JP6260451B2 - 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム - Google Patents

多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP6260451B2
JP6260451B2 JP2014105504A JP2014105504A JP6260451B2 JP 6260451 B2 JP6260451 B2 JP 6260451B2 JP 2014105504 A JP2014105504 A JP 2014105504A JP 2014105504 A JP2014105504 A JP 2014105504A JP 6260451 B2 JP6260451 B2 JP 6260451B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous body
fine particles
cellulose fiber
composite
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014105504A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015218421A (ja
Inventor
拓也 磯貝
拓也 磯貝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2014105504A priority Critical patent/JP6260451B2/ja
Publication of JP2015218421A publication Critical patent/JP2015218421A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6260451B2 publication Critical patent/JP6260451B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、近赤外線遮蔽材料を包含した多孔質体とその製造方法ならびに遮熱フィルムに関する。
近年、省エネルギーへの関心は高まっており、様々な分野で注目を浴びている。日本の住宅やビルにおいては、冷暖房によるエネルギー消費量が高い。特に、窓ガラスからの太陽光入射により室内が暖められて冷房エネルギーが上昇し、夏季の電力需要ピークの増大から電力不足に繋がるため問題となっている。
冷房によるエネルギー消費量を抑える方法として、近赤外線遮蔽フィルムが知られている。太陽光は、紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域の3つに分類でき、さらに赤外線領域は近赤外線領域、中赤外線領域、遠赤外線領域に分けられる。このうち近赤外線領域は熱線とも呼ばれ、あらゆる物質に吸収されやすい波長領域であり、吸収された光は熱へと変わる。そのため、近赤外線遮蔽フィルムを窓に施工することで直射日光のうち近赤外線を選択的に遮蔽し、室内の温度上昇を抑制することができる。このことにより、冷暖房費の削減に繋がり、省エネルギー効果が得られる。
なお、本明細書において近赤外線遮蔽フィルムは可視光線を遮蔽しないことが望ましい。例えば近赤外線と同時に可視光線も遮蔽してしまうと、意匠性あるいは視認性を損なってしまう。
また、本明細書において、近赤外線とは赤外線の中でも可視光に近い波長領域(およそ700nmから2500nm)の電磁波を指すものとする。この近赤外線は可視光に近い性質を有しており、特に太陽光に含まれる波長領域物700nmから1200nm付近の光は、物体表面に吸収され熱エネルギーに変換されやすいことが知られている。
例えば、特許文献1には、互いに屈折率の異なる高屈折材料と低屈折材料とをそれぞれ含む、高屈折層と低屈折層とを積層してなるユニットを少なくとも1つ有する近赤外線遮蔽フィルムが開示されている。しかしながらこの方法では、赤外線遮蔽のために複数の層を積層する必要があり、生産性が低い。
近赤外線遮蔽材料としては平板状銀ナノ粒子も注目を集めている。一般的に、粒子径が数nm〜数十nmの球状銀ナノ粒子は、表面局在プラズモン共鳴により、波長400nm付近に吸収を持つため、黄色味を呈することが知られている。一方、異方性銀ナノ粒子は共振ピークが変化するため、例えば、平板状の銀ナノ粒子は、吸収ピークがレッドシフトすることが知られている。この際、平板状銀ナノ粒子のアスペクト比(すなわち、粒子径/粒子厚み)が大きくなるほど、吸収ピークがより長波側にシフトすることが確認されている。すなわち、平板状銀ナノ粒子は、任意の波長を吸収する光学材料として用いることができ、平板状銀ナノ粒子のアスペクト比によっては、可視光領域外の近赤外線領域にまで吸収ピークをシフトさせることもできるため、近赤外線遮蔽材料としても応用可能である。
前記平板状銀ナノ粒子については、これまでに数々の合成方法が提案されている。汎用的に用いられる方法としては、ポリオール法が挙げられる。ポリオール法とは、高分子キャッピング剤の元で金属塩と共にポリオールの一種であるエチレングリコールを140〜160℃まで加熱し、生成するグリコールアルデヒドの還元力によって金属微粒子を合成する方法である。この際、還元条件や適切な高分子キャッピング剤を選定することで銀ナノ粒子の異方成長を誘導することができるため、様々な形状を有する銀ナノ粒子を得られることが報告されている。例えば、特許文献2には、ポリオール法を用いた板状銀ナノ粒子の製造例が開示されている。
また、特許文献3には近赤外線遮蔽フィルタとして、実際に平板状銀微粒子を用いたフィルタが開示されている。本開示例においては近赤外線遮蔽層を多層構造とする必要がなく、特許文献1において問題であった生産性の問題は改善されている。
一方、近年、化石資源の枯渇問題の解決を目指して、持続的に利用可能な環境調和型材料であるバイオマスを用いた機能性材料の開発が盛んに行われている。その中でも、木材の主成分であるセルロースは、地球上で最も大量に蓄積された天然高分子材料であることから、資源循環型社会への移行に向けたキーマテリアルとして期待が寄せられている。木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になって、高結晶性でナノメートルオーダーの繊維径をもつ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成しており、さらに多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。このように、安定な構造を有することから、木材に含まれる天然のセルロースは、特殊な溶媒以外には不溶であり、成形性にも乏しく、機能性材料としては扱いにくい面があった。そこで、木材中のセルロース繊維を、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化して利用しようとする試みが活発に行われている。
セルロースの微細化のための優れた手法として特許文献4に示されるように比較的安定なN−オキシル化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化したのち軽微な機械解繊を行う方法が報告されている。TEMPO酸化反応は水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能で、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
このように、結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の静電的な反発により、水溶媒中でセルロースをミクロフィブリル単位に分散可能となり、ナノサイズオーダーの微細化セルロース繊維が得られる。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来の微細化セルロース繊維は、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm〜数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および積層体は高い透明性を有することが報告されている。
また、特許文献5には、微細化セルロース繊維と金属微粒子との複合体として、金属ナノ粒子が微細化セルロース繊維に担持された複合体(金属ナノ粒子担持微細化セルロース繊維)が開示されている。この特許文献5には、金属ナノ粒子担持微細化セルロース繊維を触媒として用いる例が開示されている。
国際公開第2013/077274号 特開2009−144188号公報 特開2007−108536号公報 特開2008−007646号公報 国際公開2010/095574号
しかしながら、特許文献2に記載のポリオール法を用いて平板状銀ナノ粒子を製造するには、有機溶媒系で高温の反応を必要とし、反応時間も長いことから環境への負荷が大きくなってしまうという問題があった。
また、特許文献3に記載の近赤外線遮蔽フィルタを窓貼り用遮熱フィルムとして太陽光の遮熱に使用すると、この赤外線吸収フィルタ自体が暖まることになり、その熱で室温が上昇してしまう恐れがある。
また、特許文献5には微細化セルロース繊維と金属微粒子との複合体およびその用途が開示されているが、金属ナノ粒子の形状の制御の可能性や、近赤外線遮蔽材料といった光学材料への適用可能性については、何ら開示も示唆もされていないのが実情であった。
