JP6468208B2 - 焼鈍分離剤用粉末、その製造方法、および方向性電磁鋼板 - Google Patents

焼鈍分離剤用粉末、その製造方法、および方向性電磁鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、表面にフォルステライトを主体とする被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造に供する焼鈍分離剤に用いられる粉末に関し、方向性電磁鋼板における完全な被膜レス化に寄与する焼鈍分離剤用粉末、その製造方法、および方向性電磁鋼板に関するものである。
方向性電磁鋼板の製造は、所定の成分組成に調整した鋼スラブに、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延を施し、次いで再結晶焼鈍後、仕上焼鈍を施す工程を経るのが一般的である。上記の工程のうち、仕上焼鈍工程では、1200℃以上の高温での焼鈍が必要であることから、コイルの焼きつき防止のために、酸化マグネシウムの粉末を主体とする焼鈍分離剤を塗布するのが通例である。
また、酸化マグネシウムには、上記の焼鈍分離剤としての役割のほかに、仕上焼鈍の前に行われる脱炭焼鈍時に鋼板表面に生成するシリカを主体とする酸化層と反応させてフォルステライト被膜を形成させるという役割や、インヒビターと呼ばれる鉄の結晶粒の成長を制御する析出物(例えば、AlN、MnS、MnSe、Si3N4、TiN、TiCなどの一部)を仕上焼鈍後に鋼板中から除去して純化するという役割がある。
上記のフォルステライト被膜は、上塗りされるリン酸塩系の絶縁被膜と鋼板との密着性を向上させるバインダーとしての働きをはじめとして、鋼板に張力を付与することにより、磁気特性を向上させるという働きもある。
しかし、フォルステライト被膜は、密着性の向上効果が優れている反面、地鉄と被膜との界面構造を乱すために、鉄損に対する張力効果が相殺される。これを避けるため、特許文献1には、鋼板表面と被膜との界面の粗度を低減し、つまり、地鉄表面を平滑化するとともに、張力付与処理を行なうことで材料の鉄損を大幅に低減する技術が開示されている。酸化マグネシウムを主体とする焼鈍分離剤は、通常、フォルステライトを鋼板表面に緻密かつ均一に形成させる為に反応性が良好なものが使用されている。
しかし、このような焼鈍分離剤は、鋼板表面を平滑化するためには不都合なものもある。そのため、特許文献2には、酸化マグネシウム100重量部にアルカリ又はアルカリ土類金属の塩化物を2〜40重量部添加した焼鈍分離剤を用いる技術が開示されている。また、特許文献3には焼鈍分離剤としてアルミナを用いることによりフォルステライトを形成しない技術が開示されている。
特公昭52-24499号公報 特開昭64-62476号公報 特開2003-268450号公報
しかしながら、上記いずれの技術においても、仕上焼鈍後に少量の酸化物が残留してしまう問題を解決するには至らず、鏡面状態の平滑な表面を得るためには、フッ酸を含む酸での酸洗や電解研磨等のプロセスが必要であり、製造コストが非常に高いという問題を有している。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたもので、仕上焼鈍後に残留する酸化物量が極めて少なく、フッ酸を含む酸での酸洗や電解研磨等のプロセスを追加することなく、鏡面状態の平滑な表面を持つ方向性電磁鋼板を得るのに寄与する焼鈍分離剤用粉末および平滑な表面を持つ方向性電磁鋼板を得ることを目的とする。
さて、上記の課題を解決すべく、本発明者らは、特許文献2および特許文献3の技術について鋭意調査検討した。
その結果、特許文献2に記載の技術では、従来と同等のフォルステライト被膜を形成するために調整された酸化マグネシウムを使用するため、フォルステライト被膜の形成能力が高く、塩化物によりSiO2の分解を促進してケイ酸塩化合物の生成を阻止しようとしても、100%阻止する効果が得られないことがわかった。
特許文献3に記載の技術では、アルミナをスラリーとして塗布する際に、鋼板に持ち込まれる水分が悪影響を与えていることが考えられる。特許文献3ではこの点を考慮し、その請求項2で「アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布乾燥した後の持ち込み水分量を1.5%以下とする」としているが、1.5%以下では未だ不十分あり、持ち込まれた水分により、高温の焼鈍において鋼板表面に酸化物が生じてしまうことがわかった。
