JP6510954B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油組成物、特に自動変速機に好適な潤滑油組成物に関する。
駆動系油の省燃費化技術として近年よく適用される技術は、製品粘度の低粘度化により攪拌損失を低減することである。しかし、省燃費化のために製品粘度の低粘度化を行うことで、油膜厚さが低下し極圧性や耐摩耗性の低下を招くことは周知の事実である。
特開2004−262979号公報 特開2006−117853号公報
本発明は、以上のような事情に鑑み、省燃費性を向上するため広い温度域における金属間摩擦係数を大幅に低減しつつもクラッチトルク容量を確保し、極圧性にも優れる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、所定の基油に、所定のモリブデン化合物、カルボキシ基を有するチオリン酸エステルおよび金属系清浄剤を所定割合で組み合わせてなる潤滑油組成物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)潤滑油基油に、(B)モリブデン化合物をモリブデン元素換算、組成物全量基準で20〜1000質量ppm、(C)下記式(1)に示すカルボキシ基を有するチオリン酸エステルをリン元素換算、組成物全量基準で5〜500質量ppm、(D)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤を金属元素換算、組成物全量基準で10〜1000質量ppm含有することを特徴とする潤滑油組成物である。
Figure 0006510954
(式(1)中、Rは水素原子もしくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜8の2価のヒドロカルビル基を示す。)
また、本発明は、(D)成分がカルシウムスルホネートであることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
また、本発明は、(A)潤滑油基油が、%Cが60以上、%Cが40以下、%Cが3以下であることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
また、本発明は、(A)潤滑油基油の100℃における動粘度が2.0〜4.3mm/sであることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
また、本発明は、潤滑油組成物の40℃における動粘度が4〜25mm/s、100℃における動粘度が2.0〜5.4mm/sであることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
また、本発明は、さらに、(E)流動点降下剤を含有することを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
さらに、本発明は、自動変速機に使用されることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物である。
本発明の潤滑油組成物は、効率向上のため低温時における金属間摩擦係数を大幅に低減させつつもクラッチトルク容量を確保し、極圧性にも優れ、省燃費化と耐久性に優れる自動変速機用として好適な潤滑油組成物である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の潤滑油組成物は(A)成分として潤滑油基油を含有する。
潤滑油基油としては、通常潤滑油基油として用いられる基油を使用することができる。例えば鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油およびこれらの混合物が挙げられる。
鉱油系潤滑油基油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の鉱油系潤滑油基油やノルマルパラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。なお、これらの基油は単独でも、2種以上任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
好ましい鉱油系潤滑油基油としては以下の基油を挙げることができる。
〔1〕パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留による留出油;
〔2〕パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留
出油(WVGO);
〔3〕潤滑油脱ろう工程により得られるワックスおよび/またはGTLプロセス等によ
り製造されるフィッシャートロピシュワックス;
〔4〕〔1〕〜〔3〕の中から選ばれる1種または2種以上の混合油のマイルドハイド
ロクラッキング処理油(MHC);
〔5〕〔1〕〜〔4〕の中から選ばれる2種以上の油の混合油;
〔6〕〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕または〔5〕の脱れき油(DAO);
〔7〕〔6〕のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC);
〔8〕〔1〕〜〔7〕の中から選ばれる2種以上の油の混合油などを原料油とし、この原料油および/またはこの原料油から回収された潤滑油留分を、通常の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる潤滑油
ここでいう通常の精製方法とは特に制限されるものではなく、潤滑油基油製造の際に用いられる精製方法を任意に採用することができる。通常の精製方法としては、例えば、(ア)水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製、(イ)フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製、(ウ)溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう、(エ)酸性白土や活性白土などによる白土精製、(オ)硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸またはアルカリ)精製などが挙げられる。本発明ではこれらの1つまたは2つ以上を任意の組み合わせおよび任意の順序で採用することができる。
本発明で用いる鉱油系潤滑油基油としては、上記〔1〕〜〔8〕から選ばれる基油をさらに以下の処理を行って得られる基油が特に好ましい。
すなわち、上記〔1〕〜〔8〕から選ばれる基油をそのまま、またはこの基油から回収された潤滑油留分を、水素化分解あるいはワックス異性化し、当該生成物をそのまま、もしくはこれから潤滑油留分を回収し、次に溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、その後、溶剤精製及び/または水素化精製処理するか、または、溶剤精製処理及び/または水素化精製した後、溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行って製造される水素化分解鉱油及び/又はワックス異性化イソパラフィン系基油が好ましく用いられる。この水素化分解鉱油及び/又はワックス異性化イソパラフィン系基油は、基油全量基準で好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上使用することが望ましい。
