JP6471594B2 - 希土類磁石素材、及び希土類磁石素材の製造方法 - Google Patents

希土類磁石素材、及び希土類磁石素材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石などに利用される希土類磁石の素材である希土類磁石素材、及びその製造方法に関する。特に、磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が得られる希土類磁石素材に関する。
モータや発電機などに利用される永久磁石には、希土類磁石が広く利用されている。希土類磁石としては、Nd−Fe−B系合金を用いたNd−Fe−B系磁石(ネオジム磁石)が代表的である。ネオジム磁石は、主に希土類−鉄系合金の粉末を焼結した焼結磁石や、合金粉末をバインダ樹脂で固化したボンド磁石として使用されている。ネオジム磁石以外では、Sm−Fe系合金を原料とし、これを窒化したSm−Fe−N系合金を用いたSm−Fe−N系磁石(サマリウム鉄窒素磁石)が実用化されている。サマリウム鉄窒素磁石は、一般にボンド磁石として使用されている。
最近では、焼結磁石やボンド磁石以外の希土類磁石として、粉末を圧縮成形した圧粉磁石が開発されている(特許文献1)。この特許文献1では、下記の準備工程→成形工程→脱水素工程→窒化工程を経てSm−Fe−N系合金材(希土類磁石素材)を製造し、この合金材を希土類磁石の素材に用いている。
準備工程:Sm−Fe系合金のインゴットを準備して、そのインゴットを粉砕し、粉砕した合金粉末を不均化温度以上で水素化(HD:Hydrogenation−Disproportionation)処理する。
成形工程:水素化処理した磁石用粉末を圧縮成形する。
脱水素工程:成形した粉末成形体を再結合温度以上で脱水素(DR:Desorption−Recombination)処理する。
窒化工程:窒素元素を含む雰囲気中、窒化温度以上窒素不均化温度以下の温度で窒化処理する。
このように、水素化工程後、脱水素工程前に、成形工程を行うことで、磁石用粉末の成形性を高められ、磁粉密度の高い粉末成形体(磁石用成形体)が得られる。合金粉末を水素化処理すれば、Fe含有相中に希土類元素の水素化物の相(例えば、SmH)が分散して存在する組織を有する磁石用粉末が得られるからである。即ち、磁石用粉末を構成する各磁性粒子が成形性に優れる軟質部分(α‐Feなど)を多く含むからである。
特開2012−241280号公報
磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が得られる希土類磁石素材を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記希土類磁石素材が得られる希土類磁石素材の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る希土類磁石素材は、サマリウム、鉄、ガリウム、及び窒素を含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性粒子と、サマリウム、鉄、及び窒素を含み、多結晶でかつ等方性を有し、異方性粒子同士を結着する複数の等方性粒子とを備える。希土類磁石素材は、異方性粒子の全体に対する含有量が50質量%以上である。
本発明の一態様に係る希土類磁石素材の製造方法は、準備工程と成形工程と脱水素工程と窒化工程とを備える。準備工程は、サマリウム、鉄、及びガリウムを含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子を複数有する異方性原料粉末と、サマリウム及び鉄を含み、水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で水素化処理した水素化粒子を複数有する水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備する。成形工程は、磁石用粉末を圧縮成形して粉末成形体を作製する。脱水素工程は、粉末成形体を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で脱水素処理して磁石用成形体を作製する。窒化工程は、磁石用成形体を窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で窒化処理する。磁石用粉末における異方性原料粉末の配合割合が50質量%以上である。成形工程は、磁石用粉末に磁場を印加した状態で行う。
上記希土類磁石素材は、磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が得られる。
上記希土類磁石素材の製造方法は、磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が得られる希土類磁石素材を製造できる。
実施形態1に係る希土類磁石素材の組織を示す模式図である。 実施形態1に係る希土類磁石素材の製造方法を説明する工程説明図である。
《本発明の実施形態の説明》
上述のように、Sm−Fe系合金粉末を磁石用原料粉末とする圧粉磁石は成形性を高められて磁粉密度の高い磁石が得られるものの、原料粉末は結晶磁化容易軸が種々の方向に向いている等方性粒子で構成されているため結晶配向度を高め難く残留磁化を高め難い。そこで、残留磁化を高めるために、例えば、Smを含み一軸結晶磁気異方性を有する異方性粒子を用いることが考えられるが、この異方性粒子は一般に塑性加工性に劣ることから、ボンド磁石のように異方性粒子同士を結着するための結着樹脂が必要である。非磁性材料である樹脂を含めば、磁石用原料の磁粉密度が低くなり、磁気特性の向上が難しい。
本発明者は、磁気特性(特に残留磁化)の向上を目指し、樹脂といった非磁性材料の結着材ではなく、磁性材料であって塑性変形性に優れる結着材を検討した。その結果、以下の(a)と(b)の知見を得た。
(a)Smの水素化合物と鉄族元素とが独立した相として存在する合金、即ち水素不均化状態の組織を有する合金は、塑性加工性に優れることから、異方性粒子同士を結着できる。
(b)この水素不均化状態の組織を有する合金は、結着後に脱水素処理を施して再結合合金とし、更に窒化処理することで、Sm−Fe−N系合金などの磁石相からなる結着材とすることができる。
本発明は、これらの知見に基づくものである。最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る希土類磁石素材は、サマリウム、鉄、ガリウム、及び窒素を含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性粒子と、サマリウム、鉄、及び窒素を含み、多結晶でかつ等方性を有し、異方性粒子同士を結着する複数の等方性粒子とを備える。希土類磁石素材は、異方性粒子の全体に対する含有量が50質量%以上である。
上記の構成によれば、異方性粒子同士を等方性粒子で結着していることで、結着材を樹脂とする樹脂ボンド磁石に比較して、磁性成分の割合を多く(磁粉密度を高く)し易いため磁気特性を高め易い。特に、異方性粒子の含有量が50質量%以上であるため、配向度の高い希土類磁石素材とし易く、残留磁化を高め易い。また、比較的塑性変形し難い異方性粒子が多くても、等方性粒子での結着により十分な強度を有する。
