JP6446834B2 - 複合体の製造方法、及び微細セルロース繊維の分散液 - Google Patents

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本発明は、金属微粒子と微細セルロース繊維とを含む複合体、及び金属微粒子との複合化に適した微細セルロース繊維に関する。
ナノサイズの粒子(以下微粒子という)は、バルクには見られない性質を有する。例えば、粒子が小さくなると粒子の総表面積が大きくなるため、触媒性能が高くなる。粒子がナノサイズになると融点が低下するため、低温で焼成することが可能となる。更に、粒子の大きさにより光学特性にも大きな変化が起こる。屈折率が小さい酸化物などは、可視光の波長領域の1/10以下のサイズになると散乱が非常に小さくなり、液体などに均一に分散させると透明になる。金属微粒子の場合は、粒子中の自由電子の集団振動が特定の波長と共鳴して吸収し、様々な色調が現れる。これらの特徴により、微粒子は光学フィルター、色材、触媒、抗菌剤等にも利用できる。
例えば、特許文献1では、有機配位子により安定化され、所定の原子数で金原子を有する金属クラスター化合物を担体上に複数担持させた後処理することにより、金原子を複数個集合させてなるクラスターを、担体上に担持させてなる粒子径が10nm以下の金属クラスター触媒を開示している。この金属クラスター触媒は、高い触媒活性と選択性をもって化学反応を促進、制御することができる。
一方、近年、化石資源の枯渇問題の解決を目指して、持続的に利用可能な環境調和型材料である天然高分子を用いた機能性材料の開発が盛んに行われている。しかし、特許文献1から3は、環境調和型材料について特筆していない。
例えば、生分解性を有する環境に優しい天然高分子材料としては、セルロース等の植物材料が知られている。植物や木材の主成分であるセルロースは、地球上に最も大量に蓄積された天然高分子材料がある。木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になって高結晶性でナノメートルオーダーの繊維径をもつ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成しており、さらに多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。
このセルロース繊維を、繊維径がナノメートルオーダーになるまで微細化(ナノファイバー化)して利用する方法が知られる。N−オキシル化合物を酸化触媒として、セルロースの水酸基の一部がカルボキシ基およびアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基に酸化された、最大繊維径1000nm以下かつ数平均繊維径が2〜150nmである、セルロースI型結晶構造を有する微細化されたセルロース(以下、微細セルロース繊維と称する)が知られる(例えば、特許文献2参照)。
近年、環境問題が注目される中、環境調和型材料の利用が求められている。また、環境負荷の観点から、低エネルギーで形状の制御されたナノサイズの粒子を製造することが求められている。
国際公開第2013/137323号 特開2008−1728号公報 国際公開第2010/095574号
また、特許文献3には微細セルロース繊維に金属微粒子を担持させた複合体およびその用途が開示されているが、金属ナノ粒子の形状の制御の可能性や、機能性色材や近赤外線吸収材料といった光学材料への適用可能性については、何ら開示も示唆もされていないのが実情であった。
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、機能性色材や近赤外線吸収材料といった光学材料への適用可能性を有する、新規な平板状金属微粒子と微細セルロース繊維との複合体を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、微細セルロース繊維を溶媒に分散させた分散液に、金属塩と還元剤を添加して、平板状金属微粒子を還元析出させるとともに、前記平板状金属微粒子と前記微細セルロース繊維との複合体を形成する、複合体形成工程と、を含み、25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であり、前記複合体が、前記微細セルロース繊維が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出していることを特徴とする、複合体の製造方法である。


25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、10から10−1ωの範囲における、貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G’’とは、G’>G’’を満たし、かつ共に10Pa以上10Pa以下であってもよい。
25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、かつ粘性応力の最大値は4.0Pa以上であってもよい。
作製される複合体において、前記平板状金属微粒子の粒子径dは、2nm以上1000nm以下であり、前記平板状金属微粒子の厚みhは、1以上100nm以下であり、アスペクト比d/hの平均は、2.0以上100以下であってもよい。
また本発明の一態様は、微細セルロース繊維が平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出している複合体を形成するための微細セルロース繊維分散液であって、微細セルロース繊維の、短軸の数平均軸径は1nm以上50nm以下であり、長軸の数平均軸径は0.1μm以上10μm以下であり、カルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/gであり、
25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である、微細セルロース繊維の分散液である。
本発明により、微細セルロース繊維のそれぞれが、少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が平板状金属微粒子の表面に露出する構成を有し、機能性色材や近赤外線吸収材料といった光学材料への適用可能性を有する、新規な平板状金属微粒子と微細セルロース繊維との複合体を提供することが出来る。
本発明を適用した一実施形態である複合体の一例を模式的に示す図である。 本発明の複合体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察結果を示しており、(a)はSEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の複合体を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSTEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の複合体を走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の複合体を、透過型電子顕微鏡(TEM)によって断面方向から観察した結果を示す図(TEM画像)である。 本発明を適用した一実施形態である複合体の製造方法の、工程の一部を説明するための模式図である。
(複合体)
先ず、本発明を適用した一実施形態である複合体について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の複合体1は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)11と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース12とが複合化された、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維との複合体であり、それぞれの微細セルロース繊維12について少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子11の表面に露出するように複合化されたものである。
より具体的には、図2、図3、図4に示すように、それぞれの微細セルロース繊維12は、平板状金属微粒子11の内部に取り込まれている部分12aと、平板状金属微粒子11の表面に露出している部分12bとから構成されている。そして、この取り込まれている部分3aの存在により、平板状金属微粒子11とそれぞれの微細セルロース繊維12とが不可分の状態となっている。即ち、平板状金属微粒子11と微細セルロース繊維12とは、微細セルロース繊維12の少なくとも一部分(すなわち、部分12a)が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれることにより、少なくとも一部同士が物理的に結合することにより、不可分の状態にあることが好ましい。
ここで、本実施形態の複合体1について、微細セルロース繊維12の少なくとも一部分(すなわち、部分12a)が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれる、とは、後述する製造方法においても説明するが、平板状金属微粒子11の成長段階において、金属微粒子ユニットの粒界に沿って、微細セルロース繊維が挟み込まれている状態と同義である。
