JP6428082B2 - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の課題は、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性が良好である熱硬化性樹脂組成物、並びにプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することにある。
分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂(b1)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b2)とを反応させることにより得られる、分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、前記化合物(A)の含有量が、前記化合物(A)及び(B)の総和100質量部に対して30〜90質量部である熱硬化性樹脂組成物。
[2]一般式(a2−1)中、R1が水酸基である、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記シロキサン樹脂(b1)が下記一般式(b1−1)で表されるシロキサン樹脂である、上記[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記エポキシ化合物(b2)が、下記式(b2−1−1)で表される構造単位と下記式(b2−1−2)で表される構造単位とを有するナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工してなるプリプレグ。
[7]上記[6]に記載のプリプレグを用いて形成された積層板。
[8]上記[7]に記載の積層板に配線パターンを形成して得られるプリント配線板。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a1)と、後述する一般式(a2−1)で示される、酸性置換基を有するアミン化合物(a2)とを反応させることにより得られる、分子構造中に酸性置換基とN−置換マレイミド基を有する化合物(A)、及び
分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂(b1)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b2)とを反応させることにより得られる、分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、前記化合物(A)の含有量が、前記化合物(A)及び(B)の総和100質量部に対して30〜90質量部である熱硬化性樹脂組成物である。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
化合物(A)は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a1)[以下、マレイミド化合物(a1)と略称する]と、後述する一般式(a2−1)で示される、酸性置換基を有するアミン化合物(a2)[以下、アミン化合物(a2)と略称する]とを反応させることにより得られる、分子構造中に酸性置換基とN−置換マレイミド基を有する化合物である。
マレイミド化合物(a1)は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物である。
マレイミド化合物(a1)としては、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に、芳香族炭化水素基を含有するマレイミド化合物[以下、芳香族炭化水素基含有マレイミドと称する]が好ましい。芳香族炭化水素基含有マレイミドは、任意に選択した2つのマレイミド基の組み合わせのいずれかの間に芳香族炭化水素基を含有していればよい。
マレイミド化合物(a1)としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、1分子中に2個〜5個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましく、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物がより好ましい。また、マレイミド化合物(a1)としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)のいずれかで表される芳香族炭化水素基含有マレイミドであることがより好ましく、下記一般式(a1−1)、(a1−2)又は(a1−4)で表される芳香族炭化水素基含有マレイミドであることがさらに好ましい。
R11〜R13が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基である。
X11が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
X11が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
X11としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましい。より好ましいものは前述の通りである。
p、q及びrは、各々独立に、0〜4の整数であり、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
nは、0〜10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜3である。特に、一般式(a1−3)で表される芳香族炭化水素基含有マレイミド化合物は、n=0〜3の混合物であることが好ましい。
マレイミド化合物(a1)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物(a2)は、下記一般式(a2−1)で示される、酸性置換基を有するアミン化合物である。
R1が示す酸性置換基としては、溶解性及び反応性の観点から、好ましくは水酸基、カルボキシル基であり、耐熱性も考慮すると、より好ましくは水酸基である。
xは1〜5の整数であり、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
R2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
R2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
yは0〜4の整数であり、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
アミン化合物(a2)としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、より好ましくは下記一般式(a2−2)又は(a2−3)で表されるアミン化合物であり、さらに好ましくは下記一般式(a2−2)で表されるアミン化合物である。但し、一般式(a2−2)及び(a2−3)中のR1、R2及びyは、一般式(a2−1)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。
