JP6449376B2 - エレベータ - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、メインロープの劣化診断が可能なエレベータに関する。
近年、エレベータにおいて、抗張力部材の表面をポリウレタンのような耐摩耗性と高摩擦係数を有する樹脂材で被覆したワイヤロープの使用が考慮されている。この種のワイヤロープは、内部の抗張力部材を直接目視してその強度を管理することができない。
このため、例えばロープワイヤの表面に一定の間隔でマークを施しておき、そのマークの間隔の変化からロープワイヤの劣化状態を検査する方法が知られている。
ワイヤロープの中間部分は、中心軸が交差する方向に設けられた複数のシーブに掛けられている。そのため、複数のワイヤロープが用いられている場合、ワイヤロープの並びに偏角が生じる。偏角が生じている個所でワイヤロープのマークを読み取っても変動が大きくなり、正確な判断ができないおそれがある。
本発明の実施形態は、ワイヤロープの劣化を確実に検出できるエレベータを提供することを目的とする。
一実施形態のエレベータは、ストランドを被覆する外部被覆層を有する複数本のワイヤロープと、前記ワイヤロープが巻き掛けられた駆動シーブを有する巻上機と、を備え、前記ワイヤロープを用いて乗りかご及び釣合錘を昇降路に吊り下げるとともに、前記ワイヤロープが巻き掛けられた前記駆動シーブを介して前記乗りかご及び前記釣合錘をつるべ式に昇降動させる。
前記ワイヤロープの前記外部被覆層の表面に前記ワイヤロープの長手方向に所定の間隔で複数のマークが設けられている。さらに、前記エレベータは、移動量計測手段、マーク検出手段、演算手段および判定手段を備えている。前記移動量計測手段は、前記乗りかご及び前記釣合錘を昇降動させる前記ワイヤロープの移動に同期してパルス信号を発する。前記マーク検出手段は、前記巻上機の近傍に設けられ、前記ワイヤロープの前記外部被覆層の前記表面に光を照射する照射部と、前記外部被覆層の前記表面からの反射光を受光する受光部と、を有するとともに、前記受光部で受光された反射光の変動により前記マークの有無を光学的に検出する。前記演算手段は、前記マーク検出手段が前記マークを検出する間に前記移動量計測手段から発せられた前記パルス信号の数をカウントし、カウントされた前記パルス数に基づいて前記ワイヤロープの伸び量を演算する。前記判定手段は、前記演算手段が算出した前記ワイヤロープの前記伸び量と閾値とを比較し、前記ワイヤロープに劣化が生じているか否かを判定する。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るマシンルームレスタイプのエレベータ10の概略構成を示す図である。
図1は第1の実施形態に係るマシンルームレスタイプのエレベータ10の概略構成を示す図である。
エレベータ10は、建屋に設けられた昇降路14を有し、昇降路14の内部に乗りかご16および釣合錘であるカウンタウェイト18がそれぞれガイドレール20、22を介して昇降動可能に支持されている。さらに、制御盤24、及び駆動シーブであるトラクションシーブ26を有する巻上機30が昇降路14の上部に設置されている。
乗りかご16およびカウンタウェイト18は、3本のワイヤロープとしてのメインロープ32を介して昇降路14内に吊り下げられている。尚、メインロープ32の本数は3本に限るものではない。
メインロープ32の一端部32aおよび他端部32bは、それぞれに昇降路14の上端にロープヒッチ34a,34bを介して固定されている。また、メインロープ32の中間部32cが、乗りかご16に設けられたシーブ36、巻上機30に設けられたトラクションシーブ26およびカウンタウェイト18に設けられたシーブ38に連続的に巻き掛けられている。これにより、乗りかご16とカウンタウェイト18は、2:1ローピング形式で支持されている。巻上機30の駆動によりトラクションシーブ26が回転すると、そのトラクションシーブ26の回転に伴い、乗りかご16とカウンタウェイト18がメインロープ32を介して昇降路14内をつるべ式に昇降動作する。
また、昇降路14内には、調速機(ガバナ)40が設けられている。図中の42は調速機40を回転駆動するためのガバナロープである。調速機40は、乗りかご16の昇降動作に伴って移動するガバナロープ42を介して乗りかご16の位置、速度を検出し、何らかの異常で乗りかご16の速度が設定速度を超えた場合に、制御盤24がブレーキを起動する。