また、本実施形態の複合体1において、「不可分」の状態とは、例えば、遠心分離機等の物理的方法によって、平板状金属微粒子11と微細セルロース繊維12とに分離することが不可能であることをいう。
なお、本実施形態の複合体1は、構成する全ての微細セルロース繊維3について、全部分(全体)が平板状金属微粒子11の内部に取り込まれており、平板状金属微粒子11の表面に露出している部分が存在しない構成についても、取り込まれている部分12aの存在を確認できる限り権利範囲に含むものとする。
複合体の観察は以下の方法で行うことができる。複合体を高速冷却遠心機等により精製し、シリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)を用いて垂直方向から観察することで、図2、図4のように平板状金属微粒子11と表面に露出した微細セルロース繊維12bを観察することができる。また、図3のように走査透過型電子顕微鏡にて観察することで、平板状金属微粒子11の内部に取り込まれた微細セルロース繊維12aを確認することができる。また、複合体をシリコンウェハ板上キャストし、非蒸着のまま走査型電子顕微鏡観察を行った後、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングを行い、金属と微細セルロース繊維による炭素の検出により複合化を確認できる。
本発明の複合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、一般的な湿式法である液相還元法で調製できる。金属表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。微細セルロース繊維が存在する場合、還元反応により生成した金属原子或いはクラスターと微細セルロース繊維が相互作用し、形状やサイズが制御される。
このような過程で生成した複合体は、前記微細セルロース繊維12のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子11の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子11の表面に露出する。本発明の複合体は、分散安定性の面から、前記金属微粒子と前記微細セルロース繊維とが不可分であることが好ましい。また、複合体は、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維とが複合化されていればよく、他の成分を含んでも構わない。検討を行う中、複合体の形態制御に適した微細セルロース繊維を見出した。微細セルロース繊維については後に説明する。
金属微粒子表面の自由電子は、光等の外部電場により集団的に振動を起こすことがある(表面プラズモン)。電子は電荷を持った粒子であるため、電子が振動を起こすと周囲に電場を発生する。金属微粒子では、自由電子の振動を起こすことにより生じる電場と外部電場が(光等)共鳴する現象が起きる(表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR))。この表面プラズモン共鳴により、特定の波長域の光の吸収が起こる。この光吸収波長域は、ロッド状であれば長軸/短軸のアスペクト比に依存し、平板状であれば長径/厚みのアスペクト比に依存する。アスペクト比が高いほど長波長領域に吸収を有するため、サイズや形状を制御することにより特定の波長を吸収することができる。本発明の複合体においても形状やサイズを制御することで、特定の波長領域に吸収を有し、光学フィルター、遮熱フィルム、色材等に応用できる。また、複合体を形成する金属微粒子の特性によって、触媒、抗菌剤等にも利用できる。
本実施形態において「平板状」とは、板状の粒子であり、表面13または裏面14の面積を円に相当した粒子径dとすると、粒子径dを粒子厚みhで割った平均アスペクト比(d/h)が2.0以上である粒子を意味する。尚、表面13、裏面14の形状は特に限定されないが、主に通常六角形や三角形等の多角形である。また、表面13(裏面14)、裏面14(裏面13)、表面13と裏面14は、どちらの面積が大きくもよく、両面は平行でなくてもよい。
光学特性を発揮するためには、平板状金属微粒子11の形状は以下の範囲であることが好ましい。
平板状金属微粒子11の粒子径dは、2nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは20以上500nm以下、20以上400nm以下が更に好ましい。
平板状金属微粒子11の粒子厚みh、すなわち表面13と裏面14の距離hは、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
アスペクト比d/hの平均は、2.0以上が好ましく、2.0以上100以下がより好ましく、2.0以上50以下が更に好ましい。
本発明の複合体は、直径dを任意に変化させ、粒子径d/厚みhのアスペクト比を制御することで、光学特性を制御できる。
特に、本発明の複合体は、500nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有するように制御しやすく、また遮熱フィルムや色材へ応用できる。そのため、本発明の複合体を含有する分散液は、500nm以上2500nm以下の波長領域が極小となる極小波長を有することが好ましい。
本開示に係る平板状金属微粒子の形状、サイズの評価は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡にて行うことができる。
平板状金属微粒子の粒子径及び厚みの測定方法、ならびにアスペクト比の算出方法としては、具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径の測定法
図3のように複合体を含む分散液をTEM観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾したのち、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子を、円で近似した際の径を平面方向の粒子径として算出する。
(2)厚みの測定法
図5のように複合体を含む分散液をPETフィルム上にキャストして風乾し包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状金属微粒子の厚みを平面方向の粒子径として算出する。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた粒子径dを粒子厚みhで割った値を、アスペクト比=d/hとして算出する。
なお、上述した測定方法および算出方法は一例であり、特にこれらに限定されるものではない。
(金属)
本発明の複合体に含有される金属種は、特に限定されず、目的に応じて選択することができる。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。特に、赤外線を遮蔽する目的では、少なくとも銀を含む1種類以上が好ましい。複合体中に含まれる金属の割合は特に限定されない。
金属微粒子の異方成長を促進し、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維との複合体を析出させるためには、還元析出処理時に用いられる金属の量が、微細セルロース繊維1gに対して0.0005mmol以上0.4mmol以下の範囲にあることが好ましく、0.001mmol以上0.2mmol以下の範囲にあることがさらに好ましく、0.002mmol以上0.1mmol以下の範囲にあることがとくに好ましい。
(微細セルロース繊維)
微細セルロース繊維12を用いることで、環境負荷が低く、また簡便な操作で、低エネルギー、低コストで形状やサイズが制御された複合体を製造することができる。また、本発明の複合体は、溶媒への分散性が良好である。
検討を行う中で、複合体の製造に用いる微細セルロース繊維12の特性によって、形状制御性能が変化することが判明した。複合体製造用微細セルロース繊維12は、以下の特徴を有するものとする。
前記複合体の製造に用いる微細セルロース繊維12は、0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であることを特徴とする複合体である。より好ましくは、0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに100mPa・s以上1000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに30mPa・s以上80mPa・s以下である。
微細セルロース繊維12の粘度特性が上記の範囲であると、複合体のサイズや形状を制御しやすい。複合体のサイズ・形状制御に用いる微細セルロース繊維12の形状制御能は、微細セルロース繊維12の短軸や長軸の径により影響を受ける。一般に、短軸や長軸の径を求める場合、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡により軸径を測定し、平均値を得る方法が知られる。しかし、上記の方法は煩雑な作業を必要とする。粘度特性は長軸径や短軸径の軸径を反映し、より簡便に評価できる。また、複合体のサイズ・形状は、微細セルロース繊維12の表面構造も影響を受けるが、粘度特性は微細セルロース繊維12の表面構造による影響も反映する。そのため、粘度特性を指標に、複合体の製造に適した微細セルロース繊維を評価することができる。
