JP6430871B2 - 塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安定な塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤の製造方法に関する。
医薬品の中には塩基性薬物の塩(塩基性薬物塩)が数多く存在し、当該塩基性薬物塩の経皮吸収性を促進させる手段が種々開発されている。例えば、フマル酸ケトチフェンを含有する経皮投与製剤に酢酸ナトリウムを含有させる技術(特許文献1)、フェンタニルまたはその塩を含有する経皮投与テープ剤に粘着剤と酢酸ナトリウムを配合する技術(特許文献2)、塩基性薬物塩に、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を粉体平均粒子径が0.1〜100μmになるように粉砕して配合する技術(特許文献3)が報告されている。
特開平8−157365号公報 特開平10−45570号公報 特開平11−302161号公報
しかしながら、特許文献2に記載のように、塩基性薬物塩の吸収を促進する酢酸ナトリウムの粘着剤中への溶解性が低いため、酢酸ナトリウムの配合量が多いと不均一な製剤となり、粘着性が低下するという問題がある。特許文献3には、そのような酢酸ナトリウムを粘着剤中に均一に分散させるために粒子径を小さくするために粉砕することが必要である旨記載されている。
従って、本発明の課題は、何ら特別な粉砕工程を必要とせず、経皮吸収性に優れ、かつ結晶析出等の問題がない塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤を提供することにある。
そこで本発明者は、塩基性薬物塩を有機溶剤と酢酸ナトリウムの含有液中で溶解又は油状物状態にする際に、少量の水を添加すれば、何ら酢酸ナトリウムの粉砕や粒子径管理を行なわなくても、酢酸ナトリウムが析出したり大きな結晶が残ることがなく、経皮吸収性の良好な経皮投与テープ剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔7〕を提供するものである。
〔1〕塩基性薬物塩を、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤を含有する液中で溶解又は油状物状態にする工程を含むことを特徴とする塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤の製造方法。
〔2〕酢酸ナトリウムの配合量が、塩基性薬物塩1モルに対して2.5〜3.5モルである〔1〕記載の製造方法。
〔3〕水の添加量が、酢酸ナトリウム1モルに対して4.5〜18.2モルである〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
〔4〕塩基性薬物塩が、クエン酸フェンタニル、塩酸オキシブチニン及びフマル酸ビソプロロールから選ばれるものである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕経皮投与テープ剤の粘着基剤が、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕塩基性薬物塩を、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤を含有する液中で溶解又は油状物状態にする工程の後に、当該溶液を脱水する工程を含む〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕前記有機溶剤が、流動パラフィン、クロタミトン、酢酸エチル及びトルエンから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
本発明方法によれば、酢酸ナトリウムを粉砕機を用いて粉砕したり、更に粉砕した酢酸ナトリウムの粒子径を管理する等の操作を必要とせずに、塩基性薬物塩の経皮吸収性が良好で、かつ酢酸ナトリウムの析出のない、安定な経皮投与テープ剤が得られる。
実施例及び比較例に用いた酢酸ナトリウム(無水和物)のデジタルマイクロスコープ像を示す。 実施例1の有効成分溶液の状態(デジタルマイクロスコープ像)を示す。 実施例2の有効成分溶液の状態(デジタルマイクロスコープ像)を示す。 比較例2の有効成分溶液の状態(デジタルマイクロスコープ像)を示す。 比較例4の塗工溶液の状態(デジタルマイクロスコープ像)を示す。 皮膚透過性試験結果(累積透過量)を示す。
本発明の塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤の製造方法は、(a)塩基性薬物塩を、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤を含有する液中で溶解又は油状物状態にする工程(工程(a))を含むことを特徴とする。