合成系潤滑油基油としては、例えば、ポリα−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、およびこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族系基油、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)等のエステル系基油、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル等のエーテル系基油、リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油、FT反応などの合成ワックスおよび/または石油精製工程から得られるワックス(好ましくは溶剤脱ロウ工程で得られるスラックワックス)を異性化、水素化して得られる高性能炭化水素基油、テルペン類のような天然由来の不飽和炭化水素を水添して得られる炭化水素基油等が例示できる。
好ましい合成系潤滑油基油としてはポリα−オレフィンが挙げられる。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)及びその水素化物が挙げられる。
潤滑油基油は、2種類以上の鉱油系基油同士、又は2種類以上の合成油系基油同士の混合物であっても差し支えなく、鉱油系基油と合成油系基油との混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物における2種類以上の基油の混合比は、任意に選ぶことができる。本発明において、潤滑油基油は炭化水素系基油であることが好ましく、中でも省燃費性の観点から、粘度-温度特性に優れる水素化分解鉱油がより好ましく、ワックス異性化基油がさらに好ましい。
潤滑油基油の%Cは、特に制限はないが、60以上が好ましく、65以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。
潤滑油基油の%Cは、特に制限はないが、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。
潤滑油基油の%Cは、特に制限はないが、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。
潤滑油基油の100℃における動粘度は、特に制限はないが、4.3mm/s以下が好ましく、4.2mm/s以下がより好ましく、4.0mm/s以下がさらに好ましい。100℃における動粘度を4.3mm/s以下とすることによって、流体抵抗が小さくなるため潤滑個所での摩擦抵抗がより小さい潤滑油組成物を得ることが可能となる。
一方、潤滑油基油の100℃における動粘度は、2.0mm/s以上が好ましく、2.2mm/s以上がより好ましく、2.4mm/s以上がさらに好ましい。2.0mm/s以上にすることで、油膜形成が十分となり、潤滑性により優れ、また、高温条件下での基油の蒸発損失がより小さい潤滑油組成物を得ることが可能となる。
潤滑油基油の粘度指数は、特に制限はないが、80以上が好ましく、90以上がより好ましく、100以上が特に好ましい。粘度指数を80以上とすることによって、疲労寿命、初期及び長期間使用後の極圧性により優れた組成物を得ることができる。
潤滑油基油の硫黄含有量は、特に制限はないが、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下がさらに好ましく、1質量ppm以下が特に好ましい。
なお、潤滑油基油が混合物である場合には当該混合物として上記性状を判断し、混合物を構成する基油それぞれの性状によらない。
本発明の潤滑油組成物は(B)成分としてモリブデン化合物を含有する。
本発明で用いるモリブデン化合物としては、(B1)硫黄を含有する有機モリブデン化合物、または(B2)構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物等の各種有機モリブデン化合物が挙げられる。
まず、(B1)硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカーバメート等が挙げられる。
モリブデンジチオホスフェートとしては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006510954
上記一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ個別に炭素数2〜30、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数5〜12のアルキル基、又は炭素数6〜18、好ましくは炭素数10〜15の(アルキル)アリール基等の炭化水素基を示す。またY〜Yは、それぞれ個別に、硫黄原子または酸素原子を示す。
モリブデンジチオカーバメートとしては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006510954
上記一般式(3)中、R〜Rは、それぞれ個別に炭素数2〜24、好ましくは炭素数4〜13のアルキル基、又は炭素数6〜24、好ましくは炭素数10〜15の(アルキル)アリール基等の炭化水素基を示す。またY、Y、Y及びYは、それぞれ個別に、硫黄原子または酸素原子を示す。
また、これら以外の硫黄を含有する有機モリブデン化合物としては、モリブデン化合物(例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等)と、硫黄含有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等)あるいはその他の有機化合物との錯体等、あるいは、上記硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物と、後述する、構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物の項で説明するアミン化合物、コハク酸イミド、有機酸、アルコール等との錯体等、あるいは、元素イオウ、硫化水素、五硫化リン、酸化硫黄、無機硫化物、ヒドロカルビル(ポリ)スルフィド、硫化オレフィン、硫化エステル、硫化ワックス、硫化カルボン酸、硫化アルキルフェノール、チオアセトアミド、チオ尿素等の硫黄源と、後述する構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物の項で説明する、構成元素として硫黄を含まないモリブデン化合物と、後述する構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物の項で説明する、アミン化合物、コハク酸イミド、有機酸、アルコール等の硫黄を含まない有機化合物とを反応させた硫黄含有有機モリブデン化合物等様々なものを挙げることができる。具体的には、特開昭56−10591号公報や米国特許第4263152号等に記載されているような有機モリブデン化合物を例示することができる。
(B2)構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物としては、具体的には、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩などが挙げられ、中でも、モリブデン−アミン錯体、有機酸のモリブデン塩及びアルコールのモリブデン塩が好ましい。
