより好ましく、共重合が容易なことから、無水マレイン酸が最も好ましい。
前記式(4)で表される脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)において、構成単位(IV)が複数存在する場合、R8、R9はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。前記脂肪族ビニルモノマーは、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、αーメチルアクリル酸、αーエチルアクリル酸、α−フェニルアクリル酸、等が挙げられる。これらの脂肪族ビニルモノマーを単独または併用して用いてよい。構成単位(IV)はより好ましくは、R8がメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基およびイソボルニル基から選ばれる少なくとも1種であり、R9が炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(IV)は、より好ましくはR8がメチル基、R9が水素原子であるメタクリル酸、R8がエチル基、R9が水素原子であるα−エチルアクリル酸、R8がフェニル基、R9が水素原子であるα−フェニルアクリル酸、およびR8がメチル基、R9がメチル基であるメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種の脂肪族ビニルモノマーに由来する構成単位が挙げられ、さらに好ましくはメタクリル酸および、メタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種の化合物であり、最も好ましくはメタクリル酸メチルに由来する構成単位である。
熱可塑性樹脂(b)中の構成単位(II)と構成単位(III)と構成単位(IV)の合計に対する構成単位(II)の割合は、1〜99モル%であり、20〜99モル%であることが好ましく、30〜99モル%であることがより好ましく、45〜95モル%であることが更に好ましく、70〜85モル%であることが最も好ましい。芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)の割合が20〜99モル%であれば、熱可塑性樹脂(a)との相溶性が特に高く、優れた透明性が得られやすい。
熱可塑性樹脂(b)の芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)と構成単位(III)と構成単位(IV)の合計に対する、構成単位(III)と構成単位(IV)の合計の割合は、熱可塑性樹脂(a)との相溶性の点から45モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることが好ましい。芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)とN−置換環状マレイミドまたは環状酸無水物に由来する構成単位(III)と脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)の合計に対する、N−置換環状マレイミド及び/または環状酸無水物に由来する構成単位(III)と脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)の合計の割合が45モル%を超えると、優れた透明性が得られない場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂(a)は、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、芳香族ビニルモノマーとを重合することにより製造することが出来る。また熱可塑性樹脂(b) は、前記芳香族ビニルモノマーと、N−置換環状マレイミドまたは環状酸無水物、および脂肪族ビニルモノマーから選ばれる少なくとも1種とを重合することにより製造することが出来る。重合には、公知の方法を用いることが出来るが、例えば、塊状重合法、溶液重合法などにより製造することが出来る。塊状重合法は、上記モノマー、重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などにより行われる。上記モノマー組成物は、必要に応じて連鎖移動剤を含んでもよい。
重合開始剤は特に限定されないが、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
連鎖移動剤は必要に応じて使用し、例えば、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂(a)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーを重合して熱可塑性樹脂(a)を得た後に、該熱可塑性樹脂(a) における芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られる。上記水素化反応に用いられる溶媒は、前記の重合溶媒と同じであっても異なっていてもよい。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などを挙げることが出来る。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、水素圧力3〜30MPa、反応温度60〜250℃でバッチ式あるいは連続流通式で行うことが出来る。温度を60℃以上とすることにより反応時間がかかり過ぎることがなく、また250℃以下とすることにより分子鎖の切断やエステル部位の水素化を起こすことが少ない。
水素化反応に用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムなどの金属又はそれら金属の酸化物あるいは塩あるいは錯体化合物を、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、珪藻土などの多孔性担体に担持した固体触媒などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂(a)は、前記熱可塑性樹脂(a)において、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られたものである。即ち、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中に残存する芳香族二重結合の割合は30%以下である。30%を超える範囲であると熱可塑性樹脂(a) の透明性が低下し、その結果、熱可塑性透明樹脂組成物の透明性が低下する場合がある。上記芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中に残存する芳香族二重結合の割合は、好ましくは10%未満の範囲であり、より好ましくは5%未満の範囲である。また、熱可塑性樹脂(a)は、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、難燃剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、染顔料等の、一般に用いられる添加剤を含んでもよい。
熱可塑性樹脂(a)の重量平均分子量は、特に制限はないが、強度及び成形性の観点から、40,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂(b)としては、市販の製品を使用することも出来る。具体的には、商品名:エスチレンMS200(新日鉄住金化学(株)製)、レジスファイR−100(電気化学工業(株)製)、XIRAN SZ15170(Polyscope社製)、トーヨースチロールT080(東洋スチレン(株)製)等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂(b)は、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤、難燃剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、染顔料等の、一般に用いられる各種の添加剤を含んでもよい。
熱可塑性樹脂(b)の重量平均分子量は、特に制限はないが、強度及び成形性の観点から、40,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
アクリル系樹脂組成物(A)中の熱可塑性樹脂(a)の割合は、1重量%以上である。上記範囲内とすることによりアクリル系樹脂組成物(A)の屈折率を約1.49〜1.57の範囲で制御することが可能である。また上記範囲内で熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の割合を変更することにより、アクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)との屈折率差を0.02以内にすることが好ましい。より好ましくは0.01以内、さらに好ましくは0.005以内である。上記組成とすることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物は透明性に優れるという特長が得られる。