アミン化合物(a2)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)との反応において、両者の使用量は、アミン化合物(a2)が有する第1級アミノ基当量[−NH2基当量と記す]と、マレイミド化合物(a1)のマレイミド基当量との関係が、下記式を満たすことが好ましい。
2≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦11
〔マレイミド基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕を2以上とすることにより、ゲル化及び吸湿はんだ耐熱性が低下することがなく、また、11以下とすることにより、有機溶媒への溶解性及び吸湿はんだ耐熱性が低下することがないため、好ましい。
同様の観点から、より好ましくは、
3≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦11 を満たし、
より好ましくは、
3≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.5 を満たす。
マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)の反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。また、適宜加熱及び保温しながら0.1〜10時間攪拌することによって実施することが好ましい。
有機溶媒としては、マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)との反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を含む、窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を含む硫黄原子含有溶媒;γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、低毒性であるという観点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブがより好ましく、揮発性が高く、プリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいことも考慮すると、プロピレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量に特に制限はないが、溶解性及び反応効率の観点から、マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)の合計100質量部に対して、好ましくは10〜1000質量部、より好ましくは20〜500質量部、さらに好ましくは50〜250質量部となるようにすればよい。10質量部以上とすることによって溶解性を確保でき、1000質量部以下とすることによって、反応効率の大幅な低下を防げる。
マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)の反応は、必要に応じて、反応触媒の存在下に実施してもよい。反応触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン系触媒;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール系触媒;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。
反応触媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応触媒の使用量に特に制限はないが、マレイミド化合物(a1)が有するマレイミド基1モルに対して、好ましくは0〜0.5モル、より好ましくは0〜0.3モル、さらに好ましくは0〜0.1モルである。
(反応温度)
マレイミド化合物(a1)とアミン化合物(a2)の反応は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは90〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃で実施することができる。
化合物(B)は、分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂(b1)[以下、シロキサン樹脂(b1)と略称する]と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b2)[以下、エポキシ化合物(b2)と略称する]とを反応させることにより得られる、分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物である。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)とを反応させると、シロキサン樹脂(b1)が有するカルボキシル基とエポキシ化合物(b2)が有するエポキシ基とのエステル化反応により、第2級アルコールが生成する。
シロキサン樹脂(b1)としては、分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂であれば特に限定されない。シロキサン樹脂(b1)は、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、分子両末端にカルボキシル基を有していることが好ましく、分子両末端に1個ずつカルボキシル基を有していることがより好ましい。同様の観点から、シロキサン樹脂(b1)は、下記一般式(1)で表される構造単位を有し、且つ分子末端にカルボキシル基を有するものであることが好ましい。さらに、シロキサン樹脂(b1)のカルボキシル基当量は、好ましくは600〜3000g/eq、より好ましくは700〜2500g/eq、さらに好ましくは700〜1500g/eq、特に好ましくは700〜1100g/eqである。
R3及びR4が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基である。
R3及びR4が示す置換フェニル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基等が挙げられる。該アルキル基としては上記したアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。該アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。該アルコキシル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシル基である。
R3及びR4としては、いずれも好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましいものは前述の通りである。
シロキサン樹脂(b1)としては、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、下記一般式(b1−1)で表されるシロキサン樹脂であることが好ましい。
R3〜R6については、前記一般式(1)中のR1及びR2と同じように説明され、好ましいものも同じである。
