JP6438269B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
レース用のタイヤは、高速での旋回、急加速及び制動が繰り返される状況下で使用される。レース用のタイヤは、これらの状況において、高い操縦安定性が求められる。また、レース用のタイヤには、頻繁に高い荷重が負荷されることから、高い耐久性も要求される。
レース用の車両では、旋回性能を向上させるために、ネガティブキャンバーが採用されている。この車両では、直進時には左右のタイヤともに、そのトレッド面のうち、タイヤが車両に装着されたときの車両の内側(本明細書では、これは、「裏側」と称される。これに対して、車両の外側は、「表側」と称される)の部分が接地する。このため、このトレッド面の裏側部分は、走行中に特に頻繁に変形と復元とを繰り返す。走行時には、この変形による応力がベルト及びバンドの端に集中することが起こり易くなる。これは、タイヤの裏側における、ベルトの端やバンドの端でのルース(損傷)の要因となりうる。
ベルト端でのルースを抑制するために、その軸方向端を折り返すフォールド構造が用いられることがある。特開2012−56473公報には、フォールド構造のベルトを有するタイヤについての検討が報告されている。このタイヤでは、耐久性の向上及び操縦安定性の向上を図りつつ、タイヤの偏摩耗を低減する試みがされている。
特開2012−56473公報
ベルトは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。フォールド構造のベルトは、その端の近辺で折り返される。このため、コードの材料としてスチール等の金属を用いることが困難である。このベルトでは、一般にコードの材料として有機繊維が用いられる。コードに有機繊維を使用した場合、コードに金属を使用した場合に比べて、タイヤの剛性が高くできないことが起こりうる。フォールド構造のタイヤでは、操縦安定性の改善効果が、十分上げられない場合が起こりうる。
ベルトをフォールド構造とせずにベルトのルースを抑制するために、バンドに加えてエッジバンドを設ける方法がある。ルース発生の起点となり易いのは、ベルトやバンドの「端」である。エッジバンドは「端」を有している。この方法では、ルースの起点となりやすい「端」の数が増えている。この方法を用いたタイヤには、ルース抑制性能のさらなる改善を求められることが起こりうる。
本発明の目的は、耐久性に優れ、かつ操縦安定性に優れたタイヤの提供にある。
本発明に係るタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側に位置するベルトと、このベルトの半径方向外側にてこのベルトを覆うバンドとを備えている。このタイヤが車両に装着されたときの車両の内側が裏側とされ、このタイヤが車両に装着されたときの車両の外側が表側とされたとき、このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドは上記ベルトの裏側端近辺にて折り返されている。これにより上記バンドにセンター部と第一エッジ部とが形成されている。上記第一エッジ部は、上記センター部と上記ベルトとの間に位置している。
好ましくは、上記第一エッジ部の軸方向幅が10mm以上30mm以下である。
好ましくは、このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドは上記ベルトの表側端近辺にて折り返されている。これにより上記バンドに第二エッジ部がさらに形成されている。上記第二エッジ部は、上記センター部の半径方向外側に積層されている。
このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの表側端近辺にて折り返されており、これによりバンドには第二エッジ部がさらに形成されており、上記第二エッジ部が、上記センター部と上記ベルトとの間に位置していてもよい。
好ましくは、上記第二エッジの軸方向幅は50mm以上80mm以下である。
好ましくは、上記ベルトは内側層とこの内側層の半径方向外側に積層された外側層とを備えている。上記第一エッジ部の表側端は上記外側層の裏側端よりも表側に位置している。上記第一エッジ部の表側端と上記外側層の裏側端との軸方向距離は5mm以上10mm以下である。
好ましくは、上記ベルトは内側層とこの内側層の半径方向外側に積層された外側層とを備えている。上記内側層及び上記外側層のそれぞれは、並列された多数のコードを備えている。上記内側層のコード及び上記外側層のコードは、赤道面に対して傾斜している。上記内側層のコードの赤道面に対する傾斜方向は、上記外側層のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。上記内側層のコード及び上記外側層のコードの赤道面に対する傾斜角度の絶対値は、30°以上75°以下である。
好ましくは、このタイヤは、上記内側層及び外側層の軸方向外側端を覆う一対のゴムシートをさらに備えている。
好ましくは、それぞれのゴムシートの軸方向幅WRは20mm以上40mm以下であり、このゴムシートの厚みTRは0.3mm以上0.7mm以下である。
好ましくは、上記ゴムシートの損失正接LTは0.20以下である。
好ましくは、トレッド面上の点であって、赤道面CLからの軸方向距離が赤道面CLからトレッド端50までの軸方向距離の0.8倍である点がPとされたとき、点Pにおけるトレッドの厚みTSは、2.0mm以上3.0mm以下である。
好ましくは、上記バンドは実質的に周方向に延びるコードを備えている。このコードは、ナイロン繊維及びアラミド繊維を有するハイブリッド繊維である。