同様に、微細セルロース繊維1.0質量%分散液(25℃)を、10から10−1ωの範囲で評価できる。貯蔵弾性率をG’とし、損失弾性率をG’’とすると、G’>G’’であり、G’とG’’が共に10Pa以上10Pa以下であることが好ましい。更に、Large Amplitude Oscillatory Shear(LAOS)にて、微細セルロース繊維1.0質量%の分散液(25℃)の弾性応力(Elastic Stress)の最大値が0.5Pa以上、粘性応力(Viscous Stress)の最大値が4Pa以上であることが好ましい。
微細セルロース繊維の短軸の数平均短軸径が1nm以上50nm以下で、長軸の数平均長軸径は0.1μm以上10μm以下であり、好ましくは短軸の数平均短軸径は1nm以上10nm以下で、長軸の数平均長軸径は0.2μm以上2μm以下である。複合体の製造においては、短軸の数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細セルロース繊維構造をとることが出来ず、複合体の製造において、安定的に複合体のサイズや形状を制御するのが難しくなる。一方、50nmを超えると、粘度が高くなり操作性が悪くなり、低濃度条件で複合体を製造するため複合体の生産性が悪くなる。
微細セルロース繊維12の数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細セルロース繊維の数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
前記微細セルロース繊維12の結晶化度が70%以上であることが好ましい。結晶化度が70%未満であると剛直な微細セルロース繊維構造をとることができず、安定的に複合体を製造することができなくなる。
微細セルロース繊維12の原料として用いることが出来るセルロース原料は特に限定されず、例えば木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフを用いることができる。また、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロース、さらにはレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースを用いることもできる。
微細セルロース繊維12の微細化処理法も特に限定されないが、例えばグラインダーによる機械処理の他、TEMPOなどのN−オキシル化合物を用いた酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理などを機械処理と併用して微細化する方法が知られている。また、バクテリアセルロースも微細セルロース繊維として用いることが出来る。さらには各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させたのち、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロース繊維を用いても良い。
中でも、前記微細セルロース繊維12は、特許文献2記載のようなセルロース原料をN−オキシル化合物を用いた酸化反応により繊維表面にカルボキシ基が導入されていることが好ましい。TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位のC6位の一級水酸基が高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換される。このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有する微細セルロース繊維間には静電的な反発力が働くため、水性媒体中でミクロフィブリル単位(短軸径約3nm)にまで分散したCSNFを得ることができる。
複合体は、微細セルロース繊維の分散液中に、金属イオンを含有させ、更に還元析出させることで複合体を製造できる(液相還元法)。液相還元法で複合体を製造する場合、還元されて生成する金属原子またはクラスターと微細セルロース繊維が相互作用を及ぼすことで複合体が生成すると考えられる。そのため、サイズや形状を均一にするために、短軸径が均一であるCSNFは、複合体のサイズや形状の制御に好適である。
また、CSNFは、繊維表面に規則的にカルボキシ基を有する。このカルボキシ基は、液相還元法にて複合体を製造する際、金属イオンが配位して複合体生成の起点となると考えられるため、CSNFは複合体製造に好適である。
前記微細セルロース繊維中のカルボキシ基の含有量は、前記微細セルロース繊維の乾燥重量1g当たり0.1mmol以上3.0mmol以下の範囲内である。0.5mmol以上2.0mmol以下であることがより好ましい。カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると分散性が悪く、0.1mmol/g以上であると、カルボキシ基による静電反発により分散安定性が良好となる。3.0mmol/g以下であると、微細セルロース繊維の結晶構造が充分に保持され、形状制御性能が良好である。
セルロース繊維がミクロフィブリル単位まで分散すると、660nmの光線透過率が高くなる。前記微細セルロース繊維が、固形分濃度1%の分散体において、光路長1cm、波長が660nmの光線透過率が分散媒をリファレンスとして80%以上であることが好ましい。
(複合体の製造方法)
複合体の製造方法は、特に限定されないが、
(酸化工程)セルロース原料からN−オキシル化合物を用いて酸化セルロースを得る工程と、
(微細化工程)前記酸化工程を経た酸化セルロースを水性媒体中で微細化して微細セルロース繊維分散液を調製する工程と、
(複合体形成工程)微細化工程により得られた微細セルロース繊維分散液中に金属イオンを含有させ、還元により金属微粒子を成長させるとともに、金属微粒子と微細セルロース繊維とを複合化する工程と、を有する製造方法により複合体を製造することが好ましい。
この方法を用いることにより、長軸の数平均軸径、短軸の数平均軸径、カルボキシ基導入量、粘度特性を制御できる。このことにより、形状とサイズを容易に制御し、安定的に複合体を製造することができる。
(工程1;酸化工程)
微細セルロース繊維の原料としては、特に限定されず、木材セルロースを用いる場合には、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプなど、一般的に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプを用いる。広葉樹パルプを用いる場合は、ヘミセルロース含有量が16%未満であることが好ましい。ヘミセルロース含有量が16%未満である広葉樹パルプを用いることで、広葉樹パルプであっても0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である微細セルロース繊維を得ることができる。広葉樹パルプは、一般にヘミセルロースの多い部分と少ない部分が不均一に存在する。ヘミセルロースが少ない部分では、ミクロフィブリル同士が水素結合で強固に結合するため、酸化反応時にアルカリ条件下で反応性の低い二級水酸基も酸化されてカルボニル基が生じる。ヘミセルロース含有量が16%未満であると、アルカリ条件下でカルボニル基を起点としてβ脱離反応が起こり、セルロース繊維の長軸の数平均軸径が短くなり、低粘度化が起きる。
ヘミセルロース含有量は次のようにして測定できる。300mgの凍結乾燥したパルプを72質量%硫酸3mL中で室温下2時間反応した後、硫酸濃度が2.5質量%になるように希釈し、さらに105℃で1時間加熱し、加水分解反応によって単糖溶液を得る。当前記溶液を希釈し、イオンクロマトグラフィー(Dionex社製 DX−500、カラム:AS−7、溶離液:水、流速1.1mL/min)にて単糖を定量する。酸加水分解溶液に含まれるキシロースおよびマンノース量から、下式によってヘミセルロースを求めることができる。
ヘミセルロース含有量(質量%)=(キシロース量(mg)×0.88+マンノース量(mg)×0.9)/パルプ量(mg)×100(%)
また、セルロース原料をアルカリ条件下で保持するアルカリ処理を施すことが好ましい。セルロース原料をアルカリ条件下で保持することで、短繊維化、低粘度化された微細セルロース繊維を得ることができる。
セルロース原料をアルカリ条件下におくと、セルロース原料膨潤して水素結合が弱まり、セルロース分子間に空隙が形成され、酸化工程において酸化剤が浸透しやすくなり、セルロース原料の酸化が促進される。酸化時にカルボキシ基が精製して局所的にpHが低下するため、反応液中に次亜塩素酸ナトリウムから次亜塩素酸が発生する。発生した次亜塩素酸によりセルロースが酸化分解し、低分子化が起こる。この結果、微細セルロース繊維の分散液が低粘度化する。
アルカリ条件は、pH7.5からpH14.0のアルカリ条件下で保持することが好ましい。アルカリの種類は特に限定されず、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を用いるのが一般的である。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を用いる。アルカリ処理時のセルロース原料の固形分濃度は、処理温度、処理時間は、特に限定されない。アルカリ処理を施したセルロース原料は、中和または洗浄されることが好ましい。
