本発明をデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、レンズ系10、絞り21、絞り駆動制御部22、撮像素子31、アナログ信号処理回路41、A/D変換部42、レンズ駆動制御部51、メモリ60、カメラ制御部70、操作部80および表示部90を備えている。
レンズ系10は、焦点調節用のフォーカスレンズ12、ズーム倍率変更用のズームレンズ13を含む複数のレンズ11,12,13からなり、絞り21とともに撮影光学系を構成する。
フォーカスレンズ12は、その光軸L1に沿って移動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ(不図示)によってその位置または移動量が検出されつつ、フォーカスレンズ駆動モータ52によってその位置が調節される。そして、フォーカスレンズ用エンコーダで検出されたフォーカスレンズ12の現在位置情報は、レンズ駆動制御部51を介してカメラ制御部70へ送信される一方で、カメラ制御部70はこの情報を参照しつつフォーカスレンズ12の焦点調節位置を演算し、レンズ駆動制御部51を介してフォーカスレンズ駆動モータ52にレンズ駆動信号を送信する。
ズームレンズ13は、その光軸L1に沿って移動可能に設けられ、ズームレンズ用エンコーダ(不図示)によってその位置または移動量が検出されつつ、ズームレンズ駆動モータ53によってその位置が調節される。ズームレンズ13の位置は、操作部80に設けられたズームボタンを操作することにより、あるいは、カメラ制御部70からレンズ駆動制御部51を介して送出されるズームレンズ駆動指令により、調節される。
絞り21は、レンズ系10を通過して、撮像素子31に至る光束L1の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。たとえば自動露出モードにおいては、カメラ制御部70により、撮像素子31に至る光束に基づいて目標とする開口径の演算が行われ、演算された開口径に相当する絞り駆動信号が、カメラ制御部70から絞り駆動制御部22を介して絞り駆動部23へ送信されることにより、絞り21による開口径の調節が行われる。また、開口径の調節は、カメラ1に設けられた操作部80をマニュアル操作することによっても行われ、操作部80で設定された開口径がカメラ制御部70から絞り駆動制御部22を介して絞り駆動部23に入力される。なお、絞り21の開口径は絞り開口センサ(不図示)により検出され、カメラ制御部70により現在の開口径が認識される。
撮像素子31は、カメラ1の被写体からの光軸L1上であって、レンズ系10の予定焦点面となる位置に配置されている。撮像素子31は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCID(電荷注入デバイス)などで構成することができる。なお、撮像素子31は、各画素に蓄積される電荷の蓄積時間、すなわちシャッタースピードをシャッターゲートパルスによって制御する電子シャッター機能を備える。
また、撮像素子31の撮像面の有効画素領域には、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)に対応するカラーフィルタが配置されており、撮像面で受光した被写体像はRGBの画像信号に変換されることとなる。このようなカラーフィルタの配列としては、たとえば、ベイヤー配列(Bayer Arrangement)などが挙げられるが、特にこれに限定されない。
撮像素子31の撮像面に被写体像が投影されると、その入射光量に応じた量の信号電荷に光電変換され、撮像出力信号として順次読み出される。この光電変換されたアナログ画像信号は、アナログ信号処理部41へ出力される。
アナログ信号処理部41は、相関二重サンプリング(CDS)を行うCDS回路と、アナログ画像信号の出力を増幅するゲイン回路と、色分離回路とを有している。このアナログ信号処理部41では、RGBの各色に対応する画素の出力に関する出力ゲインの値をそれぞれ独立して設定できるようになっている。
A/D変換部42はアナログ信号処理部41から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換部42によってデジタル化された画像信号は、カメラ制御部70に出力される。
操作部80は、カメラ1を起動させるための主電源スイッチや、シャッターレリーズボタン、ズームレンズ13を駆動させてズーム動作を行なうためのズームスイッチ、さらには、撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチなどを備えている。そして、撮影者は、操作部80を介して、動画撮影モード/静止画撮影モードの切換や、自動露出モード/マニュアル露出モードの切換、さらには、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換などができるようになっている。この操作部80による操作、および設定された各種モードはカメラ制御部70へ送信される。
カメラ制御部70は、マイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、カメラ1を構成する各部の制御するための演算を行う。そして、カメラ制御部70は、該演算結果に基づき、絞り21による開口径を調節したり、アナログ信号処理部41のゲインの設定を行なったりする。
また、カメラ制御部70は、A/D変換部42によってデジタル化された画像信号を取得し、取得した画像信号についてデジタル処理を行ない、メモリ60および表示部90に出力して、メモリ60に保存させるとともに、表示部90に、画像信号に基づく画像の表示を行なわせる。
さらに、カメラ制御部70は、オートフォーカス動作を制御するAF処理部70aを備えている。AF処理部70aは、レンズ駆動制御部51を介して、フォーカスレンズ駆動モータ52を駆動させることにより、フォーカスレンズ12を移動させながら、撮像素子31に被写体像の撮像を行なわせて、フォーカスレンズ12の各移動位置に対応する、デジタル画像信号を取得する。そして、取得したデジタル画像信号のうち、焦点検出に用いる画像信号から高周波成分を抽出して焦点評価値の演算を行う。具体的には、画像信号をバンドパスフィルタに通して画像信号から所定帯域の周波数成分に対応する信号を抽出し、抽出された信号の絶対値を積分することにより、被写体像に関する焦点評価値を得る。そして、AF処理部70aは、算出された焦点評価値に基づいて、レンズ駆動制御部51を介して、フォーカスレンズ駆動モータ52を駆動させて、これにより、フォーカスレンズ12を所定のレンズ調整位置に移動させる。
