JP6483835B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
例えば、クッション材に溝を設け、その溝に表皮材を吊り込んだシートにおいては、溝部分に液体が滞留してしまうことがあった。
このため、表皮材の隙間に浸水した水を溜めずに排水する構造を有する乗物用シートが求められていた。
さらに、表皮材から排水する際には、意図せぬ部分、例えば、加水分解を起こすクッション材やコネクタ等の電気系統がある部分に水が浸入することを防ぐ必要がある。
また、本発明の他の目的は、意図せぬ部分に液体が漏れ出ることを防止することにある。
上記構成によれば、表側突出部によって、表皮材から流れる液体を排出孔の周りに留めることができ、排出孔の周囲のクッション材等に意図せず液体が漏れ出ることを防止できる。
上記構成によれば、裏側突出部によって、排出孔から出た液体が底板の裏面側の電気配線、コネクタ等に浸入することを防止することができる。
上記構成によれば、表皮材が排出案内部を有することで、表皮材から流れる液体が排出案内部を伝って排出孔に案内されるために、排出孔の周囲への液体の漏出を防ぐことができる。
上記構成によれば、第一部分と第二部分が、排出孔を通った先で、開放部を形成するように底板の異なる位置に固定されていることで、開放部から液体を円滑に排出することができる。
上記構成によれば、表皮材に通し孔が形成されていることで、排出ラインの延長上において液体を排出する構成ではなく、通し孔から液体を排出することが可能となる。このため、例えば排出ラインの延長上がステープル等によって閉じられていても、通し孔から液体を円滑に排出することができる。
上記構成によれば、第一部分と第二部分とが重なりあっていることで、これらをステープル等によって底板にまとめて固定することができ、かつ、これらのうち下側に配置される部分に通し孔が形成されていることで、通し孔から液体を円滑に排出することができる。
上記構成によれば、ボトム部とバックレスト部との間に、排出孔が形成され、かつ、分割部が配置されていることにより、底板が表皮材に覆われた状態においても、分割部からボトム部とバックレスト部との間にある排出孔を通して液体を排出することができる。
また、排出孔の周囲への液体の漏出を防いで、クッション材やコネクタ等の意図せぬ部分に液体が漏れ出ることを防止することができる。
また、排出孔を通る液体を開放部又は通し孔から円滑に排出することができる。
さらには、表皮材の第一部分と第二部分とを底板にまとめて固定可能としつつ、排出孔を通る液体を通し孔から円滑に排出することができる。
また、ボトム部とバックレスト部との間にある排出孔を通して液体を排出することができる。
本発明の乗物用シートは、屋外で露出するシートを有する乗物、具体的には自動二輪車、自動三輪車、産業用車両等に好適に用いられるものである。
以下の実施形態においては、自動二輪車の着座シート1について説明する。
<着座シートの構成について>
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る着座シート1の構成について説明する。なお、図1は、着座シート1の斜視図、図2は、図1のII-II断面を示すものであり、底板2に対する表皮材4の端末の固定部分を示す模式的な断面図、図3は、底板2上面及び下面に設けられた立壁2f,2gを示す斜視図である。また、図4は、表皮材4の裏面の端末を示す図であり、溶着部4b,4cによって形成された排出ラインL1,L2と、液体の流れについて説明する模式図、図5は、表皮材4に設けられた排出案内部4gの周囲の状態を示す斜視図である。なお、図4及び図5では、矢印にて液体の流れ方向を示している。
着座シート1は、図1及び図2に示すように、底板2と、底板2上に載置されたクッション材3と、クッション材3を覆って底板2に取り付けられる表皮材4と、から主に構成される。
また、底板2には、表皮材4の端末が通されて、表皮材4にかかった雨水等の液体を排出するための排出孔2eが、吊り込み穴2hの近傍に形成されている。
そして、図2及び図3に示すように、排出孔2e及び吊り込み穴2hを囲むように、底板2の表側に突出して形成された表側突出部としての立壁2f、及び底板2の裏側に突出して形成された裏側突出部としての立壁2gが底板2に形成されている。
また、表皮材4は、シート幅方向中央側にある本発明に係る第一部分としての中央側表皮4iと、シート幅方向サイド側にある本発明に係る第二部分としてのサイド側表皮4jと、を備える。中央側表皮4iにおけるサイド側の部分と、サイド側表皮4jにおける中央側の部分とは、重ね合わせられており、クッション材3における中央部3aと側部3bとの間に入り込み、本発明に係る分割部としてのスリット4aを外観上形成している。中央部3aと側部3bとの間に入り込んだ中央側表皮4i及びサイド側表皮4jのそれぞれの端末が、図4に示すループ4fによって吊り込み穴2hに吊り込まれることによって、表皮材4はクッション材3と密着して伸長状態となっている。