本発明に係る有機モリブデン化合物としては、摩擦低減効果に優れる点で、硫黄含有有機モリブデン化合物が好ましく、モリブデンジチオカーバメートを使用することが特に好ましい。
本発明に用いられる潤滑油組成物において、(B)有機モリブデン化合物の含有量は、組成物全量基準でモリブデン元素換算量として、20質量ppm以上が好ましく、60質量ppm以上がより好ましく、100質量ppm以上がさらに好ましく、150質量ppm以上が特に好ましい。含有量が20質量ppm未満の場合、省燃費効果が期待できない。
一方、1000質量ppm以下が好ましく、800質量ppm以下がより好ましく、600質量ppm以下がさらに好ましい。含有量が1000質量ppmを超える場合、潤滑油組成物の、特に高温下での安定性が低下する傾向にあるため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物は、(C)成分として、下記式(1)に示す末端にカルボキシ基を有するチオリン酸エステルを含有する。
Figure 0006510954
式(1)中、Rは水素原子もしくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜8の2価のヒドロカルビル基を示す。
およびRのヒドロカルビル基の炭素数は、1〜20であり、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8である。
およびRのヒドロカルビル基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基などが挙げられる。より具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基(クレジル基)、キシレニル基などが挙げられる。ヒドロカルビル基は飽和であっても不飽和であっても良く、直鎖状であっても分枝状であっても良い。
これらの中でも、飽和炭化水素基が好ましく、アルキル基が特に好ましい。
の2価のヒドロカルビル基の炭素数は1〜8であり、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。
のヒドロカルビル基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキルシクロアルキレン基などが挙げられる。より具体的には、メチレン基、エチレン基などが挙げられる。ヒドロカルビル基は飽和であっても不飽和であっても良く、直鎖状であっても分枝状であっても良い。
これらの中でも、飽和炭化水素基が好ましく、アルキレン基が特に好ましい。
式(1)に示す末端にカルボキシ基を有するチオリン酸エステルの含有量は、リン元素換算、組成物全量基準で、5質量ppm以上であり、25質量ppm以上がより好ましく、50質量ppm以上がさらに好ましく、100質量ppm以上が特に好ましい。含有量が5質量ppm未満では耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果が不十分となる傾向にある。
一方、含有量は、500質量ppm以下であり、400質量ppm以下が好ましく、300質量ppm以下がより好ましい。500質量ppmを超えても含有量に見合うだけの耐摩耗性の更なる向上効果は得られず、また酸化安定性およびスラッジ抑制性が低下する傾向にある。
本発明の潤滑油組成物は(D)成分としてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤を含有する。
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤の具体例としては、例えばアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート及びサリシレートを挙げることができ、これらの中から選ばれる1種類又は2種類以上の金属系清浄剤を用いることができる。
スルホネートとしては、より具体的には、例えば分子量100〜1500、好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸の金属塩を挙げることができる。アルキル芳香族スルホン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。
フェネートとしては、より具体的には、炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を少なくとも1個有するアルキルフェノール、このアルキルフェノールと硫黄を反応させて得られるアルキルフェノールサルファイド又はこのアルキルフェノールとホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキルフェノールのマンニッヒ反応生成物の金属塩を挙げることができる。
サリシレートとしては、より具体的には、炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を少なくとも1個有するアルキルサリチル酸の金属塩を挙げることができる。
上記スルホネート、フェネート及びサリシレートには、中性塩(正塩)だけでなく、さらにこれら中性塩(正塩)と過剰のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩やアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩基(アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガスの存在下で中性塩(正塩)をアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより得られる過塩基性塩(超塩基性塩)も含まれる。
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられ、なかでもマグネシウム、カルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤としては、カルシウムスルホネートが最も好ましい。
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤の塩基価は、特に制限はないが酸化安定性確保の観点から、100〜600mgKOH/gが好ましく、150〜500mgKOH/gがより好ましく、200〜400mgKOH/gがさらに好ましい。
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤の含有量は、金属元素換算、組成物全量基準で10質量ppm以上が好ましく、40質量ppm以上がより好ましく、70質量ppm以上がさらに好ましい。
一方、クラッチ板の摩擦材の目詰まりによる摩擦係数の低下を防止する観点から、1000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、400質量ppm以下がさらに好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、(E)成分として、必要に応じて流動点降下剤を含有することが好ましい。流動点降下剤を含有させることで、潤滑油組成物の低温流動性を向上させることができるため好ましい。
