JP6446834B2 - 複合体の製造方法、及び微細セルロース繊維の分散液 - Google Patents
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Description
25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である、微細セルロース繊維の分散液である。
先ず、本発明を適用した一実施形態である複合体について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の複合体1は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)11と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース12とが複合化された、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維との複合体であり、それぞれの微細セルロース繊維12について少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子11の表面に露出するように複合化されたものである。
このような過程で生成した複合体は、前記微細セルロース繊維12のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子11の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子11の表面に露出する。本発明の複合体は、分散安定性の面から、前記金属微粒子と前記微細セルロース繊維とが不可分であることが好ましい。また、複合体は、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維とが複合化されていればよく、他の成分を含んでも構わない。検討を行う中、複合体の形態制御に適した微細セルロース繊維を見出した。微細セルロース繊維については後に説明する。
平板状金属微粒子11の粒子径dは、2nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは20以上500nm以下、20以上400nm以下が更に好ましい。
平板状金属微粒子11の粒子厚みh、すなわち表面13と裏面14の距離hは、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
アスペクト比d/hの平均は、2.0以上が好ましく、2.0以上100以下がより好ましく、2.0以上50以下が更に好ましい。
本発明の複合体は、直径dを任意に変化させ、粒子径d/厚みhのアスペクト比を制御することで、光学特性を制御できる。
特に、本発明の複合体は、500nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有するように制御しやすく、また遮熱フィルムや色材へ応用できる。そのため、本発明の複合体を含有する分散液は、500nm以上2500nm以下の波長領域が極小となる極小波長を有することが好ましい。
平板状金属微粒子の粒子径及び厚みの測定方法、ならびにアスペクト比の算出方法としては、具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径の測定法
図3のように複合体を含む分散液をTEM観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾したのち、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子を、円で近似した際の径を平面方向の粒子径として算出する。
(2)厚みの測定法
図5のように複合体を含む分散液をPETフィルム上にキャストして風乾し包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子の厚みを平面方向の粒子径として算出する。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた粒子径dを粒子厚みhで割った値を、アスペクト比=d/hとして算出する。
なお、上述した測定方法および算出方法は一例であり、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の複合体に含有される金属種は、特に限定されず、目的に応じて選択することができる。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。特に、赤外線を遮蔽する目的では、少なくとも銀を含む1種類以上が好ましい。複合体中に含まれる金属の割合は特に限定されない。
微細セルロース繊維12を用いることで、環境負荷が低く、また簡便な操作で、低エネルギー、低コストで形状やサイズが制御された複合体を製造することができる。また、本発明の複合体は、溶媒への分散性が良好である。
検討を行う中で、複合体の製造に用いる微細セルロース繊維12の特性によって、形状制御性能が変化することが判明した。複合体製造用微細セルロース繊維12は、以下の特徴を有するものとする。
また、CSNFは、繊維表面に規則的にカルボキシ基を有する。このカルボキシ基は、液相還元法にて複合体を製造する際、金属イオンが配位して複合体生成の起点となると考えられるため、CSNFは複合体製造に好適である。
複合体の製造方法は、特に限定されないが、
(酸化工程)セルロース原料からN−オキシル化合物を用いて酸化セルロースを得る工程と、
(微細化工程)前記酸化工程を経た酸化セルロースを水性媒体中で微細化して微細セルロース繊維分散液を調製する工程と、
(複合体形成工程)微細化工程により得られた微細セルロース繊維分散液中に金属イオンを含有させ、還元により金属微粒子を成長させるとともに、金属微粒子と微細セルロース繊維とを複合化する工程と、を有する製造方法により複合体を製造することが好ましい。
この方法を用いることにより、長軸の数平均軸径、短軸の数平均軸径、カルボキシ基導入量、粘度特性を制御できる。このことにより、形状とサイズを容易に制御し、安定的に複合体を製造することができる。