(2)上記希土類磁石素材の一形態として、異方性粒子の組成がSmFe100−x−y−zGa(x、y、zを原子%)で表されるとき、x、y、及びzのそれぞれは以下を満たすことが挙げられる。
x=3.3原子%以上12.9原子%以下
y=4.5原子%以上18.2原子%以下
z=8.6原子%以上31.0原子%以下
上記の構成によれば、配向度の高い希土類磁石を得易い。
(3)上記希土類磁石素材の一形態として、等方性粒子の組成がSmαFe100−α−ββ(α、βを原子%)で表されるとき、α、及びβのそれぞれは以下を満たすことが挙げられる。
α=3.3原子%以上12.9原子%以下
β=8.6原子%以上31.0原子%以下
上記の構成によれば、磁気特性に優れる希土類磁石を得易い。
(4)上記希土類磁石素材の一形態として、異方性粒子と等方性粒子との合計の磁粉密度が70体積%以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、磁気特性に優れる希土類磁石を得易い。
(5)本発明の一態様に係る希土類磁石素材の製造方法は、準備工程と成形工程と脱水素工程と窒化工程とを備える。準備工程は、サマリウム、鉄、及びガリウムを含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子を複数有する異方性原料粉末と、サマリウム及び鉄を含み、水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で水素化処理した水素化粒子を複数有する水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備する。成形工程は、磁石用粉末を圧縮成形して粉末成形体を作製する。脱水素工程は、粉末成形体を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で脱水素処理して磁石用成形体を作製する。窒化工程は、磁石用成形体を窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で窒化処理する。磁石用粉末における異方性原料粉末の配合割合が50質量%以上である。成形工程は、磁石用粉末に磁場を印加した状態で行う。
上記の構成によれば、磁粉密度が高くて磁気特性に優れる希土類磁石が得られる希土類磁石素材を製造できる。塑性加工性に優れる水素化粒子を塑性加工性に劣る異方性原料粒子同士の結着に利用することで、成形により異方性原料粒子同士を変形した水素化粒子によって強固に結合した粉末成形体を作製できる。この粉末成形体に脱水素処理及び窒化処理を施すことで、結着材である水素化粒子を最終的に磁性成分に変化させられ、実質的に磁性成分のみで構成される希土類磁石素材を製造できる。このような希土類磁石素材に着磁すれば、樹脂ボンド磁石に比較して磁性成分の割合の高い希土類磁石を製造できる。即ち、磁性成分の割合が高いことで磁気特性に優れる希土類磁石を製造できる。
特に、上記構成によれば、配向度の高い希土類磁石素材を製造し易い。準備工程で、一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子を特定の量準備することで、希土類磁石素材における異方性粒子の割合を高められる。そして、成形工程で、特定の大きさの磁場を印加して成形することで、配向方向の揃った割合の高い状態で異方性原料粉末を圧縮成形し、配向度の高い粉末成形体を作製し易い。
(6)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、成形工程で印加する磁場の大きさが0.5T以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、異方性原料粒子の配向方向の揃った割合を高め易いため、配向度が高く残留磁化の高い希土類磁石素材を製造し易い。
(7)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、異方性原料粒子の組成がSmFe100−t−uGa(t、uを原子%)で表されるとき、t、及びuのそれぞれは以下を満たすことが挙げられる。
t=3.8原子%以上14.9原子%以下
u=5.2原子%以上21.1原子%以下
上記の構成によれば、配向度の高い希土類磁石素材を製造できる。
(8)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、異方性原料粒子の平均粒径D50が3μm以上50μm以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、平均粒径D50を3μm以上とすることで、磁粉密度の高い希土類磁石素材を作製し易い。平均粒径D50を50μm以下とすることで、保磁力の高い希土類磁石素材を作製し易い。
(9)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、水素化粒子は、以下の構成(a)〜(d)を備えることが挙げられる。
(a)10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部がFeを含む鉄含有物の相とからなる。
(b)Smの水素化合物の相と、鉄含有物の相とが隣接して存在している。
(c)Smの水素化合物の相はSmHを含み、その相の形状が粒状である。
(d)鉄含有物の相を介して隣り合うSmの水素化合物の相間の間隔が3μm以下である。
上記構成(a)のように、Smの水素化合物の相を10体積%以上40体積%未満とすることで、磁気特性に優れる希土類磁石が得られる。また、Smの水素化合物の相を除く残部が実質的にFeを含む鉄含有物の相であり、柔らかく変形性に富む鉄含有物の相を主成分(60体積%以上90体積%以下)とすることで、磁石用粉末の成形性を高められる。
上記構成(b)及び構成(d)を備えることで、鉄含有物の相が希土類元素の水素化合物の相間に存在し、両相が上記した特定の間隔で存在する組織は、両相が均一的に存在する組織である。そのため、水素化粉末を圧縮成形すると、粒子が均一的に変形するので、成形性を高められる。なお、「Smの水素化合物の相間の間隔」とは、断面において、隣り合うSmの水素化合物の相同士の中心間距離のことである。
上記構成(c)を備えることで、Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とが積層構造となっている層状形態よりも成形性を高め易い。
(10)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、水素化粒子の平均粒径D50が50μm以上350μm以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、平均粒径D50を50μm以上とすることで、異方性原料粒子同士を強固に結着させられる。平均粒径D50を350μm以下とすることで、磁粉密度の高い希土類磁石素材を作製し易い。