本発明に係るタイヤでは、バンドはベルトの裏側端近辺にて、裏側から表側に向かって折り返されており、これによりバンドにセンター部と第一エッジ部とが形成されている。第一エッジ部は、上記センター部と上記ベルトとの間に位置している。このセンター部と第一エッジ部とは、ベルトの裏側端におけるルースの発生を抑制する。また、第一エッジ部はセンター部と上記ベルトとの間に位置しているため、第一エッジ部の端におけるルースの発生が抑制されている。このタイヤは、耐久性に優れる。このタイヤでは、ベルトはフォールド構造とする必要はない。このベルトのコードの材料には金属が用いられ得る。このタイヤは、操縦安定性に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのベルトの構造が示された模式図である。 図3は、図1のタイヤの裏側の一部が示された拡大断面図である。 図4は、図1のタイヤの表側の一部が示された拡大断面図である。 図5は、他の実施形態に係るタイヤの表側の一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。本明細書では、タイヤ2が車両に装着されたときの車両の内側は「裏側」と称される。これに対して、車両の外側は「表側」と称される。図1において、矢印Xは裏側を表し、矢印Yは表側を表す。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、後述するバンドを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、インナーライナー12、一対のチェーファー14、ベルト16、バンド18、及び一対のゴムシート20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、レース用の四輪自動車に装着される。このタイヤ2がレース用以外の四輪自動車に装着されてもよい。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面22を形成する。このトレッド面22には、溝は刻まれていない。このタイヤ2は、スリックタイヤ2である。このトレッド面22に溝が刻まれていてもよい。トレッド4は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。それぞれサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
それぞれのビード8は、軸方向においてサイドウォール6よりも内側に位置している。ビード8は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。コア24は、タイヤ2の周方向に沿ってリング状を呈している。コア24は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス26は半径方向外向きに先細りである。エイペックス26は高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、第一プライ10a及び第二プライ10bからなる。第一プライ10a及び第二プライ10bは、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。第一プライ10aは、コア24の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一プライ10aには、主部と折り返し部とが形成されている。第二プライ10bは、コア24の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第二プライ10bには、主部と折り返し部とが形成されている。
図示されないが、第一プライ10a及び第二プライ10bは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面CLに対してなす角度の絶対値は、50°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス10が、1枚のプライから形成されてもよい。
インナーライナー12は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー12は、カーカス10の内面に接合されている。インナーライナー12は、架橋ゴムからなる。インナーライナー12には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー12の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー12は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー14は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、チェーファー14がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー14は、布とこの布に含浸したゴムとからなっている。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス10と積層されている。ベルト16は、カーカス10を補強する。図2にはベルト16の一部が示されている。図2において、上下方向がタイヤ2の周方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の半径方向である。図2において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。図に示されるように、ベルト16は、内側層16a及び外側層16bからなる。内側層16a及び外側層16bのそれぞれは、並列された多数のコード28とトッピングゴム30とからなる。各コード28は、赤道面に対して傾斜している。図に示されるとおり、内側層16aのコード28の赤道面に対する傾斜方向は、外側層16bのコード28の赤道面に対する傾斜方向とは逆である。内側層16aのコード28の赤道面に対する傾斜角度の絶対値と、外側層16bのコード28の赤道面CLに対する傾斜角度の絶対値との差は2°以内である。即ち、これらの絶対値は同じである。本明細書では、この絶対値はαと表記される。傾斜角度の絶対値αは、30°以上75°以下である。このタイヤ2では、コード28の材質はスチールである。コード28に、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。
後述するとおり、絶対値αを30°以上75°以下にすることは、タイヤ2は高速耐久性の向上に寄与する。絶対値αは、30°以上75°以下であることが好ましいが、これは必須の構成要素ではない。絶対値αが、15°以上30°未満であってもよい。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18の幅はベルト16の幅よりも大きい。バンド18はベルト16を覆っている。
図3は、裏側のトレッド4端近辺が示された拡大断面図である。図で示されるとおり、このタイヤ2を周方向に垂直な面で切った断面において、バンド18はベルト16の裏側端31近辺にて折り返されている。この折り返しにより、バンド18にはセンター部32と第一エッジ部34とが形成されている。第一エッジ部34はセンター部32と上記ベルト16との間に位置している。第一エッジ部34の表側端36は、外側層16bの裏側端38よりも、表側に位置している。換言すれば、第一エッジ部34と外側層16bとは、半径方向において重なり部分を有している。
