以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係るデジタルカメラ1を示す構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動目標位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
絞り34は、光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
一方、カメラ本体2には、光学系からの光束を受光する撮像素子22が、光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。なお、メモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
操作部28は、シャッターレリーズボタンなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、光学系の焦点状態の検出も行う。具体的には、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。ここで、図2は、カメラ1の撮影画面を示す図である。本実施形態では、図2に示すように、撮影画面内に複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、各焦点検出エリアAFPに対応する撮像画素221の画素出力に基づいて、焦点検出エリアAFPごとに、焦点評価値の算出が行われる。
また、本実施形態において、カメラ制御部21は、焦点評価値として、第1焦点評価値、または、第1焦点評価値とは異なる演算方法による第2焦点評価値を算出する。まず、第1焦点評価値の演算方法について説明する。
カメラ制御部21は、まず、下記式(1)に基づいて、各撮像画素221の画素出力から特定の高周波数帯域HP1の高周波成分f
L(x,y)を撮像画素221ごとに抽出する。
なお、上記式(1)において、xは撮像画素221の座標位置のうち、図2のX軸方向における座標位置であり、yは撮像画素221の座標位置のうち、図2のY軸方向における座標位置である。また、I(x,y)は各画素位置(x,y)における撮像画素221の出力値である。さらに、K
L(j)は、第1焦点評価値を算出するためのフィルタ係数であり、出力値I(x,y)から特定の高周波数帯域HP1の高周波成分が得られる値に設定されている。なお、上記の高周波数帯域HP1は、公知の焦点評価値の算出において一般的に抽出される高周波成分に対応する周波数帯域と同様の周波数帯域とすることができる。
そして、カメラ制御部21は、上記式(1)により算出した画素ごとの高周波成分f
L(x,y)を、下記式(2)に示すように、焦点検出エリアAFP内で積算することで、焦点検出エリアAFPごとに、第1焦点評価値AFval_Lを算出する。
以上のように、カメラ制御部21は、第1焦点評価値AFval_Lを算出する。次に、第2焦点評価値の算出方法について説明する。
カメラ制御部21は、まず、下記式(3)に基づいて、撮像画素221の画素出力から高周波数帯域HP1よりも高い高周波数帯域HP2の高周波成分f
H(x,y)を撮像画素221ごとに抽出する。
なお、上記式(3)において、K
H(j)は、第2焦点評価値を算出するためのフィルタ係数であり、出力値I(x,y)から、高周波数帯域HP1よりも高い高周波数帯域HP2の周波数成分を得ることができる値に設定されている。なお、上記の高周波数帯域HP2は、高周波数帯域HP1よりも高い周波数帯域であり、実験などにより、点光源を含む被写体を適切に検出できる周波数帯域に設定される。
そして、カメラ制御部21は、上記式(3)により算出した撮像画素221ごとの高周波成分f
H(x,y)を、下記式(4)に示すように、焦点検出エリアAFP内で積算することで、焦点検出エリアAFPごとに、第2焦点評価値AFval_Hを算出する。
以上のように、カメラ制御部21は、第2焦点評価値AFval_Hを算出する。
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれのレンズ位置において、第1焦点評価値AFval_Lまたは第2焦点評価値AFval_Hを算出する。具体的には、カメラ制御部21は、以下に説明するように、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体であるか否かを判断し、被写体が点光源被写体ではないと判断した場合には、第1焦点評価値AFval_Lを算出し、一方、被写体が点光源被写体であると判断した場合には、第2焦点評価値AFval_Hを算出する。
ここで、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体であるか否かの判断方法について説明する。本実施形態において、カメラ制御部21は、光学系の焦点状態を検出する場合に、フォーカスレンズ32を駆動させながら、異なる複数のフォーカスレンズ位置において、焦点評価値を算出するとともに、各撮像画素221の出力値が所定の飽和判定値以上であるか否かを判断し、撮像画素221の出力値が飽和判定値以上である撮像画素221の数を飽和画素数として算出する。また、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFP内において出力値が飽和している撮像画素221の数を積算することで、焦点検出エリアAFPごとに飽和画素数を算出する。
さらに、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、異なる複数のフォーカスレンズ位置で、飽和画素数をフォーカスレンズ位置ごとに算出する。そして、カメラ制御部21は、光学系の焦点状態の検出を開始してから現在までの間に算出した複数の飽和画素数の中から、飽和画素数の最大値と最小値とを求め、さらに飽和画素数の最大値と最小値との差を算出する。そして、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFPごとに、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かを判断し、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上である場合に、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体であると判断するこ。なお、所定数S1は、特に限定されず、実験などにより適宜設定することができる。
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら異なるレンズ位置で算出した第1焦点評価値または第2焦点評価値に基づいて、これら焦点評価値が極大となるフォーカスレンズ32のレンズ位置を合焦位置として検出する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
次いで、第1実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図3は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下のステップS103〜S107およびステップS110〜S112の処理は、焦点検出エリアAFPごとに行ってもよいし、焦点調節に用いる焦点検出エリアAFPが選択されている場合には、選択された焦点検出エリアAFPのみについて行ってもよい。
まず、ステップS101では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1がオン)されたか否かの判断が行われる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、ステップS102に進み、一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、ステップS101で待機する。