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、近赤外遮蔽材料へ適用ができる、新規な平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体より形成される多孔質体を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、前記多孔質体または遮熱フィルムを、環境への負荷が低く、簡便な方法で提供することを課題とする。
本願発明者がカーボンニュートラル材料である微細化セルロース繊維を用いて様々な有機無機ハイブリッドの創出を試みたところ、驚くべきことに、特定の条件において微細化セルロース繊維の分散液中で銀を還元析出させることにより、平板状銀微粒子と微細化セルロース繊維との複合体が得られること、そして、得られた複合体の平板状銀微粒子と微細化セルロース繊維とが不可分の状態にあることを新たに見出した。また、該複合体を含む分散液から分散媒を除去することによって該複合体を包含した多孔質体(あるいはエアロゲル)を作製することに成功し、本発明を完成させた。
後で修正します。
本発明の一態様は、微細化セルロース繊維と平板状金属微粒子との複合体を含み、微細化セルロース繊維のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、微細化セルロース繊維は多孔質状に配置されていることを特徴とする、多孔質体である。
また、本発明の一態様は、微細化セルロース繊維を調製する工程と、微細化セルロース繊維を溶媒中に分散させて微細化セルロース繊維分散液を得る工程と、微細化セルロース繊維分散液と、金属イオンを含有する溶液と、を混合して混合溶液を得る工程と、混合溶液中の前記金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を形成する工程と、複合体および微細化セルロース繊維を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程と、を含むことを特徴とする、多孔質体の製造方法である。
本発明の一態様は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に本発明の一態様の多孔質体を含むコーティング層を設けたことを特徴とする、遮熱フィルムである。
本発明の多孔質体は、微細化セルロース繊維のそれぞれが、少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が平板状金属微粒子の表面に露出する構成を有する有機無機複合体を包含しており、断熱性を併せ持つ近赤外線遮蔽材料として遮熱フィルムへ適用できる、新規な多孔質体である。
本発明の多孔質体の製造方法は、混合溶液中の金属イオンを還元して、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維とを複合化したのち、微細化セルロース繊維間の空隙を維持しながら分散媒を除去する工程を有しているため、上記多孔質体を環境への負荷が低く、簡便に提供することができる。
本発明を適用した一実施形態である多孔質体を示す模式図である。 本発明を適用した多孔質体に包含される複合体の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明を適用した多孔質体に包含される複合体の製造方法の、工程の一部を説明するための模式図である。 本発明に係る遮熱フィルムの一実施形態の断面図である。 実施例1で得られた多孔質体に包含される複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果を示しており、(a)はSEM画像であり、(b)は、(a)の模式図である。 実施例1で得られた多孔質体に包含される複合体を、透過型電子顕微鏡(TEM)によって断面方向から観察した結果を示す図(TEM画像)である。 実施例1で得られた多孔質体に包含される複合体の走査透過型電子顕微鏡(STEM)による観察結果を示しており、(a)はSTEM画像であり、(b)は、(a)の拡大図である。 実施例1で得られた多孔質体に包含される複合体を含む分散液の分光透過スペクトルである。
以下、本発明を適用した一実施形態である多孔質体について、その製造方法及びこの多孔質体を含む遮熱フィルムとあわせて、図面を用いて詳細に説明する。特に、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維の複合体を包含する多孔質体について説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<多孔質体>
先ず、本発明を適用した一実施形態である多孔質体について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である多孔質体の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の多孔質体は、微細化セルロース繊維の間隙が維持されたまま溶媒が除去されており、ナノサイズレベルの空隙を有する多孔質体の構造を有している。さらに該多孔質体中には平板状金属微粒子が包含されており、例えば近赤外線領域に吸収を有する平板状銀微粒子の場合、該多孔質体は多孔質体構造に由来する断熱性と平板状金属微粒子構造に由来する熱線遮蔽性を併せ持つ。多孔質体は、窒素吸着BET法により測定される表面積が50m/g以上であることが、熱線遮蔽性の点から好ましい。なお、本多孔質体の形成する主体である微細化セルロース繊維は平板状金属微粒子と複合体を形成しており、両者は不可分である。微細化セルロース繊維も含め、詳細については、以下<複合体>の項にて記述する。
<複合体>
さらに、前記多孔質体に包含される複合体について説明する。
図2は、本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態の複合体1は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)2と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース(微細化セルロース繊維)3とが複合化された、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体であり、それぞれの微細化セルロース繊維3について少なくとも一部(一部分)又は全部が平板状金属微粒子2の内部に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子2の表面に露出するように複合化されたものである。
より具体的には、図2に示すように、それぞれの微細化セルロース繊維3は、平板状金属微粒子2の内部に取り込まれている部分3aと、平板状金属微粒子2の表面に露出している部分3bとから構成されている。そして、この取り込まれている部分3aの存在により、平板状金属微粒子2とそれぞれの微細化セルロース繊維3とが不可分の状態となっている。即ち、平板状金属微粒子2と微細化セルロース繊維3とは、微細化セルロース繊維3の少なくとも一部分(すなわち、部分3a)が平板状金属微粒子2の内部に取り込まれることにより、少なくとも一部同士が物理的に結合して、不可分の状態にある。
ここで、複合体1について、微細化セルロース繊維3の少なくとも一部分(すなわち、部分3a)が平板状金属微粒子2の内部に取り込まれる、とは、後述する製造方法においても説明するが、平板状金属微粒子2の成長段階において、金属微粒子ユニットの粒界に沿って、微細化セルロース繊維が挟み込まれている状態と同義である。
また、複合体1において、「不可分」の状態とは、例えば、遠心分離機等の物理的方法によって、平板状金属微粒子2と微細化セルロース繊維3とに分離することが不可能であることをいう。
なお、複合体1は、構成する全ての微細化セルロース3について、全部分(全体)が平板状金属微粒子2の内部に取り込まれており、平板状金属微粒子2の表面に露出している部分が存在しない構成についても、取り込まれている部分3aの存在を確認できる限り権利範囲に含むものとする。
平板状金属微粒子2を構成する金属種としては銀が好ましい。平板状微粒子を形成した際に、可視光から近赤外線領域に掛けて表面局在プラズモン現象由来の共振ピークを有する点で有利だからである。しかし、特にこれに限定されるものではない。具体的には、金属種としては複数の金属種を用いても良く、銀以外の金属種としては特に限定しないが、例えば、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、金、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。
なお、本実施形態において「平板状」とは、三角形、六角形、五角形等の形状をした板状の粒子であり、粒子径を粒子厚みで割った平均アスペクト比(粒子径/粒子厚み)が2.0以上である粒子を意味する。
平板状金属微粒子2の粒子径は、20〜500nmが好ましく、20〜400nmがより好ましい。
平板状金属微粒子2の粒子厚みは、(5)〜(100)nmが好ましく、(8)〜(*50)nmがより好ましい。
平均アスペクト比(粒子径/粒子厚み)は、2.0以上が好ましく、2.0〜100がより好ましく、2.0〜50が更に好ましい。この範囲であれば、可視光から赤外光領域の所望の範囲に表面局在プラズモン由来の共振ピークを持たせることが容易である。
ここで、平板状金属微粒子の粒子径及び厚みの測定方法、ならびにアスペクト比の算出方法としては、具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径の測定法
