JP6497346B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マスタシリンダとホイールシリンダとを繋ぐ液路に配置される差圧調整弁と、同差圧調整弁よりもホイールシリンダ側の液路にブレーキ液を供給するポンプとを備える、いわゆるインライン系の液圧制動装置に適用される車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、車両に付与する制動力を回生制動装置と協調して調整可能な、いわゆるインライン系の液圧制動装置の一例が記載されている。この液圧制動装置は、マスタシリンダとホイールシリンダとを繋ぐ液路に配置される差圧調整弁と、同差圧調整弁よりもホイールシリンダ側の液路にブレーキ液を供給するポンプとを備えている。そして、回生制動力の減少に応じて液圧制動力を増大させるすり替え制御の実施時には、差圧調整弁及びポンプの双方の作動によってホイールシリンダ内の液圧であるWC圧を増大させることにより、液圧制動力を増大させることができる。
上記の液圧制動装置では、マスタシリンダ内のブレーキ液をポンプによって汲み上げ、差圧調整弁とホイールシリンダとの間の液路に同ブレーキ液を供給できるようになっている。そのため、運転者による制動操作部材の操作力であるブレーキ操作力が一定である状況下でWC圧を増大させる場合、差圧調整弁及びポンプの作動によってマスタシリンダ内のブレーキ液の量が減少する。その結果、マスタシリンダ内の液圧であるMC圧、及び、同マスタシリンダに駆動連結されている制動操作部材の操作量であるブレーキ操作量が変わってしまうことがある。このようにMC圧やブレーキ操作量が変わると、MC圧及びブレーキ操作量の少なくとも一方を基に演算される要求制動力が変わり、すり替え制御の実施時に車両の減速度が変動するおそれがある。
そこで、特許文献1に記載の液圧制動装置では、ブレーキ操作力が変化していない状況下で、MC圧又はブレーキ操作量の変化を検出したときには、同MC圧の変化量又はブレーキ操作量を基に、要求制動力を補正するようにしている。これにより、ブレーキ操作力が変化していない状況下ですり替え制御が実施されている場合、回生制動力と液圧制動力との合計値の変化が抑制されるため、車両の減速度の変動を抑制することができる。
特開2010−179840号公報
ところで、すり替え制御は、回生制動力を減少させて液圧制動力を増大させる第1のすり替え制御と、回生制動力を増大させて液圧制動力を減少させる第2のすり替え制御とを含んでいる。第2のすり替え制御の実施時では、ホイールシリンダ内のWC圧を減少させるために、ポンプを作動させた状況下で差圧調整弁の開度が大きくされる。しかしながら、運転者による制動操作部材の操作によってマスタシリンダ内にMC圧が発生している状況下での第2のすり替え制御の実施時では、差圧調整弁の開度を大きくしてもホイールシリンダ内のブレーキ液がマスタシリンダ側に戻りにくい。この場合、WC圧が低くなりにくいため、回生制動力と液圧制動力との合計値が要求制動力よりも大きくなる。その結果、車両の減速度が、運転者の意図する減速度よりも大きくなるおそれがある。
具体的には、例えば差圧調整弁及びポンプの作動によってホイールシリンダ内のWC圧がマスタシリンダ内のMC圧よりも高い状況下で差圧調整弁の開度を大きくすると、ホイールシリンダ内のブレーキ液が差圧調整弁を介してマスタシリンダ側に移動する。すると、このようなマスタシリンダ側へのブレーキ液の移動に起因して制動操作部材が押し戻される動きに対して運転者が無意識に逆らい、すなわち運転者がブレーキ操作力を無意識に大きくすることで制動操作部材の操作反力が大きくなり、運転者の意図以上にMC圧が高くなることがある。このとき、制動操作部材の操作反力の増大量が多いほどMC圧が高くなり、差圧調整弁の開度に応じた差圧である指示差圧をMC圧に加えたWC圧が高くなるため、液圧制動力が想定よりも減少しない。その結果、車両の減速度が、運転者の意図する減速度よりも大きくなってしまう。
本発明の目的は、運転者による制動操作部材の操作によってマスタシリンダ内にMC圧が発生している状況下で液圧制動力を減少させる制御が実施されるときに、同液圧制動力を適切に減少させることができる車両の制動制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための車両の制動制御装置は、制動操作部材に駆動連結され、同制動操作部材の操作量が増大するほど大きな液圧が内部で発生するマスタシリンダと、車両の複数の車輪に対してそれぞれ設けられ、液路を介してマスタシリンダと繋がっているホイールシリンダと、マスタシリンダと各ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との差圧を大きくするときには開度が小さくされる差圧調整弁と、差圧調整弁とホイールシリンダとを繋ぐ液路の各々に設けられ、同ホイールシリンダ内の液圧を増大させないときに閉弁される保持弁と、マスタシリンダ内からブレーキ液を吸入し、差圧調整弁と各保持弁との間の液路に同ブレーキ液を供給するポンプと、を備えた液圧制動装置に適用されるものであり、差圧調整弁及びポンプを制御することで車両に付与する液圧制動力を調整する装置である。この車両の制動制御装置は、制動操作部材の操作が開始されたときに、各保持弁のうち、一部の保持弁を閉弁させる一方で、残りの保持弁を閉弁させない第1の処理部と、第1の処理部によって上記一部の保持弁が閉弁されており、且つ、差圧調整弁及びポンプの作動によって上記残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内の液圧(以下、「WC圧」ともいう。)がマスタシリンダ内の液圧(以下、「MC圧」ともいう。)よりも高くなっている状況下で、差圧調整弁の開度を大きくして車両に付与する液圧制動力を減少させるときに、上記一部の保持弁の開度を大きくする減圧処理を実施する第2の処理部と、を備える。
上記構成によれば、運転者による制動操作部材の操作が開始されると、差圧調整弁に液路を介して繋がっている複数の保持弁のうち、一部の保持弁が閉弁される。すなわち、各保持弁のうち、残りの保持弁のみが開弁していることとなる。そのため、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内にブレーキ液を供給することで、同ホイールシリンダ内のWC圧に相当する液圧制動力が車両に付与されるようになる。
また、上記構成では、運転者によって制動操作部材が操作されているときに、差圧調整弁及びポンプが作動し、残りの保持弁(すなわち、閉弁していない保持弁)に対応するホイールシリンダ内のWC圧が、マスタシリンダ内のMC圧よりも高くなることがある。このような状況下で液圧制動力を減少させる必要が生じたときには、差圧調整弁の開度を大きくするだけではなく、減圧処理の実施によって上記一部の保持弁(すなわち、閉弁されていた保持弁)の開度が大きくされる。これにより、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液が、一部の保持弁に対応するホイールシリンダ側に流出するようになる。すると、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧が低くなり、一部の保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧が高くなる。
ここで、ホイールシリンダ内のWC圧は、ホイールシリンダ内のブレーキ液の量が増えると高くなり、ブレーキ液の量が減ると低くなる。しかも、ホイールシリンダ内のブレーキ液の量が所定量だけ変化した場合におけるWC圧の変化量は、ホイールシリンダ内のブレーキ液の量の変化開始直前のWC圧が高いときほど大きい。そして、上記の減圧処理の開始前にあっては、一部の保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧が、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧よりも低い。
そのため、上記減圧処理の実施によって一部の保持弁を開弁させた場合、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧の減少量のほうが、一部の保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧の増大量よりも大きい。その結果、車両全体としては液圧制動力が小さくなる。したがって、運転者による制動操作部材の操作によってマスタシリンダ内のMC圧が増大されている状況下で、液圧制動力を減少させる制御が実施されるときに、同液圧制動力を適切に減少させることができるようになる。また、減圧処理の実施によって、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液が、一部の保持弁に対応するホイールシリンダ側に流出するため、ホイールシリンダ内からマスタシリンダ側へのブレーキ液の移動が抑制され、ひいてはMC圧の増大が抑制される。