なお、機械室がないマシンルームレスタイプのエレベータでは、巻上機30が昇降路14内に設置されるが、本発明は特にこの構成に限定されるものではなく、機械室を有するエレベータであってもよい。機械室を有するエレベータでは、巻上機30が機械室に設置される。また、ローピングについても、図1に示したような2:1ローピングに限らず、例えば1:1ローピングなどの他の方式であっても良い。
ここで、本実施形態のエレベータ10は、メインロープ32に印されたマーク44(図2)と、マーク検出手段としてのセンサ50と、移動量計測手段としてのエンコーダ52と、演算装置54(図6)と、表示装置56(図6)とを備える。
図2および図3を参照してメインロープ32の構造について説明する。図2は、メインロープ32を破断して示す断面図である。図3は、メインロープ32を示す断面斜視図である。図2に示すように、メインロープ32は、抗張力部材としてのロープ本体62と、ロープ本体62を全面的に被覆した外部被覆層64とを主要な要素として備えている。
ロープ本体62は、複数本の鋼鉄製のストランド66を所定のピッチで撚り合わせることで構成されている。外部被覆層64は、例えばポリウレタンのような耐摩耗性および高摩擦係数を有する熱可塑性の樹脂材で形成されている。外部被覆層64は、メインロープ32の外表面を規定する外周面64aを有している。外周面64aは、円形の断面形状を有するとともに、各トラクションシーブ26、シーブ36、シーブ38に巻き掛けられた際に、摩擦を伴いながら接触する。
さらに、外部被覆層64を形成する樹脂材は、隣り合うストランド66の間の隙間に充填されている。そのため、外部被覆層64は、ロープ本体62の周方向に隣り合うストランド66の間に入り込む複数の充填部68を有している。充填部68は、外部被覆層64の外周面64aの内側に位置されている。
図3に示すように、メインロープ32の表面(つまり外部被覆層64の外周面64a)に複数のマーク44が設けられている。これらのマーク44は、メインロープ32の劣化による伸び量を検出するための要素であって、メインロープ32の全長に亘って長手方向に一定の間隔(例えば500mm間隔)で印されている。これらのマーク44の1つ1つは、メインロープ32の周方向に連続的な直線あるいは間欠的な点線で形成されている。
ところで、メインロープ32は、使用期間の経過に伴ってストランド66の間の隙間およびストランド66を構成する複数の素線間の隙間が減少する。これにより、ストランド66や素線が互いに摩擦を繰り返し、ストランド66や素線の摩耗・断線が進行する。
特に、メインロープ32が各シーブ26、36、38と接触する部分では、摩擦を繰り返し受ける。このため、メインロープ32の摩耗・断線の進行度合いは、メインロープ32がシーブを通過しない部分に比べて大きく、これによりメインロープ32のロープ径が減少したり、メインロープ32に局部的な伸びが生じる。したがって、メインロープ32の伸びと強度低下率との関係を明確化し、メインロープ32の中でも劣化が最大となる部分の伸びを検出することで、メインロープ32の強度を管理することができる。
図4に、巻上機30を示す。図4に示すように、巻上機30とセンサ50が、支持梁60に固定されている。支持梁60は、ガイドレール22の上部に設けられている。センサ50は、検査対象とするメインロープ32の長手方向に一定間隔で設けられた複数のマーク44(図3参照)を検出する。
図5は、各センサ50を示す平面断面図である。センサ50は、図5に示すように、各メインロープ32に対向する位置に配置されている。センサ50は、レーザ光或いは通常光を照射するための照射部51と、反射光を受光するための受光部53とを備えている。受光部53は、反射光に対して検出感度を有している。そのため、マーク44にレーザ光或いは通常光が照射されると、受光部53は反射光の変動を検出し、その反射光の変動からマーク44の有無を判別することができる。
センサ50は、応答性に鑑みてレーザ反射光或いは通常反射光を用いた光電センサで構成することが望ましい。市販の光電センサでは、近年レーザ光を対象物に照射し、反射光強度の差によって表面の色の変化を検出するセンサが普及している。或いはフォトセンサのように通常光を対象物に照射し、反射光を検出するセンサが普及している。図5中の点線でレーザ光の反射光を示す。