複合体を含む分散液をTEM観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾したのち、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状銀ナノ粒子を、円で近似した際の径を平面方向の粒子径として算出する。
(2)厚みの測定法
複合体を含む分散液をPETフィルム上にキャストして風乾し包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状銀ナノ粒子の厚みを平面方向の粒子径として算出する。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた粒子径をaとし、粒子厚みをbとした際に、粒子径aを粒子厚みbで割った値を、アスペクト比=a/bとして算出する。
なお、上述した測定方法および算出方法は一例であり、特にこれらに限定されるものではない。
微細化セルロース繊維3としては、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。具体的には、微細化セルロース繊維3としては、数平均短軸径が1nm以上100nm以下、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の10倍以上であることが好ましい。また、微細化セルロース繊維3の結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。
また、本実施形態の複合体1は、微細化セルロース繊維3が結晶表面にカルボキシ基を有しており、当該カルボキシ基の含有量が、セルロース1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態で用いられる複合体1は、1種類以上の金属またはそれらの化合物からなる平板状金属微粒子2と微細化されたセルロース繊維3との複合体であって、平板状金属微粒子2と微細化セルロース繊維3とが物理的に結合して不可分の状態にあることを特徴とする。そのため、本発明において開示された多孔質体は該複合体を包含するため、カーボンニュートラルな、新規な有機無機ハイブリッド多孔質体である。
<多孔質体の製造方法>
次に、上述した本実施形態の多孔質体の製造方法について説明する。本実施形態の多孔質体の製造方法は、微細化されたセルロース繊維と金属イオンとを含む混合分散液中で、金属を還元析出させて金属結晶を生成するとともに、異方性をもってこの金属結晶を成長させて平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を得たのち、微細化セルロース繊維間の空隙を維持しながら分散媒を除去する方法である。
より具体的には、本実施形態の多孔質体の製造方法は、酸化セルロースを調製する工程(第1工程)と、酸化セルロースを溶媒中に分散させて微細化セルロース分散液を得る工程(第2工程)と、微細化セルロース分散液と、金属イオンを含有する溶液と、を混合して混合溶液を得る工程(第3工程)と、混合溶液中の金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細化セルロースとを複合化する工程(第4工程)と、前記複合体を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程(第5工程)と、を含んで概略構成されている。以下に、各工程について、詳細に説明する。
(第1工程;酸化セルロース繊維調製工程)
先ず、第1工程では、本実施形態の多孔質体を構成するための微細化セルロース繊維を調製する。この第1工程は、繊維状の微細化セルロース繊維を調製する工程と、微細化セルロース繊維の結晶表面にカルボキシ基を導入する工程と、を含んでいる。
「微細化セルロース繊維を調製する工程」
本実施形態の多孔質体の製造方法に用いる微細化セルロース繊維としては、以下に示す範囲にある繊維形状の物が好ましい。また、微細化セルロース繊維は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上100nm以下であればよく、好ましくは2nm以上50nm以下であればよい。ここで、数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造をとることが出来ず、多孔質体を形成することができない。一方、100nmを超えると、金属微粒子に対してサイズが大きくなり過ぎるため、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の形状を取ることができない。また、数平均長軸径においては特に制限はないが、好ましくは数平均短軸径の10倍以上であればよい。数平均長軸径が数平均短軸径の10倍未満であると、多孔質体を形成することができない。
微細化セルロース繊維の数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロース繊維の数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロース繊維の原料として用いることが出来るセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることが出来る。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。
セルロースの微細化方法もとくに限定されないが、前述のグラインダーによる機械処理、TEMPO酸化処理等による化学処理の他、希酸加水分解処理や酵素処理などを用いても良い。また、バクテリアセルロースも微細化セルロース繊維として用いることが出来る。さらには各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させたのち、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロース繊維を用いても良い。
セルロースの微細化方法として、上述した特許文献4に記載の方法に従い、各種セルロースをTEMPO触媒酸化したのち軽微な機械処理にて微細化し、得られる微細化セルロース繊維と金属とを複合化した場合、微細化セルロース繊維の短軸径が3nm程度とカーボンナノチューブ並みに極細であることから、分散液およびそれを用いた多孔質体の高透明性をも達成することができる。その場合、例えば、断熱材や遮熱材といった機能性部材として好適に用いることが可能である。また、TEMPO酸化によって作製された微細化セルロース繊維は金属微粒子の異方成長を均質に、かつ再現性良く達成する。この理由としては、詳細なメカニズムは不明ではあるが、短軸径が3nm程度で揃っており、金属イオンと相互作用するカルボキシ基を有し、且つこのカルボキシ基が微細化セルロース繊維結晶表面に等間隔に固定化された構造が原因ではないかと推察される。すなわち、前述の形状制御能および透明性の観点から、本実施形態で用いる微細化セルロース繊維としてはカルボキシ基が導入された微細化セルロース繊維が好ましく、価格および供給の面から木材をTEMPO酸化することで得られる微細化セルロース繊維がより好ましい。
以下、木材由来の微細化セルロース繊維をTEMPO酸化によって製造する方法について説明する。
本実施形態で用いられる木材由来の微細化セルロース繊維は、木材由来のセルロースを酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、微細化セルロース繊維に導入するカルボキシ基の含有量としては、微細化セルロース繊維の乾燥重量を基準として(以下の記載においても同様である)、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に静電的な反発が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることは難しい。また、5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造をとることが出来ず、多孔質体を形成することができない。
「セルロースにカルボキシ基を導入する工程」
木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙
パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いること
ができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
木材由来のセルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行っても良い。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入しても良い。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷の問題からTEMPO酸化がより好ましい。
ここで、N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。その中でも、TEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しつつもカルボキシ基を導入しやすい。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。前記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