図4は、表側のトレッド4端近辺が示された拡大断面図である。図で示されるとおり、このタイヤ2を周方向に垂直な面で切った断面において、バンド18は上記ベルト16の表側端42近辺にて折り返されている。この折り返しにより、バンド18には第二エッジ部40がさらに形成されている。第二エッジ部40は、センター部32の半径方向外側に積層されている。このように第一エッジ部34がセンター部32の半径方向内側に位置し、第二エッジ部40がセンター部32の半径方向外側に位置する形状は、「S字形」と称される。このバンド18はS字形である。
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト16の端が拘束されるので、ベルト16のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
それぞれのゴムシート20は、ベルト16の軸方向外側端を覆っている。図3に示されるとおり、裏側に位置するゴムシート20は、内側層16aの裏側端45及び外側層16bの裏側端38を覆っている。このゴムシート20の表側の一部は、第一エッジ部34とベルト16とに挟まれている。このゴムシート20の裏側の端は、カーカス10に積層されている。図4に示されるとおり、表側に位置するゴムシート20は、内側層16aの表側端47及び外側層16bの表側端49を覆っている。このゴムシート20の裏側の一部は、センター部32とベルト16とに挟まれている。このゴムシート20の表側の端は、カーカス10に積層されている。
後述するとおり、このゴムシート20はタイヤ2は高速耐久性の向上に寄与する。このタイヤ2はこのゴムシート20を備えていることが好ましいが、このゴムシート20は必須の構成要素ではない。このタイヤ2が、このゴムシート20を備えなくてもよい。
以下、このタイヤ2の製造方法が示される。
まず、複数のコードがトッピングゴムとともに押し出され、バンド18を形成するためのリボンが得られる。このリボンは、インナーライナー12、カーカス10、ベルト16及びゴムシート20を構成するためのシートとともにフォーマー(図示されず)に供給される。
フォーマーは、円筒状のドラムを備えている。ドラムは回転可能である。フォーマーにインナーライナー12、カーカス10、ベルト16が順次巻かれる。このベルト16の軸方向外側端を覆うように、ゴムシート20が巻かれる。
次いで、ベルト16の半径方向外側に、リボンが螺旋状に巻かれる。リボンはベルト16の外側にて、第一エッジ部34の表側端36となるべき位置から巻き始められる。リボンは、この位置から第一エッジ部34の裏側端44となるべき位置に向けて、略周方向に螺旋状に巻かれる。これにより、第一エッジ部34が形成される。引き続きリボンは、第一エッジ部34の裏側端44の半径方向外側(センター部32の裏側端となるべき位置)から、センター部32の表側端となるべき位置に向けて略周方向に螺旋状に巻かれる。これによりセンター部32が形成される。続いてリボンは、センター部32の表側端の半径方向外側(第二エッジ部40の表側端46となるべき位置)から、第二エッジ部40の裏側端48となるべき位置に向けて略周方向に螺旋状に巻かれる。これにより第二エッジ部40が形成される。以上により、S字形のバンド18が形成される。
上記のとおり、このバンド18の形成は、一本のリボンより行われる。換言すれば、このバンド18において、リボンの端は、巻回しの開始点である第一エッジ部34の表側端36と、巻回しの終了点である第二エッジ部40の裏側端48との二箇所である。
バンド18の形成後、このバンド18の外側にトレッド4がさらに組み合わされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。
以下、本発明による作用効果が説明される。
ネガティブキャンバーが採用された車両では、直進時には左右のタイヤともに、そのトレッド面のうち、タイヤの裏側部分が接地する。このため、このトレッド面の裏側部分は、走行中に特に頻繁に変形と復元とを繰り返す。このため、ベルトの裏側端やバンドの裏側端では、ルースが発生し易い。ルースを抑えるため、フォールド構造のベルトが用いられることがある。しかし、このベルトは、その端の近辺にて折り返されるため、コードの材料としてスチール等の金属を使用することが困難である。コードに金属を使用しない場合、コードに金属を使用した場合に比べて、タイヤの剛性が高くできないことが起こりうる。フォールド構造のタイヤでは、操縦安定性の改善効果を、十分上げられない場合が起こりうる。
本発明に係るタイヤ2では、バンド18はベルト16の裏側端31近辺にて折り返されている。これによりバンド18には、センター部32と第一エッジ部34とが形成されている。このセンター部32と第一エッジ部34とが、ルースが発生しやすい内側層16aの裏側端45及び外側層16bの裏側端38の近辺を保護している。内側層16aの裏側端45及び外側層16bの裏側端38におけるゴムの変形が小さくされている。これは、内側層16aの裏側端45及び外側層16bの裏側端38を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、第一エッジ部34は、センター部32とベルト16との間に位置している。第一エッジ部34の表側端36は、センター部32とベルト16との間に位置している。この構造は、第一エッジ部34の端を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ2では、タイヤ2の裏側におけるルースの発生が抑制されている。
上記のとおり、バンド18の構造により、ベルト16の裏側端31を起点とするルースの発生が抑制されている。このタイヤ2では、ベルト16をフォールド構造とする必要はない。このベルト16のコード28の材料には金属が用いられ得る。このタイヤ2は、十分な剛性を有しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
図3において、両矢印W1は第一エッジ部34の軸方向幅である。幅W1は10mm以上が好ましい。幅W1を10mm以上とすることで、この第一エッジ部34はベルト16の裏側端31でのルースの発生を効果的に抑制する。この観点から、幅W1は15mm以上がより好ましい。幅W1は、30mm以下が好ましい。幅W1を30mm以下とすることで、トレッド4の裏側の剛性が適正に保たれうる。トレッド4の裏側の剛性が過大になることが抑制される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から幅W1は25mm以下がより好ましい。