また、上記車両の制動制御装置において、第2の処理部は、第1の処理部によって一部の保持弁が閉弁されており、且つ、差圧調整弁及びポンプの作動によって残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧がマスタシリンダ内のMC圧よりも高くなっている状況下で、差圧調整弁の開度を大きくして車両に付与する液圧制動力を減少させるときに、差圧調整弁の開度の増大に起因してマスタシリンダ内のMC圧が増大したと判定したときに、上記一部の保持弁の開度を大きくする減圧処理を開始することが好ましい。
上記構成によれば、差圧調整弁の開度の増大に起因してマスタシリンダ内のMC圧が増大したと判定した場合、制動操作部材に対する操作反力が増大し始めていると判断できるため、上記減圧処理の実施によって上記一部の保持弁が開弁される。これにより、上記残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内からマスタシリンダ側にブレーキ液が移動しにくくなる分、MC圧のさらなる増大や制動操作部材の操作量の減少が抑制される。そのため、制動操作部材を操作する運転者のフィーリングの悪化を抑制しつつ、液圧制動力を適切に減少させることができるようになる。
ここで、液圧制動装置は、補助リザーバと、ホイールシリンダの各々に対して設けられ、同ホイールシリンダ内のブレーキ液を補助リザーバに流出させる際に開弁される減圧弁と、を備えていることがある。この場合、運転者によって制動操作部材が操作されており、ホイールシリンダ内のWC圧が高くなっている場合、減圧弁を開弁させると、同減圧弁に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液が補助リザーバ側に排出されるため、同ホイールシリンダ内のWC圧を減少させることができる。
ところで、上記一部の保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧と上記残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧との差が小さくなるほど、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内から一部の保持弁に対応するホイールシリンダ側にブレーキ液が流出しにくくなる。すると、残りの保持弁に対応するホイールシリンダ内のWC圧を減少させにくくなる、すなわち液圧制動力を減少させにくくなる。
そこで、上記の液圧制動装置に適用される車両の制動制御装置は、第2の処理部が実施する減圧処理を第1の減圧処理とした場合、第2の処理部による第1の減圧処理の実施によって上記一部の保持弁が開弁された状況下で、各減圧弁のうち少なくとも1つの減圧弁を開弁させる第2の減圧処理を実施する第3の処理部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第2の減圧処理の実施によって、各減圧弁のうち少なくとも1つの減圧弁を開弁させることにより、同減圧弁に対応するホイールシリンダ内のブレーキ液が補助リザーバ側に流出するようになる。その結果、同ホイールシリンダ内のWC圧が減少され、且つホイールシリンダ内のブレーキ液を補助リザーバ側へ排出することでホイールシリンダ内からマスタシリンダ側へのブレーキ液の移動が抑制されてMC圧の増大が抑えられることにより、液圧制動力を減少させることができる。
車両の制動制御装置の一実施形態であるブレーキECUを備えるハイブリッド車両の概略を示す構成図。 同ブレーキECUによって制御される液圧制動装置を構成する液圧供給装置の概略を示す模式図。 同液圧制動装置の概略を示す構成図。 ブレーキ操作が開始されたときに、制御液圧制動力を演算し、同制御液圧制動力に基づいて差圧調整弁及びポンプを制御するための処理手順を説明するフローチャート。 ブレーキ操作が開始されたときに各減圧処理を実施するための処理手順を説明するフローチャート。 目標制動力と目標アシスト量との関係を示すマップ。 ストローク変化量と基準MC圧変化量との関係を示すマップ。 ホイールシリンダ内のブレーキ液の量とホイールシリンダ内の液圧との関係を示すグラフ。 ブレーキ操作中にアシスト制御が実施された場合において、(a)は制動力の推移を示すタイミングチャート、(b)はアシスト制御の実施の有無の推移を示すタイミングチャート、(c)はすり替え制御の実施の有無の推移を示すタイミングチャート、(d)はマスタシリンダ内の液圧の推移を示すタイミングチャート。 車両走行中にブレーキ操作が開始された場合において、(a)は制動力の推移を示すタイミングチャート、(b)はマスタシリンダ内の液圧の推移を示すタイミングチャート、(c)は前輪用のホイールシリンダ内の液圧の推移を示すタイミングチャート、(d)は後輪用のホイールシリンダ内の液圧の推移を示すタイミングチャート、(e)は後輪用の保持弁の作動の推移を示すタイミングチャート、(f)は後輪用の減圧弁の作動の推移を示すタイミングチャート、(g)は差圧調整弁に対する差圧指示電流値の推移を示すタイミングチャート、(h)はポンプの作動の推移を示すタイミングチャート。
以下、車両の制動制御装置を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1には、本実施形態の車両の制動制御装置であるブレーキECU120を備えるハイブリッド車両の一例が図示されている。図1及び図2に示すように、この車両は、駆動輪である前輪FL,FRに駆動力を付与するパワーユニット10と、車両に付与する液圧制動力を調整する液圧制動装置30と、パワーユニット10及び液圧制動装置30を制御する車両制御装置100とを備えている。
また、図1に示すように、車両では、車輪FL,FR,RL,RRの各々に対してブレーキ機構20が設けられている。ブレーキ機構20は、車輪FL,FR,RL,RRと一体回転する回転体21に摩擦材22を押し付けることで車輪FL,FR,RL,RRに制動力を付与することができる。なお、回転体21を摩擦材22に押し付ける力、すなわち制動力は、ホイールシリンダ23a,23b,23c,23d内の液圧であるWC圧Pwcが高いほど大きい。そして、ブレーキ機構20が車輪FL,FR,RL,RRに付与する制動力の合計が、車両に付与する液圧制動力に相当する。
パワーユニット10は、エンジン11及び駆動モータ12のうち少なくとも一方の動力源からの駆動力を前輪FL,FRに伝達可能に構成されている。また、車両制動時には、前輪FL,FRの回転を駆動モータ12に伝えることにより、駆動モータ12に発電させることができる。すなわち、駆動モータ12は、発電に応じた制動力である回生制動力BPRを車両に付与することもできる。
図1に示すように、液圧制動装置30は、制動操作部材の一例であるブレーキペダル31が駆動連結されている液圧供給装置32と、液圧供給装置32と各ホイールシリンダ23a〜23dとの間に配置されているブレーキアクチュエータ50とを備えている。図1及び図2に示すように、液圧供給装置32は、運転者によるブレーキペダル31の操作力であるブレーキ操作力を助勢するブースタ33と、ブースタ33によって助勢されたブレーキ操作力が入力されるマスタシリンダ34と、ブレーキ液が貯留される大気圧リザーバ35とを備えている。
図2に示すように、マスタシリンダ34を構成する有底筒状のハウジング40内には、図中左右方向に並ぶ2つのマスタピストン411,412が設けられている。これら各マスタピストン411,412は、入力されるブレーキ操作力が大きくなると、各スプリング421,422からの付勢力に抗して図中左方向である制動方向に摺動する。反対に、各マスタピストン411,412は、入力されるブレーキ操作力が小さくなると、各スプリング421,422からの付勢力によって図中右方向である非制動方向に摺動する。
また、マスタシリンダ34内の第1のマスタ室431は、ブレーキアクチュエータ50の後述する第1の液圧回路511と連通するとともに、第1の連通路441を通じた大気圧リザーバ35との連通が可能となっている。また、マスタシリンダ34内の第2のマスタ室432は、ブレーキアクチュエータ50の後述する第2の液圧回路512と連通するとともに、第2の連通路442を通じた大気圧リザーバ35との連通が可能となっている。