(11)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、脱水素工程での処理温度が600℃以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、脱水素処理温度を600℃以上とすることで、再結合合金の結晶の成長を抑制して微細な結晶組織(例えば、平均結晶粒径が700nm以下)の元のSm−Fe系化合物に再結合させられる。
(12)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、窒素含有雰囲気は、NHガス雰囲気、NHガスとHガスとの混合ガス雰囲気、Nガス雰囲気、及びNガスとHガスとの混合ガス雰囲気のいずれかの雰囲気であることが挙げられる。
上記の構成によれば、脱水素処理して得られた磁石用成形体を窒化し易く、上述の希土類磁石素材を構成する異方性粒子と等方性粒子とを作製し易い。
(13)上記希土類磁石素材の製造方法の一形態として、窒化処理は、温度を300℃以上550℃以下とし、保持時間を10min以上2000min以下とすることが挙げられる。
上記の構成によれば、磁石用成形体を構成する粒子に対する窒化処理を促進し易いため、上述の希土類磁石素材を構成する異方性粒子と等方性粒子とを形成し易い。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔実施形態1〕
[希土類磁石素材]
主に図1を参照して実施形態1に係る希土類磁石素材1を説明する。希土類磁石素材1は、希土類磁石素材1を構成する複数の粒子が圧縮成形されたものである。この希土類磁石素材1の主たる特徴とするところは、特定の性質を有する異方性粒子21を磁性成分である等方性粒子31により結着する点と、その異方性粒子21の質量割合を特定の量とする点とにある。以下、詳細に説明するが、前者の点により希土類磁石素材1を実質的に磁性成分のみで構成できて磁粉密度を高められて磁気特性を高められ、後者の点により希土類磁石素材1の配向度を高め易く残留磁化を高め易い。まず、希土類磁石素材を説明し、その後、希土類磁石素材の製造方法を説明する。
(異方性粒子)
異方性粒子21は、後述の複数の等方性粒子31(等方性粉末3)と共に圧縮成形され、等方性粒子31により結着される(図1)。異方性粒子21は、単結晶であり、結晶磁化容易軸が一方向に配向する一軸結晶磁気異方性を有する。図1において、異方性粒子21内に示す矢印は、結晶の配向方向を示す。結晶組織の観察は、希土類磁石素材1の観察面について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることで行える。配向方向の測定は、例えば、希土類磁石素材1の観察面についてSEM観察を行い、観察像を観察面に平行な方向で評価した電子線後方散乱回折法(EBSD:EBSPと呼ばれることがある)による方位マップを利用することが挙げられる。
〈組成〉
異方性粒子21は、サマリウム(Sm)と、鉄(Fe)を含む鉄族元素と、ガリウム(Ga)と、窒素(N)とを有するSm−Fe−Ga−N系化合物からなるSm−Fe−Ga−N系合金である。Gaは、Feの一部に置換されて存在する。この異方性粒子は、不可避的不純物の含有を許容する。
異方性粒子21の具体的な組成は、SmFe100−x−y−zGa(x、y、zを原子%)で表されるとき、x=3.3原子%以上12.9原子%以下、y=4.5原子%以上18.2原子%以下、z=8.6原子%以上31.0原子%以下を満たすことが好ましい。異方性粒子21の化学量論組成は、SmFe17−vGaで表されるとき、v=1以上4以下、w=1.9以上6.8以下を満たすことが好ましい。異方性粒子21の化学量論組成は、v=3、w=3のSmFe14Gaが希土類磁石として理想的である。この組成を満たすことで、磁気特性(特に、残留磁化)を高められる。この組成の測定は、異方性粒子21における各元素の含有量から求めることで行える。元素の含有量の測定は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により行える。
〈サイズ〉
異方性粒子21の平均粒径は、3μm以上50μm以下が好ましい。この平均粒径が上記範囲を満たすことで、緻密な希土類磁石素材1とし易い。この平均粒径は40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。この平均粒径の測定は、SEMで断面の画像を取得し、市販の画像解析ソフトを用いて解析することで行える。その際、円相当径を粒子の粒径とする。円相当径とは、粒子の輪郭を特定し、その輪郭で囲まれる面積Sと同一の面積を有する円の径とする。つまり、円相当径=2×{上記輪郭内の面積S/π}1/2で表される。この平均粒径は、後述する異方性原料粉末準備工程で準備した異方性原料粉末5(図2)の平均粒径D50が実施的に維持されたものである。この異方性粒子21の平均粒径は、上述のように異方性粒子21の組織が単結晶であるため、平均結晶粒径ともいえる。
(等方性粒子)
等方性粒子31は、異方性粒子21同士を結着する。この等方性粒子31の多くは、異方性粒子21同士の間に介在している。等方性粒子31は、複数の異方性粒子21(異方性粉末2)と共に圧縮成形されており、異方性粒子21間で変形して存在するものがある。等方性粒子31は、多結晶であり、各結晶の結晶磁化容易軸が種々の方向に向いている等方性を有する。図1の一つの六角形は多結晶を構成する一つの結晶粒を模式的に示したものであり、六角形内の矢印は結晶の配向方向を示す。六角形内の矢印の方向は例示である。結晶組織の観察と配向方向の測定とは、異方性粒子21と同様、SEMとEBSDにより行える。
〈組成〉
等方性粒子31の組成は、SmとFeを含む鉄族元素とNとを有するSm−Fe−N系化合物を主相とするSm−Fe−N系合金である。鉄族元素は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)から選択される1種以上の元素が挙げられる。また、Feの一部がGaに置換されていてもよい。この等方性粒子31は、不可避的不純物の含有を許容する。
等方性粒子31の具体的な組成は、SmαFe100−α−ββ(α、βを原子%)で表されるとき、α=3.3原子%以上12.9原子%以下、β=8.6原子%以上31.0原子%以下を満たすことが好ましい。等方性粒子31の化学量論組成は、SmFe17γで表されるとき、γ=1.9以上6.8以下を満たすことが好ましい。この等方性粒子31の化学量論組成は、γ=3のSmFe17が希土類磁石として理想的である。この組成を満たすことで、磁気特性を高められる。
〈平均結晶粒径〉
等方性粒子31の平均結晶粒径は、700nm以下が挙げられる。平均結晶粒径が700nm以下と微細であることで、微細結晶組織に起因する磁気特性(特に保磁力)の向上効果が期待できる。上記平均結晶粒径は、小さいほど単磁区粒子臨界径に近くなり磁気特性に優れる。上記平均結晶粒径は、500nm以下、更に300nm以下が好ましい。平均結晶粒径は、上述の異方性粒子21の平均粒径の測定と同様に、SEM画像から各結晶粒の円相当径の平均を算出することで求められる。
〈サイズ〉
