JP6438449B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両制御装置に関する。
自動車の各車輪に個別に制動力を与えるブレーキを設け、旋回時に運転者のブレーキ操作とは無関係に内輪側のブレーキによって制動力を生じさせ、車両にヨーモーメントを発生させて車両の旋回性を向上させる車両制御装置が公知である(例えば、特許文献1)。
特許5358487号明細書
しかしながら、上記のような車両制御装置は、運転者のブレーキ操作とは無関係にブレーキが作動して制動力が生じるため、車両は運転者が意図せず減速することになり、運転者が違和感を覚える虞がある。特に、コーナー後半からコーナー出口にかけて運転者が車両を加速させるべくアクセルペダルを踏み込むときにブレーキの制動力が加わっていると、車両の加速が抑制され、運転者は車両に対して応答性が悪いと感じる虞がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、各車輪の制駆動力を制御することによって車両挙動を制御する車両制御装置において、運転者の意図しない減速を抑制することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の一態様は、車両の車輪に駆動力を与える駆動力発生装置、及び前記車輪のそれぞれに設けられて制動力を前記車輪に個別に与える複数の制動力発生装置を制御する車両制御装置であって、前記車両のヨー、ロール及びピッチの少なくとも一つのモーメントを制御すべく前記制動力発生装置のそれぞれの目標制動力を演算する制動力演算手段と、アクセルペダル位置に基づいて取得される運転者の加減速要求に応じて前記駆動力発生装置の目標駆動力ベース値を設定すると共に、前記目標制動力の合計値が0より大きい場合に前記目標駆動力ベース値に加算するべき目標駆動力加算値を設定し、前記目標駆動力ベース値と前記目標駆動力加算値とに基づいて目標駆動力を設定する駆動力演算手段とを有し、前記目標制動力に基づいて前記制動力発生装置を制御すると共に、前記目標駆動力に基づいて前記駆動力発生装置を制御することを特徴とする。
この態様によれば、各モーメントを制御するべく制動力発生装置が制動力を発生させる場合には、目標駆動力加算値が設定され、駆動力発生装置が車輪に駆動力を与えるため、運転者が意図しない減速が抑制される。
また、上記の態様において、前記駆動力演算手段は前記加減速要求が減速側であるときに前記目標駆動力加算値を0にするとよい。
この態様によれば、運転者の減速要求に反して、車両を加速させることがない。
また、上記の態様において、前記駆動力演算手段は前記目標駆動力加算値の絶対値を前記目標制動力の合計値の絶対値以下にするとよい。
この態様によれば、駆動力発生装置が付加的に発生する駆動力は制動力発生装置が発生する減速力以下になり、意図しない加速が生じない。
また、上記の態様において、前記駆動力演算手段は前記加減速要求が加速側において値が大きいほど前記目標駆動力加算値を増加させるとよい。
この態様によれば、加減速要求が加速側において大きいほど、駆動力発生装置が大きい駆動力を発生するため、車両は応答性良く加速することができる。
また、上記の態様において、車速及び操舵角を含む車両状態情報を取得する車両状態検出手段と、前記車両の実際の諸元を表す実諸元情報及び前記車両状態情報に基づいて、前記車両に生じるべきヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを実車両推定モーメントとして推定する実車両挙動推定手段と、仮想の理想車両の諸元として設定される理想諸元情報及び前記車両状態情報に基づいて、前記理想車両に生じるべきヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを理想車両推定モーメントとして推定する理想車両挙動演算手段とを有し、前記理想車両推定モーメント及び前記実車両推定モーメントのそれぞれ対応する各モーメントの差として与えられるモーメント差分に基づいて、前記モーメント差分のそれぞれに応じた各モーメントを前記制動力発生装置によって発生させるべく前記制動力発生装置の前記目標制動力を演算するとよい。
この態様によれば、簡単な手法でヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを制御することができる。
