JP2014000012A - 食用油脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食用油脂の精製工程における脱臭処理を行う場合に、低温条件でトランス脂肪酸の生成量を低く抑制すると共に、脱臭処理後の油脂に戻り臭、色調の不良などが起こらないように、低トランス脂肪酸で酸価が低く、しかも健康的かつ嗜好性にも優れた食用油脂を製造することである。
【解決手段】食用油脂の精製工程で、脱ガム、脱酸、脱色処理を経た後に脱臭処理を経て食用油脂を製造する方法において、脱臭処理直前の油脂に対し、遊離脂肪酸の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して50〜150℃で作用させ、次いで固液分離した液状油脂に対して140〜190℃、真空度6hPa以下の条件で水蒸気を吹き込む水蒸気蒸留によって脱臭処理する。低温での脱臭によりトランス脂肪酸の生成が抑制され、油脂中の遊離脂肪酸が充分に除去されるので、脱臭後の酸価も低減できる。
【選択図】なし

Description

この発明は、トランス脂肪酸の生成を抑制した食用油脂の製造方法に関する。
従来、食用油脂はその油糧原料から圧搾や抽出またはその他の方法により取り出された後、一連の精製として脱ガム、脱酸、脱色、脱臭という順序で処理を行い食用油脂として利用されている。
この最後の脱臭工程は、通常240〜260℃の高温下、2〜4hPa程度の真空下で水蒸気を吹き込む処理(いわゆる「水蒸気蒸留」と称される処理)を採用することが多く、この処理過程でも少量のトランス脂肪酸が生成する。
近年、トランス脂肪酸は健康リスクを高めることが喧伝され、油脂精製工程中、特に最終段階の脱臭工程中に生成する少量のトランス脂肪酸を問題視する人も多い。
例えば減圧下で250〜260℃の脱臭温度で脱臭処理すること(特許文献1)、215〜265℃程度の高温で脱臭処理することにより、トランス脂肪酸が生成すること(非特許文献1、特許文献4)が知られている。
高温で脱臭処理するときに有利な点は、短時間で前記のような有臭成分の除去が可能であり、また微量に含まれる色素類を分解して淡色化し、過酸化物を分解することなどである。
食用油脂を工業的に脱臭するには、通常、ガードラー型の半連続脱臭装置か、バッチ型の脱臭装置または連続式の装置などが利用されている。
脱臭目的のためには、先に述べたような脱臭条件が適当であるが、高温下での脱臭処理では、どうしても油脂の成分である脂肪酸の二重結合の一部がトランス化し、この現象は特に二重結合を多く含む液体油で著しい。
また、日本では、オーバースペックと言われるくらいに過剰に脱臭処理が行われ、酸価の低減や色調の淡色化を必要以上に追い求める傾向があり、それ故にトコフェロールなどの油脂中に含まれる有用な物質まで減少させるという弊害をもたらしている。
異味異臭がなく、有害物質が除去されたものであれば、現状よりも多少は酸価や色調の数値が高くなっても、実際には食用油脂として充分に使用できるものであり、トランス脂肪酸の生成を可及的に少なくして、このような脱臭目的を達成できないかという要望がある。
また、トランス脂肪酸の生成を通常の脱臭処理されたものより少なくした油脂としては、240℃よりも低い190〜210℃で低温脱臭した大豆油と同じく低温脱臭したナタネ油を含む乳児用油脂組成物が知られている(特許文献2)。
また、脱臭処理を行った後に活性炭を用いて濾過工程を行うことが知られている(特許文献3)。
特許第3461511 特許第2911526 特許第3598281 特許第4516897
「配管と装置」、三幸企画出版部、1999年3月1日発行、第39巻第3号、第64〜71頁
油脂の精製工程の中で脱臭工程において油脂中の脂肪酸部位に存在する二重結合がトランス化する場合、特に二重結合の多い液状油において多く起こる。
トランス脂肪酸の摂取目標値は、「人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合」の暫定報告書(2010)において、トランス脂肪酸の摂取量を反すう動物由来のものと工業由来のものを合わせて総エネルギー摂取量の1%未満と設定されている。
このように低トランス脂肪酸油脂の需要は高まっており、トランス脂肪酸を出来るだけ生成しない脱臭方法が求められている。
そして、トランス脂肪酸の増加を避けるためには、出来るだけ低温下で脱臭工程を行う方が良いが、脱臭工程の温度を有臭成分が除去可能な限界程度にまで低下させると、遊離脂肪酸や農薬その他の化学物質の除去、微量に含まれる色素類、過酸化物の分解に問題が残り、処理後の油脂の酸化や戻り臭、色調の不良などで日本での嗜好に適した食用油脂が得られなくなる。
脱臭によるトランス脂肪酸の生成量は、処理温度、処理時間、脱臭される油脂の脂肪酸組成によって大きく変化する。