そして、第1のマスタ室431と第1の液圧回路511との連通、及び、第2のマスタ室432と第2の液圧回路512との連通は、ブレーキ操作量BPInputが多くても少なくても維持される。これに対し、各マスタ室431,432と大気圧リザーバ35との連通は、ブレーキ操作量BPInputが無効操作量BPInputTH未満であるときには維持される。この場合、大気圧リザーバ35を基準とする各マスタ室431,432の液圧であるMC圧Pmcは「0」となるため、すなわちMC圧Pmcが発生していないため、各マスタ室431,432内からブレーキアクチュエータ50側、すなわち各液圧回路511,512にブレーキ液が流出されない。
一方、各マスタ室431,432と大気圧リザーバ35との連通は、ブレーキ操作量BPInputが無効操作量BPInputTH以上であるときには各マスタピストン411,412によって遮断される。この場合、MC圧Pmcは、ブレーキ操作量BPInput(すなわち、ブレーキ操作力)が大きいほど高くなる。すなわち、ブレーキ操作量BPInputが無効操作量BPInputTH以上になると、マスタシリンダ34内でMC圧Pmcが発生するようになる。そして、各マスタ室431,432からは、MC圧Pmcが高いほど多くのブレーキ液がブレーキアクチュエータ50側、すなわち各液圧回路511,512に流出する。この場合、各マスタ室431,432から流出したブレーキ液がホイールシリンダ23a〜23d内に流入すると、ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcが高くなり、車両に液圧制動量が付与されるようになる。なお、本明細書では、このようなMC圧Pmcに応じた液圧制動力のことを、「基準液圧制動力BPB」ということもある。
図3に示すように、ブレーキアクチュエータ50には、2系統の液圧回路511,512が設けられている。第1の液圧回路511には左前輪用のホイールシリンダ23aと右後輪用のホイールシリンダ23dとが接続されるとともに、第2の液圧回路512には右前輪用のホイールシリンダ23bと左後輪用のホイールシリンダ23cとが接続されている。
各液圧回路511,512においてマスタシリンダ34とホイールシリンダ23a〜23dとを接続する液路には、差圧調整弁521,522が設けられている。この差圧調整弁521,522は、常開型のリニア電磁弁であり、入力される差圧指示電流値Ismが大きくなるほど開度が小さくなる。また、第1の液圧回路511において差圧調整弁521よりもホイールシリンダ23a,23d側には、左前輪用の経路53a及び右後輪用の経路53dが設けられている。同様に、第2の液圧回路512において差圧調整弁522よりもホイールシリンダ23b,23c側には、右前輪用の経路53b及び左後輪用の経路53cが設けられている。そして、こうした経路53a〜53dには、ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcを増大させないときに閉弁される常開型の電磁弁である保持弁54a,54b,54c,54dと、WC圧Pwcを減少させるときに開弁される常閉型の電磁弁である減圧弁55a,55b,55c,55dとが設けられている。
また、各液圧回路511,512には、減圧弁55a〜55dが開弁しているときに、ホイールシリンダ23a〜23d内から減圧弁55a〜55dを通じて流出したブレーキ液を一時的に貯留する補助リザーバ561,562と、ポンプ用モータ57の駆動に基づき作動するポンプ581,582とが接続されている。補助リザーバ561,562は、吸入用流路591,592を通じてポンプ581,582に接続されるとともに、マスタ側流路601,602を通じて差圧調整弁521,522よりもマスタシリンダ34側の液路に接続されている。また、ポンプ581,582は、供給用流路611,612を通じて差圧調整弁521,522と保持弁54a〜54dとの間の接続部位621,622に接続されている。
そして、ポンプ581,582は、ポンプ用モータ57が駆動する場合に、補助リザーバ561,562内からブレーキ液を汲み取り、該ブレーキ液を供給用流路611,612に供給する。また、補助リザーバ561,562内にブレーキ液が残っていない場合、ポンプ581,582は、マスタシリンダ34内(すなわち、マスタ室431,432)のブレーキ液を吸入用流路591,592及びマスタ側流路601,602を通じて汲み取り、該ブレーキ液を供給用流路611,612に供給する。そのため、差圧調整弁521,522とポンプ581,582とを作動させると、差圧調整弁521,522よりもホイールシリンダ23a〜23d側の液路と、差圧調整弁521,522よりもマスタシリンダ34側の液路との間に差圧が発生するようになる。なお、当該差圧は、差圧調整弁521,522の開度が小さいほど大きくなる。
つまり、本液圧制動装置30では、マスタシリンダ34内でMC圧Pmcが発生していない場合、すなわちMC圧Pmcが「0」である場合でも、ポンプ581,582及び差圧調整弁521,522を作動させることで、ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcを高くし、車両に液圧制動力を付与することができる。なお、本明細書では、このような差圧調整弁521,522及びポンプ581,582の作動に応じた液圧制動力のことを、「制御液圧制動力BPP」ということもある。
図1に示すように、車両制御装置100には、車輪FL,FR,RL,RRと同数の車輪速度センサ201、MC圧センサ202、ストロークセンサ203及びブレーキスイッチ204などの検出系が電気的に接続されている。車輪速度センサ201は、対応する車輪FL,FR,RL,RRの速度である車輪速度VWを検出し、MC圧センサ202はマスタシリンダ34内のMC圧Pmcを検出する。ストロークセンサ203は運転者によるブレーキペダル31の操作量であるブレーキ操作量BPInputを検出し、ブレーキスイッチ204はブレーキペダル31が操作されているか否かを検出する。
また、車両制御装置100は、パワーユニット10の制御を司るパワーユニット制御装置110と、液圧制動装置30のブレーキアクチュエータ50を制御するブレーキECU120とを有している。パワーユニット制御装置110は、エンジン11を制御するエンジンECU111と、駆動モータ12を制御するモータECU112とを含んでいる。なお、「ECU」とは、「Electronic Control Unit」の略記である。
そして、ブレーキECU120がブレーキ操作量BPInput及びMC圧Pmcなどを基に要求制動力BPTAを演算すると、モータECU112は、要求制動力BPTAを超えない範囲の回生制動力BPRを発生させるべく駆動モータ12に発電させる。また、モータECU112は、車両に付与している回生制動力BPRに関する情報をブレーキECU120に送信する。したがって、本実施形態では、駆動モータ12及びモータECU112により、車両に回生制動力BPRを付与する「回生制動装置」の一例が構成される。
次に、図4に示すフローチャートを参照し、運転者がブレーキ操作を行っていることをブレーキスイッチ204が検出しているときに、制御液圧制動力BPPを演算し、差圧調整弁521,522及びポンプ581,582の作動を制御するための処理手順について説明する。なお、本実施形態では、図4のフローチャートの各ステップは、ブレーキECU120によって所定の演算周期で実行される。
図4に示すように、まず、ステップS11では、MC圧センサ202によって検出されたマスタシリンダ34のMC圧Pmc、及び、ストロークセンサ203によって検出されたブレーキ操作量BPInputが取得される。続いて、ステップS12では、取得したMC圧Pmc及びブレーキ操作量BPInputに基づき、目標制動力BPTが演算される。この目標制動力BPTは、ブレーキ操作量BPInputが多いほど大きい値に設定される。また、ブレーキ操作量BPInputとともに、MC圧Pmcが高いほど目標制動力BPTを大きい値に設定するようにしてもよい。
本実施形態では、運転者がブレーキ操作を行っている場合において所定のアシスト制御の実施条件が成立すると、車両の減速度が徐々に大きくなるように、目標制動力BPTを増大補正して要求制動力BPTAを導出するアシスト制御を実施するようにしている。このアシスト制御では、目標制動力BPTが大きいほど大きくなるように目標アシスト量Tαを導出し、要求制動力BPTAが目標制動力BPTと目標アシスト量Tαとの和と等しくされる。より具体的には、目標制動力BPTから所定の増大勾配で要求制動力BPTAが増大され、最終的な要求制動力BPTAが目標制動力BPTと目標アシスト量Tαとの和と等しくされる。例えば、目標アシスト量Tαは、図6に示すアシスト用マップM1を用いて導出することができる。
