JP6514598B2 - ガスリーク検知装置およびガスリーク検知方法 - Google Patents
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Description
絶縁性ガスが封入されたガス圧力容器の内部に導体が配設されたガス絶縁電気機器に用いられ、前記絶縁性ガスのリークを検知するガスリーク検知装置であって、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を測定する圧力センサと、前記ガス圧力容器の内部のガス温度と相関を有する前記ガス圧力容器の外部温度を測定する温度センサと、を備え、
前記圧力センサで測定されるガス圧力値を、前記温度センサで測定される外部温度に基づいて基準温度のガス圧力値に補正すると共に、補正したガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知するガスリーク検知装置において、
前記導体を流れる電流値を取り込む電流データ取り込み部と、
学習期間において、前記電流値に対応する前記ガス圧力容器の内部のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化する学習部と、
診断期間において計測した電流値と前記ガス圧力容器の外部温度とに対応するガス温度を前記学習部から抽出し、前記ガス温度を用いて前記外部温度に対応するガス圧力値を基準温度のガス圧力値に補正し、補正した前記ガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知する診断部と、を備え、
前記学習部は、前記学習期間において、
前記導体に電流を流していない無負荷時においては、前記圧力センサで測定されるガス圧力値と前記ガス圧力容器の外部温度とを収集し、前記ガス圧力値と前記外部温度とを用いて前記絶縁性ガスのモル容積を算出し、前記導体に電流を流す通電時においては、前記通電時に前記圧力センサで測定されるガス圧力値と前記モル容積とを用いてガス温度を算出することにより、ガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化する。
絶縁性ガスが封入されたガス圧力容器の内部に導体が配設されたガス絶縁電気機器に用いられ、前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を測定することにより、前記ガス圧力容器からのガスリークを検知するガスリーク検知方法において、
前記導体を流れる電流値に対応する前記ガス圧力容器の内部のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化する学習期間と、
計測した電流値と前記ガス圧力容器の外部温度とに対応するガス温度を前記データベースから抽出し、前記ガス温度を用いて前記外部温度に対応するガス圧力値を基準温度のガス圧力値に補正し、補正した前記ガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知する診断期間と、を備え、
前記学習期間における、前記導体に電流を流していない無負荷時において、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を圧力センサにより測定するステップと、
前記ガス圧力容器の内部のガス温度と相関を有する前記ガス圧力容器の外部温度を温度センサにより測定するステップと、
前記ガス圧力値と前記外部温度とを用いて前記絶縁性ガスのモル容積を算出するステップと、を実行し、
前記学習期間における、前記導体に電流を流す通電時において、
前記導体を流れる電流値を、電流データ取り込み部を介して取得するステップと、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を圧力センサにより測定するステップと、
前記モル容積と前記通電時に前記圧力センサで測定されるガス圧力値とを用いてガス温度を算出するステップと、
前記電流値に対応するガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を作成してデータベースに保存するステップと、を実行し、
前記診断期間において、
診断期間中に測定した前記導体に流れる電流の電流値に対応する前記ガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を前記データベースより抽出するステップと、
前記データベース中のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を用いて、測定したガス圧力容器の外部温度からガス温度を求めるステップと、
前記ガス温度と前記圧力センサで測定されるガス圧力値とを用いて、前記絶縁性ガスのモル容積を算出するステップと、
前記モル容積を用いて、測定したガス圧力値を基準温度におけるガス圧力値に補正するステップと、
前記補正したガス圧力値を直線回帰するステップと、
