(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係る光源装置を有する投射表示装置の一例であるプロジェクタの光学系の要部構成を示す光学図である。この図1に示すように、実施例1のプロジェクタ100は、光源装置10と、導光光学系の一例であるライトトンネル20、集光レンズ21及び反射ミラー22と、画像生成部の一例である及び画像形成パネル(DMD)23と、画像形成部GEと、投影光学系24とを主に備えている。このプロジェクタ100は、光源装置10から射出される各色成分の照射光を用いて投射光を生成し投影面の一例であるスクリーンSに画像を投影して拡大表示する装置である。
光源装置10は、光源部1と、光路切り替え部材の一例である光路切り替え盤3と、蛍光体の一例である蛍光体ホイール5と、色成分切り替え部材の一例である色成分切り替え盤7とを主に備える。光源装置10は、さらに投射光路X1、励起光路X2、蛍光光路X3、光路合成部等を構成する各種光学部品も備えている。
光源部1は、光源を備えているが、この光源から発生する照射光の色成分は、赤色成分と緑色成分と青色成分とのうちのいずれかであることが好ましい。この照射光を励起光として蛍光体から発生する2色の色成分は、照射光の色成分とは異なる残りの赤色成分と緑色成分と青色成分とのうちのいずれかであることが好ましい。これにより、可視光である赤、緑、青を生成可能な光源装置が得られ、プロジェクタに好適に用いることができる。
また、光源は青色成分のレーザ光を発生する光源であり、蛍光体には緑色成分の蛍光と赤色成分の蛍光とを含む黄色成分の蛍光材料が塗布され、光路切り替え部材は蛍光体にレーザ光を導く場合と導かない場合とを切り替えることで、青色成分の照射光と赤色成分の照射光と緑色成分の照射光と黄色成分の照射光とが照射可能であることが好ましい。つまり、光源として入手が容易であることから、青色の高出力レーザを用いることで、高出力な光源装置とすることができる。
以上を鑑みて、実施例1の光源部1は、レーザダイオード1a(以下、「LD1a」という)と、カップリングレンズ1bと、集光レンズ1cとから概略構成されている。LD1aは、駆動回路基板2に複数個設けられている。各LD1aに対して、それぞれカップリングレンズ1bが設けられている。
各LD1aからのレーザ光は、カップリングレンズ1bにより集光され、平行光束として集光レンズ1cに導かれる。集光レンズ1cは、各カップリングレンズ1bにより平行光束とされたレーザ光を集光する役割を果たす。
実施例1では、LD1aは、青色成分の光と、赤色成分の光と、緑色成分の光とのうちの青色成分のレーザ光BPを照射光として発生するものとして説明する。なお、LD1aから発生するレーザ光BPの波長としては、440nmから470nmの範囲であることが好ましい。この範囲とすることで、レーザ光BPをそのまま青色成分Bの投射光として使用することができると共に、励起光として用いるのに好適である。また、容易に入手可能な青色の高出力レーザを用いることで、高出力な光源装置10とすることができる。
しかしながら、LD1aが、青色成分のレーザ光BPを発生するものに限定されることはなく、緑色成分のレーザ光又は赤色成分のレーザ光を発生するレーザダイオード(LD)を用いることもできる。また、レーザダイオード(LD)の代わりに、発光ダイオード(LED)を用いることもできる。
LD1aは、後述する蛍光体を励起する励起光源として用いられると共に、スクリーンSへ投射される投射光として用いられる色成分の照射光を発生する光源として機能する。
光源部1から発せられた青色成分のレーザ光BPが進行する光路には、光路切り替え部材の一例である光路切り替え盤3が設けられている。この光路切り替え盤3は、例えば、図1に示すように、駆動源の一例であるステッピングモータ4により回転駆動される。
この光路切り替え盤3は、図2に示すように、回転円盤(回転する円盤)3cにより構成され、この回転円盤3cが回転方向(変位方向)Z1に分割されて形成された扇形状の反射領域3a及び透過領域3bを有する。符号r1、r2は反射領域3aと透過領域3bとの境界領域を示す。符号r1は光路切り替え盤3の回転方向Z1の先方側の境界領域であり、符号r2は回転方向Z1の後方側の境界領域である。
光路切り替え盤3は、集光レンズ1cの光軸に対して斜め(ここでは、その光軸に対して45度)に配設されている。なお、符号4aは、光路切り替え盤3が回転する際の回転軸を示す。
反射領域3aは、照射光(レーザ光BP)を反射して投射光路(照射光路)X1に導く機能を有する。透過領域3bは、照射光(レーザ光BP)を透過して励起光路X2に導く機能を有する。光路切り替え盤3を回転駆動することで、反射領域3aと透過領域3bとの切り替えを一定速度で円滑に行うことができる。
このように、光路切り替え盤3は、レーザ光BPを励起光として蛍光体ホイール5に導く励起光路X2とレーザ光BPを青色成分Bの投射光として導く投射光路X1との間で、レーザ光BPの光路を切り替える光路切り替え部材としての機能を有する。なお、この実施例1では、光路切り替え部材を、回転駆動する構成として説明しているが、往復動させる構成とすることもできるし、形状も円に限らず、多角や長円等とすることもできる。
蛍光体ホイール5は、図4に示すように、回転円盤5aにより構成され、駆動源の一例であるステッピングモータ6により回転方向(変位方向)Z3に回転駆動される。符号6aは、蛍光体ホイール5が回転する際の蛍光体ホイール5の回転軸を示す。蛍光体ホイール5の回転円盤5aには、反射基盤が用いられている。この反射基盤からなる回転円盤5aにはレーザ光BPにより少なくとも2色の色成分を含む蛍光を発生する蛍光材料(蛍光体)が塗布され、リング状の蛍光領域5Yが形成されている。
このように、蛍光体ホイール5を、回転円盤5aを用いて回転駆動する構成とすることにより、蛍光体ホイール5の同一箇所に長時間集中してレーザ光BPが照射されるのが回避され、蛍光材料の劣化が防止される。なお、蛍光体ホイール5も往復動させる構成とすることもできるし、形状も円に限らず、多角や長円等とすることもできる。また、一方向に移動する無端ベルトに蛍光領域を形成してなる蛍光体を用いることもできる。