微細セルロース繊維の原料としては、特に限定されず、木材セルロースを用いる場合には、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプなど、一般的に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプを用いる。広葉樹パルプを用いる場合は、ヘミセルロース含有量が16%未満であることが好ましい。ヘミセルロース含有量が16%未満である広葉樹パルプを用いることで、広葉樹パルプであっても0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である微細セルロース繊維を得ることができる。広葉樹パルプは、一般にヘミセルロースの多い部分と少ない部分が不均一に存在する。ヘミセルロースが少ない部分では、ミクロフィブリル同士が水素結合で強固に結合するため、酸化反応時にアルカリ条件下で反応性の低い二級水酸基も酸化されてカルボニル基が生じる。ヘミセルロース含有量が16%未満であると、アルカリ条件下でカルボニル基を起点としてβ脱離反応が起こり、セルロース繊維の長軸の数平均軸径が短くなり、低粘度化が起きる。
ヘミセルロース含有量(質量%)=(キシロース量(mg)×0.88+マンノース量(mg)×0.9)/パルプ量(mg)×100(%)
セルロース原料をアルカリ条件下におくと、セルロース原料膨潤して水素結合が弱まり、セルロース分子間に空隙が形成され、酸化工程において酸化剤が浸透しやすくなり、セルロース原料の酸化が促進される。酸化時にカルボキシ基が精製して局所的にpHが低下するため、反応液中に次亜塩素酸ナトリウムから次亜塩素酸が発生する。発生した次亜塩素酸によりセルロースが酸化分解し、低分子化が起こる。この結果、微細セルロース繊維の分散液が低粘度化する。
4℃以下であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。70℃以上であると副反応が促進して試料の結晶表面の構造変化や低分子化が起こるため、金属微粒子と微細セルロース繊維とを含有する複合体の形状制御が難しくなる。前記酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、一般的に、0.1〜5時間程度である。
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前記と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、酸化セルロースや生成する微細セルロース繊維の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、前記酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
複合体の製造において、微細セルロース繊維は、表面構造を維持する範囲で低粘度化していることが好ましい。一般に、酸化工程における反応温度や反応時間、物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細セルロース繊維分散液に含まれる微細セルロース繊維のカルボキシ基導入量、数平均短軸径および数平均長軸径を制御でき、更には粘度特性を制御することができる。微細セルロース繊維の特性の制御は、これに限らず、公知の方法を用いることができる。
また、得られる複合体の形状やサイズは、微細セルロース繊維の短軸や長軸の径により影響を受ける。一般に、短軸や長軸の径を求める場合、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡により軸径を測定し、平均値を得る方法が知られる。しかし、上記の方法は煩雑な作業を必要とする。粘度特性は長軸径や短軸径の軸径を反映し、より簡便に評価できる。
化学的処理、物理的処理のいずれの低粘度化処理工程も、微細セルロース繊維の表面構造を維持しながら微細セルロース繊維を低分子化することで、低粘度化された微細セルロース繊維を製造し、安定的に形状の制御された複合体を得ることができる。
物理化学的処理は、例えば、マイクロ波照射処理、レーザー照射処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、ヒドロキシ(OH)ラジカル処理等が挙げられる。中でも、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、OHラジカル処理のうち少なくとも1種類以上であることが好ましい。
これらの方法を用いることで、0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である微細セルロース繊維を得ることができ、サイズや形状を良く制御された複合体を製造できる。
前記化学的処理及び物理的処理は、酸化工程の前、酸化工程と微細化工程の間、微細化工程の後に行ってもよく、酸化工程中、微細化工程中に行っても良い。
大気中のO2は、185nmの紫外線を吸収してオゾン(O3)を生成し、生成したO3は更に254nmの紫外線を吸収してO2と反応して酸素元素ラジカル(活性酸素)を発生する。これらの活性酸素は強力な酸化力を持っており、有機化合物は切断されて励起状態となり、活性酸素と反応し、カルボニル基やカルボキシル基等の親水基を持った低分子化号物を生成し、CO2やH2Oのような揮発性物質を生成する。
また、185nmの紫外線を用いる方法で、紫外線を水に直接照射することで酸化力の高いOHラジカルを発生させてもよい。254nmの紫外線と酸化剤(O3や過酸化水素等)の反応によりOHラジカルを発生させ、セルロース原料を分解することもできる。
OHラジカルの生成方法は、特に限定されず、一般的にオゾン、過酸化水素、紫外線などの物理化学的な処理手法を併用するのが一般的である。例えば、O3を用いる方法や紫外線と酸化剤を併用する方法が知られる。特に、放電により直接OHラジカルを発生させるとOHラジカルの発生効率が高く、好ましい。
複合体の調製方法は、特に規定されるものではないが、一般的な湿式法である液相還元法で調製できる。金属表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。微細セルロース繊維の存在により金属微粒子の特徴が大きく変化する。
金属イオンと微細セルロース繊維の存在下で還元することにより、金属原子が生成し、核発生、成長を経て金属微粒子が生成する。この過程で金属微粒子と微細セルロース繊維繊維が相互作用し、金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼし、形状やサイズの制御された複合体が得られると考えられる。
例えば、球状の銀微粒子は通常400 nm付近に吸収を有するが、銀と微細セルロース繊維とを含有する複合体は、その異方性により、500nm以上の波長領域に吸収を有する。
次に、前記混合溶液中の金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維とを複合化する。