ブレーキECU120のメモリには、図6に示すように、アシスト用マップM1が記憶されている。このアシスト用マップM1では、目標制動力BPTが大きいほど目標アシスト量Tαが大きくなるようになっている。
そして、図4に戻り、ステップS121では、所定のアシスト制御の実施条件が成立しているか否かが判定される。実施条件が成立している場合(ステップS121:YES)、処理が次のステップS122に移行される。そして、ステップS122では、図6に示すアシスト用マップM1を用い、現時点の目標制動力BPTに応じた目標アシスト量Tαが導出され、処理が後述するステップS13に移行される。一方、実施条件が成立していない場合(ステップS121:NO)、次のステップS123で、目標アシスト量Tαが「0」とされるとともに、後述するアシスト量αが「0」とされる。そして、処理が次のステップS13に移行される。
ステップS13では、液圧制動力から回生制動力へのすり替え制御が行われているか否かが判定される。例えば、モータECU112から受信した回生制動力BPRが大きくなっているときに、ブレーキECU120は上記すり替え制御が行われていると判断することができる。そして、すり替え制御が行われていない場合(ステップS13:NO)、処理が次のステップS14に移行される。このステップS14では、基準MC圧Pmcrefに現時点のMC圧Pmcがセットされるとともに、基準操作量BPInputrefに現時点のブレーキ操作量BPInputがセットされ、処理が次のステップS15に移行される。
そして、ステップS15では、アシスト量αの前回値に対し、上記増大勾配に応じた値である標準アシスト加算値AS1を加算した和を今回のアシスト量αにセットする。なお、標準アシスト加算値AS1は、予め定められた所定の増大勾配(「増加速度」と言い換えてもよい。)に、上記の演算周期の時間的な長さである演算間隔時間を掛けることで算出することができる。そして、このような標準アシスト加算値AS1を用いることで、アシスト制御の実施中ではアシスト量αが所定の勾配で目標アシスト量Tαまで徐々に増大する。なお、このように標準アシスト加算値AS1を用いてアシスト量αを増大させるアシスト制御のことを「通常のアシスト制御」ということもある。そして、ステップS15の実行後では、処理が後述するステップS191に移行される。
その一方で、ステップS13において、上記すり替え制御が行われている場合(YES)、処理が次のステップS16に移行される。ステップS13の判定結果が「YES」になった時点の基準操作量BPInputref及び基準MC圧Pmcrefは、すり替え制御の開始直前のブレーキ操作量BPInput及びMC圧Pmcと等しいと見なすことができる。そして、このステップS16では、この基準操作量BPInputrefを用い、すり替え制御の実施中におけるブレーキ操作量の変化量であるストローク変化量ΔBPInputが算出される。具体的には、現時点のブレーキ操作量BPInputから基準操作量BPInputrefを減じた差(=BPInput−BPInputref)がストローク変化量ΔBPInputとされる。そして、ステップS17では、図7に示すマップを用いることで、ストローク変化量ΔBPInputに応じた基準MC圧変化量ΔPmcstが導出される。その後、処理が次のステップS18に移行される。
図7に示すマップは、ストローク変化量ΔBPInputと基準MC圧変化量ΔPmcstとの関係を表すマップである。この基準MC圧変化量ΔPmcstは、ブレーキ操作量BPInputが変化することによって生じるMC圧Pmcの変化量の予測値のことである。本実施形態では、基準MC圧変化量ΔPmcstは、ストローク変化量ΔBPInputが「0」と等しい場合、すなわち上記すり替え制御の実施中にブレーキ操作量BPInputが変わっていない場合、「0」となる。また、基準MC圧変化量ΔPmcstは、ストローク変化量ΔBPInputが正の値である場合、すなわちすり替え制御の実施中にブレーキ操作量BPInputが増大した場合、正の値になる。具体的には、基準MC圧変化量ΔPmcstは、ストローク変化量ΔBPInputが大きいほど大きい値になる。一方、基準MC圧変化量ΔPmcstは、ストローク変化量ΔBPInputが負の値である場合、すなわちすり替え制御の実施中にブレーキ操作量BPInputが減少した場合、負の値になる。具体的には、基準MC圧変化量ΔPmcstは、ストローク変化量の絶対値|ΔBPInput|が大きいほど小さい値になる。
図4に戻り、ステップS18では、基準MC圧Pmcrefと基準MC圧変化量ΔPmcstとの和を求め、現時点のMC圧Pmcから当該和を減じた差である第1の演算差(=Pmc−(Pmcref+ΔPmcst))が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きいか否かが判定される。
ここで、上記すり替え制御の実施中にあっては、制御液圧制動力BPPを減少させるために、差圧調整弁521,522に対する差圧指示電流値Ismが減少されている。ポンプ581,582からのブレーキ液の吐出量が一定である場合、差圧指示電流値Ismが小さいほど、差圧調整弁521,522の開度が大きくなるため、ホイールシリンダ23a〜23d側からマスタシリンダ34側にブレーキ液が流出しやすくなる。その結果、マスタシリンダ34内のMC圧Pmcが増大されやすい。
基準MC圧Pmcrefと基準MC圧変化量ΔPmcstとの和は、制御液圧制動力BPPを減少させるための制御が実施されていない状況下でのブレーキ操作量BPInputに応じたMC圧である、いわゆる通常時におけるブレーキ操作量BPInputに応じたMC圧である。そして、上記第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きいということは、ブレーキ操作量BPInputの変化に拘わらず、MC圧Pmcが増大していると見なすことができる。そのため、ステップS18において、第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きい場合(YES)、処理が次のステップS19に移行される。一方、第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1以下である場合(ステップS18:NO)、処理が前述したステップS15に移行される。
なお、上記すり替え制御の実施中であり、且つ第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きい場合、ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcが減少されにくく、実際の制御液圧制動力が、ブレーキECU120によって演算された制御液圧制動力BPPよりも大きくなりやすい。そのため、このような場合、標準アシスト加算値AS1を用いる通常のアシスト制御を行うと、車両の減速度が過度に増大する事態を招いてしまう。そのため、この場合、ステップS19では、標準アシスト加算値AS1よりも小さい抑制アシスト加算値AS2を用い、アシスト量αの前回値に対して抑制アシスト加算値AS2を加算した和を今回のアシスト量αにセットする。抑制アシスト加算値AS2は、標準アシスト加算値AS1よりも小さい値であれば、「0」であってもよいし、負の値であってもよい。そのため、標準アシスト加算値AS1を用いる通常のアシスト制御を行う場合と比較し、アシスト量αの増大勾配が小さくなる、すなわちアシスト量αが大きくなりにくい。その結果、すり替え制御の実施中にアシスト制御を実施しても、車両の減速度が大きくなりすぎることを抑制することができる。そして、ステップS19の実行後では、処理が次のステップS191に移行される。
ステップS191では、今回のアシスト量αが目標アシスト量Tαよりも大きいか否かが判定される。今回のアシスト量αが目標アシスト量Tα以下である場合(ステップS191:NO)、処理が後述するステップS20に移行される。一方、今回のアシスト量αが目標アシスト量Tαよりも大きい場合(ステップS191:YES)、処理が次のステップS192に移行される。そして、このステップS192では、アシスト量αが目標アシスト量Tαと等しくされる。これにより、アシスト量αが目標アシスト量Tαよりも大きくなることが防止される。なお、アシスト制御が実施されていない場合、目標アシスト量Tαは「0」であるため、アシスト量αは「0」とされる。その後、処理が次のステップS20に移行される。
ステップS20では、要求制動力BPTAが、目標制動力BPTとアシスト量αとの和(=BPT+α)と等しくされる。そして、ステップS21では、演算した要求制動力BPTAに関する情報がモータECU112に送信される。すると、モータECU112では、要求制動力BPTAを超えない範囲で回生制動力BPRを車両に付与すべく駆動モータ12が制御される。
