JP6451447B2 - モノクロロプロパンジオール生成物質含有量を低減させた精製パーム油の製造方法 - Google Patents

モノクロロプロパンジオール生成物質含有量を低減させた精製パーム油の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減させた油脂の製造法に関するものである。
クロロプロパノールとは、グリセロール骨格に塩素が1つないし2つ結合した化合物である。これらの一種である、3−クロロプロパンジオールは、従来から、しょうゆなど主にアミノ酸液を製造する際、副産物として少量生成することが知られており、また食品を加熱調理する過程で、脂質と食塩の存在により生成するといわれている。
近年複数種の食用油脂中から、クロロプロパノールの一種である3−クロロ−1,2−プロパンジオール(3−MCPD)に脂肪酸がエステル結合した 3−MCPD脂肪酸エステル、及びその位置異性体である2−クロロ−1,3−プロパンジオール(2−MCPD)脂肪酸エステルが検出された.3−MCPD脂肪酸エステル及び2−MCPD脂肪酸エステルの存在が確認された油脂の中でも、特にパーム油脂及びパーム油脂を原料とした精製食用油脂にて含有量が比較的高いと報告された(非特許文献1−3)。
3−MCPD脂肪酸エステルに関して、in vitro における体内での加水分解に関する試験が行われた。その結果、3−MCPD脂肪酸エステルを摂取した場合、体内のリパーゼの作用により加水分解され、3−MCPDとなるとされている(非特許文献4)。3−MCPDはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)により,最大耐容1日摂取量(PMTDI)を体重あたり2μgと設定されている化合物である(非特許文献5)。これを上回る3−MCPDを長年にわたって摂取した場合、腎臓に悪影響を与える可能性があるとされている(非特許文献5)。
以上の背景を踏まえ、モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減させた油脂の開発が望まれている。
モノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減する方法として、モノクロロプロパンジオール生成物質は脱臭処理中に生成される傾向より、特許文献1にはモノクロロプロパンジオール生成物質であるグリシドール等を含有するグリセリド組成物を、100〜240℃という低温での脱臭処理することにより、グリシドール等を低減する方法が提案されている。また、特許文献2には、同様に190〜230℃の低温脱臭処理が提案されている。しかし、特許文献1や特許文献2の方法では、脱臭後の精製油酸価の低下が不十分で、かつ精製油風味が油っぽいものになるという問題があった。
特許文献3は、上記の問題を解決するべく、230〜265℃、150〜700Paの真空度で30〜180分間、油脂と水蒸気をトレイ式脱臭装置におけるトレイ中で接触させ、かつ上記水蒸気量が、上記トレイ中の油脂に対して3〜8質量%である油脂の製造方法に関する。本方法によれば、脱臭工程を高温条件下で行っても、脱臭後の油脂中のグリシドール等の増加を抑制できると記載されているが、本発明者らが検証したところ、原料油脂によっては本方法でも満足できるレベルまでモノクロロプロパンジオール生成物質含有量を低減できない場合もあることが判明した。
Z. Zelinkova, B. Svejkovska, J. Velisek, M. Dolezal, Food Addit. Contam., 23 (2006) 1290. Federal Institute for Risk Assessment (BfR) R. Weiβhaar, R. Perz, Eur. J. Lipid Sci. Technol., 112 (2010) 158. Benoit Schilter, Gabriele Scholz, Walburga Seefelder, Eur. J. Lipid Sci. Technol., 113 (2011) 309−313. European Commission Health And Consumer Protection Directorate―General
特開2011−074358号公報 特開2011−147436号公報 WO2013080648A1公報
本発明は、従来の方法の問題点を解決し、モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を満足できるレベルまで低減させた精製パーム油(RBDPO)の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質を含有する粗パーム油(CPO)をモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件により脱臭することで、モノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減することができるという知見を得た。また、粗パーム油(CPO)を水および/または有機酸水溶液によって洗浄後、水相を分離して得られる油相を、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件により脱臭することで、さらにモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減することができるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質を含有する粗パーム油を、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件で脱臭することを特徴とする、モノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減させた精製パーム油の製造方法。
(2)粗パーム油が水および/または有機酸水溶液により洗浄後、水相を分離して得られる油相である、(1)記載の精製パーム油の製造方法。
(3)脱臭条件が、脱臭温度230〜260℃、真空度1〜5mmHg,脱臭温度における吹き込み蒸気量が粗パーム油100重量%に対し真空度(mmHg)×4〜8重量%である、(1)又は(2)に記載の精製パーム油の製造方法。
(4)精製パーム油のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量が2.5ppm以下である、(1)〜(3)のいずれか1記載の精製パーム油の製造方法。