また、N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。80℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化して高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造が崩壊し、多孔質体を形成できない。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分〜5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは、9〜11が好ましい。pHが9以上であると反応を効率よく進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは前記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロース繊維の回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロース繊維の洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
(第2工程;分散液調整工程)
次に、第2工程では、上記第1工程で調製した酸化セルロースを溶媒中に分散させて微細化セルロース分散液を得る。
微細化セルロース繊維分散液を調製する方法としては、まず、酸化セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。具体的には、木材由来の微細化セルロース繊維の分散に用いる溶媒は、50%以上の水を含み、水以外の溶媒としては親水性溶媒が好ましい。水の割合が50%以下になると木材由来の微細化セルロース繊維の分散が阻害され、金属微粒子と木材由来の微細化セルロース繊維の均一な複合体形成が難しくなる。親水性溶媒については特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロース繊維の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、上述したアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて、得られた懸濁液に物理的解繊処理を施して、酸化セルロースを微細化する。物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を、例えば、上述したTEMPO酸化セルロースに行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有する微細化セルロース繊維の分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細化セルロース繊維分散液に含まれる微細化セルロース繊維の数平均短軸径および数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、カルボキシ基が導入された微細化セルロース繊維分散体(微細化セルロース繊維分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、金属微粒子を還元析出させる反応場として用いることができる。
また、微細化セルロース繊維分散体は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。前記他の成分としては、特に限定されず、前記木材微細化セルロース繊維の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、等が挙げられる。
(第3工程;混合溶液調整工程)
次に、第3工程では、上述の第2工程で得られた微細化セルロース繊維分散液と、金属イオンを含有する溶液と、を混合して混合溶液を得る。
具体的には、先ず、金属または合金、金属酸化物、金属複酸化物などを水などの溶媒に溶解させて、金属イオンを含有する溶液(金属イオン含有溶液)を調製する。次に、微細化セルロース微細化セルロース繊維分散液を攪拌しながら、調製した金属イオン含有溶液を少しずつ添加することにより、微細化セルロース繊維分散液と金属イオン含有溶液との混合溶液を得る。
ところで、平板状銀ナノ粒子は、形状制御により可視光線から近赤外光線にわたる任意の波長光を吸収することが可能であり、各種組成物の用途に合わせて所望の光学特性を容易に付与することができる。また、銀そのものが多菌種に対し抗菌性を有しながらも人体に対し不活性であることから、保存性、安全性の良好な組成物を得ることができる。
そこで、本実施形態の製造方法において、木材由来の微細化セルロース繊維と複合化する金属種としては銀が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、複合化する金属種としては複数の金属種を用いても良く、銀以外の金属種としては特に限定しないが、例えば、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、金、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。また、銀と複合体を形成することで抗菌性を付与できることから、微細化セルロース繊維の耐腐食性も改善することができる。複数の金属種を用いる場合、析出した銀ナノ粒子の周りを銀より貴な金属あるいはシリカ等の金属酸化物などで被覆して、銀ナノ粒子の安定性を向上させても良い。
(第4工程;複合体形成工程)
次に、第4工程では、上述の第3工程で得られた混合溶液中の金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維とを複合化する。
木材由来の微細化セルロース繊維分散液中に金属微粒子を析出させ複合体を製造する方法としては、特に限定しないが、銀をはじめとする前記金属または合金、酸化物、複酸化物等の溶液と微細化セルロース繊維分散液を混合した状態で、還元剤を添加すれば容易に析出させることができる。
例えば、銀の場合、還元を行う際に用いる銀イオンを含む水溶液の種類には特に制限は無いが、入手の容易さと取り扱い易さの点から硝酸銀水溶液であることが好ましい。用いる還元剤に関しても特に限定しない。銀の還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキノン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等が用いられる。安全性や価格の面からアスコルビン酸、クエン酸、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
なお、金属微粒子の異方成長を促進し、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を析出させるためには、還元析出処理時に用いられる銀の量が、微細化セルロース繊維1gに対して0.0005mmol以上0.4mmol以下の範囲にあることが好ましく、0.001mmol以上0.2mmol以下の範囲にあることがさらに好ましく、0.002mmol以上0.1mmol以下の範囲にあることがとくに好ましい。
ここで、図3は、本発明を適用した一実施形態である複合体の製造方法の、工程の一部を説明するための模式図である。
本実施形態の製造方法の第4工程では、先ず、混合溶液中への還元剤の添加により、微細化セルロース3に設けたカルボキシ基を起点に金属の析出が開始する。そして、析出した金属は一次粒子(金属ナノ粒子)2aを形成する(図3中の左図を参照)。さらに反応が進むと、これらの一次粒子2a同士が凝集して、平板状の金属微粒子(すなわち、平板状金属微粒子)2を形成する。この際、微細化セルロース繊維(微細化セルロースの繊維)3の一部3aが巻き込まれるとともに残部3bが露出した状態で複合化する(図3中の右図を参照)。
以上の工程により、本実施形態の平板状金属微粒子2と微細化セルロース3との複合体1を得ることができる。
(第5工程;多孔質化工程)
次に、第5工程では、上述の第4工程で得られた複合体を含む分散液から、複合体および微細化セルロース繊維同士を凝集させることなく溶媒を除去して多孔質体を形成する。
前記溶媒除去の方法としては特に限定しないが、例えば適当な容器などに分散液をキャストして凍結乾燥法あるいは超臨界乾燥法により溶媒を除去することが好ましい。超臨界乾燥法は、超臨界流体を用いた乾燥技術である。この方法であれば、乾燥させる物体の構造を保ったまま乾燥させることができるため、比表面積を、数十から数百m/g程度にすることが容易である。
また、上述の第4工程で得られた分散液中に含まれる複合体および微細化セルロース繊維に存在するカルボキシ基の対イオンの少なくとも一部を一般式(1)で表される有機オニウムイオンに交換し、さらに少なくとも一般式(2)で表される単位を有するポリシラン(B)を混合したのち、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥方法を用いて溶媒を除去してもよい。この場合、微細化セルロース繊維表面に導入されたアリール基とポリシラン(B)の側鎖に導入されたアリール基との間でπ−π相互作用によりスタッキング構造を形成し、該微細化セルロース繊維および複合体同士が凝集することなく溶媒が除去されてナノサイズの空隙を有する多孔質体を得る。
本実施形態の多孔質体の製造方法では、上述した第2工程において、微細化セルロース繊維の分散液の濃度は特に限定しないが、0.1%以上20%未満であることが好ましい。ここで、0.1%未満では成形体形成用組成物としては溶媒過多となってしまう上に金属ナノ粒子の粒子径制御効果が不十分となり、20%以上では微細化セルロース繊維同士の絡み合いで粘度が急激に上昇し、均一な反応制御が難しくなる。