ステップS102では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32の駆動が開始される。そして、フォーカスレンズ32を駆動させながら、ステップS103では、カメラ制御部21により、第1焦点評価値の算出が行われ、ステップS104では、カメラ制御部21により、飽和画素数の算出が行われる。なお、算出された第1焦点評価値および飽和画素数は、第1焦点評価値および飽和画素数が算出されたフォーカスレンズ位置に関連付けて記憶される。また、第1焦点評価値および飽和画素数は、焦点検出エリアAFPごとに算出される。なお、撮影範囲内に設定された複数の焦点検出エリアAFPのうち、焦点調節に用いる焦点検出エリアAFPが選択されている場合には、選択された焦点検出エリアAFPのみついて第1焦点評価値および飽和画素数を算出する構成としてもよい。
そして、ステップS105では、カメラ制御部21により、飽和画素数の最大値または最小値の記憶が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら飽和画素数を算出した結果、フォーカスレンズ32の駆動を開始してから現在までの間で、最も大きい飽和画素数を、飽和画素数の最大値としてカメラ制御部21のRAMに記憶し、また、フォーカスレンズ32の駆動を開始してから現在までの間で、最も小さい飽和画素数を、飽和画素数の最小値としてカメラ制御部21のRAMに記憶する。
ステップS106では、カメラ制御部21により、飽和画素数の最大値と最小値との差の算出が行われ、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かの判断が行われる。飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1未満である場合には、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含まないものと判断され、ステップS107に進み、一方、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上である場合には、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含むものと判断され、ステップS110に進む。
ステップS107では、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含まないものと判断されているため、カメラ制御部21により、ステップS103で算出した第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われ、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できたか否かの判断が行われる。第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できた場合には、ステップS108に進み、カメラ制御部21により、合焦位置までフォーカスレンズ32を駆動する合焦駆動が行われる。そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS109において、合焦表示が行われる。一方、第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出を行った結果、合焦位置が検出できないと判断された場合には、ステップS103に戻り、第1焦点評価値の算出と、第1焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返されることとなる。
このように、本実施形態では、焦点検出エリアAFP内の被写体が点光源被写体ではない場合には、第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる。ここで、第1焦点評価値は、光学系の焦点状態の検出において一般的に用いられている高周波数帯域HP1の周波数成分(コントラスト)に基づく焦点評価値であり、第2焦点評価値に比べて、点光源被写体などの高輝度被写体に対する検出精度は劣るものの、点光源被写体よりもコントラストや輝度の低い被写体に対する検出精度は高い。そのため、焦点検出エリアAFP内の被写体が点光源被写体ではない場合に、第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出を行うことで、点光源被写体よりもコントラストや輝度の低い被写体を適切に検出することができる。
一方、ステップS106において、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であると判断された場合には、ステップS110に進む。ステップS110では、カメラ制御部21により、演算対象の焦点評価値が、第1焦点評価値から第2焦点評価値に切り替えられる。すなわち、カメラ制御部21は、上記式(1),(2)による第1焦点評価値の算出を停止し、上記式(3),(4)に基づいて、第2焦点評価値の算出を開始する。
そして、ステップS111では、カメラ制御部21により、第2焦点評価値の算出が行われ、続くステップS112では、カメラ制御部21により、ステップS111で算出された第2焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出が行われ、合焦位置が検出できたか否かの判断が行われる。第2焦点評価値に基づいて合焦位置の検出を行った結果、合焦位置を検出できた場合には、ステップS108に進み、ステップS112で検出された合焦位置までフォーカスレンズ32を駆動する合焦駆動が行われ、その後、ステップS109において、合焦表示が行われる。一方、第2焦点評価値に基づいて合焦位置が検出できないと判断された場合には、ステップS111に戻り、第2焦点評価値の算出と、第2焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返される。
このように、本実施形態では、焦点検出エリアAFP内の被写体が点光源被写体である場合には、第2焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる。ここで、第2焦点評価値は、光学系の焦点状態の検出において一般的に用いられている高周波数帯域HP1よりも高い高周波数帯域HP2の周波数成分(コントラスト)に基づく焦点評価値であり、第1焦点評価値に比べて、コントラストや輝度の低い被写体に対する検出精度は劣るものの、点光源被写体などの高輝度被写体に対する検出精度は高い。そのため、焦点検出エリアAFP内の被写体が点光源被写体である場合に、第2焦点評価値に基づいて合焦位置の検出を行うことで、点光源被写体などの高輝度被写体を適切に検出することができる。
また、第1実施形態では、ステップS110において、演算対象の焦点評価値が第1焦点評価値から第2焦点評価値へと切り替えられた後は、たとえ飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1未満となっても、第2焦点評価値に基づく合焦位置の検出が継続される。これは、演算対象の焦点評価値が第1焦点評価値から第2焦点評価値へと切り替えられた時点で、被写体が点光源被写体であると判断されているため、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出することが好ましいためである。
次いで、被写体が点光源被写体である場合における、従来のカメラの動作と、第1実施形態に係るカメラ1の動作とについて説明する。ここで、図4は、従来のカメラの動作を説明するための図であり、図5は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を説明するための図である。