である。
本発明の低減方法により、モノクロロプロパンジオール生成物質であるモノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの含有量が低減された精製パーム油(RBDPO)を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の低減方法は、アブラヤシの果肉を搾って得られる粗パーム油(CPO)から精製パーム油(RBDPO)を得るための脱ガム、脱酸、脱色、脱臭、脱ロウなどの精製工程において、好ましく適用できる。
本発明のモノクロロプロパンジオールとは、3−クロロプロパン−1,2−ジオールおよび2−クロロプロパン−1,3−ジオールを意味する。また、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルとは、3−クロロプロパン−1,2−ジオール脂肪酸エステルおよび2−クロロプロパン−1,3−ジオール脂肪酸エステルを意味する。
本発明の低減方法は、粗パーム油(CPO)をモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件で脱臭することを特徴とするが、脱臭の前処理としては水分、夾雑物、色素成分などを除去するため、活性白土や活性炭を用い、100〜120℃、減圧下による脱色工程を経るのが好ましい。脱色工程後にろ過された脱色油を、脱臭工程においてモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下、好ましくは8.0×10−6mmHg以下の条件で脱臭する。モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHgを超えると、脱臭後のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量の低減が不十分となり、好ましくない。
上記分圧を得るためには、脱臭条件としては脱臭温度230〜260℃、真空度1〜5mmHg,脱臭時間30〜180分、脱臭時の吹き込み水蒸気量は脱臭する油脂100重量%に対し真空度(mmHg)×4〜8重量%である。上記分圧は、真空度が高い(真空度の数値がより低い)ほど、脱臭時の吹き込み水蒸気量が多いほど、低下する傾向にある。例えば、脱臭温度250℃、真空度2mmHgの場合の脱臭時の吹き込み水蒸気量は、8〜16重量%で1.0×10−5mmHg以下のモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧を得ることができる。また、脱臭温度250℃、真空度1mmHgの場合の脱臭時の吹き込み水蒸気量は4〜8重量%で、前記同分圧を得ることができる。脱臭温度が下限未満であると、酸価の低下が不十分となるとともに脱臭油風味が油っぽいものになる傾向がある。逆に、上限を超えると、脱臭工程中におけるモノクロロプロパンジオール生成物質の生成量が多くなるためか、脱臭後のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量の低減が不十分となる傾向がある。真空度は高いほど、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧を低下させることができるが、5mmHgを超えると分圧低下が困難となるため、好ましくない。また、吹き込み水蒸気量は真空度に依存するが、真空度(mmHg)×4〜8重量%の下限未満ではモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧低下が不十分となるため、好ましくない。上限を超えるのは、脱臭時の真空度保持が困難となるため、やはり好ましくない。
本発明の低減方法の一態様として、上記の脱色工程の前工程として、粗パーム油(CPO)を水および/または有機酸水溶液で洗浄し、水相を分離した油相を前記の脱色及び脱臭工程に供し、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件で脱臭することができる。粗パーム油(CPO)の洗浄には水および/または有機酸水溶液が使用できるが、より好ましくは有機酸水溶液である。有機酸としてはクエン酸、シュウ酸、リン酸、アスコルビン酸が例示できる。有機酸水溶液としては、例えば対油0.01〜1重量%の50%水溶液のような高濃度水溶液と対油1〜50重量%の水を混合または別添加して、前記洗浄処理に供することができる。粗パーム油(CPO)を水および/または有機酸水溶液で洗浄し、水相を分離した油相を常法通り脱色後、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件で脱臭することにより、最終精製油である精製パーム油のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を、より低レベル、例えば2.5ppm以下まで低減することができる。
本発明において、脱臭時の吹き込み蒸気量におけるモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧は、次の要領で算出することができる。
まず、脱臭装置内の気相を構成する化合物は、蒸気、遊離脂肪酸、MCPD生成物質の3種のみと仮定する。ヘンリーの法則より、気体を構成する化合物の分圧比は、その化合物の物質量モル比と一致する。よって、脱臭装置内の気相を構成する化合物(蒸気、遊離脂肪酸、MCPD生成物質)の物質量モル比から、分圧が算出できる。
遊離脂肪酸、蒸気、MCPD生成物質の物質量は、下記の計算式より算出する。
<遊離脂肪酸算出式>
脱臭操作前と脱臭操作後の油脂の酸価を測定し、脱臭操作によって減少した酸価から、脱臭装置内の気相に含まれる遊離脂肪酸の物質量を算出した。計算式は下記のようになる。
遊離脂肪酸物質量(mol/g)=(脱臭操作前の酸価−脱臭操作後の酸価)/56.10/1000
<蒸気量算出式>
下記の計算式から、脱臭装置内の気相に含まれる蒸気の物質量を算出する。
吹き込み蒸気物質量(mol/g)=吹き込み蒸気量(%)/100/18
<MCPD生成物質物質量算出式>
蒸気を吹き込まない場合に生成するMCPD生成物質の物質量と、各吹き込み蒸気量において生成するMCPD生成物質の物質量を測定する。吹き込み蒸気量の増加に伴い、減少するMCPD生成物質の物質量を用いて、脱臭装置内の気相に含まれるMCPD生成物質の物質量を算出する。算出の際は、MCPDの生成物質を一価の塩素化合物と仮定する。計算式は下記のようになる。