尚、センサ50の検出方法は、これに限るものではない。又、センサ50の検出方向は、乗りかご16側のメインロープ32であっても、カウンタウェイト18側のメインロープ32であってもよい。カウンタウェイト18側のメインロープ32であれば、ロープ張力が乗りかご16の積載状態に依存しないため、交換判定の閾値は特定の構造に対して一定となり、運用上の利便性が高い。これは、乗りかご16とカウンタウェイト18の質量の違いからメインロープ32の弾性的な伸びが異なり、一定の劣化に対して異なる伸び量を示すためである。ただし、交換判定の閾値はロープ張力に合せて変更すればよいため、マーク44の間隔の測定において本質的な問題ではない。
図6に示すように、エンコーダ52は、メインロープ32の移動に同期してパルス信号を発生する。エンコーダ52は、ロータリー型のエンコーダであり、乗りかご16の上部に固定し、回転部をガイドレール22に圧接させる。エンコーダ52は、乗りかご16の移動に同期してパルス信号を出力するため、メインロープ32の送り量に応じたパルスを出力する。
演算装置54は、センサ50によるマーク44の検出タイミングとエンコーダ52から出カされるパルス信号のカウント値とに基づいて、メインロープ32上の各マーク44の間隔を演算する演算手段と、その演算結果からメインロープ32の劣化状態を判定する判定手段とを備えている。表示装置56は、演算装置54によって演算されたマーク44間の距離を表示したり、又、劣化の発生を表示したりする。なお、演算装置54と表示装置56は汎用のコンピュータからなる。
ここで、エレベータ据付時には、メインロープ32の長手方向にマーク44が等間隔で配列されている。したがって、メインロープ32の劣化による伸びがない場合には、上記パルス信号のカウント値は据付時のマーク44の間隔に対応した基準値と略同じになる。一方、メインロープ32の劣化によりメインロープ32が伸びている場合には、上記パルス信号のカウント値は据付時のマーク44の間隔に対応した基準値を超えることになる。
この様子を図7に示す。図7は、パルス信号とマーク44間隔の関係を説明するための図であり、図7(a)はメインロープ32の移動に同期して出力されるパルス信号、同図(b)は据付時のマーク間隔、同図(c)は経年変化によりロープ伸びしているときのマーク間隔である。
演算装置54は、センサ50から出力されるマーク検出信号をトリガにして、その間にエンコーダ52から出力されるパルス信号のカウント値に基づいてマーク44間の距離を演算する。
据付時のマーク44の間隔でパルス信号をカウントしたときの基準値をnパルスとすると、メインロープ32が劣化していない場合には、得られるカウント値は据付時のnパルスと多少の誤差を含み略同じである。しかし、劣化によりメインロープ32が伸びた状態にあると、運転中に得られるカウント値は据付時のマーク44間隔に対応したnパルスよりも多くなる。
演算装置54は、メモリに測定結果として記憶された各マーク44間の距離に基づいてメインロープ32の伸び状態を演算し、それをメモリに記憶されている閾値と比較してメインロープ32の劣化を判定する。判定結果は、表示装置56に表示される。
一般に、エレベータではメインロープ32として3本以上のロープを用いる。これらのロープに対してセンサ50をそれぞれ設け、各センサ50の信号を演算装置54に入力すれば、各メインロープ32のマーク44の間隔を同時に測定することができる。この場合、各メインロープ32に対してセンサ50を設けると、各メインロープ32に設けられたセンサ50から放射される光が互いに干渉して誤検出する可能性があるが、センサ50間に遮蔽板を設けることにより、遮蔽板によって隣り合うセンサ50の反射光を遮蔽して誤検出を防ぐことができる。
最上階と最下階の間で乗りかご16を昇降させると、ロープヒッチ34a,34bに近い部分を除き、メインロープ32の全長の大部分はセンサ50を通過し、その通過時に連続的にマーク44を検出することができる。
エレベータ10では、メインロープ32の強度が規定値を下回った時にロープ交換が要求される。そのため、規定された強度低下に対応するメインロープ32の伸び量(閾値)を交換基準とすることで、メインロープ32を安全に使用することができる。
センサ50における反射光強度の判定閾値は、作業員が適宜可変できる構成とすることが好ましい。これは、レーザ反射光強度に影響を与えるマーク44とロープ表面状態が経年的に変化するためである。