夜間に外灯を撮影する場合や、太陽光を反射している花びらや葉などを撮影する場合など、被写体が点光源を含む場合には、点光源に対応する複数の撮像画素221の画素出力が飽和により一定の値(出力上限値)となるため、点光源被写体に対応する画像部分からコントラスト(高周波成分)を検出することができない場合がある。しかしながら、点光源被写体にピントの合うレンズ位置では、点光源被写体の周縁部と背景との間で大きなコントラストが得られるため、図4に示すように、点光源被写体にピントの合うレンズ位置(合焦位置P4)において、焦点評価値のピークを得ることができる。
一方、点光源被写体にピントが合っていない場合には、点光源被写体にピントが合っている場合よりも、点光源被写体の像がボケて大きくなるため、点光源被写体に対応する撮像画素221の数は多くなる。たとえば、図4に示すレンズ位置P0では、点光源被写体の像が大きくボケており、そのため、点光源被写体に対応する撮像画素221の数は多くなる。ただし、レンズ位置P0では、点光源被写体の像がボケすぎて、各撮像画素221に対応する点光源被写体の明るさが低下するため、各撮像画素221の出力値は小さくなる。そのため、レンズ位置P0においては、点光源被写体の像と背景との間のコントラストは小さくなり、焦点評価値は小さくなる。一方、被写体にピントが合ってくると、点光源被写体に対応する撮像画素221の数は減少するが、各撮像画素221に対応する点光源被写体の明るさは高くなるため、撮像画素221の出力値は大きくなる。そのため、点光源被写体と背景とのコントラストが大きくなり、焦点評価値も大きくなる。たとえば、図4に示す例では、レンズ位置P0よりも合焦位置に近いレンズ位置P1において焦点評価値が大きくなり、さらに、レンズ位置P1よりも合焦位置に近いレンズ位置P2において焦点評価値が大きくなる。
また、さらに被写体にピントが合ってくると、点光源被写体に対応する撮像画素221の出力値は飽和状態のため変化しないが、点光源被写体に対応する撮像画素221の数は少なくなるため、撮像画素221全体の出力値は低下し、焦点検出エリア内の焦点評価値は小さくなる。たとえば、図4に示す例では、レンズ位置P2で焦点評価値がピークとなっており、レンズ位置P2よりもレンズ位置P3においては焦点評価値が減少している。
このように、被写体が点光源被写体である場合には、点光源被写体にピントが合っていないレンズ位置でも焦点評価値のピークが検出される場合があり、このような焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出してしまうと、いわゆる偽合焦が生じ、点光源被写体にピントの合った画像を撮影することができなくなってしまう。たとえば、図4の下図に示す例において、フォーカスレンズ32の駆動をレンズ位置P0から開始した場合には、点光源被写体にピントが合わないレンズ位置P2が、焦点評価値のピーク位置として検出されてしまい、これにより、レンズ位置P2が合焦位置として誤検出されることで、偽合焦が生じてしまう。
これに対して、本実施形態では、図5に示すように、フォーカスレンズ32の駆動を開始すると(ステップS102)、第1焦点評価値の算出(ステップS103)とともに、飽和画素数の算出(ステップS104)を行い、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かを判断する(ステップS106)。
たとえば、図5に示す例では、フォーカスレンズ32の駆動をレンズ位置P10から開始する。この場合、フォーカスレンズ32の駆動開始時のレンズ位置P10では、点光源被写体の像が大きくボケるため、点光源被写体に対応する各撮像画素221の出力値は低く飽和判定値を超えないため、焦点検出エリア内の飽和画素数は小さくなる。なお、図5に示す例では、フォーカスレンズ32の駆動開始時のレンズ位置P10において、飽和画素数は最小値となっている。
一方、フォーカスレンズ32が至近側に駆動して点光源被写体にピントが合ってくると、点光源被写体に対応する各撮像画素221の出力値は高くなり飽和判定値を超え始めるため、焦点検出エリア内の飽和画素数は増加する。たとえば、図5の下図に示す例では、レンズ位置P10〜P13において、フォーカスレンズ32の駆動とともに飽和画素数が次第に増加するともに、飽和画素数の最大値が順次更新され、飽和画素数の最大値と最小値との差も大きくなる。また、図5に示す例では、レンズ位置P13において飽和画素数が最大値となり、一方、レンズ位置P13を超えると、点光源被写体の像にピントが合ってきて、点光源被写体の像に対応する撮像画素221の数が少なくなるため、焦点検出エリアAFP内の飽和画素数は小さくなる。そのため、図5に示すように、レンズ位置P13までは、フォーカスレンズ32の駆動とともに飽和画素数の最大値と最小値との差は増加し、レンズ位置P13を超えると、飽和画素数の最大値と最小値との差は一定となっている。
そして、図5に示す例では、フォーカスレンズ32がレンズ位置P11まで駆動するまで、飽和画素数の最大値と最小値との差は所定数S1未満となっているため(ステップS106=No)、第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる(ステップS107)。そして、フォーカスレンズ32がレンズ位置P11まで駆動した時点で、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上と判断され(ステップS106=Yes)、演算対象となる焦点評価値が、第1焦点評価値から第2焦点評価値へと切り替えられる(ステップS110)。これにより、レンズ位置P11以降においては、第2焦点評価値の算出が行われ(ステップS111)、第2焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われることとなる(ステップS112)。
上述したように、第2焦点評価値は、第1焦点評価値よりも高い周波数帯域の周波数成分に基づく焦点評価値である。すなわち、第2焦点評価値は、低コントラスト被写体または低輝度被写体に対する検出精度は、第1焦点評価値には劣るものの、高輝度被写体に対する検出精度は、第1焦点評価値よりも高い。そのため、レンズ位置P11以降において、第2焦点評価値を算出することで、図5に示すように、点光源被写体の合焦位置ではないレンズ位置P12において、焦点評価値のピークが検出されてしまうことを有効に防止することができる。
一方、第2焦点評価値は、第1焦点評価値に比べて、高輝度被写体に対する検出精度が高いため、点光源被写体にピントの合うレンズ位置P14において、第2焦点評価値のピークが検出されることとなる。これにより、カメラ制御部21は、第2焦点評価値のピーク位置P14を、合焦位置として適切に検出することができる(ステップS112=Yes)。
以上のように、第1実施形態では、焦点検出エリアAFP内の飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1未満である場合に、焦点検出エリアAFPに点光源を含む被写体は存在しないものと判断し、高周波数帯域HP1の周波数成分に基づく第1焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う。このように、被写体が点光源被写体に比べて低コントラストまたは低輝度の被写体である場合には、第2焦点評価値と比べて低コントラスト被写体または低輝度被写体に対する検出精度の高い第1焦点評価値を用いて合焦位置を検出することで、点光源被写体に比べて低コントラストまたは低輝度の被写体の検出精度を高めることができる。
一方、焦点検出エリアAFPにおける飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上である場合には、焦点検出エリアAFPに点光源を含む被写体が存在すると判断し、第2焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う。第2焦点評価値は、高周波数帯域HP1よりも周波数の高い高周波数帯域HP2の周波数成分に基づく焦点評価値であり、第1焦点評価値と比べて点光源被写体などの高輝度被写体に対する検出精度が高いため、被写体が点光源被写体である場合に、第2焦点評価値を用いて合焦位置を検出することで、点光源被写体などの高輝度被写体の検出精度を高めることができる。