N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。その中でも、TEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、セルロース原料を水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、前記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理の温度条件は特に限定しないが、セルロースの結晶構造が維持される範囲で行うことが好ましい。前記共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。前記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理するセルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
前記N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。前記化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。前記化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
前記酸化反応の反応温度は、4〜70℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。
4℃以下であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。70℃以上であると副反応が促進して試料の結晶表面の構造変化や低分子化が起こるため、金属微粒子と微細セルロース繊維とを含有する複合体の形状制御が難しくなる。前記酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、一般的に、0.1〜5時間程度である。
前記酸化反応時の反応系のpHは、pH9からpH12であることが好ましい。pHが9以上であると反応を効率よく進めることができる。pHが12を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。前記酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHをpH9からpH12に保つことが好ましい。反応系をpH9からpH12に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
前記N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは前記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
(工程2;微細化工程)
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前記と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、酸化セルロースや生成する微細セルロース繊維の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、前記酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて前記懸濁液に物理的解繊処理を施して、酸化セルロースを微細化する。物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中の酸化セルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有する微細セルロース繊維の分散液を得ることができる。
上記のようにして、カルボキシ基が導入された微細セルロース繊維の分散液が得られる。得られた分散液は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、金属微粒子を還元析出させる反応場として用いることができる。
前記微細セルロース繊維の分散液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。前記他の成分としては、特に限定されず、用途に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉等が挙げられる。
(低粘度化工程)
複合体の製造において、微細セルロース繊維は、表面構造を維持する範囲で低粘度化していることが好ましい。一般に、酸化工程における反応温度や反応時間、物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細セルロース繊維分散液に含まれる微細セルロース繊維のカルボキシ基導入量、数平均短軸径および数平均長軸径を制御でき、更には粘度特性を制御することができる。微細セルロース繊維の特性の制御は、これに限らず、公知の方法を用いることができる。
微細セルロース繊維を低粘度化すると、高濃度で用いることができ、複合体を生産性よく製造することができる。また、粘度特性がこの範囲であれば、結晶構造や表面構造を維持し、金属との複合化の起点となるカルボキシ基を規則的に有するため、安定的に形状の制御された複合体を製造できる。
また、得られる複合体の形状やサイズは、微細セルロース繊維の短軸や長軸の径により影響を受ける。一般に、短軸や長軸の径を求める場合、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡により軸径を測定し、平均値を得る方法が知られる。しかし、上記の方法は煩雑な作業を必要とする。粘度特性は長軸径や短軸径の軸径を反映し、より簡便に評価できる。
表面構造を維持する範囲で低粘度化された微細セルロース繊維を得る方法(低粘度化処理と呼ぶこととする)は、特に限定されないが、N−オキシル化合物により酸化されたセルロース、すなわち酸化セルロースに化学的処理または物理的処理を施した後、微細化することができる。
化学的処理、物理的処理のいずれの低粘度化処理工程も、微細セルロース繊維の表面構造を維持しながら微細セルロース繊維を低分子化することで、低粘度化された微細セルロース繊維を製造し、安定的に形状の制御された複合体を得ることができる。
化学的処理は、試薬や酵素を用い、化学反応を利用して繊維を分解し、低分子化するものである。特に限定されないが、酵素酸化処理や酸加水分解処理、アルカリ処理のうち少なくとも1種類以上であることが好ましい。
物理化学的処理は、例えば、マイクロ波照射処理、レーザー照射処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、ヒドロキシ(OH)ラジカル処理等が挙げられる。中でも、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、OHラジカル処理のうち少なくとも1種類以上であることが好ましい。
これらの方法を用いることで、0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である微細セルロース繊維を得ることができ、サイズや形状を良く制御された複合体を製造できる。
前記化学的処理及び物理的処理は、酸化工程の前、酸化工程と微細化工程の間、微細化工程の後に行ってもよく、酸化工程中、微細化工程中に行っても良い。
セルロース原料に酵素処理を行うことが好ましい。一般にセルロースは酵素により低分子化することが可能である。酵素の種類は特に限定されないが、セルラーゼを用いることが好ましい。セルラーゼの種類としては、セロビオハイドロラーゼ、グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ等が知られる。また、複数の酵素を用いても良い。
セルロース原料を含有する水分散液に、酵素を添加して一定時間保持し、必要に応じて攪拌することで、セルロースに酵素を吸着させて作用させる。酵素酸化処理により、繊維の加水分解が促進され、酸化セルロースの長軸が短くなり、低粘度化が起きる。酵素処理による加水分解反応の進行は、酵素の使用量、酵素処理温度、pH、反応時間により制御でき、結晶表面の構造が変化しない範囲で短繊維化することが好ましい。
酵素の使用量は、セルロース原料100質量%に対して0.00005〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%である。酵素の使用量が0.00005質量%未満であると加水分解反応が進行しにくい。また、20質量%を超えると加水分解の進行により、短繊維化と低粘度化が進み、また繊維の表面構造が変化し、複合体の形状・サイズ制御が困難になる。酵素処理温度は、酵素反応を進行させるために、4〜70℃であることが好ましく、より好ましくは10〜50℃である。酵素処理におけるpHは、酵素活性の進行が促進されるpH3.0〜12.0が好ましく、より好ましくはpH4.0〜10.0である。反応時間は0.5〜48時間であることが好ましい。
セルロース原料に酸加水分解処理を行うことが好ましい。セルロースは、酸による加水分解にて低分子化することができる。酸加水分解により繊維を低分子化することで、得られる微細セルロース繊維を低粘度化し、所望の粘度特性にすることができる。酸加水分解の条件は、繊維の非晶部分に作用し、繊維表面構造が崩れない範囲であればよく、特に限定されるものではない。酸加水分解に用いる酸も、公知の酸を用いることができる。例えば硫酸、塩酸、硝酸を用いることができる。