以上の構成によれば、各車輪の制駆動力を制御することによって車両挙動を制御する車両制御装置において、運転者の意図しない減速を抑制することができる。
実施形態に係る車両の構成図 実施形態に係る車両のアンチダイブ角及びアンチリフト角を示す説明図であって、(A)側面図、(B)平面図 制御装置の運動制御部の機能ブロック図 (A)横加速度係数、(B)車速係数を示すグラフ (A)フロント係数、(B)リア係数を示すグラフ 付加駆動力係数を示すグラフ
以下、図面を参照して、本発明に係る車両制御装置の実施形態について説明する。
図1に示すように、実施形態に係る4輪自動車である車両1は、左右のフロントサスペンション3を介して車体2に支持された左右の前輪4と、左右のリアサスペンション5を介して車体2に支持された左右の後輪6とを有する。各サスペンション3、5は、車体2に回動可能に支持されたサスペンションアーム3A、5Aと、サスペンションアーム3A、5Aに支持され、前輪4又は後輪6を回転可能に支持するナックル3B、5Bと、車体2とサスペンションアーム3A、5Aとの間に設けられたばね3C、5C及びショックアブソーバ3D、5Dとを有する。
フロントサスペンション3はアンチダイブジオメトリを有し、リアサスペンション5はアンチリフトジオメトリを有する。図2(A)に示すように、フロントサスペンション3は、車体2に対する前輪4の瞬間回転中心Cfが前輪4の接地点Efよりも上方かつ後方に位置する。水平面と前輪4の接地点Ef及び瞬間回転中心Cfを結ぶ線分とは、角度θf(アンチダイブ角という)をなす。前輪4に車両後方を向く力である制動力Fxfが加わったとき、前輪4の瞬間回転中心Cfには前輪4の接地点Ef及び瞬間回転中心Cfを結ぶ線分に沿った向きの力Fsfが作用する。力Fsfの水平成分は制動力Fxfであり、垂直成分Fadは車体前部を上方に持ち上げる力、すなわちアンチダイブ力として作用する。垂直成分Fadは、Fxf・tanθfとして算出することができる。
リアサスペンション5は、車体2に対する後輪6の瞬間回転中心Crが後輪6の接地点Erよりも上方かつ前方に位置する。水平面と後輪6の接地点Er及び瞬間回転中心Crを結ぶ線分とは、角度θr(アンチリフト角という)をなす。後輪6に車両後方を向く制動力Fxrが加わったとき、瞬間回転中心Crには後輪6の接地点Er及び瞬間回転中心Crを結ぶ線分に沿った向きの力Fsrが作用する。力Fsrの水平成分は制動力Fxrであり、垂直成分Falは車体後部を下方に押し下げる力、すなわちアンチリフト力として作用する。Falは、Fxr・tanθrとして算出することができる。
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、車輪4、6を駆動する動力源8(パワープラント)を有する。動力源8は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関及び電動モータの少なくとも一方であってよい。本実施形態に係る車両1は、動力源8の駆動力が左右の前輪4に伝達される前輪駆動車であるが、他の実施形態では四輪駆動車や後輪駆動車であってよい。
車両1の操舵装置10は、自身の軸線を中心として回動可能に支持されたステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の一端に設けられたステアリングホイール12と、ステアリングシャフト11の他端に設けられたピニオンに噛み合うと共に、左右に延びて左右両端においてタイロッドを介して前輪4に対応した左右のナックル3Bに連結されたラック軸14とを有する。ステアリングシャフト11に連結されたステアリングホイール12が回転すると、ラック軸14が左右に移動して前輪4に対応したナックル3Bが回動し、左右の前輪4が転舵する。また、ステアリングシャフト11には、運転者による操舵に応じてアシストトルクを付与する電動モータが設けられている。
各前輪4及び各後輪6には、それぞれ制動力発生装置20が設けられている。制動力発生装置20は、例えばディスクブレーキであり、油圧供給装置21から供給される油圧によって制御され、対応する前輪4及び後輪6に制動力を与える。油圧供給装置21は各制動力発生装置20に供給する油圧を独立して制御することができ、各制動力発生装置20が対応する前輪4及び後輪6に与える制動力は互いに独立して変更可能である。
