JP6493733B2 - 保護フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
このような保護フィルムは、例えばシート状のフィルム材をレーザー加工により切断して外形を切り出すことで形成されることが一般的である。また、樹脂製のフィルム又は板材を切断する方法として、エンドミルによる切削加工を行う場合がある(例えば特許文献1〜3)。
保護フィルム100の製造工程は、切断前のフィルム材1を用意する前工程と、フィルム材1を切断する切断工程と、を有する。なお、本明細書において、保護フィルム100とは、フィルム材1から特定の形状に切り出して、ディスプレイに貼付する際に不要な層を除去したものを指す。
主層2は、保護フィルム100を主に構成する層である。主層2については、後段においてより詳しく説明する。
粘着剤層4は、保護フィルム100をディスプレイに貼付するための粘着剤が施された層である。
セパレータ層5は、粘着剤層4に剥離可能に貼り付けられた層である。セパレータ層5は、容易に剥離可能であり、セパレータ層5を剥離させることで、粘着剤層4を露出させて、保護フィルム100をディスプレイに貼付できる。
主層2を構成する光硬化性樹脂組成物としては、光(紫外線、可視光)および電子線などの活性エネルギー線により硬化反応(重合反応)が進行するものが使用できる。また、光硬化性樹脂組成物は重合性樹脂成分に光重合性開始剤を配合したものが好ましい。特に、光硬化性樹脂組成物としては、光重合性の炭素−炭素二重結合を複数個有する化合物が好ましい。
多価カルボン酸のアリルエステルモノマーの具体例としては、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸ジアリル、メチルテトラヒドロフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらアリルエステルモノマーは、必要に応じて2種以上使用することもでき、また、上述の具体例に限定されるものではない。
また、3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールは2種以上の混合物であってもよい。また、上述の具体例に限定されるものではない。
多価アリルエステル化合物と共重合させるラジカル重合性化合物は、多価アリルエステル化合物と共重合する化合物であれば特に制限はない。その具体例としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、アリルベンゾエート、α−ナフトエ酸アリル、β−ナフトエ酸アリル、2−フェニル安息香酸アリル、3−フェニル安息香酸アリル、4−フェニル安息香酸アリル、o−クロロ安息香酸アリル、m−クロロ安息香酸アリル、p−クロロ安息香酸アリル、o−ブロモ安息香酸アリル、m−ブロモ安息香酸アリル、p−ブロモ安息香酸アリル、2,6−ジクロロ安息香酸アリル、2,4−ジクロロ安息香酸アリル、2,4,6−トリブロモ安息香酸アリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、エンディック酸ジアリル、クロレンド酸ジアリル、3,6−メチレン−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリル、ジフェン酸ジアリル等、コハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル等のアリルエステル類、ジベンジルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルマレート、ジフェニルフマレート、ジブチルマレート、ジブチルフマレート、ジメトキエチルマレート、ジメトキシエチルフマレート等のマレイン酸ジエステル/フマル酸ジエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、カプロン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;シクロヘキサンカルボン酸ビニルエステル等の脂環式ビニルエステル;安息香酸ビニルエステル、t−ブチル安息香酸ビニルエステル等の芳香族ビニルエステル、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製商品名CR−39に代表されるポリエチレングリコールビス(アリル)カーボネート樹脂等のアリルカーボネート化合物、分子内に反応性の異なる重合性二重結合を有する(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニルやマレイン酸ジアリル等の化合物、イソシアヌル酸トリアリルやシアヌル酸トリアリル等の窒素含有多官能アリル化合物、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等オリゴアクリレート類等が挙げられる。
保護フィルム100の製造方法を説明する。まず、フィルム材1を用意する前工程について説明する。
本体部20は、主層2に対して他の層を積層することで形成することができる。主層2は、上述したように、一対の基材フィルムに液状(未硬化の)の光硬化性樹脂組成物を挟み込んで帯状に加工した後に紫外線を照射して硬化させ、基材フィルムを除去することで形成できる。