図3において、両矢印Sは第一エッジ部34の表側端36と、外側層16bの裏側端38との軸方向の間隔である。間隔Sは5mm以上が好ましい。間隔Sを5mm以上とすることで、第一エッジ部34の表側端36と外側層16bの裏側端38とが十分な距離を有する。第一エッジ部34の表側端36と外側層16bの裏側端38とが近くに位置することによる、歪みの集中が抑えられる。これは、第一エッジ部34の表側端36及び外側層16bの裏側端38を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、間隔Sは6mm以上が好ましい。間隔Sは10mm以下が好ましい。間隔Sを10mm以下とすることで、トレッド4の裏側の剛性が適正に保たれうる。トレッド4の裏側の剛性が過大になることが抑制される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から間隔Sは9mm以下がより好ましい。
車両が旋回するときは、外輪の表側に横力が負荷される。高速で旋回することが多いレース用のタイヤ2では、特に大きな横力がタイヤ2の表側に負荷される。この横力に起因して、トレッド4の表側が波打つように変形する「バックリング」が起こることがある。バックリングが発生すると、タイヤ2の接地面積が減少する。タイヤ2から路面に伝わる力が減少する。これは、タイヤ2の操縦安定性を損ねる。これは、タイヤ2の耐摩耗性能の低下を招来する。
本発明に係るタイヤ2では、バンド18はベルト16の表側端42近辺にて折り返されている。これにより上記バンド18に第二エッジ部40がさらに形成されている。この第二エッジ部40は、タイヤ2の表側の剛性の向上に寄与する。この第二エッジ部40は、トレッド4の表側におけるバックリングを抑制する。このタイヤ2では、バックリングの発生が抑えられている。このタイヤ2は、良好な操縦安定性及び耐摩耗性能を備える。
前述の通り、第二エッジ部40は、センター部32の半径方向外側に積層されている。このバンド18はS字形である。S字形であるバンド18は、一本のリボンより形成されうる。このバンド18において、リボンの端は、巻回しの開始点である第一エッジ部34の表側端36と、巻回しの終了点である第二エッジ部40の裏側端48との二箇所のみである。これは、リボンの端を起点とするルースの発生を抑制しうる。このバンド18では、ルースの発生が抑制されている。さらに、このタイヤ2では、リボンの端がタイヤ2のクラウン部の近辺に位置していない。これは、良好なユニフォミティの実現に寄与する。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。
図4において、両矢印W2は第二エッジ部40の軸方向幅である。幅W2は50mm以上が好ましい。幅W2を50mm以上とすることでこの第二エッジ部40は、バックリングの発生を効果的に抑制する。このタイヤ2は良好な操縦安定性及び耐摩耗性能を備える。この観点から、幅W2は55mm以上がより好ましい。幅W2は、80mm以下が好ましい。幅W2を80mm以下とすることで、トレッド4の表側の剛性が適正に保たれうる。トレッド4の表側の剛性が過大になることが抑制される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から幅W2は75mm以下がより好ましい。
強い接地圧により、タイヤ2のトレッド面22にはショルダー部から赤道面CLに向かう力が負荷される。この力により接地面においては、トレッド4は赤道面CL方向に変形する。この部分が路面から離れる際に、この変形が復元することにより、ワイピング力と称される力が働く。ワイピング力は、タイヤ2の路面に対する滑りの要因となりうる。ワイピング力は、タイヤ2のグリップ性能の低下を招来する。
前述の通り、ベルト16のコード28の赤道面CLに対する傾斜角度の絶対値αは、30°以上が好ましい。絶対値αを30°以上とすることで、このベルト16は横方向の力に対して良好な剛性を有する。このベルト16は、ワイピング力の低減に寄与する。さらにこのベルト16は、バックリングの抑制に寄与する。このタイヤ2は、グリップ力に優れる。このタイヤ2は、良好な操縦安定性及び耐摩耗性能を備える。絶対値αは、75°以下が好ましい。絶対値αを75°以下とすることで、高速走行時の遠心力による、トレッド4のショルダー部での変形が抑制される。これは、ショルダー部での発熱を抑制する。このタイヤ2では、ショルダー部の変形及び発熱に起因するベルト16とバンド18とのセパレーションが抑制されている。このタイヤ2は良好な高速耐久性が維持されている。
前述の通り、ベルト16の軸方向外側端を覆うゴムシート20を備えるのが好ましい。このゴムシート20は、高速走行時の遠心力によりショルダー部での変形が発生したとき、ベルト16とバンド18との間の応力を緩和する。このゴムシート20は、ショルダー部でのベルト16とバンド18とのセパレーションの抑制に効果的に寄与する。さらに、このゴムシート20は、高速走行時におけるショルダー部での変形による発熱を抑制する。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。
図3及び4において、両矢印TRはゴムシート20の厚みである。厚みTRは0.3mm以上が好ましい。厚みTRを0.3mm以上とすることで、このゴムシート20は、ベルト16とバンド18とのセパレーションの抑制に効果的に寄与する。このゴムシート20は、高速走行時におけるショルダー部での変形による発熱を効果的に抑制する。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。厚みTRは0.7mm以下が好ましい。厚みTRを0.7mm以下とすることで、ショルダー部における剛性が適切に維持される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。高速耐久性と操縦安定性とを効果的に両立させるとの観点から、厚みTRは0.5mmがより好ましい。
図3及び4において、両矢印WRはゴムシート20の軸方向幅である。幅WRは20mm以上が好ましい。幅WRを20mm以上とすることで、このゴムシート20は、ベルト16とバンド18とのセパレーションの抑制に効果的に寄与する。このゴムシート20は、高速走行時におけるショルダー部での変形による発熱を効果的に抑制する。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。幅WRは40mm以下が好ましい。幅WRを40mm以下とすることで、ショルダー部における剛性が適切に維持される。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。高速耐久性と操縦安定性とを効果的に両立させるとの観点から、幅WRは30mmがより好ましい。
