JP6447141B2 - ロボットの非常停止方法、ロボットの制御装置 - Google Patents

ロボットの非常停止方法、ロボットの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ロボットの非常停止方法、ロボットの制御装置に関する。
産業用のロボットは、何らかの異常が発生した場合等にロボットを緊急に停止させる非停止機能を備えている。このような非常停止機能を実行する際、ロボットの制御装置は、いきなり電源を切るわけではなく、過剰な電流が流れないように、且つスムーズに停止させるために、その挙動を制御しつつ停止させる停止制御を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1−270779号公報
ところで、産業用のロボットの場合、ロボットの動作中にワークに過剰な力が加わらないようにするため、通常動作時においてモータの電流に制限をかけることがある。このような電流に制限がかけられている状態では、指令値通りの動作をするためには電流が足らない状況が想定され、そのような状況では、モータは、指令値から若干遅れて動作することになる。つまり、モータの電流に制限をかけている場合には、指令値として与えられた角度である指令角度と、モータの実際の角度である実角度とが乖離することがある。
そして、指令角度と実角度とが乖離した場合、モータは、指令角度に到達しようと動作する。このため、停止制御を行ったにも関わらず、モータがそれまでの動作を継続しようとして、停止制御で意図したとおりの動作をしないおそれがある。
また、例えば複数のモータを有するロボットの場合には、指令角度と実角度とが乖離していないモータは停止制御が開始されると速やかに減速を開始する一方、指令角度と実角度とが乖離しているモータは、停止制御が開始されても動作し続けるおそれがある。
さらに、電流に制限をかけている状態では、非常停止する際の減速に必要となる電流を確保できなくなる場合も想定され、その場合には、モータが停止するまでの減速時間が長くなり、モータによって駆動されるアーム等が移動する距離も長くなる。
このように、通常動作時に電流に制限がかけられているモータは、非常停止時に即座に減速つまり停止動作に移行することができない可能性があり、その場合には、ロボットが停止制御の意図とは異なる挙動を示してアームに振動が生じたり、減速時間が長くなったことで想定した停止位置で止まらずにワークや周辺装置等に接触したりする等の事態を招くおそれがある。すなわち、非常停止時に、ロボットに対する停止制御を速やか且つスムーズに行えなくなるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常動作時にモータの電流に制限がかけられることがあるロボットにおいて、非常停止時における停止制御を速やかに且つスムーズに行うことができるロボットの非常停止方法、ロボットの制御装置を提供することにある。
請求項1記載のロボットの非常停止方法の発明では、通常動作時にモータの電流に制限をかけることがあるロボットにおいて、停止制御を行う際、モータに対する電流の制限を解除する解除工程と、停止制御を行うためにモータに与えられる指令角度を、電流の制限を解除する前後においてモータの動作状態の連続性が保たれるように補正する補正工程と、補正工程で補正した指令角度を用いて停止制御を行う停止工程と、を実行する。
この場合、通常動作時に電流に制限がかけられているモータは、非常停止時にはその制限が解除される。これにより、停止制御に必要な電流を確保することができ、減速時間が長くなることを防止できる。したがって、速やかにロボットを停止させることができ、想定した停止位置で止まらずにワークや周辺装置等に接触したりすること等を防止できる。
また、非常停止時に停止制御を行うためにモータに与えられる指令角度は、モータの動作状態の連続性が保たれるように補正される。このため、ロボットは、停止制御が開始される前の動作状態(より厳密には、非常停止操作等が行われる直前の電流制限がかけられている状態)から、停止制御を開始するための動作状態(電流制限が解除された状態)に移行した場合において、電流量の上昇によって動作量が急激に増えたとしても、それによる振動発生は抑制され、非常停止時において、実際に停止制御が完了するまでの時間を短縮することができる。なお、ロボットの停止とは、目標位置まで手先を移動させる事及び、その位置で静止する、すなわち振動しないことまでを達成して、初めて停止となる。