実施例1では、蛍光材料として、レーザ光BPの色成分(青色成分B)とは異なる残りの赤色成分Rと緑色成分Gとを含む蛍光を発生する材料、例えば、黄色成分Yの蛍光を発生する材料が用いられている。
すなわち、蛍光材料には、波長λが580nm<λ<750nmの波長領域(赤色成分R)の蛍光と、波長λが450nm<λ<600nmの波長領域(緑色成分G)の蛍光とを発生する蛍光材料(蛍光の波長分布が450nmから750nmの蛍光材料)が用いられている。
LD1aから発生したレーザ光BPは、楕円スポット形成手段及び集光レンズ1cにより集光され、光路切り替え盤3には、図2に示すように、楕円の集束スポットBSPが形成される。楕円スポット形成手段の詳細は、後述する。集束スポットBSPが境界領域r1に位置しているときを光路切り替え盤3が回転角度θ=0度(360度)の位置にあるものとして以後説明する。
集束スポットBSPが、反射領域3aに当たっているときには、集束スポットBSPを形成するレーザ光BPが投射光路X1に導かれる。投射光路X1には、第1拡散板11、集光レンズ12、ダイクロイックミラー13、集光レンズ14、ライトトンネル20がこの順番に設けられている。ライトトンネル20と集光レンズ14との間には、色成分切り替え盤7が設けられている。
第1拡散板11は、レーザ光BPのスペックルパターンを除去する役割を果たすと共に、レーザ光BPの光量むらを低減することにより光量分布の均一性を高める役割を果たす。
第1拡散板11を透過したレーザ光BPは、集光レンズ12により平行光束とされて、ダイクロイックミラー13に導かれる。ダイクロイックミラー13は、レーザ光BPを透過し、赤色成分Rの蛍光と緑色成分Gの蛍光とを反射する機能を有する。
一方、集束スポットBSPが、透過領域3bに当たっているときには、集束スポットBSPを形成するレーザ光BPが励起光路X2に導かれる。励起光路X2には、第2拡散板15、集光レンズ16、ダイクロイックミラー17、集光レンズ18、及び蛍光体ホイール5がこの順番に設けられている。
第2拡散板15を透過したレーザ光BPは、励起光として集光レンズ16により平行光束とされて、ダイクロイックミラー17に導かれる。ダイクロイックミラー17は、レーザ光BPを透過しかつ赤色成分Rの蛍光と緑色成分Gの蛍光とを反射する機能を有する。
ダイクロイックミラー17を透過した平行光束のレーザ光BPは、集光レンズ18により蛍光体ホイール5の蛍光領域5Yに集束照射され、蛍光領域5Yに楕円の集束スポットBSP’’を形成する。蛍光領域5Yはその励起光としてのレーザ光BPにより励起されて赤色成分Rの蛍光と緑色成分Gの蛍光とを含む黄色成分Yの蛍光を楕円状に発生する。
黄色成分Yの蛍光は、集光レンズ18により平行光束とされてダイクロイックミラー17に導かれ、このダイクロイックミラー17により反射ミラー19に向けて反射される。
反射ミラー19は、黄色成分Yの蛍光をダイクロイックミラー13に向けて反射する。したがって、反射ミラー19は、ダイクロイックミラー17と共に蛍光光路X3を構成する。また、ダイクロイックミラー13、17、及び反射ミラー19は投射光路X1と蛍光光路X3とを合成する光路合成部として機能する。
以上のようにしてダイクロイックミラー13を透過したレーザ光BP又はダイクロイックミラー13により反射された黄色成分Yの蛍光は、集光レンズ14により集光されて色成分切り替え盤7に導かれる。
色成分切り替え盤7は、駆動源の一例であるステッピングモータ8により回転駆動される。なお、この色成分切り替え盤7も光路切り替え盤3と同様に、往復動させる構成とすることもできるし、形状も円に限らず、多角や長円等とすることもできる。
色成分切り替え盤7は、図3に示すように、回転円盤7aからなり、レーザ光BPを透過させる扇形状の透過領域7Bと、赤色成分Rの蛍光を透過させかつ緑色成分Gの蛍光の透過を阻止する扇形状の透過領域7Rと、緑色成分Gの蛍光を透過させかつ赤色成分Rの蛍光の透過を阻止する扇形状の透過領域7Gと、黄色成分Yの蛍光を透過させる扇形状の透過領域7Yとを有する。色成分切り替え盤7を回転駆動することで、各透過領域7B、7R、7G、7Yの切り替えを一定速度で円滑に行うことができる。
透過領域7Bは、青色成分Bのレーザ光BPのうち、特定波長のレーザ光BPを透過させるフィルタにより構成される。この構成により、青色成分Bの光の色味を変更し、色再現範囲を調整できる。なお、色再現範囲の調整を考慮する必要がない場合は、例えば、透明なガラス板で回転円盤7aを形成するか又は回転円盤7aを切り欠くことで透過領域7Bを形成し、青色成分Bのレーザ光BPがそのまま通過するように構成することもできる。
透過領域7Rは、例えば、波長580nm<λ<750nmの蛍光を透過し、他の波長の光を反射するフィルタから構成される。透過領域7Rの波長透過特性を変更することにより、赤色成分Rの光の色味を変更し、色再現範囲を調整できる。
透過領域7Gは、例えば、波長450nm<λ<600nmの蛍光を透過し、他の波長の光を反射するフィルタから構成される。透過領域7Gについても、波長透過特性を変更することにより、緑色成分Gの光の色味を変更し、色再現範囲を調整できる。
透過領域7Yは、黄色成分Yの蛍光を透過し、レーザ光BPを反射するフィルタから構成される。なお、レーザ光BPの反射を考慮する必要がない場合は、例えば、透明なガラス板で形成するか又は回転円盤7aを切り欠くことで透過領域7Yを形成し、黄色成分Yの蛍光がそのまま通過するように構成することもできる。また、透過領域7Yについても、黄色成分Yの蛍光のうち、特定波長のみ透過させるようなフィルタを用いて波長透過特性を変更することにより、黄色成分Yの光の色味を変更し、色再現範囲を調整できる。