mは、好ましくは5〜50の整数である。mの値によって、一般式(b1−1)で表されるシロキサン樹脂のカルボキシル基当量が、好ましくは600〜3000g/eq、より好ましくは700〜2500g/eq、さらに好ましくは700〜1500g/eq、特に好ましくは700〜1100g/eqとなるのがよい。
X1及びX2が表す炭素数1〜5の飽和炭化水素基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
上記一般式(b1−1)又は(b1−2)で表されるシロキサン樹脂は、信越化学工業株式会社や、東レ・ダウコーニング株式会社等から商業的に入手できる。
シロキサン樹脂(b1)としては、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性及び溶剤溶解性の観点から、信越化学工業株式会社製の、商品名「X−22−162A」(カルボキシル基当量:865g/eq)、商品名「X−22−162B」(カルボキシル基当量:1500g/eq)、商品名「X−22−162C」(カルボキシル基当量:2330g/eq)が好ましい。
シロキサン樹脂(b1)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物(b2)としては、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアルキルフェノール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリアジン骨格含有エポキシ樹脂;フルオレン骨格含有エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂等に分類される。さらに、これらのうちの少なくとも1種にリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂も挙げられる。
これらの中でも、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ化合物(b2)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、エポキシ当量は、エポキシ基あたりの樹脂の質量(g/eq)であり、JIS K 7236に規定された方法に従って測定することができる。具体的には、株式会社三菱化学アナリテックの自動滴定装置「GT−200型」を用いて、200mlビーカーにエポキシ樹脂2gを秤量し、メチルエチルケトン90mlを滴下し、超音波洗浄器溶解後、氷酢酸10ml及び臭化セチルトリメチルアンモニウム1.5gを添加し、0.1mol/Lの過塩素酸/酢酸溶液で滴定することにより求められる。
エポキシ化合物(b2)の市販品としては、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製;商品名「YX−4000」、エポキシ当量;186g/eq)、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製;商品名「NC−7000L」、エポキシ当量;230g/eq)、ナフタレン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製;商品名「HP−4032」、エポキシ当量;152g/eq)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製;商品名「HP−7200H」、エポキシ当量;280g/eq)等が挙げられる。なお、商品名の隣に記載したエポキシ当量は、その商品の製造会社のカタログに記載された値である。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)の反応において、各原料の使用量は、次のとおりとすることが好ましい。すなわち、エポキシ化合物(b2)のエポキシ基数[エポキシ化合物(b2)の使用量/エポキシ化合物(b2)のエポキシ基当量]が、シロキサン樹脂(b1)のカルボキシル基数[シロキサン樹脂(b1)の使用量/シロキサン樹脂(b1)のカルボキシル基当量]に対して、1.5〜10倍となるようにすることが好ましく、2〜10倍となるようにするっことがより好ましい。1.5倍以上であれば、反応中におけるシロキサン樹脂(b1)及びエポキシ化合物(b2)のゲル化を抑制できる。また、シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)とを反応して得られる化合物(B)を用いて作製される積層板の耐湿性の低下を防ぐことができる。また、10倍以下であれば、有機溶剤に対する溶解性の低下や、硬化率の低下を防ぐことができる。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)の反応は、好ましくは有機溶媒の存在下に実施する。
有機溶媒としては、シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)との反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を含む硫黄原子含有溶媒;γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、溶解性や揮発性が高くプリプレグの製造時に残留しにくいこと、並びに得られる積層板の銅箔接着性、吸湿はんだ耐熱性及び誘電特性の観点から、芳香族系溶媒が好ましく、トルエンがより好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量は、シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)の総和100質量部に対して、40〜1000質量部とすることが好ましく、40〜500質量部とすることがより好ましく、40〜200質量部とすることがさらに好ましく、40〜150質量部とすることが特に好ましい。有機溶媒の配合量が40質量部以上であると原料の溶解性が十分に得られ、増粘による合成不能を防止できる。また、1000質量部以下であると適切な合成時間にすることができ、製造コストの不要な高騰も避けられる。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)との反応には、反応触媒を使用してもよい。反応触媒は特に限定されない。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物;ピリジン等の含窒素芳香族複素環化合物;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィンを含むリン系触媒などが挙げられる。反応触媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。銅箔接着性及び吸湿はんだ耐熱性の観点から、リン系触媒が好ましく、トリアリールホスフィンがより好ましく、トリフェニルホスフィンがさらに好ましい。
反応触媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応触媒の使用量に特に制限はないが、シロキサン樹脂(b1)が有するカルボキシル基1モルに対して、好ましくは0〜0.5モル、より好ましくは0〜0.2モル、さらに好ましくは0〜0.1モルである。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)の反応は、適宜加熱又は保温しながら、0.1時間から10時間攪拌することによって実施することが好ましい。