そして、補正した指令角度を初期値として停止制御を開始することから、すなわち、モータの動作状態の連続性が保たれた状態で停止制御を開始することから、停止制御を行った際にロボットの姿勢が急激に変動したりすることがない。これにより、アームに振動が生じたりすることを防止できる。また、補正した指令角度を初期値として停止制御が開始されることから、停止制御中のロボットの挙動を意図した通りに制御することができる。
これらにより、通常動作時にモータの電流に制限がかけられることがあるロボットにおいて、非常停止時における停止制御を速やかに且つスムーズに行うことができる。
請求項2に係る発明は、補正工程では、電流の制限を解除する前のモータの実際の角度である実角度を、停止制御を行うためにモータに与えられる指令角度の初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後において角度の連続性が保たれるように指令角度を補正する。
指令角度を補正しない場合には、仮に停止制御を行う直前の実角度と停止制御をするために与えられた指令角度とが異なっていると、モータは、与えられた指令角度に到達しようと動作する。すなわち、実際に停止制御を開始するまでの時間が長くなる。これに対して、本発明のように指令角度を補正することにより、モータは、停止制御が開始されると、現在の実角度から減速を開始する。これにより、停止制御が開始されるまでの時間を短縮することができ、ワークや周辺装置等に接触したりすること等を防止できる。
請求項3に係る発明は、補正工程では、モータの実際の角度である実角度に基づいて電流の制限を解除する前のモータの速度を求め、求めた速度となる新たな指令角度を算出し、算出した新たな指令角度を初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後において速度の連続性が保たれるように指令角度を補正する。
これにより、電流の制限を解除する前後において、つまり、停止制御を開始する前後において、モータの速度が変化することが防止される。したがって、電流の制限を解除する前後においてモータの挙動が大きく変化することが防止され、アームに振動が生じたりすることを防止できる。
請求項4に係る発明は、補正工程では、モータの実際の角度である実角度に基づいて電流の制限を解除する前のモータのトルクを求め、求めたトルクとなる新たな指令角度を算出し、算出した新たな指令角度を初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後においてトルクの連続性が保たれるように指令角度を補正する。
これにより、電流の制限を解除する前後において、つまり、停止制御を開始する前後において、モータのトルクが変化することが防止される。したがって、電流の制限を解除する前後においてモータの挙動が大きく変化することが防止され、アームに振動が生じたりすることを防止できる。
請求項5にかかる発明は、補正工程では、電流の制限を解除する前後においてロボットのトルクの連続性が保たれるように、積分器の内部状態も補正する。
上記した請求項1から4の発明の場合、停止制御を開始する際の動作状態の連続性が保たれるものの、制御系の内部状態が大きく変化していると、停止制御を開始した後に想定外の動作をする可能性がある。そこで、制御系の積分器の内部状態の連続性が保たれるようにすることにより、停止制御を開始した後においても、ロボットを意図したとおりに制御できるようになる。
請求項6のロボットの制御装置の発明は、上記した請求項1から5のいずれか一項記載のロボットの非常停止方法における各工程を実行する。これにより、請求項1から5の発明と同様に、通常動作時にモータの電流に制限がかけられることがあるロボットにおいて、非常停止時における停止制御を速やかに且つスムーズに行うことができる。
一実施形態のロボットシステムの構成を模式的に示す図 制御装置の機能ブロックを模式的に示す図 制御装置による非常停止処理の流れを示す図
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のロボットシステム1は、制御装置2と、この制御装置2によって制御されるロボット3とを備えている。本実施形態では、ロボット3として垂直多関節型ロボット想定しており、ロボットには複数のモータ4が設けられている。各モータ4は、ロボット3の関節部等に設けられてアームを駆動する。