図3において、符号r3は透過領域7Yと透過領域7Bとの境界領域、符号r4は透過領域7Bと透過領域7Rとの境界領域、符号r5は透過領域7Rと透過領域7Gとの境界領域、符号r6は透過領域7Gと透過領域7Yとの境界領域を示す。符号Z2は色成分切り替え盤7の回転方向(変位方向)を示し、符号BSP’は集光レンズ14により形成された集束スポットを示している。その集束スポットBSP’が境界領域r3に位置しているときを色成分切り替え盤7の回転角度θ=0度(360度)の位置とする。
色成分切り替え盤7は、光路切り替え盤3と同期回転され、光路切り替え盤3の一回転中に一回転されることで、ライトトンネル20に導かれる色成分の光を定期的に切り替える。
色成分切り替え盤7の各透過領域7B、7R、7G、7Yを透過した照射光は、図1に示すように各色成分B、R、G、Yの投射光として、導光光学系の光量むら防止用部材としてのライトトンネル20に導かれる。なお、ライトトンネル20の代わりにフライアイレンズを用いることもできる。
ライトトンネル20を通過した各色成分B、R、G、Yの投射光は、集光レンズ21により平行光束とされて反射ミラー22に導かれ、この反射ミラー22により反射されて、画像生成部である画像形成パネル(被照射部)23に導かれる。この画像形成パネル23は、公知の画像形成部GEによって制御される。なお、本実施例では画像生成部23としてDMDを用いているが、本願がこれに限定されることはなく、液晶等を用いることもできる。
画像形成パネル23は、導光光学系により導かれた各色成分B、R、G、Yの投射光が照射されてこれらを反射して、スクリーンSへの投射光を形成し、スクリーンSに画像を形成する機能を有する。画像形成パネル23により反射された各色成分B、R、G、Yの投射光は、固定レンズ群や可動レンズ群等からなる投影光学系24により拡大されてスクリーンSに投影される。
次に、図5のタイミングチャートを用いて、実施例1のプロジェクタ100における各色成分B、R、G、Yの投射光の投影タイミングを説明する。この図5のタイミングチャートに示すように、光路切り替え盤3の一回転中に、各色成分B、R、G、Yの投射光がスクリーンSに投影される。
光路切り替え盤3の反射領域3aに集束スポットBSPが当たっているときには、集束スポットBSPを形成するレーザ光BPは反射されるので、境界領域r1からr2までの回転角度θの範囲では、レーザ光BPが投射光路X1に導かれる。
色成分切り替え盤7の境界領域r3は光路切り替え盤3の境界領域r1に対応し、色成分切り替え盤7の境界領域r4は光路切り替え盤3の境界領域r2に対応している。
図5(a)は、スクリーンSへの色成分B、R、G、Yの投射光の投射期間中に、光路切り替え盤3において反射又は透過されるレーザ光BPの割合を示している。反射の割合「1」はレーザ光BPが反射される割合が「100%」であることを意味し、反射の割合「0」はレーザ光BPが反射される割合が「0%」であることを意味している。透過の割合「0」はレーザ光BPが透過される割合が「0%」であることを意味し、透過の割合「1」はレーザ光BPが透過される割合が「100%」であることを意味している。
図5(a)の実線は、青色成分Bの投射光の投射期間では、100%のレーザ光BPが反射され、色成分R、G、Yの投射光の投射期間では100%のレーザ光BPが透過していることを示している。
図5(b)は、スクリーンSへの各色成分B、R、G、Yの投射光の投射期間中に、色成分切り替え盤7に導かれる蛍光の割合を示している。割合「1」はレーザ光BPが全て蛍光体ホイール5に導かれて蛍光が生成され、この蛍光が色成分切り替え盤7に導かれることを意味する。割合「0」はレーザ光BPが蛍光体ホイール5に導かれないため、色成分切り替え盤7に蛍光が導かれないことを意味する。
図5(b)の実線は、青色成分Bの投射光の投射期間では蛍光が色成分切り替え盤7に導かれないことを示している。また、色成分R、G、Yの投射光の投射期間中ではレーザ光BPが全て蛍光体ホイール5に導かれて生成された蛍光が、色成分切り替え盤7に導かれていることを示している。
図5(c)は、スクリーンSへの各色成分B、R、G、Yの投射光の投射期間中に、色成分切り替え盤7に導かれるレーザ光BPの光量の割合を示している。割合「1」はレーザ光BPが光路切り替え盤3により全て反射されて色成分切り替え盤7に導かれることを意味する。割合「0」はレーザ光BPが光路切り替え盤3を全て透過して蛍光体ホイール5に導かれることを意味する。
図5(c)の実線は、青色成分Bの投射光の投射期間では、レーザ光BPが全て色成分切り替え盤7に導かれていることを示し、色成分R、G、Yの投射光の投射期間中ではレーザ光BPが色成分切り替え盤7に導かれないことを示している。
なお、図5に関するこれらの説明では、蛍光の変換効率は「1」とし、光学系に配置された光学部材による光量の損失、蛍光の分離による光量損失等は無視して説明している。
図5(d)は、レーザ光BP又は蛍光が色成分切り替え盤7の各透過領域7B、7R、7G、7Yを透過する割合を示している。光路切り替え盤3の境界領域r1から境界領域r2までの回転角度θの角度範囲に対応する色成分切り替え盤7の境界領域r3から境界領域r4までの回転角度θの角度範囲では、レーザ光BPが色成分切り替え盤7の透過領域7Bに導かれる。
したがって、図5(d)に示すように、青色成分Bの投射光の投射期間では、色成分Bのレーザ光BPが透過領域7Bを通過する。その結果、青色成分Bの光が色成分切り替え盤7を透過し、投射光としてスクリーンSに投影される。色成分R、G、Yの光はスクリーンSに投影されない。
光路切り替え盤3が境界領域r2から境界領域r1までの回転角度θの角度範囲にあるときには、透過領域3bに集束スポットBSPが当たるので、レーザ光BPは蛍光体ホイール5に励起光として導かれる。この励起光によって励起されて蛍光体ホイール5の蛍光領域5Yから発生する黄色成分Yの蛍光が色成分切り替え盤7に導かれる。
色成分切り替え盤7の回転角度θが境界領域r4から境界領域r5の角度範囲にあるときには、黄色成分Yの蛍光が透過領域7Rに導かれる。透過領域7Rは赤色成分Rの光を透過するので、赤色成分Rの光が色成分切り替え盤7を透過し、投射光としてスクリーンSに投影され、色成分G、B、Yの光はスクリーンSに投影されない。