本実施形態の製造方法の複合体調製工程では、特に限定されないが、先ず、混合溶液中への還元剤の添加により、微細セルロース繊維12に設けたカルボキシ基を起点に金属の析出が開始する。そして、析出した金属は金属微粒子の一次粒子11aを形成する(図5中の左図を参照)。さらに反応が進むと、これらの一次粒子11a同士が凝集して、平板状の金属微粒子(すなわち、平板状金属微粒子)11を形成する。この際、微細セルロース繊維12の一部12aが巻き込まれるとともに残部12bが露出した状態で複合化する(図5中の右図を参照)。
以上の工程により、本実施形態の平板状金属微粒子11と微細セルロース繊維12との複合体1を得ることができる。
分散液中の金属イオン量は、特に限定されないが、微細セルロース繊維表面にカルボキシ基が存在する場合、カルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。分散液中の金属イオン量が微細セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうと微細セルロース繊維が凝集する場合がある。
(複合体の利用方法)
成形の方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、射出成形法、圧縮成形法、積層成形法、トランスファ成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形法、押出ラミネート、ブロー成形法、真空成形法、スプラッシュ成形法、低圧積層成形法が挙げられる。
複合体と成形材料の複合組成物や複合体を含有するコーティング層は、成形性の向上や劣化抑制、複合体の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
(セルロース原料の分散液の調製)
セルロース原料として針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、セルロース原料の分散液を調製した。
蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を、セルロース原料の分散液に加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.00mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化セルロースを得た。
前記TEMPO酸化で得た酸化セルロース1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、微細セルロース繊維濃度1質量%の微細セルロース繊維水分散液を得た。前記微細セルロース繊維水分散液に含まれる微細セルロース繊維の数平均短軸径は4nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、前記微細セルロース繊維の分散液はチキソトロピック性を示した。
硝酸銀を蒸留水50mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水50mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。前記1%微細セルロース繊維水分散液50g対し、前記硝酸銀水溶液0.5gを室温(25℃)で攪拌しながら添加した。30分攪拌を続けたのち、硝酸銀水溶液を添加し、更に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して銀と微細セルロース繊維とを含有する複合体を製造した。
<実施例2>
<実施例3>
<実施例4>
<実施例5>
<実施例6>
<実施例7>
<実施例8>
<実施例9>
<実施例10>
<実施例11>
<比較例1>
<比較例2>
<比較例3>
<比較例4>
実施例1〜11及び比較例1〜5で得られた酸化セルロース、微細セルロース繊維について、カルボキシル基量、分子量、分散液の光線透過率及びレオロジー測定、結晶化度評価、光線透過率測定を次のように行い、複合体を含有する分散液の透過率の極小値における波長(λmax)とλmaxにおける透過率の測定を以下のように行った。
微細セルロース繊維のカルボキシ基量は、分散処理前の酸化セルロースを用いて、含有されるカルボキシ基量は以下の方法にて算出した。セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
原子間力顕微鏡を用いて微細セルロース繊維の数平均短軸長を算出した。まず微細セルロース繊維の分散液を0.001%となるように希釈したのち、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。乾燥後に原子間力顕微鏡(AFM5400L、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、DFMモードで微細セルロース繊維の形状を観察した。微細セルロース繊維の数平均短軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
TEMPO酸化パルプの結晶化度を算出した。測定には試料水平型多目的X線回折装置(UltimaIII、株式会社リガク製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。本発明において得られるX線回折パターンは全てセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、以下に示す手法によって結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
微細セルロース繊維の分散液について、光線透過率を測定した。石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長660nmの光透過率を分光光度計(日本分光株式会社製、NRS−1000)にて測定した。
(粘度特性1)
レオメーターAR2000ex(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度特性1を測定した。微細セルロース繊維0.5質量%の分散液を用い、傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s−1から100s−1について連続的にせん断粘度を測定し、1s−1及び100s−1のときの値を求めた。
(粘度特性2)
レオメーターARES−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度測定2を測定した。微細セルロース繊維1.0質量%分散液(25℃)を、角周波数ωが10−1から102の範囲において、連続的に貯蔵弾性率をG’と損失弾性率をG’’を測定した。G’>G’’であり、G’とG’’が共に100Pa以上102Pa以下である場合を『○』、この範囲でない場合を『×』とした。