制御装置2は、図示しないCPUやROMおよびRAM等を有するマイクロコンピュータ(制御手段に相当する)で構成されており、ROM等に記憶されているコンピュータプログラムにしたがって、ロボットシステム1を制御する。
この制御装置2は、図2に示すように指令値生成部10(指令値生成手段)および制御信号生成部11(制御信号生成手段)を有している。これら指令値生成部10および制御信号生成部11は、制御装置2の制御手段で実行されるコンピュータプログラムによって、ソフトウェア的に実現されている。
指令値生成部10は、ロボット3の姿勢を制御するために、モータ4の角度(回転角度)や速度(回転速度)を指令する指令値を生成する。本実施形態の場合、指令値は、モータ4の角度を指令する角度指令である。
制御信号生成部11は、指令値生成部10で生成された指令値に基づいて、モータ4を駆動する駆動回路12(駆動手段)に与える制御信号を生成する。なお、ロボット3を動作させるためのモータ4の制御は従来と同様の手法で行うことができるためここでは詳細な説明は省略するが、制御信号生成部11は、速度制御系および位置制御系の多重構造の制御系となっており、モータ4側に供給される電流を検出するシャント抵抗等の電流検出手段13で電流を検出しつつ、モータ4の回転角度を検出するエンコーダ等の角度検出手段14で検出したモータ4の速度・角度に基づいて、モータ4を制御するための制御信号を生成する。角度検出手段14は、検出したモータ4の角度の変化に基づいてモータ4の速度を検出する速度検出手段としても機能する。
また、制御信号生成部11は、本発明に関連して、制限部15(制限手段)および補正部16(補正手段)を備えている。制限部15は、モータ4側に供給される電流に制限をかける。ここで、モータ4のトルクは電流に比例するため、電流を制限することはトルクを制限することと同意義である。この制限部15は、ロボット3の動作中にワーク等に過剰な力が加わることを防止するために、電流に制限をかけることが必要とされたモータ4に対して、電流に制限をかける。このため、上記したように複数のモータ4を備えているロボット3の場合には、その動作中に電流に制限かけられるモータ4と、制限がかけられないモータ4とが混在することがある。
また、制限部15は、詳細については後述するが、例えば非常停止スイッチが操作された場合や、上位のシステムからの非常停止の指令を受信した場合等、ロボット3を緊急に停止する必要がある非常停止時には、モータ4の電流の制限を解除する。このため、非常停止時には、モータ4を通常動作時よりも大きな電流で動作させることが可能となる。なお、電流が大きくなれば、上記したようにモータ4が出力可能なトルクも増加する。
補正部16は、詳細については後述するが、非常停止時に電流の制限が解除されたモータ4に対する指令角度を補正する。
次に、上記した構成の作用について説明する。
ロボット3は、上記したようにモータ4の電流に制限をかけることがあり、その場合には、前述のように、指令角度と実角度とが乖離することがある。そのため、指令角度と実角度とが乖離している状態で非常停止操作が行われると、電流に制限がかけられているモータ4は、指令角度に到達しようとして動作し続ける可能性がある。
このとき、複数のモータ4を有する場合には、電流に制限がかけられていないモータ4は速やかに停止する一方、電流に制限がかけられているモータ4は動作し続ける可能性がある。また、電流に制限をかけている場合には、停止制御において減速するために必要な電流を確保できないおそれもあり、その場合には、モータ4の減速時間が長くなり、減速中にアーム等が移動する距離も長くなる。
その結果、アームがワークに接触したり、ロボット3が意図しない姿勢となって周辺装置等に接触したりするなど、非常停止時に問題が発生するおそれがある。また、ロボット3が周辺装置等に接触した場合には、キャリブレーション作業等を行う必要があるなど、非常停止時だけでなく、非常停止後にも影響を及ぼすおそれがある。かといって、単純に電流の制限を解除してしまうと、電流が急激に変化する可能性があり、それによってモータ4の挙動も変動してアームが振動するなどのおそれがある。
そこで、制御装置2は、以下に説明するように、指令角度をモータ4の実角度に基づいて補正することによって、通常動作時にモータ4の電流に制限がかけられることがあるロボット3において、非常停止時における停止制御を速やかに、且つスムーズに行うようにしている。