なお、ループ4fは、表皮材4に縫い付けられた補強布としてのターポリン4eによって保持されている。
排出案内部4gは、底板2の排出孔2eに挿し込まれるように他の部位よりも下方に突出して舌状に形成されている。そして、中央側表皮4iにおける排出案内部4gの先の端末は、図2に示すように、シート幅方向中央側の底板2にステープル5によって固定されている。一方、サイド側表皮4jにおける排出案内部4gの先の端末は、シート幅方向サイド側の底板2にステープル5によって固定されている。このように中央側表皮4i及びサイド側表皮4jにおける排出案内部4gの先の端末が、底板2の異なる位置に固定されていることで、排出案内部4gを通る液体を排出するための開放部4rが表皮材4に形成されている。
なお、表皮材4における排出ラインL1,L2は、隙間なく密着できればよく、高周波ウェルダ加工によって溶着されるものに限定されず、接着剤等の接合により形成されるものでもよい。
上記のように構成された着座シート1は、排出ラインL1,L2が形成されていることにより、スリット4aから入り込んだ液体が、図4及び図5に矢印で示す方向に流れ、排出孔2eに挿入された排出案内部4gを伝って底板2の下方に排出されることとなる。
また、表皮材4によって底板2が覆われているとしても、表皮材4にスリット4aが形成されているため、スリット4aから排出孔2eを通して液体を排出できることとなる。このため、スリット4a部分に液体が溜まることを防止し、溜まった液体によって着座者の衣服が濡れることを防ぐことができる。
このため、電気系統の漏電や、クッション材3の加水分解を抑制することができる。
例えば、排出ラインL1,L2を伝って流れる液体が立壁2f,2gを越えない場合には、排出ラインL1,L2における排出案内部4gの縁に沿って形成される部分は必ずしも必要ではない。例えば、このような場合は、排出ラインL1,L2における対向する端部同士が十分に近接しているときに想定される。
次に、第2実施形態に係る表皮材4を構成する本発明に係る第一部分としての前側表皮4m、及び本発明に係る第二部分としての後側表皮4nの構成について、図6、図7、図8A及び図8Bを参照して説明する。なお、第1実施形態との差異を明確にするため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、同一の部分については説明を省略する。
また、図6は、図1のVI-VI断面に対応する断面を示すものであり、第2実施形態に係る表皮材4の底板2への固定状態を示す模式的な断面図である。また、図7は、重ね合わせられた前側表皮4mの一部と後側表皮4nの一部とを、溶着部4dによって溶着させた状態を示す模式的な斜視図である。そして、図8Aは、溶着部4dの一例を示す模式図、図8Bは、他の溶着部4hの例を示す模式図である。
表皮材4は、ボトム部2iの上方にありクッション材3の前部3cの表面を覆う前側表皮4mと、バックレスト部2jの上方にあり前側表皮4mの後方に配置され、後部3dの表面を覆う後側表皮4nと、を備える。
表皮材4は、クッション材3における前部3cと後部3dとの間に入り込み、本発明に係る分割部としてのスリット4kを外観上形成している。このスリット4kにより、表皮材4によってボトム部2i及びバックレスト部2jが覆われているとしても、スリット4kから排出孔2kを通して液体を排出できることとなる。
また、図7及び図8Aに示すように、前側表皮4mと後側表皮4nとは、スリット4kにおいて重なられた状態で溶着されている。このように溶着された溶着部4dによって、シート幅方向中心を対称とした一対の排出ラインL3が形成されている。
排出ラインL4は、前側表皮4m及び後側表皮4nの縁に沿って形成されていない。具体的には排出ラインL4は、排出ラインL3と異なり、上側にあるシート幅方向外側部分において、略平行に延在する部分がなく、排出案内部4gに向かってテーパ状に形成されており、排出ラインL3の斜め下方に延在する部分よりも鋭角に延在している。
一方で、排出ラインL3は、前側表皮4m及び後側表皮4nの縁に沿って形成されているため、スリット4k内における溶着部4hによって形成される前側表皮4mと後側表皮4nとの間の空間を排出ラインL4によって形成される空間よりも広くすることができる。このため、スリット4kに液体が大量に入ったとしても、スリット4kから着座者の座る表皮材4の表面側に液体が溢れだすことを抑制することができる。