また、上述した第3工程において、金属イオンを含む溶液の金属イオン濃度は特に限定しないが、分散液中の金属イオン量が微細化セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。分散液中の金属イオン量が微細化セルロース繊維表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうと微細化セルロース繊維が凝集してしまうためである。
さらに、上述した第4工程において、混合溶液の還元剤濃度は特に限定しないが、金属イオン濃度と同等以上となるように調整することが好ましい。混合溶液中の還元剤濃度が金属イオン濃度以下であると、未還元の金属イオンが混合溶液中に残存してしまうためである。
以上説明したように、微細化セルロース繊維濃度、金属イオン濃度および還元剤濃度の三条件は、析出する平板状金属微粒子のアスペクト比を決定する。すなわち、これらの三条件を適切な値に設定することで、目的とする波長に吸収ピークを有する平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を適宜製造することが可能である。なお、傾向として金属イオン濃度が低くなると平板状金属微粒子のアスペクト比が上昇し、金属イオン濃度が高くなるとアスペクト比は低下する。
なお、上述した本実施形態の複合体1の製造方法において、微細化セルロース繊維濃度、金属イオン濃度および還元剤濃度と、得られる平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体のアスペクト比の関係については、理論的なメカニズムは不明な点が多い。平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体および近赤外線吸収材料等にも利用可能な光学材料の具体的な作製法については、実施例において詳細を記した。
ところで、本実施形態の複合体および多孔質体は、上述した製造方法によって製造した際に、直径数nm程度の球状金属微粒子を副生成物として含む場合があるが、これらの球状金属微粒子は遠心分離機によって分離することが可能である。
ここで、少なくとも銀を含む直径が数nmの球状微粒子は、波長400nm付近の光を吸収するために黄色味を呈する。しかしながら、上述した遠心分離等によってこれらの球状微粒子を除去することにより、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の共振ピークに由来する波長のみを吸収する、新規な光学材料として用いることが可能である。
また、本実施形態の多孔質体であって、平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体のアスペクト比が大きなものは、可視光透過率の高い近赤外線吸収材料として用いることが可能である。
以上説明したように、本実施形態の複合体1によれば、微細化セルロース3のそれぞれが、少なくとも一部(3a)が平板状金属微粒子2の内部に取り込まれるとともに、残部(3b)が平板状金属微粒子2の表面に露出する構成を有しているため、近赤外線遮蔽材料への適用可能性を有する、新規な平板状金属微粒子2と微細化セルロース3との複合体1を包含する多孔質体提供することができる。
<遮熱フィルム>
図4は、本開示に係る遮熱フィルムの一実施形態の断面図である。図4に示す遮熱フィルム1は、基材11の一方の面に、コーティングまたは貼りあわせにより形成された多孔質体を含む層近赤外線遮蔽層12を設け、更に近赤外線遮蔽層12の基材11との反対面に粘着層13およびハードコート層14を設ける。基材11の赤外線遮蔽層12と反対の面には粘着層15を設ける。
近赤外線遮蔽層12を形成させる基材11の材質は、特に限定されないが、公知のプラスチック材料を用いることができる。窓用の赤外線遮蔽用途では、透明基材であることが好ましい。
基材11の材質としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)、ポリエステル(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等。)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等。)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリルセルロース(トリアセチリルセルロース、ジアセチルセルロース等。)等が挙げられる。
基材11の膜厚は、特に限定されないが、生産性や成形性、施工時の操作性の観点から、基材11の膜厚は、5μm以上1000μm以下が好ましく、10μm以上500μm以下であることが更に好ましい。
基材11における近赤外線遮蔽層12を設ける側の面には、表面処理を施し、必要に応じて表面処理層を設けても構わない。表面処理を行うことで、基材へのコーティングが行いやすく、また基材11と近赤外線遮蔽層12との密着性を向上できる。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
基材11と近赤外線遮蔽層12との密着性を向上する目的で、接着層を設けても構わない。接着層の形成に用いる接着成分としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂等の接着樹脂が挙げられる。なかでも、接着樹脂としては、密着性が良好な点から、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
前記遮熱フィルムの構成は特に限定されるものではない。例えば、近赤外線遮蔽層12は、単層でなくてもよく、複層の層を設けても良い。
赤外線遮蔽層12は、成形性の向上や劣化抑制、赤外線遮蔽材料の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
耐擦傷性を得るために近赤外線遮蔽層12の片面には、接着層13を介してハードコート層14を設ける事が好ましい。接着層の成分としては特に限定されないが、前述の成分を用いることができる。ハードコート層14は、特に限定しないが、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂が挙げられる。特に限定しないが、ハードコート層の厚みは0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが0.5μm未満であると、耐擦傷性が充分に得られず、100μm以上であると透明性を損ないやすく、また窓への貼り付けの際に操作性が悪くなる。
基材11の近赤外線遮蔽層12と反対面に粘着層15を設けることが好ましい。粘着層により、例えば建物や車の窓に貼り付けることができる。粘着層に用いる材料は特に限定するものではない。例えば、公知の樹脂を用いることができ、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは1種類または複数使用することができる。粘着層を形成する方法は、特に限定しないが、公知のコーティング手法により粘着層を形成できる。例えば、支持体に粘着層をコーティングし、基材のコーティング層12との反対面に貼り合わせることができる。貼りあわせの方法は、ドライラミネート、熱ラミネート等の公知の方法を用いることができる。
粘着層の厚みは、特に限定されないが0.05μm以上20μm以下であることが好ましい。この範囲であると、粘着層の粘着性が良好となる。
本発明の遮熱フィルムは、波長700nmから1500nmにおける任意の波長に吸光度の最大値を有する複合体を包含する上記多孔質体を含むため、該多孔質体が断熱性と遮熱性を併せ持ち、遮熱フィルムとして有用である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
<平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維の複合体調製>
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.50mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
(酸化パルプのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
(酸化パルプの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、微細化セルロース繊維濃度1%の微細化セルロース繊維水分散液を得た。この微細化セルロース繊維水分散液に含まれる微細化セルロース繊維の数平均短軸径は4nm、数平均長軸径は1110nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、この微細化セルロース繊維分散液はチキソトロピック性を示した。
(硝酸銀水溶液の調製)
硝酸銀50mgを蒸留水10mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。
(水素化ホウ素ナトリウム水溶液の調製)
水素化ホウ素ナトリウム50mgを蒸留水10mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。
(平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の作製)
上述した1%微細化セルロース繊維水分散液50gを温度一定(15℃)に保ち攪拌しながら、硝酸銀水溶液0.5mLを添加した。5分攪拌を続けたのち、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を2mL添加し、さらに30分ほど攪拌を続けることによって平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を作製した。