制御装置2は、非常停止スイッチが操作された場合や非常停止の指令を受信した場合などの非常停止時に、図3に示す非常停止処理を実行する。この非常停止処理では、制御装置2は、まずモータ4の実角度を取得し(S1)、取得した実角度に基づいて、指令角度を補正する(S2)。このステップS2の処理が補正工程に相当する。
さて、制御装置2は、モータ4が指令値通りの動作をすることを前提としていることから、停止制御で減速を開始する際の指令角度の初期値は、通常であれば、非常停止前に指令されている指令角度がそのまま設定されることになる。つまり、非常停止前の指令角度がαであったとすると、指令角度の初期値もαに設定される。
しかし、上記したように電流に制限をかけているモータ4の場合には、非常停止前の指令角度がαであったとしても、実角度がαから乖離した例えばβになっている可能性がある。この場合、指令角度の初期値としてαを設定してしまうと、モータ4が実角度(β)から指令角度の初期値(α)まで動作しようとすることから、モータ4を速やかに停止させたいにも関わらず、意図に反してモータ4が余分な動作をする可能性がある。
そのため、本実施形態の制御装置2は、指令角度の初期値をモータ4の実角度で補正する。より具体的には、制御装置2は、モータ4の実角度を指令角度の初期値に設定することで、指令角度を補正する。
指令角度を補正すると、制御装置2は、電流の制限を解除し(S3)、補正した指令角度に基づいて停止制御を行う(S4)。このステップS4では、制御装置2は、補正した指令角度、すなわち、本実施形態では非常停止する直前の実際のモータ4の角度から、停止制御を開始する。このため、非常停止の前後において、モータ4は、その角度が変更されること無く、停止制御による減速を開始することになる。このステップS3の処理が解除工程に相当し、ステップS4の処理が停止工程に相当する。
ステップS3では、電流の制限が解除されることから、より多くの電流をモータ4が利用することができるようになり、ステップS4の停止工程において、電流つまりモータ4のトルクが不足することが防止される。そして、ステップS4の停止工程では、停止制御を開始する際の指令角度の初期値とモータ4の実角度とが一致した状態で停止制御が開始される。これにより、モータ4が上記したような余分な動作をすることが防止され、最大限速やかに減速を開始することが可能となる。さらに、ステップS4では停止制御つまりロボット3の挙動を制御しつつ停止させる制御を行っていることから、スムーズに減速させることが可能となる。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
制御装置2は、非常停止時に、停止制御を行うためにモータ4に与えられる指令角度を、電流の制限を解除する前後においてモータ4の動作状態の連続性が保たれるように補正する補正工程(S2)と、モータ4に対する電流の制限を解除する解除工程(S3)と、補正工程で補正した指令角度を初期値として停止制御を開始する停止工程(S4)と、を含む停止制御処理を実行する非常停止方法を採用している。このような非常停止方法を採用することにより、停止制御を行う際には、モータ4の電流の制限が解除されるため、より多くの電流をモータ4で利用することが可能となる。これにより、減速時に電流が不足すること(トルクが不足すること)が抑制される。そしてしたがって、停止制御に必要な電流を確保することができ、減速時間が長くなることを防止できる。
また、電流の制限を解除することから、複数のモータ4を有し、通常の動作時に電流に制限がかけられていないモータ4が存在する場合であっても、通常の動作時に電流に制限がかけられているモータ4だけが動作し続けることが防止される。さらに、通常の動作時には電流が制限されて指令角度と実角度とが乖離する可能性がある場合であっても、非常停止時には指令角度の初期値を実角度に補正した状態で停止制御を開始するため、速やかに減速を開始することができ、減速時間が長くなることを防止できる。
また、非常停止時に停止制御を行うためにモータ4に与えられる指令角度は、モータ4の動作状態の連続性が保たれるように補正される。本実施形態の場合、補正工程では、電流の制限を解除する前のモータ4の実際の角度である実角度を、停止制御を行うためにモータ4に与えられる指令角度の初期値に設定する。これにより、モータ4は、停止制御が開始されると現在の実角度から減速を開始するため、停止制御が開始されるまでの時間を短縮することができる。