ゴムシート20の損失正接LTは0.2以下が好ましい。損失正接LTを0.2以下とすることで、このゴムシート20は、高速走行時におけるショルダー部での変形による発熱を効果的に抑制する。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。損失正接LTは0.05以上が好ましい。
本発明では、ゴムシート20の損失正接LTは、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製の商品名「VESF−3」)を用いて計測される。この計測では、ゴムシート20のゴム組成物から板状の試験片(長さ=45mm、幅=4mm、厚み=2mm)が形成される。この試験片が、計測に用いられる。
初期歪み:10%
振幅:±2.0%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
図1において、両矢印WTは、赤道面CLからトレッド端50までの軸方向幅を表す。点Pは、トレッド面22上の点であって、赤道面CLからの軸方向距離WPが、幅WTの0.8倍である点である。すなわち、点Pは、距離WPの幅WTに対する比(WP/WT)が0.8となるトレッド面22上の点である。このタイヤ2では、ショルダー部の厚みとは、点Pにおいて計測されるトレッド4の厚みを意味する。図において、両矢印TSはショルダー部の厚みである。詳細には、ショルダー部の厚みTSは、点Pから引いた法線Vに沿って計測したトレッド4の外面と内面との距離である。厚みTSは、3.0mm以下が好ましい。厚みTSを3.0mm以下にすることで、ショルダー部での変形による発熱が効果的に抑制される。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。厚みTSは、2.0mm以上が好ましい。厚みTSを2.0mm以上にすることで、このショルダー部では良好な耐摩耗性が維持されている。
上記のとおり、厚みTSの好ましい範囲は、タイヤ2の裏側の図で説明された。タイヤ2の表側においても、この好ましいは範囲は同じである。タイヤ2の表側においても、厚みTSは、2.0mm以上3.0mm以下が好ましい。
このタイヤ2では、バンド18のコードの材料は、アラミド繊維及びナイロン繊維を有するハイブリッド繊維であることが好ましい。バンド18のコードの材料は、アラミド繊維及びナイロン繊維よりなるハイブリッド繊維であることが好ましい。このコードでは、アラミド繊維とナイロン繊維とが撚り合わされている。アラミド繊維及びナイロン繊維を有するハイブリッド繊維は、ゴム組成物との接着性に優れる。コードの材料をこのハイブリッド繊維とすることで、バンド18において、ゴムがコードから分離するセパレーションが効果的に抑制される。このタイヤ2では、高速走行時におけるショルダー部での変形によるセパレーションが効果的に抑制される。さらにアラミド繊維及びナイロン繊維は耐久性に優れる。このタイヤ2は高速耐久性に優れる。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
図5には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ52が示されている。この図は、表側のトレッド端近辺が示された拡大断面図である。図5において、上下方向がタイヤ52の半径方向であり、左右方向がタイヤ52の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ52の周方向である。
このタイヤ52は、トレッド54、一対のサイドウォール、一対のビード、カーカス56、インナーライナー58、一対のチェーファー、ベルト60、バンド62及び一対のゴムシート64を備えている。このタイヤ52は、バンド62を除き、図1のタイヤ2と同じ構造である。
バンド62は、ベルト60の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド62の幅はベルト60の幅よりも大きい。バンド62はベルト60を覆っている。このタイヤ52のバンド62の裏側は、図1のタイヤ2のバンド18と同じ構造である。
図5に示されるとおり、このタイヤ52を周方向に垂直な面で切った断面において、バンド62は上記ベルト60の表側端66近辺にて折り返されている。この折り返しにより、バンド62にはセンター部68と第二エッジ部70とが形成されている。第二エッジ部70は、センター部68とベルト60との間に位置している。第二エッジ部70の裏側端72は、ベルト60の外側層60bの表側端74よりも、裏側に位置している。換言すれば、第二エッジ部70と外側層60bとは、半径方向において重なり部分を有している。このように第一エッジ部及び第二エッジ部70がセンター部68の半径方向内側に位置する形状は、「C字形」と称される。このバンド62はC字形である。
以下、このタイヤ52の製造方法が示される。
まず、複数のコードがトッピングゴムとともに押し出され、バンド62を形成するための第一リボン及び第二リボンが得られる。第一リボン及び第二リボンは、インナーライナー58、カーカス56、ベルト60及びゴムシート64を構成するためのシートとともにフォーマー(図示されず)に供給される。
フォーマーは、円筒状のドラムを備えている。ドラムは回転可能である。フォーマーにインナーライナー58、カーカス56、ベルト60が順次巻かれる。このベルト60の軸方向外側端を覆うように、ゴムシート64が巻かれる。
次いで、ベルト60の半径方向外側に、第一リボン及び第二リボンが螺旋状に巻かれる。第一リボンはベルト60の外側にて、第一エッジ部の表側端となるべき位置から巻き始められる。第一リボンは、この位置から第一エッジ部の裏側端となるべき位置に向けて、略周方向に螺旋状に巻かれる。これにより、第一エッジ部が形成される。引き続き第一リボンは、第一エッジ部の裏側端の半径方向外側(センター部68の裏側端となるべき位置)から、赤道面CLに向けて略周方向に螺旋状に巻かれる。これによりセンター部68の裏側が形成される。
第一リボンの巻回しと並行して、第二リボンも巻回される。第二リボンはベルト60の外側にて、第二エッジ部70の裏側端72となるべき位置から巻き始められる。第二リボンは、この位置から第二エッジ部70の表側端76となるべき位置に向けて、略周方向に螺旋状に巻かれる。これにより、第二エッジ部70が形成される。引き続き第二リボンは、第二エッジ部70の表側端76の半径方向外側(センター部68の表側端となるべき位置)から、赤道面CLに向けて略周方向に螺旋状に巻かれる。これによりセンター部68の表側が形成される。以上より、C字形のバンド62が形成される。