酸の添加量は、セルロース原料の絶乾質量に対して0.005〜5質量%であることが好ましい。酸の添加量が0.005質量%未満であるとセルロースの加水分解が進行しにくい。また、5質量%を超えると、過度の反応により、低粘度化進行し、また繊維表面の構造が崩れることがあり、金属微粒子と微細セルロース繊維とを含有する複合体の製造に適さない。酸加水分解反応の進行は、pH、温度、反応時間にて調節することができ、pHは1.5〜5.0で、温度は10〜120℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。酸加水分解処理後は、微細化工程の前に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して中和することが好ましい。
アルカリ性溶液中、好ましくはpH7.5からpH14の条件において加水分解を行うことで、繊維が短繊維化し、低粘度な微細セルロース繊維を得ることができる。
アルカリ処理におけるセルロース原料の固形分濃度は、0.1質量%から30質量%であることが好ましい。用いるアルカリは、特に限定されず、水溶性であることが好ましい。例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を用いるのが一般的である。中でも水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。アルカリ処理における低分子化の進行は、pH、温度、時間により制御できる。特に限定されないが、温度は30℃から150℃、時間は0.25時間から20時間程度であることが好ましい。
アルカリ処理では、助剤として酸化剤または還元剤を用いても良い。酸化剤、還元剤は特に限定しないが、酸化剤としては、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩等が挙げられる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、亜塩素酸等が挙げられる。
pH7.5からpH14のアルカリ性溶液中では、N−オキシル化合物を用いて酸化されたセルロース原料の非結晶領域にカルボキシ基が存在し、このカルボキシ基が存在するC6位の水素は、カルボキシ基に荷電が欠乏している。アルカリ条件下では水酸化物イオンで用意に引き抜かれ、β脱離によるグリコシド結合の開裂が進行する。このようにアルカリ条件下では酸化セルロースまたは微細セルロース繊維をアルカリ性条件におくことで短繊維化、低粘度化が起きる。酸化剤や還元剤を用いることで、β脱離の際に生成した二重結合を酸化、または還元して除去できるため着色を抑制できる。
電子線またはガンマー線を照射することにより、繊維を短繊維化し、得られる微細セルロース繊維を短繊維化することができる。一般に、有機化合物に電子線やガンマー線を照射すると、照射線量に応じて材料の改質や分解を促すことができる。電子線やガンマー線を照射すると、原子間の結合が切断され、ラジカルが発生する。発生したラジカルにより分子の切断が起こる場合や再結合による共有結合新たに形成する場合がある。セルロースなどの天然高分子の場合は、分解が優位に進行し、低分子化が起こるため、低粘度な微細セルロース繊維を得ることができる。
電子線照射やガンマー線照射にて処理する際、水を包含した有機化合物であると、その含水状態が分解挙動に及ぼす。電子線やガンマー線が照射された水がラジカルにより材料の分解が加速される場合がある一方、水の存在により電子線照射やガンマー線照射が遮蔽されて分解効率が低下する場合がある。セルロース原料の含水率は5%以上90%以下であることが好ましい。5%未満ではセルロース原料の凝集が強くなりすぎるため、その後の分散処理が困難になるなどの処理後のハンドリングが困難になる。90%より大きいと、電子線照射やガンマー線照射の遮蔽効果が大きくなり、セルロース原料の分解効率が低下する。
電子線の照射方法は特に限定されず、カーテン型、スキャン型、プラズマ放電型等、公知の方法を用いることができる。ガンマー線は、コバルト60を線源に用いることができる。照射量は、特に限定されないが、いずれも10kGy以上1000kGy以下が好ましい。10kGyより少ないと分解能力が不充分であり、1000kGyより大きい場合は1000kGyと同等の分解効率しか得られず、照射エネルギーが過剰となる。
ガンマー線は、物質の透過能力が非常に高いため、照射面は特に限定されず、いずれの面から照射しても構わない。電子線に関しては、加速電圧により物質の透過能力が異なり、加速電圧が高いほど電子線の物質中での透過能力が高くなる。水の場合、電子線の加速電圧が2MeVで8mm程度の透過能力がある。そのため、材料の形態によって電子線を照射する面を考慮する必要がある。加速電圧は0.1MeVから10MeVが好ましい。0.1MeVより低いと電子線透過能力が低いために電子線照射効果が材料表面近傍のみに限定されてしまう。一方、10MeVより高い加速電圧を持つ装置では設備の規模が大きくなり現実的ではない。
電子線またはガンマー線を処理する際のセルロース原料の形態としては、電子線またはガンマー線がセルロース原料を分解可能な状態において、処理の過程で被処理材料が包含する水が過剰に蒸発したり、セルロース原料を包装する包装材料が電子線またはガンマー線の照射により生成した分解物等によりセルロース原料に悪影響を及ぼさなければよく、特に限定されない。例えば、セルロース原料をアルミ箔で多い、電子線またはガンマー線により処理をすることが好ましい。電子線またはガンマー線を照射することにより、薬剤等を使用せずに高固形分濃度において処理ができ、煩雑な操作を必要としないため、生産性が高い方法である。
セルロース繊維に紫外線を照射して低粘度化することが出来る。 紫外線は、電磁波(光)の一種であり、一般に100nmから400nmの範囲の電磁波にたいしての総称である。電磁波の持つエネルギーはE=1/5.2・N・h・c/λ(kcal/mol)で表される。ここで、hはプランク定数(6.626×10−27erg・sec)、cは高速(2.998×1010cm/sec)、λは波長(cm)、Nはアボガドロ定数(6.02×1023/mol)である。紫外線、例えば172nm、185nm、254nmのように紫外線領域の光は大部分の化学結合エネルギーよりも大きく、結合を切断することができる。
大気中のOは、185nmの紫外線を吸収してオゾン(O)を生成し、生成したOは更に254nmの紫外線を吸収してOと反応して酸素元素ラジカル(活性酸素)を発生する。これらの活性酸素は強力な酸化力を持っており、有機化合物は切断されて励起状態となり、活性酸素と反応し、カルボニル基やカルボキシル基等の親水基を持った低分子化号物を生成し、COやHOのような揮発性物質を生成する。
また、185nmの紫外線を用いる方法で、紫外線を水に直接照射することで酸化力の高いOHラジカルを発生させてもよい。254nmの紫外線と酸化剤(Oや過酸化水素等)の反応によりOHラジカルを発生させ、セルロース原料を分解することもできる。
上記の理由により、紫外線を照射するとセルロース原料は低分子化し、得られる微細セルロース繊維が低分化する。紫外線照射条件は、特に限定するものではなく、得られる微細セルロース繊維の粘度特性が、0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下の範囲であり、表面構造を維持する範囲で照射すればよい。紫外線の波長は100〜400nmである。特に、130〜270nmの紫外線は、セルロース繊維の低分子化を引き起こすため、好ましい。
紫外線の線源としては、紫外線照射ランプ、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアークなどを用いることができる。低圧水銀ランプは185nmと254nmに2本の強力なスペクトルが放射されるため、好ましい。これらは、1種類を用いても良く、複数の線源を用いても構わない。ランプ形状は、直管型、U型、M型、正方型等があり、特に限定されない。また、紫外線照射の際に酸素濃度を低下させてもよく、そのために導入される不活性ガスとしては、窒素を用いることができる。
紫外線照射の方法は、特に限定されず、粘度特性が望ましい範囲にすることができるように調整することができる。紫外線照射は、紫外線照射時間や紫外線照射のエネルギー量、セルロース原料の含水率、空気や窒素等の不活性ガスを装置内へ導入する等により短繊維化、及び得られる微細セルロース繊維の粘度特性を制御することができる。紫外線照射は、酸素、オゾン、過酸化物等の助剤の存在下で行うことで光酸化効率を高められるため、好ましい。
紫外線照射にて処理する際、セルロース原料の含水率は5%以上90%以下であることが好ましい。5%未満ではセルロース原料の凝集が強くなりすぎるため、その後の分散処理が困難になるなどの処理後のハンドリングが困難になる。90%より大きいと、紫外線照射の遮蔽効果が大きくなり、セルロース原料の分解効率が低下する。紫外線照射の際のセルロース原料の温度やpHは特に限定されない。温度は15℃以上であれば光化学反応の効率が高まるため好ましい。また紫外線照射中に固形分濃度が変化しにくく、繊維表面の構造が崩壊しにくいため、80℃以下であることが好ましい。紫外線照射の際の容器は、特に限定されないが、紫外線を照射する際の容器は紫外線領域に吸収を有さないものが好ましい。
ヒドロキシ(OH)ラジカル処理はOHラジカルを公知の方法で発生させ、セルロース原料を低分子化する処理である。高い酸化分解ポテンシャルを持つOHラジカルにより有機化合物のC−C結合を切断できるため、セルロース原料を低分子化し、得られる微細セルロース繊維を低粘度化できる。