車両1には、制御装置30(車両制御装置)が設けられている。制御装置30は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成された電子制御回路(ECU)である。制御装置30は、運動制御部31と、駆動力制御部32、ブレーキ制御部33とを有している。運動制御部31は、車両の運動状態を表す車両状態量に基づいて、車両1に付加すべき付加ヨーモーメント、付加ロールモーメント、付加ピッチモーメントを演算し、演算した各モーメントを発生させるべく、油圧供給装置21を制御して各制動力発生装置20を駆動する。車両状態量には、前輪4の舵角である前輪舵角δfや、車両1の速度である車速V、車両1の横加速度Gy、アクセルペダルの位置(踏み込み位置)であるアクセルペダル位置PA、車両1に実際に生じているヨーレート、車両1の前後加速度等が含まれる。駆動力制御部32は、アクセルペダルの操作量に基づいて動力源8を制御する。ブレーキ制御部33は、ブレーキペダルの操作量に基づいて各制動力発生装置20が発生すべき制動力を演算し、演算した制動力に基づいて油圧供給装置21を制御する。
車体2には、車両状態検出手段としての車速センサ36、前輪舵角センサ37、横加速度センサ38、アクセルペダルセンサ39が設けられている。車速センサ36は、各車輪4、6に設けられ、車輪4、6の回転に応じて発生するパルス信号を制御装置30に出力する。制御装置30は、各車速センサ36からの信号に基づいて、各車輪4、6の車輪速を取得すると共に、各車輪速を平均することによって車速Vを取得する。前輪舵角センサ37は、ステアリングシャフト11の回転角に応じた信号を制御装置30に出力する。横加速度センサ38は、車体2に発生している車両1の横加速度を検出するセンサであり、横加速度に応じた信号を制御装置30に出力する。アクセルペダルセンサ39は、アクセルペダルの位置(踏み込み位置)を検出するセンサであり、アクセルペダルの位置に応じた信号を制御装置30に出力する。制御装置30は、前輪舵角センサ37からの信号に基づいて前輪4の操舵角である前輪舵角δfを取得し、横加速度センサ38からの信号に基づいて車両1に生じる横加速度Gyを取得し、アクセルペダルセンサ39からの信号にアクセルペダル位置PAを取得する。また、車体2には、車両1に生じているヨーレートを検出するヨーレートセンサや、車両1の前後加速度を検出する前後加速度センサ、ブレーキペダルの位置を検出するブレーキペダルセンサ等が設けられ、制御装置30はヨーレート、前後加速度、ブレーキペダル位置等に基づいて制御を行ってもよい。
図3に示すように、運動制御部31は、実車両挙動推定部51と、理想車両諸元設定部52と、理想車両挙動推定部53と、減算部54と、制動力演算部55と、油圧供給装置制御部56と、付加トルク演算部57とを有する。
実車両挙動推定部51は、車両1の実際の諸元を表す実車両諸元情報及び車両状態情報に基づいて、車両1に生じるべきヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを実車両推定ヨーモーメントMz,r、実車両推定ロールモーメントMx,r、実車両推定ピッチモーメントMy,rとして推定する。実車両諸元情報は、車両1の実際の諸元として予め記憶された値であり、前輪4のコーナリングパワーKf,r、後輪6のコーナリングパワーKr,r、車体重量m,r、重心から前輪車軸までの距離lf,r、重心から後輪車軸までの距離lr,r、ホイールベースl,r、ばね上重量ms,r、重心の高さh,r、ばね上重心とロール軸との距離hs,r、アンチダイブ角θf,r、アンチリフト角θr,r等を含む。ここで、各諸元の記号の添え字「r」は、車両1(実者量)の諸元であることを表す。車両状態情報は、少なくとも車速Vと前輪舵角δfとを含む。実車両挙動推定部51は、下記の公知の数式(1)〜(4)に基づく車両モデルを使用し、実車両諸元情報及び車両状態情報に基づいて、実車両推定ヨーモーメントMz,r、実車両推定ロールモーメントMx,r、実車両推定ピッチモーメントMy,rを演算する。
Figure 0006438449
Figure 0006438449
Figure 0006438449
Figure 0006438449
ここで、βはスリップ角、φはロール角、θはピッチ角、γはヨーレート、Kφはロール剛性、Cφはロール運動の等価粘性摩擦係数、Kθはピッチ剛性、Cθはピッチ運動の等価粘性摩擦係数、Izはヨー慣性モーメント、Ixはロール慣性モーメント、Iyはピッチ慣性モーメント、ρは制駆動力の前後分配比である。