シロキサン樹脂(b1)とエポキシ化合物(b2)の反応における反応温度は、25〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましく、70〜130℃がさらに好ましい。反応温度が25℃以上であれば、適切な反応速度が得られ、また反応温度が200℃以下であれば、高沸点の有機溶媒を必要としないため、プリプレグを製造する際に、有機溶媒の残留分による耐熱性の低下を防止できる。
また、反応の終点の確認、及び化合物(B)の生成の確認は、少量の試料を取り出し中和滴定により酸価を測定し、原料であるシロキサン樹脂(b1)中のカルボキシル基の減少を確認することにより判別できる。中和滴定による酸価の測定方法は、JIS規格による方法に準拠する。例えば、取り出した少量の試料に、指示薬としてフェノールフタレインを添加し、これをメタノール性の水酸化カリウム溶液により滴定し、中和点を確認する方法等が好ましい。反応の終点の酸価は、反応初期の酸価の1/5以下になっていることが好ましい、0mgKOH/gであることがより好ましい。終点での酸価を、反応初期の酸価の1/5以下とすることにより、分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)の生成量が十分となり、化合物(A)との相容性が高いものが得られる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記化合物(A)及び化合物(B)を含有するものである。化合物(A)及び化合物(B)の総和100質量部に対する化合物(A)の含有量は、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の観点から、30〜90質量部であり、好ましくは50〜80質量部である。化合物(A)の含有量が前記の範囲内であると、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性が良好となる傾向にある。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー及びシリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーが好ましく、スチレン系エラストマーがより好ましい。スチレン系エラストマーは、未水添であってもよいが、水添スチレン系エラストマーであることがより好ましい。
エラストマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン系エラストマー(水添スチレン系エラストマーを含む。)としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)等が挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分であるスチレンの他には、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。
また、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸、イタコン酸、シス−4−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]−5−へプテン−2,3−ジカルボン酸等、及びこれらジカルボン酸の、無水物、エステル、アミド、イミド;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等及びこれらモノカルボン酸のエステルなどの不飽和カルボン酸で変性された、いわゆるカルボン酸変性スチレン系エラストマーも好ましく使用できる。
スチレン系エラストマーとしては市販品を使用することができ、具体的には、「タフプレン(登録商標)」、「アサプレン(登録商標)T」、「タフテック(登録商標)」(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)、「エラストマーAR」(アロン化成株式会社製)、「クレイトン(登録商標)G」(シェルジャパン株式会社製)、「JSR−TR」、「TSR−SIS」、「ダイナロン(登録商標)」(以上、JSR株式会社製)、「デンカ(登録商標)STR」(電気化学工業株式会社製)、「クインタック(登録商標)」(日本ゼオン株式会社製)、「エスポレックス(登録商標)SB」シリーズ(住友化学株式会社製)、「ラバロン(登録商標)」(三菱化学株式会社製)、「セプトン(登録商標)」、「ハイブラー(登録商標)」(以上、株式会社クラレ製)、「スミフレックス」(住友ベークライト株式会社製)、「レオストマー(登録商標)」、「アクティマー(登録商標)」(以上、リケンテクノス株式会社製)等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、ジアミン化合物、無機充填剤、難燃剤、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、密着性向上剤、有機充填剤等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの中でも、ジアミン化合物、無機充填剤、難燃剤及び硬化促進剤から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、ジアミン化合物、無機充填剤、難燃剤及び硬化促進剤の全てを含有することがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物のガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性及び低熱膨張性をより高める観点から、ジアミン化合物を含有させてもよい。
ジアミン化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族系ジアミン化合物;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−シクロヘキサンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族系ジアミン化合物;アミノ基を有するシロキサン樹脂などが挙げられる。ジアミン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの中でも、銅箔接着性及び吸湿はんだ耐熱性の観点からは、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンが好ましく、低熱膨張性の観点からは、アミノ基を有するシロキサン樹脂を用いることが好ましい。アミノ基を有するシロキサン樹脂は、例えば下記一般式(2)で表されるシロキサン樹脂が好ましい。
上記一般式(2)で表されるシロキサン樹脂としては、好ましくは下記一般式(2')で表されるシロキサン樹脂である。
無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス、炭酸カルシウム、石英粉末等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、難燃性及び誘電特性の観点から、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、高放熱性を有するという観点から、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ(溶融球状シリカ)等が挙げられる。無機充填剤としては溶融シリカが好ましい。