MCPD生成物物質量(mol/g)=((蒸気を吹き込まない場合の2−MCPDと3−MCPDの含有量合算値(ppm))―(蒸気吹き込み後の精製油中の2−MCPDと3−MCPDの含有量合算値(ppm)))/110.5/1000000
脱臭装置内の全圧は脱臭中の真空度(mmHg)であるので、上記で算出した各化合物の物質量と、下記の計算式から、MCPD生成物質の分圧を算出できる。

MCPD生成物質分圧(mmHg)=真空度×MCPD生成物物質量/(遊離脂肪酸物質量+吹き込み蒸気物質量)
上記式より、MCPD生成物質分圧は真空度が高い(真空度の数値がより低い)ほど、また吹き込み蒸気量が多いほど、低下することがわかる。すなわち、MCPD生成物質分圧を低減するには、真空度を高くするか、吹き込み水蒸気量を多くする必要がある。
本発明の脱臭工程において、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件とするには、脱臭温度230〜260℃、真空度1〜5mmHg、脱臭温度における吹き込み蒸気量が粗パーム油100重量%に対し真空度(mmHg)×4〜8重量%とする必要がある。
本発明の低減方法によって得られた精製パーム油(RBDPO)は、モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質の含有量が低減されるが、本発明において、モノクロロプロパンジオール生成物質の含量は次のような方法で測定している。
油脂試料100mgにイソオクタン0.3mLを加え、油脂試料を溶解する。試験管に90U/mLリパーゼ含有臭化ナトリウム溶液3mL加えて、試験管を振盪機で30分間振盪する。試験管を80℃で10分間加熱後、試験管を室温になるまで放冷又は水冷する。試験管に2.0 μg/mL内標準混合溶液を50μLとヘキサン3mLを加えて蓋を閉める。試験管をボルテックスミキサーで撹拌、遠心分離機後、水層をパスツールピペットで新たな試験管に移す。水層を移した試験管に、ヘキサン3mLを加えて蓋を閉め、ボルテックスミキサーで撹拌し、遠心分離機後、有機層を除去する。試験管にフェニルボロン酸溶液20μLとヘキサン3mL加えて蓋を閉める。試験管を振盪機で10分間振盪する。有機層をパスツールピペットで新たな試験管に移す。新たな試験管中の有機層を窒素ガスで0.5〜0.8mLに濃縮後、GC−MSにて分析を行う。
なお、GC−MSについては、分子イオンピークm/z 147(3−MCPD)、m/z 150(3−MCPD−d5)、m/z 196(2−MCPD)、m/z、210(2−MCPD−d5)を用いて定量する。
本発明の低減方法により、粗パーム油(CPO)の精製工程でのモノクロロプロパンジオール生成物質の生成を低減でき、得られる精製パーム油(RBDPO)中のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量を3.5ppm以下、より好ましくは2.5ppm以下,最も好ましくは2ppm以下に低減することができる。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の%は重量基準を意味する。
実施例1
粗パーム油(CPO、酸価8.63))を白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、ろ過して得られた脱色油をさらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。脱臭温度における吹き込み蒸気量は、油脂100%に対し10.9%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は1.23ppm、3−MCPDの含量は2.19ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は3.42ppmであった。脱臭処理の際のモノクロロプロパンジオール生成物質分圧は、実施例1と比較参考例1のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量から算出して、8.6×10−6mmHgであった。
比較例1
実施例1で用いたものと同じ粗パーム油を白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、ろ過して得られた脱色油をさらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。脱臭温度における吹き込み蒸気量は、油脂100%に対し3.5%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は1.57ppm、3−MCPDの含量は3.40ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は4.97ppmであった。脱臭処理の際のモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧は、比較例1と比較参考例1のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量から算出して、1.2×10−5mmHgであった。
比較例2
実施例1で用いたものと同じ粗パーム油(CPO)を白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、ろ過して得られた脱色油をさらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。脱臭温度における吹き込み蒸気量は、油脂100%に対し7.2%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は1.25ppm、3−MCPDの含量は2.49ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は3.74ppmであった。脱臭処理の際のモノクロロプロパンジオール生成物質の分圧は、比較例2と比較参考例1のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量から算出して、1.1×10−5mmHgであった。
比較参考例1