上記のとおり、このバンド62の形成は、二本のリボンより行われる。換言すれば、このバンド62において、リボンの端は、第一リボンの巻回しの開始点である第一エッジ部の表側端、第一リボンの巻回しの終了点であるセンター部68の赤道面CL、第二リボンの巻回しの開始点である第二エッジ部70の裏側端72、及び第二リボンの巻回しの終了点であるセンター部68の赤道面CLの四箇所である。
バンド62の形成後、このバンド62の外側にトレッド54がさらに組み合わされる。これにより、ローカバーが得られる。
ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ52が得られる。
以下、本発明による作用効果が説明される。
本発明に係るタイヤ52では、バンド62はベルト60の裏側端近辺にて折り返されており、これにより上記バンド62にセンター部68と第一エッジ部とが形成されている。このセンター部68と第一エッジ部とが、ルースが発生しやすい内側層60a及び外側層60bの裏側端の近辺を保護している。内側層60aの裏側端及び外側層60bの裏側端におけるゴムの変形が小さくされている。これは、内側層60aの裏側端及び外側層60bの裏側端を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ52は、耐久性に優れる。
このタイヤ52では、第一エッジ部は、センター部68とベルト60との間に位置している。第一エッジ部の端は、センター部68とベルト60との間に位置している。この構造は、第一エッジ部の表側端を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ52では、バンド62の裏側端におけるルースの発生が抑制されている。
上記のとおり、バンド62の構造により、ベルト60の裏側端を起点とするルースの発生が抑制されている。このタイヤ52では、ベルト60をフォールド構造とする必要はない。このベルト60のコードの材料には金属が用いられ得る。このタイヤ52は、操縦安定性に優れる。
このタイヤ52では、バンド62はベルト60の表側端66近辺にて折り返されている。これにより上記バンド62に第二エッジ部70が形成されている。この第二エッジ部70は、タイヤ52の表側の剛性の向上に寄与する。この第二エッジ部70は、トレッド54の表側におけるバックリングを抑制する。このタイヤ52では、バックリングの発生が抑えられている。このタイヤ52は、良好な操縦安定性及び耐摩耗性能を備える。
このタイヤ52では、第二エッジ部70は、センター部68とベルト60との間に位置している。第二エッジ部70の裏側端72は、センター部68とベルト60との間に位置している。この構造は、第二エッジ部70の裏側端72を起点とするルースの発生を抑制する。このタイヤ52では、表側におけるルースの発生が抑制されている。
図5において、両矢印W2は第二エッジ部70の軸方向幅である。幅W2は50mm以上が好ましい。幅W2を50mm以上とすることでこの第二エッジは、バックリングの発生を効果的に抑制する。このタイヤ52は良好な操縦安定性及び耐摩耗性能を備える。この観点から、幅W2は55mm以上がより好ましい。幅W2は、80mm以下が好ましい。幅W2を80mm以下とすることで、トレッド54の表側の剛性が適正に保たれうる。トレッド54の表側の剛性が過大になることが抑制される。このタイヤ52は、操縦安定性に優れる。この観点から幅W2は75mm以下がより好ましい。
図示されないが、本発明のさらに他の実施形態として、その表側が折り返されていないバンドを備えるタイヤがある。このバンドの裏側は、図1のタイヤ2と同じ構造である。すなわち、このバンドは、第一エッジ部を備え、第二エッジ部を備えていない。このような形状は、「J字形」と称される。このJ字形のバンドは、ベルトの内側層の裏側端及び外側層の裏側端を起点とするルースの発生を抑制する。このバンドでは、第一エッジ部の表側端を起点とするルースの発生が抑制されている。このタイヤでは、バンドの裏側端におけるルースの発生が抑制されている。このタイヤは、耐久性に優れる。さらに、このタイヤでは、ベルトをフォールド構造とする必要はない。このベルトのコードの材料には金属が用いられ得る。このタイヤは、操縦安定性に優れる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実験1]
[実施例1]
ゴムシートを備えないことの他は図1に示された構成を備えた実施例1のタイヤを得た。タイヤのサイズは、265/35R18とされた。表1にこのタイヤの諸元が示されている。このバンドはS字形である。このことが、バンド形状の欄に「S字」として表されている。このベルトのコードの赤道面CLに対する傾斜角度の絶対値αは、30°である。バンドのコードの材料はアラミド繊維である。このタイヤでは、厚みTSは、0.3mmである。
[比較例1]
バンドの構造が、一層のフルバンド及び一対の一層のエッジバンドより構成されていることの他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。バンドが一層のフルバンド及び一対の一層のエッジバンドより構成されていることは、バンド形状の欄に「1FB+1EB」として表されている。これは従来のタイヤである。
[実施例2]
バンドがC字形であることの他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。
[比較例2]
バンドが反転S字形であることの他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。ここで反転S字形とは、第一エッジ部がセンター部の半径方向外側に位置し、第二エッジ部がセンター部の半径方向内側に位置する構造を意味する。バンドが反転S字形であることは、バンド形状の欄に「反転S字」として表されている。
[実施例3−6]
バンドの構造を変更し幅W1と間隔Sとを表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例3−6のタイヤを得た。
[実施例7−10]
幅W2を表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例7−10のタイヤを得た。
[実施例11−14]