なお、上述した第1実施形態では、第1焦点評価値と第2焦点評価値とを切り替える構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、周波数帯域の異なる3以上の焦点評価値を切り替える構成としてもよい。この場合、飽和画素数が多いほど、周波数帯域の高い高周波成分に基づく焦点評価値が算出されるように、焦点評価値を切り替えることが好適である。
《第2実施形態》
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、図1に示すカメラ1において、以下に説明するような構成を備え、かつ、以下に説明するように動作する以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。
第2実施形態に係るカメラ制御部21は、以下のように、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体であるか否かを判断する。具体的には、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFPごとに飽和画素数を算出し、算出した飽和画素数が所定数S2以上であるか否かを判断する。そして、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFP内の飽和画素数が所定数S2以上である場合に、この焦点検出エリアAFP内に対応する被写体は点光源被写体であると判断する。
そして、第2実施形態において、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体ではないと判断した場合には、第1実施形態と同様に、上記式(1),(2)に基づいて、第1焦点評価値を算出する。一方、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFPに対応する被写体が点光源被写体であると判断した場合には、第1焦点評価値および第2焦点評価値とは異なる演算方法により、第3焦点評価値を算出する。以下に、第3焦点評価値の演算方法について説明する。
具体的には、カメラ制御部21は、まず、上記式(2)に基づいて算出した第1焦点評価値AFval_Lを用い、下記式(5)に基づいて、フィルタ処理していない撮像画素221の出力値I(x,y)の積算値と、係数K
pを乗じた第1焦点評価値AFval_Lとの差をAFval_Pとして算出する。なお、K
pは0よりも大きく、かつ1以下の定数である。
ここで、図6は、撮像画素221の積算値と、第1焦点評価値AFval_Lとの関係を説明するための図である。点光源被写体にピントが合っていない場合には、点光源被写体の像はボケて大きくなるため、点光源被写体の像に対応する撮像画素221の数は多くなる。そのため、フィルタ処理を施していない焦点検出エリアAFP内の撮像画素221の積算値は、図6に示すように、点光源被写体にピントが合っていない場合に大きくなり、点光源被写体にピントが合っている場合に小さくなる傾向がある。一方、上述したように、第1焦点評価値AFval_Lは、被写体が点光源被写体である場合に、合焦位置から離れたレンズ位置においてもピークが検出される場合がある。そのため、被写体が点光源被写体である場合には、図6に示すように、撮像画素221の積算値と、係数Kpを乗じた第1焦点評価値AFval_Lとの差AFval_Pを求めた場合に、AFval_Pが合焦位置において最小となる傾向にある。
そこで、第2実施形態において、カメラ制御部21は、AFval_Pに基づいて合焦位置を検出するために、下記式(6)に示すように、各フォーカスレンズ位置におけるAFval_Pのうちの最大値Max(AFval_P)と、各フォーカスレンズ位置のAFval_Pとの差を、フォーカスレンズ位置ごとに、第3焦点評価値AFval_Iとして算出する。これにより、第2実施形態において、カメラ制御部21は、第3焦点評価値AFval_Iがピークとなるレンズ位置を、点光源被写体の合焦位置として検出することができる。
次いで、第2実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図7は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下のステップS203〜S206、ステップS209〜S211の処理は、焦点検出エリアAFPごとに行ってもよいし、焦点調節に用いる焦点検出エリアAFPが選択されている場合には、選択された焦点検出エリアAFPのみについて行ってもよい。
まず、ステップS201〜S204では、第1実施形態のステップS101〜S104と同様に、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に(ステップS201=Yes)、フォーカスレンズ32の駆動が開始されるとともに(ステップS202)、第1焦点評価値の算出(ステップS203)と、飽和画素数の算出(ステップS204)とが繰り返し行われる。
ステップS205では、カメラ制御部21により、各焦点検出エリアAFPで算出された飽和画素数が所定数S2以上であるか否かの判断が行われる。飽和画素数が所定数S2以上である場合には、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含むものと判断し、ステップS209に進む。一方、飽和画素数が所定数S2未満である場合には、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含まないものと判断し、ステップS206に進む。
ステップS206では、飽和画素数が所定数S2未満であり、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含まないものと判断されているため、第1実施形態のステップS107と同様に、ステップS203で算出された第1焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出が行われる。そして、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できた場合には、ステップS207に進み、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動する合焦駆動が行われ、その後、ステップS208において、合焦表示が行われる。一方、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できない場合には、ステップS203に戻り、第1焦点評価値の算出と、第1焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返される。
一方、ステップS205において、飽和画素数が所定数S2以上であると判断された場合には、ステップS209に進み、カメラ制御部21により、演算対象の焦点評価値が、第1焦点評価値から第3焦点評価値へと切り替えられる。具体的には、カメラ制御部21は、上記式(1),(2)に基づく第1焦点評価値の算出を停止し、上記式(5)に基づいて、第3焦点評価値の算出を開始する。
そして、ステップS210では、カメラ制御部21により、第3焦点評価値の算出が行われ、ステップS211では、カメラ制御部21により、ステップS210で算出された第3焦点評価値に基づいて、合焦位置が検出できたか否かの判断が行われる。第3焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できた場合には、ステップS207に進み、ステップS211で検出した合焦位置までフォーカスレンズ32を駆動する合焦駆動が行われる。一方、第3焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できない場合には、ステップS210に戻り、第3焦点評価値の算出と、第3焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返される。