さらに、AF処理部70aは、動画撮影モードが選択されている場合には、オートフォーカス動作を実行する前に、フォーカスレンズ12を、現在位置近傍において、微小駆動させるウォブリング動作を行い、ウォブリング動作中に、算出された焦点評価値に基づいて、オートフォーカス動作を行なう際における、フォーカスレンズ12の駆動方向を決定する。なお、本実施形態においては、ウォブリング動作は、フォーカスレンズ12を現在のレンズ位置から、撮影倍率が小さくなる方向に微小駆動させ、次いで、元のレンズ位置に戻すという動作を繰り返すことにより実行される。
また、カメラ制御部70は、フォーカスレンズ12のレンズ駆動量と、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率の変化量との関係を示すテーブルを予め記憶しており、このテーブルを用いて、AF処理部70aにより、オートフォーカス動作が行なわれている際のフォーカスレンズ12の駆動中における、撮影画像の像倍率の変化を補正する動作を行なう。なお、撮影画像の像倍率の変化を補正する動作については、後述する。
表示部90は、液晶ディスプレイなどで構成され、撮像素子31により撮像した画像を逐次表示する電子ファインダとして機能し、撮影者が、表示部90に表示される被写体を観察しながら撮影操作を行うことができるようになっている。
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図2は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下においては、動画撮影モードが選択されている場面における、動作について説明する。
まず、ステップS101では、カメラ1の電源がオンされると、撮像素子31により被写体像の撮像が開始される。本実施形態においては、撮像素子31による被写体像の撮像は、所定のフレームレートで繰り返し行なわれる。
次いで、ステップS102では、カメラ制御部70により、撮像素子31により撮像された画像の画像信号の取得が行なわれる。本実施形態では、カメラ制御部70は、撮像素子31により撮像された画像の画像信号を、アナログ信号処理部41およびA/D変換部42により変換され、デジタル化された信号として取得する。
次いで、ステップS103では、カメラ制御部70により、ステップS102で取得した画像信号に基づく撮影画像を、メモリ60に記憶させる処理が行なわれる。
ステップS104では、カメラ制御部70のAF処理部70aにより、ステップS102で取得した画像信号に基づいて、焦点評価値の算出が行われる。算出された焦点評価値は、フォーカスレンズ12の位置の情報とともに、カメラ制御部70に備えられたメモリに記憶される。
ステップS105では、ウォブリング動作が実行されているか否かの判定が行なわれる。ウォブリング動作は、オートフォーカス動作を実行する前に、フォーカスレンズ12を、現在位置近傍において、微小駆動させる動作であり、カメラ制御部70に備えられたAF処理部70aにより制御される。ウォブリング動作を実行していないと判定された場合には、ステップS106に進む。一方、ウォブリング動作が実行中であると判定された場合には、ステップS113に進む。
ステップS106では、カメラ制御部70により、オートフォーカス動作を行なうために、フォーカスレンズ12の駆動動作(ウォブリング動作とは異なる、一方向への連続的な駆動動作)が行なわれているか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていると判定された場合には、ステップS107に進む。一方、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていないと判定された場合には、ステップS112に進む。なお、フォーカスレンズ12の駆動動作は、カメラ制御部70に備えられたAF処理部70aにより制御される。本実施形態においては、たとえば、ウォブリング動作の結果により、新たな合焦位置を検出する必要が生じたと判断された場合や、撮影輝度が大きく変化した場合、さらには、前回処理時に算出された焦点評価値と比較して所定値以上変化した場合に、AF処理部70aにより、オートフォーカス動作が実行される。
ステップS107では、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向(すなわち、画角が広くなる方向)に移動しているか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動していると判定された場合には、ステップS108に進む。一方、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動していると判定された場合には、ステップS111に進む。
ここで、図3は、本実施形態が適用される一場面例であり、図3(A)は、一場面例における、フォーカスレンズ12のレンズ位置の変化を示しており、また、図3(B)は、一場面例における、撮像素子31により撮像される画像の像倍率の変化、およびメモリ60に記憶させる動画像の像倍率の変化を示している。なお、図3(A)中においては、撮像素子31からの画像信号の取得タイミングを、黒丸で示した。すなわち、図3(A)においては、時間Tαの間隔で、撮像素子31により撮像が行なわれ、時間Tαの間隔で、AF処理部70aにより、撮像素子31により撮像された画像信号に基づいて、焦点評価値の算出が行われている例を示している。この図3(A)においては、時間t1において、フォーカスレンズ12が位置P1にある場合において、時間t2において、オートフォーカス動作が開始され、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動させながら、焦点評価値の算出を行い、算出された焦点評価値に基づいて、時間t3において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P2に移動させた場面を示している。
この図3(A)に示す例においては、時間t2〜t3の間においては、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点におけるフォーカスレンズ12の位置P1と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動しているため、この場合には、ステップS108に進むこととなる。