バンドの構造を変更し間隔Sを表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11−14のタイヤを得た。
[ラップタイム]
試作タイヤを標準リム(サイズ=18×9.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤを排気量が2600ccであるリア駆動の自動車の後輪に装着した。前輪には、市販のタイヤ(サイズ:265/35R18)を装着し、その内圧が180kPaとなるように空気を充填した。この自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させた。一周4.5kmのコースを10周走行させて、ラップタイムを測定した。測定結果の平均値の逆数が、比較例1の値を100とした指数として下記表1から表4に示されている。値が大きいほど好ましい。
[操縦安定性]
上記ラップタイムと同じ条件で自動車を走行させて、操縦安定性についてドライバーによる官能評価を行った。この結果が、比較例1の結果を100とした指数として下記表1から表4に示されている。値が大きいほど好ましい。
[ルース長さ]
試作タイヤを正規リム(サイズ=18×9.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を120kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、7.0kNの縦荷重をタイヤに負荷した。スリップ角は1.5°に設定された。キャンバー角は2.8°に設定された。このタイヤを、200km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を60分間走行させた。このタイヤの断面をX線検査装置で撮影し、目視でベルトの端及びバンドの端において発生したルースの長さが測定された。最も長いルースの長さが、下記の表1から4に示されている。数値が小さいほど、好ましい。
[耐摩耗性]
試作タイヤを標準リム(サイズ=18×9.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤを排気量が2600ccであるリア駆動の自動車の後輪に装着した。前輪には、市販のタイヤ(サイズ:265/35R18)を装着し、その内圧が180kPaとなるように空気を充填した。この自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで150km走行させた。このタイヤを解体してトレッド54の摩耗量を測定した。摩耗量の逆数が比較例1の結果を100とした指数として下記表1から表4に示されている。値が大きいほど好ましい。
Figure 0006438269
Figure 0006438269
Figure 0006438269
Figure 0006438269
[実験2]
[実施例15]
ゴムシートを備えないことの他は図1に示された構成を備えた実施例15のタイヤを得た。タイヤのサイズは、280/680R18とされた。表5にこのタイヤの諸元が示されている。このバンドはS字形である。このことが、バンド形状の欄に「S字」として表されている。このタイヤにおいて、幅W1は20mm、幅W2は60mm、間隔Sは7mmとされた。バンドのコードの材料はアラミド繊維である。このことが、バンド材料の欄に「alamide」として表されている。このタイヤでは、厚みTSは、0.3mmである。
[比較例3]
バンドの構造が一層のフルバンドより構成されており、ベルトのコードの赤道面CLに対する傾斜角度の絶対値αを表5の通りとしたことの他は実施例15と同様にして、比較例3のタイヤを得た。バンドが一層のフルバンドより構成されていることは、バンド形状の欄に「1FB」として表されている。これは従来のタイヤである。
[実施例16−19]
絶対値αを表5に示される通りとしたことの他は実施例15と同様にして、実施例16−19のタイヤを得た。
[実施例20−23]
表6に示される通りの厚みTRを有するゴムシートを備えていることの他は実施例15と同様にして、実施例20−23のタイヤを得た。このゴムシートの幅WRは30mmである。
[実施例24]
バンドのコードの材料がアラミド繊維とナイロン繊維とから構成されるハイブリッド繊維であることの他は実施例15と同様にして、実施例24のタイヤを得た。バンドのコードの材料がハイブリッド繊維であるが、バンド材料の欄に「hybrid」として表されている。
[実施例25]
バンドのコードの材料がアラミド繊維とナイロン繊維とから構成されるハイブリッド繊維であり表6に示される通りの厚みTRを有するゴムシートを備えていることの他は実施例15と同様にして、実施例25のタイヤを得た。
[グリップ]
試作タイヤを標準リム(サイズ=18×9.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を200kPaとした。このタイヤを排気量が3000ccであるリア駆動の自動車の後輪に装着した。前輪には、市販のタイヤ(サイズ:280/680R18)を装着し、その内圧が200kPaとなるように空気を充填した。この自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて、グリップ力についてドライバーによる官能評価を行った。この結果が、比較例3の結果を100とした指数として下記表5及び6に示されている。値が大きいほど好ましい。
[高速耐久性]
タイヤをリム(サイズ=18×9.5J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を200kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、6kNの縦荷重をタイヤに負荷した。スリップ角は、1.5°とした。キャンバー角は、2.8°とした。このタイヤを、直径が1.7mであるドラムの上を走行させた。速度を段階的に上昇させて、タイヤが破壊したときの速度に基づいて、評価を行った。この結果が、比較例3を100とした指数で、下記の表5及び6に示されている。数値が大きいほど、高速耐久性に優れる。
Figure 0006438269
Figure 0006438269
表1から表6に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、レース用の車両に適用されうる。
2・・・タイヤ
4、54・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10、56・・・カーカス
10a・・・第一プライ
10b・・・第二プライ