流動点降下剤としては、公知の流動点降下剤を任意に選択することができるが、ポリメタクリレート系流動点降下剤が特に好ましい。流動点降下剤の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、5万以上がより好ましい。また30万以下であることが好ましく、20万以下がより好ましく、15万以下が更に好ましい。重量平均分子量が30万を超えると組成物の剪断安定性が低下するため好ましくなく、1万未満では流動点効果剤としての効果が小さい。流動点降下剤の含有割合は潤滑油組成物全量基準で、0.01質量%以上が好ましく、0.02量%以上がより好ましく、また20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が最も好ましい。添加量が20質量%を超えると組成物の剪断安定性が低下するため好ましくなく、0.01質量%未満では流動点効果剤としての効果が小さい。
なお、潤滑油基油として合成油系基油を用いる場合には、流動点降下剤は必ずしも含有しなくてもよいが、潤滑油基油として鉱油系基油を用いる場合は、流動点降下剤を含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物には、さらに性能を高める目的で、公知の潤滑油添加剤、例えば、無灰分散剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、消泡剤、着色剤等に代表される各種添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて配合することができる。
無灰分散剤としては、潤滑油の無灰分散剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアミン等及びそれらのホウ素化合物、リン化合物、硫黄化合物、含酸素有機化合物等により変性された誘導体等が挙げられる。
摩耗防止剤としては、潤滑油の摩耗防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、リン及び/又は硫黄含有摩耗防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。
摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、モリブデン系摩擦調整剤、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
腐食防止剤としては、潤滑油用の腐食防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
消泡剤としては、潤滑油用の消泡剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
上記各種の添加剤を配合する場合の配合割合は特に限定されるものではなく、通常、潤滑油組成物全量基準で0.001〜10質量%の範囲内で、それぞれの目的と効果を勘案して適宜決定することができる。
なお、本発明の潤滑油組成物では、粘度指数向上剤を含有しても良いが、含有しない方がより好ましい。
かかる粘度指数向上剤としては、非分散型あるいは分散型の公知の粘度指数向上剤が挙げられる。非分散型粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、ポリイソブチレン、ポリスチレン等のオレフィンポリマー類を挙げることができる。また、分散型粘度指数向上剤としては、上記非分散型粘度指数向上剤を形成するモノマーと、含窒素モノマーとが共重合してなるポリマーを挙げることができる。
本発明の潤滑油組成物における粘度指数向上剤の含有割合は、滑油組成物全量基準で0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜3質量%がさらに好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、2.0mm/s以上が好ましく、2.2mm/s以上がより好ましい。2.0mm/s以上にすることで、十分な潤滑性を確保できる。
一方、100℃における動粘度は、5.4mm/s以下が好ましく、5.0mm/s以下がより好ましい。5.4mm/s以下にすることで、低温粘度特性に優れた潤滑油組成物を得られる。
本発明の潤滑油組成物の40℃における動粘度は、25.0mm/s以下が好ましく、22.5mm/s以下がより好ましく、20.0mm/s以下がさらに好ましい。40℃における動粘度を25.0mm/s以下とすることによって、流体抵抗が小さくなるため潤滑個所での摩擦抵抗がより小さい潤滑油組成物を得ることが可能となる。
一方、潤滑油組成物の40℃における動粘度は、4.0mm/s以上が好ましく、6.0mm/s以上がより好ましく、8.0mm/s以上がさらに好ましい。4.0mm/s以上にすることで、油膜形成が十分となり、潤滑性により優れ、また、高温条件下での基油の蒸発損失がより小さい潤滑油組成物を得ることが可能となる。
本発明の潤滑油組成物の用途は特に限定されず任意の用途に使用できるが、(C)成分として式(1)に示す末端にカルボキシ基を有するチオリン酸エステルを特定量含有することによって、低温時における金属間摩擦係数を低減させつつもクラッチトルク容量および極圧性に優れるため、特に自動変速機に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6および比較例1〜8)
表1に示す組成の潤滑油組成物を調製した。各添加剤の添加量(質量%または質量ppm)は組成物全量基準である。各潤滑油組成物の性状について評価し表1に併記した。
Figure 0006510954

Claims (4)

  1. (A)100℃における動粘度が2.0〜4.3mm /sである潤滑油基油に、(B)モリブデン化合物をモリブデン元素換算、組成物全量基準で20〜1000質量ppm、(C)下記式(1)に示すカルボキシ基を有するチオリン酸エステルをリン元素換算、組成物全量基準で5〜500質量ppm、(D)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系清浄剤を金属元素換算、組成物全量基準で10〜1000質量ppm、および(E)流動点降下剤を組成物全量基準で0.01〜1質量%含有し、潤滑油組成物の40℃における動粘度が4〜25mm /sであることを特徴とする自動変速機に使用される潤滑油組成物。
    Figure 0006510954
    (式(1)中、Rは水素原子もしくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜20のヒドロカルビル基、Rは炭素数1〜8の2価のヒドロカルビル基を示す。)
  2. (D)成分がカルシウムスルホネートであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. (A)潤滑油基油が、%Cが60以上、%Cが40以下、%Cが3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
  4. 潤滑油組成物の100℃における動粘度が2.0〜5.4mm/sであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の潤滑油組成物。
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