等方性粒子31の平均粒径は、50μm以上350μm以下が好ましい。等方性粒子31の平均粒径を上記範囲とすることで、異方性粒子21同士の間に介在させ易く、異方性粒子21同士を結着し易い。平均粒径の測定は、異方性粒子21と同様の測定により行える。この平均粒径は、後述する粉砕工程で作製した水素化粉末6(図2)の平均粒径D50が実質的に維持されたものである。
(含有量)
希土類磁石素材1における異方性粒子21の含有量は、50質量%以上とすることが挙げられる。異方性粒子21の含有量は多いほど、希土類磁石素材1における等方性粒子31の含有量が相対的に少なくなるため、希土類磁石素材1の配向度を高め易く残留磁化を高め易い。異方性粒子21の含有量の下限値は、60質量%以上がより好ましく、更には70質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。即ち、等方性粒子31の含有量の上限値は、40質量%以下がより好ましく、更には30質量%以下、特に20質量%以下が好ましい。異方性粒子21の含有量の上限値は、等方性粒子31により結着される点を鑑みると、95質量%以下が挙げられ、更には90質量%以下が挙げられる。即ち、等方性粒子31の含有量の下限値は、異方性粒子21同士の結着性の点から5質量%以上が挙げられ、更には10質量%以上が挙げられる。この異方性粒子21の含有量の測定は、SEMを用いた結晶粒径分布の観察結果から、単結晶粒子(異方性粒子21)と多結晶粒子(等方性粒子31)の面積比を測定し、この面積比と粒子の真密度とにより計算することで行える。結晶粒径の観察は、例えば、希土類磁石素材1の観察面についてSEM観察を行ない、観察像を観察面に平行な方向で評価したEBSDによる粒径観察結果を利用できる。異方性粒子21と等方性粒子31の面積比の測定は、SEM画像を市販の画像解析ソフトを用いて解析することで行える。
(磁粉密度)
希土類磁石素材1の磁粉密度は、高いほど磁気特性を高め易いため、例えば、70体積%以上が好ましい。残部は、空隙である。図1では、説明の便宜上、空隙は省略して示している。この点は後述の図2でも同様である。この磁粉密度は、80体積%以上がより好ましい。この磁粉密度の測定は、真密度に対する実際の密度([希土類磁石素材の見かけ密度/希土類磁石素材の真密度]の百分率)により求められる。見かけ密度は、希土類磁石素材1のサイズと質量から算出する。
(配向度)
希土類磁石素材1の配向度は、高いほど残留磁化を高め易い。上述のように異方性粒子21は一軸結晶磁気異方性を有しているため、配向度は主として異方性粒子21の含有量に影響を受け易く、異方性粒子21の含有量が多いほどこの配向度は高くなる傾向にある。この配向度は、例えば、75%以上が好ましい。この配向度を75%以上とすることで、希土類磁石に好適である。この配向度は、80%以上がより好ましく、更には85%以上、90%以上、特に95%以上が好ましい。配向度の測定方法は、後述の試験例で説明する。
(磁気特性)
希土類磁石素材1の残留磁化は、0.80T以上であることが好ましい。そうすれば、希土類磁石に好適に利用できる。この残留磁化は、0.85T以上が好ましく、更には0.90T以上、0.95T以上、特に1.00T以上が好ましい。この希土類磁石素材1を着磁すれば、希土類磁石が得られる。残留磁化の測定方法は、後述の試験例で説明する。
[希土類磁石素材の作用効果]
上述の希土類磁石素材1は、複数の異方性粒子21を磁性成分である複数の等方性粒子31により結着しており、実質的に磁性成分のみで構成できるため、磁気特性に優れる希土類磁石が得られる。特に、異方性粒子21の配向方向の揃った割合を高め易いため、配向度が高く残留磁化の高い希土類磁石が得易い。
[希土類磁石素材の製造方法]
希土類磁石素材1の製造は、準備工程と、成形工程と、脱水素工程と、窒化工程とを備える希土類磁石素材の製造方法により行える。以下、図2を参照して各工程の詳細を順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、異方性原料粒子51を複数有する異方性原料粉末5と、水素化粒子61を複数有する水素化粉末6との混合粉末を含む磁石用粉末4を準備する。磁石用粉末4の準備は、異方性原料粉末5を準備する異方性原料粉末準備工程と、水素化粉末6を準備する水素化粉末準備工程と、両粉末の混合粉末を含む磁石用粉末4を作製する混合工程と、を経て行える。
〈異方性原料粉末準備工程〉
この工程で準備する異方性原料粉末5は、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性原料粒子51である。
異方性原料粒子51の構成材料は、SmとFeとGaとを含むSm−Fe−Ga系化合物からなるSm−Fe−Ga系合金が挙げられる。具体的なSm−Fe−Ga系合金の組成は、SmFe100−t−uGa(t、uを原子%)で表されるとき、t=3.8原子%以上14.9原子%以下、u=5.2原子%以上21.1原子%以下を満たすことが好ましい。このSm−Fe−Ga系合金の化学量論組成は、SmFe17−sGaで表されるとき、s=1以上4以下を満たすことが好ましい。この異方性原料粒子51の化学量論組成は、s=3のSmFe14Gaが希土類磁石素材1の原料として理想的である。この組成を満たすことで、磁気特性(特に残留磁化)の高い希土類磁石素材を製造し易い。
異方性原料粒子51の平均粒径D50は、3μm以上50μm以下が好ましい。この平均粒径D50を3μm以上とすることで、磁粉密度の高い希土類磁石素材1を得やすい。また、表層酸化による磁気特性の劣化を抑えられるため、比較的粒径の大きい粒子を備えると、磁気特性に優れる希土類磁石とすることができる。平均粒径D50を50μm以下とすることで、保磁力の高い希土類磁石素材1を作製し易い。また、希土類磁石素材1の割れを抑制できる。異方性原料粒子51の平均粒径D50は、40μm以下がより好ましく、特に30μm以下が好ましい。平均粒径D50(50体積%粒径)とは、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した場合において、体積基準の粒度分布をとり、その粒度分布の小径側から累積が50%となる粒径値のことである。この点は、後述する水素化粒子61でも同様である。
異方性原料粉末5は、例えば、鋳造した合金を1000℃で溶体化し、Ar等の不活性ガス雰囲気下で粉砕することで製造できる。また、異方性原料粉末5は購入するなどして準備することもできる。
〈水素化粉末準備工程〉
水素化粉末6の準備は、原料合金準備工程と水素化工程と粉砕工程とを経て行える。
・原料合金準備工程
原料合金準備工程では、SmとFeを含む鉄族元素とを含むSm−Fe系化合物を主相とするSm−Fe系合金を準備する。
鉄族元素は、Fe、Co、及びNiから選択される1種以上の元素が挙げられる。代表的には、Feを希土類−鉄系合金の主体(50質量%超)とする形態が挙げられる。
Sm−Fe系合金におけるその他の添加元素としては、例えば、ガリウム(Ga)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)及びニオブ(Nb)から選択される1種以上の元素が挙げられる。これらの元素を含有すれば、例えば、保磁力の向上などの効果が望める。特に、Gaを含む場合、異方性原料粒子51の組成と同様であるため、後述する窒化処理を異方性原料粉末5と均等に施せて、均一な窒化を行ない易い。これらの添加元素は、例えばFeの一部に置換されて存在する。