まず発明者らは、特許文献3での発想である、できるだけフォルステライトを形成させないという考えを改めた。すなわち、持ち込まれた水分による酸化物の形成は不可避であることを前提に、新たな技術の開発を試みた。ここで、酸化物の形成を前提とすると、特許文献2の技術思想は、高温でのフォルステライト被膜形成に係るマグネシアと鋼板表面酸化物であるSiO2との反応を阻害しようというものであり、SiO2に着目したものであった。
そこで、発明者らは酸化マグネシウムに着目し鋭意研究を重ねた結果、
1)高温でのフォルステライト被膜の形成促進にはホウ素の作用が大きいこと、
2)高温で形成した被膜と地鉄の密着性には、ホウ素の存在形態が大きく関与していること、を見出した。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%含有し、酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末であって、
前記ホウ素中の4配位ホウ素の割合が50%以上であることを特徴とする、焼鈍分離剤用粉末。
(2)リンをP2O5換算で0.03質量%以上0.30質量%含有することを特徴とする、上記(1)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(3)酸化マグネシウム粉末中の325メッシュふるい残分が1.0%質量以下であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(4)酸化マグネシウムの含有率が95質量%以上であることを特徴とする、上記(1)ないし(3)に記載の焼鈍分離剤用粉末。
(5)水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムのいずれか一方または両方と、ホウ素とを含む原料を焼成し、その後、
焼成物の湿度調節により4配位ホウ素比率を調整することを特徴とする、焼鈍分離剤用酸化粉末の製造方法。
(6)前記原料は、前記水酸化マグネシウムおよび前記炭酸マグネシウムのいずれか一方またはその両方を、合計で80質量%以上含むことを特徴とする、上記(5)に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
(7)前記原料は、前記ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、該ホウ素中の4配位ホウ素の割合が50%質量以上であることを特徴とする、上記(5)または(6)に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
(8)上記(1)ないし(4)に記載の焼鈍分離剤用粉末により鋼板表面上にフォルステライトを主体とする被膜を有しないことを特徴とする方向性電磁鋼板。
(9)厚みが0.05mm以上0.23mm以下であることを特徴とする、上記(8)に記載の方向性電磁鋼板。
本発明によれば、フッ酸を含む酸での酸洗や電解研磨等のプロセスが不要であり、製造コストが安価で、磁気特性良好である、鏡面状態の平滑な表面を持つ方向性電磁鋼板を得ることができる。
以下、本発明を導くに至った実験結果について説明する。
まず、試料を次のようにして製作した。
出発原料として宇部マテリアルズ株式会社製の気相法高純度超微粉マグネシア2000Aを用いた。その純度は99.98%と非常に高純度であった。
この出発原料を純水で水和し、水酸化マグネシウムスラリーを得た。この水酸化マグネシウムスラリーに、ホウ酸(H3BO3)を、後述する焼鈍のあとに所望のホウ素濃度となるように調整して添加し、水酸化マグネシウムスラリーをフィルタープレスにて圧搾し、水酸化マグネシウムケーキを得た。
この水酸化マグネシウムケーキ100gをアルミナ製坩堝に入れ、電気炉(丸祥電気製 SPX1518T-17)において1000℃〜1500℃の温度域に、電気炉が復熱してから30分間、空気中で焼成し、そのまま炉内で冷却を行なった後、粉砕を行なった。こうして造られた粉末のホウ素量と4配位ホウ素比率(4配位ホウ素/(3配位ホウ素+4配位ホウ素))を表1に記載する。
なお、ホウ素量は酸化マグネシウムを酸溶解し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)にて分析した。4配位ホウ素比率については、株式会社東レリサーチセンターにて、JEOL社製ECA600を用いてDD/MAS法で行った。測定は、パルス幅1.0μsec(30°パルス)とし、繰り返し待ち時間を3.0sとし、基準物質として飽和ホウ酸水溶液(外部基準19.49ppm)を用い、室温で、試料回転数を15.0kHzとして行った。