例えば、マーク44の一部が欠損した場合には、反射光強度が下がるために検出感度を増加する必要がある。また、ロープ表面に光を反射しやすい(明るい色の)付着物が定着した場合には検出感度を下げる必要がある。ロープ表面の状態は、エレベータの使用条件で異なるため、物件毎に状態に応じて判定閾値を調整可能にすることで、マーク44の誤検出や検出漏れを防ぐことができる。
また、メインロープ32が自転性を有し、かつ、経年的に一部が欠損するマーク44を確実に検出するためには、ロープ全周に対して検出感度を有する必要がある。この場合、1つのセンサ50が有するレーザ光のメインロープ32の直径方向の照射範囲、および、反射光の水平方向の受光範囲は、メインロープ32の直径Bと略一致する構成が望ましい。なぜなら、マーク44の検出漏れを防ぐためには、最低限ロープ幅に対して感度を有する必要があるが、ロープ幅よりも広くした場合には、メインロープ32の背後にある構造物等からの反射の影響を受け、誤検出の可能性が増加するためである。
また、メインロープ32の表面には、運転中にコンクリート片、塵埃等が付着することがあり、これらがセンサ50を通過すると誤検出を生じる可能性がある。そのため、メインロープ32の表面のマーク44以外の部分では、メインロープ32の表面の色変化となる付着物は除去することが望ましい。メインロープ32がセンサ50を通過する手前にブラシ等、払拭部材を設けるによって塵埃等の付着物が除去されるので、付着物による誤検出を防ぐことができる。
次に、エレベータ10の動作について説明する。
エレベータ10は、マーク44の間隔を自動測定してメインロープ32の劣化状態を判定する処理を行う。まず、巻上機30が駆動して乗りかご16とカウンタウェイト18が移動する。運転によって、乗りかご16とカウンタウェイト18を吊り下げているメインロープ32が所定の速度で移動する。このとき、メインロープ32の移動、つまり乗りかご16の昇降移動に同期してエンコーダ52からパルス信号が出力される。演算装置54は、エンコーダ52から出力されるパルス信号の数を逐次カウントする。
また、メインロープ32の移動に伴い、メインロープ32の表面に設けられたマーク44がセンサ50によって光学的に検出される。演算装置54は、センサ50によってマーク44が検出されたときのタイミングで現時点のパルス信号のカウント値を確認し、そのカウント値に基づいてマーク44間の距離を算出する。このとき算出されたマーク44間の距離を示すデータは演算装置54内のメモリに記憶される。
以後同様にして、乗りかご16が移動するごとに、マーク44の検出タイミングでパルス信号のカウント値を確認して、そのカウント値からマーク44間の距離を順次算出してメモリに記憶していく。
なお、パルス信号のカウント方法として、初期値(例えば「0000」)から1パルスずつ積算していく方法と、マーク検出毎に初期値にリセットしてカウントを繰り返す方法がある。前者の方法の場合には、マーク44が検出されたときのパルスの積算値と前回検出されたときのパルスの積算値との差分値を求め、その差分値からマーク間の距離を求めることになる。
メインロープ32の位置と乗りかご16の位置を関連付けておくためには、前者の方法のように初期値から1パルスずつ積算していく方法が好ましい。この場合、マーク44が検出されたときのパルスの積算値を順次記憶しておけば、メインロープ32の中でチェックした部分を判別することができる。なお、例えば2:1ローピングであれば、乗りかご16の速度はメインロープ32の速度の1/2となるため、パルス信号のカウント値からマーク44の間隔を求めるためには、そのときのローピングの比率を考慮する。
具体的には、演算装置54は、メモリに記憶された測定結果に基づいてマーク44の間隔の長さが予め設定された閾値を超える箇所があるか否かを判定する。該当する箇所があった場合、演算装置54は、例えば表示装置56に警告メッセージを表示したり、アラーム音を発するなどして、保守員にロープ交換時期が近付いている旨を知らせる。これにより、保守員による点検作業を削減でき、メインロープ32の交換が必要な時期を把握して対処することができる。
また、パルス信号のカウント値から各部のマーク44の間隔の測定値とロープ移動量とを関連付け、上記閾値を超えた箇所のロープ位置を表示装置56に表示するようにしても良い。マーク間隔が閾値を超えた箇所は損傷が進んだ部分であり、損傷原因を明らかにするため、外観観察によって損傷レベルの目視確認が望まれる。このような場合に、閾値を超えた箇所のロープ位置を表示させることで、確認作業が容易になる。