色成分切り替え盤7の回転角度θが境界領域r5から境界領域r6の角度範囲にあるときには、黄色成分Yの蛍光が透過領域7Gに導かれる。透過領域7Gは、緑色成分Gの光を透過するので、緑色成分Gの光が色成分切り替え盤7を透過し、投射光としてスクリーンSに投影され、色成分R、B、Yの光はスクリーンSに投影されない。
色成分切り替え盤7が、境界領域r6から境界領域r1までの範囲にあるときには、黄色成分Yの蛍光が透過領域7Yに導かれる。透過領域7Yは、黄色成分Yの光を透過するので、黄色成分Yの光が色成分切り替え盤7を透過し、投射光としてスクリーンSに投影され、色成分R、G、Bの光はスクリーンSに投影されない。
以上のようにして各色成分B、R、G、Yが時分割で順次投影されることで、目の残像現象を利用して、フルカラーの画像をスクリーンSに形成することができる。なお、各色成分B、R、G、Yの投射光が切り替わるとき、図5に示す期間で、複数の色成分の光が混色するスポークタイムが生じる。具体的には、図3において、色成分切り替え盤7の境界領域r3、r4、r5、r6に集束スポットBSP’が位置する時間は、複数の色成分の光が混色し、スポークタイムとなる。境界領域r3では黄色成分Yと青色成分Bの光が混色し、境界領域r4では青色成分Bと赤色成分Rの光が混色する。境界領域r5では赤色成分Rと緑色成分Gの光が混色し、境界領域r6では緑色成分Gと黄色成分Yの光が混色する。また、光路切り替え盤3において、レーザ光BPの集束スポットBSPが境界領域r1、r2に位置する時間も、レーザ光BPの反射と透過とが混在し、スポークタイムとなる。
この混色を防ぐためには、集束スポットBSP’が境界領域r3、r4、r5、r6を横切る時間帯でLD1aを消灯するか画像形成パネル(DMD)23をOFFし、スクリーンSに混色が導かれないようにする必要がある。しかしながら、これにより混色は生じなくなるものの、光がスクリーンSに導かれない時間が発生するため、スポークタイムが長いほど暗いプロジェクタとなる。一方、蛍光体ホイール5では、励起光が狭い面積で1点に集中することによる蛍光体焼け(高温化による黄色蛍光体の劣化)を防ぐためには、集束スポットBSP’’を大きくして励起光の光密度を小さくする必要がある。
なお、色成分切り替え盤7での集束スポットBSP’と蛍光体ホイール5での集束スポットBSP’’は略共役である。そのため、スポークタイムを低減すべく色成分切り替え盤7での集束スポットBSP’を小さくすると、蛍光体ホイール5での集束スポットBSP’’も小さくなってしまい、蛍光体焼けにつがなる。反対に、蛍光体焼けを防ぐべく蛍光体ホイール5での集束スポットBSP’’を大きくすると、色成分切り替え盤7での集束スポットBSP’も大きくなりスポークタイムが増大する。
このスポークタイム及び蛍光焼けの双方の抑制を可能とするため、本発明に係る実施例1では、楕円スポット形成手段により、レーザ光BPを楕円状に集光して導き、光路切り替え盤3に楕円の集束スポットBSPを形成している。このようなレーザ光BPが反射領域3aに反射されて色成分切り替え盤7に導かれることで、色成分切り替え盤7に楕円の集束スポットBSP’が形成される。また、レーザ光BPが透過領域3bを透過して励起光として蛍光体ホイール5に導かれることで、蛍光体ホイール5に楕円の集束スポットBSP’’が形成される。また、蛍光体ホイール5からは、蛍光が楕円状に発生し、この楕円状の蛍光が色成分切り替え盤7に導かれることで、色成分切り替え盤7に楕円の集束スポットBSP’が形成される。
そして、集束スポットBSPの長軸の方向が光路切り替え盤3の中心と外周部とを結ぶ放射方向(半径方向)になるような位置合わせで光路切り替え盤3を光路中に配置している。また、色成分切り替え盤7においては、図3に示すように集束スポットBSP’の長軸の方向が色成分切り替え盤7の放射方向になるような位置合わせで色成分切り替え盤7を投射光路X1に配置している。長軸の方向が放射方向になるとは、例えば光路切り替え盤3では、その平面視において、集束スポットBSPの長軸の方向が、光路切り替え盤3の中心O(図2参照)から放射方向(半径方向)に沿って配置されることをいう。放射方向とほぼ平行であることが望ましいが、スポークタイムが増加しない範囲であれば多少の傾斜は含まれる。一方、蛍光体ホイール5においては、図4に示すように集束スポットBSP’’の長軸の方向が蛍光体ホイール5の円周方向(回転方向)になるような位置合わせで励起光路X2に蛍光体ホイール5を配置している。
このような配置により、集束スポットBSPの短軸の方向が光路切り替え盤3の円周方向になり、集束スポットBSP’の短軸の方向が色成分切り替え盤7の円周方向になる。そのため、集束スポットBSP、BSP’が各境界領域r1〜r6を横切る時間を比較的短くすることができ、スポークタイムを抑制することができる。このスポークタイムの抑制と共に、蛍光体ホイール5では集束スポットBSP’’の面積を大きくできるので、蛍光体焼けを抑制することができる。
さらに、蛍光体ホイール5において集束スポットBSP’’の短軸の方向を蛍光体ホイール5の放射方向としている。そのため、蛍光領域5Yの黄色蛍光体に照射する励起光の集束スポットBSP’’の面積を大きくしても蛍光領域5Yの放射方向の幅を大きくする必要がない。したがって蛍光材料の塗布量を増やす必要がないのでコストの増大を抑制することができる。また、図1に示すように光路切り替え盤3はxz平面においてレーザ光BPの光軸に対して45°傾けているので、傾けることにより伸びる集束スポットBSPの方向は光路切り替え盤3の放射方向であり、スポークタイムの増大を招くことがない。
なお、本実施例では蛍光体ホイール5において集束スポットBSP’’の長軸の方向がホイールの円周方向となるようにしたが、本願がこれに限定されることはない。集束スポットBSP’’の長軸の方向が蛍光体ホイール5の放射方向になるようにすることもできる。これにより、蛍光体ホイール5を配置する位置に制限がなくなり、レイアウトの自由度が増す。