続いて、ステップS22では、車両に付与している回生制動力BPRに関する情報が受信される。この点で、本実施形態では、ブレーキECU120により、駆動モータ12が車両に付与している回生制動力BPRを取得する「回生取得部」の一例が構成される。すると、ステップS23では、要求液圧制動力BPFが、要求制動力BPTAから回生制動力BPRを減じた差(BPTA−BPR)と等しくされる。そして、ステップS24では、基礎液圧制動力BPBが、現時点のMC圧Pmcを基に演算される。基礎液圧制動力BPBは、MC圧Pmcが高いほど大きくなる。
続いて、ステップS25では、制御液圧制動力BPPが、要求液圧制動力BPFから基礎液圧制動力BPBを減じた差(=BPF−BPB)と等しくされる。すると、次のステップS26では、制御液圧制動力BPPを基に、差圧調整弁521,522及びポンプ581,582の作動が制御される。このとき、差圧調整弁521,522に対する差圧指令電流値は、制御液圧制動力BPPが大きいほど大きい値となる。なお、制御液圧制動力BPPが「0」よりも大きい場合、ブレーキECU120によってポンプ581,582が作動するようになっている。しかし、後述する第2の減圧処理が実施されるときには、制御液圧制動力BPPが「0」よりも大きくてもポンプ581,582の作動が停止される。ただし、このようにポンプ581,582の作動が停止されている場合であっても、制御液圧制動力BPPが増大されたときには、ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcを増大させるためにポンプ581,582の作動が再開される。
その後、ステップS27では、ブレーキ操作が終わったことがブレーキスイッチ204によって検出されているか否かが判定される。ブレーキ操作が継続されている場合(ステップS27:NO)、処理が前述したステップS11に移行される。一方、ブレーキ操作が終わった場合(ステップS27:YES)、本処理ルーチンが終了される。
ここで、図9に示すタイミングチャートを参照し、運転者によるブレーキ操作中にアシスト制御が実施された場合の作用について説明する。なお、図9には、ブレーキ操作量BPInputが変化しない場合の例が図示されている。
図9(a),(b),(c),(d)に示すように、アシスト制御の実施条件が成立する第1のタイミングt21からアシスト制御が開始される。第1のタイミングt21から第2のタイミングt22までの期間では、すり替え制御が実施されていないため、アシスト量αが上記の演算周期毎に標準アシスト加算値AS1ずつ増大される。その結果、要求制動力BPTAが、標準アシスト加算値AS1に応じた勾配で増大される。
そして、第2のタイミングt22に達してすり替え制御が開始されると、同すり替え制御の実施によってマスタシリンダ34内のMC圧Pmcが増大するようになる。しかし、第2のタイミングt22から第3のタイミングt23までの期間では、上記第1の演算差(=Pmc−(Pmcref+ΔPmcst))が第1の変化判定値ΔPmcTH1以下であるため、標準アシスト加算値AS1を用いたアシスト量α、すなわち要求制動力BPTAの増大が継続される。
しかし、第3のタイミングt23以降では、上記第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きくなるため、標準アシスト加算値AS1ではなく抑制アシスト加算値AS2を用いたアシスト量αの増大が行われるようになる。これにより、アシスト量αの増大、すなわち要求制動力BPTAの増大が抑制される。なお、図9に示す例では、抑制アシスト加算値AS2が「0」である。また、図9(a)における破線は、第1の演算差が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きくなっても標準アシスト加算値AS1を用いたアシスト量αの増大が行われた場合における要求制動力BPTAの推移を示している。
その後の第4のタイミングt24ですり替え制御が終了されると、抑制アシスト加算値AS2ではなく標準アシスト加算値AS1を用いたアシスト量αの増大が行われるようになる。すると、アシスト量α、すなわち要求制動力BPTAが増大される。そして、第5のタイミングt25でアシスト量αが目標アシスト量Tαと等しくなると、それ以降ではアシスト量αが目標アシスト量Tαと等しい値で保持されるようになる。
次に、図5に示すフローチャートを参照し、運転者がブレーキ操作を行っていることをブレーキスイッチ204が検出しているときに、液圧制動力から回生制動力へのすり替え制御が行われる状況下で、保持弁54a〜54dのうち一部の保持弁、減圧弁55a〜55dのうち一部の減圧弁、及び、ポンプ581,582の作動を制御する際の処理手順について説明する。なお、この処理ルーチンは、図4を用いて説明した上記処理ルーチンと並行して実行される。また、本実施形態では、図5のフローチャートの各ステップは、ブレーキECU120によって実行される。
図5に示すように、まず、ステップS41では、各保持弁54a〜54dのうち、後輪用の保持弁54c,54dが閉弁される。したがって、本実施形態では、ブレーキECU120により、運転者によってブレーキ操作が開始されたときに、各保持弁54a〜54dのうち、後輪用の保持弁54c,54d(一部の保持弁)を閉弁させる一方で、前輪用の保持弁54a,54b(残りの保持弁)を閉弁させない「第1の処理部」の一例が構成される。ステップS41の処理が実行されると、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内のWC圧Pwcの増大は許容されるものの、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcは増大されないようになる。
そして、ステップS42では、MC圧センサ202によって検出されたマスタシリンダ34内のMC圧Pmc、及び、ストロークセンサ203によって検出されたブレーキ操作量BPInputが取得される。続いて、ステップS43では、液圧制動力から回生制動力へのすり替え制御が開始されているか否かが判定される。すり替え制御が未だ開始されていない場合(ステップS43:NO)、処理が次のステップS44に移行される。このステップS44では、基準MC圧Pmcrefに現時点のMC圧Pmcがセットされるとともに、基準操作量BPInputrefに現時点のブレーキ操作量BPInputがセットされ、処理が前述したステップS42に移行される。
一方、上記のすり替え制御が開始されている場合(ステップS43:YES)、処理が次のステップS45に移行される。ステップS43の判定結果が「YES」になった時点の基準操作量BPInputref及び基準MC圧Pmcrefは、すり替え制御の開始直前のブレーキ操作量BPInput及びMC圧Pmcと等しいと見なすことができる。このステップS45では、マスタシリンダ34の最新のMC圧Pmc、及び、最新のブレーキ操作量BPInputが取得される。そして、ステップS46では、ステップS45で取得したブレーキ操作量BPInputからステップS44で設定した基準操作量BPInputrefを減じることで、すり替え制御の実施中におけるブレーキ操作量の変化量であるストローク変化量ΔBPInputが求められる。続いて、ステップS47では、上記ステップS17と同様に、図7に示すマップを用いることで、ストローク変化量ΔBPInputに応じた基準MC圧変化量ΔPmcstが導出される。
そして、ステップS48では、基準MC圧Pmcrefと基準MC圧変化量ΔPmcstとの和を求め、現時点のMC圧Pmcから当該和を減じた差である第2の演算差(=Pmc−(Pmcref+ΔPmcst))が第2の変化判定値ΔPmcTH2よりも大きいか否かが判定される。なお、第2の変化判定値ΔPmcTH2は、上記第2の演算差が第2の変化判定値ΔPmcTH2よりも大きいときにはブレーキ操作量BPInputの変化の有無に拘わらず、差圧調整弁521,522の開度が大きくなることに起因してMC圧Pmcが増大していると判断できるような値に予め設定されている。そのため、第2の変化判定値ΔPmcTH2は、上記第1の変化判定値ΔPmcTH1と等しい値であってもよいし、第1の変化判定値ΔPmcTH1とは少しだけ異なる値であってもよい。
上記第2の演算差が第2の変化判定値ΔPmcTH2よりも大きい場合(ステップS48:YES)、差圧調整弁521,522の開度が大きくなることに起因してMC圧Pmcが増大していると判断できるため、処理が次のステップS49に移行される。一方、第2の演算差が第2の変化判定値ΔPmcTH2以下である場合(ステップS48:NO)、処理が前述したステップS45に移行される。すなわち、すり替え制御の実施中では、差圧調整弁521,522の開度が大きくなることに起因してMC圧Pmcが増大していると判断できるまで、ステップS45〜S47までの一連の処理が繰り返し行われる。