Sm−Fe系合金の具体的な組成は、SmδFe100−δ(δを原子%)で表されるとき、δ=3.8原子%以上14.9原子%以下を満たすことが好ましい。Sm−Fe系合金の化学量論組成は、SmFe17が理想的である。なお、添加元素を含む場合、Sm−Fe系合金の原子%で表される組成は、SmεFe100−ε−ζGaζ(ε、ζを原子%)で表されるとき、ε=3.8原子%以上14.9原子%以下、ζ=5.2原子%以上21.1原子%以下を満たすことが好ましい。Sm−Fe系合金の化学量論組成は、SmFe17−ηGaηで表されるとき、η=1以上4以下を満たすことが好ましい。Sm−Fe系合金の化学量論組成は、η=3のSmFe14Gaが理想的である。この組成を満たすことで、磁気特性の高い希土類磁石素材を製造し易い。この組成は、後述する脱水素工程を経た際に維持される。Sm−Fe系合金は、不可避不純物の含有を許容する。
Sm−Fe系合金の最大径は100μm以上50mm以下であることが好ましい。最大径が100μm以上であることで、後工程の粉砕工程において中粒度に粉砕し易く、圧縮成形に適した粒径の水素化粉末6を製造し易い。最大径が50mm以下であることで、後工程の粉砕工程に要する時間を短縮できる。Sm−Fe系合金の形状は、特に問わず、例えば球状、棒状、薄片状などの種々の形状とすることができる。なお、「最大径」とは、1つのSm−Fe系合金をあらゆる方向から平面視したときのSm−Fe系合金の最も長い部分の長さのことである。
Sm−Fe系合金の製造方法は特に問わず、例えば、溶解鋳造法、急冷凝固法、ガスアトマイズ法などにより製造できる。Sm−Fe系合金を急冷凝固法の一種であるストリップキャスト法により製造すると、薄片状の合金が得られ、上記したサイズの合金が製造し易く好ましい。
・水素化工程
水素化工程は、Sm−Fe系合金を水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で熱処理して水素化処理した水素化合金を作製する。
水素化合金は、主相のSm−Fe系化合物がSmの水素化合物の相と、Feを含有する鉄含有物の相とに相分解した組織を有する。水素化合金の上記組織や両相の存在形態(後述)などは、粉砕工程を経た水素化粒子61に維持される。ここでは、上記組織などは図示せず、後述する水素化粒子61を示す図(図2上図)で示す。
Smの水素化合物は、SmHなどが挙げられる。Feを含有する鉄含有物は、代表的には純鉄が挙げられる。水素化合金は、相分解前のSm−Fe系化合物やSmの水素化合物の相に比較して柔らかい軟質部分である純鉄が存在することから、圧縮成形したときに変形して成形性を高め易い。
Smの水素化合物の相と鉄含有物の相との存在形態は、Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とが積層構造となっている層状形態や、鉄含有物の相中に粒状のSmの水素化合物の相が分散して存在する分散形態が挙げられる。これらの存在形態は、後述する水素化処理の際の熱処理条件(主に温度)に依存する。分散形態は、Smの水素化合物の相の周囲に鉄含有物の相が均一的に存在することで、層状形態よりも成形性を高め易い。そのため、円弧状、円筒状、円柱状などといった種々の形状の粉末成形体(磁石用成形体)が得られ易い。また、磁粉密度の高い高密度な粉末成形体が得られ易い。
水素化合金は、10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部が鉄を含有する鉄含有物の相とからなる組織を有することが好ましい。Smの水素化合物の相を除く残部が実質的に鉄含有物の相であり、鉄含有物の相を主成分(60体積%以上90体積%以下)とすれば、水素化粉末の成形性を高められる。Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とは隣接して存在しており、かつ鉄含有物の相を介して隣り合うSmの水素化合物の相の間隔は3μm以下が好ましい。鉄含有物の相がSmの水素化合物の相間に存在し、両相が上記した特定の間隔で存在する組織は、両相が均一的に存在する組織であるため、圧縮成形したときに均一的に変形する。
上記間隔が3μm以下であると、後で脱水素処理により、Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とが元のSm−Fe系化合物に再結合する際に、過度なエネルギーを投入しなくて済む上に、Sm−Fe系化合物の結晶粒の粗大化による特性の低下を抑制できる。Smの水素化合物の相間に鉄含有物の相が十分に存在するためには、上記間隔は0.5μm以上、更に1μm以上が好ましい。上記間隔は、例えば、原料に用いるSm−Fe系合金の組成を調整したり、水素化処理の条件、特に熱処理温度を調整することで制御できる。例えば、Sm−Fe系合金において鉄の比率(原子比)を多くしたり、上記した温度範囲で熱処理温度を高くしたりすると、上記間隔が大きくなる傾向がある。
上記した間隔の測定は、例えば、断面をエッチングして鉄含有物の相を除去してSmの水素化合物の相を抽出したり、又は溶液の種類によってはSmの水素化合物の相を除去して鉄含有物の相を抽出したり、若しくは断面をEDX(エネルギー分散型X線分析装置)により組成分析することで測定できる。
水素化合金は、粒界相が水素を吸蔵することで粒界相の脆化及び体積膨張が起こって粒界相にクラック(割れ)が発生して粉砕されるが、比較的サイズの大きいSm−Fe系合金に対して水素化処理しているので、微細に粉砕されることが少ない。つまり、水素化合金のサイズが不均一になるものの、微細な粒子が発生することは少ない。水素化合金のサイズが不均一であっても、後工程の粉砕工程で水素化合金を機械的に粉砕することにより、水素化粉末の粒径が制御される。
水素化処理の条件は、例えば、雰囲気:Hガス雰囲気、又はHガスとArやNなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気、温度:用意した合金の水素不均化温度以上(材質にもよるが、例えば、600℃以上1100℃以下)、保持時間:0.5時間以上5時間以下が挙げられる。熱処理の温度を不均化温度近傍に設定すると、上記両相の存在形態は上記層状形態となり、熱処理の温度を不均化温度+100℃以上といった高めに設定すると、上記両相の存在形態は上記分散形態となる。
・粉砕工程
粉砕工程は、水素化合金を機械的に粉砕して水素化粒子61を複数有する水素化粉末6を作製する。
粉砕工程では、水素化合金を所定の粒度に粉砕して、水素化粒子61の粒径を目的とする粒径に制御する。粉砕工程では、機械的に粉砕するため、水素化粒子61の粒径を均一に制御し易い。具体的には、水素化処理した合金を中粒度に粉砕し、圧縮成形に適した粒径の水素化粒子61を製造することが挙げられる。
水素化合金を粉砕する装置は、例えば摩砕型粉砕機又は衝突型粉砕機が挙げられる。摩砕型粉砕機は、代表的にはブラウンミルなどが挙げられ、衝突型粉砕機は、代表的にはピンミルなどが挙げられる。これら装置は、水素化合金を中粒度に粉砕するのに適しており、粒径の制御も容易である。