理想車両諸元設定部52は、仮想の理想車両の諸元として予め設定された理想車両諸元情報を車両状態情報に基づいて変更する。理想車両諸元情報は、理想車両の前輪4のコーナリングパワーKf,i、後輪6のコーナリングパワーKr,i、車体重量m,i、重心から前輪車軸までの距離lf,i、重心から後輪車軸までの距離lr,i、ホイールベースl,i、ばね上重量ms,i、重心の高さh,i、ばね上重心とロール軸との距離hs,i、アンチダイブ角θf,i、アンチリフト角θr,i等を含む。ここで、各諸元の記号の添え字「i」は、理想車両の諸元であることを表す。
理想車両諸元設定部52は、第1の処理として、横加速度Gy及び車速Vに基づいて理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iを変更(補正)する。本実施形態では、理想車両諸元設定部52は、横加速度Gyが増加するにつれて理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iを増加させる。また、理想車両諸元設定部52は、車速Vが所定の中速域にある場合に、車速Vが所定の低速域又は高速域にある場合よりも理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iを増加させる。理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iは、横加速度Gyに応じて設定される横加速度係数K1と、車速V応じて設定される車速係数K2とによって変更される。図4(A)に示すように、横加速度係数K1は、横加速度Gyが比較的小さい領域では1に設定され、横加速度Gyが所定の値より大きい領域では横加速度Gyの増加に応じて増加する。図4(B)に示すように、車速係数K2は、車速Vが所定の中速域では1に設定され、中速域より車速Vが大きい高速域及び中速域より車速Vが小さい低速域では0にされる。理想車両諸元設定部52は、次の数式(5)に基づいて前輪コーナリングパワーKf,iの変更値Kf,imを設定する。
Figure 0006438449
理想車両諸元設定部52は、第2の処理として、運転者の加減速要求に基づいて理想車両の前輪コーナリングパワーKf,i及び後輪コーナリングパワーKr,iを変更する。本実施形態では、理想車両諸元設定部52は、運転者の加減速要求が減速側である場合に、加速側である場合に比べて、前輪コーナリングパワーKf,iを大きくし、後輪コーナリングパワーKr,iを小さくする。理想車両諸元設定部52は、アクセルペダル位置PAを微分したアクセルペダル速度に基づいてドライバ要求前後加速度Gx,tを演算し、ドライバ要求前後加速度Gx,tに基づいて設定されるフロント係数K3及びリア係数K4によって理想車両の前輪コーナリングパワーKf,i及び後輪コーナリングパワーKr,iを変更する。図5(A)に示すように、フロント係数K3は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0以上(加速側)のときに1に設定され、0未満(減速側)のとき1より大きい値に設定される。また、フロント係数K3は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0未満のとき、その絶対値の増加に応じて増加するように設定される。図5(B)に示すように、リア係数K4は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0以上のとき1に設定され、0未満のとき1より小さい値に設定される。また、リア係数K4は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0未満のとき、その絶対値の増加に応じて減少するように設定される。理想車両諸元設定部52は、次の数式(6)、(7)に基づいて理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iの変更値Kf,im及び後輪コーナリングパワーKr,iの変更値Kr,imを設定する。
Figure 0006438449
Figure 0006438449
理想車両諸元設定部52は、上記の第1の処理及び第2の処理のいずれかを実行する。また、理想車両諸元設定部52は、上記の第1の処理及び第2の処理の両方を実行する場合には、数式(5)、(6)、(7)に代えて次の数式(8)及び(7)によって理想車両の前輪コーナリングパワーKf,iの変更値Kf,imを設定するとよい。
Figure 0006438449