アクリル系樹脂組成物(A)中の熱可塑性樹脂(a)の割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。アクリル系樹脂組成物(A)中の熱可塑性樹脂(a)の割合が50重量%未満であると、耐熱性が低下する場合がある。アクリル系樹脂組成物(A)は、物性を損なわない範囲内で、他の樹脂を含んでもよいが、アクリル系樹脂組成物(A)中の、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の合計量が占める割合は、75重量%以上であり、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが最も好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるゴム系材料(B)には、特に制限は無いが、共役ジエン系ゴムおよび水素化共役ジエン系ゴムが、特に耐衝撃性の観点から好ましく用いられる。共役ジエン系ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダム及びブロック)、スチレン−イソプレン共重合体(ランダム及びブロック)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソプレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−メチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−エチレン−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルクロロアセテート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルノルボーネン−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エチルアクリレート−グリシジルエーテル共重合体、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−モノメチルマレエート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−ビニルアセテート共重合体などが挙げられる。また、水素化共役ジエン系ゴムの具体例としては、以下のゴムの共役ジエン単量体部分及び/又は芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合を水素化したものが挙げられる。例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダム及びブロック)、スチレン−イソプレン共重合体(ランダム及びブロック)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソプレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−メチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−エチレン−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルクロロアセテート−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルノルボーネン−アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート−エチルアクリレート−グリシジルエーテル共重合体、エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−モノメチルマレエート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−ビニルアセテート共重合体などが例示出来る。特に好ましいのは水素化共役ジエン系ゴムであり、水素化共役ジエン系ゴムを用いることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐候性に優れたものになる。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるゴム系材料(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるゴム系材料(B)である、共役ジエン系ゴムおよび水素化共役ジエン系ゴムは、共役ジエンと共重合可能な単量体との共重合体の水素化物であっても良く、共役ジエンと共重合可能な単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸及びその塩、メチルアクリレート、2−エチレヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレートのような前記カルボン酸のエステル、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクレートのような前記不飽和アルボン酸のアルコキシアルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N‘−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなN−置換(メタ)アクリルアミドなどのアミド系単量体、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−6−シアノヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸シアノ置換アルキルエステル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有単量体が使用される。ゴム系材料(B)としては、市販の製品を使用することも出来る。具体的には、商品名:ダイナロン8660P(JSR(株)製)、セプトン Q1250((株)クラレ製)、AXSレジン MUX−60(UMG ABS(株)製)等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における、アクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)の合計に対するゴム系材料(B)の割合は、1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは10〜50重量%である。ゴム系材料が1重量%未満であると、十分な耐衝撃性を発揮しない傾向にあり、逆に50重量%を超えると、耐熱性が低下しやすくなる。上記組成とすることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐熱性、耐衝撃性に優れるという特長が得られる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物には各種添加剤を混合して使用しても良く、添加剤としては、例えば帯電防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料、無機フィラー、樹脂フィラー等が挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法等を用いることが出来る。本発明の熱可塑性樹脂組成物中の、アクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)の合計が占める割合は、95重量%以上であることが好ましく、98重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(a)を含むアクリル系樹脂組成物(A)、ゴム系材料(B)、必要に応じて各種添加剤を混合、混練することで製造出来る。混合、混練には公知の技術、装置を用いることが出来、例えばタンブラー、高速ミキサー、ナウターミキサー、リボン型ブレンダー、ミキシングロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸押出機、二軸押出機等の混合、混練装置を例示出来る。また、各種溶媒に溶解あるいは分散させた状態で、ゲートミキサー、バタフライミキサー、万能ミキサー、ディゾルバー、スタティックミキサー等の液体混合装置を用いて混合することも出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の用途に用いることが出来る。成形方法としては、射出成形、シート、フィルム、パイプ等の押出成形、ビーズ発泡、押出発泡、超臨界発泡等の発泡成形等が挙げられる。これらの成形方法は共射出や共押出、ドライラミネートといった多層成形であっても良く、また延伸やブローといった配向を伴う成形であっても良い。また、粘着材、接着剤、塗料等といった形態で使用することも出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物にはその片面または両面にハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施すことが出来る。ハードコート処理、反射防止処理、防汚処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理の方法は特に制限されず、公知の方法を用いることが出来る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の評価方法は以下の通りである。