水素化合金を機械的に粉砕して得られた水素化粒子61の平均粒径D50(50体積%粒径)は、50μm以上350μm以下であることが好ましい。このような水素化粒子61は、圧縮成形に適した粒径であるため成形性に特に優れる。特に、平均粒径D50を50μm以上とすることで、異方性原料粒子51同士を強固に結着し易い。また、水素化粒子61の酸化を抑制し易い。平均粒径D50を350μm以下とすることで、磁粉密度の高い希土類磁石素材1を作製し易い。水素化粒子61の平均粒径D50は100μm以上300μm以下がより好ましい。
水素化粒子61は、上述した水素化合金の上記組織や上記両相の存在形態等が実質的に維持される。即ち、水素化粒子61は、10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相62と、残部が鉄を含有する鉄含有物の相63とからなる組織を有する(図2上図)。このSmの水素化合物の相62は粒状であり、鉄含有物の相63中に分散して存在する分散形態である。Smの水素化合物の相62と鉄含有物の相63とが隣接して存在しており、かつ鉄含有物の相63を介して隣り合うSmの水素化合物の相62の間隔が3μm以下である。
〈混合工程〉
混合工程では、異方性原料粉末5と水素化粉末6とを混合した混合粉末を含む磁石用粉末4を作製する。両粉末5,6の混合には、両粉末5,6を均一に混合できる適宜な混合機を用いて行うとよい。
混合粉末における異方性原料粉末5の配合割合は、異方性原料粉末5の配合割合が多いほど、異方性原料粉末5の存在割合が高い磁石用成形体8が得られる。ひいては、異方性粉末2の存在割合が高い希土類磁石素材1が得られる。従って、異方性原料粉末5の配合割合は、質量割合で50%以上が好ましい。異方性原料粉末5の配合割合は、質量割合で、60%以上、更に70%以上、更には75%以上が好ましい。異方性原料粉末5の配合割合が多すぎると、結着材となる水素化粉末6が相対的に少なくなって、異方性原料粒子51同士を十分に結着できなくなる虞がある。従って、異方性原料粉末5の配合割合は、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。水素化粉末6の配合割合は、質量割合で、5%以上であれば、異方性原料粒子51同士を十分に結着できる。異方性原料粉末5の配合割合は、得られる希土類磁石素材1に含まれる異方性粉末2の存在割合(含有量)に維持される。
(成形工程)
成形工程では、磁石用粉末4を圧縮成形して粉末成形体7を作製する(図2上から2番目の図)。成形には、所望の形状の粉末成形体7が得られる金型9を利用するとよい。
金型9は、代表的には、貫通孔を有するダイ91と、ダイ91の内周面と共に成形空間を形成し、上記貫通孔に挿入して磁石用粉末4を圧縮成形する一対の上下パンチ92,93とを備える。貫通孔を有する筒状又は環状の粉末成形体を成形する場合には、ダイ91の貫通孔に挿入配置されるロッド(図示せず)を利用する。金型9の周囲には、磁場を印加するための磁石(図示せず)を配置する。
成形圧力は、490MPa以上が好ましい。成形圧力を490MPa以上とすることで、粉末成形体7の磁粉密度を高められる。例えば、粉末成形体7の磁粉密度を70体積%以上とすることができる。この成形圧力は、1500MPa以下が挙げられる。成形圧力を1500MPa以下とすることで、粉末成形体7の磁粉密度が高くなり過ぎず、空隙率が小さくなり過ぎない。即ち、作製した磁石用成形体8を窒化処理して希土類磁石素材1を作製する際、窒素の流通経路を確保し易く、磁石用成形体8を構成する各粒子を窒化し易い。そのため、図2の最下段に図示する異方性粒子21と等方性粒子31とを作製し易い。この成形圧力は600MPa以上1400MPa以下が好ましく、700MPa以上1300MPa以下が特に好ましい。
成形工程は、磁石用粉末4に磁場を印加した状態で行う。そうすれば、一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子51は、磁場の印加方向に従って回転するなどして金型9内で一方向に揃い易く、最も好ましくは略一方向に配列する。そのため、配向度の高い粉末成形体7が得られ、ひいては配向度の高い希土類磁石素材1を製造できる。即ち、残留磁化に優れる希土類磁石を生産性よく製造できる。
印加磁場の大きさは、0.5T以上が好ましい。印加磁場が大きいほど、配向度を高められ、残留磁化に優れる希土類磁石が得られる。印加磁場の大きさは、1.0T以上がより好ましく、特に1.5T以上が好ましい。印加磁場の大きさは、実用上2.0T以下程度が挙げられる。磁場の印加には、常電導コイルを備える常電導磁石、超電導コイルを備える超電導磁石のいずれも利用できる。磁場の印加方向は、適宜選択できる。図2では、磁場の印加方向を一点鎖線矢印で示している。ここでは、磁場の印加方向は、圧縮方向(ここでは上下方向)に直交する場合を例示しているが、圧縮方向など他の方向としても構わない。
(脱水素工程)
脱水素工程は、粉末成形体7を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で熱処理して脱水素処理して磁石用成形体8を作製する(図2上から3番目の図)。粉末成形体7を構成する水素化粉末6は、水素化処理によりSmの水素化合物の相62と鉄含有物の相63に相分解した状態であり、脱水素処理することで、元のSm−Fe系化合物に再結合する。この脱水素処理により、Sm−Fe系合金の結晶粒が微細化され、平均結晶粒径が700nm以下の微細なSm−Fe系化合物の主相からなる多結晶組織のSm−Fe系合金が得られる。この平均結晶粒径は、500nm以下、更には100nm以上300nm以下程度とすることが挙げられる。
脱水素処理の条件は、例えば、雰囲気:非水素雰囲気(ArやNといった不活性ガス雰囲気、又は減圧雰囲気(例えば、標準の大気圧よりも圧力が低い真空雰囲気))、温度:水素化合金の再結合温度以上(材質にもよるが、例えば600℃以上1000℃以下)、保持時間:10分以上600分以下が挙げられる。特に、減圧雰囲気(例えば、真空度は100Pa以下、最終真空度は10Pa以下、更に1Pa以下)は、Smの水素化合物が残存し難くて好ましい。上記温度とすることで、再結合合金の結晶の成長を抑制して微細な多結晶組織が得られる。このSm−Fe系合金粒子は、結晶磁化容易軸が種々の方向に向いている等方性を有する。
(窒化工程)
窒化工程は、磁石用成形体8に窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で熱処理して窒化処理する(図2下図)。この窒化処理により、磁石用成形体8を構成する上述のSm−Fe−Ga系合金を上述の組成の異方性粒子21にでき、磁石用成形体8を構成する上述のSm−Fe系合金の粒子を上述の組成の等方性粒子31にすることができる。即ち、異方性粒子21と等方性粒子31とを備える上述の希土類磁石素材1が得られる。