なお、第2実施形態では、ステップS209において、演算対象の焦点評価値が第1焦点評価値から第3焦点評価値へと切り替えられた後は、たとえ焦点検出エリアAFP内の飽和画素数が所定数S2未満となっても、第2焦点評価値に基づく合焦位置の検出が継続される。これは、演算対象の焦点評価値が第1焦点評価値から第3焦点評価値へと切り替えられた時点で、被写体が点光源被写体であると判断されているため、第3焦点評価値に基づいて合焦位置を検出することが好ましいためである。
次いで、被写体が点光源被写体である場合における、第2実施形態に係るカメラ1の動作について説明する。ここで、図8は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明するための図である。
たとえば、図8に示す例において、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32の駆動をレンズ位置P30から開始し(ステップS202)、フォーカスレンズ32を駆動させながら、第1焦点評価値の算出と(ステップS203)、飽和画素数の算出(ステップS204)とを繰り返す。フォーカスレンズ32がレンズ位置P31まで駆動するまでは、飽和画素数は所定数S2未満と判断され(ステップS205=No)、第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる(ステップS206)。そして、フォーカスレンズ32がレンズ位置P31まで駆動した時点で、飽和画素数が所定数S2以上と判断され(ステップS205=Yes)、これにより、演算対象の焦点評価値が、第1焦点評価値から第3焦点評価値へと切り替わり(ステップS209)、第3焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われることとなる(ステップS211)。
上述したように、第3焦点評価値は、撮像画素221の積算値を加味した焦点評価値であり、点光源被写体の検出に適した焦点評価値となっている。すなわち、第3焦点評価値では、点光源被写体に対する検出精度は第1焦点評価値よりも優れているため、被写体が点光源被写体であると判断されたレンズ位置P31以降において、第3焦点評価値に基づいて合焦位置を検出することで、図8に示すように、点光源被写体の合焦位置ではないレンズ位置P32において、焦点評価値のピークが検出されてしまうことを有効に防止することができるとともに、点光源被写体の合焦位置であるレンズ位置P33において、焦点評価値のピークを適切に検出することができる。
以上のように、第2実施形態では、焦点検出エリアAFPにおける飽和画素数が所定数S2未満である場合には、焦点検出エリアAFPに点光源を含む被写体は存在しないものと判断し、第1焦点評価値を用いて焦点検出を行うことで、点光源被写体ではない被写体を適切に検出することができる。一方、第2実施形態では、焦点検出エリアAFPにおける飽和画素数が所定数S2以上である場合には、焦点検出エリアAFPに点光源を含む被写体が存在すると判断し、第3焦点評価値を用いて焦点検出を行う。第3焦点評価値は、点光源被写体を適切に検出するために撮像画素221の積算値を加味して算出された焦点評価値であり、第1焦点評価値と比べて点光源被写体に対する検出精度が高い。そのため、被写体が点光源被写体である場合に、第3焦点評価値を用いて合焦位置を検出することで、点光源被写体などの高輝度被写体の検出精度を高めることができる。
《第3実施形態》
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図1に示すカメラ1において、以下に説明するような構成を備え、かつ、以下に説明するように動作する以外は、上述した第1実施形態と同様の構成を有するものである。
第3実施形態において、カメラ制御部21は、上記式(1),(2)に基づいて、焦点評価値を算出し、算出した焦点評価値に基づいて、焦点評価値がピークとなるレンズ位置(焦点評価値のピーク位置)を検出する。さらに、カメラ制御部21は、ピーク位置近傍の焦点評価値に基づいて、これら焦点評価値のピーク位置が合焦位置であるか否かを判断する。具体的には、カメラ制御部21は、ピーク位置近傍の焦点評価値が、後述する検出条件を満たす場合に、焦点評価値のピーク位置が合焦位置であると判断し、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。
ここで、図9は、合焦位置の検出条件を説明するための図である。たとえば、図9に示す例では、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値の検出を行うことで、ピーク値近傍のレンズ位置P41〜P45において、5点の焦点評価値が検出されたものとする。この場合、カメラ制御部21は、まず、これら5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)が所定値V1以上であるか否かを判断する。さらに、カメラ制御部21は、これら5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)と最小の焦点評価値(レンズ位置P41)とを通る直線M1を算出し、この直線M1の傾きが所定値V2以上であるか否かを判断する。そして、カメラ制御部21は、5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)が所定値V1以上であり、かつ、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)と、最小の焦点評価値(レンズ位置P41)とを通る直線M1の傾きが所定値V2以上であるという第1検出条件を満たす場合に、検出した焦点評価値のピーク位置を、合焦位置として検出する。
さらに、第3実施形態に係るカメラ制御部21は、ピーク位置近傍の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値を算出したレンズ位置において、飽和画素数を算出する。そして、カメラ制御部21は、算出した飽和画素数が所定数S3以上であるか否かを判断し、飽和画素数が所定数S3以上である場合には、偽合焦を防止するために、焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出され難くなるように、合焦位置の検出条件を切り替える。具体的には、カメラ制御部21は、飽和画素数が所定数S3以上である場合には、合焦位置の検出条件を、上述した第1検出条件から、第1検出条件よりも合焦位置が検出され難い第2検出条件に切り替える。
たとえば、図9に示す例において、カメラ制御部21は、まず、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値(レンズ位置P41〜P45)のうち、最大の焦点評価値を算出したレンズ位置P43において飽和画素数を算出し、算出した飽和画素数が所定数S3以上である場合に、合焦位置の検出条件を第1検出条件から第2検出条件に切り替える。たとえば、図9に示す例においては、レンズ位置P43における飽和画素数が所定数S3以上であるため、カメラ制御部21は、所定値V1の値をV1より大きい値であるV1’に変更し、所定値V2の値をV2より大きい値であるV2’に変更する。これにより、飽和画素数が所定数S3以上である場合には、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)が所定値V1よりも大きいV1’以上であり、かつ、最大の焦点評価値(レンズ位置P43)と最小の焦点評価値(レンズ位置P41)とを通る直線M1の傾きが所定値V2よりも大きいV2’以上であるという第2検出条件を満たす場合に、検出した焦点評価値のピーク位置が、合焦位置として検出されることとなる。