<共重合体の水素化率>
以下の合成例にて得られた熱可塑性樹脂について、水素化反応前後のUVスペクトル測定における260nmの吸収の減少率により求めた。水素化反応前の樹脂の濃度C1における吸光度A1、水素化反応後の樹脂の濃度C2における吸光度A2から、以下の式より算出した。
水素化率=100×[1−(A2×C1)/(A1×C2)]
<透明性評価>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物について、JIS K 7105、ASTM D1003に準じて、日本電色工業(株)製色差計COH―400にて、押出成形によって取得した100μmフィルムのHazeを測定した。Hazeが10%以下のものを合格とした。
<耐熱性評価>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物について、80mm×10mm×4mmの射出成形片を100℃で16時間アニールした後に、JIS K 7191に準じて、荷重たわみ温度(フラットワイズ、荷重1.80MPa)を測定した。荷重たわみ温度が100℃以上のものを合格とした。
<耐衝撃性評価>
以下の実施例、比較例にて得られた熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物について、押出成形によって取得した100μmフィルムの上下を内径50mmのドーナツ型冶具で固定し、フィルムの中心部にφ15mm、14gの鉄球を高さ5cm間隔で落下させ、フィルムに割れを生じない最高高さを測定した。フィルムに割れを生じない最高高さが40cm以上のものを合格とした。
合成例1(熱可塑性樹脂(a))
精製したメタクリル酸メチル(三菱ガス化学社製)77モル%と、精製したスチレン(和光純薬工業社製)23モル%と、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575)0.002モル%からなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状の熱可塑性樹脂(a’)を得た。得られた熱可塑性樹脂(a’)をイソ酪酸メチル(関東化学社製)に溶解し、10重量%イソ酪酸メチル溶液を調整した。1000mLオートクレーブ装置に熱可塑性樹脂(a’)の10重量%イソ酪酸メチル溶液を500重量部、10重量%Pd/C(NEケムキャット社製)を1重量部仕込み、水素圧9MPa、200℃で15時間保持してベンゼン環部位を水素化した。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入してペレット状の熱可塑性樹脂(a)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は75モル%であり、また波長260nmにおける吸光度測定の結果、ベンゼン環部位の水素化反応率は99%であった。
合成例2(熱可塑性樹脂(b))
精製したメタクリル酸メチル(三菱ガス化学社製)22モル%と、精製したスチレン(和光純薬工業社製)78モル%と、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575)0.002モル%からなるモノマー組成物を、ヘリカルリボン翼付き10L完全混合槽に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行った。重合槽の液面が一定となるよう底部から連続的に抜き出し、脱溶剤装置に導入してペレット状の熱可塑性樹脂(b)を得た。H−NMRによる測定の結果、メタクリル酸メチル構成単位の割合は20モル%であった。
実施例1(樹脂組成物(A)フィルム)
軸径20mmの同方向二軸押出機に熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム系材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比86.6:8.4:5でドライブレンドして連続的に導入し、シリンダ温度255℃、吐出速度5kg/hで押し出し、溶融混練した。得られた樹脂組成物は、軸径32mmの単軸押出機に連結されたTダイを有するフィルム押出装置を用いて、シリンダ温度255℃、Tダイ温度255℃でシート状に押し出し、2本の鏡面仕上げロール(ロール設定温度105℃)で鏡面を転写しながら冷却し、厚み100imの樹脂組成物フィルムを得た。また、軸径20mmの射出成形機を用いて、シリンダ温度255℃、金型温度50℃で射出成形し、樹脂組成物の射出成形片を得た。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価の結果はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
実施例2(樹脂組成物(B)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比77.5:7.5:15でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(B)フィルムおよび射出成形片を得た。得られた樹脂組成物フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価の結果はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
実施例3(樹脂組成物(C)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比45.6:4.4:50でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(C)フィルムおよび射出成形片を得た。得られた樹脂組成物フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価の結果はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
実施例4(樹脂組成物(D)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比85:15でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(D)フィルムおよび射出成形片を得た。得られた樹脂組成物フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価の結果はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
実施例5(樹脂組成物(K)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔(株)クラレ製、商品名:セプトン Q1250〕(B2)を重量比73:12:15でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(K)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(K)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
実施例6(樹脂組成物(M)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、共役ジエン系ゴム材料〔UMG ABS(株)製、商品名:AXSレジン MUX−60〕(B3)を重量比85:15でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(M)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(M)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価、耐衝撃性評価はそれぞれ良好であり、総合判定は合格であった。
比較例1(熱可塑性樹脂(E)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)のみを使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂(E)フィルムを得た。得られた熱可塑性樹脂(b)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価の結果はそれぞれ良好であったが、耐衝撃性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例2(熱可塑性樹脂(F)フィルム)