アミノシランカップリング剤は、1個又は2個のアミノ基と1個のケイ素原子を有するシランであり、好ましくは1個のアミノ基と1個のケイ素原子を有するシランである。アミノシランカップリング剤で表面処理されたシリカの市販品としては、「SC−2050KNK」(平均粒子径0.5μm、株式会社アドマテックス製)等が挙げられる。
無機充填剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸ナトリウム等のモリブデン化合物、三酸化アンチモン等の無機難燃助剤;ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、ギブサイト型水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等の、金属水和物を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調整した化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の熱分解温度が300℃未満の金属水和物;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等のリン酸エステル系化合物;ホスファゼン;赤リン等のリン系難燃剤などが挙げられる。難燃剤は、臭素や塩素等のハロゲンを含有しない非ハロゲン系難燃剤であることが、近年の環境問題の観点から好ましい。
難燃剤としては、耐熱性の観点から、無機難燃助剤、熱分解温度を300℃以上に調整した化合物が好ましく、モリブデン化合物、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)がより好ましく、モリブデン化合物がさらに好ましく、モリブデン酸亜鉛が特に好ましい。なお、モリブデン化合物は、タルク等の担体に担持させて用いてもよい。例えば、モリブデン酸亜鉛をタルクに担持させた化合物は、モリブデン酸亜鉛処理タルクと称されることがある。
難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における難燃剤の含有量は、銅箔接着性、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性及び誘電特性を損なわずに難燃性を向上させるという観点から、熱硬化性樹脂組成物の固形分換算100質量部に対して、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。
硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、イミダゾール化合物及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、銅箔接着性、耐熱性及び難燃性の観点から、有機リン系化合物が好ましい。
有機リン系化合物としては、例えば、有機リン系化合物としては、例えば、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン/トリフェニルボラン錯体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、p−ベンゾキノンとトリn−ブチルホスフィンとの付加反応物等が挙げられる。これらの中でも、p−ベンゾキノンとトリn−ブチルホスフィンとの付加反応物が好ましい。
硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化促進剤の含有量は、銅箔接着性、耐熱性及び難燃性の観点から、化合物(A)及び化合物(B)の総和100質量部[但し、化合物(A)及び化合物(B)を溶液の状態で用いた場合には固形分換算で100質量部]に対して、好ましくは0〜7質量部、より好ましくは0〜5質量部、さらに好ましくは0.001〜3質量部、特に好ましくは0.011〜1質量部である。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、スチレン化フェノール酸化防止剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン誘導体等が挙げられる。密着性向上剤としては、例えば、尿素シラン等の尿素化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。有機充填剤としては、例えば、シリコーン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテル等の有機物の粉末が挙げられる。
これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、希釈することによって取り扱いを容易にするという観点及び後述するプリプレグを製造し易くする観点から、有機溶剤を含有させてワニスの状態にしてもよく、またワニスの状態にすることが好ましい。
該有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤を含む、窒素原子含有溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤を含む硫黄原子含有溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤を含むエステル系溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、窒素原子含有溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンがさらに好ましく、メチルエチルケトンが特に好ましい。
有機溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における有機溶剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の取り扱いが容易になる程度に適宜調整すればよく、また、ワニスの塗工性が良好となる範囲であれば特に制限はないが、熱硬化性樹脂組成物由来の固形分濃度(有機溶剤以外の成分の濃度)が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜70質量%となるようにする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の調製においては、まず、分子構造中に酸性置換基とN−置換マレイミド基を有する化合物(A)と分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)とを、前記有機溶媒中で、必要に応じ加熱及び保温しながら0.1〜10時間攪拌して反応させる。なお、反応の終点の確認は、溶液キャスト法により判別できる。少量の反応溶液をアルミカップにとり、25〜200℃で0.1〜1時間加熱乾燥して有機溶媒を揮発させ、アルミカップ上に樹脂膜を形成させる。このとき、積層板の耐熱性の観点から、樹脂膜は透明であることが好ましい。樹脂膜が不透明であると、樹脂同士が相溶しておらず、樹脂が分離しているため、耐熱性が著しく低下する場合がある。