OHラジカルの生成方法は、特に限定されず、一般的にオゾン、過酸化水素、紫外線などの物理化学的な処理手法を併用するのが一般的である。例えば、Oを用いる方法や紫外線と酸化剤を併用する方法が知られる。特に、放電により直接OHラジカルを発生させるとOHラジカルの発生効率が高く、好ましい。
を用いる方法としては、放電によりOを発生させ、処理水中に溶解させた溶存OがH若しくは紫外線により分解される過程でOHラジカルを発生させる方法が一般的である。Oの発生方法としては、特に限定されないが、紫外線による方法、電解法、放射線照射法、放電により発生させる方法が用いられる。紫外線による方法では、大気中のOは185nmの紫外線を吸収してオゾン(O)を生成する。電解法は、一般に電解液として硫酸または塩酸の水溶液を使用し、電気分解によりオゾンを生成する方法である。また、放射線照射法は、放射線の電離作用によるもので、放射線の高エネルギー領域に空気を入れてオゾンが発生することを応用している。放電によりOを発生させる方法としては、無声放電方式、コロナ放電方式、またはいくつかの放電方式を組み合わせた複合放電方式が知られる。
紫外線を用いる方法としては、紫外線を酸化剤に照射してより酸化力の強いOHラジカルを発生させる方法が好ましい。特に限定されないが、酸化剤としてはHO、O、H、次亜塩素酸塩、光触媒を用いるのが一般的である。
放電によりOHラジカルを発生させる方法は、OHラジカルを発生していればよく、他のラジカル種を発生していても構わない。特に限定されないが、プラズマ放電やコロナ放電を用いるとOHラジカルの発生効率が高いため、好ましい。例えば、セルロース原料の分散液と、その上方に配置される中空円筒のピン電極、ピン電極に高電圧を印加させるための高電圧パルス電源で構成される。ピン電極に高電圧が印加されると電極最端部でコロナ放電が発生する。放電により内部で電子衝突による水(HO)分子や酸素分子(O)の解離反応が起こり、OHラジカルが生成する。OHラジカルはガス空間中を移動して処理水中に溶解し、水中のセルロース原料と反応して分解処理を行う。放電時の雰囲気は、特に限定されないが、一般にO、N、大気、またはそれらの混合物を用いることが出来る。
OHラジカル処理における処理度は、セルロース原料の固形分濃度、pH、温度、処理時間等により調節することができる。OHラジカル処理において、セルロース原料の含水率は5%以上であることが好ましい。5%未満ではセルロース原料の凝集が強くなりすぎるため、その後の分散処理が困難になるなどの処理後のハンドリングが困難になる。
OHラジカル処理におけるセルロース原料の温度は特に限定されないが、反応効率の面から10℃以上であることが好ましい。また、処理中の固形分濃度が変化しにくく、繊維表面の構造が崩壊しにくいため、80℃以下であることが好ましい。pHも特に限定されないが、pH2.0からpH12.0で行うことが好ましい。O発生量、酸化剤の添加量、紫外線の照射量等は特に限定されず、セルロース原料の低分子化の度合いや得られる微細セルロース繊維が所望の粘度特性となるようにする。反応を効率よく、均一に行うためには、攪拌機、温調、pHを調節することができるような装置を用いることが好ましい。
化学的処理または物理的処理は、酸化工程の前、或いは微細化工程の後、酸化工程、微細化工程中に行っても構わない。また、同じ処理を複数回、または異なる種類の処理を順次行ってもよく、複数の処理を同時に行っても構わない。
(工程3;複合体形成工程)
複合体の調製方法は、特に規定されるものではないが、一般的な湿式法である液相還元法で調製できる。金属表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。微細セルロース繊維の存在により金属微粒子の特徴が大きく変化する。
金属イオンと微細セルロース繊維の存在下で還元することにより、金属原子が生成し、核発生、成長を経て金属微粒子が生成する。この過程で金属微粒子と微細セルロース繊維繊維が相互作用し、金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼし、形状やサイズの制御された複合体が得られると考えられる。
例えば、球状の銀微粒子は通常400 nm付近に吸収を有するが、銀と微細セルロース繊維とを含有する複合体は、その異方性により、500nm以上の波長領域に吸収を有する。
複合体の形成は、例えば以下のように行うことができる。まず、金属イオンを含有する溶液(金属イオン含有溶液)を調液し、微細セルロース繊維分散液を攪拌しながら、前記金属イオン含有溶液を少しずつ添加することにより、微細セルロース繊維分散液と金属イオン含有溶液との混合溶液を得る。
次に、前記混合溶液中の金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細セルロース繊維とを複合化する。
ここで、図5は、本発明を適用した一実施形態である複合体の製造方法の、工程の一部を説明するための模式図である。
本実施形態の製造方法の複合体調製工程では、特に限定されないが、先ず、混合溶液中への還元剤の添加により、微細セルロース繊維12に設けたカルボキシ基を起点に金属の析出が開始する。そして、析出した金属は金属微粒子の一次粒子11aを形成する(図5中の左図を参照)。さらに反応が進むと、これらの一次粒子11a同士が凝集して、平板状の金属微粒子(すなわち、平板状金属微粒子)11を形成する。この際、微細セルロース繊維12の一部12aが巻き込まれるとともに残部12bが露出した状態で複合化する(図5中の右図を参照)。
以上の工程により、本実施形態の平板状金属微粒子11と微細セルロース繊維12との複合体1を得ることができる。
微細セルロース繊維の分散に用いる溶媒は、微細セルロース繊維が充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。環境への負荷の面から水を用いることが好ましい。微細セルロース繊維を用いる場合は、分散性の観点から水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒については特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましい。
複合体調製工程における微細セルロース繊維分散液のpH、温度は特に限定しない。微細セルロース分散液の濃度は特に限定しないが、0.1%以上50%未満が好ましい。0.1%未満では複合体の形状制御効果が不十分となり、50%以上では粘度が上昇し、均一な反応が難しくなる。微細セルロース繊維分散液に添加する金属イオンの濃度も限定しない。金属イオン濃度、微細セルロース繊維濃度は生成する複合体の光学特性に影響を与える。複合体の光学特性は、その形状により大きく変化する。複合体の具体的な作製法については実施例にて詳細を記した。
金属イオン含有溶液は、特に限定されないが、金属または合金、金属塩、金属酸化物、金属複酸化物などを水などの溶媒に溶解させて調液する。金属塩としては、例えば、硝酸銀、塩化銀、酸化銀、硫酸銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀等の銀塩、塩化金酸、塩化金ナトリウム、塩化金カリウム等の金塩、塩化白金、酸化白金等白金塩等が挙げられる。金属塩は単独で用いても良く、複数種を併用しても良い。
分散液中の金属イオン量は、特に限定されないが、微細セルロース繊維表面にカルボキシ基が存在する場合、カルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。分散液中の金属イオン量が微細セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうと微細セルロース繊維が凝集する場合がある。
金属イオンを還元させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、還元剤、紫外線、電子線等を用いることができる。金属イオンの還元に用いる還元剤は、公知の還元剤を用いることができる。例えば、金属ヒドリド系、ボロヒドリド系、ボラン系、シラン系、ヒドラジン及びヒドラジド系の還元剤が挙げられる。一般に、液相還元法では、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、ヒドラジン等が用いられる。還元剤の添加量は特に限定されないが、金属イオン濃度と同等以上となるように調整することが好ましい。混合溶液中の還元剤濃度が金属イオン濃度以下であると、未還元の金属イオンが混合溶液中に残存してしまうためである。
(複合体の利用方法)
得られた複合体の周りを、他の金属あるいは金属酸化物で被覆して、金属微粒子と微細セルロース繊維とを含有する複合体の安定性を向上させても良い。被覆に用いる金属種としては特に限定せず、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物が挙げられる。
複合体は、光学フィルター、遮熱フィルム、塗料、抗菌フィルム、パーソナルケア用品、化粧品、抗菌剤等に応用できる。用途によっては複合体を含む分散液から、複合体を分離しても構わない。特に限定されないが、例えば、コーティング液に分散させ、プラスチックフィルムやガラス等に塗工してコーティング層を形成することができる。また、複合体を成形材料と複合化しても構わない。