前記回帰直線の傾きが規定許容濃度のガスリーク直線の傾きを上回るかどうかを判定するステップと、を実行し、
前記回帰直線の傾きが規定許容濃度のガスリーク直線の傾きを上回った場合に、ガスリーク有と判定する。
電流が流れていない無負荷の条件において、ガス圧力センサ10a〜10cにより、ガス圧力容器2a〜2c内部のガス圧力を測定する。また温度センサ11a〜11cにより、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度を測定する。このとき、温度センサ11a〜11cの設置をガス圧力容器2a〜2cの底部とすることで、日照の影響を受けにくく、より正確な表面温度を得ることができる。収集部20は、各種センサのデータを定周期で収集し、アナログ信号をデジタル信号にA/D変換する。
ステップ1において収集されたガス圧力容器2a〜2c内部のガス圧力及びガス圧力容器2a〜2cの表面温度は、収集部20から学習データ記録部31に送られ、図2に示すようにガス圧力とガス圧力容器2a〜2cの表面温度が時系列で学習データ記録部31に記録される。図2は、本発明の第一実施例において、学習データ記録部に記録される測定データフォーマットの一例を示す図である。
モル容積算出部32において、学習データ記録部31に記録されたガス圧力およびガス圧力容器2a〜2cの表面温度を用いてガスのモル容積を算出する。モル容積の算出には、式(1)に示される実在気体の状態方程式 Beattie-Bridgeman を用いて行う。
ここで、pはガス圧力(Pa)、vはモル容積(m3 / mol)、Rはガス定数(8.31J / mol・K)、Tはガス温度(K)である。電流が流れていない無負荷の状態では、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度とガス温度がほぼ一致する。そこで、モル容積の算出の際、ガス温度の代替としてガス圧力容器の表面温度を使用する。
A=15.78×10-1(1−0.1062×10-3/ v) (2)
B=0.366×10-3(1−0.1236×10-3/ v) (3)
式(2)および式(3)を式(1)に代入すると、式(4)のように、モル溶積vに関する三次方程式として整理される。
av3+bv2+cv+d=0 (4)
a=p
b=−8.3143T
c=15.78×10-1−3.043×10-3T
d=−1.679×10-4+3.761×10-7T
ここで、
次に、導体5に電流を流して、通電状態とする。これにより、異なる電流値におけるガス圧力と、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度の取得が可能となる。
通電状態において、ガス圧力センサ10a〜10cにより、ガス圧力容器2a〜2c内部のガス圧力を測定する。また温度センサ11a〜11cにより、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度を測定する。さらに、導体5に流れている電流値を、電流データ取り込み部6から取り込む。
ステップ5において測定されたガス圧力、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度、及び電流値はガス温度演算部33に送られ、図3に示すようにガス圧力とガス圧力容器2a〜2cの表面温度、さらに電流値が時系列でガス温度演算部33に記録される。図3は、本発明の第一実施例において、ガス温度演算部に記録されるデータフォーマットの一例を示す図である。なお、ガス温度は次のステップにおいて追記される。
ガス温度演算部33において、ガス温度を算出する。ガス温度の算出方法を以下に示す。式(2)及び式(3)を式(1)に代入すると、式(7)のように、ガス温度Tはガス圧力pとモル容積vとで表される。
ガス温度DB34において、ガス温度演算部33に保存されたガス圧力容器2a〜2cの表面温度とガス温度とについて、電流値をパラメータとしてソートする(図4)。図4は、本発明の第一実施例において、ガス温度DBに記録されるデータフォーマットの一例を示す図である。電流値の間隔は、100〜200Aが好ましい。ソートしたデータをガス温度DB34に記録する。
ステップ8でソートしたガス温度とガス圧力容器2a〜2cの表面温度との関係に基づき、ガス温度とガス圧力容器2a〜2cの表面温度との一次近似直線をガス温度DB34に記録する(図5)。図5は、本発明の第一実施例において、ガス温度DBに記録されるデータベースの一例を示す図である。
通電状態において、ガス圧力センサ10a〜10cにより、ガス圧力容器2a〜2c内部のガス圧力を測定する。また温度センサ11a〜11cにより、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度を測定する。さらに、導体5に流れている電流値を、電流データ取り込み部6から取り込む。収集部20は、各種センサのデータを定周期で収集し、A/D変換する。