3配位ホウ素と4配位ホウ素の存在比率の算出は波形分離をすることで正確に行うことができるが、より簡易に算出する方法として27ppm〜6ppmを3配位ホウ素由来のピーク、6ppm〜−6ppmを4配位ホウ素由来のピークとしてその面積を積分して比をとることで算出した。
なお、4配位ホウ素比率の測定については、ECA600を必ずしも用いる必要はなく、別の水素の共鳴周波数で600MHz相当の磁場強度を持つNMR測定装置であれば、測定により得られたNMRスペクトルから上記と同様に算出できる。
表1の結果から、焼成温度を高くするほど、4配位ホウ素比率が高くなることがわかる。これは焼成前の水酸化マグネシウム中に取り込まれたH3BO3は、Materials Transactions, vol.54, No.9, (2013) P.1809のFig.7に示されるように、3配位で存在し、その後焼成に伴って徐々に4配位となっていくためであると考えられる。
Figure 0006468208
さらに、焼成後に、焼成物に対して乾燥処理または吸湿処理のような湿度調節を行うことにより、4配位ホウ素比率を制御する。すなわち、焼成物に対して乾燥処理または吸湿処理を行うことにより、所望の4配位ホウ素比率を得ることができる。湿度調節の好ましい条件としては、乾燥処理は100℃〜400℃(より好ましくは100℃〜300℃)で行い、吸湿処理は10℃〜50℃(より好ましくは20℃〜40℃)で行うこととし、処理時間は、所望の4配位ホウ素比率となるように、乾燥処理時間または吸湿処理時間を適宜選択する。
例えば、表1のNo.5の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末を200℃で6時間から48時間乾燥処理を施したものを表2に記載する。また、表1のNo.2の酸化マグネシウムを22℃、湿度70%の室内に1日から42日放置して吸湿処理たものを表3に記載する。
表2の結果から、200℃での乾燥処理で4配位ホウ素比率を低くすることができることがわかった。具体的には、表1のNo.5の酸化マグネシウムを24時間乾燥処理することにより、4配位ホウ素比率を60%から55%まで低下させることができた。
また、表3の結果から、吸湿処理として室内に放置することで、4配位ホウ素比率を高くすることができることもわかった。具体的には、表1のNo.2の酸化マグネシウムを14日間吸湿処理することにより、4配位ホウ素比率を48%から82%まで高めることができた。
Figure 0006468208
Figure 0006468208
次に、C:0.045質量%、Si:3.25質量%、Mn:0.070質量%、Al:80ppm、N:40ppm、S:20ppmを含有する電磁鋼板用スラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延し、2.0mm厚の熱延板コイルとし、この熱延板に1000℃の温度で30秒間の熱延板焼鈍を施し、鋼板表面のスケールを除去した。次にタンデム圧延機により冷間圧延し、最終冷延板厚0.23mmとした。その後、均熱温度850℃で90秒間保持する脱炭焼鈍を施し、表1ないし表3に記載の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻取り、1200℃まで25℃/hで昇熱し、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤をブラシで除去した。その後、N2 98%-H2 2%の非酸化性雰囲気で800℃、30秒の平滑化焼鈍を施した。
かくして得られた試料の磁束密度B8、鉄損W17/50、鋼板の酸素量、ホウ素量、繰り返し曲げ特性を調査した。磁束密度および鉄損については、鋼板に10MPaの引張り応力を機械的に負荷し、JISC2550-1エプスタイン試験に準拠して試験した。鋼板の酸素量は、不活性ガス融解赤外線吸収法により測定し、ホウ素量(B)は、ホウ酸メチル蒸留分離クルクミン吸光光度法により測定した。繰返し曲げ特性は、JISC2550(2000)の方法を用いて測定した。
表4に、実験に用いたマグネシア粉末とその4配位ホウ素比率、マグネシア粉末のホウ素量(質量%)、磁束密度B8、鉄損W17/50、鋼板の酸素量およびホウ素量(質量ppm)、繰り返し曲げ特性を示す。