ここで、図9に示している焦点評価値は、点光源被写体にピントの合っていないレンズ位置において検出されたものであり、これら焦点評価値のピーク位置を合焦位置として誤検出してしまうと、偽合焦が生じてしまうこととなる。このような場合でも、第3実施形態では、最大の焦点評価値を算出したレンズ位置P43における飽和画素数が所定数S3以上となる場合に、所定値V1の値をV1より大きい値であるV1’に変更し、所定値V2の値をV2より大きい値であるV2’に変更することで、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値が第2検出条件を満すことができず、焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出さないため、偽合焦が生じることを有効に防止することができる。
なお、所定数S3は、第2実施形態における所定数S2よりも小さい値とすることが好適である。第3実施形態は、被写体を点光源被写体と判断できるとまでは言えない状況においても、被写体が点光源被写体である可能性がある場合に、合焦位置ではない可能性のある焦点評価値のピーク位置について合焦位置の検出条件を厳しくすることで、合焦位置ではない焦点評価値のピーク位置を合焦位置として誤検出してしまうことを防止することを目的としているためである。また、所定値V1,V1’,V2,V2’は特に限定されないが、たとえば、所定値V1’は所定値V1の数倍の大きさとすることができ、また、所定値V2’も所定値V2の数倍の大きさとすることができる。
次いで、第3実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図10は、第3実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下のステップS303〜S309の処理は、焦点検出エリアAFPごとに行ってもよいし、焦点調節に用いる焦点検出エリアAFPが選択されている場合には、選択された焦点検出エリアAFPのみについて行ってもよい。
まず、ステップS301〜S304では、第1実施形態のステップS101〜S104と同様に、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に(ステップS301=Yes)、フォーカスレンズ32の駆動が開始されるとともに(ステップS302)、焦点評価値の算出(ステップS303)と、飽和画素数の算出(ステップS304)とが繰り返し行われる。
そして、ステップS305では、カメラ制御部21により、焦点評価値のピークが検出されたか否かの判断が行われる。焦点評価値のピークが検出された場合には、ステップS306に進み、一方、焦点評価値のピークが検出されていない場合には、ステップS303に戻り、焦点評価値の算出が繰り返される。
ステップS306では、カメラ制御部21により、ステップS305で検出されたピーク位置近傍の焦点評価値のうち、焦点評価値が最大となるレンズ位置の飽和画素数が所定数S3以上であるか否かの判断が行われる。焦点評価値が最大となるレンズ位置の飽和画素数が所定数S3未満である場合には、ステップS307に進み、一方、焦点評価値が最大となるレンズ位置の飽和画素数が所定数S3以上である場合には、ステップS308に進む。
ステップS307では、飽和画素数が所定数S3未満であると判断されているため、カメラ制御部21により、合焦位置の検出条件が第1検出条件に設定され、第1検出条件により合焦位置の検出が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、合焦位置の検出条件として、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値が所定値V1以上であり、かつ、最大の焦点評価値と最小の焦点評価値とを通る直線M1の傾きが所定値V2以上であるという第1検出条件を設定し、ピーク位置近傍の焦点評価値がこの第1検出条件を満たす場合に、検出した焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。
一方、ステップS306で、飽和画素数が所定数S3以上であると判断された場合には、ステップS308に進み、ステップS308において、カメラ制御部21により、第2検出条件による合焦位置の検出が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、合焦位置の検出条件として、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値のうち、最大の焦点評価値が所定値V1よりも大きいV1’以上であり、かつ、最大の焦点評価値と最小の焦点評価値とを通る直線M1の傾きが所定値V2よりも大きいV2’以上であるという第2検出条件を設定し、ピーク位置近傍の焦点評価値がこの第1検出条件を満たす場合に、検出した焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する。
ここで、図9に示す例では、ピーク位置近傍の5つの焦点評価値のうちの最大値(レンズ位置P43)は所定値V1以上であり、また、図示していないが、直線M1の傾きは所定値V2以上となっているため、合焦位置の検出条件が第1検出条件の場合には、これら5つの焦点評価値は第1検出条件を満たし、これら5つの焦点評価値のピーク位置が合焦位置として検出されることとなる。これに対して、合焦位置の検出条件が第1検出条件から第2検出条件へと切り替えられた場合、ピーク位置近傍の5つの焦点評価値のうちの最大値(レンズ位置P43)は所定値V1’未満であるため、これら5つの焦点評価値は第2検出条件を満たさず、これら5つの焦点評価値のピーク位置は合焦位置として検出されないこととなる。
そして、ステップS309では、カメラ制御部21により、ステップS307またはステップS308での検出結果に基づいて、合焦位置を検出できたか否かの判断が行われる。合焦位置を検出できた場合には、ステップS310に進み、合焦駆動が行われ、その後、ステップS311に進み、合焦表示が行われる。一方、合焦位置が検出できない場合には、ステップS303に戻り、焦点評価値の算出と、第1検出条件または第2検出条件による合焦位置の検出とが繰り返し行われる。
以上のように、第3実施形態では、ピーク位置近傍における焦点評価値のうち、焦点評価値が最大となるレンズ位置における飽和画素数が所定数S3以上となる場合に、合焦位置の検出条件を第1検出条件から、第1検出条件よりも合焦位置が検出され難い第2検出条件に切り替える。これにより、第3実施形態では、飽和画素数が所定数S3以上となり、被写体が点光源被写体である可能性がある場合に、焦点位置の検出条件を第1検出条件よりも合焦位置が検出され難い第2検出条件に切り替えることで、被写体にピントが合っていないレンズ位置で焦点評価値のピークが検出された場合でも、このような焦点評価値のピーク位置を合焦位置として誤検出してしまうことを有効に防止することができる。
なお、上述した第3実施形態においては、ピーク位置近傍における焦点評価値のうち焦点評価値が最大となるレンズ位置における飽和画素数が所定数S3以上となる場合に、合焦位置の検出条件を第1検出条件から第2検出条件へと切り替える構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、焦点評価値のピーク位置近傍において算出した複数の飽和画素数のうち、最も大きい飽和画素数が所定数S3以上である場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成としてもよい。たとえば、図9に示す例では、焦点評価値のピーク位置近傍において算出した複数の飽和画素数(レンズ位置P41〜P45)のうち、レンズ位置P44の飽和画素数が最大となるため、この飽和画素数(レンズ位置P44)が所定数S3以上である場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成とすることができる。あるいは、ピーク位置近傍の焦点評価値に限らず、焦点検出を開始してから現在までに算出した飽和画素数のうち、最大の飽和画素数が所定数S3以上となる場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成としてもよい。