以下、実施例1における楕円スポット形成手段について、図6を用いて説明する。本実施例の楕円スポット形成手段は、集束スポットBSPの長軸の方向が光路切り替え盤3の放射方向にとなり、集束スポットBSP’の長軸の方向が色成分切り替え盤7の放射方向になるように配置したLD1aから構成される。図6(a)に典型的なLD1aの概略構成を示す。図6(a)中、符号ALは活性層であり、符号CLはクラッド層である。
この図6(a)に示すとおり、典型的なLD1aの活性層ALは非対称形状になっており、厚み方向(x方向)に比べて幅方向(y方向)が広い。結果として、LD1aは図6(b)に示すような楕円のビームすなわちレーザ光BP(z方向を光軸としたとき、x軸方向を長軸VAとし、y方向を短軸HAとする、xy平面の断面形状が楕円のビーム)を射出する。よって、図1の光学系に示した座標系において、LD1aを図6に示した向きで配置することにより、図2〜図4に示したような向きの楕円の集束スポットBSP、BSP’、BSP’’が得られる。
以上、実施例1では、青色成分Bの投射光は、高出力光源であるLD1aの光をそのまま用い、これを励起光として、蛍光領域5Yの黄色蛍光体から赤色成分Rと緑色成分Gとを含む黄色成分Yの光(投射光)を取り出している。さらに蛍光の色そのものも、黄色成分Yの投射光として使用している。そのため、例えば赤色成分Rの光を得るために赤蛍光体を用いる場合に比べて、ストークスロスを抑制することができ、蛍光の利用効率を向上させることができ、明るい光源装置10及びプロジェクタ100とすることができる。なお、ストークスロスとは、波長を変換するときに生じるロスのことをいう。光のエネルギーは波長に逆比例するので、変換する波長が長いほどロスが大きくなる。
また、青色成分B、赤色成分R、緑色成分G、黄色成分Yの投射光は、いずれもLD1aを光源として生成されているため、LD個数を増やすことで容易に高輝度化が可能であると共に、蛍光体への励起光の光密度を小さくできる。したがって、蛍光体焼けを抑制し、かつスポークタイムを小さくできるので、更に明るい光源装置10及びプロジェクタ100とすることができる。
また、LD1aの活性層ALの水平方向はビームの広がり角が小さい。そのため、LD1aの水平方向が光路切り替え盤3及び色成分切り替え盤7の円周方向になるようLD1aを配置することで、蛍光体焼けを抑制すべく集束スポットBSP、BSP’を大きく(長軸を長く)しても、集束スポットBSP、BSP’の長軸の方向が光路切り替え盤3及び色成分切り替え盤7の放射方向になる。その結果、スポークタイムの増大を抑制することができる。
なお、光路切り替え盤3を往復動する構成とした場合は、例えば光路切り替え盤3に並べて設けた反射領域3aと透過領域3bとを、往復動によりレーザ光BPの光路に交互に切り替えて配置する。このとき、集束スポットBSPの短軸が往復動の方向(変位方向)となり、長軸の方向が反射領域3aと透過領域3bとの境界に沿った方向となるようにする。これにより、反射領域3aと透過領域3bとの切り替えのときのスポークタイムを抑制することができる。
同様に、色成分切り替え盤7を往復動する構成とした場合は、例えば、色成分切り替え盤7に並べて設けた透過領域7B、7R、7G、7Yを、往復動により投射光路X1に順次切り替えて配置する。このとき、集束スポットBSP’’の短軸が往復動の方向となり、長軸の方向が各透過領域7B、7R、7G、7Yの境界に沿った方向となるようにする。これにより、各透過領域7B、7R、7G、7Yの切り替えのときのスポークタイムを抑制することができる。
(実施例2)
以下、実施例2のプロジェクタについて説明する。実施例2のプロジェクタは、楕円スポット形成手段を変更したこと以外は、図1に示す実施例1のプロジェクタと同様の基本構成を有している。そのため、図1の光学図に基づいて説明する。実施例3についても同様である。
実施例2では、図1に示される光源部1の集光レンズ1cをx方向とy方向とで曲率の異なるトロイダルレンズとすることで、楕円スポット形成手段を構成している。
また、図1ではLD1aを4個配置した例を示しているが、実施例2では図7に示すように8個のLD1a(4個ずつ2列に配置)用いた場合で説明する。まず、集光レンズ1c及び集光レンズ18をトロイダルレンズではなく球面レンズとした場合は、光路切り替え盤3、色成分切り替え盤7、蛍光体ホイール5では、各LD1aからのビーム(レーザ光BP)が1点に集光される。つまり、複数の光源から発生したビームや蛍光体から発生した蛍光が集光レンズによって集められ、光路切替え部材等の入射対象物の表面に1つの集束スポットが形成されるように入射する。この集束スポットの面積が小さい程、光密度が大きくなる。集束スポットの形状は、円形、楕円等が挙げられ、光源や集光レンズの光学性能によって異なる。複数のLD1aを用いた場合は楕円のビームが集められて1つの楕円の集束スポットが形成される。
これに対して、実施例2では、集光レンズ1cを上述のようなトロイダルレンズとすることで、図7(b)に示すような複数のビームBPが光源部1から射出される。よって図8に示すように、光路切り替え盤3には4つの集束スポットbsp(スポット群)が放射方向に一列に形成される。また、図9に示すように、色成分切り替え盤7にも、各色成分B、R、G、Yの光によって4つの集束スポットbsp’(スポット群)が放射方向に一列に形成される。結果として、光路切り替え盤3と色成分切り替え盤7に、放射方向(半径方向)に長尺で円周方向(回転方向)に短尺で全体形状がほぼ楕円の集束スポットBSP、BSP’が形成される。一方、図10に示すように、蛍光体ホイール5には4つの集束スポットbsp’’(スポット群)が円周方向に一列に形成され、結果として円周方向(回転方向)に長尺で放射方向(半径方向)に短尺で全体形状がほぼ楕円の集束スポットBSP’’が形成される。
本明細書でいう楕円の集束スポットには、図2〜図4に示される実施例1のように集束スポット自体が楕円のものだけでなく、実施例2の図8〜図10のように、一方向に複数の集束スポットが並んで形成された放射方向又は円周方向に長いスポット(スポット群)も、楕円の集束スポットに含まれる。また、楕円の集束スポットが複数集まって全体として1つの楕円の集束スポットとなる場合だけでなく、円形等の集束スポットが複数集まって全体として1つの楕円の集束スポットとなる場合も含まれる。