表4に示されるように、ホウ素量が少ない場合(No.1-3)および4配位ホウ素比率が少ない場合(No.1-1、No.1-2、No.2-5)では鋼板に残存する酸素量(つまり表面酸化物=フォルステライト被膜の残留)が多く、鉄損が劣る。ホウ素量が多すぎる場合(No.1-4)では鋼板中にホウ素が残留し、鉄損の増加及び繰り返し曲げ回数の減少が生じる。
なお、鉄損は磁束密度(1.91-1.93T)を勘案し、0.85W/kg以下を良好と判断した。繰り返し曲げ回数は、10回以上を良好とした。Bの分析値(質量ppm)は、20質量ppm未満で良好と判断し、酸素の分析値(質量ppm)は、20質量ppm以下で良好と判断した。
Figure 0006468208
次に、本発明の各構成要件の限定理由について述べる。
本発明で対象とする方向性電磁鋼板用酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末には、ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下(好ましくは0.05質量%以上0.20質量%以下)含有させる。ホウ素量が0.04質量%よりも少ないと、仕上焼鈍後の酸素残存率が高くなり、ひいては鉄損が劣る。0.30質量%よりも多いと、仕上焼鈍中に鋼板にBが浸入しFe2Bを形成し、鉄損の増加と繰り返し曲げ回数の減少が生じる。
さらに、ホウ素中の4配位ホウ素の比率は50%以上(好ましくは55%以上95%以下)とする。すなわち、4配位ホウ素比率が50%よりも低いと、高温でのフォルステライト被膜形成能が向上し、鋼板と被膜の密着性が向上し、焼鈍後の分離剤除去工程でブラシ等による機械的な被膜除去が容易できなくなり、表面残存物が多くなり、ひいては鉄損の増加を招く。
4配位ホウ素比率の調整方法としては、種々の方法が挙げられるが、例えば、上記表1〜3に示したように、焼成温度などを調整する方法、焼成後に乾燥、吸湿等の操作により調整する方法があり、また、予め4配位比率がわかっている化合物(例えばMg2B2O5、MgB6O10、Mg3B2O6など)を混合する方法なども考えられる。
焼鈍分離剤用粉末中にはさらにリン(P)をP2O5換算で0.03質量%以上、0.30質量%以下含有させることができる。Bは高温での被膜反応性に寄与する一方、Pは低温での被膜反応性を向上させる働きがある。そのため、Pを添加することで、低温での被膜形成量を一定に制御することにより、持ち込み水分による鋼板の酸化の影響を少なくし、いっそうBを制御することによる被膜形成制御性を向上させることができる。PがP2O5換算で0.03質量%よりも少ないと、改善効果が得られなくなり、添加量が多くなると、改善効果とコストアップがつりあわなくなるため、その添加量は0.30質量%以下とすることが好ましい。焼鈍分離剤用粉末中には、上記以外に、Igloss(強熱減量)として揮発する成分、主として水分、炭酸ガス、有機分など、CaO、SiO2、Al2O3などの原料鉱物由来の不純物も含まれ得る。
本発明の酸化マグネシウムを主成分とする焼鈍分離剤用粉末は、原料を焼成することにより製造され、その主な原料としては水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。B、Pは原料の段階で予め添加や純化等により調整されていることが好ましい。焼成前には水分を多く含むケーキ状であることが一般的であるが、その水分量はケーキ重量の20%以下にすることが望ましい(つまり原料固形分として80%以上)。
焼成して作られた酸化マグネシウムは、粉砕を行うことにより、その粒度を整えることが好ましい。粒度としては325メッシュふるい残分が1.0質量%以下であることが好ましい。ふるい残分が1.0質量%よりも多くなると鋼板表面に押し傷をつくる原因となったり、それを防ぐために電磁鋼板の製造プロセス中にふるいを設置するなどの手間がかかることがある。325メッシュ(目開き45μm)をふるいに用いたのは、焼鈍後の押し傷の防止の観点から、粗粒の大きさと焼鈍分離剤の塗布厚みとの関係がちょうどよいためである。
粉末中には、その製造プロセスによってCa、Si、Fe、Al、S、Naなど様々な不純物が不可避的に混入する場合があるため、できるだけその特性のバラツキを小さくするためには、焼鈍分離剤用粉末における酸化マグネシウムの含有率は95質量%以上であることが好ましい。