さらに、焦点評価値のピーク位置近傍において算出した複数の飽和画素数のうち、最大の飽和画素数と最小の飽和画素数との差が所定数S4以上となる場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成としてもよい。たとえば、図9に示す例では、焦点評価値のピーク位置近傍のレンズ位置P41〜P45で算出された複数の飽和画素数のうち、飽和画素数の最大値(レンズ位置P44)と飽和画素数の最小値(レンズ位置P41)との差が所定数S4以上となる場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成としてもよい。あるいは、ピーク位置近傍の焦点評価値に限らず、焦点検出を開始してから現在までに算出した複数の飽和画素数のうち、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S4以上となる場合に、合焦位置の検出条件を切り替える構成としてもよい。なお、所定数S4は特に限定されないが、第2実施形態における所定数S2よりも小さい値とすることが好適である。
また、上述した第3実施形態では、ピーク位置近傍の焦点評価値のうち、焦点評価値の最大値が所定値V1(またはV1’)以上であり、かつ、焦点評価値の最大値と焦点評価値の最小値とを通る直線M1の傾きが所定値V2(またはV2’)以上である場合に、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する合焦位置の検出条件を例示したが、合焦位置の検出条件は上述した例に限定されない。たとえば、上述した合焦位置の検出条件に加えて、あるいは、上述した合焦位置の検出条件に代えて、焦点評価値の最大値と焦点評価値の最小値との差が所定値V3以上となることを、合焦位置の検出条件としてもよい。この場合、飽和画素数が所定数S3以上である場合には、焦点評価値の最大値と焦点評価値の最小値との差が所定値V3よりも高いV3’となる場合に、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する構成とすることができる。
あるいは、焦点評価値のピーク位置近傍の焦点評価値の対称性を、合焦位置の検出条件としてもよい。たとえば、図9に示す例において、ピーク位置近傍の5点の焦点評価値(レンズ位置P41〜P45)のうち、レンズ位置P41の焦点評価値とレンズ位置P43の焦点評価値とを通る直線M1の傾きの絶対値K1と、レンズ位置P43の焦点評価値とレンズ位置P45の焦点評価値とを通る直線M2の傾きの絶対値K2との比率を算出し、当該比率(K1/K2)が1を中心とする所定の数値範囲R1内となることを、合焦位置の検出条件として用いてもよい。この場合、飽和画素数が所定数S3以上となる場合には、上記比率(K1/K2)が所定の数値範囲R1よりも狭い数値範囲R2内となる場合に、焦点評価値のピーク位置を合焦位置として検出する構成とすることができる。
さらに、上述した第3実施形態では、第1検出条件と第2検出条件とを切り替える構成を例示したが、合焦位置の検出し易さの異なる3以上の検出条件を切り替える構成としてもよい。この場合、飽和画素数が多いほど、合焦位置が検出し難い検出条件が設定されるように、合焦位置の検出条件を切り替えることが好適である。
《第4実施形態》
次いで、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係るカメラ1は、図1に示す第1実施形態のカメラ1と同様の構成を備え、かつ、以下に説明するように動作すること以外は、上述した第1実施形態と同様に動作する。以下に、図11を参照して、第4実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。なお、図11は、第4実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS401〜S403では、第1実施形態のステップS101〜S103と同様に、シャッターレリーズボタンが半押しされたか否かの判断が行なわれ(ステップS401)、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に(ステップS401=Yes)、フォーカスレンズ32の駆動が開始され(ステップS402)、第1焦点評価値の算出が行われる(ステップS403)。
また、ステップS404では、カメラ制御部21により、第1実施形態のステップS111と同様に、第2焦点評価値の算出が行われる。このように、第4実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に、第1焦点評価値の算出と第2焦点評価値の算出とが並行して行われる。
ステップS405〜S407では、第1実施形態のステップS104〜S106と同様に、飽和画素数の算出が行われ(ステップS405)、算出した飽和画素数の最大値および最小値を記憶する処理が行われる(ステップS406)。そして、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かの判断が行われる(ステップS407)。
飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1未満である場合には(ステップS407=No)、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含まないものと判断され、ステップS408に進み、カメラ制御部21により、ステップS403で算出した第1焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる。そして、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できたか否かの判断が行われ(ステップS409)、合焦位置を検出できた場合には(ステップS409=Yes)、ステップS410に進み、合焦駆動が行われ、続くステップS411で、合焦表示が行われる。一方、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できない場合には、ステップS403に戻り、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1未満である間、第1焦点評価値および第2焦点評価値の算出と、第1焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返される。
また、ステップS407において、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1以上となった場合には(ステップS407=Yes)、焦点検出エリアAFP内の被写体は点光源を含むものと判断され、ステップS412に進む。ステップS412では、カメラ制御部21により、ステップS404または後述するステップS415で算出した第2焦点評価値に基づいて合焦位置の検出が行われる。そして、ステップS413では、カメラ制御部21により、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できたか否かの判断が行われる。合焦位置を検出できた場合には、ステップS410に進み、ステップS412で検出された合焦位置までフォーカスレンズ32を駆動する合焦駆動が行われ、続くステップS411において、合焦表示が行われる。