熱可塑性樹脂(b)のみを使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂(F)フィルムを得た。得られた熱可塑性樹脂(F)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価の結果は良好であったが、耐熱性評価、耐衝撃性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例3(ゴム材料(G)フィルム)
水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)のみを使用した以外は実施例1と同様にして水素化共役ジエン系ゴム材料(G)フィルムを得た。得られた水素化共役ジエン系ゴム材料(G)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例4(樹脂組成物(H)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)を重量比91.2:8.8でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(H)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(H)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価の結果はそれぞれ良好であったが、耐衝撃性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例5(樹脂組成物(I)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比36.5:3.5:60でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(I)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(I)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例6(樹脂組成物(J)フィルム)
熱可塑性樹脂(b)、水素化共役ジエン系ゴム材料〔JSR(株)製、商品名:ダイナロン 8660P〕(B1)を重量比85:15でブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(J)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(J)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例7(ゴム材料(L)フィルム)
水素化共役ジエン系ゴム材料〔(株)クラレ製、商品名:セプトン Q1250〕(B2)のみを使用した以外は実施例1と同様にして水素化共役ジエン系ゴム材料(L)フィルムを得た。得られた水素化共役ジエン系ゴム材料(L)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例8(ゴム材料(N)フィルム)
共役ジエン系ゴム材料〔UMG ABS(株)製、商品名:AXSレジン MUX−60〕(B3)のみを使用した以外は実施例1と同様にして共役ジエン系ゴム材料(N)フィルムを得た。得られた共役ジエン系ゴム材料(N)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例9(樹脂組成物(O)フィルム)
熱可塑性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、共役ジエン系骨格および水素化共役ジエン系骨格を持たないゴム材料〔三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレン W377〕(B4)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(O)フィルムを得た。得られた樹脂組成物(O)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。透明性評価、耐熱性評価の結果は良好であったが、耐衝撃性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。
比較例10(ゴム材料(P)フィルム)
共役ジエン系骨格および水素化共役ジエン系骨格を持たないゴム材料(B4)を使用した以外は実施例1と同様にしてゴム材料(P)フィルムを得た。得られたゴム材料(P)フィルムの厚みは100μmであった。
評価結果を表1に示す。耐衝撃性評価の結果は良好であったが、透明性評価、耐熱性評価の結果は不良であり、総合判定は不合格であった。

Claims (7)

  1. 下記の熱可塑性樹脂(a)を含むアクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)を含み、アクリル系樹脂組成物(A)とゴム系材料(B)の合計に対するゴム系材料(B)の割合が1〜50重量%であり、ゴム系材料(B)が、共役ジエン骨格または水素化共役ジエン骨格を有する熱可塑性樹脂組成物。
    熱可塑性樹脂(a):下記式(1)で示されるメタクリル酸エステルモノマー由来の構成単位(I)と、下記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)を含み、構成単位(I)と構成単位(II)の合計に対する構成単位(I)の割合が1〜99モル%である熱可塑性樹脂(a)において、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)中の芳香族二重結合の70%以上を水素化して得られることを特徴とする熱可塑性樹脂。
    (式中、R1はメチル基であり、R2は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(I)が複数存在する場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい)
    (式中、R3は水素原子またはメチル基であり、R4は炭素数1〜4の炭化水素置換基を有することのあるフェニル基であり、構成単位(II)が複数存在する場合、複数存在するR3、R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい)
  2. アクリル系樹脂組成物(A)がさらに熱可塑性樹脂(b)を含み、熱可塑性樹脂(b)は、前記式(2)で示される芳香族ビニルモノマー由来の構成単位(II)と、下記式(3)で示される構成単位(III)および下記式(4)で示される脂肪族ビニルモノマー由来の構成単位(IV)から選ばれる少なくとも1種とを含み、構成単位(II)と構成単位(III)と構成単位(IV)の合計に対する構成単位(II)の割合が1〜99モル%である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    (式中、R5及びR6は水素原子、または直鎖状または分岐状の炭素数1から12のアルキル基もしくはアリール基を表す。また、式中、Xは酸素原子または窒素原子を示す。Xが酸素原子の場合、R7は存在しない。Xが窒素原子の場合、R7はアリール基またはシクロヘキシル基を表す。構成単位(III)が複数存在する場合、R5、R6、R7はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
    (式中、R8、R9は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。構成単位(IV)が複数存在する場合、R8、R9はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
  3. アクリル系樹脂組成物(A)中の熱可塑性樹脂(a)の割合が1重量%以上である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. アクリル系樹脂組成物(A)中の熱可塑性樹脂(a)の割合が、50重量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 構成単位(I)と構成単位(II)の合計に対する構成単位(I)の割合が45〜99モル%である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. アクリル系樹脂組成物(A)の屈折率値が1.49〜1.54であり、アクリル系樹脂組成物(A)の屈折率値と、ゴム系材料(B)の屈性率値との差が0.02以下である、請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜に記載の熱可塑性樹脂組成物を成型して成る成型体。
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