窒素含有雰囲気とは、NHガス雰囲気、NHガスとHガスとの混合ガス雰囲気、Nガス雰囲気、及びNガスとHガスとの混合ガス雰囲気のいずれか言う。この雰囲気とすることで、磁石用成形体を構成する粒子に対する窒化処理を促進し易い。窒化処理温度は、300℃以上550℃以下、好ましくは320℃以上450℃以下が挙げられ、保持時間は、10分以上2000分以下、好ましくは30分以上2000分以下、特に60分以上1800分以下が挙げられる。この処理条件とすることで、異方性粒子21と等方性粒子31とを備える上述の希土類磁石素材1を得易い。
窒化処理は、磁場を印加した状態で行える。磁場印加により、結晶格子を一方向に引き伸ばし易く、引き伸ばされた鉄原子−鉄原子間に窒素原子を優先的に侵入させて、上述の組成の異方性粒子21と等方性粒子31とを備える希土類磁石素材1を得易い。印加する磁場の大きさは、3T以上が挙げられる。
[希土類磁石素材の製造方法の作用効果]
上述の希土類磁石素材の製造方法によれば、特定の量の異方性原料粒子51と水素化粒子61とを準備して、特定の大きさの磁場を印加して圧縮成形した後、上記脱水素処理及び窒化処理を経ることで、実質的に磁性成分で構成されると共に、異方性粒子21の配向方向の揃った割合が高い状態で等方性粒子31により結着された希土類磁石素材1を製造できる。即ち、配向度が高く磁気特性(特に残留磁化)の高い希土類磁石が得られる希土類磁石素材1を製造できる。
〔試験例1〕
希土類磁石素材の試料を作製した後、各試料を用いて希土類磁石を作製して、各試料の磁気特性を評価した。
[試料No.1−1〜1−8]
希土類磁石素材の試料No.1−1〜1−8は、上述の希土類磁石素材の製造方法と同様にして、準備工程→成形工程→脱水素工程→窒化工程の手順で作製した。
(準備工程)
準備工程では、異方性原料粉末と水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備した。
〈異方性原料粉末準備工程〉
異方性原料粉末として、単結晶で一軸結晶磁気異方性を有し、原子%での組成がSm10.6Fe73.6Ga15.8であり、化学量論組成がSmFe14Gaである合金粉末を準備した。異方性粒子の平均粒径D50は、50μmとした。
〈水素化粉末準備工程〉
水素化粉末を準備する。水素化粉末は、原料合金準備工程、水素化工程、粉砕工程の順に経て作製した。
・原料合金準備工程
原料合金として、粒度が0.5mm〜30mmで、原子%での組成がSm10.6Fe89.5であり、化学量論組成がSmFe17の原料合金のインゴットを準備した。
・水素化工程
上記インゴットに水素化処理を施して水素化合金を作製した。水素化処理は、真空熱処理炉を用いて、条件を、水素雰囲気中、800℃×3時間として行った。
・粉砕工程
水素化合金を粉砕して水素化粉末を作製した。この粉砕は、超硬合金製の乳鉢を用いて行った。得られた水素化粉末について、レーザ回折式粒度分布測定装置により体積粒度分布を測定したところ、平均粒径D50が150μmであった。
水素化粉末の組織をEDXにより調べた。その結果、水素化粉末は、以下の点が確認された。
(a)10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部が鉄を含有する鉄含有物の相とからなる組織を有している。
(b)Smの水素化合物の相と鉄含有物の相とは隣接して存在している。
(c)Smの水素化合物の相はSmHを含み、その相の形状が粒状である。
(d)鉄含有物の相を介して隣り合う希土類元素の水素化合物の相の間隔は3μm以下である。
〈混合工程〉
異方性原料粉末と水素化粉末とを混合した混合粉末を含む磁石用粉末を作製した。両粉末の混合は、V型混合機を用い、窒素雰囲気中で30min行った。各試料の異方性原料粉末と水素化粉末との配合割合を表1に示す。
(成形工程)
磁石用粉末を金型に充填し、圧縮成形して長さ約10mm、幅約10mm、高さ約10mmの角柱状の粉末成形体を作製した。圧縮成形は、成形圧力を980MPa(10ton/cm)とし、表1に示す大きさの磁場を印加して行った。
(脱水素工程)
粉末成形体に脱水素処理を施して磁石用成形体を作製した。脱水素処理は、真空熱処理炉内の雰囲気を水素雰囲気から真空雰囲気に切り換えて、条件を、真空雰囲気中、750℃×3時間として行った。真空雰囲気の真空度は0.5Pa未満に設定した。
(窒化工程)
磁石用成形体に窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で熱処理して窒化処理して希土類磁石素材の試料を作製した。窒化処理は、体積比でNH:H=1:3の混合ガス雰囲気中、400℃×12時間として行った。
[試料No.1−100]
希土類磁石素材の試料No.1−100は、試料No.1−1と同様の水素化粉末のみを磁石用粉末に用いた点と、成形工程で磁場を印加せずに圧縮成形して粉末成形体を作製した点とを除き、試料No.1−1と同様にして作製した。
[試料No.1−101]
希土類磁石素材の試料No.1−101は、試料No.1−1と同様の水素化粉末のみを磁石用粉末に用いた点を除き、試料No.1−1と同様にして作製した。
[試料No.1−102〜1−104]
希土類磁石素材の試料No.1−102〜1−104は、試料No.1−1と同様の水素化粉末と、SmFe17合金粉末とを混合した混合粉末を磁石用粉末に用いた点を除き、試料No.1−1と同様にして作製した。このSmFe17合金粉末は、水素化粉末に対して試料No.1−1と同様の条件の脱水素処理を施して作製した。試料No.1−102〜1−104の相違点は、水素化粉末とSmFe17合金粉末との配合割合にある。各試料の配合割合を表1に示す。
[試料No.1−110]
希土類磁石素材の試料No.1−110は、磁石用粉末を樹脂のバインダで結着した希土類ボンド磁石とした点が試料No.1−1と相違する。磁石用粉末には、SmFe17の合金粉末を用いた。このSmFe17合金粉末は、試料No.1−1と同様の水素化粉末に対して試料No.1−1と同様の条件の脱水素処理と窒化処理とを施して作製した。バインダには、エポキシ樹脂を用いた。この磁石用粉末とバインダの配合割合を表1に示す。ここでは、磁石用粉末と樹脂とを混合し、この混合材料を150℃に加熱した金型に充填して1.5Tの磁場を印加して686MPa(7ton/cm)の成形圧力で加圧成形し、樹脂を冷却・固化して作製した。
(密度と磁粉密度の測定)
各試料の希土類磁石素材の密度(g/cm)と磁粉密度(体積%)を測定した。各試料の密度と磁粉密度を表1に示す。各試料の希土類磁石素材の密度は、サイズと質量から算出した見かけ密度とした。試料No.1−1〜1−8,1−100〜104の希土類磁石素材の磁粉密度は、「希土類磁石素材の見かけ密度/希土類磁石素材の真密度」の百分率から求めた。試料No.1−110の希土類磁石素材の磁粉密度は、「(希土類磁石素材の見かけ密度−バインダ樹脂の真密度)/(希土類磁石素材の真密度−バインダの真密度)」の百分率から求めた。希土類磁石素材の真密度は7.7g/cmであり、バインダの真密度は1.01g/cmである。
(磁気特性の評価)
希土類磁石素材を3.5Tのパルス磁界で着磁して各試料の希土類磁石を作製し、希土類磁石の磁気特性を調べた。その結果を表1に示す。この希土類磁石の磁気特性は、BHトレーサ(理研電子株式会社製DCBHトレーサ)を用いて、残留磁化Br(T)を調べた。