塩基性薬物塩は、経皮投与テープ剤の有効成分であり、塩基性薬物の塩であれば限定されないが、例えばクエン酸フェンタニル、塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、酒石酸エルゴタミン、メシル酸エルゴタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート、塩酸クロルプロマジン、塩酸イミプラミン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸オキシブチニン、塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール、メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール、塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン、塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベニジピン、塩酸エホニジピン、フマル酸ビソプロロール、マレイン酸チモロール、塩酸ジルチアゼム、酒石酸メトプロロール、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール、塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ロピニロール、酢酸クロマジノン、塩酸ブプレノルフィン、塩酸ドネペジル等が挙げられる。このうち、クエン酸フェンタニル、塩酸オキシブチニン及びフマル酸ビソプロロールが好ましく、クエン酸フェンタニルが特に好ましい。
塩基性薬物塩の使用量は、安定な配合性、経皮吸収性の点から本発明経皮投与テープ製剤の粘着剤層全体の質量に対して0.5〜8質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1〜6質量%がさらに好ましい。
酢酸ナトリウムは、塩基性薬物塩の経皮吸収性を促進するものである。酢酸ナトリウムは一般に、無水和物と3水和物が知られているが、何れでも良い。また、本発明においては、酢酸ナトリウムは特に粉砕や粒子径調整を行う必要がなく、通常の酢酸ナトリウム、すなわち粒子径が100μmを超えるものでも使用することができる。
酢酸ナトリウムの使用量は、塩基性薬物塩の経皮吸収促進作用の点と皮膚刺激等の防止の点から、塩基性薬物塩1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、1〜4モルがより好ましく、2.5〜3.5モルがさらに好ましい。
有機溶剤は、テープ剤の粘着性基剤及び塩基性薬物塩を溶解又は油状物状態にさせるものであれば、特に限定されないが、例えば流動パラフィン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、高級脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル系溶剤;クロタミトン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。このうち、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤が好ましく、流動パラフィン、酢酸エチル、トルエン、クロタミトン、高級脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、流動パラフィン、クロタミトン、酢酸エチル及びトルエンから選ばれる1種又は2種以上の溶剤がさらに好ましい。
工程(a)における有機溶剤の使用量は、塩基性薬物塩を溶解又は油状物状態にできる量であれば特に限定されないが、作業性の点から、塩基性薬物塩1質量部に対して、0.5質量部以上が好ましい。
本発明においては、塩基性薬物塩を溶解又は油状物状態にするための媒体中に、有機溶剤及び酢酸エチルに加えて水を使用する点に特徴がある。水を添加しない場合には、粉砕して粒子径を調整した酢酸ナトリウムを使用する必要がある。これに対し、工程(a)において、少量の水を添加することにより、酢酸ナトリウムが析出したり大きな結晶が残ることが抑制でき、かつ粉砕しない酢酸ナトリウムの使用も可能である。
水の添加量は、塗工乾燥工程で障害が発生しない程度に酢酸ナトリウムを溶解することが出来る量であれば、特に限定されないが、塩基性薬物塩溶液の調製効率の点から酢酸ナトリウム1モルに対して水4.5〜18.2モルが好ましく、8.7〜9.5モルがより好ましい。酢酸ナトリウムに対して水が少ないと酢酸ナトリウムを溶解する効率が悪くなる。一方、多いと塩基性薬物塩溶液の脱水を行う場合に長時間を要する。
また、工程(a)の溶液中には、前記成分に加えて、脱水工程で共沸作用により脱水し易いようにエタノール等の低級アルコールを配合することができる。
工程(a)は、塩基性薬物塩を、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤からなる液中で溶解又は油状物状態にすればよく、これらの各成分の添加順序は特に問わない。溶解にあたって、必要により加温してもよく、その加温温度は、60〜100℃が好ましく、さらに70〜90℃がより好ましい。すべての成分が溶解又は油状物状態になったことを確認できればよく、撹拌時間や加温時間は問わない。
次いで、必要に応じて、前記溶液を脱水してもよい(脱水工程)。ただし、塩基性薬物塩を添加せずに、有機溶剤、酢酸ナトリウム及び水を含有する溶液を脱水した場合には、酢酸ナトリウムの結晶が析出する。すなわち、塩基性薬物塩、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤を含有する溶液又は油状液を一度形成させれば(工程(a)を経由すれば)、その後脱水を行っても酢酸ナトリウムの析出は生じない。
脱水工程は、均一な塗工溶液を得ることができる程度に水を除去できれば良い、具体的には、塗工溶液中の固形分100質量部に対して、水の含量が0.25質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下に除去できる方法であればよく、例えば溶液を開放下で加温撹拌する方法、減圧下で加温を行いながら撹拌する方法、撹拌を行いながら温風や乾燥気流(空気、窒素等)を吹き付ける方法等により行うことができる。