ステップS49では、閉弁している後輪用の保持弁54c,54dの開度を大きくする第1の減圧処理が実施される。この第1の減圧処理は、後輪用の保持弁54c,54dが閉弁しており、且つ、差圧調整弁521,522及びポンプ581,582の作動によって、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内のWC圧Pwcがマスタシリンダ34内のMC圧Pmcよりも高くなっている状況下で実施される。したがって、本実施形態では、ブレーキECU120により、「第2の処理部」の一例が構成される。なお、第1の減圧処理は、後輪用の保持弁54c,54dが全開となるまで、すなわち同保持弁54c,54dに対する指示電流値が「0」となるまで実施される。このように保持弁54c,54dの開度が大きくなると、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内から後輪用のホイールシリンダ23c,23d側にブレーキ液が流出するようになる。
ここで、第1の減圧処理の一例について説明する。例えば、第1の減圧処理では、同第1の減圧処理の開始条件の成立時、すなわちステップS48の判定結果が「YES」となった時点からのブレーキ操作量BPInputの減少量が多くなりやすいと予測される場合ほど、保持弁54c,54dの開度の増大速度が大きい。つまり、ブレーキ操作量BPInputの減少量が多くなりやすいと予測されるときには、そうではないときと比較し、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内にブレーキ液が流入しやすくなる。したがって、すり替え制御時におけるブレーキ操作量BPInputの変化を好適に抑制することができる。
そして、第1の減圧処理の実施が終了されると、処理が次のステップS50に移行される。このステップS50では、液圧制動力から回生制動力へのすり替え制御が継続中であるか否かが判定される。すり替え制御が既に終了している場合(ステップS50;NO)、後述する第2の減圧処理が実施されることなく、本処理ルーチンが終了される。一方、すり替え制御が継続されている場合(ステップS50:YES)、処理が次のステップS51に移行される。
このステップS51では、上記ステップS45と同様に、マスタシリンダ34の最新のMC圧Pmc及び最新のブレーキ操作量BPInputが取得される。そして、ステップS52では、ステップS51で取得したブレーキ操作量BPInputからステップS44で設定した基準操作量BPInputrefを減じることで、すり替え制御の実施中におけるブレーキ操作量の変化量であるストローク変化量ΔBPInputが求められる。続いて、ステップS53では、上記ステップS17やステップS47と同様に、図7に示すマップを用いることで、ストローク変化量ΔBPInputに応じた基準MC圧変化量ΔPmcstが導出される。
そして、ステップS54では、基準MC圧Pmcrefと基準MC圧変化量ΔPmcstとの和を求め、現時点のMC圧Pmcから当該和を減じた差である第3の演算差(=Pmc−(Pmcref+ΔPmcst))が第3の変化判定値ΔPmcTH3よりも大きいか否かが判定される。なお、第3の変化判定値ΔPmcTH3は、上記第3の演算差が第3の変化判定値ΔPmcTH3よりも大きいときには差圧調整弁521,522の開度が大きくなることに起因してMC圧Pmcが増大していると判断できるような値に予め設定されている。
そして、上記第3の演算差が第3の変化判定値ΔPmcTH3よりも大きい場合(ステップS54:YES)、差圧調整弁521,522の開度が大きくなることに起因してMC圧Pmcが増大していると判断できるため、処理が次のステップS55に移行される。一方、第3の演算差が第3の変化判定値ΔPmcTH3以下である場合(ステップS54:NO)、処理が前述したステップS50に移行される。
そして、ステップS55では、各減圧弁55a〜55dのうち、後輪用の減圧弁55c,55dを開弁させ、且つ、ポンプ581,582の作動を停止させる第2の減圧処理が実施される。本実施形態では、第2の減圧処理は、第1の減圧処理の実施によって後輪用の保持弁54c,54dが全開になった状況下で実施される。そして、第2の減圧処理が実施されると、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のブレーキ液が補助リザーバ561,562内に流出される。したがって、本実施形態では、ブレーキECU120により、「第3の処理部」の一例が構成される。
ここで、第2の減圧処理の一例について説明する。例えば、第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dは一定期間だけ開弁される。そして、減圧弁55c,55dが閉弁されると、閉弁期間中におけるブレーキ操作量BPInputの減少量が監視される。このとき、閉弁期間中におけるブレーキ操作量BPInputの減少量が判定減少量以上になると、減圧弁55c,55dの開弁が一定期間だけ再び行われる。その後、閉弁期間中におけるブレーキ操作量BPInputの減少量の監視が再び行われる。このように、第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dの開弁と、閉弁期間中における監視とが繰り返される。そして、上記のすり替え制御が終了されると、第2の減圧処理もまた終了される。このように第2の減圧処理が終了されると、本処理ルーチンが終了される。
次に、図8に示すグラフ及び図10に示すタイミングチャートを参照し、運転者によるブレーキ操作によって車両が減速する際の作用を効果と併せて説明する。なお、図10に示す例では、説明理解の便宜上、アシスト制御は実施されないものとして説明している。
図10(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h)に示すように、車両走行中の第1のタイミングt1で運転者によるブレーキ操作が開始される。すると、第1のタイミングt1から第2のタイミングt2までの期間では、ブレーキ操作量BPInputは大きくなるものの、ブレーキ操作量BPInputは無効操作量BPInputTH未満であるため、マスタシリンダ34内のMC圧Pmcは「0」である。また、図10に示す例では、車両への回生制動力BPRの付与は第3のタイミングt3で開始される。そのため、第1のタイミングt1から第2のタイミングt2までの期間では、制御液圧制動力BPPが、要求制動力BPTA(すなわち、目標制動力BPT)と等しくなる。その結果、第1のタイミングt1からは、ポンプ581,582及び差圧調整弁521,522の作動が開始され、差圧調整弁521,522に対する差圧指示電流値Ismが、制御液圧制動力BPP(=BPTA)が大きくなるにつれて徐々に大きくなる。つまり、差圧調整弁521,522の開度が徐々に小さくなる。
また、ブレーキ操作の開始が検出された第1のタイミングt1で、後輪用の保持弁54c,54dが閉弁される。そのため、図10(c),(d)に示すように、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内のWC圧Pwcは徐々に高くなる一方で、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcは増大されない。これにより、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内のWC圧Pwcが後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcよりも高い状態が作り出される。
そして、第2のタイミングt2でブレーキ操作量BPInputが無効操作量BPInputTHに達するため、第2のタイミングt2以降では、ブレーキ操作量BPInputが多くなるにつれてマスタシリンダ34内のMC圧Pmcが徐々に高くなる。この場合、車両に付与する制動力は、制御液圧制動力BPPと基礎液圧制動力BPBとの和と等しくなる。
その後の第3のタイミングt3で、液圧制動力から回生制動力へのすり替え制御が開始される。すると、回生制動力BPRが大きくなるにつれて、差圧調整弁521,522に対する差圧指示電流値Ismが小さくなる、すなわち差圧調整弁521,522の開度が大きくなる。このとき、液圧供給装置32では、マスタ室431,432と大気圧リザーバ35との連通が遮断されている。そのため、このように差圧調整弁521,522の開度を大きくしても前輪用のホイールシリンダ23a,23b内からマスタシリンダ34側にブレーキ液が流出することで、運転者のブレーキ操作力が一定である場合でもマスタシリンダ34内のMC圧Pmcが高くなる。その結果、ブレーキペダル31に対する操作反力が大きくなり、運転者のブレーキ操作力が一定であったとしてもブレーキ操作量BPInputが小さくなることがある。