一方、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出できない場合には、ステップS414に進み、ステップS414において、第1焦点評価値の算出が行われ、続くステップS415において、第2焦点評価値の算出が行われる。そして、ステップS412に戻る。このように、第4実施形態でも、一度、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1以上となった後は、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1未満となったか否かに拘わらず、第1焦点評価値および第2焦点評価値の算出と、第2焦点評価値に基づく合焦位置の検出とが繰り返される。
以上のように、第4実施形態では、第1焦点評価値と第2焦点評価値とを並行して算出し、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1未満である場合には、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出し、一方、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1以上となった場合には、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出する。これにより、第4実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上となったタイミングで、複数の第2焦点評価値が算出されているため、飽和画素数の最大値と最小値の差が所定数S1以上となって直ぐに、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出することができる。
なお、第4実施形態では、第1焦点評価値と第2焦点評価値とを並行して算出し、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1未満である場合には、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出し、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上となった場合に、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出する構成としたが、たとえば、第1焦点評価値と第2焦点評価値とを並行して算出し、飽和画素数数が所定数S2未満である場合に、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出し、飽和画素数が所定数S2以上である場合に、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出する構成としてもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本発明は、上述した実施形態に限定されず、たとえば、上述した第1〜第4実施形態を適宜組み合わせてもよい。また、第1実施形態と第3実施形態、第2実施形態と第3実施形態、または第3実施形態と第4実施形態とを同時に実施することも可能である。この場合、第1実施形態、第2実施形態、または第4実施形態において、被写体が点光源被写体であると判断され、第1焦点評価から第2焦点評価値または第3焦点評価値に切り替えられた場合には、第3実施形態を実施しない構成とすることもできる。
また、上述した第1実施形態では、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上となった場合に、演算対象の焦点評価値を、第1焦点評価値から第2焦点評価値に切り替える構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、第1焦点評価値と第2焦点評価値とを並行して算出しておき、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上となるまでは、第1焦点評価値を用いて焦点検出を行い、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上となった場合に、第2焦点評価値を用いて焦点検出を行う構成とすることができる。
同様に、上述した第2実施形態では、飽和画素数が所定数S2以上となった場合に、演算対象の焦点評価値を、第1焦点評価値から第3焦点評価値に切り替える構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、第1焦点評価値と第3焦点評価値とを並行して算出しておき、飽和画素数が所定数S2以上となるまでは、第1焦点評価値を用いて焦点検出を行い、飽和画素数が所定数S2以上となった場合に、第3焦点評価値を用いて焦点検出を行う構成とすることができる。
また、上述した実施形態は、オートフォーカスモードがAF−Sモードである場合に行うことができ、また、オートフォーカスモードがAF−Fモードである場合にも行うことができる。なお、AF−Sモードとは、シャッターレリーズボタンの半押しがされた場合に、焦点検出結果に基づき、フォーカスレンズ32を駆動させた後は、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードである。なお、AF−Sモードは、静止画撮影に適したモードであり、通常、静止画撮影を行う際に選択される。また、AF−Fモードとは、シャッターレリーズボタンの操作の有無に関係なく、焦点検出結果に基づきフォーカスレンズ32を駆動し、その後、焦点状態の検出を繰り返し行い、焦点状態が変化した場合には、フォーカスレンズ32のスキャン駆動を行なうモードである。なお、AF−Fモードは、動画撮影に適したモードであり、通常、動画撮影を行う際に選択される。
さらに、上述した実施形態において、第2焦点評価値に基づく合焦位置の検出条件を追加してしてもよい。たとえば、第1実施形態のステップS106または第4実施形態のステップS407において、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かの判断に加えて、または、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であるか否かの判断に代えて、被写界の輝度が所定値S4以上であるか否かを判断する構成としてもよい。たとえば、この場合、飽和画素数の最大値と最小値との差が所定数S1以上であり、かつ、被写界の輝度が所定値S4以上である場合に、第2焦点評価値に基づいて合焦位置を検出し、それ以外の場合には、第1焦点評価値に基づいて合焦位置を検出する構成とすることができる。また、この場合、被写界の輝度は、焦点検出開始時の輝度を検出する構成としてもよいし、あるいは、焦点検出開始時からの最大輝度値を検出する構成としてもよい。さらに、この場合に、撮影画面を複数の領域に分割し、分割した領域ごとに測光を行う多分割測光(マルチパターン測光)で被写界の輝度を計測してもよいし、あるいは、少なくとも1つの焦点検出エリアAFPを含む所定領域内において測光を行うスポット測光により被写界の輝度を計測してもよい。なお、上記所定値は、特に限定されないが、昼間の屋外であるか否かを判定可能な値とすることが好ましい。これにより、昼間の屋外での撮影時に太陽光に反射した葉や花などを撮影する場面においても、焦点検出精度を高めることができる。
また、上記の条件に加えて、または、上記の条件に代えて、たとえば、晴天日陰モードのホワイトバランスが設定されていることを条件として追加する構成としてもよい。この場合も、昼間の屋外での撮影時に、太陽光に反射した葉や花などを撮影する場面における焦点検出精度を高めることができる。また、第2実施形態のステップS205または第3実施形態のステップS305において、飽和画素数が所定数S2,S3以上であるか否かを判断する場合に、上述した条件を追加する構成としてもよい。
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。