(粘度特性3)
更に、レオメーターARES−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度測定2を測定した。Large Amplitude Oscillatory Shear(LAOS)にて、微細セルロース繊維1.0質量%の分散液(25℃)の弾性応力と粘性応力を測定した。弾性応力の最大値が0.5Pa以上、且つ粘性応力の最大値が4Pa以上である場合を『○』、この範囲でない場合を『×』とした。
複合体調製工程を経た分散液を、高速冷却遠心機にて75,600g(30分×5セット)の条件で遠心し、複合体を精製・分画した。前記精製済み複合体を含む分散液をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)を用いて垂直方向から観察することで、複合化を確認した。複合体が観察された場合を『○』、観察されなかった場合を『×』とした。
分散処理した微細セルロース繊維の分散液について、光線透過率を測定した。石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1400nmまでの光透過率を分光光度計(日本分光株式会社製、NRS−1000)にて測定した。得られた光線透過率から、複合体由来の吸収により、500nm以上で光線透過率が極小となった波長(λmax)を得た。また、λmaxにおける透過率を得、λmaxにおける透過率が70%以下である場合を『○』とし、70%より高い場合に『×』とした。
11 金属微粒子(銀微粒子)
11a 金属微粒子の一次粒子
12 微細セルロース繊維(CSNF)
12a 金属微粒子の内部に取り込まれている部分
12b 金属微粒子表面に露出している部分
13 表面
14 裏面
15 側面
16 PET層
17 包埋樹脂層
d 粒子径
h 厚み
Claims (12)
- 微細セルロース繊維を溶媒に分散させた分散液に、金属塩と還元剤を添加して、平板状金属微粒子を還元析出させるとともに、前記平板状金属微粒子と前記微細セルロース繊維との複合体を形成する、複合体形成工程と、
を含み、
25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であり、
前記複合体が、前記微細セルロース繊維が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出していることを特徴とする、複合体の製造方法。 - 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、102から10−1ωの範囲における、貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G’’とは、G’>G’’を満たし、かつ共に100Pa以上102Pa以下であることを特徴とする、請求項1に記載の、複合体の製造方法。
- 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、かつ粘性応力の最大値は4.0Pa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、複合体の製造方法。
- 前記微細セルロース繊維は、前記微細セルロース繊維を固形分濃度1%含む分散体において、光路長1cmにおける、660nmの波長の光線透過率は、分散媒をリファレンスとして、80%以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
- 前記微細セルロース繊維に、低粘度化処理を施す、低粘度化工程をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
- 前記低粘度化処理が、酵素酸化処理、酸加水分解処理、アルカリ処理、マイクロ波照射処理、レーザー照射処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、ヒドロキシラジカル処理のいずれかを少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項5に記載の、複合体の製造方法。
- 前記平板状金属微粒子の粒子径dは、2nm以上1000nm以下であり、
前記平板状金属微粒子の厚みhは、1nm以上100nm以下であり、
アスペクト比d/hの平均は、2.0以上100以下である
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の、複合体の製造方法。 - 前記平板状金属微粒子は、少なくとも銀を含む1種類以上の金属またはそれらの化合物を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
- 微細セルロース繊維が平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出している複合体を形成するための微細セルロース繊維分散液であって、微細セルロース繊維の、短軸の数平均軸径は1nm以上50nm以下であり、長軸の数平均軸径は0.1μm以上10μm以下であり、カルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/gであり、
25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である、微細セルロース繊維の分散液。 - 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、102から10−1ωの範囲における、貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G’’とは、共に100Pa以上102Pa以下であり、かつG’はG’’より大きいことを特徴とする、請求項9に記載の、微細セルロース繊維の分散液。
- 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、かつ粘性応力の最大値は4.0Pa以上であることを特徴とする、請求項9または10に記載の、微細セルロース繊維の分散液。
- 前記微細セルロース繊維を固形分濃度1%含む分散体が有する、光路長1cmにおける、660nmの波長の光線透過率は、分散媒をリファレンスとして、80%以上であることを特徴とする、請求項9から11のいずれかに記載の、微細セルロース繊維の分散液。
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