実施例1用いたものと同じ粗パーム油(CPO)を白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、さらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。この時の吹き込み蒸気量は対油脂重量0%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は2.30ppm、3−MCPDの含量は4.06ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は6.36ppmであった。
った。
表1に、実施例1、比較例1〜2で調製した精製パーム油の分析結果を示す。
表1
Figure 0006451447
表1に示すように、同真空度(2mmHg)で脱臭処理した精製パーム油のMCPD生成物質含量は、MCPD生成物質分圧が低いほど低減される傾向にあり、MCPD生成物質分圧が1.0×10−5mmHg以下で、吹き込み水蒸気量が真空度×4〜8%である実施例1は比較例1及び2に対して、MCPD生成物質含有量はより低減されていた。
実施例2
粗パーム油(CPO、酸価8.63)に50%クエン酸水溶液を対油0.1%、温水を対油20%加え、攪拌、遠心分離し、ガム質を除去して得られた油相を、白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、ろ過して得られた脱色油をさらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。脱臭温度における吹き込み蒸気量は、油脂100%に対し11.2%であった。脱臭後に得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は0.38ppm、3−MCPDの含量は0.94ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は1.32ppmであった。脱臭処理の際のモノクロロプロパンジオール生成物質の推定分圧は、実施例2と比較参考例2のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量から算出して、6.8×10−6mmHgであった。
比較例3
実施例2で用いたものと同じ粗パーム油(CPO)に50%クエン酸水溶液を対油0.1%、温水を対油20%加え、攪拌、遠心分離し、ガム質を除去して得られた油相を、白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、ろ過して得られた脱色油をさらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。脱臭温度における吹き込み蒸気量は、油脂100%に対し4.5%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は0.64ppm、3−MCPDの含量は1.48ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は2.12ppmであった。脱臭処理の際のクロロプロパノール類の前駆物質である塩素化合物の推定分圧は比較例3と比較参考例2のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量から算出して、1.1×10−5mmHgであった。
比較参考例2
実施例2で用いたものと同じ粗パーム油(CPO)に、50%クエン酸水溶液を対油0.1%、温水を対油20%加え、攪拌、遠心分離し、ガム質を除去して得られた油相を、白土1.5重量%、110℃、20mmHgで10分間脱色し、さらに250℃、2mmHgで90分間脱臭処理を行った。この時の吹き込み蒸気量は対油脂重量0%であった。得られた精製パーム油(RBDPO)の2−MCPDの含量は1.05ppm、3−MCPDの含量は2.66ppmであり、モノクロロプロパンジオール生成物質含有量は3.71ppmであった。
表2に、実施例2及び比較例3で調製した精製パーム油の分析結果を示す。
表2
Figure 0006451447
表2示すように、同真空度(2mmHg)で脱臭処理した精製パーム油のMCPD生成物質含量は、MCPD生成物質分圧が低いほど低減される傾向にあり、MCPD生成物質分圧が1.0×10−5mmHg以下で、吹き込み水蒸気量が真空度×4〜8%である実施例2は比較例3に対して、MCPD生成物質含有量はより低減されていた。また、CPO洗浄の効果により、実施例2は実施例1よりも、より効果的にモノクロロプロパンジオール生成物質含有量を低減されていた。
本発明を利用することにより、人の健康に悪影響を及ぼす恐れのあるモノクロロプロパンジオール生成物質含有量を低減させた精製パーム油を製造することが出来る。

Claims (4)

  1. モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルから選択される1種以上のモノクロロプロパンジオール生成物質を含有する粗パーム油を、活性白土及び/又は活性炭を用い、100〜120℃、減圧下による脱色工程を経て、脱臭温度における吹き込み蒸気量が粗パーム油100重量%に対し真空度(mmHg)×4〜8重量%であり、モノクロロプロパンジオール生成物質の分圧が1.0×10−5mmHg以下の条件で脱臭することを特徴とする、モノクロロプロパンジオール生成物質の含有量を低減させた精製パーム油の製造方法。
    なお、本発明において、下記の計算式から、脱臭装置内の気相に含まれる蒸気の物質量、及びモノクロロプロパンジオール(MCPD)生成物質の分圧を算出できる。
    吹き込み蒸気物質量(mol/g)=吹き込み蒸気量(%)/100/18
    MCPD生成物質分圧(mmHg)=真空度×MCPD生成物物質量/(遊離脂肪酸物質量+吹き込み蒸気物質量)
  2. 粗パーム油が水および/または有機酸水溶液により洗浄後、水相を分離して得られる油相である、請求項1記載の精製パーム油の製造方法。
  3. 脱臭条件が、脱臭温度230〜260℃、真空度1〜5mmHgである、請求項1又は2に記載の精製パーム油の製造方法。
  4. 精製パーム油のモノクロロプロパンジオール生成物質含有量が2.5ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の精製パーム油の製造方法。
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