そこで、この発明の課題は、食用油脂の精製工程における脱臭処理を行う場合に、従来行われている条件より、さらなる低温条件でトランス脂肪酸の生成量を低く抑制すると共に、遊離脂肪酸が十分に低減され、脱臭処理後の油脂に戻り臭、色調の不良などが起こらないような健康的かつ嗜好性にも優れた食用油脂を製造することである。
この発明では、脱臭に先立ち低温脱臭では除去され難い成分を吸着により除去した後、仕上げとして低温で脱臭することによってこの問題を解決したのである。
すなわち、上記の課題を解決するために、この発明においては食用油脂の精製工程で、脱ガム、脱酸、脱色処理を経た後に脱臭処理を経て食用油脂を製造する方法において、前記脱臭処理直前の油脂に対し、遊離脂肪酸の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して50〜150℃で作用させ、次いで固液分離した液状油脂に対して140〜190℃、真空度6hPa以下の条件で水蒸気を吹き込む水蒸気蒸留によって脱臭処理することを特徴とするトランス脂肪酸の生成が抑制された食用油脂の製造方法としたのである。
この発明では、油脂の精製工程において、抽出または圧搾またはその他の方法により得た未精製油脂を脱ガム、脱酸処理をした後、脱色する。その際、脱色工程において前工程より微量に酸価(AV)が上昇する。これの原因の一部は脱酸の際に生成して油脂中に存在していた脂肪酸の石鹸が脱色に用いられる活性白土により分解されて生成すると考えている。
そこで、脱臭の前にアルカリ金属の炭酸塩やリン酸塩、水酸化マグネシウム、またはシリカマグネシウム系製剤などの遊離脂肪酸と反応して油脂に難溶性の化合物を生成するように固化反応する不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を50〜150℃の温度範囲で作用させ、濾別などの固液分離処理をしたのである。遊離脂肪酸の低減、すなわち酸価の低下は、低温脱臭で除去され難い物質の低減をも推し量る指標とみなすことができる。
その後、140〜190℃の低温下、望ましくは165〜185℃、真空度6hPa以下、望ましくは3hPa以下の真空で水蒸気を吹き込むことにより水蒸気蒸留を行なう。
そして、食用油脂に作用させる不溶化剤は、遊離脂肪酸と反応して油脂に金属石鹸その他の難溶性化合物を生成するものであり、例えば炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種または2種以上の混合物を採用することが好ましい。
また、多孔性吸着剤は、油脂中の色素類、過酸化物やその他の微粒状の不純物を多孔質性によって吸着可能な吸着剤であり、例えば珪藻土、活性白土、ゼオライトおよびパーライトからなる群から選ばれる一種以上の多孔性吸着剤が挙げられる。
遊離脂肪酸の不溶化剤と多孔性吸着剤の複合剤としては、遊離脂肪酸の不溶化剤を多孔性吸着剤で担持したものなどが挙げられる。例えば、不溶化剤である酸化マグネシウムを、多孔性吸着剤である二酸化ケイ素に担持したシリカマグネシウム系製剤を複合剤として例示できる。
このような不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤と両者一体となった複合材は、食用油脂100質量部に対して0.3〜5質量部を添加して好ましい結果を得る。
また、食用油脂と不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材との作用させる温度は、50〜150℃である。
この適温は、作用させる不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材の種類によって、かなり異なるが、その後の濾別などの固液分離処理の便宜を考えると、食用油脂の粘度が低下する100℃程度が望ましい。
食用油脂に不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を作用させるのと同時に、またはその作用後に、その他周知の濾過助剤を加えて濾別を行っても良い。
その後の脱臭操作は、真空下で温度は140〜190℃であり、望ましくは165〜185℃で行う。その際の吹き込み水蒸気量は、食用油脂100質量部に対して0.5〜5質量部である。
そしてこの発明が特に有効な食用油脂としては、ナタネ油、大豆油、コーン油、コメ油、綿実油、ヒマワリ油、サフラワー油等の液状植物油が挙げられる。脱臭処理後に真空条件下で油脂にクエン酸の水溶液をクエン酸として15〜50ppm添加する。
この発明は、食用油脂の精製工程において、脱臭処理直前の油脂に対し、所定の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して作用させ、次いで固液分離した液状油脂に対して所定条件で水蒸気を吹き込む水蒸気蒸留によって脱臭処理するようにしたので、低温条件でトランス脂肪酸の生成量が低く抑制され、トコフェロールなどの有用物質の残存率が向上し、色調は淡色化され、しかも油脂中の遊離脂肪酸が充分に除去される利点があり、さらには、酸価が低くなり、脱臭処理後の油脂に戻り臭、色調の不良などが起こらないようになり、健康的かつ嗜好性にも優れた食用油脂を製造することができるという利点がある。