複合体を分画する方法としては、沈殿法、遠心分離、ゲル濾過カラム、ゲル電気泳動法等の公知の方法を用いることができる。複数の分画方法を組み合わせても良い。分画した複合体を再分散させる方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、攪拌型分散機、高速度回転せん断装置、ミル型分散装置(ボールミル、ビーズミル、コロイドミル等)、高圧噴射装置、超音波分散装置等の液中分散装置が挙げられる。分散剤を添加して分散化してもよい。
コーティング液の溶媒は、特に限定するものではないが、分散性の観点から水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒については特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましい。中でも、水、エタノールが好ましい。
コーティング層の形成方法は、常温乾燥コーティング、加熱硬化コーティング、電着コーティング等の公知の方法を用いることができる。
成形の方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、射出成形法、圧縮成形法、積層成形法、トランスファ成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形法、押出ラミネート、ブロー成形法、真空成形法、スプラッシュ成形法、低圧積層成形法が挙げられる。
複合体と成形材料の複合組成物や複合体を含有するコーティング層は、成形性の向上や劣化抑制、複合体の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
<実施例1>
(セルロース原料の分散液の調製)
セルロース原料として針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、セルロース原料の分散液を調製した。
(酸化工程)
蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を、セルロース原料の分散液に加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.00mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化セルロースを得た。
(微細化工程)
前記TEMPO酸化で得た酸化セルロース1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、微細セルロース繊維濃度1質量%の微細セルロース繊維水分散液を得た。前記微細セルロース繊維水分散液に含まれる微細セルロース繊維の数平均短軸径は4nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、前記微細セルロース繊維の分散液はチキソトロピック性を示した。
(複合体形成工程)
硝酸銀を蒸留水50mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水50mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。前記1%微細セルロース繊維水分散液50g対し、前記硝酸銀水溶液0.5gを室温(25℃)で攪拌しながら添加した。30分攪拌を続けたのち、硝酸銀水溶液を添加し、更に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して銀と微細セルロース繊維とを含有する複合体を製造した。
<実施例2>
実施例1のセルロース原料の分散液の調製において、針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水に懸濁し、攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0になるように調整し30℃にて1時間放置した。その後、酸で中和し、水洗した。次いで、実施例1と同様の条件でセルロース原料を酸化、微細化、複合体を形成し、複合体を製造した。
<実施例3>
実施例1において、酸化工程にて得られた酸化セルロースをアルミ箔で包み、電子線照射装置で加速電圧2MeV、照射線量50kGyの電子線を照射した後、実施例1と同様の条件で複合体を製造した。
<実施例4>
実施例1において、酸化工程の系内を温度30℃、pH12.0に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を製造した。
<実施例5>
実施例1において、酸化工程の系内の温度を40℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を製造した。
<実施例6>
実施例1のセルロース原料の調整において、針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、pH7.0、温度25℃に調整し、スクラーゼC(三菱化学フーズ株式会社製)を添加して2時間反応させた。その後、95℃に加熱して酵素を失活させ、温度を20℃に調整した。次いで、実施例1と同様の条件でセルロース原料を酸化、微細化し、複合体を製造した。
<実施例7>
実施例1において酸化工程にて得られた酸化セルロースを1質量%に調液し、pHが3.0になるように塩酸を加えて80℃で3時間酸加水分解処理を行った。酸加水分解処理を行った酸化セルロースを水洗し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した以外は実施例1と同様に複合体を製造した。
<実施例8>
実施例1において、酸化工程後の酸化セルロースを10質量%とし、キセノンランプで3.6kV、100回紫外線照射処理を施した以外は実施例1と同様に複合体を製造した。
<実施例9>
実施例1において、酸化工程後の酸化セルロースをpH7.0、1質量%に調製し、酸化セルロースに対して0.5質量%の過酸化水素を添加し、更に水酸化ナトリウムを添加してpHを11にて70℃にて3時間反応させた後、ろ過、水洗した。
<実施例10>
実施例1において、酸化工程後の酸化セルロースをpH7.0、1質量%に調製し、酸素雰囲気下にて10WでOHラジカルにて30分処理を行った。
<実施例11>
実施例1において、酸化工程にてセルロース原料の質量に対して、水酸化ナトリウムが1.50mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。
<比較例1>
実施例1において、酸化工程によって得られた酸化セルロースを1質量%に調液し、水酸化ナトリウムを添加してpH13とし、85℃で10時間加熱して、加水分解を行った後、水洗した以外は実施例1と同様に複合体を製造した。
<比較例2>
実施例1において、酸化工程にてセルロース原料の質量に対して、水酸化ナトリウムが6.00mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。
<比較例3>
実施例1において、酸化工程に系内の温度を60℃に保ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合体を製造した。
<比較例4>
実施例1において酸化工程にて得られた酸化セルロースを1質量%に調液し、pHが2.5になるように塩酸を加えて90℃で10時間酸加水分解処理を行った。酸加水分解処理を行った酸化セルロースを水洗し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した以外は実施例1と同様に複合体を製造した。
<評価方法>
実施例1〜11及び比較例1〜5で得られた酸化セルロース、微細セルロース繊維について、カルボキシル基量、分子量、分散液の光線透過率及びレオロジー測定、結晶化度評価、光線透過率測定を次のように行い、複合体を含有する分散液の透過率の極小値における波長(λmax)とλmaxにおける透過率の測定を以下のように行った。
[カルボキシ基量]
微細セルロース繊維のカルボキシ基量は、分散処理前の酸化セルロースを用いて、含有されるカルボキシ基量は以下の方法にて算出した。セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー株式会社、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
〔微細セルロース繊維の数平均長軸径の算出〕
原子間力顕微鏡を用いて微細セルロース繊維の数平均短軸長を算出した。まず微細セルロース繊維の分散液を0.001%となるように希釈したのち、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。乾燥後に原子間力顕微鏡(AFM5400L、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、DFMモードで微細セルロース繊維の形状を観察した。微細セルロース繊維の数平均短軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
〔結晶化度の算出〕
TEMPO酸化パルプの結晶化度を算出した。測定には試料水平型多目的X線回折装置(UltimaIII、株式会社リガク製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。本発明において得られるX線回折パターンは全てセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、以下に示す手法によって結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