このように、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動していると判定された場合には、ステップS108に進み、ステップS108では、カメラ制御部70により、ステップS102で得られた画像信号に基づく撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理が行なわれる。ここで、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動すると、得られる撮影画像は、図4(A)に示す画像から、図4(C)に示す画像へと画角が変化してしまうこととなる。これに対し、本実施形態では、このような画角の変化を防止するために、クロップ処理を行なう。具体的には、図5(A)に示すように、得られた撮影画像から、画像を切り出すための切り出し領域を選択し、次いで、図5(B)に示すように、切り出し領域の大きさが、撮影画像の大きさに対応する大きさとなるように、撮影画像を拡大するための処理を行なう。そして、図5(C)に示すように、切り出し領域を切り出す処理を行なうことで、クロップ画像を得る。なお、本実施形態においては、クロップ画像を得る際には、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なう。具体的には、カメラ制御部70に予め保存されているフォーカスレンズ12のレンズ位置と、各レンズ位置において、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率との関係を示すテーブルに基づいて、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なう。
なお、本実施形態においては、図5(B)に示す撮影画像を拡大するための処理を行なう際には、AF処理部70aによって、算出された焦点評価値により、異なる処理方法を選択するような対応としてもよい。具体的には、焦点評価値が予め定められた所定値未満であり、撮像素子31により撮像された撮影画像のボケ量が比較的大きいと判断される場合には、比較的演算負荷の低い方法を用い、焦点評価値が予め定められた所定値以上であり、撮像素子31により撮像された撮影画像のボケ量が比較的小さいと判断される場合には、高解像度の画像を得るための方法を用いることができる。たとえば、焦点評価値が予め定められた所定値未満である場合には、比較的演算負荷の低い方法として、たとえば、リニア補間により、画素レベルで画素補間を行なうことで、拡大画像を得る方法などを用いることができる。一方、焦点評価値が予め定められた所定値以上である場合には、高解像度の画像を得るための方法として、たとえば、バイキュービック法や、連続する複数のフレームにおいて撮像された複数の画像を用いて、画素補間を行なう超解像処理を実行することで、拡大画像を得る方法などを用いることができる。なお、この場合における所定値としては、たとえば、撮像素子31により撮像された撮影画像が、合焦位置付近の画像であるか否かが判断できるような値に設定することができる。
次いで、ステップS109では、カメラ制御部70により、ステップS108で得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれる。
次いで、ステップS110では、ステップS108で得られたクロップ画像が、カメラ制御部70から、表示部90に出力され、表示部90により、クロップ画像の出力が行なわれる。
上述したように、本実施形態においては、クロップ画像を得る際に、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なうものである。そのため、たとえば、図3(A)に示す時間t2〜t3において、フォーカスレンズ12を駆動させることにより、撮影画像の画角が、図4(A)に示す画像から、図4(C)に示す画像のように変化してしまった場合でも、図5(A)〜図5(C)に示すようにクロップ処理を行なうことにより得られたクロップ画像を得て、これを動画像として保存することにより、得られる動画像における、画角の変化を防止することが可能となる。
そして、本実施形態によれば、図3(B)に示すように、フォーカスレンズ12が駆動することにより、時間t2〜t3のように、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率(図3(B)中において、実線で示した。)が変化した場合でも、上述したステップS107で説明したようにクロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、メモリ60に保存するための動画像とすることにより、得られる動画像の像倍率(図3(B)において、破線で示した。)が、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α1のままに保たれることとなる。なお、本実施形態においては、フォーカスレンズ12の駆動が停止した時間t3以降においても、クロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、メモリ60に保存するための動画像とするような態様を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、たとえば、クロップ画像の切り出し割合を徐々に減少させていき、動画像の像倍率を、徐々に撮像素子31により撮像された撮影画像に近づけていくような処理を行なってもよい。
一方、ステップS107において、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動していると判定された場合には、ステップS111に進み、ステップS111では、フォーカスレンズ12の駆動に応じて、ズームレンズ13を駆動させる処理が開始される。ここで、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動すると、得られる撮影画像は、図4(A)に示す画像から、図4(B)に示す画像へと画角が変化してしまうこととなる。これに対し、本実施形態では、このような画角の変化を防止するために、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動していると判定された場合には、フォーカスレンズ12の駆動に応じて、ズームレンズ13を駆動させるものである。