実施例に用いた脱臭装置の模式図 実施例に用いたバッチ式のテストプラント用脱臭装置の模式図
この発明の実施形態は、食用油脂の精製工程で、脱ガム、脱酸、脱色処理を経た後に脱臭処理を経てトランス脂肪酸の生成が抑制された食用油脂を製造する方法であり、特に脱臭処理直前の油脂に対し、遊離脂肪酸の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して50〜150℃で作用させ、次いで固液分離した液状油脂に対して140〜190℃、真空度6hPa以下の条件で水蒸気を吹き込む水蒸気蒸留によって脱臭処理する。
ここで、上記の操作を、以下の装置を用いて実施することができる。
先ず、図1に模式的に示した脱臭装置は、食用油脂の精製工程で、脱ガム、脱酸、脱色処理を経た後、さらに遊離脂肪酸の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して所定温度で作用させ、次いで脱臭前のろ過等の固液分離処理を行なった後で使用する、水蒸気蒸留による脱臭装置を示したものであり、脱臭前の原料油脂Oをガラス製水蒸気蒸留フラスコ1に投入し、バッチ式脱臭を行なえるものである。
水蒸気は、水蒸気発生器2内で蒸留水WをヒータHで加熱して発生したものをフラスコ1の底部まで延びるガラス管3で供給し、その量は蒸留水Wの減量をもって計測して脱臭時の水蒸気吹込量として適宜に調整する。
フラスコ1には真空ポンプPを、氷水トラップ4を経由して接続して減圧状態とし、フラスコ1内の真空度はマノメータ5にて測定する。フラスコ1内の加熱はマントルヒータ6で行ない、脱臭温度に達するまでの加熱時間を計測する。温度計7で脱臭温度を計測すると共に脱臭時間を設定しておく。脱臭時の水蒸気吹込量対油比率は、例えば1%を目標に行ない、試験中の真空度を6hPa以下に維持する。なお、図1中の符号8はゴム管、9はコックである。
また、図2に模式的に示した脱臭装置は、大略は図1に示した装置と類似する機能を有し、試験用プラントとして設けたものである。
すなわち、図2の脱臭装置は、脱臭前原料油脂Oを水蒸気蒸留用の反応釜11に投入し、バッチ式脱臭を行なえるものである。
水蒸気は、水蒸気発生器12内で蒸留水WをヒータHで加熱して発生したものを反応釜11の底部まで延びる末端に複数の孔13aを有する環状多孔部13を有する管14から供給し、その蒸気量は水蒸気発生器12内の蒸留水Wの水位の減量をもって計測して脱臭時の水蒸気吹込量として適宜にコックの開閉により調整する。
反応釜11には真空ポンプPを、トラップTを経由して接続して減圧状態とし、反応釜11内の真空度は図外の気圧計にて測定する。反応釜11内の加熱はマントルヒータ15で行ない、脱臭温度に達するまでの加熱時間と温度は適宜に計測される。
また、管16は、反応釜11の底部まで延びる食用油脂の抜き取り用のものであり、フィルタFを介して図外のポンプに接続されている。
なお、図中の符号17は、クエン酸水溶液の投入用ホッパーであり、気密に投入可能にするための図外の蓋を有するものであり、符号18は、反応釜内の気圧調整用の不活性ガス(窒素ガス等)を導入するガス配管である。
また、符号19は、反応釜11内で加熱された油Oの上方への飛散を防止し回収するための油返し板であり、小径部外向きに対向配置される一対の円錐台筒で設けられている。また、符号20はトラップT内の仕切り板である。
この発明に用いる食用油脂の原料は、周知の食用油脂原料に対してその種類を限定せずに実施可能であるが、特に二重結合の多い(ヨウ素価の高い)植物油に対しては有効である。
そして、このような食用油脂原料に対して、周知の脱ガム、脱酸、脱色の工程を経てきた脱臭処理の直前の食用油脂に対して、所定の前処理として、遊離脂肪酸の不溶化剤、多孔性吸着剤およびこれらの併用又は両者一体となった複合材を添加して50〜150℃で作用させる。
遊離脂肪酸の不溶化剤は、脱臭処理の直前の食用油脂中に残存している遊離脂肪酸に対して、中和などの反応によって遊離脂肪酸を油脂中で固形状化または半固形状する不溶化剤であればよい。
このような不溶化剤として、アルカリ金属の炭酸塩やリン酸塩、水酸化マグネシウムまたはシリカマグネシウム系製剤などの遊離脂肪酸と反応する粉体を50〜150℃の温度範囲で作用させる。なぜなら50℃未満の低温では油の粘度が高く所定の効果が得られなくなり、150℃を超える高温では、油の加熱による着色が起こって好ましくなく、例えばシリカマグネシウム系製剤では酸価を下げる効果が低下するからである。
また、後工程の固液分離(濾別)のことを考えると、食用油脂の粘度が低下する100℃程度が望ましい。