また、方向性電磁鋼板用の焼鈍分離剤としては、酸化マグネシウムを主成分とする上記粉末に加えて、助剤として、例えば、酸化チタンといった公知の物質を混合することができる。
本発明で対象とする鋼板は、方向性電磁鋼板であれば特に鋼種を問わない。通常、このような方向性電磁鋼板は、珪素を含む鋼スラブを、公知の方法で熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、ついで焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行うことによって製造される。
また、鋼板の厚みが薄くなると、鋼板性能に寄与する表面の割合が大きくなるため、表面の鏡面化度が鉄損に及ぼす影響も大きくなり、そのぶん、焼鈍分離剤用粉末に求められる特性も高くなる。そのため本発明の焼鈍分離剤用粉末は、特に板厚の薄い鋼板に適用するにあたり、これまで公知の焼鈍分離剤用粉末に比べて好適である。
[実施例]
(実施例1)
ナカライテスク社製の塩基性炭酸マグネシウム(MgCO3)4Mg(OH)2・xH2Oを出発原料にし、これを純水でスラリー状にした上、硼砂(Na2B4O5(OH)4・8H2O)、メタリン酸マグネシウムを、焼成後の粉末として所望のB濃度およびP濃度となるよう混合した。このスラリーをフィルタープレスにて圧搾し、ケーキを得た。ケーキ水分量は3%であった。次に、アルミナ製坩堝にケーキを入れ、ボックス炉にて空気中で表5に記載の温度、時間で焼成した。焼成後、これを粉砕し粒度を調整し、焼鈍分離剤用粉末とした。このようにして得られた粉末の含有ホウ素中の4配位ホウ素比率、含有ホウ素量、P量を調査した結果を表5に示す。
次に、C:0.06質量%、Si:2.95質量%、Mn:0.07質量%、Se:0.015質量%、Sb:0.015質量%およびCr:0.03質量%を含み、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼スラブを、1350℃で40分加熱後、熱間圧延して2.6mmの板厚にした後、900℃および60sでの熱延板焼鈍を施してから、1050℃および60sの中間焼鈍を挟んで冷間圧延し、0.23mmの最終板厚に仕上げた。その後、脱炭焼鈍し、表5に記載の粉末を焼鈍分離剤として塗布して1200℃まで25℃/hで昇温し、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施し、焼鈍分離剤をブラシで除去した。その後、N2 98%-H2 2%の非酸化性雰囲気で800℃、30秒の平滑化焼鈍を施した。
上記に従って製造された方向性電磁鋼板について、磁束密度B8、鉄損W17/50、酸素含有量、ホウ素含有量、繰り返し曲げ特性を測定した結果を併せて表5に示す。磁束密度および鉄損については、鋼板に10MPaの引張り応力を機械的に負荷することにより、JISC2550-1エプスタイン試験に準拠して試験した。鋼板の酸素量を不活性ガス融解赤外線吸収法により測定し、Bをホウ酸メチル蒸留分離クルクミン吸光光度法により測定した。繰返し曲げ特性は、JISC2550(2000)の方法を用いて測定した。繰返し曲げ回数は、10回以上を良好と判断した。Bの分析値(質量ppm)は、20質量ppm未満で良好と判断し、酸素の分析値(質量ppm)は、20質量ppm以下で良好と判断した。
表5に示されるように、粉末中にホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、その4配位ホウ素比率が50%以上であれば、仕上焼鈍後酸素残存量および鉄損が低く、外観の均一性が高く、繰り返し曲げ回数を増加させることができる。さらに、PをP2O5換算で0.03質量%以上含ませることにより、一段と低い酸素残存量が得られる。
Figure 0006468208
(実施例2)
ナカライテックス製塩化マグネシウム6水和物を25℃に保った純水中に溶解し、飽和水溶液とした。これを水酸化カルシウムと反応させて水酸化マグネシウムを得た。こうして得られた水酸化マグネシウムをろ過水洗し、これを再び純水中に投入して水酸化マグネシウムスラリーとした。この水酸化マグネシウムスラリーに、ホウ酸ナトリウムおよびリン酸カルシウムを、焼成後に所望のB濃度およびP濃度になるように、所定量添加した。