主層2を形成した後に、主層2の一方の面にハードコート層3を形成し、他方の面に粘着剤層4を形成しさらに粘着剤層4上にセパレータ層5を配置する。これにより、本体部20を形成する。
次に、本体部20の表裏両面に防護フィルム6A、6Bを積層してフィルム材1を形成する。本体部20と防護フィルム6A、6Bとは、剥離可能に接着しておくことが好ましい。
これらの工程を経ることで、フィルム材1を用意する前工程が完了する。
次に、フィルム材1の切断工程を行う。
まず、図2に示すように、一対の防護フィルム6A、6Bに挟み込まれたフィルム材1に切断線Cを設定する。切断線Cは、フィルム材1から切り出す保護フィルム100の外形を構成する。切断線Cは、隣接する保護フィルム100同士の間に位置する不要部101と、保護フィルム100との境界、及び保護フィルム100の中の孔25の境界を構成する。
切断工程は、以下に説明する第1の工程及び第2の工程を含む。切断工程は、第1の工程及び第2の工程において、切断線Cに沿って、それぞれ、エンドミル10又はレーザー光Lを走らせることで、切断を行う工程である。
次に、切断線Cに沿って回転するエンドミル10を切断線Cに沿って送り切削する第1の工程を行う。
図3に示すように、エンドミル10は、フライス盤などの加工装置の回転軸に連結され直線的に延びる軸部11と、軸部11の先端側に位置するテーパ部12とを有する。テーパ部12には、テーパ刃12aが設けられている。また、テーパ部12の先端には、平坦部12bが設けられている。テーパ刃12aは、エンドミル10の先端から長さh12の領域に設けられている。テーパ刃12aと平坦部12bとは、角度αをなす。
なお、エンドミル10の平坦部12bにも刃が形成されている。したがって、平坦部12bは、形状が平坦となっているのではなく、平坦部12bにより切削加工された対象物が平坦となる部位である。
溝30は、幅d30に形成される。幅d30は、1mm以上5mm以下とすることが好ましい。幅d30を1mm以上とすることで、保護フィルム100における第1の傾斜面31が十分に大きく確保される。また、幅d30を5mm以下とすることで、保護フィルム100において第1の傾斜面31が大きくなりすぎて、保護フィルム100を通して視認するディスプレイの視認性が悪化することがない。また、同様の理由で、幅d30は、2mm以上4mm以下とすることがより好ましい。
なお、溝30の幅d30は、エンドミル10のフィルム材1に対する切り込み深さと、テーパ刃12aの角度αにより決まる。したがって、幅d30は、テーパ刃12aの角度αに応じて、切り込み深さを調整することで制御できる。
なお、エンドミル10の先端には、平坦部12bが設けられていなくても良い。即ち、エンドミル10は、先端までテーパ刃12aが形成された鋭利な形状とされていても良い。この場合には、溝30に平坦な底部32が形成されない。
また、レーザー光Lの出力を低めた場合には、所定の深さの切断を行うための時間(照射時間)を長くする必要が生じる。これによって、開口側が熱の影響を受ける時間が長くなり角度βが小さくなり開口が広くなる。
また、レーザー光Lのスポット径dsの大きさは、第1の工程における溝30の幅d30に対し、50%以下である。これにより、第2の工程を経た後であっても、溝30の第1の傾斜面31が、レーザー光Lにより溶融されずに、切断部40の両側に十分な大きさだけ残った状態となる。より具体的には、溝30の幅d30は1mm以上とされた場合に、レーザー光Lのスポット径dsを幅d30の50%以下とすることで、第1の傾斜面31を0.5mm以上確保できる。
第1の工程と、第2の工程は、順序を逆として行っても良い。即ち、先にレーザー光Lによる第2工程を行い、後にエンドミル10による第1の工程を行ってもよい。この場合には、レーザー光Lによる熱の影響で、チッピングを埋め込む、又は切欠を丸めるといった効果を奏さない。このため、上述したように、第1の工程の後に第2の工程を行うことが、より好ましい。
図5は、上述の製造工程で切断、分離された隣接する2つの保護フィルム100の断面図である。図5の保護フィルム100には、セパレータ層5が積層されているが、保護フィルム100の使用時には、セパレータ層5は除去される。
また、図6は、保護フィルム100の平面図であり、ディスプレイ60に貼付された状態を示す。
また、保護フィルム100は、主面100a側から順に、ハードコート層3と、主層2と、粘着剤層4と、を有する。
第1の傾斜面31の主面100aに対する角度αは、第2の傾斜面41の主面100aに対する角度βより小さい。
角度αを10°以上とすることで、主面100aと第1の傾斜面31とがなす角度が緩やかとなり、周縁部100cにおいて指が引っかかりにくくなる。
また、角度αを60°以下とすることで、第1の傾斜面31と第2の傾斜面41との角部39の角度γが緩やかとなり、周縁部100cにおいて指が引っかかりにくくなる。
同様の理由で、角度αは、15°以上45°以下であることがより好ましい。
第1の傾斜面31を保護フィルム100の厚みDの10%以上の領域に設けることで、第1の傾斜面31を十分に大きく確保して、面取りとしての効果を高めることとができる。即ち、保護フィルム100は、周縁部100cにおいて指が引っかかりにくくなる。