上記遊離脂肪酸の不溶化剤と多孔性吸着剤の複合剤としては、例えば遊離脂肪酸の不溶化剤を多孔性吸着剤で担持したもの、または混合一体化、浸潤一体化などにより顆粒や粉末状に製剤化されることにより両成分が複合化されたものが挙げられる。
より具体的には、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化マグネシウムなどの不溶化剤を、珪藻土(または二酸化ケイ素)、活性白土、ゼオライト、パーライトなどの多孔性吸着剤に担持させるなど、一体に複合化した製剤としての複合剤が挙げられる。
このような複合剤は、市販のものを採用することができ、例えば不溶化剤である酸化マグネシウムを、多孔性吸着剤である二酸化ケイ素に担持したシリカマグネシウム系製剤である水澤化学工業社製のミズカライフ(商品名)などを用いることもできる。
脱臭処理前の食用油脂と不溶化剤とを作用させる適温は、その不溶化剤の種類によっても異なるのは勿論である。また不溶化剤の種類によっては、これと等量以下の少量の水の存在が有効な場合がある。特に炭酸ナトリウムやリン酸三ナトリウムを使用する場合は、それの等量以下の水が存在するとより有効である。
不溶化剤又は複合剤の総添加量は、0.3〜5質量%が望ましい。0.3%未満の少量では脂肪酸の除去が充分ではなく5質量%を超える多量では添加効率が低下し、コスト的にも実用性が低下するからである。不溶化剤との反応は、多孔性吸着剤その他の濾過助剤と一緒に行なっても良い。
また、このような不溶化処理によって、脱臭処理前の食用油脂に不純物として懸濁しているものは、濾別や遠心分離などの固液分離処理によって、固体状のものを分離除去し、液状の油脂のみを分取する。
次に、得られた液状油脂に対し、水蒸気蒸留による脱臭処理として、140〜190℃、望ましくは165〜185℃温度で6hPa以下、望ましくは3hPa以下の真空下で水蒸気を0.5〜5%、望ましくは2〜3%を吹き込みながら30〜90分程度の脱臭を行う。脱臭処理後に油脂に真空条件下でクエン酸の水溶液をクエン酸として15〜50ppm添加する。
このようにして、トランス脂肪酸の生成量を従来の精製油脂における生成量よりも充分に低減し、しかも風味や酸化安定性に影響を及ぼす不純物を充分に除去し、しかも酸化安定性や風味安定性に優れた食用油脂を製造することができる。
[実施例1]
500gの脱色コーン油(酸価 0.18)に5gのリン酸三ナトリウム(キシダ化学製)を130℃で添加し攪拌機を用いて、600rpmで10分間撹拌した。撹拌後、ブフナー漏斗で吸引ろ過を行い、リン酸三ナトリウムを除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.09であった。
この油脂450gを図1のガラス製装置を用いて、真空度3hPaの条件で150℃達温後、50分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して4%であった。また、脱臭後の酸価は0.07であった。
[実施例2]
45kgの脱色大豆油(酸価 0.45)に1350gのシリカマグネシウム系製剤(ミズカライフ、水澤化学製)を110℃で添加し10分撹拌した。撹拌は約600rpmで行った。撹拌後、加圧ろ過(アドバンティックフィルター TC−1−S1FN)を行ない、シリカマグネシウム系製剤を除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.09であった。
この油脂40kgを図2に示されたテストプラント用脱臭装置を用いて、真空度4hPaの条件で180℃達温後、40分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3.5%であった。また、脱臭後の酸価は0.06であった。
[実施例3]
1kgの脱色ナタネ油(酸価 0.20)に40gの水酸化マグネシウム(ナカライテクス製)を140℃で添加し15分撹拌した。撹拌は約500rpmで行った。撹拌後、ブフナー漏斗で吸引ろ過を行い、水酸化マグネシウムを除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.09であった。
この油脂900gを図1のガラス製装置を用いて、真空度2hPaの条件で180℃で90分間脱臭した。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して2%であった。また、脱臭後の酸価は0.04であった。
[実施例4]
50kgの脱色コーン油(酸価 0.18)に500gの炭酸ナトリウム(キシダ化学製)と500gの水を90℃で添加し20分撹拌した後、パーライト(トプコパーライト、昭和化学工業製)を500g添加して1分撹拌した後、加圧ろ過(アドバンティックフィルター TC−1−S1FN)を行ない、炭酸ナトリウムと水を除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.08であった。