[微細セルロース繊維の光線透過率]
微細セルロース繊維の分散液について、光線透過率を測定した。石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長660nmの光透過率を分光光度計(日本分光株式会社製、NRS−1000)にて測定した。
[微細セルロース繊維の粘度特性]
(粘度特性1)
レオメーターAR2000ex(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度特性1を測定した。微細セルロース繊維0.5質量%の分散液を用い、傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s−1から100s−1について連続的にせん断粘度を測定し、1s−1及び100s−1のときの値を求めた。
(粘度特性2)
レオメーターARES−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度測定2を測定した。微細セルロース繊維1.0質量%分散液(25℃)を、角周波数ωが10−1から10の範囲において、連続的に貯蔵弾性率をG’と損失弾性率をG’’を測定した。G’>G’’であり、G’とG’’が共に10Pa以上10Pa以下である場合を『○』、この範囲でない場合を『×』とした。
(粘度特性3)
更に、レオメーターARES−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて粘度測定2を測定した。Large Amplitude Oscillatory Shear(LAOS)にて、微細セルロース繊維1.0質量%の分散液(25℃)の弾性応力と粘性応力を測定した。弾性応力の最大値が0.5Pa以上、且つ粘性応力の最大値が4Pa以上である場合を『○』、この範囲でない場合を『×』とした。
[複合体の観察]
複合体調製工程を経た分散液を、高速冷却遠心機にて75,600g(30分×5セット)の条件で遠心し、複合体を精製・分画した。前記精製済み複合体を含む分散液をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−4800)を用いて垂直方向から観察することで、複合化を確認した。複合体が観察された場合を『○』、観察されなかった場合を『×』とした。
[複合体によるλmaxと光線透過率]
分散処理した微細セルロース繊維の分散液について、光線透過率を測定した。石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1400nmまでの光透過率を分光光度計(日本分光株式会社製、NRS−1000)にて測定した。得られた光線透過率から、複合体由来の吸収により、500nm以上で光線透過率が極小となった波長(λmax)を得た。また、λmaxにおける透過率を得、λmaxにおける透過率が70%以下である場合を『○』とし、70%より高い場合に『×』とした。
表1および表2に示すように、実施例1から実施例11で得られた微細セルロース繊維は、結晶化度が高く、0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であった。一方、比較例1から比較例4で得られた微細セルロース繊維の粘度特性はこの範囲にならなかった。更に、実施例1から実施例11では、得られた微細セルロース繊維を用いて複合体を製造でき、透過率が低下する極小波長(λmax)を得ることができた。一方、比較例1から比較例4では複合体が製造できず、複合体由来のλmaxを得られなかった。
本発明を用いれば、環境調和型材料を用い、低エネルギーで形状の制御された複合体を製造することができる。この複合体は、そのプラズモン共鳴現象を利用し、サイズや形状を制御して、遮熱フィルムや光学フィルター、色材等に応用が可能である。また、複合化する金属種によっては触媒や抗菌剤としても利用することができる。
1 複合体
11 金属微粒子(銀微粒子)
11a 金属微粒子の一次粒子
12 微細セルロース繊維(CSNF)
12a 金属微粒子の内部に取り込まれている部分
12b 金属微粒子表面に露出している部分
13 表面
14 裏面
15 側面
16 PET層
17 包埋樹脂層
d 粒子径
h 厚み

Claims (12)

  1. 微細セルロース繊維を溶媒に分散させた分散液に、金属塩と還元剤を添加して、平板状金属微粒子を還元析出させるとともに、前記平板状金属微粒子と前記微細セルロース繊維との複合体を形成する、複合体形成工程と、
    を含み、
    25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であり、
    前記複合体が、前記微細セルロース繊維が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出していることを特徴とする、複合体の製造方法。
  2. 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、10から10−1ωの範囲における、貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G’’とは、G’>G’’を満たし、かつ共に10Pa以上10Pa以下であることを特徴とする、請求項1に記載の、複合体の製造方法。
  3. 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、かつ粘性応力の最大値は4.0Pa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、複合体の製造方法。
  4. 前記微細セルロース繊維は、前記微細セルロース繊維を固形分濃度1%含む分散体において、光路長1cmにおける、660nmの波長の光線透過率は、分散媒をリファレンスとして、80%以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
  5. 前記微細セルロース繊維に、低粘度化処理を施す、低粘度化工程をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
  6. 前記低粘度化処理が、酵素酸化処理、酸加水分解処理、アルカリ処理、マイクロ波照射処理、レーザー照射処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、ガンマー線照射処理、ヒドロキシラジカル処理のいずれかを少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項5に記載の、複合体の製造方法。
  7. 前記平板状金属微粒子の粒子径dは、2nm以上1000nm以下であり、
    前記平板状金属微粒子の厚みhは、1nm以上100nm以下であり、
    アスペクト比d/hの平均は、2.0以上100以下である
    ことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
  8. 前記平板状金属微粒子は、少なくとも銀を含む1種類以上の金属またはそれらの化合物を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の、複合体の製造方法。
  9. 微細セルロース繊維が平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、前記微細セルロース繊維の残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出している複合体を形成するための微細セルロース繊維分散液であって、微細セルロース繊維の、短軸の数平均軸径は1nm以上50nm以下であり、長軸の数平均軸径は0.1μm以上10μm以下であり、カルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/gであり、
    25℃における、前記微細セルロース繊維を0.5質量%含む分散液の粘度は、せん断速度が1s−1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下であり、せん断速度が100s−1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下である、微細セルロース繊維の分散液。
  10. 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、10から10−1ωの範囲における、貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G’’とは、共に10Pa以上10Pa以下であり、かつG’はG’’より大きいことを特徴とする、請求項9に記載の、微細セルロース繊維の分散液。
  11. 25℃における、前記微細セルロース繊維を1.0質量%含む分散液が有する、弾性応力の最大値は0.5Pa以上であり、かつ粘性応力の最大値は4.0Pa以上であることを特徴とする、請求項9または10に記載の、微細セルロース繊維の分散液。
  12. 前記微細セルロース繊維を固形分濃度1%含む分散体が有する、光路長1cmにおける、660nmの波長の光線透過率は、分散媒をリファレンスとして、80%以上であることを特徴とする、請求項9から11のいずれかに記載の、微細セルロース繊維の分散液。
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