最後に、第3実施形態に係る表皮材4を構成する本発明に係る第一部分としての前側表皮4p及び後側表皮4nの構成について、図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は、図1のIX-IX断面に対応する断面を示すものであり、第3実施形態に係る表皮材4の底板2への固定状態を示す模式的な断面図、図10は、通し孔4paを有する前側表皮4pを示す模式図である。
本実施形態に係る前側表皮4pと後側表皮4nにおける排出案内部4qの端末部分は、底板2の同じ部分にステープル5で固定されることを特徴とする。
この通し孔4paは、表皮材4の排出案内部4qの端末が底板2に取り付けられた状態において、底板2の排出孔2kよりも下方に配置されるように形成されている。
例えば、表皮材4の端末における前後又は左右のいずれか一側の端部に排出案内部4g,4qが形成されているならば、他側の端部から傾斜して形成される一本の排出ラインのみが表皮材4に形成されていてもよい。
このようなシートにおいても、排出ラインL1,L2,L3,L4を有して、底板2の下方に液体を排出する上記構成によれば、液体の電気系統への浸入による電気トラブルを防止できる。このため、上記の構成は、このようなシートに特に好適に用いられる。
2 底板
2e 排出孔
2f 立壁(表側突出部)
2g 立壁(裏側突出部)
2h 吊り込み穴
2i ボトム部
2j バックレスト部
2k 排出孔
3 クッション材
3a 中央部
3b 側部
3c 前部
3d 後部
4 表皮材
4a スリット(分割部)
4b,4c,4d,4h 溶着部
4e ターポリン(補強布)
4f ループ
4g 排出案内部
4i 中央側表皮(第一部分)
4j サイド側表皮(第二部分)
4k スリット(分割部)
4m 前側表皮(第一部分)
4n 後側表皮(第二部分)
4p 前側表皮(第一部分)
4pa 通し孔
4q 排出案内部
4r 開放部
5 ステープル
L1,L2,L3,L4 排出ライン
Claims (8)
- 底板と、該底板に取り付けられる表皮材と、を有する乗物用シートであって、
前記底板には、前記表皮材にかかった液体を排出する排出孔が形成されており、
前記表皮材は、第一部分と第二部分とに分割する分割部を有し、
前記表皮材には、前記第一部分の一部と前記第二部分の一部とを溶着する溶着部が形成されており、
該溶着部は、前記表皮材が前記底板に取り付けられた状態において、前記排出孔にかけて下方に傾斜して、前記表皮材上にかかった液体の排出をガイドする排出ラインを形成することを特徴とする乗物用シート。 - 前記底板の表面側には、前記排出孔の周りを囲う表側突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記底板の裏面側には、前記排出孔の周りを囲う裏側突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記表皮材は、前記底板の前記排出孔に挿入されて前記液体の排出をガイドする排出案内部を有し、
該排出案内部は、周囲よりも突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。 - 前記第一部分と前記第二部分とは、前記表皮材が前記底板に取り付けられた状態において、前記排出ラインの先において開放部を形成するように、前記排出孔を通った先で前記底板の異なる位置に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記表皮材には、前記第一部分と前記第二部分と前記溶着部とに囲まれる空間と外部とを連通する通し孔が形成されており、
前記表皮材は、複数の前記排出ラインが前記排出孔よりも下方まで延在し、前記通し孔が前記排出孔よりも下方に配置されるように、前記底板に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。 - 前記第一部分と前記第二部分とは、前記表皮材が前記底板に取り付けられた状態において、前記排出孔を通った先で重なり合った状態で前記底板に固定されており、
前記通し孔は、前記第一部分及び前記第二部分のうち、下側に配置される部分に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の乗物用シート。 - 前記底板は、ボトム部と、該ボトム部よりも後方に配置されたバックレスト部と、を備え、
前記表皮材は、前記ボトム部と前記バックレスト部とを覆っており、
前記排出孔は、前記ボトム部と前記バックレスト部との間に形成されており、
前記分割部は、前記表皮材が前記底板に取り付けられた状態において、前記ボトム部と前記バックレスト部との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
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