(配向度)
各試料の希土類磁石の配向度を調べた。その結果を表1に示す。配向度は、「(Bra)/(Bra+Brb+Brc1/2」で算出した。
Bra:各試料の磁場印加方向と平行方向の残留磁化Br(T)
Brb、Brc:各試料の磁場印加方向に直交すると共に、互いに直交する方向の残留磁化Br(T)
Figure 0006471594
表1に示すように試料No.1−1〜1−8はいずれも密度は6.2g/cm以上で磁粉密度は80体積%以上であり、試料No.1−110に比較して、密度及び磁粉密度が非常に高くて磁気特性に優れていることがわかる。また、試料No.1−1〜1−8はいずれも、配向度が60%以上、更には65%以上で、残留磁化が0.65T以上であり、試料No.1−100〜1−104に比較して、配向度及び残留磁化が非常に高いことが分かる。特に、試料No.1−1〜1−5,1−7,1−8はいずれも、配向度が75%以上で残留磁化が0.85T以上であり、試料No.1−100〜1−104に比較して、配向度及び残留磁化が非常に高いことが分かる。
試料No.1−1〜1−8と、試料No.1−100〜1−104,1−110との比較から以下の(1)の点が分かり、試料No.1−1〜1−5の比較から以下の(2)と(3)の点が分かり、試料No.1−4、1−6〜1−8の比較から以下の(4)の点が分かる。(1)磁石用粉末が異方性原料粉末と水素化粉末とを含むことで、高い磁粉密度と高い配向度の両方を兼ね備える希土類磁石とすることができる。(2)異方性原料粉末の含有量が多いほど、即ち、水素化粉末の含有量が少ないほど配向度及び残留磁化が高くなる傾向にある。(3)異方性原料粉末の含有量が少ないほど、即ち、水素化粉末の含有量が多いほど密度及び磁粉密度が高くなる傾向にある。(4)成形工程で印加する磁場の大きさが大きいほど、配向度及び残留磁化が高くなる傾向にある。
本発明の希土類磁石素材は、永久磁石、例えば、各種のモータ、特に、ハイブリッド自動車やハードディスクドライブなどに具備される高速モータに用いられる永久磁石の素材に好適に利用できる。本発明の希土類磁石素材の製造方法は、永久磁石などに利用される希土類磁石の素材の製造に好適に利用できる。
1 希土類磁石素材
2 異方性粉末 21 異方性粒子
3 等方性粉末 31 等方性粒子
4 磁石用粉末
5 異方性原料粉末 51 異方性原料粒子
6 水素化粉末
61 水素化粒子 62 Smの水素化合物の相 63 鉄含有物の相
7 粉末成形体
8 磁石用成形体
9 金型 91 ダイ 92 上パンチ 93 下パンチ

Claims (13)

  1. サマリウム、鉄、ガリウム、及び窒素を含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する複数の異方性粒子と、
    サマリウム、鉄、及び窒素を含み、多結晶でかつ等方性を有し、前記異方性粒子同士を結着する複数の等方性粒子とを備える圧粉体であり、
    前記圧粉体が、実質的に磁性成分のみで構成され、
    前記異方性粒子の全体に対する含有量が50質量%以上である希土類磁石素材。
  2. 前記異方性粒子の組成がSmFe100−x−y−zGa(x、y、zを原子%)で表されるとき、x、y、及びzのそれぞれは以下を満たす請求項1に記載の希土類磁石素材。
    x=3.3原子%以上12.9原子%以下
    y=4.5原子%以上18.2原子%以下
    z=8.6原子%以上31.0原子%以下
  3. 前記等方性粒子の組成がSmαFe100−α−ββ(α、βを原子%)で表されるとき、α、及びβのそれぞれは以下を満たす請求項1又は請求項2に記載の希土類磁石素材。
    α=3.3原子%以上12.9原子%以下
    β=8.6原子%以上31.0原子%以下
  4. 前記異方性粒子と前記等方性粒子との合計の磁粉密度が70体積%以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の希土類磁石素材。
  5. サマリウム、鉄、及びガリウムを含み、単結晶でかつ一軸結晶磁気異方性を有する異方性原料粒子を複数有する異方性原料粉末と、サマリウム及び鉄を含み、水素を含む雰囲気中で不均化温度以上の温度で水素化処理した水素化粒子を複数有する水素化粉末とを含む磁石用粉末を準備する準備工程と、
    前記磁石用粉末を圧縮成形して粉末成形体を作製する成形工程と、
    前記粉末成形体を不活性雰囲気中又は減圧雰囲気中で再結合温度以上の温度で脱水素処理して磁石用成形体を作製する脱水素工程と、
    前記磁石用成形体を窒素含有雰囲気中で窒化温度以上の温度で窒化処理する窒化工程とを備え、
    前記磁石用粉末における異方性原料粉末の配合割合が50質量%以上であり、
    前記成形工程は、前記磁石用粉末に磁場を印加した状態で行う希土類磁石素材の製造方法。
  6. 前記成形工程で印加する磁場の大きさが0.5T以上である請求項5に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  7. 前記異方性原料粒子の組成がSmFe100−t−uGa(t、uを原子%)で表されるとき、t、及びuのそれぞれは以下を満たす請求項5又は請求項6に記載の希土類磁石素材の製造方法。
    t=3.8原子%以上14.9原子%以下
    u=5.2原子%以上21.1原子%以下
  8. 前記異方性原料粒子の平均粒径D50が3μm以上50μm以下である請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  9. 前記水素化粒子は、
    10体積%以上40体積%未満のSmの水素化合物の相と、残部がFeを含む鉄含有物の相とからなり、
    前記Smの水素化合物の相と、前記鉄含有物の相とが隣接して存在しており、
    前記Smの水素化合物の相はSmH2を含み、その相の形状が粒状であり、
    前記鉄含有物の相を介して隣り合う前記Smの水素化合物の相間の間隔が3μm以下である請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  10. 前記水素化粒子の平均粒径D50が50μm以上350μm以下である請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  11. 前記脱水素工程での処理温度が600℃以上である請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  12. 前記窒素含有雰囲気は、NHガス雰囲気、NHガスとHガスとの混合ガス雰囲気、Nガス雰囲気、及びNガスとHガスとの混合ガス雰囲気のいずれかの雰囲気である請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
  13. 前記窒化処理は、
    温度を300℃以上550℃以下とし、
    保持時間を10min以上2000min以下とする請求項5から請求項12のいずれか1項に記載の希土類磁石素材の製造方法。
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