工程(a)で得られた溶液又は必要に応じて脱水工程を行った溶液は、基剤溶液と混合して塗工溶液とし、得られた塗工溶液を塗工乾燥することにより経皮投与テープ剤が得られる。
基剤溶液には、粘着基剤が含まれ、その他必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、吸収促進剤、溶解剤、酸化防止剤等を配合することができる。
粘着基剤としては、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤が好ましい。ゴム系粘着剤としては、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、ポリイソブチレンゴム(PIB)、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
粘着基剤の含有量は、粘着剤層全体に対して0.1〜98質量%が好ましく、0.1〜70質量%がより好ましく、0.1〜50質量%がさらに好ましい。
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、マレイン酸樹脂等が挙げられる。可塑剤としては、流動パラフィン、ポリブテン、高級脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、スクワラン、スクワレン、植物油(ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油等)等が挙げられる。吸収促進剤としては、高級アルコール(オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等)、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。溶解剤としては、N−メチルピロリドン、多価アルコール(プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ブタンジオール等)、クロタミトン等が挙げられる。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸類等が挙げられる。
本発明の経皮投与テープ剤は、前記成分を含有する粘着剤層に支持体及びライナーを有する形態とするのが好ましい。支持体としては、ポリエステルフィルムにポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の不織布をラミネートしたものが良い。ライナーとしては、ポリエステルフィルムにシリコーン系又はフッ素系剥離コーティングを施したものが良い。
本発明の経皮投与テープ剤は、密封性のある袋に1枚又は複数枚を封入して保存することができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明する。
(i)製剤試料の作製
表1示した処方A及び処方Bの製剤を調製した。処方Aは実施例1〜3及び比較例1〜3の方法で調製した。処方Bは実施例4及び比較例4の方法で調製した。
但し、比較例2及び比較例4では精製水を添加しなかった。更に、比較例4では酢酸ナトリウム(無水和物)は乳鉢を用いて、粉砕したものを用いた。
(ii)基剤溶液
酢酸エチルにSIS、脂環族飽和炭化水素樹脂、流動パラフィン、BHT及びラウリルアルコールを加えて撹拌溶解し、基剤溶液Aとした。
トルエンにSIS、PIB、脂環族飽和炭化水素樹脂、流動パラフィン及びBHTを加えて撹拌溶解し、基剤溶液Bとした。
実施例1
流動パラフィンに酢酸ナトリウム(無水和物)(日本合成化学、平均粒子径1400μm以上)及び精製水を加えて撹拌し、酢酸ナトリウムを溶解した。次に、クエン酸フェンタニルを加えて80℃で30分間撹拌した。更に、減圧下で70℃で撹拌し脱水したものを有効成分溶液とした。
基剤溶液Aに有効成分溶液を加えて撹拌し、塗工溶液とした。
次に、シリコーン処理したポリエステルフィルムのシリコーン処理面に、塗工溶液を塗工乾燥した後、支持体をラミネートし、所定の大きさに裁断したものを製剤試料とした。
塗工溶液の塗工量は製剤試料1枚(40cm2)当たりの、クエン酸フェンタニルの量が8mgとなるように調整した。
実施例2
流動パラフィンにクエン酸フェンタニル及び酢酸ナトリウム(無水和物)を添加し、80℃で2時間撹拌した。次に、精製水を加え80℃で撹拌し酢酸ナトリウムを溶解した。更に、減圧下で70℃で撹拌し脱水したものを有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例1と同様に操作し、製剤試料を得た。
実施例3
流動パラフィンに酢酸ナトリウム(無水和物)及び精製水を加えて撹拌し、酢酸ナトリウムを溶解した。次に、クエン酸フェンタニルを加えて80℃で30分間撹拌した。更に、80℃の温風を吹き付けながら撹拌し、脱水したものを有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例1と同様に操作し、製剤試料を得た。
実施例4
クロタミトンに酢酸ナトリウム(無水和物)及び精製水を加えて撹拌し、酢酸ナトリウムを溶解した。次にクエン酸フェンタニルを加えて80℃で30分間撹拌した。更にホットプレート(設定温度110℃)上で加温しながら撹拌し脱水したものを有効成分溶液とした。
基剤溶液Bに有効成分溶液を加えて撹拌し、塗工溶液とした。
得られた塗工溶液は実施例1と同様に操作し、製剤試料を得た。
比較例1