以上、実施例2では、複数配置した光源(LD1a)の2つの軸の集光度合いを変えることで、一方の軸は複数の光源からの光を集光させ、他方の軸は集光させないことができる。この集光させる軸が光路切り替え盤3と色成分切り替え盤7の円周方向になるようにすることで、スポット群の幅が短くなり(つまり、楕円の集束スポットBSP、BSP’の短軸が短くなる)、スポークタイムの増大を抑制することができる。また、蛍光体ホイール5では、円周方向にスポット群が並んで全体として楕円の集束スポットBSP’’が形成されることで、レーザ光BPが広い面積で照射され、レーザ光BPが1点に集中することによる蛍光体焼けを抑制することができる。また実施例2でも蛍光領域5Yの放射方向の幅を大きくする必要がなく、コストの増大を抑制することもできる。
なお、この実施例2では楕円スポット形成手段を集光レンズ1cで構成し、光路切替え盤3の上流側に配置することで、光路切替え盤3にも楕円の集束スポットBSPを形成している。しかし、本願がこの構成に限定されることはなく、例えば、光路切替え盤3の下流側の励起光路X2に配置された集光レンズ18をトロイダルレンズとし、楕円スポット形成手段とすることもできる。さらには、光路切替え盤3の上流側及び下流側、すなわち、集光レンズ1c及び集光レンズ18の双方をトロイダルレンズとして、楕円スポット形成手段とすることもできる。
例えば、実施例2の変形例として、集光レンズ18をトロイダルレンズとして楕円スポット形成手段を構成した場合について説明する。集光レンズ1cは球面レンズとする。この場合、光路切り替え盤3では各LD1aからの光が1点に集光されるが、その集束スポットの面積が小さくなるように集光することによって、光路切り替え盤3におけるスポークタイムを小さくすることができる。一方、トロイダルレンズからなる集光レンズ18によって、蛍光体ホイール5に図10に示すような集束スポットBSP’’が形成されるように励起光を集光することができる。また、集光レンズ18によって、色成分切り替え盤7に図9に示すような集束スポットBSP’が形成されるように蛍光を集光することができる。
以上、実施例2の変形例では、蛍光体焼けとスポークタイムとを抑制し、さらに、光路切り替え盤3では集束スポットBSPを小さくできるので、光路切り替え盤3のホイール径を小さくすることができ、プロジェクタの小型化が可能である。
また、実施例2の更なる変形例として、楕円スポット形成手段として光源部1の集光レンズ1c又は励起光路X2の集光レンズ18若しくはその両方をトロイダルレンズとするのと併せて、実施例1で図6を用いて説明したような向きでLD1aを配置することもできる。この場合も、集束スポットBSP、BSP’、BSP’’が楕円となることで、蛍光体への励起光の光密度を小さくして、蛍光体焼けを抑制しつつ、スポークタイも抑制できる。さらに、図8〜図10に示す各集束スポットbsp、bsp’、bsp’’の形状そのものを短軸がより短い楕円とすることができ、スポークタイムの抑制効果を向上させることができる。
(実施例3)
実施例3のプロジェクタについて説明する。実施例3のプロジェクタも、楕円スポット形成手段を変更したこと以外は、図1に示す実施例1のプロジェクタと同様の基本構成を有している。実施例3では、図1のLD1aに対応するカップリングレンズ1bを偏心することで、楕円スポット形成手段を実現している。
各LD1aに対して、それぞれのカップリングレンズ1bの偏心量を変えることで、実施例2と同様に、図8〜図10に示すように、複数の集束スポットbsp、bsp’、bsp’’を一方向に長尺に配列することができる。これにより、長軸の方向が各部材の放射方向になる楕円の集束スポットBSP、BSP’、BSP’’を形成することができる。
以上、実施例3のように、光源(LD1a)を複数備え、楕円スポット形成手段として、複数の光源にそれぞれ対応して配置されたカップリングレンズ1bを、それぞれ異なる偏心量で偏心させている。このようにカップリングレンズ1bを偏心することで、その他のレンズをトロイダル・シリンドリカルと言った特殊な形状のレンズにする必要が無いためコストを削減することができる。また、カップリング1bの偏心とトロイダル・シリンドリカルレンズを組み合わせる場合でも、カップリングレンズ1bを偏心しない場合に比べてレンズの曲率を小さくすることができるので、レンズの感度を小さくすることができ、公差によりレンズの位置が設計中心位置からずれた場合の効率の低下を抑制することができる。
なお、併せて集光レンズ1c又は集光レンズ18若しくはその両方をトロイダルレンズにすることもできる。これによりカップリングレンズ1bの偏心量を減らすことができるので、LD1aからのレーザ光BPのカップリングレンズ1bへの取り込み効率を向上させることができる。また、カップリングレンズ1bの偏心により各LD1aからの光を集めているので、集光レンズ1c、18はシリンドリカルレンズとすることもできる。さらに、これと併せて図6で説明したような向きでLD1aを配置することで、図8、図9に示す各集束スポットbsp、bsp’の形状を長軸の方向が放射方向になる楕円とすることができ、スポークタイムを更に抑制することができる。また、図10に示す集束スポットbsp’’の形状を長軸の方向が円周方向となる楕円とすることができ、蛍光体への励起光の密度を更に小さくすることができる。なお、楕円の集束スポットBSP、BSP’、BSP’’が形成できれば、楕円スポット形成手段が実施例1〜実施例3で挙げたものに限定されることはなく、他の何れの手段をも用いることができる。
(実施例4)
実施例4のプロジェクタを、図11、図12に基づいて説明する。図11は実施例4のプロジェクタ100Aの光学系の要部構成を示す光学図である。実施例4のプロジェクタ100Aは、図12に示すような蛍光体ホイール51を用い、楕円のスポットBSP’’の長軸の方向が放射方向となるように蛍光体ホイール51を配置したこと以外は、図1に示す実施例1のプロジェクタ100と同様の基本構成を有している。そのため、図11において実施例1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。以降の実施例5についても同様である。