そこで、本実施形態では、第4のタイミングt4で、差圧調整弁521,522の開度の増大に起因してMC圧Pmcが増大していると判定されると、後輪用の保持弁54c,54dを開弁させる第1の減圧処理が開始される。この時点では、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcは、前輪用のホイールシリンダ23a,23d内のWC圧Pwc、及び、マスタシリンダ34内のMC圧Pmcよりも低い。そのため、前輪用のホイールシリンダ23a,23d内のブレーキ液が、後輪用のホイールシリンダ23c,23d側に流入するようになる。これにより、前輪用のホイールシリンダ23a,23d内のWC圧Pwcが低くなるとともに、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcが高くなる。
ここで、図8には、ホイールシリンダ23a〜23d内のブレーキ液の量と、WC圧Pwcとの関係が図示されている。図8に示すように、ホイールシリンダ23a〜23d内のブレーキ液の量が多いほどWC圧Pwcは高い。しかし、ホイールシリンダ23a〜23d内のブレーキ液の量が所定量だけ変化した場合におけるWC圧Pwcの変化量は、ブレーキ液の量の変化開始直前のWC圧Pwcが高いときほど大きい。
そのため、第1の減圧処理の実施によって、前輪用のホイールシリンダ23a,23bから流出したブレーキ液の全てが、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内に流入したとしても、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcの増大量は、前輪用のホイールシリンダ23a,23bのWC圧Pwcの減少量よりも少ない。したがって、すり替え制御の実施中に第1の減圧処理を実施することで、制御液圧制動力BPPを適切に減少させることができる。その結果、車両の減速度が運転者の意図する減速度よりも大きくなることを抑制することができる。
また、第1の減圧処理の実施によって後輪用の保持弁54a〜54dが開弁されるため、すり替え制御の実施中に、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内からマスタシリンダ34側へのブレーキ液の流入量が少なくなる。そのため、マスタシリンダ34内のMC圧Pmcが高くなりにくくなる分、ブレーキペダル31の操作反力の増大が抑制され、ブレーキ操作量BPInputが減少しにくくなる。したがって、ブレーキペダル31を操作する運転者のフィーリングの悪化を抑制することもできる。
ところで、第1の減圧処理の実施によって後輪用の保持弁54c,54dを開弁させても、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のWC圧Pwcが前輪用のホイールシリンダ23a,23d内のWC圧Pwcとほぼ等しくなると、それ以降では、前輪用のホイールシリンダ23a,23d内のWC圧Pwcが減少しにくくなる。そのため、この状態で差圧調整弁521,522の開度が大きくなると、前輪用のホイールシリンダ23a,23bからマスタシリンダ34側へのブレーキ液の流出量が増える。その結果、マスタシリンダ34内のMC圧Pmcが高くなってブレーキペダル31に対する操作反力が大きくなり、ブレーキ操作量BPInputが減少傾向を示すことがある。
そこで、本実施形態では、第1の減圧処理の終了後の第5のタイミングt5で、差圧調整弁521,522の開度の増大に起因してMC圧Pmcが増大していると判定されると、後輪用の保持弁54c,54dを開弁させる第2の減圧処理が開始される。この第2の減圧処理ではポンプ581,582の作動が停止される。その結果、後輪用のホイールシリンダ23c,23d内のブレーキ液が、減圧弁55c,55dを介して補助リザーバ561,562内に流入するようになる。これにより、各ホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcが減少されるようになる。なお、このように補助リザーバ561,562内に溜まっているブレーキ液は、車輪FL,FR,RL,RRへの制動力の付与に貢献しない。したがって、制御液圧制動力BPPを適切に減少させることができる。なお、この第2の減圧処理は、上記のすり替え制御が終了される第6のタイミングt6まで行われる。
以上、本実施形態によれば、上述した効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
上記のすり替え制御の実施中にあっては、図10(a)に破線で示すように、第1の減圧処理や第2の減圧処理を実施しても、車両に付与する実施の制動力は、要求制動力BPTAよりも多少大きくなる。この点、本実施形態では、すり替え制御の実施期間中において、第1の演算差(=Pmc−(Pmcref+ΔPmcst))が第1の変化判定値ΔPmcTH1よりも大きい期間では、当該期間外よりもアシスト量αの増大が抑制される。そのため、当該期間でも標準アシスト加算値AS1を用いてアシスト量αを決定する場合と比較し、すり替え制御の実施中に車両の減速度が過度に大きくなることを抑制しつつ、車両の減速度を適切に調整することができる。
また、第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dの閉弁及び開弁が繰り返されることで、減圧弁55c,55dの作動に起因する異音がブレーキアクチュエータ50から発生してしまう。そこで、本実施形態では、すり替え制御が開始されると、第2の減圧処理よりも前に第1の減圧処理が実施される。そして、第2の減圧処理の開始条件が成立する前に上記のすり替え制御の実施が終了したときには、第2の減圧処理が実施されない。したがって、減圧弁55c,55dの作動機会の増大を抑制できる分、すり替え制御の実施中におけるブレーキアクチュエータ50からの異音の発生を抑制することができる。
また、第2の減圧処理が第1の減圧処理よりも優先的に実施される場合と比較し、ポンプ581,582の停止する機会の増大を抑制することができる。すなわち、補助リザーバ561,562内にブレーキ液が残っている状態で、ブレーキアクチュエータ50が作動する状況になることを抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態では、第2の減圧処理で後輪用の減圧弁55c,55dを開弁させるようにしているが、後輪用の減圧弁55c,55dではなく前輪用の減圧弁55a,55bを開弁させるようにしてもよい。また、第2の減圧処理では、後輪用の減圧弁55c,55d及び前輪用の減圧弁55a,55bの双方を開弁させるようにしてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
・第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dの開弁及び閉弁を繰り返させるのであれば、上記実施形態で説明した方法とは異なる方法で減圧弁55c,55dを作動させるようにしてもよい。例えば、減圧弁55c,55dを一定期間開弁させた後の閉弁期間中でのMC圧Pmcの増大量を監視し、同増大量が規定量以上になったときに減圧弁55c,55dを一定期間開弁させるようにしてもよい。このような減圧弁55c,55dの一定期間の開弁と、閉弁させてのMC圧Pmcの増大量の監視とを繰り返すようにしてもよい。
また、第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dの開弁が終了した時点から所定時間が経過する毎に、減圧弁55c,55dを一定期間開弁させるようにしてもよい。
・保持弁54a〜54dと同様に減圧弁55c,55dの開度を調整することができるのであれば、第2の減圧処理では、減圧弁55c,55dの開度を徐々に大きくするようにしてもよい。この場合の減圧弁55c,55dの開度の増大速度は、予め設定された所定速度であってもよいし、MC圧Pmc、ブレーキ操作量BPInput、回生制動力BPRなどの変化速度に応じて可変させるようにしてもよい。
・第1の減圧処理の実施が終了した時点で未だすり替え制御が継続されていたときに、第2の減圧処理を継続させるようにしてもよい。また、第1の減圧処理の実施によって保持弁,54dの開度が大きくなっている最中に第2の減圧処理を開始させるようにしてもよい。