この油脂45kgを図2に示されたテストプラント用脱臭装置を用いて、真空度3hPaの条件で180℃達温後、60分間脱臭処理を行った。脱臭処理後に、真空条件下で20%のクエン酸水溶液を5g添加した。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3%であった。また、脱臭後の酸価は0.04であった。
[比較例1]
脱色コーン油(酸価0.18)500gに5gの水酸化カルシウム(関東化学製)を140℃で添加して10分撹拌した。撹拌は約600rpmで行った。撹拌後、ろ過を行い、水酸化カルシウムを除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.05であった。この油脂450gを図1の装置を用いて真空度3hPaの条件で150℃で50分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して4%であった。また、脱臭後の酸価は0.04であった。
[比較例2]
45kgの脱色大豆油(酸価 0.45)に1350gのシリカマグネシウム系製剤(ミズカライフ、水澤化学製)を200℃で添加し10分撹拌した。撹拌は約600rpmで行った。撹拌後、加圧ろ過(アドバンティックフィルター TC−1−S1FN)を行ない、シリカマグネシウム系製剤を除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.53であった。
この油脂40kgを図2に示されたテストプラント用脱臭装置を用いて真空度3hPaの条件で180℃、40分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3.5%であった。また、脱臭後の酸価は、0.50であった。
[比較例3]
45kgの脱色大豆油(酸価 0.45)に45gのシリカマグネシウム系製剤(ミズカライフ、水澤化学製)を110℃で添加し10分撹拌した。撹拌は約600rpmで行った。撹拌後、加圧ろ過(アドバンティックフィルター TC−1−S1FN)を行い、シリカマグネシウム系製剤を除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.44であった。
この油脂40kgを図2に示されたテストプラント用脱臭装置を用いて真空度2hPaの条件で180℃、40分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3.5%であった。また、脱臭後の酸価は、0.41であった。
[比較例4]
900gの脱色ナタネ油(酸価 0.20)を図1のガラス製装置を用いて、真空度2hPaの条件で185℃で50分脱臭した。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3%であった。また、脱臭後の酸価0.16であった。
[比較例5]
900gの脱色ナタネ油(酸価 0.20)を図1に示されたガラス製装置を用いて、真空度2hPaの条件で250℃で50分間脱臭した。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して3%であった。また、脱臭後の酸価は0.02であった。
[比較例6]
脱色ナタネ油(酸価 0.20)を本発明を行わずに、真空度3hPaの条件でガードラー式の半連続式脱臭装置を用いて250℃で50分間の脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は、油に対して2%であった。また、脱臭後の酸価は0.02であった。
[比較例7]
1kgの脱色ナタネ油(酸価 0.20)に10gの炭酸水素ナトリウム(関東化学製)を110℃で添加し10分撹拌した。撹拌は約600rpmで行った。撹拌後、ろ過を行い、炭酸水素ナトリウムを除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.28であった。この油脂900gを図1の装置を用いて真空度4hPaの条件で180℃で90分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して2%であった。また、脱臭後の酸価は0.25であった。
[比較例8]
500gの脱色コーン油(酸価 0.18)に5gのリン酸三ナトリウム(キシダ化学製)を130℃で添加し攪拌機を用いて、600rpmで10分間撹拌した。撹拌後、ブフナー漏斗で吸引ろ過を行い、リン酸三ナトリウムを除いた。ろ過後の油脂の酸価は0.09であった。この油脂450gを図1のガラス製装置を用いて、真空度4hPaの条件で250℃達温後、50分間脱臭処理を行った。この脱臭操作時の蒸気の吹き込み量は油に対して4%であった。また、脱臭後の酸価は0.02であった。