(平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の形状観察)
得られた平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体を、高速冷却遠心機を用い、75,600g(30分×5セット)の条件で精製・分画した。精製済みの平板状金属微粒子をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、「S−4800」)を用いて垂直方向から観察した。結果を図5に示す。平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との同時観察を行うことで、微細化セルロース繊維と平板状金属微粒子間の相互結合状態を確認した。
精製済みの平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体をPETフィルム上にキャストし、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JEM2100F」)を用いて断面方向から観察した。結果を図6に示す。なお、得られた画像から平板状金属微粒子の粒子厚みを算出した。
精製済みの平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体をシリコンウェハ板上キャストし、非蒸着のままSEM観察を行った後、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングを行った。
平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体を、走査透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製、「S−4800」)を用いて観察した。結果を図7に示す。得られた画像中の平板状銀ナノ粒子を、円で近似した際の径を、平面方向の粒子径として算出した。
(平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の分光吸収スペクトル測定)
平板状金属微粒子と微細化セルロースとの複合体の水分散液を石英セルに入れ、分光光度計(株式会社島津製作所製、「UV−3600」)を用いて分光スペクトルの測定を行った。結果を図8に示す。
図5は、得られた複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果を示しており、(a)はSEM画像であり、(b)は、(a)の模式図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、驚くべきことに遠心分離による分画精製処理後にもかかわらず、平板状銀微粒子に微細化セルロース繊維が結合している様子が確認された。シリコンウェハの他の部分には微細化セルロース繊維が単独で存在している様子は見られなかったことからも、銀と微細化セルロース繊維は完全に結合していて不可分であることが示された。
図6は、得られた複合体を、透過型電子顕微鏡(TEM)によって断面方向から観察した結果を示す図(TEM画像)である。
図6に示すように、断面方向から見た平板状銀の形状は長方形であり、短軸方向の長さは約10nmであったことから、平板状銀は厚さ10nm程度の平板状粒子であることが判明した。
また、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングの結果から、SEM画像(図示略)で観察された微粒子部分にAgとCが選択的に含まれていることが示された。図5の結果とも併せて、微細化セルロース繊維は、平板状銀ナノ粒子の内部にまで入り込んで複合体を形成しており、やはり平板状銀ナノ粒子と微細化セルロース繊維は不可分であることが示された。
図8は、平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体の分散液状態での分光透過スペクトルを示す図である。測定装置は、株式会社島津製作所製のUV−3600を使用した。
図8に示すように、分光透過スペクトルの測定結果から、吸収ピークは966nmであることが確認された。すなわち、近赤外線吸収材料として利用可能であることが確かめられた。
以下、作製した平板状銀微粒子と微細化セルロース繊維の複合体(以下近赤外線吸収複合体)を用いた多孔質体について、実施例を示しながら説明する。
<実施例1>
(多孔質体の作製)
前記近赤外線吸収複合体の水分散液を、膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーター#100を用いて塗布し、二酸化炭素を用いた超臨界乾燥を用いて溶媒を除去して積層体を形成した。
(多孔質体の比表面積測定)
前記積層体から微細化セルロース繊維を含む層を剥離し、窒素吸着BET法によりオートソーブ1−MP(ユアサアイオニクス株式会社製)を用いて比表面積を測定した。測定結果を表1に示す。
<実施例2>
前記近赤外線吸収複合体の水分散液に対し重量比で10%となるようにt-ブタノールを混合したのち、該近赤外線吸収複合体の混合分散液を膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーター#100を用いて塗布し、凍結乾燥法を用いて溶媒を除去して積層体を形成した。該積層体については実施例1と同様の方法で比表面積を測定した。
<実施例3>
(多孔質体の作製)
前記近赤外線吸収複合体の水分散液を、0.1M塩酸でpH2程度に調製し、ゲル状の凝集体を得た。該ゲル状凝集体をpH2程度の希塩酸を用いて3回洗浄したのち、蒸留水で3回洗浄した。
前記ゲル状凝集体アセトンを用いて溶媒置換した。具体的には、まず該ゲル状凝集体をアセトンに投入し、30分間攪拌した後にガラスフィルターを用いて該ゲル状凝集体をろ別し回収した。さらに同様の作業を2回行った。続いて置換溶媒としてトルエンを用い、前述と同様の手順でアセトンからトルエンへの溶媒置換を行った。
前記ゲル状凝集体にさらにトルエンを加えて固形分濃度0.5%程度としたのち、末端にアミン基および側鎖にフェニル基を有する重合度20のポリエチレングリコール(PEG修飾体)を該ゲル状凝集対中のカルボキシル基量に対して1.0当量加え、超音波ホモジナイザーを用いて前記近赤外線吸収複合体をトルエン中に再分散させた。
ポリメチルフェニルシラン(PMPS、大阪ガスケミカル株式会社)を固形分2%でトルエンに溶解し、PMPS溶液を調製した。
前記近赤外線吸収複合体のトルエン分散液を攪拌しながら前記PMPS溶液を最終的に分散液の質量比で1:1となるまで少しずつ添加しながら混合し、微細化セルロース繊維とPMPSが均一に分散した混合分散液を調製した。すなわち、最終的な混合分散液中の微細化セルロース繊維濃度は約0.25%となり、PMPSの濃度は約1%となった。
前記混合分散液を、膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーター#100を用いて塗布し、オーブン、80℃で5分乾燥して積層体を形成した。該積層体については実施例1と同様の方法で比表面積を測定した。
<比較例1>
前記近赤外線吸収複合体の水分散液を、膜厚25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーター#100を用いて塗布し、オーブン、80℃で5分乾燥して積層体を形成した。該積層体については実施例1と同様の方法で比表面積を測定した。
表1に示されるように、実施例1乃至3において比表面積を測定したところ、微細化セルロース繊維同士の凝集が妨げられることによって空隙が維持され、多孔質体を形成していることが確認された。特に実施例3においては、凍結乾燥法や超臨界乾燥法などの特殊な乾燥法を用いなかったにもかかわらず高比表面積を有していた。これは実施例3において用いた有機オニウム化合物がアリール基を含まないため、微細化セルロース繊維とPMPSの間でπ−πスタッキング構造を形成し、微細化セルロース繊維同士の凝集が妨げられ空隙が形成されたためであると考えられる。
一方、比較例1においては微細化セルロース繊維同士が凝集して緻密な積層膜を形成しており、多孔質体が形成されていないことが比表面積測定により確認された。これは通常のオーブン乾燥を用いたことに加え、微細化セルロース繊維同士の凝集を阻害するようなπ−πスタッキング構造を形成するためのアリール基やPMPSを含まないためであると考えられる。
(実施例4)
実施例3で得られた積層体に以下に示す方法でハードコート層および粘着層を設けて遮熱フィルムを作製した。
(ハードコート層の形成)
ハードコート層は固形分100質量%のペンタエリスリトールアクリレート(PETA)に、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて、PETAの固形分濃度が50%になるように希釈した。この希釈液に、光重合開始剤として、Irgacure(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製)をPETA100質量部に対して5質量部加え、ハードコート層形成用塗料を調製し、離形フィルム上に6μmになるようにバーコーターにて塗工した。さらに二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(A525/A52、三井化学ポリウレタン株式会社製)を使用し、ハードコート層上に接着剤面を形成した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が3.0g/mとなるように塗布した。こうして得られたハードコート層を含む積層体と実施例3で得られた積層体とを多孔質体層と接着剤面を介して貼りあわせたのち、離形フィルムを除去した。