・第1の減圧処理を実施するのであれば、第2の減圧処理を実施しなくてもよい。
・上記実施形態では、一部の保持弁の開度の増大速度を、第1の減圧処理の実施中におけるMC圧Pmcの増大速度が大きいほど大きくするようにしてもよい。また、一部の保持弁の開度の増大速度を、すり替え制御時における回生制動力BPRの増大速度が大きいほど大きくするようにしてもよい。また、一部の保持弁の開度の増大速度は予め設定された所定速度であってもよい。
・第1の減圧処理では、開弁及び閉弁を繰り返すように一部の保持弁を作動させるようにしてもよい。この場合、保持弁として二位置弁を採用することができる。
・すり替え制御の実施中において、MC圧センサ202によって検出されるMC圧Pmcの増大が検知されたときに第1の減圧処理を開始させるようにしてもよいし、ストロークセンサ203によって検出されるブレーキ操作量BPInputの減少が検知されたときに第1の減圧処理を開始させるようにしてもよい。また、すり替え制御の開始を契機に第1の減圧処理を開始させるようにしてもよい。
・ブレーキ操作が開始されたときには、前輪用の保持弁54a,54bを閉弁させ、後輪用の保持弁54c,54dを閉弁させないようにしてもよい。この場合の第1の減圧処理では、閉弁している前輪用の保持弁54a,54bを開弁させることとなる。このような構成であっても、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
・マスタシリンダ34内でMC圧Pmcが発生する前に、すり替え制御が開始されることがある。このようにMC圧Pmcが発生するまでは、差圧調整弁521,522の開度を大きくすることで、前輪用のホイールシリンダ23a,23b内からマスタシリンダ34側に適切にブレーキ液を流出させることができる。また、この場合には、ホイールシリンダ23a,23b側からマスタシリンダ34内にブレーキ液が流入しても、その分、マスタシリンダ34内から大気圧リザーバ35にブレーキ液が流出されるため、MC圧Pmcはほとんど変化しない。したがって、MC圧Pmcが発生するようになる前にすり替え制御の実施が終了されたときには、第1の減圧処理を実施しないようにしてもよい。
・本液圧制動装置30を備える車両は、回生制動力BPRを付与することのできる回生制動装置を備えるものであれば、ハイブリッド車両以外の他の車両(例えば、電気自動車)であってもよい。
また、車両は、動力源としてエンジン11のみを有する車両であってもよい。この場合、車両に回生制動力BPRは付与されないため、このような車両に設けられるマスタシリンダは、運転者によってブレーキ操作が開始されるとほぼ同時にマスタ室と大気圧リザーバとの連通が遮断される構成となっている。このような車両では、運転者によるブレーキ操作を補助するためのブレーキアシストの実施によって、ブレーキアクチュエータ50の差圧調整弁521,522及びポンプ581,582が作動されることがある。このようなブレーキアシストの実施によってホイールシリンダ23a〜23d内のWC圧Pwcがマスタシリンダ内のMC圧よりも高くなっている状況下で、液圧制動力を減少させる必要が生じることがある。この場合であっても、ブレーキ操作の開始時に一部の保持弁を閉弁させ、当該制御の実施によって液圧制動力を減少させるときに第1の減圧処理を実施するようにしてもよい。この場合であっても、第1の減圧処理の実施によって、液圧制動力を適切に減少させることができる。
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記液圧制動装置では、前記ポンプが、前記補助リザーバ内及び前記マスタシリンダ内からブレーキ液を吸入し、前記差圧調整弁と前記各保持弁との間の液路に同ブレーキ液を供給するようになっており、
前記第3の処理部は、前記第2の減圧処理では、前記各減圧弁のうち少なくとも1つの減圧弁を開弁させ、前記ポンプの作動を停止させることが好ましい。
上記構成によれば、第2の減圧処理では、ポンプの作動を停止させることにより、減圧弁の開弁によって、ホイールシリンダ内から補助リザーバに流出したブレーキ液が差圧調整弁と各保持弁との間の液路に供給されなくなる。すなわち、ホイールシリンダ内から補助リザーバに流出したブレーキ液が同補助リザーバに滞留することになるため、第2の減圧処理の実施によって、液圧制動装置が車両に付与する制動力を減少させることができる。
(ロ)回生制動装置が車両に付与している回生制動力を取得する回生取得部を備え、
前記第2の処理部は、前記第1の処理部によって前記一部の保持弁が閉弁されており、且つ、前記差圧調整弁及び前記ポンプの作動によって前記残りの保持弁に対応する前記ホイールシリンダ内の液圧が前記マスタシリンダ内の液圧よりも高くなっている状況下で、回生制動力を増大させ、液圧制動力を減少させるすり替え制御の実施時に、前記第1の減圧処理を実施することが好ましい。
上記構成によれば、回生制動力を増大させ、液圧制動力を減少させるすり替え制御の実施時に第1の減圧処理を実施することで、すり替え制御の実施中における車両の減速度の増大を抑制することができる。
12…回生制動装置を構成する駆動モータ、23a〜23d…ホイールシリンダ、30…液圧制動装置、31…制動操作部材の一例であるブレーキペダル、34…マスタシリンダ、521,522…差圧調整弁、54a〜54d…保持弁、55a〜55d…減圧弁、561,562…補助リザーバ、581,582…ポンプ、112…回生制動装置を構成するモータECU、120…車両の制動制御装置の一例であるブレーキECU(第1の処理部、第2の処理部、第3の処理部、及び回生取得部)、FL,FR,RL,RR…前輪。

Claims (3)

  1. 制動操作部材に駆動連結され、同制動操作部材の操作量が増大するほど大きな液圧が内部で発生するマスタシリンダと、
    車両の複数の車輪に対してそれぞれ設けられ、液路を介して前記マスタシリンダと繋がっているホイールシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記各ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、前記マスタシリンダ側と前記ホイールシリンダ側との差圧を大きくするときには開度が小さくされる差圧調整弁と、
    前記差圧調整弁と前記ホイールシリンダとを繋ぐ液路の各々に設けられ、同ホイールシリンダ内の液圧を増大させないときに閉弁される保持弁と、
    前記マスタシリンダ内からブレーキ液を吸入し、前記差圧調整弁と前記各保持弁との間の液路に同ブレーキ液を供給するポンプと、を備えた液圧制動装置に適用され、
    前記差圧調整弁及び前記ポンプを制御することで車両に付与する液圧制動力を調整する車両の制動制御装置であって、
    前記制動操作部材の操作が開始されたときに、前記各保持弁のうち、一部の保持弁を閉弁させる一方で、残りの保持弁を閉弁させない第1の処理部と、
    前記第1の処理部によって前記一部の保持弁が閉弁されており、且つ、前記差圧調整弁及び前記ポンプの作動によって前記残りの保持弁に対応する前記ホイールシリンダ内の液圧が前記マスタシリンダ内の液圧よりも高くなっている状況下で、前記差圧調整弁の開度を大きくして車両に付与する液圧制動力を減少させるときに、前記一部の保持弁の開度を大きくする減圧処理を実施する第2の処理部と、を備える
    車両の制動制御装置。
  2. 前記第2の処理部は、
    前記第1の処理部によって前記一部の保持弁が閉弁されており、且つ、前記差圧調整弁及び前記ポンプの作動によって前記残りの保持弁に対応する前記ホイールシリンダ内の液圧が前記マスタシリンダ内の液圧よりも高くなっている状況下で、前記差圧調整弁の開度を大きくして車両に付与する液圧制動力を減少させるときに、
    前記差圧調整弁の開度の増大に起因して前記マスタシリンダ内の液圧が増大したと判定したときに、前記減圧処理を開始する
    請求項1に記載の車両の制動制御装置。
  3. 前記液圧制動装置は、補助リザーバと、前記ホイールシリンダの各々に対して設けられ、同ホイールシリンダ内のブレーキ液を前記補助リザーバ側に流出させる際に開弁される減圧弁と、を備えており、
    前記第2の処理部が実施する前記減圧処理を第1の減圧処理とした場合、
    前記第2の処理部による前記第1の減圧処理の実施によって前記一部の保持弁が開弁された状況下で、前記各減圧弁のうち少なくとも1つの減圧弁を開弁させる第2の減圧処理を実施する第3の処理部を備える
    請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置。
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