そして、補正した指令角度を初期値として停止制御を開始することから、すなわち、モータ4の動作状態の連続性が保たれた状態で停止制御を開始することから、停止制御を行った際にロボットの姿勢が急激に変動したりすることがない。これにより、アームに振動が生じたりすることを防止できるとともに、補正した指令角度を初期値として停止制御が開始されることから、停止制御中のロボット3の挙動を意図した通りに制御することができる。
これらにより、停止制御を開始する際にモータ4が上記したような余分な動作をしたり、アームが振動したりすることを防止できる。また、モータ4によって駆動されるアーム等が移動してしまう制動距離が長くなることが防止され、速やかにロボット3を停止させることができる。また、アームの振動が抑制されていることから、振動を抑制するための制御等が不要となり、停止するまでの時間を短縮化を促進することができる。
また、停止制御を行うことから、つまり、ロボット3の挙動を制御しつつ停止させることから、スムーズにロボット3を停止させることができる。したがって、通常動作時にモータ4の電流に制限がかけられることがあるロボット3において、非常停止時における停止制御を速やかに且つスムーズに行うことができる。
また、これらの各工程を実行する制御手段を備える制御装置2は、非常停止時における停止制御を速やかに、且つスムーズに行うことができる。
また、仮にロボット3が周辺装置等に接触した場合には再稼動する前にキャリブレーション作業等を行う必要があるが、本実施形態の非常停止方法によれば周辺装置等への接触を防止することができるため、非常停止後の作業が増加することをも抑制することができ、非常停止時だけで無く、非常停止後においてもユーザにメリットを提供することができる。
なお、上記した補正工程(S2)と解除工程(S3)とは、同時に行ってもよいし、その順序が入れ替わっていてもよい。すなわち、補正工程と解除工程とは、停止制御(S4)を開始する前に行われれば、その実行順はいずれであってもよい。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の構成および非常停止処理の流れは第1実施形態と共通するので、図1から図3を参照しながら説明する。
本実施形態では、図3に示す非常停止処理のステップS2において指令角度を補正する手法が第1実施形態と異なっている。本実施形態の制御装置2は、ステップS1で取得したモータ4の実角度に基づいて指令角度を補正するステップS2において、モータ4の動作状態の連続性を保つことができる以下の2つの手法のいずれかにより、指令角度を補正する。以下、1つ目の手法を便宜的に手法Aと称し、2つ目の手法を便宜的に手法Bと称してそれぞれ説明する。
<手法A:内部状態として、速度の連続性を保つ手法>
手法Aの場合、制御装置2は、制御系の内部状態として速度に着目し、非常停止処理において、電流の制限を解除する前後においてモータ4の速度の連続性が保たれる新たな指令角度を求め、求めた指令角度を初期値に設定して停止制御を開始する。
通常、ロボット3の制御系は、第1実施形態で説明したように、速度制御系および位置制御系の多重構造となっている。このとき、速度制御系には、I型(積分型)のサーボ系とするために、一般的に積分要素が使用されている。そこで、本実施形態では、位置比例・速度比例積分制御系について説明する。なお、制御系の構成は、位置比例・速度比例積分制御系以外であってよく、その場合にも、本実施形態と同様の考え方で本発明を適用することができる。これは、後述する手法Bの場合も同様である。
まず、指令角度をr、モータ4の実角度をy、指令速度をw、モータ4の実速度をy(実角度yの微分値)、制御系の位置比例ゲインをKPP、速度比例ゲインをKVP、速度積分ゲインをKVI、トルク指令(すなわち、電流指令)をτとすると、位置比例・速度比例積分制御系は、次の(1)式および(2)式で表すことができる。
Figure 0006447141
さて、電流に制限がかけられておらず十分な電流を利用できる状況においては、速度制御系の積分制御により、指令速度wと実速度yは等しくなる。これに対して、電流に制限がかけられている状況では、電流が不足した場合には十分な加速を得られずに、実速度yは、指令速度wよりも小さくなる。この場合、非常停止時に電流の制限を解除する際に速度系の連続性を保つためには、指令速度wと実速度yとが一致するように指令角度rを補正すればよい。
さて、上記した(1)式より、指令角度rは次の(3)式のように表すことができる。
Figure 0006447141
