JP6511740B2 - チップオン基板及びそれを用いた電子装置の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の好ましい一実施形態であるCOF基板1について、図1及び図2を参照しながら説明する。COF基板1は、図1及び図2に示す通り、熱可塑性樹脂からなり可撓性を有する基板フィルム11の表面に、金属箔からなる導電性の金属配線部13が、接着剤層12を介して形成されている。又、基板フィルム11及び金属配線部13の一部を覆って熱硬化型インキからなる絶縁性保護膜15が形成されている。絶縁性保護膜15は、COF基板1の耐マイグレーション特性向上のために、金属配線部13の表面のうち電子デバイス2との接続部分となる部分を除く概ね全面、及び、基板フィルム11の表面のうち金属配線部13の非形成部分の概ね全面とを覆う態様で形成される。以上の構成からなるCOF基板1は、例えばLED発光デバイス等の電子デバイス2が、ハンダ層14を介して、金属配線部13の上に導電可能な態様で搭載された状態で使用される。
基板フィルム11としては、シート状に成形された可撓性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、シート状とはフィルム状を含む概念であり、いずれも可撓性を有する物である限り本発明において両者に差はない。又、この熱可塑性樹脂は絶縁性が高いものであることも求められる。基板フィルム11の厚さは、特に限定されないが、耐熱性及び絶縁性と、製造コストのバランスとの観点から、概ね50μm以上100μm以下程度であることが好ましい。又、ロール・トゥ・ロール方式による製造を行う場合の生産性を良好に維持する観点からも上記厚さ範囲であることが好ましい。
COF基板1の表面上への金属配線部13の接合は、接着剤層12を介したドライラミネート法によって行われることが好ましい。この接着剤層12を形成する接着剤は、上述の絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキの熱硬化温度における耐熱性を有するものであれば公知の樹脂系接着剤を適宜用いることができる。それらの樹脂接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、又はエポキシ系の接着剤等を好ましく用いることができる。
図1及び図2に示す通り、金属配線部13は、COF基板1の表面上に形成される、導電性基材からなる配線パターンである。金属配線部13は、複数の電子デバイス2の間を導通して必要な電流を流して電気を供給する機能を有する。そして、金属配線部13は、複数の微細な櫛形形状の金属配線が、交差或いは接触せずに、近接して配置される複雑な配線パターンとして基板フィルム11の表面に形成される。金属配線部13の厚さは、COF基板1に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一例として厚さ10μm〜50μmが挙げられる。
COF基板1においては、金属配線部13と電子デバイス2との接合については、ハンダ層14を介した接合を行う。このハンダによる接合方法の詳細は後述するが、大きく分けて、リフロー方式、或いは、レーザー方式の2方式のいずれかによって行うことができる。COF基板1は、基板フィルム11に従来広く用いられてきたPIよりも透明度の高いPENを用いたものであるため、特にレーザー方式によるハンダ接合をより好ましい態様で行うことができる。
絶縁性保護膜15は、熱硬化型インキによって、上述の通り、金属配線部13と基板フィルム11の表面上の電気的接合が必要となる一部分を除いた他の部分に、主としてCOF基板1の耐マイグレーション特性を向上させるために形成される。
電子デバイス2は、特に限定されないが、絶縁性保護膜15が白色層である場合に、LED発光素子を搭載した電子装置をCOF基板1の特に好ましい実施形態の具体例として挙げることができる。
COF基板1は、従来公知の電子基板の製造方法の一つであるエッチング工程と、それに先駆けて予め行われるアニール処理によって製造することができる。エッチング工程に先駆けて、予め基板フィルム11を形成する熱可塑性樹脂の耐熱性を向上させる処理が必須である点の他は従来の製造方法を適用することができる。
先ず先行して行う上記のアニール処理は、従来公知の熱処理手段を用いることが可能であり、特定の熱処理方法に限定されない。例えば、剥離性の支持機材を積層して行う方法によることもできる。又、アニール処理温度の一例としては、基板フィルム11を形成する熱可塑性樹脂がPENである場合、ガラス転移温度から融点の範囲、更に具体的には160℃から260℃、より好ましくは180℃から230℃の範囲である。アニール処理時間としては、10秒から5分程度が例示できる。このような熱処理条件によれば、一般的に80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、100℃程度に向上させることができる。又、このアニール処理は、続くエッチング処理と連続してインラインで行ってもよいが、同工程とは別途にオフラインで行うことにより、生産性をより向上することができる。例えば、予め別の工場内の専用の熱処理設備でアニール処理を行ったPEN等を、自ら操業する工場に材料として搬入して以後の製造工程を行う場合も本発明の実施の範囲である。
アニール処理を経た基板フィルム11の表面に、金属配線部13の材料とする銅箔等の金属箔を積層してCOF基板1の材料とする積層体を得る。積層方法としては、金属箔を接着剤によって基板フィルム11の表面に接着する方法、或いは、基板フィルム11の表面に直接にメッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により金属箔を蒸着させる方法を挙げることができる。上述した通り、コストや生産性の面からは、金属箔をウレタン系の接着剤によって基板フィルム11の表面に接着する方法が有利である。
以上説明したCOF基板1は、金属配線部13にLED発光デバイス等の電子デバイス2を導電可能に接合することによって、電子装置10とすることができる。
11 基板フィルム
12 接着材層
13 金属配線部
14 ハンダ層
15 絶縁性保護膜
2 電子デバイス
10 電子装置
Claims (3)
- ポリエチレンナフタレートからなる熱可塑性樹脂フィルムである基板フィルムと、
前記基板フィルム上に形成されている金属配線部と、
ポリエステル系樹脂をベース樹脂とする熱硬化型インキによって前記基板フィルム及び前記金属配線部の一部を覆って形成される絶縁性保護膜と、を備える、
チップオン基板の製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂フィルムの熱収縮開始温度を向上させるアニール処理を行う工程と、
前記アニール処理が施された前記熱可塑性樹脂フィルムからなる基板フィルムの表面に、金属配線部を形成するエッチング工程と、を含んでなり、
前記熱可塑性樹脂フィルムは、前記アニール処理を施す前における熱収縮開始温度が、90℃未満であって、
前記熱硬化型インキは、熱硬化温度が、80℃以上100℃以下であって、
前記アニール処理は、アニール処理温度が、180℃から230℃の範囲であり、アニール処理時間が、10秒から5分の範囲であって、前記熱可塑性樹脂フィルムの該アニール処理を施した後の熱収縮開始温度を100℃以上とすることができる熱処理条件により、前記エッチング工程を行う製造ラインとは別途にオフラインで行う、
チップオン基板の製造方法。 - 前記熱硬化型インキが、更に無機白色顔料を含有する白色のインキである請求項1に記載のチップオン基板の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法によって製造されたチップオン基板に、更に、電子デバイスを実装して電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、
前記金属配線部と前記電子デバイスとを電気的に接合するために用いるハンダを、融点217℃以上であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダとする電子装置の製造方法。
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