また、第1の傾斜面31は、エンドミル10による切削加工により形成されているために、亀裂の起点となり得るチッピングが生じている場合がある。したがって、第1の傾斜面31を保護フィルム100の厚みDの85%以下の領域とすることで、第1の傾斜面31を小さくし、亀裂の発生を抑制できる。
角度βを65°以上とすることで、保護フィルム100の面方向に沿う第2の傾斜面41の長さを短くすることができる。即ち正面視における第2の傾斜面41を小さくすることができ、保護フィルム100を通して視認するディスプレイ60の視認性が悪化することがない。また、角度βは、同様の理由から75°以上とすることが好ましい。
第1の傾斜面31は、エンドミル10のテーパ刃12aにより切削加工された面であり、十分な傾斜角(角度α)を有している。したがって、主面100a側において、使用者が周縁部100cの外側から内側に向かって指を運んだ場合に、指が周縁部100cで引っかかりにくい。これにより、周縁部100cの近傍において、タッチパネルの操作性が阻害されることがない。
例えば、フィルム材1の層構造は、これに限るものではなく、例えば、ハードコート層3、粘着剤層4、並びにセパレータ層5は、省略しても良い。同様に保護フィルム100は、主層2のみから構成されるものであってもよい。
まず、図1に示すフィルム材1を用意する。フィルム材1は、本体部20と、本体部20を挟み込むように配置された厚さ43μmの防護フィルム6A、厚さ150μmの防護フィルム6Bと、を有している。本体部20は、6μmのハードコート層3と、200μm〜300μm(表1参照)の主層2と、50μmの粘着剤層4と、50μmのセパレータ層5と、を有している。
サンプルNo.1、No.2として、第1の工程(エンドミル10による切削)と第2の工程(レーザー光Lによる切断)と、をこの順で行って切断して作製した。
サンプルNo.3として、第2の工程のみを行って作製した。
サンプルNo.4として、第1の工程のみを行って作製した。
作製されたサンプルNo.1〜No.4の保護フィルムに対して、周縁部近傍の操作性の評価と、亀裂試験を行った。
周縁部近傍の操作性の評価として、任意に選択した10人の評価者による官能評価を行った。各評価者の評価得点を集計し結果を、○、×の2段階に分けて、表1に記載する。
まず、十分な長さを有するφ2mm、φ3mmの円棒筒をそれぞれ用意した。
複数用意した各サンプルを、それぞれ5枚ずつφ2mmの円棒筒とφ3mmの円棒筒とに、半周させて巻きつけ、亀裂が生じるかどうかを確認した。
5枚中1枚でも亀裂が生じた場合は×とし、3枚以下の亀裂が生じた場合は△、亀裂が生じたものがなかった場合に○とした。
これに対して、第2の工程(レーザー光Lによる切断)のみを行ったサンプルNo.3の保護フィルムは、周縁部100c近傍の操作性が悪い。これは、サンプルNo.3の保護フィルムは、周縁部100cに第2の傾斜面41のみが形成され、第1の傾斜面31が形成れていないために、傾斜角度が88°と垂直に近く、指が引っかかるためであると考えられる。
また、第1の工程(エンドミル10による切削)のみを行ったサンプルNo.4の保護フィルムは、亀裂試験の結果から、亀裂が生じやすいことが分かった。これは、サンプルNo.4の保護フィルムは、周縁部100cにチッピングが生じている虞のある第1の傾斜面31のみが形成されている。したがってサンプルNo.4の保護フィルムは、第1の傾斜面31のチッピングが亀裂の起点となったと考えられる。また、第1の工程のみを行っているために、チッピングにレーザー光Lによる切断時の熱の影響が加わっておらず、チッピングが埋められるといった効果を奏することができていないことも、亀裂が生じやすくなった一因であると考えられる。
Claims (5)
- ディスプレイに貼付される保護フィルムの製造方法であって、
切断前のフィルム材を用意する前工程と、
前記フィルム材を切断する切断工程と、を有し、
前記切断工程は、
テーパ刃のエンドミルを前記フィルム材の切断線に沿って送り前記フィルム材にV字状の溝を形成する第1の工程と、
レーザー光を前記フィルム材の切断線に沿って照射し前記フィルム材を切断する第2の工程と、を含み、
前記切断工程は、前記第1の工程の後に、前記第2の工程を行う、
保護フィルムの製造方法。 - 前記フィルム材は、主層を有し、
前記主層が、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂からなる、請求項1に記載の保護フィルムの製造方法。 - 前記前工程において、前記フィルム材の一部として防護フィルムが積層され、
前記切断工程の前記第2の工程において、前記レーザー光を照射する側と反対側に位置する前記防護フィルムをハーフカットする深さまで切断する、
請求項1又は2に記載の保護フィルムの製造方法。 - 前記切断工程の前記第1の工程において、前記溝の幅が1mm以上5mm以下である、
請求項1〜3の何れか一項に記載の保護フィルムの製造方法。 - 前記切断工程の前記第2の工程において、前記レーザー光のスポット径の大きさは、前記第1の工程における前記溝の幅に対し、50%以下である、
請求項1〜4の何れか一項に記載の保護フィルムの製造方法。
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