そして、指令速度wと実速度yとが一致する指令角度rを求めるためには、この(3)式にw=yの関係を代入すればよく、次の(4)式で求めることができる。
Figure 0006447141
そして、非常停止する際の指令角度の初期値としてこの(4)式から求まるrを設定すれば、速度系の連続性を保った状態で、停止制御を行うことができるようになる。具体的には、図3に示すステップS2において(4)式に基づいて指令角度を補正し、ステップS3において電流制限を解除し、ステップS4において、補正した指令角度に基づいて停止制御を行えばよい。
これにより、非常停止時に、速度の連続性を保ったまま停止制御を行うことができ、速度が急激に変化することを防止できる。そして、速度が急激に変化することが防止されることから、アームの移動速度が急激に変化する等の意図しない動作を防止することができる。また、速度が連続的に変化することから、余分な速度変化が発生せず、減速時間が長くなることを防止できる。
<手法B:内部状態として、トルク(電流)の連続性を保つ手法>
手法Bの場合、制御装置2は、制御系の内部状態としてトルク(電流)に着目し、非常停止処理において、電流の制限を解除する前後においてモータ4のトルクの連続性が保たれる新たな指令角度を求め、求めた指令角度を初期値に設定して停止制御を開始する。
電流制限を解除する前のトルク指令をτ、積分器の状態量をxi0とすると、制御系は、次の(5)式および(6)式で表すことができる。そして、これら(5)式および(6)式と上記した(3)式との関係から、補正すべき指令角度rとして、(7)式が求まる。
Figure 0006447141
そして、非常停止する際の指令角度の初期値としてこの(7)式から求まるrを設定すれば、トルクの連続性を保った状態で、停止制御を行うことができるようになる。
つまり、制御装置2は、図3に示すステップS2において(7)式に基づいて指令角度を補正し、ステップS3において電流制限を解除し、ステップS4において、補正した指令角度に基づいて停止制御を行う。
これにより、非常停止時に、トルクの連続性を保ったまま停止制御を行うことができ、トルクが急激に変化することを防止できる。そして、トルクが急激に変化することが防止されることから、ワークに加わる力が急激に増加したり、アームの速度が大きく変化したりする等の意図しない動作防止することができる。
なお、電流の制限を解除した際にトルクが飽和した場合、それが積分器の出力のみで飽和している場合には、τ0とKVIi0とが等しくなることから、上記した(7)式は、上記した(3)式と同じ結果となる。
これら手法A、手法Bのように、制御系の内部状態に着目して指令角度を補正することによっても、第1実施形態と同様に、非常停止時における停止制御を速やかに、且つスムーズに行うことができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態は、指令角度を補正する際に制御系の積分器の状態量を併せて補正するための手法であり、電流の制限を解除する前後においてロボット3の制御系のトルクの連続性が保たれるように積分器の状態量も補正する。この本実施形態の手法は、第1実施形態から第3実施形態でモータ4の動作状態の連続性を保つ補正に組み合わせて使用される。具体的には、図3に示す非常停止処理のステップS2において指令角度を補正する際、積分器の状態量も補正される。
電流の制限を解除する前の指令角度をr、指令速度をw、積分器の状態量をxi0とした場合、電流の制限を解除する前後におけるトルク指令は、解除前のトルク指令をτ0、解除後のトルク指令をτとすると、次の(8)式および(9)式で表すことができる。
Figure 0006447141
この場合、トルク指令τと解除後のトルク指令をτとが等しくなるように補正する場合には、次の(10)式の関係が成立する。
Figure 0006447141
そしてこの(10)式から、電流の制限を解除した後の積分器の状態量xは、次の(11)式として求まる。
Figure 0006447141
また、上記した(1)式の関係から指令速度wは、次の(12)式として求まる。
Figure 0006447141
これら(11)式および(12)式から、電流の制限を解除した後の積分器の状態量xは、最終的に次の(13)式で表すことができる。
Figure 0006447141