(粘着層の形成)
テルフィルムとして、(トーヨーケム株式会社製、BPS5296)を、粘着層を10μmになるように形成し、基材又は赤外線遮蔽複合組成物のハードコート層の反対面に貼りあわせた。
前記ハードコート層および粘着層を設けた積層体を、遮熱フィルムとして用い、以下の実験を行った。空調の無い室内で南向き窓の内側の一部分に該フィルムをあらかじめ貼り付けておき、2013年8月31日の午後2時(外気温36℃)にフィルムを貼った部分の窓際の温度を測定したところ30℃であった。
(実施例5)
実施例2で得られた積層体に実施例4と同様の方法でハードコート層および粘着層を設けて遮熱フィルムを作製した。空調の無い室内で南向き窓の内側の一部分に該フィルムをあらかじめ貼り付けておき、2013年8月31日の午後2時(外気温36℃)にフィルムを貼った部分の窓際の温度を測定したところ32℃であった。
(比較例2)
比較例1で得られた積層体に実施例4と同様の方法でハードコート層および粘着層を設けて遮熱フィルムを作製した。空調の無い室内で南向き窓の内側の一部分に該フィルムをあらかじめ貼り付けておき、2013年8月31日の午後2時(外気温36℃)にフィルムを貼った部分の窓際の温度を測定したところ38℃であった。
実施例4、5においては窓際の温度が外気温よりも低かったことから、遮熱効果が明確に示された。一方、比較例2においては近赤外線遮蔽材料である平板状銀微粒子と微細化セルロース繊維の複合体を用いているにもかかわらず、窓際の温度が外気温よりも高くなるという結果であった。これは、比較例2においては該複合体が近赤外線を吸収することによりフィルム自体が発熱してしまったことに加え、フィルムに断熱性が付与されていないことが原因である。一方で、実施例4、5では該複合体を含有する層が多孔質体を形成していることからフィルム自体の発熱が抑制され、なおかつ多孔質体に由来する断熱性により外気温の影響を遮断したためと考えられる。本発明の遮熱フィルムは、波長700nmから1500nmにおける任意の波長に吸光度の最大値を有する複合体を包含する上記多孔質体を含むため、多孔質体が断熱性と遮熱性を併せ持ち、遮熱フィルムとして有用である。
本発明によれば、バイオマス材料を用いた低環境負荷且つ簡便なプロセスにより得られた近赤外線遮蔽材料を包含する多孔質体及び遮熱フィルムを提供することが可能である。
1 複合体
2 平板状金属微粒子(平板状銀微粒子)
3 微細化セルロース(微細化セルロース繊維)
3a 微細化セルロースが平板状金属微粒子の内部に取り込まれている部分
3b 微細化セルロースが平板状金属微粒子の表面に露出している部分
11 基材
12 赤外線遮蔽層
13 接着層
14 ハードコート層
15 粘着層

Claims (22)

  1. 微細化セルロース繊維と平板状金属微粒子との複合体を含み、前記微細化セルロース繊維のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、
    前記平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、
    前記微細化セルロース繊維は多孔質状に配置されていることを特徴とする、多孔質体。
  2. 窒素吸着BET法により測定される比表面積が50m/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質体。
  3. 前記平板状金属微粒子と前記微細化セルロース繊維とが不可分であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔質体。
  4. 前記平板状金属微粒子が、銀であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多孔質体。
  5. 前記平板状金属微粒子の粒子径が、前記平板状金属微粒子の粒子厚みの2倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多孔質体。
  6. 前記微細化セルロース繊維が、繊維表面にカルボキシ基を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多孔質体。
  7. 前記カルボキシ基の含有量が、セルロース1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることを特徴とする、請求項6に記載の多孔質体。
  8. 前記微細化セルロース繊維の結晶構造が、セルロースI型であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多孔質体。
  9. 前記微細化セルロース繊維の数平均短軸径は1nm以上100nm以下であり、前記微細化セルロース繊維の数平均長軸径は50nm以上であり、かつ前記数平均長軸径は前記数平均短軸径の10倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多孔質体。
  10. 微細化セルロース繊維を調製する工程と、
    前記微細化セルロース繊維を溶媒中に分散させて微細化セルロース繊維分散液を得る工程と、
    前記微細化セルロース繊維分散液と、金属イオンを含有する溶液と、を混合して混合溶液を得る工程と、
    前記混合溶液中の前記金属イオンを還元して平板状金属微粒子を成長させるとともに、前記平板状金属微粒子と微細化セルロース繊維との複合体を形成する工程と、
    前記複合体および微細化セルロース繊維を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、多孔質体の製造方法。
  11. 窒素吸着BET法により測定される、前記多孔質体の比表面積が50m/g以上であることを特徴とする、請求項10に記載の多孔質体の製造方法。
  12. 前記金属イオンが、銀イオンであることを特徴とする、請求項10または11に記載の多孔質体の製造方法。
  13. 前記微細化セルロース繊維を調製する工程において、前記微細化セルロース繊維の結晶表面にカルボキシ基を導入することを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法。
  14. 前記微細化セルロース繊維を調整する工程において、前記微細化セルロース繊維にカルボキシ基を導入するために、N−オキシル化合物を用いた酸化反応を用いることを特徴とする、請求項13に記載の多孔質体の製造方法。
  15. 前記酸化反応により、微細化セルロース繊維の乾燥重量1g当たり、0.1mmol以上5.0mmol以下となるようにカルボキシ基を導入することを特徴とする、請求項13又は14に記載の多孔質体の製造方法。
  16. 前記複合体および微細化セルロース繊維を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程において、凍結乾燥法によって溶媒を除去することを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法。
  17. 前記複合体および微細化セルロース繊維を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程において、二酸化炭素を用いた超臨界乾燥法によって溶媒を除去することを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法。
  18. 前記複合体および微細化セルロース繊維を含む分散液から溶媒を除去して多孔質体を形成する工程において、前記分散液中に含まれる複合体および微細化セルロース繊維に存在するカルボキシ基の対イオンの少なくとも一部を下記一般式(1)で表される有機オニウムイオンに交換し、さらに少なくとも下記一般式(2)で表される単位を有するポリシラン(B)を混合したのち、乾燥によって溶媒を除去することを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の多孔質体の製造方法。

    ・・・(1)

    式(1)中、Mは窒素原子あるいはリン原子を表し、R、R、RおよびRはアリール基、水素原子、炭化水素基、ポリエーテルあるいはヘテロ原子を含む炭化水素基を表す。ただし、R、R、RおよびRのうち少なくともひとつについてはその構造の中にアリール基を含む。

    ・・・(2)

    式(2)中、RおよびRは、各々独立にアリール基、炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、シリル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる。ただし、RおよびRの少なくとも一方はアリール基である。
  19. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に請求項1乃至9のいずれか一項に記載の多孔質体を含むコーティング層を設けたことを特徴とする、遮熱フィルム。
  20. 前記基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリルセルロースのいずれかを少なくとも1つ含む、請求項19に記載の遮熱フィルム。
  21. 前記コーティング層に積層されたハードコート層と、前記基材において、前記コーティング層が形成されている面と反対側の面に積層された粘着剤層とをさらに含む、請求項19又は20のいずれか一項に記載の遮熱フィルム。
  22. 900nm以上1000nm以下の波長領域の光の透過率が70%以下である、請求項19乃至21のいずれか一項に記載の遮熱フィルム。