理想車両諸元設定部52は、理想車両諸元情報の少なくとも一部を変更し、変更しない理想車両諸元情報は予め設定された初期値を維持する。理想車両諸元設定部52は、変更した理想車両諸元情報、及び初期値のままの理想車両諸元情報を理想車両挙動推定部53に入力する。
理想車両挙動推定部53は、上記の数式(1)〜(4)に基づく車両モデルを使用し、理想車両諸元設定部52から取得する変更された理想車両諸元情報、及び初期値のままの理想車両諸元情報と、車両状態情報とに基づいて、理想車両に生じるべきヨーモーメントを目標ヨーモーメントMz,iとして演算し、理想車両に生じるべきロールモーメントを目標ロールモーメントMx,iとして演算し、理想車両に生じるべきピッチモーメントを目標ピッチモーメントMy,iとして演算する。
減算部54は、理想車両挙動推定部53が演算した各目標モーメントと、実車両挙動推定部51が演算した実車両の各推定モーメントとの差分を演算し、ヨーモーメント差分ΔMz(=Mz,i−Mz,r)、ロールモーメント差分ΔMx(=Mx,i−Mx,r)、ピッチモーメント差分ΔMy(=My,i−My,r)を演算する。
制動力演算部55は、各モーメント差分ΔMz、ΔMx、ΔMyに対応したモーメントを車両1に生じさせるために、前輪4及び後輪6に発生させるべき制動力を演算する。右前輪の制動力Fxfr、左前輪の制動力Fxfl、右後輪の制動力Fxrr、左後輪の制動力Fxrlは、次の数式(9)〜(10)に基づいて演算される。
Figure 0006438449
Figure 0006438449
Figure 0006438449
制動力演算部55は、ヨーモーメント差分ΔMzに対応したヨーモーメントを発生させるために必要な第1制動力と、ロールモーメント差分ΔMxに対応したロールモーメントを発生させるために必要な第2制動力と、第1制動力及び第2制動力のそれぞれによって生じるピッチモーメントをキャンセルし、かつピッチモーメント差分ΔMyに対応したピッチモーメントを発生させるために必要な第3制動力とを個別に演算し、演算した第1〜第3制動力を全て加算することによって各車輪の制動力Fxfr、Fxfl、Fxrr、Fxrlを演算する。
制動力演算部55は、ヨーモーメントに対応した第1制動力の演算では、数式(9)〜(11)において、Mz=ΔMz、Mx=0を設定する。また、制動力演算部55は、前輪舵角δfに基づいて旋回方向を特定し、旋回外周側の前輪4及び後輪6の制動力を0に設定する(Fxfr=Fxrr=0又はFxfl=Fxrl=0)。これらによって、制動力演算部55は、旋回内周側の前輪4及び後輪6が発生すべき第1制動力を演算する。第1制動力は、ヨーモーメント及びピッチモーメントを生じさせ、ロールモーメントを生じさせない。第1制動力によって生じるピッチモーメントをMy1とする。
制動力演算部55は、ロールモーメントに対応した第2制動力の演算では、数式(9)〜(11)において、Mx=ΔMx、Mz=0を設定する。また、制動力演算部55は、対角位置に位置する車輪4、6の組の一方の制動力を0に設定する(Fxfr=Fxrl=0又はFxfl=Fxrr=0)。これらによって、制動力演算部55は、対角位置に位置する車輪4、6の組の一方が発生すべき第2制動力を演算する。第2制動力は、ロールモーメント及びピッチモーメントを生じさせ、ヨーモーメントを生じさせない。第2制動力によって生じるピッチモーメントをMy2とする。
制動力演算部55は、ピッチモーメントのみに対応した第3制動力の演算では、数式(9)〜(11)において、My=ΔMy−My1−My2、Mz=Mx=0を設定する。また、制動力演算部55は、左右の前輪4が発生すべき制動力を等しく設定し(Fxfr=Fxfl)、かつ左右の後輪6が発生すべき制動力を等しく設定する(Fxrr=Fxrl)。これらによって、制動力演算部55は、各前輪4及び各後輪6が発生すべき第3制動力を演算する。第3制動力は、ピッチモーメントのみを生じさせ、ヨーモーメント及びロールモーメントを生じさせない。第1制動力、第2制動力、及び第3制動力のそれぞれによって生じるピッチモーメントの合計が、ピッチモーメント差分ΔMyになる。
油圧供給装置制御部56は、制動力演算部55によって演算された各車輪に発生させるべき制動力Fxfr、Fxfl、Fxrr、Fxrlに基づいて、各車輪の制動力発生装置20に供給すべき油圧を演算し、この油圧を実現するように油圧供給装置21を制御する。