また、メインロープ32の中で最も伸びている箇所つまりマーク44の間隔が最大のメインロープ32の位置を表示装置56に表示することでも良い。一般にメインロープ32の劣化が大きい箇所は、乗りかご16の停止頻度が多い階に関連付けられる曲げ負荷が最大となる部分である。しかし、例えば据付け時等に誤って損傷を受けた箇所があると、その損傷部分の劣化が先行する可能性がある。メインロープ32の最大伸び部分の位置を表示することで、このような通常劣化とは異なる劣化箇所の確認が可能になる。
また、メモリにマーク測定結果を履歴情報として記録しておき、その履歴情報を点検日毎にグラフ表示することでも良い。このようにすれば、マーク44の間隔の変化からメインロープ32の劣化の状態を容易に把握できるようになる。
さらに、上記履歴情報を図示せぬ遠隔地のエレベータ監視センタに定期的に送るようにすれば、エレベータ監視センタ側では各エレベータ10のメインロープ32の劣化状態を一元管理できるようになり、ロープ交換時期の近い物件を保守員に知らせることができる。
このように第1の実施形態によれば、安価な構成で各メインロープ32の長手方向に設けられた各マーク44の間隔を正確に測定することでき、この測定結果から全てのメインロープ32の劣化による伸び状態を把握して適切に対処することができる。
なお、メインロープ32の表面に設けられたマーク44は、マーク44が施されている部分(マーク部)とマーク44が施されていない部分(非マーク部)とで反射光強度に差があればよく、反射光強度が高いものでも低いものでもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図8に、第2の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、各メインロープ32毎にセンサ50を設けることとした。第2の実施形態では、図8に示すように、支持梁60にセンサ50の移動装置70を設け、移動装置70により、1つのセンサ50を各メインロープ32の対向する位置に移動させることとした。
次に、第2の実施形態について説明する。図8に、第2の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、各メインロープ32毎にセンサ50を設けることとした。第2の実施形態では、図8に示すように、支持梁60にセンサ50の移動装置70を設け、移動装置70により、1つのセンサ50を各メインロープ32の対向する位置に移動させることとした。
移動装置70は、センサ50を、ある1つメインロープ32の対向する位置に配置したら、少なくとも1回は、乗りかご16が最上階と最下階の間を往復する間センサ50をその位置に固定させ、メインロープ32の伸びを検出する。
これにより、センサ50によりメインロープ32の中間部32cの全体の伸びが検出される。そして、伸びと閾値とを比較することにより、そのメインロープ32の劣化を判定できる。
1つのメインロープ32の判定が終了したなら、移動装置70は、センサ50を次のメインロープ32に移動させ、そのメインロープ32の伸びを検出する。第2の実施形態のエレベータ10によれば、用いるセンサ50の数を1つにでき、コストを低減できる。特に、メインロープ32の本数が多い場合は、効果的である。センサ50間の干渉がなく、正確に各メインロープ32の伸びを検出できる。
又、第2の実施形態では、例えば移動装置70の移動量を調整し、センサ50の位置をメインロープ32の正対する位置からずらすことができる。これにより、例えば、マーク44がトラクションシーブ26等との接触でかすれた個所が発現しても、そのかすれた位置を避けてマーク44を検出できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図9に、第3の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、メインロープ32毎にセンサ50を設けることとした。第3の実施形態では、図9に示すように、巻上機30のトラクションシーブ26に設けられた防護カバー72にセンサ50が設けられている。
次に、第3の実施形態について説明する。図9に、第3の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、メインロープ32毎にセンサ50を設けることとした。第3の実施形態では、図9に示すように、巻上機30のトラクションシーブ26に設けられた防護カバー72にセンサ50が設けられている。