前述の実施例1では、図4に示すように、蛍光体ホイール5に黄色成分Yの蛍光を発生する黄色蛍光材料のみを塗布してリング状の蛍光領域Yを形成している。これに対して、本実施例では、図12に示すように、蛍光体ホイール51に、黄色成分Yの蛍光を発生する蛍光材料を用いた扇形状の蛍光領域5Y’と、緑色成分Gの蛍光を発生する蛍光材料を用いた扇形状の蛍光領域5Gとを形成している。これにより、緑色成分Gの投射光を得る期間(図5参照)には、扇形状の蛍光領域5Gにレーザ光BPが照射される構成としている。
図12において、符号r5’、r6’は蛍光領域5Y’と蛍光領域5Gとの境界領域を示している。その蛍光領域5Yの境界領域r6’から境界領域r5’までの回転角度θの角度範囲は色成分切り替え盤7の境界領域r6から境界領域r5までの回転角度θの角度範囲に対応し、蛍光体ホイール51は、光路切り替え盤3、色成分切り替え盤7と同期回転される。
本実施例においては、図6で説明したようなLD1aの配置とすることで、x方向に長尺な楕円のレーザ光BPとしている。そして、図12に示すとおり、レーザ光BPによる集束スポットBSP’’の長軸の方向が放射方向になるように蛍光体ホイール51を配置している。これにより、境界領域r5’、r6’における緑色成分Gの蛍光と黄色成分Yの蛍光との混色時間を低減することができるので、実施例1と同様に、蛍光体焼けを防ぎながらスポークタイムを減らすことができる。
本実施例の構成では、さらに、色成分切り替え盤7の透過領域7Gには、蛍光領域5Gから発生する緑色成分Gの蛍光のみが導かれるので、黄色成分Yの蛍光から緑色成分Gの蛍光を抽出する必要がない。その結果、黄色成分Yの蛍光のみを利用する場合に較べて、蛍光の利用効率を高めることがでる。
また、この場合、透過領域7Gを緑色成分Gの蛍光の波長のうち特定波長域の蛍光をカットする構成とすることもできる。これにより、色度の調整、例えば、長波長域の光をカットすることで、緑色成分Gの光の純度を向上させることができる。
以上、実施例4では、蛍光体に、黄色成分の蛍光を発生する蛍光領域5Y’と緑色成分の蛍光を発生する蛍光領域5Gとが形成されている。したがって、ストークスロスが小さく、かつ視感度の高い黄色蛍光体及び緑蛍光体を用いることで、明るく高出力な光源装置10とすることができ、明るいプロジェクタ100Aとすることができる。加えて緑蛍光体を緑色成分Gの照射光(投射光)に使用することで黄色から緑を取り出すよりも高効率となり、更に高出力な光源装置10となる。
なお、実施例4の変形例として、蛍光体ホイール51に黄色成分Yの蛍光を発生する蛍光領域5Yと赤色成分Rの蛍光を発生する蛍光領域とを形成した構成とすることもできる。そして、赤色成分Rの投射光を得る期間には、赤色成分Rの蛍光領域にレーザ光BPが照射されるように構成する。これにより、この蛍光領域から発生した赤色成分Rの蛍光を投射光として使用することができ、蛍光の利用効率を高めて明るい光源装置10及びプロジェクタ100とすることができる。さらに、透過領域7Rを赤色成分Rの蛍光の波長のうち特定波長域の蛍光をカットする構成とすることにより、赤色成分Rの光の純度を向上させることができる。
また、蛍光ホイール51の変形例として、無端ベルトに蛍光領域5Yと蛍光領域Gとを形成して蛍光体とすることもできる。この場合は、無端ベルトの回転方向(変位方向)が集束スポットBSP’’の短軸の方向となるように励起光を照射することで、蛍光の混色を抑制することができる。
(実施例5)
実施例5のプロジェクタを、図13、図14に基づいて説明する。図13は実施例5のプロジェクタ100Bの光学系の要部構成を示す光学図である。実施例5のプロジェクタ100Bは、レーザ光BPの光路に光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)を配置している。この光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)は、光路切り替え部材と色成分切り替え部材とが一体化されたものである。
実施例5では、実施例1同様の光源部1を用い、LD1aを図6のように配置して、x軸方向に長い楕円のレーザ光BPを照射光及び励起光として発生する。蛍光体ホイール5は、実施例1と同様に、少なくとも2色の色成分を含む蛍光(赤色成分Rと緑色成分Gとを含む黄色成分Yの蛍光)を発生する蛍光材料からなる蛍光体が形成されている。また、図13に示すように、励起光であるレーザ光BPの照射により、実施例1と同様に、長軸の方向が蛍光体ホイール5の円周方向になる楕円の集束スポットBSP’’が形成されるように、蛍光体ホイール5を配置している。これにより、励起光の密度と蛍光体材料の塗布量との低減を図っている。なお、本実施例でも、図12に示される実施例4のように、楕円の集束スポットBSP’’の長軸の方向が蛍光体ホイール5の放射方向になるような配置とすることもできる。
実施例5の光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)は、図14に示すように、回転方向Z1に分割された透過領域3a’と反射透過領域3b’とを有する。この光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)に、上述のようなレーザ光BPが照射されることで、長軸の方向が放射方向となる楕円の集束スポットBSPが形成される。
透過領域3a’を透過したレーザ光BPは、集光レンズ12Bにより平行光束とされ、反射ミラー19B1、19B2により反射されてダイクロイックミラー13Bに導かれ、集光レンズ14Bにより集光されてライトトンネル20に導かれる。なお、この実施例5では、拡散板11Bは、反射ミラー19B1と反射ミラー19B2との間に配置されている。ライトトンネル20以降の光学系の構成は実施例1と同様である。