流動パラフィンに酢酸ナトリウム(無水和物)及び精製水を加え撹拌し、酢酸ナトリウムを溶解した。次に、減圧下で70℃で撹拌し脱水した後、クエン酸フェンタニルを加え、80℃で2時間撹拌したものを有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例1と同様に操作し、製剤試料を得た。
尚、比較例1では脱水処理により酢酸ナトリウムは析出した。この析出物は、クエン酸フェンタニルを加えて撹拌しても、消失しなかった。
比較例2
流動パラフィンにクエン酸フェンタニル及び酢酸ナトリウム(無水和物)を添加し80℃で2時間撹拌し有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例1と同様に操作した。
尚、比較例2では塗工溶液中に酢酸ナトリウムの大きな結晶が分散しており、上手く塗工乾燥を行うことができず、製剤試料を得ることができなかった。
比較例3
流動パラフィンに酢酸ナトリウム(無水和物)及び精製水を加えて撹拌し、酢酸ナトリウムを溶解した。次に、クエン酸フェンタニルを加えて80℃で30分間撹拌したものを有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例1と同様に操作した。
尚、比較例3では有効成分溶液を基剤溶液に添加し撹拌したところ、基剤成分が凝集してしまい、製剤試料を得ることができなかった。
比較例4
クロタミトンにクエン酸フェンタニル及び粉砕した酢酸ナトリウム(無水和物)を添加し、80℃で2時間撹拌したものを有効成分溶液とした。
得られた有効成分溶液は実施例4と同様に操作し、製剤試料を得た。
A.有効成分溶液の評価
有効成分溶液の状態を下記のスコアにしたがって目視評価した。
また、必要に応じて有効成分溶液及び塗工溶液の状態はデジタルマイクロスコープ(HIROX KH−8700型)を用いて観察した。
B.皮膚透過性試験
雄性ヘアレスマウス7週齢の腹部摘出皮膚を、横型拡散セル(Chem. Pharm. Bull. 37(5) 1404-1406 1989)に装着し、角質層側には所定の製剤試料を適用した。
一方、レシーバー側(真皮層側)には受容液として等張リン酸緩衝液(pH7.4)2.5mLを適用した。
試験中受容液は、32℃に保ち、マグネティックスターラーを用いて撹拌を行った。
所定の時間に受容液1mLを採取し、試料溶液とした。試料溶液採取後、直ちに新しい等張リン酸緩衝液1mLを補液した。
試料溶液中のクエン酸フェンタニルは高速液体クロマトグラフ法により定量し、クエン酸フェンタニルの累積透過量を求めた(μg/cm2)。
C.有効成分溶液の評価
D.皮膚透過性試験結果
図6に示す。
実施例及び比較例に用いた酢酸ナトリウム(無水和物)の結晶のデジタルマイクロスコープ像を図1に示す。酢酸ナトリウムの結晶は粒子径が100μmを超えるものであることが分かる。
水を加えて酢酸ナトリウムを溶解した後、クエン酸フェンタニルを加えて有効成分溶液を調製した実施例1では、酢酸ナトリウムの結晶の殆ど無い有効成分溶液が得られた(図2)。この有効成分溶液を用いた製剤の皮膚透過性は良好であった。実施例4においても、同様の結果が得られた。
特許文献2記載の実施例5に準じて、流動パラフィンにクエン酸フェンタニル及び酢酸ナトリウムを添加したところ、有効成分溶液中の酢酸ナトリウムの大きな結晶は消失しなかった(図4)。この状態で、基剤溶液に添加した結果、酢酸ナトリウムの大きな結晶が分散した塗工溶液となり、上手く製剤試料を得ることはできなかった(比較例2)。
一方、比較例2の有効成分溶液に精製水を添加すると、酢酸ナトリウムの大きな結晶は消失し(図3)、実施例1と同様の良好な製剤を得ることができた(実施例2)。
水を加えて酢酸ナトリウムを溶解した後、クエン酸フェンタニルを加える前に脱水すると、酢酸ナトリウムは析出した。この酢酸ナトリウムの結晶はクエン酸フェンタニルを加えて撹拌を行っても消失しなかった(比較例1)。この製剤の皮膚透過性は低いものであった。
比較例4では酢酸ナトリウムを粉砕したにもかかわらず、有効成分溶液中に酢酸ナトリウムの細かい結晶が残った。この結晶は、基剤溶液を加えても消失しなかった(図5)。
比較例4と同じ処方(固形分)を、本発明の方法で調製した実施例4では、粉砕を行っていない酢酸ナトリウムを用いても、有効成分溶液中に結晶は認められず、塗工溶液中でも同様であった。
水を加えて酢酸ナトリウムの結晶を溶解処理する、本発明の製造方法は、従前の技術よりも結晶の無い塗工溶液を得ることが出来る。この技術は、塗工溶液の単位面積当たりの塗工量が少ない、即ち塗工クリアランスの小さい貼付剤の製造では特に有用である。

Claims (5)

  1. 塩基性薬物塩を、水、酢酸ナトリウム及び有機溶剤を含有する液中で溶解又は油状物状態にする工程、並びにその後に該液を脱水する工程を含み、水の添加量が、酢酸ナトリウム1モルに対して4.5〜18.2モルであることを特徴とする塩基性薬物塩含有経皮投与テープ剤の製造方法。
  2. 酢酸ナトリウムの配合量が、塩基性薬物塩1モルに対して2.5〜3.5モルである請求項1記載の製造方法。
  3. 塩基性薬物塩が、クエン酸フェンタニル、塩酸オキシブチニン及びフマル酸ビソプロロールから選ばれるものである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 経皮投与テープ剤の粘着基剤が、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 前記有機溶剤が、流動パラフィン、クロタミトン、酢酸エチル及びトルエンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
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