反応の終点が確認されたら、前記反応を終了し、得られた溶液と、必要に応じて前記の他の成分を混合することにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物が得られる。
本発明のプリプレグは、前記熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工してなるものである。
本発明のプリプレグは、前記熱硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)させて製造することができる。
プリプレグのシート状補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。シート状補強基材の材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらのシート状補強基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット又はサーフェシングマット等の形状を有する。なお、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて、2種以上の材質及び形状を組み合わせることもできる。
ホットメルト法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶剤を含有させず、(1)該組成物との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする方法、又は(2)ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工する方法である。
一方、ソルベント法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶剤を含有させてワニスを調製し、該ワニスにシート状補強基材を浸漬して、ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後、乾燥させる方法である。
該プリプレグは、1枚を用いるか、又は好ましくは2〜20枚を重ね合わせて用いる。
本発明の積層板は、前記プリプレグを用いて形成されたものである。例えば、前記プリプレグを1枚用いるか又は2〜20枚重ね、その片面又は両面に金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。
金属箔の金属としては、電気絶縁材料用途で用いられるものであれば特に制限されないが、導電性の観点から、好ましくは、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金であることが好ましく、銅、アミルニウムがより好ましく、銅がさらに好ましい。
積層板の成形条件としては、電気絶縁材料用積層板及び多層板の公知の成形手法を適用することができ、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用プリント配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
金属箔の厚みに特に制限はなく、プリント配線板の用途等により適宜選択できる。金属箔の厚みは、好ましくは0.5〜150μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。
めっき層の金属は、めっきに使用し得る金属であれば特に制限されない。めっき層の金属は、好ましくは、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金の中から選択されることが好ましい。
めっき方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えば電解めっき法、無電解めっき法が利用できる。
<1.銅箔接着性(銅箔ピール強度)の評価>
銅箔の接着性は、ピール強度によって評価した。各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔のピール強度を測定した。値が大きいほど、銅箔接着性に優れることを示す。
各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「TMA2940」(デュポン株式会社製)を用い、評価基板の面方向(Z方向)の40〜350℃における熱膨張特性を観察し、膨張量の編曲点をガラス転移温度とした。値が大きいほど、耐熱性に優れることを示す。
各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、プレッシャークッカー試験装置「PTU−305VIII」(平山製作所株式会社製)を用いて、121℃及び2atmの条件で4時間プレッシャークッカー処理を行った。該処理後の評価基板を、温度288℃のはんだ浴に20秒間浸漬し、下記評価基準に従って吸湿はんだ耐熱性を評価した。
良好:目視により、評価基板に変化が見られない。
ふくれ:目視により、評価基板の膨れが確認される。
各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「TMA2940」(デュポン株式会社製)を用いて、評価基板の面方向の熱膨張率(線膨張率)を測定した。尚、試料が有する熱歪みの影響を除去するため、昇温−冷却サイクルを2回繰り返し、2回目の温度変位チャートの、30℃〜100℃の熱膨張率[ppm/℃]を測定し、低熱膨張性の指標とした。値が小さいほど、低熱膨張性に優れている。
測定条件 1st Run:室温→350℃(昇温速度10℃/min)
2nd Run:0℃→350℃(昇温速度10℃/min)
銅張積層板は、さらなる薄型化が望まれており、これに併せて銅張積層板を構成するプリプレグの薄型化も検討されている。薄型化されたプリプレグは、反りやすくなるため、熱処理時におけるプリプレグの反りが小さいことが望まれる。反りを小さくするためには、基材の面方向の熱膨張率が小さいことが有効である。
各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm及び幅12.7mmの試験片を切り出し、該試験片を用いて、UL94の試験法(V法)に準じて難燃性を試験及び評価した。
つまり、垂直に保持した試験片の下端に20mm炎による10秒間の接炎を2回行なった。評価は、UL94のV法の基準に従って行なった。なお、接炎してから30秒後にも燃焼がおさまらなかった場合には、「燃焼」と記した。
各例で製造した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、80mm×2mmの評価基板を作製した。比誘電率測定装置「HP4291B」(Hewllet Packerd社製)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定し、誘電特性の指標とした。
比誘電率が小さいほど、そして誘電正接が小さいほど好ましい。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン358.0gとp−アミノフェノール34.2g[(マレイミド基当量)/(−NH2基当量)=4.0]、及び有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル392.2gを混合し、還流させながら5時間反応させ、下記式(A)−1で表される酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する化合物を含有する溶液を得た。得られた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)により分析した結果、溶出時間約19分付近に出現するはずのp−アミノフェノールのピークが消失しており、反応の終了を確認した。