こうして調整された水酸化マグネシウムスラリーを、フィルタープレスでケーキ状に圧搾し、その後、アルミナ坩堝中で1000℃で40分間焼成して粉末A,Bを得、また1400℃で40分間焼成して粉末C,Dを得た。焼成後粉砕によりその粒度を調整した。得られた粉末A,Bは、表6に記載の日数で、25℃、湿度80%で吸湿処理を行い、粉末C,Dはさらに、表6に記載の時間の間、200℃で乾燥処理を行った。このようにして得られた粉末の含有ホウ素中の4配位ホウ素比率、含有ホウ素量、P量を調査した結果を表6に示す。
次に、C:0.045質量%、Si:3.25質量%、Mn:0.070質量%、Al:80ppm、N:40ppm、S:20ppmを含有する電磁鋼板用スラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延し、2.0mm厚の熱延板コイルとし、この熱延板に1000℃の温度で30秒間の熱延板焼鈍を施し、鋼板表面のスケールを除去した。次に、タンデム圧延機により冷間圧延し、最終冷延板厚0.20mmとした。その後、均熱温度850℃で90秒間保持する脱炭焼鈍を施して、表6に記載の粉末100gと酸化チタンを5.0g混合したものを、焼鈍分離剤として塗布してコイル状に巻取り、1200℃まで25℃/hで昇熱し、1200℃で20h保持する仕上焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤をブラシで除去し、その後、N2 98%-H2 2%の非酸化性雰囲気で800℃、30秒の平滑化焼鈍を施した。
上記に従って製造された方向性電磁鋼板について、磁束密度B8、鉄損W17/50、鋼板の酸素量、ホウ素含有量、繰り返し曲げ特性を調査した結果を併せて表6に示す。磁束密度および鉄損については、鋼板に10MPaの引張り応力を機械的に負荷し、JISC2550-1エプスタイン試験に準拠して試験した。鋼板の酸素量を不活性ガス融解赤外線吸収法で測定し、Bをホウ酸メチル蒸留分離クルクミン吸光光度法で測定した。繰返し曲げ特性は、JISC2550(2000)の方法を用いて測定した。繰返し曲げ回数は、10回以上を良好と判断した。Bの分析値(質量ppm)は、20質量ppm未満で良好と判断し、酸素の分析値(質量ppm)は、20質量ppm以下で良好と判断した。
表6に示されるように、粉末中にホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、その4配位ホウ素比率が50%以上であることにより、仕上焼鈍後酸素残存量および鉄損が低く、外観の均一性が高く、繰り返し曲げ回数を増加させることができる。さらに、PをP2O5換算で0.03質量%以上含ませることにより、一段と低い酸素残存量が得られる。
Figure 0006468208

Claims (6)

  1. 酸化マグネシウムの含有率が95質量%以上で、かつホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有する焼鈍分離剤用粉末であって、
    前記ホウ素中の4配位ホウ素の割合が55〜95%であることを特徴とする、焼鈍分離剤用粉末。
  2. リンをP2O5換算で0.03質量%以上0.30質量%以下含有することを特徴とする、請求項1に記載の焼鈍分離剤用粉末。
  3. 酸化マグネシウム粉末中の325メッシュふるい残分が1.0質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の焼鈍分離剤用粉末。
  4. 請求項1ないし3に記載の焼鈍分離剤用粉末を製造する方法であって、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムのいずれか一方または両方と、ホウ素とを含む原料を焼成し、その後、
    焼成物の湿度調節により4配位ホウ素比率を調整することを特徴とする、焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
  5. 前記原料は、前記水酸化マグネシウムおよび前記炭酸マグネシウムのいずれか一方またはその両方を、合計で80質量%以上含むことを特徴とする、請求項4に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法。
  6. 前記原料は、前記ホウ素を0.04質量%以上0.30質量%以下含有し、該ホウ素中の4配位ホウ素の割合が55〜95%であることを特徴とする、請求項4または5に記載の焼鈍分離剤用粉末の製造方法
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