ステップ10において収集されたガス圧力、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度及び電流値は収集部20から診断データ記録部41に送られ、図6に示すように時系列で記録される。図6は、本発明の第一実施例において、診断データ記録部に記録される測定データフォーマットの一例を示す図である。
ガス温度抽出部42において、診断データ記録部41に記録された電流値に対応するガス温度DB34の電流範囲を照合する(図11参照)。図11は、本発明の第一実施例において、診断データ記録部に記録された電流値とガス温度DBの電流範囲を照合する図である。
ステップ12において照合したガス温度DB34のガス温度とガス圧力容器表面温度との相関を用いて、図12に示すように、ガス圧力容器2a〜2cの表面温度からガス温度を求める。図12は、本発明の第一実施例において、ガス温度とガス圧力容器の表面温度との相関よりガス温度を求める方法を示す図である。
圧力演算部43において、上記算出したガス温度を用いてガス圧力を温度補正する。ガス圧力の温度補正は、ステップ3と同様に、式(1)に示される実在気体の状態方程式 Beattie-Bridgeman を用いて行う。式(1)〜(6)を用いて、ガスのモル溶積vが求められる。算出したモル溶積と、基準温度20℃(293K)を式(9)に代入することで、基準温度20℃におけるガス圧力p20に補正することができる。
T20=20+273[K] (8)
p20=(RT20(v+B)−A)/v2 (9)
温度補正したガス圧力を、図8に示すように、圧力演算部43に記録する。図8は、本発明の第一実施例において、圧力演算部に記録されるデータフォーマットの一例を示す図である。
ステップ14において得られた補正ガス圧力の経時変化の一例を図13に示す。図13は、本発明の第一実施例において、補正ガス圧力データのフィルタリングを示す図である。急激な気候変動や電気的ノイズ等により、補正ガス圧力にバラツキが残る場合がある。そこで、検定部44において例えば、補正ガス圧力の標準偏差の3倍(±3σ)の範囲を超える外れデータをフィルタリングすることで、バラツキを抑制することができる。
ステップ15においてフィルタリングした補正ガス圧力が規定濃度以上のガスリークに相当するか否かの判定を検定部44において行う。まず、補正ガス圧力の経時変化データを直線回帰する。圧力データの直線回帰は、例えば最小二乗法により行う。直線回帰の具体例を、図14を用いて説明する。図14は、本発明の第一実施例において、補正ガス圧力データの直線回帰を示す図である。図14に示されるように、時間(X軸)に対してガス圧力(Y軸)をプロットし、y = −ax + b の直線に回帰する。ここで、表示部45に、補正ガス圧力の経時変化および回帰直線を表示することで、管理者がガス圧力容器2a〜2cの状況を認識しやすくできる。
ステップ16において圧力データの直線回帰を行った後、回帰直線y = −ax + bの傾きaを一日に一回、検定部44に記録する。検定部44には予め、許容されるガスリーク濃度の直線の傾きcが保存されている。傾きaと傾きcの関係について、図15を用いて説明する。図15は、本発明の第一実施例において、補正ガス圧力の回帰直線の傾きを示す図である。なお、図15では、傾きaが傾きcよりも小さい場合、すなわちリーク量が許容範囲内にある場合を示している。日々更新される回帰直線の傾きaと許容ガスリーク直線の傾きcとの比較を検定部44にて行い、ガスリークの有無を判断する。
ステップ17において圧力データの回帰直線の傾きaが許容ガスリーク直線の傾きcを上回った場合、ガスリークと判断し、警報を発する。
Claims (7)
- 絶縁性ガスが封入されたガス圧力容器の内部に導体が配設されたガス絶縁電気機器に用いられ、前記絶縁性ガスのリークを検知するガスリーク検知装置であって、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を測定する圧力センサと、前記ガス圧力容器の内部のガス温度と相関を有する前記ガス圧力容器の外部温度を測定する温度センサと、を備え、
前記圧力センサで測定されるガス圧力値を、前記温度センサで検出される外部温度に基づいて基準温度のガス圧力値に補正すると共に、補正したガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知するガスリーク検知装置において、
前記導体を流れる電流値を取り込む電流データ取り込み部と、
学習期間において、前記電流値に対応する前記ガス圧力容器の内部のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化する学習部と、
診断期間において計測した電流値と前記ガス圧力容器の外部温度とに対応するガス温度を前記学習部から抽出し、前記ガス温度を用いて前記外部温度に対応するガス圧力値を基準温度のガス圧力値に補正し、補正した前記ガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知する診断部と、
を備え、