防護カバー72は、トラクションシーブ26とメインロープ32との間の挟み込みを防止したり、トラクションシーブ26への汚れの防止等のため、トラクションシーブ26を覆うように巻上機30に一体に取り付けられている。センサ50は、防護カバー72の一部にメインロープ32毎に設けられている。センサ50の作用は、第1の実施形態のものと同様である。
これによっても、メインロープ32の伸びをセンサ50により的確に求められ、メインロープ32の劣化を判定できる。第3の実施形態では、支持梁60にセンサ50が取り付けにくい場合でも、センサ50を巻上機30に容易に取り付けることができる。又、センサ50がメインロープ32の外側に配置されることから、取り付け、点検等が容易に行える。
又、トラクションシーブ26との摩擦によりマーク44がかすれたときでも、トラクションシーブ26に接する側の反対側からマーク44を検出するので、センサ50の誤動作を低減できる。トラクションシーブ26に掛かっている個所でメインロープ32のマーク44を検出するので、メインロープ32に揺れがなく、検出誤差を少なくできる。
尚、第3の実施形態は、第2の実施形態と同様、移動装置70を防護カバー72に取り付け、移動装置70により1つのセンサ50を各メインロープ32と正対する位置に移動させてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図10に、第4の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、メインロープ32毎にセンサ50を支持梁60に設けることとした。第4の実施形態では、図10に示すように、支持梁60に取り付けられた腕部74にセンサ50が設けられている。
次に、第4の実施形態について説明する。図10に、第4の実施形態のエレベータ10の巻上機30を示す。上記第1の実施形態では、メインロープ32毎にセンサ50を支持梁60に設けることとした。第4の実施形態では、図10に示すように、支持梁60に取り付けられた腕部74にセンサ50が設けられている。
センサ50は、メインロープ32毎に設けられている。センサ50の作用は、第1の実施形態のものと同様である。これによっても、メインロープ32の伸びをセンサ50により的確に求められ、メインロープ32の劣化を判定できる。又、第4の実施形態では、センサ50は、トラクションシーブ26に巻き掛けられメインロープ32の外側に設けられるため、センサ50の取り付け、点検等が、第1の実施形態のセンサ50の場合より容易に行える。尚、第2の実施形態と同様、移動装置70を腕部74に取り付け、移動装置70により1つのセンサ50を各メインロープ32と正対する位置に移動させてもよい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図11は、第5の実施形態のマシンルームレスタイプのエレベータの概略構成を示す図である。上記第1の実施形態では、乗りかご16にエンコーダ52を設け、そのエンコーダ52から出力されるパルス信号をカウントする構成とした。
次に、第5の実施形態について説明する。図11は、第5の実施形態のマシンルームレスタイプのエレベータの概略構成を示す図である。上記第1の実施形態では、乗りかご16にエンコーダ52を設け、そのエンコーダ52から出力されるパルス信号をカウントする構成とした。
通常、エレベータ10には、乗りかご16の異常走行を防止するための安全機構として調速機40が組み込まれている。この調速機40には、乗りかご16の移動に同期してパルス信号を発生するエンコーダが設けられている。また、昇降路14内には、エレベータ制御装置としての制御盤24が設置されている。制御盤24は、調速機40のエンコーダから出力されるパルス信号に基づいて走行中の乗りかご16の位置および速度を検出し、何らかの異常が発生した場合に乗りかご16の運転を停止するなどの処理を行う。
図11に示すように、制御盤24に演算装置54を接続することにより、乗りかご16の移動と共に調速機40のエンコーダから出力されるパルス信号のカウント値を制御盤24から演算装置54に送る構成とすれば、パルス信号のカウント値から各マーク44の間隔を演算することできる。なお、演算装置54の処理については、図7と同様であるため、ここではその詳しい説明は省略する。
このように、エレベータ10に元々組み込まれた調速機40のエンコーダを用いることでも、上記第1の実施形態と同様に、安価な構成でメインロープ32の長手方向に設けられた各マーク44の間隔を正確に測定することでき、この測定結果からメインロープ32の劣化による伸び状態を把握して適切に対処することができる。