12、58・・・インナーライナー
14・・・チェーファー
16、60・・・ベルト
16a、60a・・・内側層
16b、60b・・・外側層
18、62・・・バンド
20、64・・・ゴムシート
22・・・トレッド面
24・・・コア
26・・・エイペックス
28・・・コード
30・・・トッピングゴム
31・・・ベルトの裏側端
32、68・・・センター部
34・・・第一エッジ部
36・・・第一エッジ部の表側端
38・・・外側層の裏側端
40、70・・・第二エッジ部
42、66・・・ベルトの表側端
44・・・第一エッジ部の裏側端
45・・・内側層の裏側端
46、76・・・第二エッジ部の表側端
47・・・内側層の表側端
48、72・・・第二エッジ部の裏側端
49、74・・・外側層の表側端
50・・・トレッド端

Claims (11)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側に位置するベルトと、このベルトの半径方向外側にてこのベルトを覆うバンドとを備えており、
    このタイヤが車両に装着されたときの車両の内側が裏側とされ、このタイヤが車両に装着されたときの車両の外側が表側とされたとき、
    このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの裏側端近辺にて折り返されており、これにより上記バンドにセンター部と第一エッジ部とが形成されており、
    上記第一エッジ部が、上記センター部と上記ベルトとの間に位置しており、
    このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの表側端近辺にて折り返されており、これにより上記バンドに第二エッジ部がさらに形成されており、
    上記第二エッジ部が、上記センター部の半径方向外側に積層されている空気入りタイヤ。
  2. その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側に位置するベルトと、このベルトの半径方向外側にてこのベルトを覆うバンドとを備えており、
    このタイヤが車両に装着されたときの車両の内側が裏側とされ、このタイヤが車両に装着されたときの車両の外側が表側とされたとき、
    このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの裏側端近辺にて折り返されており、これにより上記バンドにセンター部と第一エッジ部とが形成されており、
    上記第一エッジ部が、上記センター部と上記ベルトとの間に位置しており、
    上記ベルトが内側層とこの内側層の半径方向外側に積層された外側層とを備えており、 上記第一エッジ部の表側端が上記外側層の裏側端よりも表側に位置しており、
    上記第一エッジ部の表側端と上記外側層の裏側端との軸方向距離が5mm以上10mm以下である空気入りタイヤ。
  3. その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドの半径方向内側に位置するベルトと、このベルトの半径方向外側にてこのベルトを覆うバンドとを備えており、
    このタイヤが車両に装着されたときの車両の内側が裏側とされ、このタイヤが車両に装着されたときの車両の外側が表側とされたとき、
    このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの裏側端近辺にて折り返されており、これにより上記バンドにセンター部と第一エッジ部とが形成されており、
    上記第一エッジ部が、上記センター部と上記ベルトとの間に位置しており、
    上記ベルトが内側層とこの内側層の半径方向外側に積層された外側層とを備えており、
    上記内側層及び上記外側層のそれぞれが、並列された多数のコードを備えており、
    上記内側層のコード及び上記外側層のコードが、赤道面CLに対して傾斜しており、
    上記内側層のコードの赤道面CLに対する傾斜方向が、上記外側層のコードの赤道面CLに対する傾斜方向とは逆であり、
    上記内側層のコード及び上記外側層のコードの赤道面CLに対する傾斜角度の絶対値が、30°以上75°以下である空気入りタイヤ。
  4. 上記内側層及び外側層の軸方向外側端を覆う一対のゴムシートをさらに備えている請求項に記載の空気入りタイヤ。
  5. それぞれのゴムシートの軸方向幅WRが20mm以上40mm以下であり、このゴムシートの厚みTRが0.3mm以上0.7mm以下である請求項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記ゴムシートの損失正接LTが0.2以下である請求項又はに記載の空気入りタイヤ。
  7. このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの表側端近辺にて折り返されており、これによりバンドには第二エッジ部がさらに形成されており、
    上記第二エッジ部が、上記センター部と上記ベルトとの間に位置している請求項2から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 上記第一エッジ部の軸方向幅が10mm以上30mm以下である請求項1から7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. このタイヤを周方向に垂直な面で切った断面において、上記バンドが上記ベルトの表側端近辺にて折り返されており、これによりバンドには第二エッジ部がさらに形成されており、
    上記第二エッジの軸方向幅が50mm以上80mm以下である請求項1から8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  10. トレッド面上の点であって、赤道面CLからの軸方向距離が赤道面CLからトレッド端50までの軸方向距離の0.8倍である点がPとされたとき、点Pにおけるトレッドの厚みTSが、2.0mm以上3.0mm以下である請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  11. 上記バンドが実質的に周方向に延びるコードを備えており、
    このコードが、ナイロン繊維及びアラミド繊維を有するハイブリッド繊維である請求項1から10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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