ここで、図6に、本実施形態が適用される他の場面例を示す。図6(A)は、他の場面例における、フォーカスレンズ12のレンズ位置の変化を示しており、また、図6(B)は、他の場面例における、撮像素子31により撮像される画像の像倍率の変化、およびメモリ60に記憶させる動画像の像倍率の変化を示している。なお、図6(A)中においても、図3(A)と同様に、撮像素子31からの画像信号の取得タイミングを、黒丸で示した。そして、この図6(A)においては、時間t11において、フォーカスレンズ12が位置P3にある場合において、時間t12において、オートフォーカス動作が開始され、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動させながら、焦点評価値の算出を行い、算出された焦点評価値に基づいて、時間t16において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P4に移動させた場面を示している。
そして、このような場合において、本実施形態においては、図7(A)、図7(B)に示すように、時間t12において、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動を開始するのに伴い、時間t12〜t13において、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向(位置P5→P6)に駆動させ、さらに、時間t14〜t15において、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向(位置P6→P7)に駆動させるものである。そして、これにより、図7(C)に示すように、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に駆動した場合でも、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率が、フォーカスレンズ12を駆動させる前における像倍率α3よりも小さなものとなるように、制御するものである。なお、図7(C)においては、ズームレンズ13を駆動させた場合における、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率を実線で、ズームレンズ13を駆動させない場合における、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率を破線で、それぞれ示した。
なお、図7(A)〜図7(C)においては、ズームレンズ13を、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、段階的に駆動させる例を示したが、このような例に限定されず、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、連続的に駆動させるような構成としてもよい。また、フォーカスレンズ12の駆動に伴って、ズームレンズ13を駆動させる際における、ズームレンズ13の駆動量は、予め記憶されたフォーカスレンズ12のレンズ駆動量と、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率の変化量との関係を示すテーブルを用い、このテーブルに基づいて、算出することができる。また、ズームレンズ13の駆動量は、ズームレンズ13の駆動後における下限像倍率α5(図7(C)参照)は、フォーカスレンズ12の駆動前の像倍率α3(図7(C)参照)に対して、後述するクロップ処理により拡大画像を得る際における拡大率が1.2倍以内程度となるような範囲に設定することが、得られるクロップ画像の画像品質を良好に保つという観点より望ましい。なお、測光値や画像のヒストグラムが比較的大きく変化した場合には、構図変更がされたものと判断し、ズームレンズ13を、下限像倍率α5を超えて、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動してもよい。
また、本実施形態において、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させる処理を実行するに際しては、たとえば、撮像素子31により得られる撮影画像の像倍率が、上限像倍率α4(図7(C)参照)と、下限像倍率α5(図7(C)参照)との範囲内となるように制御される。たとえば、図7(A)〜図7(C)においては、上限像倍率α4に到達すると、ズームレンズ13を撮影倍率が小さくなる方向に駆動させ、ズームレンズ13を駆動させた結果、下限像倍率α5に到達すると、ズームレンズ13を停止させる制御が繰り返し行われる。
そのため、本実施形態では、ステップS111においては、ズームレンズ13が駆動している場合には、下限像倍率α5に到達したか否かの判断が行なわれ、下限像倍率α5に到達した場合には、ズームレンズ13の駆動を停止する処理が行なわれる。一方、ズームレンズ13が停止している場合には、上限像倍率α4に到達したか否かの判断が行なわれ、上限像倍率α4に到達した場合には、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動させる処理が行なわれる。なお、上限像倍率α4としては、フォーカスレンズ12を駆動させる前における像倍率α3よりも小さいものであればよく、特に限定されない。
そして、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させる処理が実行されると、ステップS108に進み、上記と同様に、撮影画像のクロップ処理を行ない、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率を有するクロップ画像を得て、次いで、ステップS109において、得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれ、ステップS110において、クロップ画像を表示部90に表示させる処理が行なわれる。
ここで、上述したように、本実施形態においては、クロップ画像を得る際に、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なうものである。そのため、たとえば、図6(A)に示す時間t12〜t16において、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させることにより、撮影画像の画角を、図4(A)に示す画像から、図4(C)に示す画像のように変化させるとともに、図5(A)〜図5(C)に示すようにクロップ処理を行なうことにより得られたクロップ画像を得て、これを動画像として保存することにより、得られる動画像における、画角の変化を防止することが可能となる。