反射透過領域3b’は、図14に示すように、レーザ光BPを反射し赤色成分Rの蛍光を透過する扇形状の反射透過領域3bRと、緑色成分Gの蛍光を透過する扇形状の反射透過領域3bGと、黄色成分Yの蛍光(赤色成分Rの蛍光と緑色成分Gの蛍光とを含む蛍光)を透過する扇形状の反射透過領域3bYとに三分割されている。これにより、本実施例5では、光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)は90度毎に4個の領域(透過領域3a’及び反射透過領域3bR、3bG、3bY)に分割される。
反射透過領域3b’にレーザ光BPが当たると、レーザ光BPが集光レンズ16Bに向けて反射され、この集光レンズ16Bにより平行光束とされる。この平行光束は、励起光路X2の第2拡散板15Bを通って集光レンズ18Bに導かれ、この集光レンズ18Bにより集光されて蛍光体ホイール5に照射される。これにより、蛍光体ホイール5には、実施例1と同様に長軸の方向が円周方向となる楕円の集束スポットBSP’’が形成され(図4参照)、レーザ光BPの照射面積を大きくできる。
この蛍光体ホイール5に照射されたレーザ光BPにより、黄色成分Yの蛍光が生成され、この蛍光は励起光路X2を再び通って、光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)の反射透過領域3b’に導かれる。
この反射透過領域3b’において、扇形状の反射透過領域3bRに黄色成分Yの蛍光が当たると、緑色成分Gの蛍光がカットされ、集光レンズ12Bに赤色成分Rの蛍光のみが導かれる。集光レンズ12Bは、その赤色成分Rの蛍光を集光して平行光束としてダイクロイックミラー13Bに導く。ダイクロイックミラー13Bは、赤色成分Rの蛍光と、緑色成分Gの蛍光とを透過し、青色成分Bのレーザ光BPを反射する特性を有する。
扇形状の反射透過領域3bGに黄色成分Yの蛍光が当たると、赤色成分Rの蛍光がカットされ、集光レンズ12Bに緑色成分Gの蛍光のみが導かれる。集光レンズ12Bは、その緑色成分Gの蛍光を集光して平行光束としてダイクロイックミラー13Bに導く。
扇形状の反射透過領域3bYに黄色成分Yの蛍光が当たると、赤色成分Rの蛍光と緑色成分Gの蛍光とが集光レンズ12Bに導かれる。集光レンズ12Bは、その緑色成分Gの蛍光と赤色成分Rの蛍光を集光して平行光束としてダイクロイックミラー13Bに導く。
実施例5においても、集束スポットBSP’が長軸の方向を放射方向とする楕円であるため、透過領域3a’及び反射透過領域3bR、3bG、3bYの各境界領域r3、r4、r5、r6を通過することによる各色の混色時間を短くすることができる。
また、実施例5では、光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)とダイクロイックミラー13Bとの間の光路が蛍光をライトトンネル20に導く蛍光光路X3となっている。光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)は、レーザ光BPを励起光として蛍光体ホイール5に導く励起光路X2とレーザ光BPを青色成分Bの投射光として導く投射光路X1との間で光路を切り替える光路切り替え部材としての機能を有する他、蛍光体ホイール5により生じた蛍光をダイクロイックミラー13Bに導く機能を有する。このように、ダイクロイックミラー13Bは、実施例5では、蛍光光路X3と投射光路X1との光路を合成する光路合成部として機能する。
以上、実施例5においても、レーザ光BPの集束スポットBSPの長軸の方向を光路切り替え盤31の放射方向とすることで、蛍光体焼けを抑制しながらスポークタイムを抑制することができる。また、蛍光の利用効率を高めて、明るい光源装置10及びプロジェクタ100Bとすることができる。さらに、実施例5では、光路切り替え盤31と色成分切り替え盤71とが一体構成とされているので、回転盤の個数を削減でき、光源装置10及びプロジェクタ100Bの構成の簡略化、コストの低減を図ることができる。
また、実施例1〜実施例4のように、光路切り替え盤3と色成分切り替え盤7とが別々に形成されている場合には、これらを同期して回転制御する必要がある。しかしながら、この実施例5では、光路切り替え盤31と色成分切り替え盤71とが一体に形成されているので、これらを同期制御する必要はなく、回転制御の簡単化を図ることができる。
より具体的には、例えば、図12に示す実施例4のように、蛍光体ホイール5を黄色成分Yの蛍光を発生する蛍光領域5Yと緑色成分Gの蛍光を発生する蛍光領域5Gとに分けて形成したとする。この場合、実施例4では、既述したように、光路切り替え盤3と、色成分切り替え盤7と、蛍光体ホイール5の三者を同期して回転制御する必要がある。これに対して、この実施例5の場合には、蛍光体ホイール5と光路切り替え盤31(色成分切り替え盤71)との二者のみを同期制御するのみで足りるので、回転制御の簡単化を図ることができる。
なお、この実施例5ではレーザ光BPを反射させて励起光路X2を形成しかつレーザ光BPを透過させて投射光路X1を形成している。しかしながら、レーザ光BPを反射させて投射光路X1を形成しかつレーザ光BPを透過させて励起光路X2を形成する構成とすることもできる。
以上、本願の光源装置及び投射表示装置を、各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本願の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。また、前記構成部材の数、位置、形状等は各実施例に限定されることはなく、本願を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。また、上記各実施例では、投射表示装置として、スクリーン等の投影面に画像を投影して拡大表示するプロジェクタに適用した例を説明したが、本願がこれらの実施例に限定されることはない。例えば、半導体デバイスの制作工程でウェハー上に回路パターンを露光する露光装置としての投射表示装置等に適用することもできる。