以上の実施例と比較例の評価は、以下の試験法に従って評価し、その結果をまとめて表1にまとめて示した。
すなわち、実施例と比較例の食用油脂についての酸価は、(基準油脂分析試験法 2.3.1−1996)に従って測定した。
AOMは(基準油脂分析法2.5.1.1−1966)に従って測定した。
トランス脂肪酸含量は(基準油脂分析法 暫17−2007)に従って測定した。
色については、200mL容ビーカーに得られた食用油脂を100g入れ、目視で、二重丸を非常に良い、○を良い、△を悪いという3段階の評価で行った。加熱後の着色および状態の評価は、100mL容ビーカーに食用油脂50gを入れ、180℃の恒温庫で8時間加熱を行い、加熱終了後に、食用油脂の着色および状態を目視で確認した。
Figure 2014000012
上記表1の結果からも明らかなように、実施例1と実施例3で得られた食用油脂は、180℃で8時間加熱することにより、僅かに着色したが、比較例1のように、酷く着色し、濁りが生じるようなものではなく、良好なものであった。実施例2および4は色調も加熱着色の程度も良好であった。そしてトランス脂肪酸の増加もほとんどなかった。比較例1はできあがりは良好であったが所定の加熱テストではかなり酷く着色した。比較例2、比較例3、比較例4および比較例7は酸価が十分に下がっておらず、比較例5、比較例6および比較例8はトランス脂肪酸が多く生成していた。
1 フラスコ
2 水蒸気発生器
3 ガラス管
4 氷水トラップ
5 マノメータ
6、15 マントルヒータ
7 温度計
8 ゴム管
9 コック
11 反応釜
12 水蒸気発生器
13 環状多孔部
13a 孔
14、16 管
17 ホッパー
18 ガス配管
19 油返し板
20 仕切り板
H ヒータ
W 蒸留水
O 原料油脂
P 真空ポンプ
T トラップ
A 不溶化剤

Claims (10)

  1. 食用油脂の精製工程で、脱ガム、脱酸、脱色処理を経た後に脱臭処理を経て食用油脂を製造する方法において、
    前記脱臭処理直前の油脂に対し、遊離脂肪酸の不溶化剤もしくはこれと多孔性吸着剤との併用又は両者一体となった複合材を添加して50〜150℃で作用させ、次いで固液分離した液状油脂に対して140〜190℃、真空度6hPa以下の条件で水蒸気蒸留によって脱臭処理することを特徴とするトランス脂肪酸の生成が抑制された食用油脂の製造方法。
  2. 上記遊離脂肪酸の不溶化剤が、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の不溶化剤である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  3. 上記多孔性吸着剤が、珪藻土、活性白土、ゼオライトおよびパーライトからなる群から選ばれる一種以上の多孔性吸着剤である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  4. 上記複合剤が、遊離脂肪酸の不溶化剤である酸化マグネシウムを、多孔性吸着剤である二酸化ケイ素に担持したシリカマグネシウム系製剤からなる複合剤である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  5. 上記食用油脂が、ナタネ油、大豆油、コーン油、コメ油、綿実油、ヒマワリ油およびサフラワー油から選ばれる一種以上の液状植物油からなる食用油脂である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  6. 上記水蒸気蒸留で吹き込まれる水蒸気量が、食用油脂100質量部に対して0.5〜5質量部である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  7. 上記脱臭処理温度が、165〜185℃であり、かつ真空度が3hPa以下である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
  8. 上記不溶化剤又は複合剤の総添加量が、0.3〜5質量%である請求項1〜7のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
  9. 上記不溶化剤を、油脂に添加する際に等量以下の水を添加する請求項1〜7のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
  10. 上記脱臭処理後の食用油脂に対し、クエン酸濃度が15〜50ppmとなるようにクエン酸水溶液を真空条件下で添加する請求項1〜7のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
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