そして、本実施形態によれば、図6(A)に示すように、t12〜t16において、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に駆動した場合でも、図7(B)のように、ズームレンズ13を駆動させ、これにより、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率(図6(B)中において、実線で示した。)を、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α3より小さいものとし、かつ、得られた撮影画像から、上述したステップS107で説明したようにクロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、メモリ60に保存するための動画像とすることにより、得られる動画像の像倍率(図3(B)において、破線で示した。)が、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α3のままに保たれることとなる。
一方、上述したステップS106において、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていないと判定された場合には、ステップS112に進み、ステップS103において、メモリ60に保存した、撮像素子31により撮像された撮影画像を、動画像として記憶させる処理が行なわれるとともに、この撮影画像を、表示部90に表示させる処理が行なわれる。
また、上述したステップS105において、フォーカスレンズ12がウォブリング駆動中であると判断された場合には、ステップS113に進む。なお、上述したように、本実施形態においては、ウォブリング動作は、フォーカスレンズ12を現在のレンズ位置から、撮影倍率が小さくなる方向に微小駆動させ、次いで、元のレンズ位置に戻すという動作を繰り返すことにより実行される。そのため、ステップS113では、フォーカスレンズ12が、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置にあるか、あるいは、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置よりも、撮影倍率が小さくなる方向に位置しているかの判定が行なわれる。ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置にあると判断された場合には、ステップS112に進み、ステップS103において、メモリ60に保存した、撮像素子31により撮像された撮影画像を、動画像として記憶させる処理が行なわれるとともに、この撮影画像を、表示部90に表示させる処理が行なわれる。
一方、フォーカスレンズ12が、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置よりも、撮影倍率が小さくなる方向に位置していると判定された場合には、ステップS108に進み、上記と同様に、撮影画像のクロップ処理を行ない、ウォブリング動作を実行する前の像倍率と同じ像倍率を有するクロップ画像を得て、次いで、ステップS109において、得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれ、ステップS110において、クロップ画像を表示部90に表示させる処理が行なわれる。
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は動作する。
本実施形態においては、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動した場合には、図7(A)〜図7(C)に示すように、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させることにより、フォーカスレンズ12を駆動する前と比較して、撮像素子31により撮像される画像の撮影倍率が小さくなるように制御するとともに、得られた撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理を行ない、得られたクロップ画像を、動画像として保存するものである。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動した場合でも、得られる動画像の画角の変化を抑制することができ、これにより、得られる動画像を画角変化の少ない良好なものとすることができる。
また、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向(すなわち、画角が広くなる方向)に移動した場合には、撮像素子31により撮像された撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理を行ない、得られたクロップ画像を、動画像として保存する。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動した場合に加えて、撮影倍率が小さくなる方向に移動した場合でも、得られる動画像の画角の変化を抑制することができ、これにより、得られる動画像を画角変化の少ない良好なものとすることができる。
さらに、本実施形態によれば、ウォブリング動作を、フォーカスレンズ12を現在のレンズ位置から、撮影倍率が小さくなる方向に微小駆動させ、次いで、元のレンズ位置に戻すという動作を繰り返すことにより実行するとともに、フォーカスレンズ12が、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置よりも、撮影倍率が小さくなる方向に位置する場合に、ウォブリング動作を実行する前の像倍率と同じ像倍率を有するクロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、動画像として保存する。そのため、本実施形態によれば、ウォブリング動作により、撮影倍率が変化した場合でも、得られる動画像の画角の変化を抑制することができ、これにより、得られる動画像を画角変化の少ない良好なものとすることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、AF処理部70aにより、コントラスト方式によって、オートフォーカス動作を行なう態様を例示したが、コントラスト方式に特に限定されず、たとえば、位相差方式によって、オートフォーカス動作を行なう態様としてもよい。
また、上述した実施形態においては、レンズ一体型のデジタルカメラ1を例示して説明したが、レンズ交換型のデジタルカメラや、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュールなどにも適用することができる。