この電流の制限を解除した後の積分器の状態量xを、第1実施形態で説明した指令角度を実角度に合わせる手法に適用する場合には、(13)式は、(1)式の関係から、次の(14)式として表すことができる。
Figure 0006447141
また、第2実施形態の手法Aで説明した速度系の連続性を保つ手法に適用する場合には、(13)式は、(4)式の関係から、次の(15)式として表すことができる。
Figure 0006447141
いずれの場合にしろ、積分器の状態量xも補正することにより、電流の制限を解除した際、トルクが不連続となることを防止できる。これにより、停止制御を開始した後におけるトルクの不連続性が無くなり、停止制御を行う際に、トルクが不連続になっていることに起因して意図しない動作が行われるおそれを低減することができる。
なお、第2実施形態の手法Bで説明したトルクの連続性を保つ手法に適用する場合には、その手法にて既にトルクの連続性が保たれているために本実施形態の手法では実質的には効果は発揮されない。すなわち、(13)式は、(7)式および(8)式の関係から、次の(16)式として表すことができ、積分器の状態量は補正されないことを意味している。
=xi0 (16)
(その他の実施形態)
本発明は上記した実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、拡張することができる。
実施形態では、ロボット3として複数のモータ4を有する垂直多関節型のロボットを例示したが、水平多関節型ロボットや直角座標型ロボットであってもよい。また、直動式の短軸ロボットのように、1つのモータ4を備えるものであってもよい。すなわち、本発明は、備えているモータの数に関わらず、通常動作時に電流に制限に制限がかけられることがあるモータを有するどのようなロボットにも適用することができる。
図面中、1はロボットシステム、2は制御装置(ロボットの制御装置)、3はロボット、4はモータを示す。

Claims (6)

  1. 通常動作時にモータの電流に制限をかけることがあるロボットにおいて、非常停止時にその挙動を制御しつつ停止させる停止制御を行うためのロボットの非常停止方法であって、
    前記停止制御を行う際、前記モータに対する電流の制限を解除する解除工程と、
    前記停止制御を行うために前記モータに与えられる指令角度を、電流の制限を解除する前後において前記モータの動作状態の連続性が保たれるように補正する補正工程と、
    前記補正工程で補正した前記指令角度を初期値として前記停止制御を開始する停止工程と、
    を実行することを特徴とするロボットの非常停止方法。
  2. 前記補正工程では、電流の制限を解除する前の前記モータの実際の角度である実角度を、前記停止制御を行うために前記モータに与えられる前記指令角度の初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後において角度の連続性が保たれるように前記指令角度を補正することを特徴とする請求項1記載のロボットの非常停止方法。
  3. 前記補正工程では、前記モータの実際の角度である実角度に基づいて電流の制限を解除する前の前記モータの速度を求め、求めた速度となる新たな指令角度を算出し、算出した新たな指令角度を初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後において速度の連続性が保たれるように前記指令角度を補正することを特徴とする請求項1記載のロボットの非常停止方法。
  4. 前記補正工程では、前記モータの実際の角度である実角度に基づいて電流の制限を解除する前の前記モータのトルクを求め、求めたトルクとなる新たな指令角度を算出し、算出した新たな指令角度を初期値に設定することで、電流の制限を解除する前後においてトルクの連続性が保たれるように前記指令角度を補正することを特徴とする請求項1記載のロボットの非常停止方法。
  5. 前記補正工程では、電流の制限を解除する前後において前記ロボットのトルクの連続性が保たれるように積分器の内部状態も補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のロボットの非常停止方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項記載のロボットの非常停止方法における各工程を実行することを特徴とするロボットの制御装置。
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