なお、上記GPC測定の条件は、以下の通りとした。オートサンプラー「AS−8020」(東ソー株式会社製)、カラムオーブン「860−C0」(日本分光株式会社製)、RI検出器「830−RI」(日本分光株式会社製)、UV/VIS検出器「870−UV」(日本分光株式会社製)、HPLCポンプ「880−PU」(日本分光株式会社製)。また、使用したカラムは、東ソー株式会社製のTSKgel Super HZ2000(1本)及びSuper HZ2300(1本)を直列につないだものであり、測定温度40℃、流量0.5ml/min、溶媒THFであった。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド442.0gとp−アミノフェノール54.5g[(マレイミド基当量)/(−NH2基当量)=4.0]、及び有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル496.5gを混合し、還流させながら5時間反応させ、下記式(A)−2で表される酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する化合物を含有する溶液を得た。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン358.0gとp−アミノフェノール54.5g[(マレイミド基当量)/(−NH2基当量)=4.0]、及び有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル412.5gを混合し、120℃で2時間反応させ、下記化合物(A)−3で表される酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する化合物を含有する溶液を得た。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン358.0gとp−アミノ安息香酸17.2g[(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=10.0]、及び有機溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド375.2gを混合し、160℃で5時間反応させ、下記式(A)−4で表される酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する化合物を含有する溶液を得た。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン358.0gとm−アミノフェノール34.2g[(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0]、及び有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル392.2gを混合し、還流させながら5時間反応させ、下記式(A)−5で表される酸性置換基と不飽和マレイミド基を有する化合物を含有する溶液を得た。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、前記式(b1−2)で表される分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂「X−22−162A」(信越化学工業株式会社製、カルボキシル基当量=865g/eq)313.4gと、上記式(b2−1)で表される構造単位を有するナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂「NC−7000L」(日本化薬株式会社製、エポキシ当量=230g/eq)686.6gと、有機溶媒としてトルエン1000.0g、及び反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.96g(シロキサン樹脂のカルボキシル基1モルに対して0.02モル相当)を投入した。なお、反応の当量比は(エポキシ基数)/(カルボキシル基数)=8.0である。
次いで、攪拌しながら約100℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い、中和滴定により酸価を測定した。3時間後に酸価が0mgKOH/gになったことで反応終了とみなして、反応溶液を室温にまで冷却して、水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)−1の溶液を得た。
温度計、攪拌装置及び還流冷却管の付いた、加熱及び冷却可能な容積2Lの反応容器に、前記式(b1−2)で表される分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂「X−22−162AS」(信越化学工業株式会社製、カルボキシル基当量=420g/eq)313.4gと、上記式(b2−1)で表される構造単位を有するナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂「NC−7000L」(日本化薬株式会社製、エポキシ当量=230g/eq)686.6gと、有機溶媒としてトルエン1000.0g、及び反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.96g(シロキサン樹脂のカルボキシル基1モルに対して0.02モル相当)を投入した。なお、反応の当量比は(エポキシ基数)/(カルボキシル基数)=4.0である。
次いで、攪拌しながら約100℃で反応を行い、1時間おきにサンプリングを行い、中和滴定により酸価を測定した。3時間後に酸価が0mgKOH/gになったことで反応終了とみなして、反応溶液を室温にまで冷却して、水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)−2の溶液を得た。
まず、温度計、攪拌装置及び還流冷却管の付いた、加熱及び冷却可能な反応容器に、製造例1〜5で得られた化合物(A)−1〜(A)−5の溶液と、製造例6〜7で得られた化合物(B)−1〜(B)−2の溶液とを、固形分の質量比が表1に記載の通りとなるように混合し、115℃で4時間撹拌することにより、熱硬化性樹脂の溶液を得た。なお、得られた溶液をアルミカップ上に少量だけ取り出し、170℃で15分加熱乾燥させたところ、得られた樹脂膜が透明であることが確認された。
次いで、得られた熱硬化性樹脂の溶液と、表1に記載の残りの成分とを表1に記載の質量比で混合し、有機溶剤としてメチルエチルケトンを使用することにより、固形分濃度65質量%の熱硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。