前記学習部は、前記学習期間において、
前記導体に電流を流していない無負荷時においては、前記圧力センサで測定されるガス圧力値と前記ガス圧力容器の外部温度とを収集し、前記ガス圧力値と前記外部温度とを用いて前記絶縁性ガスのモル容積を算出し、前記導体に電流を流す通電時においては、前記通電時に前記圧力センサで測定されるガス圧力値と前記モル容積とを用いてガス温度を算出することにより、ガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化するガスリーク検知装置。 - 請求項1に記載のガスリーク検知装置において、
前記診断部は、前記補正したガス圧力値を直線回帰し、回帰直線の傾きが規定濃度のガスリークの傾きを上回るかどうかを判定することにより、前記絶縁性ガスのリークを検知することを特徴とするガスリーク検知装置。 - 請求項2に記載のガスリーク検知装置において、
前記温度センサは、前記ガス圧力容器の地面側半分の領域に配設され、前記ガス圧力容器の表面温度を測定することを特徴とするガスリーク検知装置。 - 請求項3に記載のガスリーク検知装置において、
前記温度センサは、前記ガス圧力容器の底部に配設されることを特徴とするガスリーク検知装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のガスリーク検知装置において、
前記電流データ取り込み部は、前記導体を流れる電流を測定する電流センサによって構成されることを特徴とするガスリーク検知装置。 - 請求項1に記載のガスリーク検知装置を用いたガスリーク検知方法であって、
前記診断部において前記圧力センサで測定したガス圧力値を基準温度のガス圧力値に補正した後、補正したガス圧力値が所定の標準偏差を上回るデータをフィルタリングして排除し、フィルタリング後の補正ガス圧力値について直線回帰を行い、回帰直線の傾きが規定許容濃度のガスリーク直線の傾きを上回るかどうかを判定することでガスリークの有無を判定することを特徴とするガスリーク検知方法。 - 絶縁性ガスが封入されたガス圧力容器の内部に導体が配設されたガス絶縁電気機器に用いられ、前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を測定することにより、前記ガス圧力容器からのガスリークを検知するガスリーク検知方法において、
前記導体を流れる電流値に対応する前記ガス圧力容器の内部のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関をデータベース化する学習期間と、
計測した電流値と前記ガス圧力容器の外部温度とに対応するガス温度を前記データベースから抽出し、前記ガス温度を用いて前記外部温度に対応するガス圧力値を基準温度のガス圧力値に補正し、補正した前記ガス圧力値に基づいて前記絶縁性ガスのリークを検知する診断期間と、を備え、
前記学習期間における、前記導体に電流を流していない無負荷時において、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を圧力センサにより測定するステップと、
前記ガス圧力容器の内部のガス温度と相関を有する前記ガス圧力容器の外部温度を温度センサにより測定するステップと、
前記ガス圧力値と前記外部温度とを用いて前記絶縁性ガスのモル容積を算出するステップと、を実行し、
前記学習期間における、前記導体に電流を流す通電時において、
前記導体を流れる電流値を、電流データ取り込み部を介して取得するステップと、
前記ガス圧力容器の内部のガス圧力値を圧力センサにより測定するステップと、
前記モル容積と前記通電時に前記圧力センサで測定されるガス圧力値とを用いてガス温度を算出するステップと、
前記電流値に対応するガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を作成してデータベースに保存するステップと、を実行し、
前記診断期間において、
診断期間中に測定した前記導体に流れる電流の電流値に対応する前記ガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を前記データベースより抽出するステップと、
前記データベース中のガス温度と前記ガス圧力容器の外部温度との相関を用いて、測定したガス圧力容器の外部温度からガス温度を求めるステップと、
前記ガス温度と前記圧力センサで測定されるガス圧力値とを用いて、前記絶縁性ガスのモル容積を算出するステップと、
前記モル容積を用いて、測定したガス圧力値を基準温度におけるガス圧力値に補正するステップと、
前記補正したガス圧力値を直線回帰するステップと、
回帰直線の傾きが規定許容濃度のガスリーク直線の傾きを上回るかどうかを判定するステップと、を実行し、
前記回帰直線の傾きが規定許容濃度のガスリーク直線の傾きを上回った場合に、ガスリーク有と判定することを特徴とするガスリーク検知方法。
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