また、上記第1の実施形態のようにエンコーダ52を別途用意する手間が省け、また、演算装置54と制御盤24を配線するだけで良い。
ここで、図1に示したようなロータリー構造のエンコーダ52では、回転部をガイドレール20に圧接させた状態で、メインロープ32の移動に伴い回転部分が回転してパルス信号が出力される。通常、ガイドレール20は、所定の長さを有する複数本のレール部材を垂直方向に継ぎ合わせて、昇降路14内に図示せぬブラケットによって固定されているので、ブラケットの設置間隔あるいはレール部材の継ぎ目でエンコーダ52の回転部の滑りに影響が出やすい。このため、ロータリー構造のエンコーダ52では、メインロープ32の移動、つまり乗りかご16の動きに正確に同期させるために試運転による調整を何度も必要とする。これに対し、調速機40では、ガイドレール20に触れないので、試運転による調整作業は不要である。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、抗張力材の損傷が目視できないメインロープ32の場合に、メインロープ32の強度管理のためにマーク44を施し、そのマーク44の間隔から劣化状態を判定することにより、保守作業時間の短縮化を図るとともに、全てのメインロープ32の強度管理の信頼性を向上させるエレベータ10を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…エレベータ、14…昇降路、16…乗りかご、18…カウンタウェイト、20.22…ガイドレール、24…制御盤、26…トラクションシーブ、30…巻上機、32…メインロープ、32a…一端部、32b…他端部、32c…中間部、34a.34b…ロープヒッチ、36…シーブ、38…シーブ、40…調速機、42…ガバナロープ、44…マーク、50…センサ、51…照射部、52…エンコーダ、53…受光部、54…演算装置、56…表示装置、60…支持梁、62…ロープ本体、64…外部被覆層、64a…外周面、66…ストランド、68…充填部、70…移動装置、72…防護カバー。
Claims (5)
- ストランドを被覆する外部被覆層を有する複数本のワイヤロープと、
前記ワイヤロープが巻き掛けられた駆動シーブを有する巻上機と、を具備し、
前記ワイヤロープを用いて乗りかご及び釣合錘を昇降路に吊り下げるとともに、前記ワイヤロープが巻き掛けられた前記駆動シーブを介して前記乗りかご及び前記釣合錘をつるべ式に昇降動させるエレベータであって、
前記ワイヤロープの前記外部被覆層の表面に前記ワイヤロープの長手方向に所定の間隔で設けられた複数のマークと、
前記乗りかご及び前記釣合錘を昇降動させる前記ワイヤロープの移動に同期してパルス信号を発する移動量計測手段と、
前記巻上機の近傍に設けられ、前記ワイヤロープの前記外部被覆層の前記表面に光を照射する照射部と、前記外部被覆層の前記表面からの反射光を受光する受光部と、を有するとともに、前記受光部で受光された反射光の変動により前記マークの有無を光学的に検出するマーク検出手段と、
前記マーク検出手段が前記マークを検出する間に前記移動量計測手段から発せられた前記パルス信号の数をカウントし、カウントされた前記パルス数に基づいて前記ワイヤロープの伸び量を演算する演算手段と、
前記演算手段が算出した前記ワイヤロープの前記伸び量と閾値とを比較し、前記ワイヤロープに劣化が生じているか否かを判定する判定手段と、を備えたエレベータ。 - 前記マーク検出手段は、前記巻上機を支持する支持梁に前記各ワイヤロープに対向して設けられた複数のセンサを有する請求項1に記載のエレベータ。
- 前記マーク検出手段は、前記巻上機を支持する支持梁に設けられた移動手段に取り付けられた単一のセンサを有し、当該センサは、前記移動手段により前記各ワイヤロープと対向する位置に移動する請求項1に記載のエレベータ。
- 前記巻上機は、前記駆動シーブの外方を覆う防護カバーを有し、
前記マーク検出手段の前記センサは、前記各ワイヤロープと対向するように前記防護カバーに設けられた請求項2に記載のエレベータ。 - 前記マーク検出手段は、前記巻上機を支持する支持梁に対し前記ワイヤロープを間に挟んだ反対側に設けられた請求項1に記載のエレベータ。
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