得られたワニスを厚さ0.1mmのSガラスクロスに含浸塗工した後、160℃で10分加熱乾燥し、熱硬化性樹脂組成物由来の固形分含有量(つまりSガラスクロスは含まれない。)が55質量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力25kg/cm2、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を作製した。
得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性について前記方法で測定及び評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、化合物(A)−1の代わりに表2に記載のマレイミド化合物(a1)を用いたこと以外は同様にして熱硬化性樹脂の溶液を得、そして銅張積層板を作製し、測定及び評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、化合物(B)−1の代わりに表2に記載のシロキサン樹脂(b1)及び/又はエポキシ化合物(b2)を用いたこと以外は同様にして熱硬化性樹脂の溶液を得、そして銅張積層板を作製し、測定及び評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、化合物(A)と(B)の使用量を表2に記載の通りに変更したこと以外は同様にして熱硬化性樹脂の溶液を得、そして銅張積層板を作製し、測定及び評価した。結果を表2に示す。
また、各成分の説明は以下の通りである。
*1:「タフテック(登録商標)M1913」、カルボン酸変性水添スチレン系エラストマー(カルボン酸変性SEBS)、旭化成株式会社製
*2:3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン「KAYAHARD(登録商標)A−A」、アミノ基当量=127g/eq、日本化薬株式会社製
*3:「X−22−161B」、両末端アミン変性シロキサン樹脂、アミノ基当量=1500g/eq、信越化学工業株式会社製
*4:「SC−2050KNK」、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより表面処理された溶融シリカ(株式会社アドマテックス製、希釈溶剤;メチルイソブチルケトン)
*5:「KEMGARD2200」、モリブデン酸亜鉛処理タルク、Sherwin Williams社製
*6:「TBP2」、p−ベンゾキノン及びトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物、黒金化成株式会社製
*7:「BMI−4000」、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、大和化成工業株式会社製
*8:「X−22−162A」、両末端カルボン酸変性シロキサン樹脂、信越化学工業株式会社製、カルボキシル基当量=865g/eq
*9:「NC−7000L」、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、エポキシ基当量=230g/eq
一方、比較例で作製した熱硬化性樹脂組成物及びプリプレグを用いた場合には、銅箔接着性、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性から選択される少なくとも1つが劣る結果となった。具体的には、比較例1及び4では、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性が劣る。比較例2では、銅箔接着性、吸湿はんだ耐熱性、難燃性及び誘電特性が劣る。比較例3では、低熱膨張性が劣る。比較例5では、低熱膨張性及び難燃性が劣る。比較例6では、銅箔接着性、吸湿はんだ耐熱性、低熱膨張性、難燃性及び誘電特性の全てが劣る。さらに、比較例1、2、4及び6では、ガラス転移温度も低くなっており、耐熱性に乏しいと言える。
Claims (6)
- 1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a1)と、下記一般式(a2−1)で示される、酸性置換基を有するアミン化合物(a2)とを反応させることにより得られる、分子構造中に酸性置換基とN−置換マレイミド基を有する化合物(A)、及び
分子末端にカルボキシル基を有するシロキサン樹脂(b1)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b2)とを反応させることにより得られる、分子構造中に水酸基とエポキシ基を有する化合物(B)
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、
前記マレイミド化合物(a1)が下記一般式(a1−2)又は(a1−4)で表される芳香族炭化水素基含有マレイミドであり、前記シロキサン樹脂(b1)が下記一般式(b1−1)で表されるシロキサン樹脂であり、前記エポキシ化合物(b2)が下記式(b2−1−1)で表される構造単位と下記式(b2−1−2)で表される構造単位とを有するナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂であり、且つ、
前記化合物(A)の含有量が、前記化合物(A)及び(B)の総和100質量部に対して30〜90質量部である熱硬化性樹脂組成物。
(式中、R1は、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選択される酸性置換基を示す。R2は、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。xは1〜5の整数、yは0〜4の整数であり、且つ、1≦x+y≦5を満たす。但し、xが2〜5の整数の場合、複数のR1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、yが2〜4の整数の場合、複数のR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
(上記式中、R 12 及びR 13 は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。X 11 は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。q及びrは、各々独立に、0〜4の整数である。)
(式中、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示す。mは、5〜100の整数である。複数のR 3 は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のR 4 は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、X 1 及びX 2 は、各々独立に、炭素数1〜5の飽和炭化水素基を示す。)
- 一般式(a2−1)中、R1が水酸基である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、ジアミン化合物、無機充填剤、難燃剤及び硬化促進剤から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工してなるプリプレグ。
- 請求項4に記載のプリプレグを用いて形成された積層板。
- 請求項5に記載の積層板に配線パターンを形成して得られるプリント配線板。
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