JP2014105504A 2014-05-21 2014-05-21 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム Active JP6260451B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014105504A JP6260451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014105504A JP6260451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015218421A JP2015218421A (ja) 2015-12-07
JP6260451B2 true JP6260451B2 (ja) 2018-01-17

Family

ID=54778050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014105504A Active JP6260451B2 (ja) 2014-05-21 2014-05-21 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6260451B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6428018B2 (ja) * 2014-07-23 2018-11-28 凸版印刷株式会社 多孔質体、多孔質体形成用組成物および多孔質体の製造方法
JP6853010B2 (ja) * 2015-11-06 2021-03-31 日本化薬株式会社 無彩色な偏光素子、並びにこれを用いた無彩色偏光板および液晶表示装置
JP7009762B2 (ja) * 2017-03-30 2022-02-10 凸版印刷株式会社 多孔体および多孔体の製造方法
JP7035416B2 (ja) * 2017-09-29 2022-03-15 凸版印刷株式会社 乾燥固形物および乾燥固形物の製造方法
JP7167433B2 (ja) * 2017-12-01 2022-11-09 凸版印刷株式会社 樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105376A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 銀微粒子及びその製造方法
US8367089B2 (en) * 2006-04-24 2013-02-05 Axcelon Biopolymers Corporation Nanosilver coated bacterial cellulose
US8834917B2 (en) * 2007-11-13 2014-09-16 Jawaharlal Nehru Centre For Advanced Scientific Research Nanoparticle composition and process thereof
JP5566368B2 (ja) * 2009-02-18 2014-08-06 日本製紙株式会社 セルロースナノファイバーおよび金属ナノ粒子を含む複合体、ならびにその製造方法
JP5636208B2 (ja) * 2010-04-07 2014-12-03 富士フイルム株式会社 熱線遮蔽用金属平板状粒子含有組成物
JP2013209779A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toppan Printing Co Ltd 成形体およびその製造方法
JP5827178B2 (ja) * 2012-06-05 2015-12-02 北越紀州製紙株式会社 セルロース多孔質体及びその製造方法
JP6083165B2 (ja) * 2012-09-12 2017-02-22 凸版印刷株式会社 金属/セルロース複合化微細繊維の製造方法、金属/セルロース複合化微細繊維を含む分散体および透明導電膜の製造方法
JP6260077B2 (ja) * 2012-09-28 2018-01-17 凸版印刷株式会社 抗菌性コーティング剤
JP6303258B2 (ja) * 2012-11-21 2018-04-04 凸版印刷株式会社 銀と微細化セルロース繊維の複合体の製造方法及び遮熱フィルムの製造方法
JP6442730B2 (ja) * 2013-05-16 2018-12-26 日本製紙株式会社 金属ナノ粒子とセルロース系ファイバーとの複合体の製造方法
JP6402454B2 (ja) * 2014-03-12 2018-10-10 凸版印刷株式会社 光学材料及び光学フィルター
EP3141323B1 (en) * 2014-05-09 2022-02-09 Toppan Printing Co., Ltd. Complex, method for producing complex, dispersion, method for producing dispersion, and optical material

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015218421A (ja) 2015-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6260451B2 (ja) 多孔質体とその製造方法、ならびに遮熱フィルム
US9987686B2 (en) Complex, method for producing complex, dispersion liquid, method for producing dispersion liquid, and optical material
Liu et al. Preparation and characterization of a photocatalytic antibacterial material: Graphene oxide/TiO2/bacterial cellulose nanocomposite
Feng et al. Use of carbon dots to enhance UV-blocking of transparent nanocellulose films
Feng et al. Simultaneous reduction and surface functionalization of graphene oxide by chitosan and their synergistic reinforcing effects in PVA films
Ifuku et al. Synthesis of silver nanoparticles templated by TEMPO-mediated oxidized bacterial cellulose nanofibers
Mohamed et al. Incorporation of N-doped TiO2 nanorods in regenerated cellulose thin films fabricated from recycled newspaper as a green portable photocatalyst
JP6446834B2 (ja) 複合体の製造方法、及び微細セルロース繊維の分散液
JP6083165B2 (ja) 金属/セルロース複合化微細繊維の製造方法、金属/セルロース複合化微細繊維を含む分散体および透明導電膜の製造方法
JP5838868B2 (ja) セルロースナノファイバーフィルム
JP6421455B2 (ja) 複合体の製造方法、及び複合体
JP7259218B2 (ja) 光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体
JP6446829B2 (ja) 赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム
Wang et al. Tuning lightweight, flexible, self-cleaning bio-inspired core–shell structure of nanofiber films for high-performance electromagnetic interference shielding
JP6303258B2 (ja) 銀と微細化セルロース繊維の複合体の製造方法及び遮熱フィルムの製造方法
JP6631260B2 (ja) 防曇フィルム及び防曇用組成物
JP2015218159A (ja) 抗菌性組成物、積層体、及び成形体
JP6926571B2 (ja) 鮮度保持シートおよび鮮度保持シートの製造方法
JP7167433B2 (ja) 樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法
JP7143628B2 (ja) 樹脂成形体、及びその製造方法
JP6402454B2 (ja) 光学材料及び光学フィルター
JP7035416B2 (ja) 乾燥固形物および乾燥固形物の製造方法
JP7031144B2 (ja) 樹脂成形体、樹脂成形体の製造方法、および樹脂組成物
JP7009762B2 (ja) 多孔体および多孔体の製造方法
JP6428018B2 (ja) 多孔質体、多孔質体形成用組成物および多孔質体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6260451

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250