付加トルク演算部57は、各車輪が発生すべき制動力Fxfr、Fxfl、Fxrr、Fxrlの総和である総制動力Ftに応じて、動力源8が付加的に発生すべき付加トルクTadを演算する。付加トルクTadは、総制動力Ftによって生じる車両1の減速を抑制するために、動力源8が発生すべきトルクを表す。付加トルク演算部57は、制動力演算部55によって演算された各車輪が発生すべき制動力Fxfr、Fxfl、Fxrr、Fxrlを合計して総制動力Ftを演算する。また、付加トルク演算部57は、ドライバ要求前後加速度Gx,tに基づいて付加トルク係数K5を設定し、次の数式(12)に示すように、総制動力Ftに付加トルク係数K5を乗じることによって付加トルクTadを演算する。図6に示すように、付加トルク係数K5は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0未満(減速側)のとき0に設定され、0以上(加速側)のときに0より大きく1以下の値に設定される。付加トルク係数K5は、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0以上のとき、ドライバ要求前後加速度Gx,tが0から所定の値まで増加するときに、0から1まで増加し、ドライバ要求前後加速度Gx,tが所定の値以上の範囲において1で一定となる。
Figure 0006438449
駆動力制御部32は、通常の駆動力制御に基づいて演算される目標トルクベース値Tbに付加トルク演算部57によって演算された付加トルクTadを加算して目標トルクTtを演算する。駆動力制御部32は、通常の駆動力制御では、例えば、アクセルペダル位置PAと、動力源8(内燃機関)の回転数とに基づいてマップを参照し、目標トルクベース値Tbを設定するとよい。駆動力制御部32は、目標トルクTtに基づいて駆動源を制御する。これにより、付加トルクTadを加味した駆動力が駆動源から各車輪に伝達され、各制動力発生装置20の制動力に起因する減速が抑制される。
以上のように構成した車両1の制御装置30は、ヨーモーメント、ロールモーメント及びピッチモーメントを制御するため、目標とする車両挙動を適切に実現することができる。制御装置は、実車両推定モーメントと目標モーメントとの差分であるモーメント差分に基づいて制駆動力発生装置が発生すべき制駆動力を設定するため、車両1の挙動は理想車両の挙動に近づくことになる。例えば、車両1がコンパクトカーである場合に、理想車両諸元情報としてスポーツカーやセダン(サルーン)に類似した諸元情報を保持させることによって、車両1の挙動をスポーツカーやセダンに近づけることができる。車両諸元情報は車両の走行性との関係が明確であるため、車両1の開発者は要求される走行性に応じた理想車両諸元情報を比較的容易に設定することができる。本実施形態に係る制御装置30では、実車両諸元情報ではなく理想車両諸元情報に基づいて車両の走行性が定まるため、実車両諸元情報が異なる様々な車種への適用が容易であり、汎用性が高い。
また、理想車両諸元情報が車両状態情報に基づいて変更されるため、理想車両の挙動は車両の走行状態に応じて一層適切な挙動となり、実際の車両の挙動も理想車両の挙動に応じて適切な挙動となる。図4(A)及び(B)に示す横加速度係数K1及び車速係数K2と、数式(5)とに基づいて理想車両のコーナリングパワーKf,iを変更することによって、中速での旋回を安定性良く行うことができる。車速係数K2は、図4(B)に示すように、旋回性の向上が必要とされない低速領域、及び高い旋回性が好ましくない高速領域では前輪コーナリングパワーKf,iを低下させるべく、値が1より小さい値に設定されている。また、横加速度係数K1は、図4(A)に示すように、横加速度が大きくなるほど前輪コーナリングパワーKf,iを増加させるべく、横加速度の増加に応じて値が増加するように設定されている。また、ドライバ要求前後加速度Gx,tに基づき、減速時に前輪コーナリングパワーKf,iを増加させ、かつ後輪コーナリングパワーKr,iを減少させるようにしたため、コーナー進入時の減速時に車両1の旋回性が向上し、車両1はコーナーのクリップポイントに向けて円滑に進入することができる。
制御装置30は、制動力演算部55において、ヨーモーメントのみを発生させる第1制動力、ロールモーメントのみを発生させる第2制動力、ピッチモーメントのみを発生させる第3制動力を個別に演算し、第1〜第3制動力を加算することによって各制動力発生装置が発生すべき制動力Fxfr、Fxfl、Fxrr、Fxrlを演算するため、制動力の演算が容易である。
制御装置30は、付加トルク演算部57において総制動力Ftに応じて付加トルクTadを演算し、駆動力制御部32において付加トルクTadを加味して動力源8を制御するため、各制動力発生装置20が発生する制動力に起因した車両1の意図しない減速が抑制される。ドライバ要求前後加速度Gx,tが加速側であるときに付加トルクTadが付与されるため、例えばコーナー後半からコーナー出口にかけて運転者が車両1を加速させるべくアクセルペダルを踏み込むときに意図しない減速が抑制され、運転者の操作に応じて車両は円滑に加速することができる。また、付加トルクTadは総制動力Ftの絶対値以下の値に設定されるため、運転者が意図しない加速が発生しない。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
1 :車両
2 :車体
3 :フロントサスペンション
4 :前輪
5 :リアサスペンション
6 :後輪
8 :動力源
10 :操舵装置
20 :制動力発生装置
21 :油圧供給装置
30 :制御装置
31 :運動制御部
32 :駆動力制御部
33 :ブレーキ制御部
36 :車速センサ
37 :前輪舵角センサ
38 :横加速度センサ
39 :アクセルペダルセンサ
51 :実車両挙動推定部
52 :理想車両諸元設定部
53 :理想車両挙動推定部
54 :減算部
55 :制動力演算部
56 :油圧供給装置制御部
57 :付加トルク演算部

Claims (5)

  1. 車両の車輪に駆動力を与える駆動力発生装置、及び前記車輪のそれぞれに設けられて制動力を前記車輪に個別に与える複数の制動力発生装置を制御する車両制御装置であって、
    前記車両のヨー、ロール及びピッチの少なくとも一つのモーメントを制御すべく前記制動力発生装置のそれぞれの減速側を正の値とした目標制動力を演算する制動力演算手段と、
    アクセルペダル位置に基づいて取得される運転者の加減速要求に応じて前記駆動力発生装置の加速側を正の値とした目標駆動力ベース値を設定すると共に、前記目標制動力の合計値に0以上1以下の値に設定される係数を乗じることによって演算される目標駆動力加算値を設定し、前記目標駆動力ベース値に前記目標駆動力加算値を加算して前記駆動力発生装置の加速側を正の値とした目標駆動力を設定する駆動力演算手段とを有し、
    前記目標制動力に基づいて前記制動力発生装置を制御すると共に、前記目標駆動力に基づいて前記駆動力発生装置を制御することを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記駆動力演算手段は前記加減速要求が減速側であるときに、前記係数を0に設定し、前記目標駆動力加算値を0にすることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記駆動力演算手段は前記目標駆動力加算値の絶対値を前記目標制動力の合計値の絶対値以下にすることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記駆動力演算手段は前記加減速要求が加速側において値が大きいほど、前記係数を増加させ、前記目標駆動力加算値を増加させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両制御装置。
  5. 車速及び操舵角を含む車両状態情報を取得する車両状態検出手段と、
    前記車両の実際の諸元を表す実諸元情報及び前記車両状態情報に基づいて、前記車両に生じるべきヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを実車両推定モーメントとして推定する実車両挙動推定手段と、
    仮想の理想車両の諸元として設定される理想諸元情報及び前記車両状態情報に基づいて、前記理想車両に生じるべきヨーモーメント、ロールモーメント、及びピッチモーメントを理想車両推定モーメントとして推定する理想車両挙動演算手段とを有し、
    前記理想車両推定モーメント及び前記実車両推定モーメントのそれぞれ対応する各モーメントの差として与えられるモーメント差分に基づいて、前記モーメント差分のそれぞれに応じた各モーメントを前記制動力発生装置によって発生させるべく前記制動力発生装置の前記目標制動力を演算することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の車両制御装置。
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